説明

画像形成装置

【課題】 像保持部材の表面からクリーニング部材により除去させたトナーを、廃トナー収容部内に均一に分散させて効率良く貯蔵できるようにすると共に、廃トナー収容部が廃トナーで一杯になった場合に、これを簡単に検知できるようにする。
【解決手段】 像保持部材Xからクリーニング部材21によって除去させたトナーtを貯蔵する廃トナー収容部22が設けられた画像形成装置において、クリーニング部材によって除去されトナーが廃トナー収容部に落下される途中の位置に、上記のトナーを分散させて廃トナー収容部に導く分散部材23を設けると共に、この分散部材を駆動させて廃トナー収容部に貯蔵されたトナーの量を検知する検知手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置に係り、特に、像保持部材からクリーニング部材によって除去させたトナーを貯蔵する廃トナー収容部が設けられた画像形成装置において、上記のトナーを廃トナー収容部内に均一に分散させて効率良く貯蔵できるようにすると共に、廃トナー収容部が廃トナーで一杯になった場合に、これを簡単に検知できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、感光体や中間転写ベルトなどのトナー像を保持する像保持部材に保持されたトナー像を記録媒体などの転写媒体に転写させた後、上記の感光体や中間転写ベルトなどの像保持部材の表面に残ったトナーをクリーニング装置によって除去することが行われている。
【0003】
そして、上記の像保持部材の表面に残ったトナーをクリーニング装置によって除去するにあたっては、例えば、図1に示すように、像保持部材Xの表面にクリーニング装置20に設けたクリーニング部材21の端部を接触させ、転写後の像保持部材Xの表面に残ったトナーtをこのクリーニング部材21により除去し、このように除去したトナーtを落下させて廃トナー収容部22に貯蔵させることが行われており、またこの廃トナー収容部22に貯蔵されたトナーtが一杯になった場合には、これを交換させることが行われている。
【0004】
ここで、上記のように像保持部材Xからクリーニング部材21によって除去させたトナーtを落下させて廃トナー収容部22に貯蔵させるようにした場合、トナーtが落下される位置に多くのトナーtが蓄積されるようになり、トナーtを廃トナー収容部22内に均一に分散させて効率良く貯蔵することができず、また廃トナー収容部22に貯蔵されたトナーtが一杯になったことを簡単に検知することもできなかった。
【0005】
そして、従来においては、例えば下記の特許文献1に示されるように、クリーニング部材によって像保持部材から除去させたトナーを落下させて廃トナー収容部に貯蔵させるにあたり、除去させたトナーが落下する途中に回転する羽根車を設け、この羽根車によりトナーを分散させて廃トナー収容部に貯蔵させると共に、この廃トナー収容部に貯蔵されたトナーの量を光センサなどにより検知するようにしたものが提案されている。
【0006】
しかし、このように回転する羽根車によってトナーを分散させて廃トナー収容部に貯蔵させる場合、トナーの落下状態により羽根車の回転に偏りなどが生じ、依然として、トナーを廃トナー収容部内に均一に分散させて効率良く貯蔵することができず、またこのようにトナーを分散させる羽根車とは別個に、廃トナー収容部に貯蔵されたトナーの量を光センサなどにより検知するようにしており、部品数が多くなって、コストも高くつくという問題があった。
【特許文献1】特開2001−42730号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、感光体ドラムや中間転写ベルトなどの像保持部材からトナー像を転写させた後、この像保持部材の表面に残留するトナーをクリーニング部材により除去させて廃トナー収容部に貯蔵させる場合における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0008】
すなわち、本発明においては、上記のように像保持部材の表面からクリーニング部材により除去させたトナーを廃トナー収容部に貯蔵させるにあたり、上記のトナーを廃トナー収容部内に均一に分散させて効率良く貯蔵できるようにすると共に、廃トナー収容部が廃トナーで一杯になった場合に、これを簡単に検知できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における画像形成装置においては、上記のような課題を解決するため、像保持部材からクリーニング部材によって除去させたトナーを貯蔵する廃トナー収容部が設けられた画像形成装置において、上記のクリーニング部材によって除去されたトナーが廃トナー収容部に落下される途中の位置に、上記のトナーを分散させて廃トナー収容部に導く分散部材を設けると共に、この分散部材を駆動させて廃トナー収容部に貯蔵されたトナーの量を検知する検知手段を設けるようにした。
【0010】
ここで、上記の分散部材としては、例えば、上方に突出するように折り曲げられた折り曲げ部を有するものを用いることができる。
【0011】
また、上記の分散部材を駆動させて、検知手段により廃トナー収容部に貯蔵されたトナーの量を検知するにあたっては、例えば、上記の分散部材を上下方向に回動可能に設け、この分散部材を回動部材により下側から持ち上げて、分散部材を回動させるようにし、この分散部材の回動を確認することによって、トナー収容部に貯蔵されたトナーの量を検知させるようにすることができる。
【0012】
また、上記のように分散部材を上下方向に回動させ、クリーニング部材によって除去させたトナーをこの分散部材により分散させて廃トナー収容部に導くにあたっては、この分散部材を下方に回動させた状態で、この分散部材を、上記の像保持部材からクリーニング部材によって除去させたトナーが落下する位置に突出させるようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明における画像形成装置においては、像保持部材の表面からクリーニング部材により除去させたトナーを廃トナー収容部に貯蔵させるにあたり、クリーニング部材によって除去されたトナーが廃トナー収容部に落下される途中の位置に分散部材を設け、この分散部材により上記のトナーを分散させて廃トナー収容部に導くと共に、この分散部材を駆動させて検知手段により廃トナー収容部に貯蔵されたトナーの量を検知させるようにしたため、クリーニング部材によって除去させたトナーが廃トナー収容部内に均一に分散されて効率良く貯蔵されるようになると共に、別個に光センサなどを設けなくても、この分散部材の駆動状態を確認することによって、廃トナー収容部内に貯蔵されたトナーの状態を簡単に検知できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、この発明の実施形態に係る画像形成装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係る画像形成装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0015】
この実施形態における画像形成装置においては、図2に示すように、回転する感光体ドラム1の表面を帯電装置2によって帯電させた後、帯電された感光体ドラム1に対して露光装置3により画像信号に従った露光を行い、この像担持体1の表面に静電潜像を形成するようにしている。
【0016】
そして、色彩の異なるトナーを収容させた複数の現像装置4A〜4Dを保持させた回転式現像装置4を回転させて、各現像装置4A〜4Dを順々に上記の静電潜像が形成された感光体ドラム1と対向する位置に導き、各現像装置4A〜4Dから各色のトナーを感光体ドラム1に順々に供給して、順々に各色のトナー像を形成し、このように感光体ドラム1に形成された各色のトナー像を順々に中間転写ベルト5に転写させて、この中間転写ベルト5の上にフルカラーのトナー像を形成するようにしている。
【0017】
その後、この中間転写ベルト5からフルカラーのトナー像を、記録紙等の記録シート6に転写ローラ7により転写させ、このように転写されたフルカラーのトナー像を定着装置8によって記録シート6に定着させるようにしている。
【0018】
そして、上記のような画像形成装置において、クリーニング装置20を設けるにあたっては、図2に示すように、上記の感光体ドラム1に形成されたトナー像を中間転写ベルト5に転写させた後の位置にクリーニング装置20Aを設け、このクリーニング装置20Aに設けたクリーニング部材21によって感光体ドラム1に残留するトナーを除去させるようにし、また上記の中間転写ベルト5に形成されたフルカラーのトナー像を記録シート6に転写させた後の位置にクリーニング装置20Bを設け、このクリーニング装置20Bに設けたクリーニング部材21によって中間転写ベルト5に残留するトナーを除去させるようにしている。
【0019】
次に、上記のような感光体ドラム1や中間転写ベルト5などの像保持部材Xの表面に残留するトナーtを、クリーニング装置20に設けられたクリーニング部材21により除去させて廃トナー収容部22に貯蔵させる場合について具体的に説明する。
【0020】
このクリーニング装置20においても、図3〜図5に示すように、像保持部材Xの表面にクリーニング部材21の端部を接触させ、転写後の像保持部材Xの表面に残留しているトナーtをこのクリーニング部材21により除去させて落下させ、このように落下するトナーtを廃トナー収容部22に貯蔵させるようにしている。
【0021】
ここで、このクリーニング装置20においては、上方に突出する折り曲げ部23aが設けられた山型状になった分散部材23の一端に回転軸23bを取り付け、この回転軸23bにより分散部材23が上下方向に回動できるようにして、この分散部材23をクリーニング部材21によって除去させたトナーtが廃トナー収容部22に落下される途中の位置に設けると共に、この分散部材23を回動させる回動部材として、カム部材24をこの分散部材23の下側に設け、このカム部材24を回転させて、上記の分散部材23を上下方向に回動させるようにしている。
【0022】
そして、このクリーニング装置20においては、上記のカム部材24により分散部材23を持ち上げるようにして、この分散部材23を上方に回動させた状態では、図3に示すように、像保持部材Xからクリーニング部材21によって除去されたトナーtが落下される位置から、この分散部材23が外れた状態で維持され、クリーニング部材21によって除去されたトナーtがこの分散部材23に接触せずに、そのまま廃トナー収容部22に落下されるようになる。
【0023】
一方、上記のようにカム部材24により分散部材23を持ち上げた状態から、このカム部材24を回転させ、上記の回転軸23bを支点として分散部材23を自重により下方に回動させると、図4に示すように、像保持部材Xからクリーニング部材21によって除去されたトナーtが落下される位置に、この分散部材23の上方に突出する折り曲げ部23aが導かれるようになり、落下したトナーtがこの分散部材23における折り曲げ部23aの両側に流れて、この分散部材23の両側部から廃トナー収容部22に落下されるようになる。
【0024】
そして、上記のようにカム部材24を回転させて、上記の分散部材23を適当なタイミングで上下方向に回動させ、像保持部材Xかクリーニング部材21によって除去されたトナーtを、図3に示すように、そのまま廃トナー収容部22に落下させるようにし、また図4に示すように、この分散部材23の両側部から廃トナー収容部22に落下させるようにすると、クリーニング部材21によって除去されたトナーtが、上記の分散部材23により廃トナー収容部22内に均一に分散された状態で貯蔵されるようになる。
【0025】
また、上記のようにカム部材24を回転させて、上記の分散部材23を適当なタイミングで上下方向に回動させながら、クリーニング部材21によって除去されたトナーtを廃トナー収容部22内に貯蔵させるようにした場合、廃トナー収容部22内にトナーtがある程度以上蓄積されるまでは、上記のように自重によって下方に回動する分散部材23により、廃トナー収容部22内に蓄積されたトナーtが押し付けられて、廃トナー収容部22内にトナーtが充分に貯蔵されるようになる。
【0026】
さらに、クリーニング部材21によって除去されたトナーtが廃トナー収容部22内に導かれて、この廃トナー収容部22内に貯蔵されたトナーtの量が所定量以上になると、図5に示すように、カム部材24により分散部材23を持ち上げた状態から、このカム部材24を回転させたとしても、蓄積されたトナーtにより上記の分散部材23が自重によって下方に回動するのが抑止されるようになる。
【0027】
そして、前記のように分散部材23を持ち上げた状態からカム部材24を回転させ、上記の分散部材23が自重によって下方に回動するかどうかを調べることにより、廃トナー収容部22内にトナーtが所定量以上貯蔵されているかどうかを簡単に検知できるようになる。
【0028】
なお、上記のクリーニング装置20においては、クリーニング部材21によって除去させたトナーtを、分散部材23により廃トナー収容部22内に均一に分散させた状態で貯蔵させるにあたり、上記のようにカム部材24を回転させて分散部材23を上下方向に回動させるようにしたが、図6に示すように、上記の山型状になった分散部材23をシリンダなどの往復移動装置25に取り付け、この往復移動装置25により分散部材23を、適当なタイミングでクリーニング部材21によって除去させたトナーtが落下される位置に導いて、クリーニング部材21によって除去させたトナーtを、分散部材23により廃トナー収容部22内に均一に分散させた状態で貯蔵させるようにすることも可能である。また、このように分散部材23を往復移動装置25により移動させるようにした場合において、廃トナー収容部22内に貯蔵されたトナーtの量が所定量以上になると、往復移動装置25による分散部材23の移動に大きな負荷が加わるようになり、このような負荷を感知して、廃トナー収容部22内にトナーtが所定量以上貯蔵されているかどうかを検知できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来のクリーニング装置において、転写後の像保持部材の表面に残留するトナーを除去させて廃トナー収容部に貯蔵させる状態を示した概略説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置において、クリーニング装置を設ける位置を示した概略説明図である。
【図3】上記の実施形態に係る画像形成装置に使用するクリーニング装置の一例を示し、分散部材が上方に回動した位置で保持され、クリーニング部材によって除去されたトナーが、分散部材に接触せずにそのまま廃トナー収容部に貯蔵される状態を示した概略説明図である。
【図4】上記のクリーニング装置において、分散部材が下方に回動した位置で保持され、クリーニング部材によって除去されたトナーが、分散部材により分散されて廃トナー収容部に貯蔵される状態を示した概略説明図である。
【図5】上記のクリーニング装置において、クリーニング部材によって除去されたトナーが廃トナー収容部に所定量以上貯蔵されて、分散部材が下方に回動されなくなる状態を示した概略説明図である。
【図6】上記のクリーニング装置において、分散部材を往復移動装置によって移動させるようにした変更例を示した概略説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 感光体ドラム(像保持部材)
2 帯電装置
3 露光装置
4 回転式現像装置
4A〜4D 現像装置
5 中間転写ベルト(像保持部材)
6 記録シート
7 転写ローラ
8 定着装置
20,20A,20B クリーニング装置
21 クリーニング部材
22 廃トナー収容部
23 分散部材
23a 折り曲げ部
23b 回転軸
24 カム部材(回動部材)
25 往復移動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持部材からクリーニング部材によって除去させたトナーを貯蔵する廃トナー収容部が設けられた画像形成装置において、上記のクリーニング部材によって除去されたトナーが廃トナー収容部に落下される途中の位置に、上記のトナーを分散させて廃トナー収容部に導く分散部材を設けると共に、この分散部材を駆動させて廃トナー収容部に貯蔵されたトナーの量を検知する検知手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載した画像形成装置において、上記の分散部材に上方に突出する折り曲げ部を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した画像形成装置において、上記の分散部材を上下方向に回動可能に設け、この分散部材を下側から持ち上げて分散部材を回動させる回動部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載した画像形成装置において、上記の分散部材を下方に回動させた状態で、この分散部材が、上記の像保持部材からクリーニング部材によって除去されたトナーが落下する位置に突出するようにしたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−20768(P2008−20768A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193685(P2006−193685)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】