説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置の部品点数及び組み立て工数の増大を抑制しつつ、供給口から騒音が筐体外に漏れ出てしまうことを抑制する。
【解決手段】 手差し供給口210を開閉する開閉カバー212に設けるとともに、手差し供給口210から供給される記録シートの搬送方向前進側に開閉カバー212が揺動すると、手差し供給口210が開放され、搬送方向後退側に開閉カバー212が揺動すると、手差し供給口210が閉じられるに構成し、かつ、開閉カバー212に遮光板224及びアクチュエータアーム部225を一体化する。これにより、センサ部220により開閉カバー212が開いたことが検出されるので、アクチュエータアーム部225及び遮光板224を別途、組み付ける必要がなく、画像形成装置1の組み立て工数が増大することを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートを外部から供給するための供給口が筐体に設けられた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いわゆる手差し用の供給口やマルチパーパストレイ(手差しトレイ)の供給口は、筐体の内外を貫通しているので、筐体内に収納されている画像形成部にて発生した騒音が、供給口から筐体外に漏れ出てしまう。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の発明では、供給口を開閉する開閉カバーを設けて騒音が筐体外に漏れ出ることを防止している。
【特許文献1】実開平5−70957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の発明では、開閉カバーを記録シートの搬送方向後退側に揺動させて供給口を開く必要があるので、供給口から記録シートを供給する際に、利用者は、その都度、開閉カバーを手前側に倒すように揺動させる必要があり、記録シートの供給作業が繁雑であるという問題がある。
【0005】
また、供給口には、供給口に記録シートが挿入されたか否かを検出するセンサを設ける必要がある。このため、供給口から騒音が筐体外に漏れ出てしまうことを抑制すべく、開閉カバーを設けると、センサの検知部と検知部に作用するアクチュエータ部に加えて開閉カバーも新たに設ける必要があるので、画像形成装置の部品点数及び組み立て工数が増大してしまい、製造原価が上昇してしまうといった問題が発生する。
【0006】
本発明は、上記点に鑑み、画像形成装置の部品点数及び組み立て工数の増大を抑制しつつ、供給口から騒音が筐体外に漏れ出てしまうことを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、記録シートに画像を形成する画像形成部(100)と、画像形成部(100)を内部に収納するとともに、略水平方向に向けて開口した記録シートの供給口(210)を有する筐体(10)と、上端側を揺動中心として揺動するとともに、供給口(210)から供給される記録シートの搬送方向前進側に揺動することにより供給口(210)を開放し、搬送方向後退側に揺動することにより供給口(210)を閉じる開閉カバー(212)と、開閉カバー(212)の開閉状態を検出するための検出手段(220)と、開閉カバー(212)と一体的化され、開閉カバー(212)の揺動変位を検出手段(220)側に伝達するアクチュエータ部(225)とを備えることを特徴とする。
【0008】
これにより、請求項1に記載の発明では、記録シートを画像形成部(100)に供給すべく、利用者が記録シートを供給口(210)に挿入すると、記録シートの挿入に伴って開閉カバー(212)が搬送方向前進側に揺動するので、供給口(210)から記録シートを供給する際に、その都度、利用者が開閉カバーを手前側に倒すように揺動させる必要がない。
【0009】
また、請求項1に記載の発明では、記録シートの挿入に伴って開閉カバー(212)が搬送方向前進側に揺動すると、開閉カバー(212)に一体化されているアクチュエータ部(225)が開閉カバー(212)と一体的に揺動することにより、検出手段(220)により開閉カバー(212)が開いたことが検出されるので、アクチュエータ部を別途、組み付ける必要がなく、画像形成装置の組み立て工数が増大することを抑制できる。
【0010】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明では、画像形成装置の部品点数及び組み立て工数の増大を抑制しつつ、供給口から騒音が筐体外に漏れ出てしまうことを抑制することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、開閉カバー(212)は、筐体(10)内に配設されており、さらに、開閉カバー(212)の下端側は、供給口(210)が閉じられた状態において、供給口(210)の下端部より下方側に延出していることを特徴とする。
【0012】
これにより、請求項2に記載の発明では、供給口(210)を確実に閉塞することができるとともに、記録シートを画像形成部(100)に供給すべく、利用者が記録シートを供給口(210)に挿入した際に、記録シートの挿入方向先端側を確実に開閉カバー(212)に接触(衝突)させて開閉カバー(212)を揺動させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、供給口(210)の下方側外縁部は、略水平方向から見て鉛直方向に凸となるように湾曲していることを特徴とする。
これにより、請求項3に記載の発明では、供給口(210)に挿入される記録シートが鉛直方向に凸となるように湾曲するので、曲げ剛性が増大した状態で開閉カバー(212)に接触(衝突)することとなる。
【0014】
したがって、記録シートを供給口(210)に挿入する際に、開閉カバー(212)から受ける反力によって記録シートが座屈変形するように折れ曲がってしまうことを抑制できるので、記録シートを確実に供給口(210)から供給することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、開閉カバー(212)のうち記録シートが接触する部位には、供給口(210)から供給される記録シートが、略水平方向から見て鉛直方向に凸となるような湾曲変形することを誘導する変形誘導手段(214)が設けられていることを特徴とする。
【0016】
これにより、請求項4に記載の発明も請求項3に記載の発明と同様に、供給口(210)に挿入される記録シートが鉛直方向に凸となるように湾曲して曲げ剛性が増大した状態で開閉カバー(212)に接触(衝突)するので、記録シートを確実に供給口(210)から供給することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、開閉カバー(212)のうち記録シートが接触する部位には、鉛直方向から見て、搬送方向と略直交する面(212C)が設けられていることを特徴とする。
【0018】
これにより、請求項5に記載の発明では、記録シートの挿入方向先端側が開閉カバー(212)に接触(衝突)したときに、記録シートの向きが搬送方向と一致するように矯正されるので、記録シートの斜行を抑制できる。
【0019】
請求項6に記載の発明では、供給口(210)が開閉カバー(212)により閉じられた状態において、開閉カバー(212)及び開閉カバー(212)と一体的に揺動する部材()からなる揺動部(213)の重心は、開閉カバー(212)の揺動中心より下方側であって、揺動中心を通る仮想の鉛直線より水平方向にずれた位置に設定されていることを特徴とする。
【0020】
これにより、請求項6に記載の発明では、開閉カバー(212)に作用する重力により開閉カバー(212)は供給口(210)を閉じる向き常に揺動しようとするので、供給口(210)を確実に閉塞することができるとともに、供給口(210)を確実に閉塞すべく、バネやアクチュエータ等の押圧手段によって開閉カバー(212)を押圧する必要が無い。
【0021】
したがって、画像形成装置の部品点数及び組み立て工数の増大を抑制しつつ、供給口から騒音が筐体外に漏れ出てしまうことを抑制することができる。
なお、請求項6に記載の発明においては、請求項7に記載の発明のごとく、供給口(210)が開閉カバー(212)により閉じられた状態において、開閉カバー(212)の下端側が、鉛直方向に対して筐体(10)の内側に向けて傾くように構成してもよい。
【0022】
また、請求項8に記載の発明のごとく、アクチュエータ部(225)を、開閉カバー(212)のうち、揺動軸方向一端側に設ければ、検出手段(220)を配置し易くなる。
また、請求項9に記載の発明のごとく、給紙トレイ(201)が画像形成部の下方に配され給紙トレイ(201)から画像形成部(100)に記録シートを搬送するU字状搬送路に供給口(210)を連通させることによって小型化に適した画像形成装置を提供しやすくなる。
【0023】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本実施形態は、本発明に係る画像形成装置を電子写真方式の画像形成装置に適用したものである。以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.図面の説明
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1を前面側から見た斜視図であり、図2は画像形成装置1内の要部を示す断面図であり、図3は手差し供給口210部分の拡大斜視図であり、図4(a)は図2のA部拡大図であり、図4(b)は、図4(a)のA−A断面図であり、図5はセンサ部220の拡大図である。
【0025】
2.画像形成装置の概略構成
画像形成装置1の筐体10内には、図2に示すように、記録シートに画像を形成する画像形成部100、画像形成部100に記録シートを供給するフィーダ部200、画像形成部100にて画像形成が終了した記録シートを排出部11側に向けて案内する排出シュート300、及び排出シュート300にて案内されてきた記録シートを排出するとともに、記録シートの曲がり癖(カール)を除去する排出ローラ機構310等が収納されている。
【0026】
2.1.フィーダ部
フィーダ部200は、筐体10の最下部に着脱可能に組み付けられた給紙トレイ(給紙カセット)201、給紙トレイ201の前端部上方に設けられて画像形成部100に記録シートを搬送する給紙ローラ(ピックアップローラ)202、並びに給紙ローラ202にて搬送される記録シートを1枚毎に分離する分離ローラ203及び分離パッド204等を有して構成されている。
【0027】
そして、給紙トレイ201から画像形成部100に至る記録シートのU字状の搬送経路Lのうち画像形成部100の入口側には、搬送される記録シートに所定の搬送抵抗を付与して記録シートの搬送状態を整える一対のローラからなるレジストローラ205が配設されている。
【0028】
また、筐体10の前面側には手差し供給口210が設けられており、この手差し供給口210は、略水平方向前面側に向けて開口することにより、利用者から直接的に1枚ずつ供給される記録シートを搬送経路Lのうちレジストローラ205の上流側に導入させる。
【0029】
2.1.1.手差し供給口
手差し供給口210は、図4(a)に示すように、筐体10内外を貫通する角筒状の案内筒211により構成されており、この案内筒211(手差し供給口210)のうち筐体10の内側には、手差し供給口210を開閉する開閉カバー212が設けられている。
【0030】
開閉カバー212は、上端側を揺動中心O1として揺動可能に筐体10に組み付けられており、手差し供給口210から供給される記録シートの搬送方向前進側に開閉カバー212が揺動すると、図4(a)の二点差線で示すように手差し供給口210が開放され、搬送方向後退側に開閉カバー212が揺動すると、図4(a)の実線で示すように手差し供給口210が閉じられる。
【0031】
ところで、本実施形態では、案内筒211のうち開閉カバー212と接触する端部211A全てが、同一の仮想鉛直平面上に位置するように、案内筒211の上壁部211Bのうち筐体10から端部211Aまでの長さL2と、案内筒211の下壁部211Bのうち筐体10から端部211Aまでの長さL3とが同一寸法に設定されている。
【0032】
一方、開閉カバー212のうち手差し供給口210を開閉するドア部212Aは、案内筒211より上方側にて屈曲して、その断面形状が略くの字状に形成されているとともに、揺動軸部212Bが端部211Aより筐体10の内壁面側に位置している。因みに、本実施形態では、ドア部212Aと揺動軸部212Bとは、樹脂にて一体成形されている。
【0033】
このため、また、手差し供給口210が開閉カバー212により閉じられた状態において、開閉カバー212、及び開閉カバー212と一体的に揺動する部材(本実施形態で、後述する遮光板224及びアクチュエータアーム部225)からなる揺動部213の重心Gは、開閉カバー212の揺動中心O1より下方側であって、かつ、揺動中心O1を通る仮想の鉛直線L1より水平方向(図4(a)においては、右側)にずれた位置に設定された状態となる。
【0034】
したがって、開閉カバー212に作用する重力F1のうち、揺動中心O1と重心Gとを通る揺動半径方向と直交する方向成分の力F2によって、本実施形態に係る開閉カバー212には、開閉カバー212は手差し供給口210を閉じる向きの力が常に付与される。
【0035】
また、開閉カバー212は、手差し供給口210が閉じられた状態(図4(a)の実線で示す状態)において、その下端側が手差し供給口210の下端部より下方側に延出するように設定されている。
【0036】
そして、ドア部212Aのうち、手差し供給口210から挿入供給された記録シートが接触する面212C(以下、この面をレジスト面212Cと呼ぶ。)は、図4(b)に示すように、鉛直方向から見て、記録シートの搬送方向と略直交する平面状に構成されている。
【0037】
つまり、本実施形態では、レジスト面212Cと直交する仮想の直交面S1が、少なくとも手差し供給口210が閉じられた状態において、記録シートの搬送方向(挿入方向)D1に対して平行となるように設定されている。
【0038】
また、揺動軸部212Bの長手方向端部側には、図3に示すように、開閉カバー212の開閉状態を検出するための検出手段をなすセンサ部220が配設されおり、このセンサ部220は、図5に示すように、発光素子221及び受光素子222からなるフォトセンサにて構成されている。
【0039】
そして、発光素子221と受光素子222とは、隙間223を介して互いに離隔して配設されており、1/4円筒状に形成された遮光板224が、隙間223に対して出入りすることにより、発光素子221から受光素子222に至る光路を遮る場合と開放する場合とが切り替えられる。
【0040】
このとき、遮光板224は、アクチュエータアーム部225を介して揺動軸部212Bの長手方向端部にて揺動軸部212Bに一体化されているため、開閉カバー212(揺動軸部212B)が揺動変位すると、その揺動変位は、アクチュエータアーム部225を介して遮光板224に伝達され、遮光板224は、開閉カバー212(揺動軸部212B)の揺動変位に機械的に連動して変位する。
【0041】
なお、本実施形態では、開閉カバー212が閉じられている場合には、遮光板224が隙間223内に位置して光路が遮られ(図5の実線の位置)、開閉カバー212が開かれている場合には、遮光板224が隙間223外に位置して光路が開放された状態(図5の二点差線の状態)となる。
【0042】
2.2.画像形成部(図2参照)
画像形成部100は、図2に示すように、露光装置(スキャナ)110、現像装置120及び定着装置150等を有して構成されている。
【0043】
露光装置110は、筐体10内の最上部に設けられて後述する感光ドラム121の表面に静電潜像を形成するものである。現像装置120は、露光装置110の下方側に位置して着脱可能に筐体10内に収納されており、この現像装置120は、感光ドラム121、帯電器122及び現像剤収容部123等から構成されている。
【0044】
そして、感光ドラム121は、記録シートに転写される現像剤像を担持する画像担持手段をなすものであり、帯電器122は、感光ドラム121の表面を帯電させる帯電手段をなすものである。なお、本実施形態に係る帯電器122は、コロナ放電を利用して感光ドラム121の表面に略均一に正電荷を帯電させるスコロトロン型帯電器を採用している。
【0045】
現像剤収容部123は、現像剤(本実施形態では、粉体状のトナー)を収容する現像剤収容手段であり、現像剤収容部123と感光ドラム121との間には、現像剤収容部123から搬出された現像剤を感光ドラム121に供給する供給ローラ124及び現像ローラ125が配設されている。
【0046】
そして、現像剤収容部123から搬出された現像剤は、供給ローラ124の回転によって現像ローラ125側に供給され、さらに、現像ローラ125側に供給された現像剤は、現像ローラ125の表面に担持される。現像ローラ125の表面に担持された現像剤の厚みは、層厚規制ブレード126により所定の厚みにて一定(均一)となる調整された後、露光装置110にて露光された感光ドラム121の表面に供給される。
【0047】
また、搬送されている記録シートを挟んで感光ドラム121と対向する位置には、転写ローラ127が配設されている。そして、この転写ローラ127は、感光ドラム121の回転と連動して回転し、記録シートが感光ドラム121の近傍を通過する際に、感光ドラム121に帯電した電荷と反対の電荷(本実施形態では、負電荷)を印刷面とは反対側から記録シートに作用させることにより、感光ドラム121の表面に付着した現像剤を記録シートの印刷面に転写させる転写手段をなすものである。
【0048】
2.2.3.定着装置
定着装置150は、記録シートの搬送方向において感光ドラム121より後流側に配設されて記録シートに転写された現像剤を加熱溶融させて定着させる定着手段である。
【0049】
具体的には、定着装置150は、記録シートの印刷面側に配設されて現像剤を加熱する加熱ローラ151、及び記録シートを挟んで加熱ローラ151と反対側に配設されて記録シートを加熱ローラ151側に押圧する加圧ローラ152等を有して構成されている。
【0050】
3.本実施形態に係る画像形成装置(特に、手差し供給口)の特徴
本実施形態では、記録シートを画像形成部100に供給すべく、利用者が記録シートを手差し供給口210に挿入すると、記録シートの挿入に伴って開閉カバー212が搬送方向前進側に揺動するので、手差し供給口210から記録シートを供給する際に、その都度、利用者が開閉カバーを手前側に倒すように揺動させる必要がない。
【0051】
また、本実施形態では、記録シートの挿入に伴って開閉カバー212が搬送方向前進側に揺動すると、開閉カバー212に一体化されているアクチュエータアーム部225が開閉カバー212と一体的に揺動することにより、センサ部220により開閉カバー212が開いたことが検出されるので、アクチュエータアーム部225及び遮光板224を別途、組み付ける必要がなく、画像形成装置1の組み立て工数が増大することを抑制できる。
【0052】
したがって、本実施形態では、画像形成装置1の部品点数及び組み立て工数の増大を抑制しつつ、手差し供給口210から騒音が筐体10外に漏れ出てしまうことを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、開閉カバー212の下端側は、手差し供給口210が閉じられた状態において、手差し供給口210の下端部より下方側に延出しているので、手差し供給口210を確実に閉塞することができるとともに、記録シートを画像形成部100に供給すべく、利用者が記録シートを手差し供給口210に挿入した際に、記録シートの挿入方向先端側を確実に開閉カバー212に接触(衝突)させて開閉カバー212を揺動させることができる。
【0054】
また、本実施形態では、開閉カバー212のうち記録シートが接触する部位には、鉛直方向から見て、搬送方向と略直交するレジスト面212Cが設けられているので、記録シートの挿入方向先端側が開閉カバー212に接触(衝突)したときに、記録シートの向きが搬送方向と一致するように矯正されるので、記録シートの斜行を抑制できる。
【0055】
また、本実施形態では、開閉カバー212に作用する重力により開閉カバー212は手差し供給口210を閉じる向き常に揺動しようとするので、手差し供給口210を確実に閉塞することができるとともに、手差し供給口210を確実に閉塞すべく、バネやアクチュエータ等の押圧手段によって開閉カバー212を押圧する必要が無い。
【0056】
したがって、画像形成装置1の部品点数及び組み立て工数の増大を抑制しつつ、供給口から騒音が筐体外に漏れ出てしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態では、アクチュエータアーム部225及び遮光板224を、揺動軸部212Bの長手方向端部に設けているので、センサ部220を容易に手差し供給口210の近傍に配置することができる。
【0057】
本実施形態においては、給紙トレイ201が画像形成部100の下方に配され、給紙トレイ201から画像形成部100に至る記録シートのU字状の搬送経路Lが形成されている。このようなU字状の搬送経路Lにおいては経路の曲がり具合を高めることによって画像形成装置の高さを低くして装置を小型化することが行われており、曲がりがきつい分だけ記録シートの摩擦が大きくなりその分騒音も発生しやすくなる。
【0058】
さらに、手差し供給口210近傍に分離ローラ203及び分離パッド204が配設されていることから手差し供給口210が開放されたままであると搬送経路Lや分離パッド204等において発生する騒音が外部に漏れやすくなってしまう。したがって、本発明は特に騒音生源近傍に手差し供給口210が配されるようなU字状搬送経路を有する画像形成装置に適している。
【0059】
4.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、センサ部220が特許請求の範囲に記載された検出手段に相当し、アクチュエータアーム部225が特許請求の範囲に記載されたアクチュエータ部に相当し、手差し供給口210が特許請求の範囲に記載された供給口に相当し、レジスト面212Cが特許請求の範囲に記載された、鉛直方向から見て搬送方向と略直交する面に相当する。
【0060】
(第2実施形態)
第1実施形態では、手差し供給口210は、水平方向から見て、単純な扁平矩形状の開口部であったが、本実施形態は、図6(a)に示すように、手差し供給口210の下方側外縁部、つまり案内筒211の下壁部211Bの内壁面を、略水平方向から見て鉛直方向下方側に凸となるように湾曲させたものである。
【0061】
なお、図6(a)は、本実施形態に係る手差し供給口210を水平方向方から見た正面図であり、図6(b)は図6(a)のA−A断面図である。
これにより、本実施形態では、手差し供給口210に挿入される記録シートが鉛直方向に凸となるように湾曲するので、記録シートの断面二次モーメントが大きくなり、曲げ剛性が増大した状態で開閉カバー212に接触(衝突)することとなる。
【0062】
したがって、記録シートを手差し供給口210に挿入する際に、開閉カバー212から受ける反力によって記録シートが座屈変形するように折れ曲がってしまうことを抑制できるので、記録シートを確実に手差し供給口210から供給することができる。
【0063】
なお、図6(a)では、案内筒211の下壁部211Bの内壁面が下向きに凸となるように湾曲していたが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、上向きに凸となるように湾曲させてもよい。
【0064】
(第3実施形態)
第2実施形態では、案内筒211の下壁部211Bの内壁面を鉛直方向に湾曲させることにより記録シートが鉛直方向に凸となるように湾曲させたが、本実施形態は、図7に示すように、開閉カバー212のうち記録シートが接触する部位(レジスト面212C相当の位置)に、手差し供給口210から供給される記録シートが、略水平方向から見て鉛直方向に凸となるように湾曲変形することを誘導する変形誘導部214を設けたものである。
【0065】
なお、図7は、本実施形態の特徴を示す斜視図であり、図8は、本実施形態に係る開閉カバー212の三面図である。
そして、変形誘導部214は、図8に示すように、三次元的に湾曲した曲面に構成されている。具体的には、変形誘導部214は、水平断面形状が記録シートの搬送方向(挿入方向)後退側が凸なるような形状に構成されているとともに、水平断面の幅寸法(揺動軸部212Bと平行な部位の寸法)W及び前後寸法(挿入方向と平行な部位の寸法)Dが、共に上方から下方に向かう連続的に小さくなるように変化する形状である。
【0066】
これにより、本実施形態も第2実施形態と同様に、手差し供給口210に挿入される記録シートが鉛直方向に凸となるように湾曲して曲げ剛性が増大した状態で開閉カバー212に接触(衝突)するので、記録シートを確実に手差し供給口210から供給することができる。
【0067】
なお、図8では、滑らかに湾曲した曲面にて変形誘導部214が構成されていたが、本実施形態は、これに限定されるものではなく、例えば、先端側の形状が本実施形態に係る変形誘導部214の曲面と同様な形状となるようなリブ状(突条)にて変形誘導部214を構成してもよい。
【0068】
また、図8に示すよう変形誘導部214では、挿入される記録シートが下向きに凸となるように湾曲させられるが、本実施形態に係る変形誘導部214はこれに限定されるものではなく、挿入される記録シートが上向きに凸となるように湾曲させられるものであってもよい。また、本実施形態と第2実施形態とを組み合わせてもよい。
【0069】
(第4実施形態)
第1実施形態では、案内筒211の上壁部211Bのうち筐体10から端部211Aまでの長さL2と、案内筒211の下壁部211Bのうち筐体10から端部211Aまでの長さL3とが同一寸法に設定されていたので、ドア部212Aは、開閉カバー212が閉じられた状態において、鉛直方向と略平行となっていたが、本実施形態は、図9に示すように、長さL2を長さL3より短くすることにより、手差し供給口210が開閉カバー212により閉じられた状態において、開閉カバー212の下端側が、鉛直方向に対して筐体10の内側に向けて傾いた状態となるようにしたものである。なお、図9は、本実施形態の特徴を示す図である。
【0070】
これにより、本実施形態では、ドア部212Aを略くの字状に屈曲させることなく、手差し供給口210が開閉カバー212により閉じられた状態において、揺動部213の重心Gを仮想の鉛直線L1より水平方向にずれた位置に設定することができる。
【0071】
なお、本実施形態においても、レジスト面212Cと直交する仮想の直交面S1が、少なくとも手差し供給口210が閉じられた状態において、記録シートの搬送方向(挿入方向)D1に対して平行となるように設定されているので、レジスト面212Cは、鉛直方向から見て、記録シートの搬送方向と略直交する。
【0072】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、本発明を電子写真方式の画像形成装置に適用したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、例えば、インクジェット方式の画像形成装置にも適用することができる。
【0073】
また、上述の実施形態では、センサ部220は、受光素子221及び発光素子222からなる光学式のものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばリミットスイッチのごとく、機械的な接点を有するスイッチ手段であってもよい。
【0074】
また、上述の実施形態では、手差し供給口210に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、いわゆるマルチパーパストレイ等の記録シートを積層可能な手差しトレイ用の供給口に対しても適用することができる。
【0075】
また、開閉カバー212と案内筒211との接触部分のうち、いずれか一方に弾性部材からなるパッキンを配設して互いの密着性を向上させることによって遮音効果を高めるようにしてもよい。
【0076】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置1を前面側から見た斜視図である。
【図2】画像形成装置1内の要部を示す断面図である。
【図3】手差し供給口210部分の拡大斜視図である。
【図4】(a)は図2のA部拡大図であり、(b)は、図4(a)のA−A断面図である。
【図5】センサ部220の拡大図である。
【図6】(a)は、本発明の第2実施形態に係る手差し供給口210を水平方向方から見た正面図であり、(b)は図6(a)のA−A断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態の特徴を示す斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る開閉カバー212の三面図である。
【図9】本発明の第4実施形態の特徴を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1…画像形成装置、10…筐体、100…画像形成部、110…露光装置、
120…現像装置、121…感光ドラム、122…帯電器、123…現像剤収容部、
124…供給ローラ、125…現像ローラ、126…層厚規制ブレード、
127…転写ローラ、150…定着装置、151…加熱ローラ、
200…フィーダ部、201…給紙トレイ、202…給紙ローラ、
205…レジストローラ、210…手差し供給口、211…案内筒、
211A…端部、211B…下壁部、211B…上壁部、212…開閉カバー、
212A…ドア部、212B…揺動軸部、212C…レジスト面、213…揺動部、
214…変形誘導部、220…センサ部、221…発光素子、222…受光素子、
223…隙間、224…遮光板、225…アクチュエータアーム部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を内部に収納するとともに、略水平方向に向けて開口した記録シートの供給口を有する筐体と、
上端側を揺動中心として揺動するとともに、前記供給口から供給される記録シートの搬送方向前進側に揺動することにより前記供給口を開放し、前記搬送方向後退側に揺動することにより前記供給口を閉じる開閉カバーと、
前記開閉カバーの開閉状態を検出するための検出手段と、
前記開閉カバーと一体的化され、前記開閉カバーの揺動変位を前記検出手段側に伝達するアクチュエータ部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記開閉カバーは、前記筐体内に配設されており、
さらに、前記開閉カバーの下端側は、前記供給口が閉じられた状態において、前記供給口の下端部より下方側に延出していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記供給口の下方側外縁部は、略水平方向から見て鉛直方向に凸となるように湾曲していることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記開閉カバーのうち記録シートが接触する部位には、前記供給口から供給される記録シートが、略水平方向から見て鉛直方向に凸となるような湾曲変形することを誘導する変形誘導手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記開閉カバーのうち記録シートが接触する部位には、鉛直方向から見て、前記搬送方向と略直交する面が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記供給口が前記開閉カバーにより閉じられた状態において、
前記開閉カバー、及び前記開閉カバーと一体的に揺動する部材からなる揺動部の重心は、前記開閉カバーの揺動中心より下方側であって、かつ、前記揺動中心を通る仮想の鉛直線より水平方向にずれた位置に設定されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記供給口が前記開閉カバーにより閉じられた状態において、
前記開閉カバーの下端側が、鉛直方向に対して前記筐体の内側に向けて傾いていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記アクチュエータ部は、前記開閉カバーのうち、揺動軸方向一端側に設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記記録シートを収容し、画像形成部の下方に配された給紙トレイを備え、
前記給紙トレイから前記画像形成部に記録シートを搬送するU字状搬送経路が形成され、
前記供給口は、前記U字搬送経路と連通することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−233817(P2008−233817A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77347(P2007−77347)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】