説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において作成者を確実に認証することができるように印刷物を作成する。
【解決手段】プリンタ1においては、4色のインクを吐出するインクジェットヘッド12の右側に、ヘッドカートリッジ着脱部に装着されたヘッドカートリッジ(インクジェットヘッド22a)が配置されている。インクジェットヘッド12、22aはキャリッジ11とともに走査方向に往復移動可能となっている。そして、これらが左方(第1方向)に移動する際には、インクジェットヘッド12から4色のインクを吐出させるとともに、インクジェットヘッド22aからDNAインクを吐出させる。一方、これらが右方(第2方向)に移動する際には、インクジェットヘッド12から4色のインクを吐出させるが、インクジェットヘッド22aからはDNAインクを吐出させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録用紙などの被記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録用紙などの被記録媒体に画像の記録を行う画像形成装置において、被記録媒体にDNAを含むインク(DNAインク)のような識別用インクを吐出するものがある。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置においては、キャリッジに取り付けられたインクジェットヘッドを主走査方向に往復移動させつつ、インクジェットヘッドから有効期限毎に種類の異なるDNAインクを吐出させている。また、画像形成装置において、キャリッジに取り付けられたインクジェットヘッドから被記録媒体にインクを吐出するものがある。例えば、特許文献2に記載のインクジェット記録装置においては、キャリッジに4つのインクジェットヘッドが取り付けられており、キャリッジによりこれら4つのインクジェットヘッドを往復移動させつつ、これらのインクジェットヘッドからインクを吐出させることによって被記録媒体に画像の記録を行っている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−125572号公報
【特許文献2】特開2005−103843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載のインクジェットヘッド及び特許文献2に記載のインクジェットヘッドは、ともにキャリッジに設けられたものであることから、1つのキャリッジに、特許文献1のインクジェットヘッド(第2インク吐出ヘッド)と、特許文献2の4つのインクジェットヘッド(第1インク吐出ヘッド)との両方を取り付け、上記5つのインクジェットヘッドから画像を記録するためのインク及びDNAインクを吐出することも考えられる。また、このような画像形成装置において、ユーザ毎又はユーザが属するグループ毎に第2インク吐出ヘッドから異なる種類のDNAインクを吐出させることにより、複数のユーザ又は複数のユーザのグループで1つの画像形成装置を共用することも考えられる。しかしながら、この場合には、キャリッジによりこれらのインクジェットヘッドが往復移動されるので、第2インク吐出ヘッドからDNAインクを吐出する際に発生するインクミストが、第1インク吐出ヘッドに付着してしまう虞がある。その結果、第2インク吐出ヘッドからあるユーザ(又は、あるグループ)を示すDNAインクを吐出して印刷を行うときに、第1インク吐出ヘッドから、第1インク吐出ヘッドに以前から付着していた別のユーザ(又は、別のグループ)を示すDNAインクが吐出されてしまい、印刷物の作成者を正確に認証することができない虞がある。
【0005】
本発明の目的は、印刷物の作成者を確実に認証することが可能な印刷物を作成する画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、画像の形成を行うための画像形成用インクを吐出する複数の第1ノズルを有する第1インク吐出ヘッドと、印刷物の作成者を認証するための認証用インクを吐出する複数の第2ノズルを有する第2インク吐出ヘッドとを含むインク吐出ヘッドと、インク吐出ヘッドを、所定の第1方向及び第1方向と反対方向である第2方向に往復移動させる往復移動手段と、インク吐出ヘッド及び往復移動手段の動作を制御する制御手段とを備えている。そして、第1方向に関して、複数の第2ノズルが複数の第1ノズルよりも上流側に配置されており、制御手段は、複数の第2ノズルからの認証用インクの吐出がインク吐出ヘッドを第1方向に移動させるときに限って行われるようにインク吐出ヘッド及び往復移動手段の動作を制御する(請求項1)。
【0007】
これによると、第1方向に関して、複数の第2ノズルが複数の第1ノズルよりも上流側に配置されており、第2ノズルから認証用インクの吐出がインク吐出ヘッドを第1方向に移動させるときに限って行われるので、第2ノズルから認証用インクが吐出されたときに発生するインクミストが、第1ノズル近傍に付着するのが防止される。したがって、第1ノズルから画像形成用インクを吐出する際に、画像形成用インクとともに、第1ノズル近傍に付着した認証用インクが吐出されてしまい、印刷物の作成者を正確に認証することができなくなってしまうことを防止することができる。なお、印刷物の作成者を認証することには、印刷物の作成者自身の認証することだけでなく、印刷物の作成者が属するグループなどを認証することも含んでいる。
【0008】
また、本発明の画像形成装置においては、認証用インクがDNAインクであってもよい(請求項2)。これによると、認証用インクとしてDNAインクを用いた場合にも印刷物の作成者を確実に認証することができる。
【0009】
また、本発明の画像形成装置においては、制御手段は、往復移動手段がインク吐出ヘッドを第1方向及び第2方向のいずれの方向に移動させるときにも、インク吐出ヘッドが複数の第1ノズルから画像形成用インクを吐出するように、インク吐出ヘッド及び往復移動手段の動作を制御することが好ましい(請求項3)。これによると、インク吐出ヘッドが、第1方向及び第2方向のいずれの方向に移動する際にも、第1ノズルから画像形成用インクが吐出されるので、画像の印刷を高速に行うことができる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置においては、複数の第1ノズルが第1方向と直交する方向に沿って配列されることによって形成される第1ノズル列が、第1方向に並んで複数列設けられており、複数の第2ノズルが第1方向と直交する方向に沿って配列されることによって形成される第2ノズル列が、1列又は第1方向に並んで複数列設けられており、複数の第1ノズル列と第2ノズル列とは第1方向に沿って配列されており、互いに隣接する第1ノズル列と第2ノズル列との間隔が、第1ノズル列同士の間隔よりも大きくなっていることが好ましい(請求項4)。これによると、第1ノズル列と第2ノズル列との間隔が、第1ノズル列同士の間隔よりも大きいので、第2ノズルから認証用インクを吐出したときに発生するインクミストが第1ノズル列近傍に付着してしまうのが防止される。
【0011】
また、本発明の画像形成装置においては、第1インク吐出ヘッドが、複数の第1ノズルの吐出口が形成された第1吐出面を有し、前記第2インク吐出ヘッドが複数の第2ノズルの吐出口が形成された第2吐出面を有し、第1吐出面及び第2吐出面に付着したインクを拭き取るワイパをさらに備えており、インク吐出ヘッドとワイパとは、第1方向及び第2方向に相対移動可能に構成されており、制御手段は、ワイパが、第1吐出面及び第2吐出面に対して第2方向に相対移動することによって、第1吐出面及び第2吐出面に付着したインクを拭き取るように、ワイパ及び往復移動手段の少なくともいずれか一方の動作を制御することが好ましい(請求項5)。これによると、ワイパにより、第1吐出面に付着したインクが拭き取られた後、第2吐出面に付着したインクが拭き取られるので、ワイパに付着した認証用インクが第1吐出面に付着してしまうのを防止することができる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置においては、第1インク吐出ヘッドが、複数の第1ノズルの吐出口が形成された第1吐出面を有し、第2インク吐出ヘッドが複数の第2ノズルの吐出口が形成された第2吐出面を有し、第1吐出面に付着したインクを拭き取る第1ワイパと、第2吐出面に付着したインクを拭き取る第1ワイパとは異なる第2ワイパとをさらに備えていることが好ましい(請求項6)。これによると、第1吐出面に付着したインクを拭き取る第1ワイパと、第2吐出面に付着したインクを拭き取る第2ワイパとを別々に設けることにより、認証用インクが第1吐出面に付着してしまうのを防止することができる。
【0013】
このとき、インク吐出ヘッドと第1ワイパとは、第1方向及び第2方向に相対移動可能に構成されており、インク吐出ヘッドと第2ワイパとは、第1方向及び第2方向に相対移動可能に構成されており、制御手段は、第2ワイパが、第2吐出面に対して第2方向に相対移動することによって、第2吐出面に付着したインクを拭き取るように、第2ワイパ及び往復移動手段の少なくとも一方の動作を制御することが好ましい(請求項7)。これによると、第2ワイパが、第2吐出面に対して第2方向に移動することによって、第2吐出面に付着したインクを拭き取るので、第2ワイパにより第2吐出面に付着したインクを拭き取ったときに、第2吐出面から第1吐出面とは反対側に向かってインクが飛び散ることとなる。これにより、第2ワイパにより拭き取られた認証用インクが第1吐出面に付着してしまうのを防止することができる。
【0014】
また、本発明の画像形成装置においては、往復移動手段は、第1方向及び第2方向に往復移動するキャリッジを含み、キャリッジは、第1インク吐出ヘッドが一体に設けられているとともに、認証用インクが充填されたインクタンクと一体化された第2インク吐出ヘッドが着脱可能な第2インク吐出ヘッド着脱部を有していることが好ましい(請求項8)。
【0015】
これによると、第2インク吐出ヘッド着脱部に装着する第2インク吐出ヘッドを交換することにより、交換前の第2インク吐出ヘッドの認証用インクと交換後のインク吐出ヘッドの認証用インクとが混ざってしまうことがなく、複数のユーザ、複数のグループなどで1つの画像形成装置を共用することができる。
【0016】
また、第2インク吐出ヘッドが、インクタンクと一体となったものではなく、第2インク吐出ヘッドにインクを供給するインクカートリッジを交換するものである場合には、異なる認証用インク同士が混ざってしまうのを防止するために、インクカートリッジを交換する際に第2インク吐出ヘッドをクリーニングするための機構が必要となるが、本発明の場合には、インクタンクと一体となった第2インク吐出ヘッドを交換するので、このようなクリーニングのための機構が不要となり、画像形成装置の構造を簡単なものとすることができる。
【0017】
このとき、キャリッジは、第1インク吐出ヘッドに供給する画像形成用インクが充填されたインクカートリッジが着脱可能なカートリッジ着脱部をさらに有していることが好ましい(請求項9)。これによると、キャリッジに第1インク吐出ヘッドに供給する画像形成用インクが充填されたインクカートリッジが装着されるので、第1インク吐出ヘッドとインクカートリッジとを接続するためのチューブなどが不要となり、装置全体の構成が簡単なものとなる。
【0018】
また、本発明の画像形成装置においては、第2インク吐出ヘッド着脱部は、識別用インク以外のインクを吐出する第3インク吐出ヘッドが着脱自在となるように構成されていることが好ましい(請求項10)。これによると、第2インク吐出ヘッド装着部に、第2インク吐出ヘッドに加えて、識別用インク以外のインクを吐出する第3インク吐出ヘッドを装着することができるので、ユーザが、必要に応じてヘッド装着部に装着するインク吐出ヘッドを、認証用インクを吐出する第2インク吐出ヘッド及び認証用インク以外のインクを吐出する第3インク吐出ヘッドに自由に変更することができる。
【0019】
このとき、制御手段は、第2インク吐出ヘッド着脱部に第3インク吐出ヘッドが装着されたときに、往復移動手段がキャリッジを第1方向及び第2方向のいずれの方向に移動させるときにも、第3インク吐出ヘッドからのインクの吐出を許容するように往復移動手段及び第3インク吐出ヘッドの動作を制御することが好ましい(請求項11)。これによると、ヘッド装着部に識別用インク以外のインクを吐出する第3インク吐出ヘッドが装着されている場合には、第3インク吐出ヘッドのインクが第1ノズルの近傍に付着したとしても、ヘッド装着部に第2インク吐出ヘッドが装着されている場合とは異なり、印刷物の作成者を正確に認証できなくなるといった問題は発生しない。したがって、インク吐出ヘッドが第1方向及び第2方向のいずれの方向に移動するときにも第3インク吐出ヘッドからインクを吐出させることにより、印刷を高速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係るプリンタの概略構成図であり、(a)が後述するインクカートリッジ21、ヘッドカートリッジ22を装着した状態、(b)がインクカートリッジ21及びヘッドカートリッジ22が装着されていない状態をそれぞれ示している。
【0021】
図1に示すように、プリンタ1は、本体3の上部が蓋2によって覆われた構成となっており、蓋2は図1(a)の実線及び二点鎖線で示すように開閉が可能となっている。そして、ユーザは蓋2を開けて後述するインクカートリッジ21及びヘッドカートリッジ22の交換を行う。本体3の内部には、キャリッジ11(往復移動手段)、インクジェットヘッド12(第1インク吐出ヘッド)、用紙搬送ローラ15、キャップ17、18及びポンプ19などが設けられている。また、プリンタ1の動作は、後述する制御装置60(図6参照)によって制御されている。
【0022】
キャリッジ11は、図1の左右方向(走査方向)に往復移動する。また、キャリッジ11には、その下部にインクジェットヘッド12が一体的に設けられているとともに、4つのカートリッジ着脱部13及びヘッドカートリッジ着脱部14(第2インク吐出ヘッド着脱部)を有している。
【0023】
インクジェットヘッド12は、キャリッジ11とともに走査方向に往復移動しつつ、その下面に形成された複数のノズル45a(第1ノズル、図2参照)からインクを吐出する。4つのカートリッジ着脱部13は、インクジェットヘッド12の上方に走査方向に配列されており、これら4つのカートリッジ着脱部13には、図1の左側から順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインク(画像形成用インク)が充填された4つのインクカートリッジ21がそれぞれ着脱可能となっている。そして、インクジェットヘッド12からはこれら4色のインクが吐出される。
【0024】
このように、カートリッジ着脱部13が、キャリッジ11に設けられているので、カートリッジ着脱部13にインクカートリッジ21を装着することにより、インクカートリッジ21に充填されたインクがインクジェットヘッド12に供給される。したがって、インクカートリッジ21がキャリッジ11の外部に装着される場合とは異なり、インクカートリッジ21とインクジェットヘッド12とを接続するためのチューブなどが不要となり、プリンタ1の構成が簡単になる。
【0025】
ヘッドカートリッジ着脱部14は、インクジェットヘッド12及びカートリッジ着脱部13の右側に隣接して設けられている。ヘッドカートリッジ着脱部14にはヘッドカートリッジ22が着脱可能となっている。ヘッドカートリッジ22は、ノズル45b(第2ノズル、図2参照)からDNAインクを吐出するインクジェットヘッド22a(第2インク吐出ヘッド)が、DNAインクが充填されたインクタンク22bと一体となったものである。なお、本発明においては、インクジェットヘッド12(第1インク吐出ヘッド)とインクジェットヘッド22a(第2インク吐出ヘッド)によってインク吐出ヘッドが構成されている。
【0026】
そして、ユーザは、印刷を行う際に、自身のDNAが含まれたDNAインク、自身の所属するグループに対応するDNAが含まれたDNAインク等がインクタンク22bに充填されたヘッドカートリッジ22をヘッドカートリッジ着脱部14に装着して印刷を行う。これにより、記録用紙SにDNAインクが付着し、印刷物に付着したDNAインクを分析することにより、印刷物の作成者を認証することができる。また。ヘッドカートリッジ着脱部14に装着されるヘッドカートリッジ22を交換することにより、プリンタ1を複数のユーザ又は複数ユーザのグループで共用することができる。なお、ヘッドカートリッジ装着部14にヘッドカートリッジ22が装着された状態のときに、後述するインクジェットヘッド12のインク吐出面46a(第1インク吐出面、図2参照)とヘッドカートリッジ22のインク吐出面46b(第2インク吐出面、図2参照)とは同一平面上に位置する。
【0027】
用紙搬送ローラ15は、記録用紙Sを図1の手前方向(紙送り方向)に搬送する。そして、プリンタ1においては、用紙搬送ローラ15により紙送り方向に搬送される記録用紙Sに、キャリッジ11とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド12のノズル45aから4色のインクを吐出して記録用紙Sに画像の記録を行うとともに、インクジェットヘッド22aのノズル45bDNAインクを吐出して記録用紙SにDNAインクを付着させる。なお、印刷を行う際の動作の詳細については後で詳細に説明する。
【0028】
ワイパ16は、インク吐出面46a、46b(図2参照)に付着したインクを拭き取るためのものである。ワイパ16は、プリンタ1において印刷を行う位置よりも右側の部分に配置されている。ワイパ16は、その先端がインク吐出面46a、46bよりも低い所定の位置と、その先端がインク吐出面46a、46bと同じ高さとなる位置との間で上下方向に移動可能となっている。ワイパ16によりインク吐出面46a、46bに付着したインクを拭き取る動作については、後ほど詳細に説明する。
【0029】
キャップ17はワイパ16の右側に配置されており、上下方向に移動可能に構成されている。そして、キャップ17は、インクジェットヘッド12がキャリッジ11により移動されてキャップ17と対向する位置まできたときに、後述するキャップ制御部64(図6参照)により制御されて上方に移動し、インクジェットヘッド12のインク吐出面46a(図4参照)を覆う。これにより、ノズル45aがキャップ17により覆われ、インクジェットヘッド12内のインクの乾燥が防止される。
【0030】
キャップ18は、キャップ17の右側に配置されており、キャップ18はキャップ17とともに上下方向に移動可能に構成されている。そして、キャップ18は、ヘッドカートリッジ着脱部14に装着されたヘッドカートリッジ22がキャリッジ11により移動されてキャップ18と対向する位置まできたときに、後述するキャップ制御部64(図6参照)により制御されて上方に移動し、ヘッドカートリッジ22のインクジェットヘッド22aのインク吐出面46bを覆う。これにより、ノズル45bがキャップ18により覆われ、インクジェットヘッド22a内のインクの乾燥が防止される。なお、インクジェットヘッド12がキャリッジ11によってキャップ17と対向する位置まで移動したときには、ヘッドカートリッジ着脱部14に装着されたヘッドカートリッジ22もキャップ18と対向する位置まで移動する。
【0031】
吸引ポンプ19は、キャップ17、18に連通しており、キャップ17、18によりそれぞれインク吐出面46a、46bが覆われた状態で、後述するポンプ制御部65(図6参照)により制御されて、キャップ17とインク吐出面46aとによって囲まれた空間、及び、キャップ18とインク吐出面46bとによって囲まれた空間内の空気を吸引することによりこの空間内の気圧を低下させる。これにより、ノズル45a、45bからそれぞれ、インクジェットヘッド12、22a内のインクが吸引され、インクジェットヘッド12、22aから増粘したインクやインク中の気泡などが排出される。
【0032】
このように、インク吐出面46aを覆うキャップ17とインク吐出面46bを覆うキャップ18とが別々に設けられているため、キャップ17、18によりインク吐出面46a、46bを覆ったときや、インクジェットヘッド12、22aからインクを吸引したときなどに、キャップ18に付着したDNAインクがインク吐出面46aに付着してしまうことがない。これにより、ユーザがヘッドカートリッジ着脱部14に装着するヘッドカートリッジ22を交換して印刷を行ったときに、インクジェットヘッド12のノズル45aから4色のインクとともにインク吐出面46aに付着したDNAインクが吐出されてしまうことがなく、印刷物に付着したDNAインクを分析することにより、印刷物の作成者を正確に認証することができる。
【0033】
次に、インクジェットヘッド12、22aの構成について説明する。図2は図1のインクジェットヘッド12、22aの平面図である。図3は、図2のインクジェットヘッド12、22aにおける紙送り方向に隣接する2つの個別インク流路を示す平面図である。図4は図3のIV−IV線断面図である。図5は、図3のV−V線断面図である。なお、図面を分かりやすくするため、図2では、圧力室40a、40b、貫通孔42a、42b、43a、43b、44a、44bの図示を省略するとともにノズル45a、45bを実際よりも大きく図示している。また、インクジェットヘッド12とインクジェットヘッド22aとにおいて、1つのノズル45a、45bに対応する個別インク流路は同様の構成を有しているため、図3〜図5においては、インクジェットヘッド12については括弧をつけずに符号を付すとともに、インクジェットヘッド22aについては符号を括弧付きで付し、両者を同一の図面を用いて説明する。
【0034】
インクジェットヘッド12は、図2〜図5に示すように、複数のノズル45a、圧力室40aなどのインク流路が形成された流路ユニット25aと、流路ユニット25aの上面に配置されており、圧力室40a内のインクに吐出のための圧力を付与する圧電アクチュエータ26aとを有する。
【0035】
流路ユニット25aは、上から順に、キャビティプレート31a、ベースプレート32a、マニホールドプレート33a及びノズルプレート34aの4枚のプレートが互いに積層されることによって構成されている。これら4枚のプレート31a〜34aのうち、ノズルプレート34aを除く3枚のプレート31a〜33aは、ステンレスなどの金属材料により構成されており、ノズルプレート34aはポリイミド等の合成樹脂材料により構成されている。あるいは、ノズルプレート34aも他のプレートと同様金属材料により構成されていてもよい。
【0036】
ノズルプレート34aには、複数のノズル45aが形成されており、その下面は、これら複数のノズル45aの吐出口47aが形成されたインク吐出面46aとなっている。複数のノズル45aは紙送り方向(図2の上下方向、第1方向と直交する方向)に配列されることによりノズル列29a(第1ノズル列)を構成しており、このようなノズル列29aが走査方向(図2の左右方向、第1方向)に沿って4列に並んでいる。各ノズル列29aを構成する複数のノズル45aからは、図2の左側から順にブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクがそれぞれ吐出される。
【0037】
キャビティプレート31aには、複数のノズル45aに対応して複数の圧力室40aが形成されている。複数の圧力室40aは、それぞれ走査方向を長手方向とする略楕円の平面形状を有しており、平面視で圧力室40aの右端部とノズル45aとが重なるように配置されている。ベースプレート32aには、平面視で圧力室40aの長手方向の両端部に重なる位置にそれぞれ貫通孔42a、43aが形成されている。
【0038】
マニホールドプレート33aには、4つのノズル列29aに対応して、平面視で各ノズル列29aの左側に、紙送り方向に延びた4つのマニホールド流路41aが形成されている。各マニホールド流路41aは、平面視で対応する圧力室40aの略左半分と重なっている。各マニホールド流路41aの図2における上端部には、それぞれインク供給口49aが設けられている。そして、カートリッジ着脱部13にインクカートリッジ21が装着されることにより、インクカートリッジ21のインクが充填された空間とインク供給口49aとが連通する。これにより、インクカートリッジ21に充填されたインクがインク供給口49aからマニホールド流路41aに供給される。また、マニホールドプレート33aには、平面視で貫通孔43a及びノズル45aと重なる位置に貫通孔44aが形成されている。
【0039】
以上のような流路ユニット25aにおいては、マニホールド流路41aが貫通孔42aを介して圧力室40aに連通しており、圧力室40aが貫通孔43a、44aを介してノズル45aに連通している。このように、流路ユニット25aにおいては、マニホールド流路41aの出口から圧力室40aを経てノズル45aに至る複数の個別インク流路が形成されている。
【0040】
次に、圧電アクチュエータ26aについて説明する。圧電アクチュエータ26aは、図3〜図5に示すように、振動板50a、圧電層51a及び個別電極52aを有する。振動板50aは、ステンレスなどの導電性材料によって構成されており、複数の圧力室40aを覆うようにキャビティプレート21aの上面に接合されている。また、導電性を有する振動板50aは、後述するように個別電極52aとの間に挟まれた圧電層51aに電界を生じさせるための共通電極を兼ねており、ドライバIC71(図6参照)により常にグランド電位に保持されている。
【0041】
圧電層51aは、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であり強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料によって構成されており、振動板50aの上面に複数の圧力室40aにまたがって連続的に形成されている。また、圧電層51aは予めその厚み方向に分極されている。
【0042】
個別電極52aは、圧電層51aの上面に複数の圧力室40aに対応して設けられている。個別電極52aは圧力室40aよりも一回り小さい略楕円の平面形状を有しており、平面視で圧力室40の略中央部に重なる位置に配置されている。各個別電極52aは走査方向に関する左端部が平面視で圧力室40aに重ならない位置まで左方に延びており、その先端部が接点53aとなっている。接点53aは図示しないフレキシブルプリント基板(FPC)などの配線部材を介してドライバIC71(図6参照)と接続されており、ドライバIC71により、複数の個別電極52aに駆動電位が選択的に付与される。
【0043】
インクジェットヘッド22aは、図2〜図5に示すように、複数のノズル45b、圧力室40bなどのインク流路が形成された流路ユニット25bと、流路ユニット25bの上面に配置されており、圧力室40b内のインクに吐出のための圧力を付与する圧電アクチュエータ26bを有する。
【0044】
流路ユニット25bは、上から順に、キャビティプレート31b、ベースプレート32b、マニホールドプレート33b及びノズルプレート34bの4枚のプレートが互いに積層されることによって構成されている。これら4枚のプレート31b〜34bは、それぞれ、プレート31a〜34aと同様の材料によって構成されている。
【0045】
ノズルプレート34bには、複数のノズル45bが形成されており、その下面がこれら複数のノズル45bの吐出口47bが形成されたインク吐出面46bとなっている。複数のノズル45bは紙送り方向に配列されることにより1つのノズル列29b(第2ノズル列)を構成している。ノズル45bからは、DNAインクが吐出される。そして、このノズル列29bと前述した4つのノズル列29aとは走査方向に沿って配列されており、隣接するノズル列29aとノズル列29bとの間隔d2は、ノズル列29a同士の間隔d1よりも大きくなっている。
【0046】
キャビティプレート31bには、複数のノズル45bに対応する複数の圧力室40bが形成されている。複数の圧力室40bはそれぞれ、走査方向を長手方向とする略楕円の平面形状を有しており、平面視で圧力室40bの右端部とノズル45bとが重なるように配置されている。ベースプレート32bには、平面視で圧力室40bの長手方向の両端部に重なる位置にそれぞれ貫通孔42b、43bが形成されている。
【0047】
マニホールドプレート33bには、平面視でノズル列29bの左側に紙送り方向に延びたマニホールド流路41bが形成されている。マニホールド流路41bは、平面視で圧力室40bの略左半分と重なっている。マニホールド流路41bの図2における上端部にはインク供給口49bが設けられている。インク供給口49bはインクタンク22bと連通している。これにより、インクタンク22bに充填されたDNAインクは、インク供給口49bからマニホールド流路41bに供給される。また、マニホールドプレート33bには、平面視で貫通孔43b及びノズル45bと重なる位置に貫通孔44bが形成されている。
【0048】
以上のような流路ユニット25bにおいても、流路ユニット25aと同様、マニホールド流路41bの出口から圧力室40bを経てノズル45bに至る複数の個別インク流路が形成されている。
【0049】
次に、圧電アクチュエータ26bについて説明する。圧電アクチュエータ26bは、図3〜図5に示すように、振動板50b、圧電層51b及び個別電極52bを有する。振動板50bは、ステンレスなどの導電性材料によって構成されており、複数の圧力室40bを覆うようにキャビティプレート21bの上面に接合されている。また、導電性を有する振動板50bは、振動板50aと同様、共通電極を兼ねており、ヘッドカートリッジ22がヘッドカートリッジ着脱部14に装着されたときに図示しない配線部材を介してドライバIC71(図6参照)に接続されて、グランド電位に保持される。
【0050】
圧電層51bは、圧電層51aと同様の圧電材料によって構成されており、振動板50bの上面に複数の圧力室40bにまたがって連続的に形成されている。また、圧電層51bは予めその厚み方向に分極されている。
【0051】
個別電極52bは、圧電層51bの上面に複数の圧力室40bに対応して設けられている。個別電極52bは圧力室40bよりも一回り小さい略楕円の平面形状を有しており、平面視で圧力室40bの略中央部に重なる位置に配置されている。各個別電極52bは走査方向に関する左端部が平面視で圧力室40bに重ならない位置まで左方に延びており、その先端部が接点53bとなっている。接点53bは、ヘッドカートリッジ22がインクジェットヘッド着脱部に装着されたときに、図示しない配線部材を介してドライバIC71(図6参照)と接続され、ドライバIC71により、複数の個別電極52bに駆動電位が選択的に付与される。
【0052】
ここで、圧電アクチュエータ26a、26bの駆動方法について説明する。ただし、圧電アクチュエータ26aと26bの駆動方法は同じであるので、以下では圧電アクチュエータ26aの駆動方法についてのみ説明する。
【0053】
圧電アクチュエータ26aにおいては、個別電極52aは予めグランド電位に保持されている。そして、ドライバIC71(図6参照)から個別電極52aに駆動電位が付与されると、駆動電位が付与された個別電極52aとグランド電位に保持された共通電極としての振動板50aとの間に電位差が発生し、これにより、圧電層51aのこの個別電極52aと振動板50aとに挟まれた部分に厚み方向の電界が生じる。この電界の方向は、圧電層51aの厚み方向と平行であるので、圧電層51aのこの部分は厚み方向と直交する水平方向に収縮する。この収縮に伴って、振動板50aの対応する圧力室40aに対向する部分が圧力室40a側に凸となるように変形して圧力室40aの容積が減少する。これにより、圧力室40a内のインクの圧力が増加し、圧力室40aに連通するノズル45aからインクが吐出される。
【0054】
次に、プリンタ1の動作を制御する制御装置60について説明する。図6は、制御装置60の機能ブロック図である。制御装置60は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等によって構成されており、これらが図6に示すように、ヘッド制御部61、ローラ制御部62、キャリッジ制御部63、キャップ制御部64、ポンプ制御部65及びワイパ制御部66として機能する。
【0055】
ヘッド制御部61は、ドライバIC71の動作を制御しており、ドライバIC71はヘッド制御部61に制御されて、個別電極52a、52bに駆動電極を付与するとともに、振動板50a、50bをグランド電位に保持する。
【0056】
ローラ制御部62は、用紙搬送ローラ15の動作を制御する。キャリッジ制御部63は、キャリッジ11の往復移動の動作を制御する。キャップ制御部64は、キャップ17、18の上下方向の移動を制御する。ポンプ制御部65は、ポンプ19の動作を制御する。ワイパ制御部66は、ワイパ16の上下方向の移動を制御する。
【0057】
次に、プリンタ1において印刷を行う際の動作について、図1、図7を用いて説明する。図7は、プリンタ1を正面から見た、印刷を行う際のインクジェットヘッド12、22aの動作を示す模式図である。以下に説明する印刷の動作は、前述したヘッド制御部61、ローラ制御部62及びキャリッジ制御部63によって、キャリッジ11、インクジェットヘッド12、22a及び搬送ローラ15の動作が制御されることによって行われる。
【0058】
図1に示すように、プリンタ1において印刷を行う際には、ユーザが、自身または自身が所属するグループのDNAインクがインクタンク22bに充填されたヘッドカートリッジ22をヘッドカートリッジ着脱部14に装着する。そして、この状態で、前述したように、用紙搬送ローラ15により紙送り方向に搬送される記録用紙Sに、走査方向に往復移動するインクジェットヘッド12のノズル45aから4色のインクが吐出されることによって記録用紙Sに画像の記録が行われるとともに、インクジェットヘッド22aのノズル45bからDNAインクが吐出されることによって記録用紙SにDNAインクが付着する。
【0059】
ここで、キャリッジ11とともにインクジェットヘッド12、22aが走査方向に往復移動するとき、これらは、図1、図7の左方(第1方向)及び、これとは反対方向である右方(第2方向)に交互に移動することとなる。そして、図7(a)に示すように、これらが第1方向に移動する際には、インクジェットヘッド12のノズル45aからインクを吐出させるとともに、インクジェットヘッド22aのノズル45bからDNAインクを吐出させる。
【0060】
このとき、ノズル45a、45bからインクを吐出すると、ノズル45a、45bの近傍にインクミストが発生する。そして、インクジェットヘッド22aがインクジェットヘッド12の右側に位置し(第1の方向に関してノズル45bがノズル45aよりも上流側に配置されており)、インクジェットヘッド12及びインクジェットヘッド22aが第1方向に(左方に)移動するため、インクジェットヘッド22aは、ノズル45aからインクを吐出した直後にインクジェットヘッド12がインクを吐出した位置を通過する。このため、ノズル45aからインクを吐出したときに発生したインクミストがインクジェットヘッド22aのインク吐出面46bに付着してしまうことがある。
【0061】
これに対して、インクジェットヘッド12は、ノズル45bからDNAインクが吐出された直後にインクジェットヘッド22aがDNAインクを吐出した位置を通過しない。これにより、ノズル45bからDNAインクを吐出したときに発生したインクミストがインクジェットヘッド12のインク吐出面46a(ノズル45aの吐出口47a近傍)に付着してしまうのが防止される。
【0062】
さらに、本実施の形態では、前述したように、隣接するノズル列29aとノズル列29bとの間隔がノズル列29a同士の間隔よりも大きくなるように、インクジェットヘッド12とヘッドカートリッジ22とを配置して、ノズル列29aとノズル列29bとの間隔を十分に確保しているので、ノズル45aの吐出口47a近傍にDNAインクが付着してしまうのがより確実に防止される。
【0063】
一方、図7(b)に示すように、これらが第2方向に移動する際には、インクジェットヘッド12のノズル45aからのみインクを吐出させ、インクジェットヘッド22aのノズル45bからはDNAインクを吐出させない。すなわち、ヘッド制御部61及びキャリッジ制御部63は、ノズル45bからのDNAインクの吐出が、キャリッジ11がインクジェットヘッド12、22aを第1方向に移動させるときに限って行われるように、インクジェットヘッド12、22a及びキャリッジ11の動作を制御している。
【0064】
このとき、インクジェットヘッド22aからDNAインクを吐出させると、図7において、インクジェットヘッド22aがインクジェットヘッド12の右側に位置し、インクジェットヘッド12及びインクジェットヘッド22aが左方に移動するため、ノズル45bからDNAインクが吐出された直後に、インクジェットヘッド12はインクジェットヘッド22がDNAインクを吐出した位置を通過することとなり、ノズル45bからDNAインクを吐出させたときに発生したインクミストが、インクジェットヘッド12のインク吐出面46aに付着してしまう虞がある。
【0065】
そして、インク吐出面46aにDNAインクが付着してしまうと、この後、他のユーザがヘッドカートリッジ22を交換して印刷を行った場合に、インクジェットヘッド12から4色のインクとともにインク吐出面46aに付着した、他のDNAインクも一緒に吐出されてしまう虞がある。そのため、インクジェットヘッド22aから吐出されたDNAインクに加え、上記他のDNAインクも記録用紙Sに付着してしまい、印刷物のDNAインクを分析したときに印刷物の作成者が誤って認証されてしまう虞がある。
【0066】
これに対して、本実施の形態では、インクジェットヘッド12、22aが第2方向に移動するときには、インクジェットヘッド22のノズル45bからDNAインクの吐出を行わないので、インク吐出面46aにDNAインクが付着することがない。したがって、記録用紙Sには、インクジェットヘッド22aから吐出されたDNAインクのみが付着する。これにより、印刷物に付着したDNAインクを分析することにより、印刷物の作成者を正確に認証することができる。
【0067】
さらに、プリンタ1においては、ヘッドカートリッジ着脱部14にヘッドカートリッジ22を装着せず、インクジェットヘッド12のみを用いて印刷を行うことも可能である。この場合にも、インク吐出面46aに他のユーザのDNAインクが付着していないので、記録用紙Sに他のユーザのDNAインクが付着してしまい、印刷物がそのユーザによって作成されたものと誤って認証されてしまうことを防止することができる。
【0068】
次に、ワイパ16によりインク吐出面46a、46bに付着したインクを拭き取る方法について図1、図8を用いて説明する。図8は、プリンタ1を正面から見た、ワイパ16によりインク吐出面46a、46bに付着したインクを拭き取る際のインクジェットヘッド12、インクジェットヘッド22a及びワイパ16の状態を示す模式図である。以下に説明する、ワイパ16によりインク吐出面46a、46bに付着したインクを拭き取る動作は、前述したキャリッジ制御部63及びワイパ制御部66により、キャリッジ11及びワイパ16の動作が制御されることによって行われる。
【0069】
ワイパ16によりインク吐出面46a、46bに付着したインクを拭き取る際には、ワイパ16をその先端がインク吐出面46a、46bよりも下方にくるように位置させた状態で、図8(a)に示すように、キャリッジ11によりインクジェットヘッド12及びインクジェットヘッド22aをワイパ16よりも右側の位置まで移動させる。
【0070】
次に、図8(b)に示すように、ワイパ16を、その先端がインク吐出面46a、46bと同じ高さになるまで上方に移動させてから、キャリッジ11によりインクジェットヘッド12及びインクジェットヘッド22aを第1方向(図8の左方)に移動させる。これにより、ワイパ16は、図8(c)に示すように、その先端がインク吐出面46aに当接しつつ、インク吐出面46aに対して第2方向(図8の右方)に相対移動して、インク吐出面46aに付着したインクを拭き取った後、図8(d)に示すように、その先端がインク吐出面46bに当接しつつ、インク吐出面46bに対して第2方向に相対移動して、インク吐出面46bに付着したインクを拭き取る。以上のようにして、インク吐出面46a、46bに付着したインクはワイパ16によって拭き取られる。なお、インク吐出面46a、46bに付着したインクを拭き取ったときにワイパ16に付着したインクは、インク吐出面46a、46bに付着したインクを拭き取った後、図示しない吸収体に吸収させるなどして除去される。
【0071】
ここで、上述したのとは逆に、インクジェットヘッド12、22aがワイパ16よりも左側に位置した状態でワイパ16の先端がインク吐出面46a、46bとほぼ同じ高さとなるまで上方に移動させ、キャリッジ11によりインクジェットヘッド12、22aを第2方向(図8の右方)に移動させることにより、ワイパ16がインク吐出面46bに付着したDNAインクを拭き取った後、インク吐出面46aに付着したインクを拭き取った場合には、インク吐出面46aに付着したインクを拭き取る際に、インク吐出面46bに付着したインクを拭き取ったときにワイパ16に付着したDNAインクがインク吐出面46aに付着し、ワイパ16により拭き取った後にもそのDNAインクの一部がインク吐出面46aに残留してしまう虞がある。
【0072】
しかしながら、本実施の形態では、上述したように、ワイパ16は、インク吐出面46aに付着したインクを拭き取った後、インク吐出面46bに付着したインクを拭き取るため、ワイパ16に付着したDNAインクがインク吐出面46aに付着してしまうことがない。
【0073】
以上に説明した実施の形態によると、ヘッドカートリッジ22がインクジェットヘッド12の図1における右側に配置されており、インクジェットヘッド12、22aが第1方向(図1の左方)に移動するときに限って、ヘッドカートリッジ22のノズル45bからDNAインクを吐出するので、ノズル45bからDNAインクを吐出したときに発生したインクミストがインク吐出面46a(ノズル45aの吐出口47a近傍)に付着してしまうことが防止される。したがって、ノズル45aからインクを吐出したときに、インク吐出面46aに付着した種類の異なるDNAインクが一緒に吐出されてしまうことがなく、印刷物に付着したDNAインクを分析することにより印刷物の作成者を確実に認証することができる。
【0074】
また、インクジェットヘッド12、22が第1方向及び第2方向のいずれの方向に移動する際にも、インクジェットヘッド12のノズル45aからインクが吐出されるので、記録用紙Sに画像の記録を高速に行うことができる。
【0075】
また、隣接するノズル列29aとノズル32bとの間隔d2がノズル列29a同士の間隔d1よりも大きいので、ノズル45bからDNAインクを吐出したときに発生するインクミストがノズル45aの吐出口47a近傍に付着してしまうのを確実に防止することができる。
【0076】
また、ワイパ16がインク吐出面46aに付着したインクを拭き取った後、インク吐出面46bに付着したインクを拭き取るので、インク吐出面46bに付着したインクを拭き取ったときにワイパ16に付着したDNAインクがインク吐出面46aに付着してしまうことが防止される。
【0077】
また、ヘッドカートリッジ着脱部14は、インクジェットヘッド22aとインクタンク22bとが一体となったヘッドカートリッジ22が着脱可能となっているため、ユーザあるいはユーザが属するグループのDNAインクを吐出するヘッドカートリッジ22をヘッドカートリッジ着脱部14に装着して印刷を行ったときに、記録用紙Sに交換前のヘッドカートリッジ22のDNAインクが吐出されてしまうことがなく、印刷物の作成者を確実に認証することができる。これにより、インクジェットヘッド装着部14に装着するヘッドカートリッジ22を交換することにより、プリンタ1を複数のユーザあるいは複数のユーザのグループで共用することができる。
【0078】
さらに、インクジェットヘッド22aがキャリッジ11に固定されて交換不能となっており、インクジェットヘッド22aにインクを供給するインクカートリッジのみが交換可能となっている場合には、インクカートリッジを交換する度に、インクジェットヘッド22aをクリーニングする機構など、インクジェットヘッド22aにおいて異なるDNAインク同士が混ざってしまうのを防止するための機構が必要となるが、本実施の形態では、ヘッドカートリッジ22を交換することにより、インクタンク22bとともにインクジェットヘッド22aが交換されるので、このようなクリーニング機構などを必要とせず、プリンタ1の構成を簡単にすることができる。
【0079】
また、カートリッジ着脱部13がキャリッジ11に設けられており、カートリッジ着脱部13にインクカートリッジ21を装着することにより、インクカートリッジ21に充填されたインクをインクジェットヘッド12に供給することができるので、インクカートリッジ21がキャリッジ11の外部に装着される場合とは異なり、インクジェットヘッド12とインクカートリッジ21との接続を行うためのチューブなどが不要となる。
【0080】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成を有するものについては同じ符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0081】
一変形例では、図9(a)に示すように、インクジェットヘッド12及びインクジェットヘッド22aが第1方向に移動する際には、実施の形態と同様、ノズル45aからインクを吐出させるとともに45bからDNAインクを吐出させ、図9(b)に示すように、これらが第2方向に移動する際には、ノズル45a、45bのいずれからもインクを吐出させない(変形例1)。この場合にも、インクジェットヘッド12及びインクジェットヘッド22aが第1方向に移動するときにノズル45bからDNAインクを吐出することにより、実施の形態と同様、インク吐出面45aにDNAインクが付着せず、これらが第2方向に移動しているときには、ノズル45bからDNAインクが吐出されていないため、インク吐出面46aにDNAインクが付着することがない。
【0082】
さらに、実施の形態では、インクジェットヘッド12及びインクジェットヘッド22aが第2方向に移動する際にノズル45aからインクが吐出されているため、記録用紙Sの、インクジェットヘッド12及びインクジェットヘッド22aが第2方向に移動するときにインク吐出面46a、46bと対向する部分には、4色のインクのみが吐出され、DNAインクが吐出されないため、記録用紙SにDNAインクがまんべんなく付着しないこととなる。しかしながら、変形例1においては、ノズル45aからインクが吐出されるときには、ノズル45bからもDNAインクが吐出されるため、記録用紙SにまんべんなくDNAインクを付着させることができる。
【0083】
なお、変形例1においては、インクジェットヘッド12及びインクジェットヘッド22aを第2方向に移動させるときの速度は、第1方向に移動させるときの速度よりも速いことが好ましい。これらを第2方向に移動させる速度を速くすることで、ノズル45a、45bからインクが吐出されない時間が短くなり、高速に印刷を行うことが可能となるためである。
【0084】
別の一変形例では、図10に示すように、インク吐出面46aに付着したインクを拭き取るためのワイパ66と、インク吐出面46bに付着したインクを拭き取るワイパ67とが別々に設けられている。そして、図10(a)に示すように、キャリッジ11により、それぞれワイパ66、67よりも右側にくるまで図中右方に移動させたインクジェットヘッド12、22aのインク吐出面46a、46bに、それぞれワイパ66、67を当接させ、その後、キャリッジ11によりインクジェットヘッド12、22aを第1方向(図10の左方)に移動させる。これにより、図10(b)に示すように、インク吐出面46bに付着したインクを拭き取り終わるまでは、ワイパ66、67により、それぞれインク吐出面46a、46bに付着したインクが拭き取られる。そして、ワイパ67によるインク吐出面46bに付着したインクの拭き取りが完了した後には、インクジェットヘッド12、22aがさらに第1方向に移動することにより、図10(c)に示すようにワイパ66によりインク吐出面46aの残りの部分に付着したインクが拭き取られる(変形例2)。
【0085】
この場合には、インク吐出面46aに付着したインクを拭き取るためのワイパ66と、インク吐出面46bに付着したインクを拭き取るためのワイパ67とを別々に設けているので、ワイパ67に付着したDNAインクが、インク吐出面46aに付着してしまうのをより確実に防止することができる。
【0086】
また、ワイパ66、67によりインク吐出面46a、46bに付着したインクを拭き取った後、ワイパ66、67からインクが飛び散る可能性があるが、ワイパ67がインク吐出面46bに対して第2方向に相対移動してインク吐出面46bに付着したDNAインクを拭き取ることになるので、インク吐出面46bに付着したインクを拭き取った後、ワイパ67に付着したインクが飛び散ったとしても、このインクはインク吐出面46aと反対側(図中右側)に飛び散ることになる。このため、飛び散ったDNAインクがインク吐出面46aに付着してしまうのをさらに確実に防止することができる。
【0087】
また、変形例2では、ワイパ66、67をそれぞれインク吐出面46a、46bに当接させ、インクジェットヘッド12、22aを第1方向に移動させてインク吐出面46a、46bに付着したインクを拭き取ったが、インクジェットヘッド12、22aを第2方向に移動させてインク吐出面46a、46bに付着したインクを拭き取ってもよい。この場合でも、ワイパ66とワイパ67とが別々に設けられているため、ワイパ67に付着しtDNAインクがインク吐出面46aに付着してしまうことが防止される。ただし、この場合には、インクジェットヘッド12とインクジェットヘッド22aとの離隔距離を十分に離して配置するなど、インク吐出面46bに付着したインクの拭き取りが終わったときにワイパ67から飛び散ったインクがインク吐出面46aに付着しないようにする必要がある。
【0088】
また、変形例2では、ワイパ66、67を同時に上下方向に移動させ、インク吐出面46a、46bに付着したインクの拭き取りを同時に行っていたが、ワイパ66、67を別々に動作させ、ワイパ66によりインク吐出面46aに付着したインクを拭き取る動作、及び、ワイパ67によりインク吐出面46bに付着したインクを拭き取る動作を別々に行ってもよい。
【0089】
また、以上の説明では、インクジェットヘッド12及びインクジェットヘッド22aを走査方向に移動させることにより、ワイパ16、66、67をインク吐出面46a、46bに対して走査方向に相対移動させていたが、キャリッジ11が静止した状態で、ワイパを走査方向に移動させる、あるいは、キャリッジ11及びワイパの両方を走査方向に移動させることにより、ワイパをインク吐出面46a、46bに対して走査方向に相対移動させてもよい。
【0090】
別の一変形例では、図11に示すように、ヘッドカートリッジ着脱部14(図1参照)が設けられておらず、インクジェットヘッド12の右側にインクジェットヘッド82がキャリッジ11と一体的に構成されており、インクジェットヘッド82の上方にDNAインクが充填されたインクカートリッジ84が着脱可能に構成されたカートリッジ着脱部83が設けられている。このように、DNAインクを吐出するインクジェットヘッドは、実施の形態のようにインクタンクと一体となったヘッドカートリッジには限られない。ただし、この場合には、複数のユーザ又は複数のユーザのグループで1つのプリンタを共用するために、インクカートリッジ84を交換する際にインクジェットヘッド82をクリーニングするための機構を設けるなどして、インクジェットヘッド82内で異なるDNAインク同士が混ざらないようにすることが好ましい。さらにこの場合には、インクジェットヘッド12とインクジェットヘッド82とが一体で、インクジェットヘッド12のインク吐出面とインクジェットヘッド82のインク吐出面が、連続した1つの平面となるように構成されていてもよい。
【0091】
さらに、図12に示すように、キャリッジ11にカートリッジ着脱部13、83(図11参照)が設けられておらず、キャリッジ11の外部にカートリッジ着脱部91、92が設けられており、カートリッジ着脱部91、92は、それぞれ、インクジェットヘッド12、82にインクを供給するインクカートリッジ94、95が着脱可能となっており、カートリッジ着脱部91、92に装着されたインクカートリッジ94、95とインクジェットヘッド12、82とがそれぞれチューブ93によって接続されるように構成されていてもよい(変形例4)。
【0092】
また、本実施の形態では、ヘッドカートリッジ着脱部14にDNAインクを吐出するヘッドカートリッジ22が装着された場合について説明したが、ヘッドカートリッジ22はDNAインク以外の、印刷物の作成者を認証するための認証用インクを吐出するものであってもよい。さらに、ヘッドカートリッジ着脱部14には、ヘッドカートリッジ22以外に、例えば、4つのインクカートリッジ21に充填されたインクとは異なる色のインク、4つのインクカートリッジ21のいずれかに充填されたインクと同じ色のインクなど、認証用インク以外のインクを吐出するヘッドカートリッジ(第3インク吐出ヘッド)が着脱可能となっていてもよい。なお、このヘッドカートリッジは、インクタンクに充填されているインクの種類以外は、ヘッドカートリッジ22(図1参照)と同様の構成を有するものである。
【0093】
この場合には、ユーザは、必要に応じてヘッドカートリッジ着脱部14に装着するヘッドカートリッジを、認証用インクを吐出するヘッドカートリッジ22及び認証用インク以外のインクを吐出するヘッドカートリッジに自由に変更することができる。これにより、例えば、インクジェットヘッド12から吐出される4色のインクのいずれか1色が、他の3色に比べて多く使用されるような場合に、ヘッドカートリッジ着脱部14にその色のインクを吐出されるインクジェットヘッドを装着することなどが可能となる。
【0094】
さらに、ヘッドカートリッジ装着部14に認証用インク以外のインクを吐出するヘッドカートリッジが装着されたときには、図13に示すように、インクジェットヘッド12及びヘッドカートリッジ着脱部14に装着されたヘッドカートリッジのインクジェットヘッド101が第1方向に移動する際、及び、第2方向に移動する際のいずれのときにも、インクジェットヘッド12、101からインクを吐出させてもよい。
【0095】
この場合には、インクジェットヘッド101が認証用インク以外のインクを吐出するため、インクジェットヘッド101から吐出されるインクがインク吐出面46aに付着しても、印刷物の作成者を認証できないといった問題は生じない。したがって、上述したようにインクを吐出することにより高速に印刷を行うことが可能となる。
【0096】
また、本実施の形態では、ヘッドカートリッジ22の複数のノズル45bが、ノズル列29bを1列のみ構成していたが、複数のノズル45bが、走査方向に並ぶ複数のノズル列29bを構成していてもよい。
【0097】
また、本実施の形態では、キャップ17がノズル45aの乾燥を防止するためのキャップとインクジェットヘッド12内のインクを吸引するためのキャップとを兼ねており、キャップ18がノズル45bの乾燥を防止するためのキャップとインクジェットヘッド22a内のインクを吸引するためのキャップとを兼ねていたが、乾燥を防止するためのキャップとインクを吸引するためのキャップとが別々に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明における実施の形態に係るプリンタの概略構成図であり、(a)が上部の蓋を閉じた状態、(b)が上部の蓋を開いた状態を示している。
【図2】図1のインクジェットヘッドの平面図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】プリンタの動作を制御する制御装置の機能ブロック図である。
【図7】印刷を行う際のインクジェットヘッドの動作を示す模式図である。
【図8】ワイパによりインク吐出面に付着したインクを拭き取る際の動作を示す模式図である。
【図9】変形例1の図7相当の図である。
【図10】変形例2の図8相当の図である。
【図11】変形例3の図1(b)相当の図である。
【図12】変形例4の図1(b)相当の図である。
【図13】変形例5の図7相当の図である。
【符号の説明】
【0099】
1 プリンタ
11 キャリッジ
12 インクジェットヘッド
13 インクカートリッジ着脱部
14 インクジェットヘッド着脱部
16 ワイパ
22 ヘッドカートリッジ
22a インクジェットヘッド
22b インクタンク
29a、29b ノズル列
45a、45b ノズル
46a、46b インク吐出面
47a、47b 吐出口
60 制御装置
66、67 ワイパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の形成を行うための画像形成用インクを吐出する複数の第1ノズルを有する第1インク吐出ヘッドと、印刷物の作成者を認証するための認証用インクを吐出する複数の第2ノズルを有する第2インク吐出ヘッドとを含むインク吐出ヘッドと、
前記インク吐出ヘッドを、所定の第1方向及び前記第1方向と反対方向である第2方向に往復移動させる往復移動手段と、
前記インク吐出ヘッド及び前記往復移動手段の動作を制御する制御手段とを備えており、
前記第1方向に関して、前記複数の第2ノズルが前記複数の第1ノズルよりも上流側に配置されており、
前記制御手段は、前記複数の第2ノズルからの前記認証用インクの吐出が前記インク吐出ヘッドを前記第1方向に移動させるときに限って行われるように前記インク吐出ヘッド及び前記往復移動手段の動作を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記認証用インクがDNAインクであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記往復移動手段が前記インク吐出ヘッドを前記第1方向及び前記第2方向のいずれの方向に移動させるときにも、前記インク吐出ヘッドが前記複数の第1ノズルから前記画像形成用インクを吐出するように、前記インク吐出ヘッド及び前記往復移動手段の動作を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記複数の第1ノズルが前記第1方向と直交する方向に沿って配列されることによって形成される第1ノズル列が、前記第1方向に並んで複数列設けられており、
前記複数の第2ノズルが前記第1方向と直交する方向に沿って配列されることによって形成される第2ノズル列が、1列又は前記第1方向に並んで複数列設けられており、
前記複数の第1ノズル列と前記第2ノズル列とは前記第1方向に沿って配列されており、
互いに隣接する前記第1ノズル列と前記第2ノズル列との間隔が、前記第1ノズル列同士の間隔よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1インク吐出ヘッドが前記複数の第1ノズルの吐出口が形成された第1吐出面を有し、前記第2インク吐出ヘッドが前記複数の第2ノズルの吐出口が形成された第2吐出面を有し、
前記第1吐出面及び前記第2吐出面に付着したインクを拭き取るワイパをさらに備えており、
前記インク吐出ヘッドと前記ワイパとは、前記第1方向及び前記第2方向に相対移動可能に構成されており、
前記制御手段は、前記ワイパが、前記第1吐出面及び前記第2吐出面に対して前記第2方向に相対移動することによって、前記第1吐出面及び前記第2吐出面に付着したインクを拭き取るように、前記ワイパ及び前記往復移動手段の少なくともいずれか一方の動作を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1インク吐出ヘッドが前記複数の第1ノズルの吐出口が形成された第1吐出面を有し、前記第2インク吐出ヘッドが前記複数の第2ノズルの吐出口が形成された第2吐出面を有しり、
前記第1吐出面に付着したインクを拭き取る第1ワイパと、
前記第2吐出面に付着したインクを拭き取る前記第1ワイパとは異なる第2ワイパとをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記インク吐出ヘッドと前記第1ワイパとは、前記第1方向及び前記第2方向に相対移動可能に構成されており、
前記インク吐出ヘッドと前記第2ワイパとは、前記第1方向及び前記第2方向に相対移動可能に構成されており、
前記制御手段は、前記第2ワイパが、前記第2吐出面に対して前記第2方向に相対移動することによって、前記第2吐出面に付着したインクを拭き取るように、前記第2ワイパ及び前記往復移動手段の少なくとも一方の動作を制御することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記往復移動手段は、前記第1方向及び第2方向に往復移動するキャリッジを含み、
前記キャリッジは、前記第1インク吐出ヘッドが一体に設けられているとともに、前記認証用インクが充填されたインクタンクと一体化された第2インク吐出ヘッドが着脱可能な第2インク吐出ヘッド着脱部を有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記キャリッジは、前記第1インク吐出ヘッドに供給する画像形成用インクが充填されたインクカートリッジが着脱可能なカートリッジ着脱部をさらに有していることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2インク吐出ヘッド着脱部は、前記識別用インク以外のインクを吐出する第3インク吐出ヘッドが着脱自在となるように構成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第2インク吐出ヘッド着脱部に前記第3インク吐出ヘッドが装着されたときに、前記往復移動手段が前記キャリッジを前記第1方向及び前記第2方向のいずれの方向に移動させるときにも、前記第3インク吐出ヘッドからのインクの吐出を許容するように前記往復移動手段及び前記第3インク吐出ヘッドの動作を制御することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−238773(P2008−238773A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86606(P2007−86606)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】