説明

画像形成装置

【課題】コストアップを招来することなく、感光体ドラムの短命化を防止することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】、レーザ出力制御部48は、前記トナー集中部位にトナーが付着されると判断されたときには、光学ユニット23によるレーザ光の出力開始タイミングに関し、図5に示すように、前記トナー集中部位へのトナーの付着を回避できる遅延時間Δtを算出し、レーザ光の出力開始タイミングを前記所定のタイミングに対して前記遅延時間Δtだけ遅延させたタイミングT2’で光学ユニット23によるレーザ光の出力を開始させる。これにより、感光体ドラム22の表面に対するレーザ光の照射位置を、全体的に、前記遅延時間Δtと感光体ドラム22の回転速度Vとにより決定するシフト量Δxだけ感光体ドラム22の周方向にシフトする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラムの表面に形成したトナー像を、該感光体ドラムの回転に同期して搬送した用紙に転写することにより、前記用紙に画像を形成する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、一般的に、軸心回りに回転している感光体(感光体ドラム)の周面近傍に設置された帯電器による放電動作により、感光体の周面に帯電処理を施し、この帯電処理が施された感光体の周面に露光装置から画像情報に基づく光が照射され、光が当たった部分の帯電状態の消滅によって静電潜像が形成され、この静電潜像に向けて現像装置からトナーが供給されることにより、感光体の周面にトナー像が形成され、このトナー像が用紙に転写される構成を有している。
【0003】
下記特許文献1には、この種の構成を有する画像形成装置において、前記転写後の感光体の表面にトナーが残存し、この残存するトナーの蓄積量が多くなると、クリーニングブレードによる残存トナーの除去動作によって感光体表面に作用する負荷が増大し、感光体ドラムの表面の劣化を招くことを課題として、トナー粒子表面に液体潤滑剤を有すると共に磁性粉を10〜200重量部含有するトナーを用いる技術が提案されている。
【特許文献1】特開2000−75527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1では、トナーに液体潤滑剤や磁性粉を添加する必要があるため、その分、トナーのコストアップを招来する。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、コストアップを招来することなく、感光体ドラムの短命化を防止することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、像担持体と、前記像担持体の表面にトナー像を形成するトナー像形成部と、前記像担持体の表面における各部位に付着されたトナーの累計値を前記部位毎に分けて更新的に記憶する記憶部と、前記像担持体の表面にトナー像を新たに形成する必要が生じたとき、前記像担持体の表面における各部位のうち、前記記憶部に記憶されているトナーの累計値が該累計値についての閾値を超える部位をトナー集中部位として抽出し、前記新たに実行する予定のトナー像の形成によって、前記トナー集中部位にトナーが付着される予定であるか否かの判断を行う判断部と、前記判断部により前記トナー集中部位にトナーが付着される予定でないと判断されたときには、前記像担持体の表面の予め定められた通常形成位置にトナー像を形成する指示を前記トナー像形成部に出力し、前記トナー集中部位にトナーが付着される予定であると判断されたとき、前記像担持体の表面に対するトナー像の形成位置を、前記通常形成位置に対してシフトさせる指示を前記トナー像形成部に出力する変更指示部とを備える画像形成装置である。
【0007】
この発明によれば、トナー集中部位にトナーが付着される予定であると判断されたときには、像担持体の表面に対するトナー像の形成位置を、前記通常形成位置に対してシフトさせるようにしたので、トナー集中部位にトナーが付着されるのを回避することが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記像担持体の表面における予め定められた位置を基準位置として検出する検出部を備え、前記判断部は、前記検出部により検出された基準位置を基準として前記像担持体の表面における各部位の位置を把握するものである。
【0009】
この発明によれば、前記像担持体の表面における予め定められた位置を基準位置として検出する検出部を備え、前記判断部は、前記検出部により検出された基準位置を基準として前記像担持体の表面における各部位の位置を把握するようにしたので、前記像担持体の表面に新たにトナー像を形成する必要が生じたとき、前記判断部は、前記検出部により検出された前記基準位置に基づいて、前記像担持体の表面における各部位と前記トナーの累計値及び付着予定のトナー量との関係を検出することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記像担持体の表面に形成されたトナー像が用紙に転写される転写位置に用紙を搬送する用紙搬送機構と、前記変更指示部によるトナー像の形成位置のシフト量に応じて、前記用紙搬送機構による用紙搬送速度を調整する用紙搬送制御部とを備えるものである。
【0011】
この発明によれば、変更指示部によるトナー像の形成位置のシフト量に応じて、前記用紙搬送機構による用紙搬送速度を調整するようにしたので、像担持体の表面に対するトナー像の形成位置を、前記通常形成位置に対してシフトさせた場合であっても、トナー像の用紙上における位置を、前記通常形成位置にトナー像を形成した場合と略同一にすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トナー集中部位にトナーが付着されるのを回避することが可能となるため、局部的にトナーが集中することで感光体ドラムが短命化するのを防止又は抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1は、複合機の内部構成を示す側面図である。複合機1は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能等の機能を兼ね備えたものであり、本体部2と、本体部2の左方に配設されたスタックトレイ3と、本体部2の上部に配設された原稿読取部4と、原稿読取部4の上方に配設された原稿給送部5とを有している。
【0014】
また、複合機1のフロント部には、操作部6が設けられている。この操作部6には、ユーザが印刷実行指示を入力するためのスタートキー7と、印刷部数等を入力するためのテンキー8と、各種複写動作の操作ガイド情報等を表示し、これら各種設定入力用にタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等からなる表示部9と、表示部9で設定された設定内容等をリセットするリセットキー10と、実行中の印刷(画像形成)動作を停止させるためのストップキー11と、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を切り換えるための機能切換キー12とが備えられている。
【0015】
原稿読取部4は、CCD(Charge Coupled Device)センサ及び露光ランプ等からなるスキャナ部13と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台14及び原稿読取スリット15とを備える。スキャナ部13は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台14に載置された原稿を読み取るときは、原稿台14に対向する位置で原稿面に沿って移動され、原稿画像を走査しつつ取得した画像データを制御部35(図2参照)へ出力する。また、原稿給送部5により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット15と対向する位置に移動され、原稿読取スリット15を介して原稿給送部5による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、その画像データを制御部35へ出力する。
【0016】
原稿給送部5は、原稿を載置するための原稿載置部16と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部17と、原稿載置部16に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット15に対向する位置へ搬送し、原稿排出部17へ排出するための給紙ローラや搬送ローラ(図示せず)等からなる原稿搬送機構18を備える。
【0017】
また、原稿給送部5は、その前面側が上方に移動可能となるように本体部2に対して回動自在に設けられている。原稿給送部5の前面側を上方に移動させて原稿台14上面を開放することにより、原稿台14の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等を操作者が載置できるようになっている。
【0018】
本体部2は、複数の給紙カセット19と、給紙カセット19から用紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部21へ搬送する給紙ローラ20と、給紙カセット19から搬送されてきた用紙に画像を形成する画像形成部21とを備える。
【0019】
画像形成部21は、スキャナ部13で取得された画像データに基づきレーザ光等を出力して感光体ドラム22を露光し、該感光体ドラム22の表面に静電潜像を形成する光学ユニット23と、静電潜像が形成された感光体ドラム22の表面にトナーを付着することによりトナー像を形成する現像部24と、感光体ドラム22上のトナー像を用紙に転写する転写部25と、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる一対のローラ26,27からなる定着装置28と、画像形成部21内の用紙搬送路中に設けられ、用紙をスタックトレイ3又は排出トレイ29まで搬送する搬送ローラ対30,31と、レジストローラ対50,51とを備える。
【0020】
感光体ドラム22の表面に形成されたトナー像が用紙に転写される位置を転写位置というものとすると、レジストローラ対50,51は、前記転写位置の手前の所定位置に設置され、感光体ドラム22の表面に形成されたトナー像の位置と用紙の位置との位置合わせを行うためのローラ対であり、前記位置合わせを行うべく例えば用紙の搬送動作を前記転写位置の手前で所定時間停止させた上で用紙を前記転写位置に向けて搬送する。
【0021】
また、用紙の両面に画像を形成する場合は、画像形成部21で用紙の一方の面に画像を形成した後、この用紙を排出トレイ29側の搬送ローラ対30にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ対30を反転させて用紙をスイッチバックさせ、用紙を用紙搬送路32に送って画像形成部21の上流域に再度搬送し、画像形成部21により他方の面に画像を形成した後、用紙をスタックトレイ3又は排出トレイ29に排出する。
【0022】
図2は、複合機1の電気的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、複合機1は、原稿読取部4、画像処理部33、画像形成部21、定着装置28、データメモリ34、制御部35、操作部6、ファクシミリ通信部36、ネットワークI/F部37、パラレルI/F部38、シリアルI/F部39及びHDD(ハードディスクドライブ)40を備えて構成されている。
【0023】
前記原稿読取部4、画像処理部33、データメモリ34、制御部35、操作部6及びネットワークI/F部37によって、取り込んだ画像データを予め指定されたIPアドレスへ送信するネットワークスキャナ機能が実現される。また、前記原稿読取部4、画像処理部33、画像形成部21、データメモリ34、制御部35、操作部6及びファクシミリ通信部36によって、ファクシミリ機能が実現される。さらに、前記画像処理部33、画像形成部21、制御部35、操作部6、ネットワークI/F部37及びパラレルI/F部38によって、プリンタ機能が実現される。また、前記原稿読取部4、画像処理部33、画像形成部21、制御部35及び操作部6によって、コピー機能が実現される。
【0024】
操作部6は、図1に示す操作部6に相当するものであり、ユーザがコピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能及びスキャナ機能等に関する操作を行うために使用され、ユーザによる操作命令(コマンド)等を制御部35に与えるものである。操作部6は、タッチパネル等を有する表示部9と、前述のスタートキー7やテンキー8等を含む操作キー部41とを含む。操作キー部41は、ユーザによるコピー実行開始指令、あるいはファクシミリ送信開始指令といった種々の指示入力を行うために用いられるとともに、後述するように、スリープモード(印刷待機時)等からの定着装置28の復帰動作(立ち上げ動作)に関する内容をユーザが設定する入力を行うために用いられる。
【0025】
原稿読取部4は、図1に示す原稿読取部4に相当するものであり、原稿の画像を光学的に取得して画像データを生成するものである。
【0026】
画像処理部33は、画像データに対する各種画像処理を行うものである。例えば、画像処理部33は、原稿読取部4による読取動作によって得られた画像データに対して、レベル補正、γ補正等の所定の補正処理、画像データの圧縮または伸張処理、拡大または縮小処理等の種々の画像処理(加工処理)を行う。画像処理部33は、図略の画像メモリを含み、処理された画像データ等をこの画像メモリに記憶したり、画像形成部21、ファクシミリ通信部36又はネットワークI/F部37等へ出力したりする。
【0027】
画像形成部21は、前述の画像形成部21に相当するものであり、原稿読取部4によって読み取られた原稿の画像データ、ネットワークI/F部37を介して外部のパーソナルコンピュータ等から受信した画像データ及びファクシミリ通信部36によって外部のファクシミリ装置から受信したファックスデータ等の画像データに対する画像を所定の用紙に印刷するものである。
【0028】
データメモリ34は、ファクシミリ通信を行う時の短縮釦登録の相手先名称やファクシミリ番号を予め記憶している記憶手段であり、また、ネットワークスキャナとして使用される際の送信相手先のIPアドレスなども予め記憶している。
【0029】
制御部35は、図略のCPU(Central Processing Unit:中央演算処理部)に、そのCPUの動作を規定するプログラムを格納するRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、並びに一時的にデータを保管するRAM等の記憶部などの周辺装置を有している。これによって、制御部35は、操作部6等で受け付けられた指示情報や、複合機1の各所に設けられているセンサからの検出信号に応じて、該複合機1全体の制御を行う。より具体的には、制御部35は、スキャナコントローラ42、ファクシミリコントローラ43、プリンタコントローラ44及びコピーコントローラ45として機能する。
【0030】
制御部35としてのコンピュータが読み取ることによって上述の各機能を実現するためのプログラムは、HDD40等の不揮発性且つ大容量の外部記憶装置に格納しておき、前記RAM等の主記憶装置に適宜転送することで、CPUによる実行に供することも可能である。前記プログラムは、ROM或いはCD−ROM等の記録媒体を通じて供給することも、ネットワークI/F部37に接続されるネットワーク等の伝送媒体を通じて供給することも可能である。伝送媒体は、有線の伝送媒体に限らず無線の伝送媒体であってもよい。また、伝送媒体には、通信線路のみでなく、通信線路を中継する中継装置、例えばルータ等の通信リンクをも含む。
【0031】
プログラムがROMを通じて供給される場合には、当該プログラムが記録されたROMを制御部35に搭載することによって、CPUによる実行に供することができる。プログラムがCD−ROMを通じて供給される場合には、CD−ROM読み取り装置を、例えばパラレルI/F部38へ接続し、当該プログラムをRAM或いはHDD40へ転送することによって、CPUによる実行に供することができる。また、プログラムが伝送媒体を通じて供給される場合には、ネットワークI/F部37を通じて受信したプログラムをRAM或いはHDD40へ転送することによって、CPUによる実行に供することができる。
【0032】
スキャナコントローラ42は、スキャナ機能を実現するために用いられる各部の動作を制御するものである。ファクシミリコントローラ43は、ファクシミリ機能を実現するために用いられる各部の動作を制御するものである。プリンタコントローラ44は、プリンタ機能を実現するために用いられる各部の動作を制御するものである。コピーコントローラは、コピー機能を実現するために用いられる各部の動作を制御するものである。
【0033】
ファクシミリ通信部36は、符号化/復号化部(図示せず)、変復調部(図示せず)及びNCU(Network Control Unit:図示せず)を含み、原稿読取部4によって読み取られた原稿の画像データを電話回線やインターネット回線を介して他のファクシミリ装置へ送信したり、他のファクシミリ装置から送信されてきた画像データを受信したりするものである。前記符号化/復号化部は、送信する画像データを圧縮・復号化し、受信した画像データを伸張・復号化するものであり、変復調部は、圧縮・復号化された画像データを音声信号に変調したり、受信した信号(音声信号)を画像データに復調したりするものである。また、NCUは、送信先となるファクシミリ装置との電話回線による接続を制御するものである。
【0034】
ネットワークI/F部37は、ネットワークインターフェース(例えば10/100base-TX)等を用い、ネットワークを介して接続されたユーザ側サーバとの間での種々のデータの送受信を制御するものである。また、ネットワークにパーソナルコンピュータ等の図示しない1または複数の端末装置が接続されている場合に、ネットワークI/F部37はこれらの端末装置との間での種々のデータの送受信を制御する。例えば、ネットワークI/F部37は、原稿読取部4によって読み取られた原稿画像データを端末装置へ送信したり、画像形成部21で印刷するために端末装置から送られた画像データを受信したりする。
【0035】
パラレルI/F部38は、高速双方向パラレルインターフェイス(例えばIEEE1284準拠)等を用いて、複数の信号線を用いて複数ビット単位でデータを送信するパラレル伝送によって、外部機器等から印刷データ等を受信するものである。シリアルI/F部39は、シリアルインターフェイス(例えばRS−232C)等を用い、単一の信号線を用いて1ビットずつ順次データを送るシリアル伝送によって、外部機器等から種々のデータ等を受信等するものである。
【0036】
HDD40は、原稿読取部4によって読み取られた画像データやネットワークを介して送信されてきた画像データ、あるいは当該画像データに設定されている出力形式等を記憶するものである。HDD40に記憶されている画像データは、該複合機1で使用されるだけでなく、ネットワークI/F部37を介して端末装置によって確認されたり、端末装置の所定のフォルダへ転送されることによって、該端末装置での使用に供されたりする。
【0037】
なお、複合機1では、上述の各機能を組み合わせて種々の機能が実現される。例えば、スキャナ機能として、PC送信機能、E−mail送信機能、FAX送信機能等が実現されてもよい。ここで、PC送信機能とは、原稿から読み取った画像データを、ネットワークを介して任意の端末装置等へ直接送信する機能である。E−mail送信機能とは、原稿から読み取った画像データを電子メールの付着ファイルとして、ネットワークを介し例えば図略のSMTPサーバへ直接送信し、さらにこのSMTPサーバからネットワークを介して任意の外部端末装置等へ当該電子メールを送信することによって、原稿から読み取った画像データを電子メールの添付ファイルとして送信する機能である。FAX送信機能とは、原稿から読み取った画像データを、電話回線等を介して任意のファクシミリ装置等へ直接送信する機能である。
【0038】
基準位置検出部52は、感光体ドラム22の表面に予め設定された基準位置を検出するものであり、例えば一対の投受光器52a,52b(図4参照)を備えて構成されている。投光器52aは、感光体ドラム22の表面のうちトナー像が形成され得る領域を回避した部位に設置され、受光器52bは、感光体ドラム22に対向する部材の適所に設置されている。基準位置検出部52は、投光器52aから出力される光が受光器52bにより検出されたときに該受光器52bで生成される受光信号を検出信号として制御部35に出力する。
【0039】
複合機1は、前記基準位置検出部52から出力される検出信号に基づいて、光学ユニット23によるレーザ光の出力動作及び用紙の搬送動作を行う。以下、この点については後述する。
【0040】
用紙検出部53は、給紙カセット19から画像形成部21までの用紙搬送路L上における所定位置に設置され、該所定位置に用紙が搬送されたことを検出するものである。用紙検出部53は、詳細には図示しないが、例えば一対の投受光器を備えて構成されており、投光器から出力された光が前記所定位置に搬送された用紙によって反射され、該反射光を受光器により受光したときに受光信号を生成し、この受光信号を前記所定位置に用紙が搬送されたことを検出した旨を示す検出信号として制御部35に出力する。
【0041】
制御部35は、前記各コントローラ42〜45としての機能の他に、トナー付着総量記憶部46、判断部47、レーザ出力制御部48及び用紙搬送制御部49としての機能を有する。
【0042】
トナー付着総量記憶部46は、感光体ドラム22の表面における各位置に付着されたトナーの総量(累計値)を更新的に記憶するものである。例えば感光体ドラム22の表面における或る位置に着目した場合に、その注目位置に対して現在までの間に付着されたトナーの総量が「100」であったとすると、トナー付着総量記憶部46は、このトナー総量「100」を記憶している。そして、新たに画像形成動作が発生すると、トナー付着総量記憶部46は、その画像形成動作で前記注目位置に付着したトナー量が「2」であったときには、記憶するトナー総量を、前記トナー総量「100」に今回付着したトナー量「2」を加えた「102」に更新して記憶する。
【0043】
トナー付着総量記憶部46は、このように感光体ドラム22の表面における各位置について付着されたトナーの総量を更新的に記憶し、図3に示すようなヒストグラムを作成する。図3に示すヒストグラムは、感光体ドラム22の表面における各部位の位置を、前記基準位置検出部52の投光器52aの設置位置を原点とする、主走査方向(感光体ドラム22の回転軸方向)及び副走査方向(感光体ドラム22の周方向)における位置で表し、前記主走査方向の位置、副走査方向の位置及びトナーの総量をそれぞれ次元とする3次元座標系を設定して、前記各部位におけるトナーの総量を棒グラフで表したものである。トナー付着総量記憶部は、このようなヒストグラムを、画像形成動作を行うたびに更新して記憶する。なお、前記副走査方向の位置は、投光器52aの存在を検出した時点からの経過時間及び感光体ドラム22の回転速度を用いて検出することができる。
【0044】
判断部47は、感光体ドラム22の表面のうち、トナー付着総量が多い部位(以下、トナー集中部位という)が存在するか否かを判断するとともに、トナー集中部位が存在すると判断した場合、新たな画像形成動作を行う必要が生じたときに前記トナー集中部位に、その新たな画像形成動作によってトナーの付着が行われないか否かを判断するものである。図3の矢印Pは、トナー集中部位を示している。
【0045】
判断部47は、まず、トナー付着総量記憶部46に記憶されたヒストグラムに基づきトナー集中部位の存在の有無を判断する。そして、判断部47は、トナー集中部位が存在すると判断すると、感光体ドラム22の表面のうち例えば図3の矢印Pで示すトナー集中部位(の位置)を予め検出(把握)しておく。このトナー集中部位の検出方法としては、例えばトナー付着総量について予め設定された閾値を超える部位を前記トナー集中部位として検出する方法が一例として想定される。そして、判断部47は、新たに画像形成動作の必要が生じると、該画像形成動作によって前記トナー集中部位にトナーが付着されることとなるか否かを判断する。
【0046】
ここで、複合機1においては、前記トナー集中部位が存在していない場合、図5に示すように、基準位置検出部52から出力された受光信号の受信タイミングT1から予め定められた時間経過後のタイミングT2で光学ユニット23によるレーザ光の出力を開始する。また、前記タイミングT2から所定時間経過後のタイミングT3に、用紙を前記転写位置へ到達させる。以上の動作を通常動作という。
【0047】
判断部47は、前記トナー集中部位が存在している場合、前述の通常動作に基づいて光学ユニット23によりレーザ光を出力すると、このトナー集中部位にトナーが付着されることとなるか否かを判断する。すなわち、前記通常動作に基づいて感光体ドラム22の表面に対してレーザ光の出力動作を行うと、図4(a)に示すように、原稿上の矢印Qで示す位置の画像に対応するトナー像が図4(b)の矢印Rで示す位置に形成される場合において、判断部47は、この矢印Rで示す位置が図3の矢印Pで示すトナー集中部位に一致するか否かを判断する。
【0048】
レーザ出力制御部48は、光学ユニット23によるレーザ光の出力動作を制御するものである。具体的には、レーザ出力制御部48は、判断部47により前記トナー集中部位が存在しない、又は前記トナー集中部位にトナーが付着される予定ではないと判断されたときには、前述した通常動作が行われるように光学ユニット23によるレーザ光の出力動作を制御する。
【0049】
一方、レーザ出力制御部48は、前記トナー集中部位にトナーが付着されると判断されたときには、光学ユニット23によるレーザ光の出力開始タイミングに関し、図5に示すように、前記トナー集中部位へのトナーの付着を回避できる遅延時間Δt(例えば1ライン分に相当する遅延時間)を算出し、レーザ光の出力開始タイミングを前記所定のタイミングに対して前記遅延時間Δtだけ遅延させたタイミングT2’で光学ユニット23によるレーザ光の出力を開始させる。これにより、感光体ドラム22の表面に対するレーザ光の照射位置が、全体的に、前記遅延時間Δtと感光体ドラム22の回転速度Vとにより決定するシフト量Δxだけ感光体ドラム22の周方向にシフトされる。その結果、図4(a)の矢印Qで示す画像に対応するトナー像が、図4の矢印Rで示すトナー集中部位から前記シフト量Δxだけ周方向にずれた例えば図4(b)の矢印Wで示す位置に形成されることとなる。
【0050】
用紙搬送制御部49は、前記用紙搬送路L上に設置されているレジストローラ対50,51の回転駆動を行うモータの動作を制御するものである。用紙搬送制御部49は、判断部47により前記トナー集中部位が存在しない又は前記トナー集中部位にトナーが付着されることにはならないと判断されたときには、前述の通常動作に従った用紙搬送動作を行う。
【0051】
一方、用紙搬送制御部49は、判断部47により前記トナー集中部位にトナーが付着されることになると判断されたときには、用紙の搬送動作を前記遅延時間Δtと同じ時間だけレジストローラ対50,51による用紙搬送停止時間を増やした後、用紙の搬送動作を再開させる動作を行う。
【0052】
図6は、制御部35による画像形成処理を示すフローチャートである。図6に示すように、操作部6によるコピー指示或いは外部機器等から画像データの受信により画像形成動作を行う必要が生じると、制御部35は、前記所定位置に用紙が搬送されたことを示す検出信号を用紙検出部53から受信したか否かを判断する(ステップ♯1)。制御部35は、前記検出信号が未受信の場合には待機し(ステップ♯1でNO)、前記検出信号を受信すると(ステップ♯1でYES)、用紙の搬送を停止してステップ♯2の処理に進む。
【0053】
制御部35は、トナー集中部位が存在しない場合には(ステップ♯2でNO)、図5に示す通常動作を実行する(ステップ♯6)一方、トナー集中部位が存在する場合には(ステップ♯2でYES)、基準位置検出部52から検出信号が出力されるのを待機し(ステップ♯3でNO)、前記検出信号を受信すると(ステップ♯3でYES)、前記通常動作を行った場合に前記トナー集中部位にトナーが付着されることになるか否かの判断を行う(ステップ♯4)。
【0054】
制御部35は、前記トナー集中部位にトナーが付着されることにはならないと判断したときには(ステップ♯4でNO)、前記通常動作を実行する(ステップ♯6)一方、前記トナー集中部位にトナーが付着されることになると判断したときには(ステップ♯4でYES)、後述するトナー集中回避動作を実行する(ステップ♯5)。そして、ステップ♯5又は♯6の処理後、制御部35は、今回の画像形成動作によって感光体ドラム22の各部位に付着されたトナーの付着量をそれらの部位ごとに累計し、該累計後の付着量(前記ヒストグラム)を記憶する(ステップ♯7)。
【0055】
図7は、図6に示すトナー集中回避動作を示すフローチャートである。図7に示すように、制御部35は、前記トナー集中部位へのトナーの付着を回避できる前記遅延時間Δtを算出し(ステップ♯11)、光学ユニット23によるレーザ光の出力開始タイミング及び転写位置への用紙の到着タイミングをそれぞれ前記遅延時間Δtだけ延期(遅延)させる(ステップ♯12)。そして、制御部35は、転写位置に到達した用紙に対して感光体ドラム22の表面に形成されたトナー像の転写動作を行わせる(ステップ♯13)。
【0056】
以上のように、感光体ドラム22の表面における各部位のうち、過去にトナーが多量に付着されている部位(トナー集中部位)には、その部位へのトナーの付着を回避するようにしたので、トナーの付着総量が感光体ドラム22表面の部位毎に偏ることにより、感光体ドラム22表面が局部的に劣化し、感光体ドラム22が短命化するのを抑制又は防止することができる。
【0057】
本件は、前記実施形態に限らず、又は前記実施形態に代えて次の変形形態も採用可能である。
【0058】
[1]前記実施形態では、トナー集中部位にトナーが付着されると判断されたときに、シフト量Δxだけ感光体ドラム22の周方向にレーザ光の照射位置をシフトさせるようにしたが、感光体ドラム22が軸方向に十分な長さを有する場合には、前記通常動作で形成されるトナー像の縦横が入れ替わるように光学ユニット23によるレーザ光の出力動作を制御して、前記トナー集中部位へのトナーの付着を回避するようにしてもよい。
【0059】
すなわち、前記通常動作では、例えば図8(a),(b)に示すように、原稿の横方向が感光体ドラム22の周方向(副走査方向)に対応し、前記原稿の縦方向が感光体ドラム22の軸方向(主走査方向)に対応する場合には、制御部35は、トナー集中部位にトナーが付着されると判断したときに、図8(c)に示すように、原稿の縦方向を感光体ドラム22の軸方向(主走査方向)に対応させ、原稿の横方向を感光体ドラム22の周方向(副走査方向)に対応させるように光学ユニット23によるレーザ光の出力動作を制御するようにしてもよい。
【0060】
[2]前記基準位置検出部52は、一対の投受光器で構成されるものに限らず、例えば永久磁石及びホール素子とを備えて構成されるものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る画像処理装置の一例である複合機の内部構成を概略的に示す側面図である。
【図2】複合機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】感光体ドラム表面の各部位におけるトナー付着総量を示すヒストグラムである。
【図4】(a)は、原稿に形成された画像を示す図であり、(b)は、(a)で示す画像に対応する感光体ドラム表面上に形成されたトナー像を示す図である。
【図5】(a)は、通常の画像形成動作を示すタイムチャートであり、(b)は、トナー集中を回避する場合の画像形成動作を示すタイムチャートである。
【図6】制御部による画像形成処理を示すフローチャートである。
【図7】図6に示すトナー集中回避動作を示すフローチャートである。
【図8】変形形態の説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1 複合機
21 画像形成部
22 感光体ドラム
23 光学ユニット
24 現像部
25 転写部
52 基準位置検出部
52a 投光器
52b 受光器
53 用紙検出部
33 画像処理部
35 制御部
46 トナー付着総量記憶部
47 判断部
48 レーザ出力制御部
49 用紙搬送制御部
50 レジストローラ対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体の表面にトナー像を形成するトナー像形成部と、
前記像担持体の表面における各部位に付着されたトナーの累計値を前記部位毎に分けて更新的に記憶する記憶部と、
前記像担持体の表面にトナー像を新たに形成する必要が生じたとき、前記像担持体の表面における各部位のうち、前記記憶部に記憶されているトナーの累計値が該累計値についての閾値を超える部位をトナー集中部位として抽出し、前記新たに実行する予定のトナー像の形成によって、前記トナー集中部位にトナーが付着される予定であるか否かの判断を行う判断部と、
前記判断部により前記トナー集中部位にトナーが付着される予定でないと判断されたときには、前記像担持体の表面の予め定められた通常形成位置にトナー像を形成する指示を前記トナー像形成部に出力し、前記トナー集中部位にトナーが付着される予定であると判断されたとき、前記像担持体の表面に対するトナー像の形成位置を、前記通常形成位置に対してシフトさせる指示を前記トナー像形成部に出力する変更指示部と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体の表面における予め定められた位置を基準位置として検出する検出部を備え、
前記判断部は、前記検出部により検出された基準位置を基準として前記像担持体の表面における各部位の位置を把握する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体の表面に形成されたトナー像が用紙に転写される転写位置に用紙を搬送する用紙搬送機構と、
前記変更指示部によるトナー像の形成位置のシフト量に応じて、前記用紙搬送機構による用紙搬送速度を調整する用紙搬送制御部と
を備える請求項1または2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−292938(P2008−292938A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140673(P2007−140673)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】