画像形成装置
【課題】特に中間濃度領域における画像濃度のバラツキを除去して長期にわたり安定して高画質な画像を得ることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】帯電手段、所定の露光パターンに従った露光手段、及び現像手段の各機能によって感光体上に形成されたトナー像を転写させることなく除電工程まで保持させ、同トナー像が除電光を遮ることで生じる表面電位変化量を表面電位検知手段を介して取得し、該取得した表面電位変化量が所定の変化量と一致するように感光体上のトナー量を調整する制御を行う制御手段を設けた。
【解決手段】帯電手段、所定の露光パターンに従った露光手段、及び現像手段の各機能によって感光体上に形成されたトナー像を転写させることなく除電工程まで保持させ、同トナー像が除電光を遮ることで生じる表面電位変化量を表面電位検知手段を介して取得し、該取得した表面電位変化量が所定の変化量と一致するように感光体上のトナー量を調整する制御を行う制御手段を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、又はファクシミリ装置等の電子写真プロセスを用いた画像形成装置に係り、特に、像担持体としてアモルファスシリコン(a−Si)感光体を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の電子写真プロセスを用いた画像形成装置では、一般に、帯電器によって像担持体である感光体ドラムの表面を帯電した後、画像データに応じて感光体ドラムを露光し、感光体ドラム上に静電潜像を形成する。そして、現像器によって静電潜像を現像して感光体ドラム上にトナー像を形成した後、感光体ドラム上のトナー像を記録用紙に転写する。一方、トナー像転写の後、感光体ドラム上に残留した残留トナーは、クリーニング装置によって除去され、除電器(イレーサ)によって感光体ドラムに光を照射し、感光体ドラム表面に残留する電荷を除去する。
【0003】
かかる電子写真プロセスにおける感光体として、安価かつ生産性が高いなどの理由により、OPC(有機感光体)が広く採用されている。しかし、OPCは、表面が軟らかく、クリーニングブレードやトナー、用紙によって摩耗され易く、その耐久性に問題がある。そこで、OPCと比較して感光体表面が硬く、耐磨耗性に優れるとともに、半導体レーザなどに高感度を示し、繰返し使用による劣化もほとんど認められず、耐久性にも優れたアモルファスシリコン(a−Si)感光体が普及してきている。
【0004】
ところで、環境温度や環境湿度等の環境条件が大きく変化しても、画像濃度や色味の変化を適切に抑制し安定した画像を形成できる画像形成装置を提供することを目的として、トナー付着量検出センサで検出されたトナー付着量に基づいて画像形成要素の制御量を演算し、今回演算した前記画像形成要素の制御量と前回演算した画像形成要素の制御量とを、環境センサで検出された前回検出時と今回検出時との間の画像形成環境の変化の差に基づいて予め決定される所定の比率で加算して新たな画像形成要素の制御量を演算・決定する技術が知られている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、上述した従来技術はあくまで濃度を安定させるための予測制御による補正に過ぎず、かかる補正を施したのみでは、画像濃度のバラツキを除去することは難しい。特に、中間付近に属する濃度領域では、現像の影響を受けやすい等の理由からバラツキが目立つ傾向があった。
【0006】
【特許文献1】特開2001−215762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術はあくまで予測制御による補正に過ぎず、かかる補正を施したのみでは、特に中間濃度領域における画像濃度のバラツキを除去することは難しかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記従来技術の課題に着目し、特に中間濃度領域における画像濃度のバラツキを除去して長期にわたり安定して高画質な画像を得ることを目的として、アモルファスシリコン感光体と、該感光体の表面を帯電させる帯電手段と、該帯電した感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像にトナーを供給して感光体表面にトナー像を形成する現像手段と、前記感光体の残留電荷を光照射によって除去する除電手段と、前記感光体表面に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段と、前記各手段を統合制御する制御手段とを備え、前記除電手段を、前記クリーニング手段の上流側に設けるとともに、前記感光体の表面電位を検知する表面電位検知手段をさらに備えて構成される画像形成装置であって、前記制御手段は、前記帯電手段、所定の露光パターンに従った前記露光手段、及び前記現像手段の各機能によって前記感光体上に形成されたトナー像を転写させることなく前記除電工程まで保持させ、同トナー像が除電光を遮ることで生じる表面電位変化量を前記表面電位検知手段を介して取得し、該取得した表面電位変化量が所定の変化量と一致するように前記感光体上のトナー量を調整する制御を行うことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る画像形成装置によれば、制御手段は、帯電手段、所定の露光パターンに従った露光手段、及び現像手段の各機能によって感光体上に形成されたトナー像を転写させることなく除電工程まで保持させ、同トナー像が除電光を遮ることで生じる表面電位変化量を表面電位検知手段を介して取得し、該取得した表面電位変化量が所定の変化量と一致するように感光体上のトナー量を調整する制御を行うので、従って、共通の露光パターンを採用して画像形成を行う場合に、その画像形成の時期が、当該感光体ドラムの使用を初めてから間のない初期か、又は相当の使用期間を経た後であるか否かにかかわらず、感光体ドラム上のトナー量がほぼ一定に維持される結果として、特に中間濃度領域における画像濃度のバラツキを除去して長期にわたり安定して高画質な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
特に中間濃度領域における画像濃度のバラツキを除去して画像の安定化に寄与するといった目的を、帯電手段、所定の露光パターンに従った露光手段、及び現像手段の各機能によって感光体上に形成されたトナー像を転写させることなく除電工程まで保持させ、同トナー像が除電光を遮ることで生じる表面電位変化量を表面電位検知手段を介して取得し、該取得した表面電位変化量が所定の変化量と一致するように感光体上のトナー量を調整する制御を行う制御手段により実現した。
【実施例】
【0011】
以下、本発明に係る画像形成装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
[画像形成装置の構成]
図1は、本発明に係る画像形成装置の主要部であるアモルファスシリコン感光体ドラムの周辺構造を示す正面断面図である。
【0013】
同図に示すように、画像形成装置11は、アモルファスシリコン感光体ドラム(以下、「感光体ドラム」と省略する場合がある)。13と、この感光体ドラム13の周面に沿うように、その直上位置から時計方向に向けて、帯電器15、露光装置17、表面電位検知センサ19、現像装置21、転写器23、除電器25及びクリーニング装置27をそれぞれ配設して構成されており、転写紙給紙系31からレジストローラ33を介して搬送されてきた転写紙Pは、転写紙搬送系35を通って定着装置37に至り、ここで定着されて機外に排出される。
【0014】
アモルファスシリコン感光体ドラム13は、周面に静電潜像及びこの静電潜像に沿ったトナー像を形成させるためのものであり、導電性基板13a、及び電位変化を伴う表面13bからなる。その周面にはアモルファスシリコン層が積層され、これによってトナー像を形成させるのに適したものとなっている。
【0015】
本発明で帯電手段として機能する帯電器15は、時計方向に回転する感光体ドラム13の周面に一様な電荷を形成させるものであり、帯電ローラ(不図示)の周面が感光体ドラム13の周面と当接しながら従動回転しつつ感光体ドラム13へ電荷を付与するように構成されている。なお、帯電ローラに代えてワイヤからのコロナ放電により感光体ドラム13の周面に電荷を付与するコロナ放電方式を採用してもよい。
【0016】
本発明で露光手段として機能する露光装置17は、例えばコンピュータ等の外部機器から伝送されてきた画像データに基づき強弱の付与されたレーザ光を回転中の感光体ドラム13の周面に照射し、これによる感光体ドラム13周面のレーザ光が照査された部分の電荷の消去によって感光体ドラム13の周面に静電潜像を形成させる機能を有している。
【0017】
本発明で表面電位検知手段として機能する表面電位検知センサ19は、感光体ドラム13の表面13bの電位分布を検知測定する機能を有している。なお、同センサ19で測定された表面電位は主制御部20に送信されて、所定の処理がなされる。
【0018】
本発明で現像手段として機能する現像装置21は、感光体ドラム13の周面にトナーを供給することによって、周面の静電潜像が形成された部分にトナーを付着させ、これによって感光体ドラム13の周面にトナー像を形成させる機能を有している。
【0019】
転写器23は、転写帯電器23a及び分離帯電器23bからなり、感光体ドラム13の直下位置に送り込まれた用紙Pに対して、感光体ドラム13の周面に形成されているトナー像を転写させるとともに、転写後の用紙Pを分離する機能を有している。
【0020】
本発明で除電手段として機能する除電器25は、感光体ドラム11に対して光照射することで除電する機能を有している。除電器25としては、例えば、波長660nmの光を照射するLEDアレイを用いることができる。
【0021】
本発明でクリーニング手段として機能するクリーニング装置27は、転写処理後の感光体ドラム13の周面に残留しているトナーをブレード29によりかき落として清浄化する機能を有している。このクリーニング装置27によって清浄化された感光体ドラム13の周面は、次回の画像形成処理のために再び帯電器15における帯電域へと向かい、以下、同様の処理が繰り返しなされることになる。
【0022】
なお、本発明で制御手段として機能する主制御部20は、所定の露光パターン下において、表面電位検知センサ19を介して取得した表面電位に基づいて、基準となる画像形成処理時に検知した表面電位と、次回の画像形成処理時に検知した表面電位と、の差分に係る変化量を演算するとともに、こうして演算した変化量を記憶部(不図示)に記憶させる機能を有している。これにより、主制御部20は、帯電器15、所定の露光パターン(本例では中間濃度に属する露光パターン)に従った露光装置17、及び現像装置21の各機能によって感光体ドラム13上に形成されたトナー像を転写させることなく除電器25における除電工程まで保持させ、同トナー像が除電光を遮ることで生じる表面電位変化量を表面電位検知センサ19を介して取得し、該取得した表面電位変化量が所定の変化量と一致するように感光体ドラム13上のトナー量を調整する制御を行う機能を有している。
【0023】
このように構成された画像形成装置11は、通常の画像形成処理において、帯電器15により帯電され、露光装置17からの照射光により静電潜像が形成される。この感光体ドラム13の表面13bの電位分布は表面電位検知センサ19により測定される。そして、現像器21により現像され、転写帯電器23aにおいて、転写紙給紙系31からレジストローラ33を介して搬送されてきた転写紙Pにトナー像を転写する。転写後の転写紙Pは、分離帯電器23bにより分離され転写紙搬送系35を通って定着装置37に至り、ここで定着されて機外に排出される。一方、転写後において、感光体ドラム13の表面13bに残留する静電潜像は除電器25によって消去された後、クリーニング装置27のブレード29によってかき落とされ、以上の各工程を経て、1回の画像形成処理が終了するように動作する。
【0024】
[画像形成装置の動作原理]
次に、本発明に係る画像形成装置における、画像濃度のバラツキを除去して長期にわたり安定して高画質な画像を得る目的を達成するための動作原理について、図2及び図3を参照して説明する。
【0025】
図2は、感光体ドラム13上のトナー量、トナーを透過して感光体ドラム13の表面13bに到達するイレース光量、並びに、感光体上トナー量と次回帯電時の表面電位変化量の関係を表す図、図3は、中間濃度パターン露光時の初期と耐久後の現像バイアスと感光体上トナー量の関係を表す図である。
【0026】
除電器25がクリーニング装置27の上流側に配置された本発明に係る画像形成装置では、トナー上からの光除電となるため、感光体ドラム13上に現に載っているトナー量の多少に応じて、感光体ドラム13の表面13bに入射してくるイレース光量が変わる。イレース光量が変われば、感光体ドラム13内で発生する光生成キャリア密度も変わり、これに伴って、次回の画像形成処理時に供給される電荷の中和作用も変化するため、次回の帯電時における感光体ドラム13の表面電位が変化することになる。ここで、感光体ドラム13上のトナー量、トナーを透過して感光体ドラム13の表面13bに到達するイレース光量、並びに、感光体上トナー量と次回帯電時の表面電位変化量の関係(図2参照)から明らかなように、基準となる画像形成処理時に検知した表面電位と、次回の画像形成処理時に検知した表面電位と、の差分に係る変化量を取得することを通じて、感光体ドラム13上に現に載っているトナー量を知ることができることがわかる。
【0027】
ここで、中間濃度パターン露光時の、初期と耐久試験(本例では、無通紙状態で感光体ドラム13を100000回だけ回転させた後、回転の前後における関係を示した。以下において同じ。)後の現像バイアスと感光体上トナー量の関係(図3参照)から明らかなように、感光体ドラム13上のトナー量は初期と耐久後とでは異なるものとなる。なお、初期と耐久試験後において、印加される現像バイアスは共通としてある。このように、初期と耐久試験後におけるトナー量が異なるものとなる理由としては、帯電器15の汚れ等による表面電位変化や、現像剤の劣化等が考えられる。
【0028】
一方、アモルファスシリコン感光体ドラム13のイレース光量特性、イレース光量の耐久変化はほとんどないことが実証されているので、感光体ドラム13上に一定トナー量が載った時の電位上昇量は耐久試験を通じてほぼ一定となる。従って、中間濃度パターンなどの一定パターン露光を施したときの初期の電位変化量を測定・記憶し、その電位変化量と一致するように現像バイアスを調整することによって、初期と同じトナー量を感光体ドラム13上に載せること、つまり初期と同じ画像濃度に調整できることになる。従って、使用期間の長短にかかわらず、又は環境変化が生じた場合であっても、感光体ドラム13上の現像量を安定に維持することが出来る。
【0029】
[画像形成装置の動作]
次に、本発明に係る画像形成装置の動作について、図4及び図5を参照して説明する。
【0030】
図4は、感光体ドラムの使用を初めてから間のない初期時における装置本体の変化量取得処理に係る動作フローチャートを示し、図5は、相当の使用期間を経た後における装置本体の現像バイアス補正処理に係る動作フローチャートを示す。
【0031】
初期時の変化量取得処理について説明すると、図4に示すように、主制御部20は、予め定められた初期現像バイアス値による通常帯電を帯電器15に実行させた後(ステップS11)、露光装置17において、所定の露光パターン(本例では中間濃度に属する露光パターン)に従った露光を実行させる(ステップS12)。その後、主制御部20は、表面電位検知センサ19を介して感光体ドラム13の表面13bの電位測定値(第1表面電位)を入力し、これを記憶部に記憶させる。さらに、主制御部20は、現像装置21によって、露光装置17における中間濃度露光パターンに従うトナー像を感光体ドラム13の周面に形成させた後、転写逆バイアスの印加処理を転写器23に実行させる(ステップS13)。ステップS13の処理により、感光体ドラム13上に形成されたトナー像は転写器23において転写されることなく、次の除電器25における除電工程まで保持されて、除電器25においてトナー像の上から感光体ドラム13への光照射が実行される。その後、主制御部20は、クリーニング装置27における感光体ドラム13の清浄化処理、及び帯電器15における通常帯電処理を実行させた後、表面電位検知センサ19を介して感光体ドラム13の表面13bの電位測定値(第2表面電位)を入力し、これを記憶部に記憶させる。変化量取得処理において、相互に連続する複数の画像形成処理間にわたる複数の電位測定値(本例では、「第1表面電位及び第2表面電位」が相当)が取得されると、主制御部20は、これらの差分に係る変化量(本例では、「トナー載せ域の電位」上昇量ΔV0が相当)を演算し(ステップS14)、かかる演算により求めた初期変化量V0を記憶部に記憶させて(ステップS15)、変化量取得処理を終了させる。
【0032】
次に、例えば、相当の使用期間を経た後に実行される現像バイアス補正処理について説明すると、図5に示すように、主制御部20は、ステップS11〜13と同様に、予め定められた初期現像バイアス値による通常帯電を帯電器15に実行させた後(ステップS21)、露光装置17において、中間濃度露光パターンに従った露光を実行させる(ステップS22)。その後、主制御部20は、表面電位検知センサ19を介して感光体ドラム13の表面13bの電位測定値(第3表面電位)を入力し、これを記憶部に記憶させる。さらに、主制御部20は、現像装置21によって、露光装置17における中間濃度露光パターンに従うトナー像を感光体ドラム13の周面に形成させた後、転写逆バイアスの印加処理を転写器23に実行させる(ステップS23)。ステップS23の処理により、感光体ドラム13上に形成されたトナー像は転写器23において転写されることなく、次の除電器25における除電工程まで保持されて、除電器25においてトナー像の上から感光体ドラム13への光照射が実行される。その後、主制御部20は、クリーニング装置27における感光体ドラム13の清浄化処理、及び帯電器15における通常帯電処理を実行させた後、表面電位検知センサ19を介して感光体ドラム13の表面13bの電位測定値(第4表面電位)を入力し、これを記憶部に記憶させる。相互に連続する複数の画像形成処理間にわたる複数の電位測定値(本例では、「第3表面電位及び第4表面電位」が相当)が取得されると、主制御部20は、これらの差分に係る変化量(本例では、「トナー載せ域の電位」上昇量ΔV1が相当)を演算し、かかる演算により求めた経時後変化量V1を記憶部に記憶させる(ステップS24)。
【0033】
ステップS24における演算処理後に、主制御部20は、記憶部に記憶されている、初期変化量V0、及び経時後変化量V1を読み出して、これらが等しいか否かに係る演算処理を実行する(ステップS25)。ステップS25における演算処理の結果、初期変化量V0と経時後変化量V1が等しい場合には、感光体ドラム13上のトナー量が初期時と変わりないとみなして、全ての処理を終了させる。
【0034】
一方、上記の比較演算処理の結果、初期変化量V0と経時後変化量V1が等しくない場合には、主制御部20は、これらの大小関係を比較演算する(ステップS26)。ステップS26における比較演算処理の結果、ステップS26における比較演算処理の結果、経時後変化量V1が初期変化量V0と比べて大きい場合(ステップS26の「No」)には、主制御部20は、感光体ドラム13上のトナー量が初期時と比べて多くなっているとみなして、感光体ドラム13上のトナー量が少なくなるように、現像バイアス値を減少させる調整処理を実行させる(ステップS27)。一方、経時後変化量V1が初期変化量V0と比べて小さい場合(ステップS26の「Yes」)には、感光体ドラム13上のトナー量が初期時と比べて少なくなっているとみなして、主制御部20は、感光体ドラム13上のトナー量が多くなるように、現像バイアス値を上昇させる調整処理を実行させる(ステップS28)。ステップS27,28の調整処理後に、主制御部20は、ステップS21における初期現像バイアス値を、ステップS27,28の調整処理後における値に書き換えて、以下、ステップS21以下の処理を、ステップS25の等価判断が下されるまで繰り返し実行させる。
【0035】
以上述べたように、主制御部20は、経時後変化量V1の方が初期変化量V0と比べて大きい場合には感光体ドラム13上のトナー量が少なくなるように、また、経時後変化量V1の方が初期変化量V0と比べて小さい場合には感光体ドラム13上のトナー量が多くなるように、それぞれ現像バイアス値を調整することを通じて、経時後変化量V1を初期変化量V0に一致させることにより、感光体ドラム13上のトナー量を、経時後であっても初期時と同等に調整することができる。従って、共通の中間濃度露光パターンを採用して画像形成を行う場合に、その画像形成の時期が、感光体ドラムの使用を初めてから間のない初期か、又は相当の使用期間を経た後であるか否かにかかわらず、感光体上のトナー量がほぼ一定に維持される結果として、特に中間濃度領域における画像濃度のバラツキを除去して長期にわたり安定して高画質な画像を得ることができる。
【0036】
[具体例の開示]
以下に、トナー色:ブラック、イレース光量:5μJ/cm2、露光パターン:40%濃度パターンと設定した場合の、具体例について説明する。
【0037】
表1に示すように、初期の画像濃度40%パターン露光時の感光体上のトナー量は0.204mg/cm2、電位上昇は15Vであった。なお、初期の現像バイアスは200Vに設定されている。
【0038】
【表1】
図6は、初期設定のイレース光量(5μJ/cm2)照射時の表面電位に対し、光量を変化させたときの電位変化量を表し、図7は、感光体上のトナー量とイレース光のトナー透過率の関係を示す。
【0039】
OHPシート上に40%、80%濃度の各画像パターンを印字したときのトナー量と透過率を測定することで両者の関係を調査した。
【0040】
画像濃度40%パターン露光時の感光体上のトナー量は0.204mg/cm2であり、そのときのイレース光量の透過率は約60%であるので、トナー上から感光体ドラム13に照射されるイレース光量は3μJ/cm2前後になる。そのときの電位変化は約15Vであることが分かる(図6参照)。
【0041】
次に、100000回にわたる感光体ドラム13の耐久試験後に、初期と同様の現像バイアスで画像濃度40%パターンを露光したところ、このときの電位変化量は19Vであった。経時後変化量が初期変化量より大きい、つまり、感光体ドラム13上のトナー量が多いということなので、この場合には、現像バイアス値を下げてトナー量を少なくする。現像バイアスを初期の200Vから180Vに下げると経時後変化量は初期変化量と同等の15Vとなった。このときの感光体ドラム13上のトナー量を測定すると0.200mg/cm2であり、初期のトナー量とほぼ同じに調整することができた(表1参照)。
【0042】
[その他]
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う画像形成装置もまた、本発明における技術的範囲の射程に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る画像形成装置の主要部であるアモルファスシリコン感光体ドラムの周辺構造を示す正面断面図である。
【図2】感光体ドラム13上のトナー量、トナーを透過して感光体ドラム13の表面13bに到達するイレース光量、並びに、感光体上トナー量と次回帯電時の表面電位変化量の関係を表す図である。
【図3】中間濃度パターン露光時の初期と耐久後の現像バイアスと感光体上トナー量の関係を表す図である。
【図4】感光体ドラムの使用を初めてから間のない初期時における装置本体の変化量取得処理に係る動作フローチャート図である。
【図5】相当の使用期間を経た後における装置本体の現像バイアス補正処理に係る動作フローチャート図である。
【図6】初期設定のイレース光量(5μJ/cm2)照射時の表面電位に対し、光量を変化させたときの電位変化量を表す図である。
【図7】感光体上のトナー量とイレース光のトナー透過率の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
11 画像形成装置
13 感光体ドラム(アモルファスシリコン感光体)
15 帯電器(帯電手段)
17 露光装置(露光手段)
19 表面電位検知センサ(表面電位検知手段)
20 主制御部(制御手段)
21 現像装置(現像手段)
25 除電器(除電手段)
27 クリーニング装置(クリーニング手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、又はファクシミリ装置等の電子写真プロセスを用いた画像形成装置に係り、特に、像担持体としてアモルファスシリコン(a−Si)感光体を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の電子写真プロセスを用いた画像形成装置では、一般に、帯電器によって像担持体である感光体ドラムの表面を帯電した後、画像データに応じて感光体ドラムを露光し、感光体ドラム上に静電潜像を形成する。そして、現像器によって静電潜像を現像して感光体ドラム上にトナー像を形成した後、感光体ドラム上のトナー像を記録用紙に転写する。一方、トナー像転写の後、感光体ドラム上に残留した残留トナーは、クリーニング装置によって除去され、除電器(イレーサ)によって感光体ドラムに光を照射し、感光体ドラム表面に残留する電荷を除去する。
【0003】
かかる電子写真プロセスにおける感光体として、安価かつ生産性が高いなどの理由により、OPC(有機感光体)が広く採用されている。しかし、OPCは、表面が軟らかく、クリーニングブレードやトナー、用紙によって摩耗され易く、その耐久性に問題がある。そこで、OPCと比較して感光体表面が硬く、耐磨耗性に優れるとともに、半導体レーザなどに高感度を示し、繰返し使用による劣化もほとんど認められず、耐久性にも優れたアモルファスシリコン(a−Si)感光体が普及してきている。
【0004】
ところで、環境温度や環境湿度等の環境条件が大きく変化しても、画像濃度や色味の変化を適切に抑制し安定した画像を形成できる画像形成装置を提供することを目的として、トナー付着量検出センサで検出されたトナー付着量に基づいて画像形成要素の制御量を演算し、今回演算した前記画像形成要素の制御量と前回演算した画像形成要素の制御量とを、環境センサで検出された前回検出時と今回検出時との間の画像形成環境の変化の差に基づいて予め決定される所定の比率で加算して新たな画像形成要素の制御量を演算・決定する技術が知られている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、上述した従来技術はあくまで濃度を安定させるための予測制御による補正に過ぎず、かかる補正を施したのみでは、画像濃度のバラツキを除去することは難しい。特に、中間付近に属する濃度領域では、現像の影響を受けやすい等の理由からバラツキが目立つ傾向があった。
【0006】
【特許文献1】特開2001−215762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術はあくまで予測制御による補正に過ぎず、かかる補正を施したのみでは、特に中間濃度領域における画像濃度のバラツキを除去することは難しかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記従来技術の課題に着目し、特に中間濃度領域における画像濃度のバラツキを除去して長期にわたり安定して高画質な画像を得ることを目的として、アモルファスシリコン感光体と、該感光体の表面を帯電させる帯電手段と、該帯電した感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像にトナーを供給して感光体表面にトナー像を形成する現像手段と、前記感光体の残留電荷を光照射によって除去する除電手段と、前記感光体表面に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段と、前記各手段を統合制御する制御手段とを備え、前記除電手段を、前記クリーニング手段の上流側に設けるとともに、前記感光体の表面電位を検知する表面電位検知手段をさらに備えて構成される画像形成装置であって、前記制御手段は、前記帯電手段、所定の露光パターンに従った前記露光手段、及び前記現像手段の各機能によって前記感光体上に形成されたトナー像を転写させることなく前記除電工程まで保持させ、同トナー像が除電光を遮ることで生じる表面電位変化量を前記表面電位検知手段を介して取得し、該取得した表面電位変化量が所定の変化量と一致するように前記感光体上のトナー量を調整する制御を行うことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る画像形成装置によれば、制御手段は、帯電手段、所定の露光パターンに従った露光手段、及び現像手段の各機能によって感光体上に形成されたトナー像を転写させることなく除電工程まで保持させ、同トナー像が除電光を遮ることで生じる表面電位変化量を表面電位検知手段を介して取得し、該取得した表面電位変化量が所定の変化量と一致するように感光体上のトナー量を調整する制御を行うので、従って、共通の露光パターンを採用して画像形成を行う場合に、その画像形成の時期が、当該感光体ドラムの使用を初めてから間のない初期か、又は相当の使用期間を経た後であるか否かにかかわらず、感光体ドラム上のトナー量がほぼ一定に維持される結果として、特に中間濃度領域における画像濃度のバラツキを除去して長期にわたり安定して高画質な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
特に中間濃度領域における画像濃度のバラツキを除去して画像の安定化に寄与するといった目的を、帯電手段、所定の露光パターンに従った露光手段、及び現像手段の各機能によって感光体上に形成されたトナー像を転写させることなく除電工程まで保持させ、同トナー像が除電光を遮ることで生じる表面電位変化量を表面電位検知手段を介して取得し、該取得した表面電位変化量が所定の変化量と一致するように感光体上のトナー量を調整する制御を行う制御手段により実現した。
【実施例】
【0011】
以下、本発明に係る画像形成装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
[画像形成装置の構成]
図1は、本発明に係る画像形成装置の主要部であるアモルファスシリコン感光体ドラムの周辺構造を示す正面断面図である。
【0013】
同図に示すように、画像形成装置11は、アモルファスシリコン感光体ドラム(以下、「感光体ドラム」と省略する場合がある)。13と、この感光体ドラム13の周面に沿うように、その直上位置から時計方向に向けて、帯電器15、露光装置17、表面電位検知センサ19、現像装置21、転写器23、除電器25及びクリーニング装置27をそれぞれ配設して構成されており、転写紙給紙系31からレジストローラ33を介して搬送されてきた転写紙Pは、転写紙搬送系35を通って定着装置37に至り、ここで定着されて機外に排出される。
【0014】
アモルファスシリコン感光体ドラム13は、周面に静電潜像及びこの静電潜像に沿ったトナー像を形成させるためのものであり、導電性基板13a、及び電位変化を伴う表面13bからなる。その周面にはアモルファスシリコン層が積層され、これによってトナー像を形成させるのに適したものとなっている。
【0015】
本発明で帯電手段として機能する帯電器15は、時計方向に回転する感光体ドラム13の周面に一様な電荷を形成させるものであり、帯電ローラ(不図示)の周面が感光体ドラム13の周面と当接しながら従動回転しつつ感光体ドラム13へ電荷を付与するように構成されている。なお、帯電ローラに代えてワイヤからのコロナ放電により感光体ドラム13の周面に電荷を付与するコロナ放電方式を採用してもよい。
【0016】
本発明で露光手段として機能する露光装置17は、例えばコンピュータ等の外部機器から伝送されてきた画像データに基づき強弱の付与されたレーザ光を回転中の感光体ドラム13の周面に照射し、これによる感光体ドラム13周面のレーザ光が照査された部分の電荷の消去によって感光体ドラム13の周面に静電潜像を形成させる機能を有している。
【0017】
本発明で表面電位検知手段として機能する表面電位検知センサ19は、感光体ドラム13の表面13bの電位分布を検知測定する機能を有している。なお、同センサ19で測定された表面電位は主制御部20に送信されて、所定の処理がなされる。
【0018】
本発明で現像手段として機能する現像装置21は、感光体ドラム13の周面にトナーを供給することによって、周面の静電潜像が形成された部分にトナーを付着させ、これによって感光体ドラム13の周面にトナー像を形成させる機能を有している。
【0019】
転写器23は、転写帯電器23a及び分離帯電器23bからなり、感光体ドラム13の直下位置に送り込まれた用紙Pに対して、感光体ドラム13の周面に形成されているトナー像を転写させるとともに、転写後の用紙Pを分離する機能を有している。
【0020】
本発明で除電手段として機能する除電器25は、感光体ドラム11に対して光照射することで除電する機能を有している。除電器25としては、例えば、波長660nmの光を照射するLEDアレイを用いることができる。
【0021】
本発明でクリーニング手段として機能するクリーニング装置27は、転写処理後の感光体ドラム13の周面に残留しているトナーをブレード29によりかき落として清浄化する機能を有している。このクリーニング装置27によって清浄化された感光体ドラム13の周面は、次回の画像形成処理のために再び帯電器15における帯電域へと向かい、以下、同様の処理が繰り返しなされることになる。
【0022】
なお、本発明で制御手段として機能する主制御部20は、所定の露光パターン下において、表面電位検知センサ19を介して取得した表面電位に基づいて、基準となる画像形成処理時に検知した表面電位と、次回の画像形成処理時に検知した表面電位と、の差分に係る変化量を演算するとともに、こうして演算した変化量を記憶部(不図示)に記憶させる機能を有している。これにより、主制御部20は、帯電器15、所定の露光パターン(本例では中間濃度に属する露光パターン)に従った露光装置17、及び現像装置21の各機能によって感光体ドラム13上に形成されたトナー像を転写させることなく除電器25における除電工程まで保持させ、同トナー像が除電光を遮ることで生じる表面電位変化量を表面電位検知センサ19を介して取得し、該取得した表面電位変化量が所定の変化量と一致するように感光体ドラム13上のトナー量を調整する制御を行う機能を有している。
【0023】
このように構成された画像形成装置11は、通常の画像形成処理において、帯電器15により帯電され、露光装置17からの照射光により静電潜像が形成される。この感光体ドラム13の表面13bの電位分布は表面電位検知センサ19により測定される。そして、現像器21により現像され、転写帯電器23aにおいて、転写紙給紙系31からレジストローラ33を介して搬送されてきた転写紙Pにトナー像を転写する。転写後の転写紙Pは、分離帯電器23bにより分離され転写紙搬送系35を通って定着装置37に至り、ここで定着されて機外に排出される。一方、転写後において、感光体ドラム13の表面13bに残留する静電潜像は除電器25によって消去された後、クリーニング装置27のブレード29によってかき落とされ、以上の各工程を経て、1回の画像形成処理が終了するように動作する。
【0024】
[画像形成装置の動作原理]
次に、本発明に係る画像形成装置における、画像濃度のバラツキを除去して長期にわたり安定して高画質な画像を得る目的を達成するための動作原理について、図2及び図3を参照して説明する。
【0025】
図2は、感光体ドラム13上のトナー量、トナーを透過して感光体ドラム13の表面13bに到達するイレース光量、並びに、感光体上トナー量と次回帯電時の表面電位変化量の関係を表す図、図3は、中間濃度パターン露光時の初期と耐久後の現像バイアスと感光体上トナー量の関係を表す図である。
【0026】
除電器25がクリーニング装置27の上流側に配置された本発明に係る画像形成装置では、トナー上からの光除電となるため、感光体ドラム13上に現に載っているトナー量の多少に応じて、感光体ドラム13の表面13bに入射してくるイレース光量が変わる。イレース光量が変われば、感光体ドラム13内で発生する光生成キャリア密度も変わり、これに伴って、次回の画像形成処理時に供給される電荷の中和作用も変化するため、次回の帯電時における感光体ドラム13の表面電位が変化することになる。ここで、感光体ドラム13上のトナー量、トナーを透過して感光体ドラム13の表面13bに到達するイレース光量、並びに、感光体上トナー量と次回帯電時の表面電位変化量の関係(図2参照)から明らかなように、基準となる画像形成処理時に検知した表面電位と、次回の画像形成処理時に検知した表面電位と、の差分に係る変化量を取得することを通じて、感光体ドラム13上に現に載っているトナー量を知ることができることがわかる。
【0027】
ここで、中間濃度パターン露光時の、初期と耐久試験(本例では、無通紙状態で感光体ドラム13を100000回だけ回転させた後、回転の前後における関係を示した。以下において同じ。)後の現像バイアスと感光体上トナー量の関係(図3参照)から明らかなように、感光体ドラム13上のトナー量は初期と耐久後とでは異なるものとなる。なお、初期と耐久試験後において、印加される現像バイアスは共通としてある。このように、初期と耐久試験後におけるトナー量が異なるものとなる理由としては、帯電器15の汚れ等による表面電位変化や、現像剤の劣化等が考えられる。
【0028】
一方、アモルファスシリコン感光体ドラム13のイレース光量特性、イレース光量の耐久変化はほとんどないことが実証されているので、感光体ドラム13上に一定トナー量が載った時の電位上昇量は耐久試験を通じてほぼ一定となる。従って、中間濃度パターンなどの一定パターン露光を施したときの初期の電位変化量を測定・記憶し、その電位変化量と一致するように現像バイアスを調整することによって、初期と同じトナー量を感光体ドラム13上に載せること、つまり初期と同じ画像濃度に調整できることになる。従って、使用期間の長短にかかわらず、又は環境変化が生じた場合であっても、感光体ドラム13上の現像量を安定に維持することが出来る。
【0029】
[画像形成装置の動作]
次に、本発明に係る画像形成装置の動作について、図4及び図5を参照して説明する。
【0030】
図4は、感光体ドラムの使用を初めてから間のない初期時における装置本体の変化量取得処理に係る動作フローチャートを示し、図5は、相当の使用期間を経た後における装置本体の現像バイアス補正処理に係る動作フローチャートを示す。
【0031】
初期時の変化量取得処理について説明すると、図4に示すように、主制御部20は、予め定められた初期現像バイアス値による通常帯電を帯電器15に実行させた後(ステップS11)、露光装置17において、所定の露光パターン(本例では中間濃度に属する露光パターン)に従った露光を実行させる(ステップS12)。その後、主制御部20は、表面電位検知センサ19を介して感光体ドラム13の表面13bの電位測定値(第1表面電位)を入力し、これを記憶部に記憶させる。さらに、主制御部20は、現像装置21によって、露光装置17における中間濃度露光パターンに従うトナー像を感光体ドラム13の周面に形成させた後、転写逆バイアスの印加処理を転写器23に実行させる(ステップS13)。ステップS13の処理により、感光体ドラム13上に形成されたトナー像は転写器23において転写されることなく、次の除電器25における除電工程まで保持されて、除電器25においてトナー像の上から感光体ドラム13への光照射が実行される。その後、主制御部20は、クリーニング装置27における感光体ドラム13の清浄化処理、及び帯電器15における通常帯電処理を実行させた後、表面電位検知センサ19を介して感光体ドラム13の表面13bの電位測定値(第2表面電位)を入力し、これを記憶部に記憶させる。変化量取得処理において、相互に連続する複数の画像形成処理間にわたる複数の電位測定値(本例では、「第1表面電位及び第2表面電位」が相当)が取得されると、主制御部20は、これらの差分に係る変化量(本例では、「トナー載せ域の電位」上昇量ΔV0が相当)を演算し(ステップS14)、かかる演算により求めた初期変化量V0を記憶部に記憶させて(ステップS15)、変化量取得処理を終了させる。
【0032】
次に、例えば、相当の使用期間を経た後に実行される現像バイアス補正処理について説明すると、図5に示すように、主制御部20は、ステップS11〜13と同様に、予め定められた初期現像バイアス値による通常帯電を帯電器15に実行させた後(ステップS21)、露光装置17において、中間濃度露光パターンに従った露光を実行させる(ステップS22)。その後、主制御部20は、表面電位検知センサ19を介して感光体ドラム13の表面13bの電位測定値(第3表面電位)を入力し、これを記憶部に記憶させる。さらに、主制御部20は、現像装置21によって、露光装置17における中間濃度露光パターンに従うトナー像を感光体ドラム13の周面に形成させた後、転写逆バイアスの印加処理を転写器23に実行させる(ステップS23)。ステップS23の処理により、感光体ドラム13上に形成されたトナー像は転写器23において転写されることなく、次の除電器25における除電工程まで保持されて、除電器25においてトナー像の上から感光体ドラム13への光照射が実行される。その後、主制御部20は、クリーニング装置27における感光体ドラム13の清浄化処理、及び帯電器15における通常帯電処理を実行させた後、表面電位検知センサ19を介して感光体ドラム13の表面13bの電位測定値(第4表面電位)を入力し、これを記憶部に記憶させる。相互に連続する複数の画像形成処理間にわたる複数の電位測定値(本例では、「第3表面電位及び第4表面電位」が相当)が取得されると、主制御部20は、これらの差分に係る変化量(本例では、「トナー載せ域の電位」上昇量ΔV1が相当)を演算し、かかる演算により求めた経時後変化量V1を記憶部に記憶させる(ステップS24)。
【0033】
ステップS24における演算処理後に、主制御部20は、記憶部に記憶されている、初期変化量V0、及び経時後変化量V1を読み出して、これらが等しいか否かに係る演算処理を実行する(ステップS25)。ステップS25における演算処理の結果、初期変化量V0と経時後変化量V1が等しい場合には、感光体ドラム13上のトナー量が初期時と変わりないとみなして、全ての処理を終了させる。
【0034】
一方、上記の比較演算処理の結果、初期変化量V0と経時後変化量V1が等しくない場合には、主制御部20は、これらの大小関係を比較演算する(ステップS26)。ステップS26における比較演算処理の結果、ステップS26における比較演算処理の結果、経時後変化量V1が初期変化量V0と比べて大きい場合(ステップS26の「No」)には、主制御部20は、感光体ドラム13上のトナー量が初期時と比べて多くなっているとみなして、感光体ドラム13上のトナー量が少なくなるように、現像バイアス値を減少させる調整処理を実行させる(ステップS27)。一方、経時後変化量V1が初期変化量V0と比べて小さい場合(ステップS26の「Yes」)には、感光体ドラム13上のトナー量が初期時と比べて少なくなっているとみなして、主制御部20は、感光体ドラム13上のトナー量が多くなるように、現像バイアス値を上昇させる調整処理を実行させる(ステップS28)。ステップS27,28の調整処理後に、主制御部20は、ステップS21における初期現像バイアス値を、ステップS27,28の調整処理後における値に書き換えて、以下、ステップS21以下の処理を、ステップS25の等価判断が下されるまで繰り返し実行させる。
【0035】
以上述べたように、主制御部20は、経時後変化量V1の方が初期変化量V0と比べて大きい場合には感光体ドラム13上のトナー量が少なくなるように、また、経時後変化量V1の方が初期変化量V0と比べて小さい場合には感光体ドラム13上のトナー量が多くなるように、それぞれ現像バイアス値を調整することを通じて、経時後変化量V1を初期変化量V0に一致させることにより、感光体ドラム13上のトナー量を、経時後であっても初期時と同等に調整することができる。従って、共通の中間濃度露光パターンを採用して画像形成を行う場合に、その画像形成の時期が、感光体ドラムの使用を初めてから間のない初期か、又は相当の使用期間を経た後であるか否かにかかわらず、感光体上のトナー量がほぼ一定に維持される結果として、特に中間濃度領域における画像濃度のバラツキを除去して長期にわたり安定して高画質な画像を得ることができる。
【0036】
[具体例の開示]
以下に、トナー色:ブラック、イレース光量:5μJ/cm2、露光パターン:40%濃度パターンと設定した場合の、具体例について説明する。
【0037】
表1に示すように、初期の画像濃度40%パターン露光時の感光体上のトナー量は0.204mg/cm2、電位上昇は15Vであった。なお、初期の現像バイアスは200Vに設定されている。
【0038】
【表1】
図6は、初期設定のイレース光量(5μJ/cm2)照射時の表面電位に対し、光量を変化させたときの電位変化量を表し、図7は、感光体上のトナー量とイレース光のトナー透過率の関係を示す。
【0039】
OHPシート上に40%、80%濃度の各画像パターンを印字したときのトナー量と透過率を測定することで両者の関係を調査した。
【0040】
画像濃度40%パターン露光時の感光体上のトナー量は0.204mg/cm2であり、そのときのイレース光量の透過率は約60%であるので、トナー上から感光体ドラム13に照射されるイレース光量は3μJ/cm2前後になる。そのときの電位変化は約15Vであることが分かる(図6参照)。
【0041】
次に、100000回にわたる感光体ドラム13の耐久試験後に、初期と同様の現像バイアスで画像濃度40%パターンを露光したところ、このときの電位変化量は19Vであった。経時後変化量が初期変化量より大きい、つまり、感光体ドラム13上のトナー量が多いということなので、この場合には、現像バイアス値を下げてトナー量を少なくする。現像バイアスを初期の200Vから180Vに下げると経時後変化量は初期変化量と同等の15Vとなった。このときの感光体ドラム13上のトナー量を測定すると0.200mg/cm2であり、初期のトナー量とほぼ同じに調整することができた(表1参照)。
【0042】
[その他]
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは技術思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う画像形成装置もまた、本発明における技術的範囲の射程に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る画像形成装置の主要部であるアモルファスシリコン感光体ドラムの周辺構造を示す正面断面図である。
【図2】感光体ドラム13上のトナー量、トナーを透過して感光体ドラム13の表面13bに到達するイレース光量、並びに、感光体上トナー量と次回帯電時の表面電位変化量の関係を表す図である。
【図3】中間濃度パターン露光時の初期と耐久後の現像バイアスと感光体上トナー量の関係を表す図である。
【図4】感光体ドラムの使用を初めてから間のない初期時における装置本体の変化量取得処理に係る動作フローチャート図である。
【図5】相当の使用期間を経た後における装置本体の現像バイアス補正処理に係る動作フローチャート図である。
【図6】初期設定のイレース光量(5μJ/cm2)照射時の表面電位に対し、光量を変化させたときの電位変化量を表す図である。
【図7】感光体上のトナー量とイレース光のトナー透過率の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
11 画像形成装置
13 感光体ドラム(アモルファスシリコン感光体)
15 帯電器(帯電手段)
17 露光装置(露光手段)
19 表面電位検知センサ(表面電位検知手段)
20 主制御部(制御手段)
21 現像装置(現像手段)
25 除電器(除電手段)
27 クリーニング装置(クリーニング手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アモルファスシリコン感光体と、該感光体の表面を帯電させる帯電手段と、該帯電した感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像にトナーを供給して感光体表面にトナー像を形成する現像手段と、前記感光体の残留電荷を光照射によって除去する除電手段と、前記感光体表面に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段と、前記各手段を統合制御する制御手段とを備え、前記除電手段を、前記クリーニング手段の上流側に設けるとともに、前記感光体の表面電位を検知する表面電位検知手段をさらに備えて構成される画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記帯電手段、所定の露光パターンに従った前記露光手段、及び前記現像手段の各機能によって前記感光体上に形成されたトナー像を転写させることなく前記除電工程まで保持させ、同トナー像が除電光を遮ることで生じる表面電位変化量を前記表面電位検知手段を介して取得し、該取得した表面電位変化量が所定の変化量と一致するように前記感光体上のトナー量を調整する制御を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記所定の露光パターンは、中間濃度の画像を含む露光パターンである
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置であって、
前記感光体上のトナー量調整は現像バイアスを制御することで実行される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記所定の変化量は、当該感光体における画像形成の初期時における前記表面電位変化量とされる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
アモルファスシリコン感光体と、該感光体の表面を帯電させる帯電手段と、該帯電した感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像にトナーを供給して感光体表面にトナー像を形成する現像手段と、前記感光体の残留電荷を光照射によって除去する除電手段と、前記感光体表面に残留するトナーをクリーニングするクリーニング手段と、前記各手段を統合制御する制御手段とを備え、前記除電手段を、前記クリーニング手段の上流側に設けるとともに、前記感光体の表面電位を検知する表面電位検知手段をさらに備えて構成される画像形成装置であって、
前記制御手段は、前記帯電手段、所定の露光パターンに従った前記露光手段、及び前記現像手段の各機能によって前記感光体上に形成されたトナー像を転写させることなく前記除電工程まで保持させ、同トナー像が除電光を遮ることで生じる表面電位変化量を前記表面電位検知手段を介して取得し、該取得した表面電位変化量が所定の変化量と一致するように前記感光体上のトナー量を調整する制御を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記所定の露光パターンは、中間濃度の画像を含む露光パターンである
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置であって、
前記感光体上のトナー量調整は現像バイアスを制御することで実行される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記所定の変化量は、当該感光体における画像形成の初期時における前記表面電位変化量とされる
ことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2008−180843(P2008−180843A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13412(P2007−13412)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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