説明

画像形成装置

【課題】 記録媒体送出機能を損なうことなく記録媒体送出時の騒音の発生が抑制された画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 用紙上にトナー像を形成する像形成部と、トナー像を加熱して定着させる定着器と、用紙の幅方向に間隔をおいて配置された複数の個別ローラ51aからなる排紙ローラ51と、排紙ローラ51を構成する複数の個別ローラ51aとは回転軸方向の異なる位置に間隔をおいて配置された複数の個別ローラ52aからなるコルゲーションローラ52とから構成された、定着後の用紙Pを、用紙幅方向の断面を波形に変形させながら送り出す送出部50と、定着器から送出部50に到る、用紙の厚さ方向に湾曲した案内路に沿って用紙Pを案内する、その案内路の終端側で、上記波形の凹部と凸部との間隔よりも狭い幅の複数の短冊状部分60bに分かれているガイド部材60とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複写機やプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機やプリンタなどの画像形成装置では、通常、紙やプラスチックスなどのシート状の記録媒体(以下、用紙という)上に形成したトナー像を加熱して用紙に定着させるための定着器、および定着器による定着処理を受けた用紙を機外に送り出すための送出部が用いられる。
【0003】
このような画像形成装置において、定着器の熱により用紙がカールし、排紙トレイに排出された用紙がきちんと整列した状態で収容されないという問題を起こすことがある。特に用紙の搬送方向に湾曲するカールが生じた場合には用紙は排紙トレイに整然と収容されず、カールの度合いが大きい場合には、前の用紙と後の用紙とが衝突して用紙が折り曲がったり、用紙が排紙トレイから落下したりすることもある。
【0004】
このような不具合を改善するために、画像形成装置の排紙口近傍に設けられた、対向する一対のローラからなる送出部の一方のロールを、径の大きなコルゲーションローラとし、用紙の幅方向断面を波形に変形させることによって用紙の搬送方向の曲げこわさ(腰の強さ)を増加させて排紙時のカール発生を抑制するという方法が知られている。
【0005】
図8は、従来の画像形成装置における送出部を示す図である。
【0006】
図8に示すように、この送出部5は、用紙幅方向に間隔をおいて配置された複数の個別ローラ5_1aからなる排紙ローラ5_1と、該排紙ローラを構成する複数の個別ローラとは回転軸方向の異なる位置に間隔をおいて配置された複数の個別ローラ5_2aからなるコルゲーションローラ5_2とから構成された一対のローラから構成されている。
【0007】
用紙は、排紙ローラ5_1とコルゲーションローラ5_2とが互いに接触することにより形成されるニップ部Nを通過することにより、用紙幅方向断面を波形に変形させながら送り出される。
【0008】
図9は、図8に示す送出部5から排紙される用紙を示す図である。
【0009】
上流側から矢印方向に搬送されてきた用紙Pは、用紙ガイド(図示せず)によって送出部5に送り込まれ、排紙ローラ5_1およびコルゲーションローラ5_2によって用紙進行方向と交わる用紙の幅方向断面を波形に変形させながら送り出される。
【0010】
しかしながら、図8、9に示す送出部を用いた場合には、用紙の搬送方向の曲げこわさが大きくなることから次のような問題を起こすことがある。すなわち、送出部は定着器よりも下流側で、かつ画像形成装置上部の排紙口近傍に配置する必要があるため、このような配置のもとでコンパクトなサイズの画像形成装置を設計しようとすると、定着器から送出部までの用紙搬送路をきつい湾曲形状にしなければならないことがある。
【0011】
図10は、従来の画像形成装置の用紙送出部の一例を示す図である。
【0012】
図10には、定着器4を経由して進んできた用紙Pを、定着器4から送出部5に到る湾曲した用紙案内路8に沿って案内する用紙ガイド6と、用紙ガイド6による案内機能を補助する補助ガイド7と、用紙ガイド6によって案内された用紙Pを排紙トレイ9に向かって送り出す送出部5と、送出部5から送り出された用紙を収容する排紙トレイ9とを有する画像形成装置1が示されている。
【0013】
この画像形成装置1では、用紙Pが湾曲した用紙ガイド6を通過するときに用紙Pの後端が用紙ガイド6に強く押し付けられて擦過音と呼ばれる騒音が発生する。
【0014】
さらに、送出部5に、コルゲーションローラ5_2(図8,10参照)を備えた送出部を用いた場合には、用紙はコルゲーションローラにより用紙幅方向に波打ち状に変形され、搬送方向の曲げこわさが大きくなっているので、通常の送出部に比べて、桁違いに大きな押し付け力が用紙に作用し、非常に大きな擦過音が発生する。
【0015】
また、用紙ガイド6に強く押し付けられていた用紙後端は、用紙ガイド6の端部6aで急激に弾かれるため、後端はね音と呼ばれる衝撃性の騒音が発生する。
【0016】
これらの擦過音や後端はね音はユーザにとって不快な衝撃性の騒音であるためこれを軽減することが強く望まれている。
【0017】
そこで、これらの騒音を軽減するために、次のような用紙搬送装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0018】
図11は、従来の、後端はね音が軽減された用紙搬送装置の概要図である。
【0019】
図11には、装置本体の用紙搬送路91に、上部ガイド板92と2つの揺動ガイド板93,94とを組み合わせた湾曲案内部を設けた用紙搬送装置が示されている。用紙搬送路91上流側の送出しローラ装置95は用紙を高速で搬送し、下流側の搬送ローラ装置96は、比較的低速で用紙搬送作用を行うようになっている。
【0020】
この用紙搬送路91では、上下流のローラ装置により、用紙は湾曲した形状となって搬送される。揺動ガイド板93は支軸93aに支持され、スプリング97により時計方向に付勢されている。揺動ガイド板94は支軸94aに支持され、スプリング97により反時計方向に付勢されている。
【0021】
2つの揺動ガイド板93,94は、それぞれの支軸93a,94aを介して揺動可能に支持され、用紙を湾曲させながら案内する。スプリング97の表面には、用紙を円滑に案内するようプラスチック製のシート98が貼付されている。シート98は、用紙が湾曲案内部を通過する際に、用紙に摺動する状態で用紙を案内し、用紙が湾曲状に変形する際に、用紙からの押圧力を2つの揺動ガイド板93,94が受けるようになっている。従って、用紙の変形が大きくなるに従い、揺動ガイド板93,94はそれぞれ揺動して用紙の圧力を逃がすように作用する。このように、揺動ガイド板93,94は用紙の変形に応じて揺動することにより、用紙が揺動ガイド板93,94を急激に叩いたりすることがなく、後端はね音が軽減される。
【特許文献1】特開平07−315622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかし、上記特許文献1に開示された方法では、用紙の後端はね音を軽減させることはできるものの、装置のレイアウトによっては揺動ガイド板の角度が一定していないため、用紙先端を次の部位に案内する用紙案内機能に支障をきたすことがある。すなわち、画像形成装置の用紙排紙部に適用しようとした場合には定着器から排出された用紙の先端を送出部のニップ部に案内する精度が低いために、用紙ジャムを誘発するおそれがあり、用紙排紙部に適用することは難しい。
【0023】
また、画像形成装置の用紙排紙部では、送出部から排出された用紙が排紙トレイ上にきちんと積み重ねられるようにする必要があり、そのためには用紙が丸まったり垂れ下がったりせずにまっすぐに排紙トレイに押し出される必要があるが、定着器から送出部までの用紙案内路が湾曲した形状となっている場合には、用紙は湾曲した形状となって排出されやすく排紙トレイ上にきちんと積み重ねることは難しい。
【0024】
また、上記特許文献1に開示された方法は揺動機構を構成する部品点数が多く、構造が複雑となるためコストアップを招きやすい。
【0025】
さらに、上記の方法では、用紙排紙部においてガイド部材と用紙とが摩擦して発生する擦過音を十分に抑制することはできない。
【0026】
本発明は、上記事情に鑑み、記録媒体送出機能を損なうことなく記録媒体送出時の騒音の発生が抑制された画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の画像形成装置は、記録媒体上にトナー像を形成する像形成部と、上記記録媒体上のトナー像を加熱することにより該記録媒体上に該トナー像を定着させる定着器と、記録媒体の幅方向に間隔をおいて配置された複数の個別ローラからなる排紙ローラと、該排紙ローラを構成する複数の個別ローラとは回転軸方向の異なる位置に間隔をおいて配置された複数の個別ローラからなるコルゲーションローラとから構成された一対のローラを有し、上記定着器によりトナー像が定着された記録媒体を、機外に、該記録媒体の幅方向断面を波形に変形させながら送り出す送出部と、上記定着器を経由して進んできた記録媒体を、該定着器から上記送出部に到る、記録媒体の厚さ方向に湾曲した案内路に沿って案内する、該案内路の終端側で、上記波形の凹部と凸部との間隔よりも狭い幅の複数の短冊状部分に分かれているガイド部材とを備えたことを特徴とする。
【0028】
なお、本発明にいう記録媒体とは、複写機やプリンタなどの画像形成装置に用いられる、紙、プラスチックスなどのシート状の媒体をいう。
【0029】
ここで、本発明のガイド部材は、可撓性を有する材料で形成されたものであることが好ましい。
【0030】
また、本発明のガイド部材は、上記複数の短冊状部分のうちの一部の短冊状部分の端部が上記記録媒体から遠ざかる方向に湾曲したものであることが好ましい。
【0031】
また、本発明のガイド部材は、上記一対のローラを回転軸方向に移動させることにより、上記記録媒体を上記送出部から送り出す位置を変更する位置変更機構を備え、上記ガイド部材は、上記短冊状部分の長辺側の縁が面取りされたものであることが好ましい。
【0032】
さらに、本発明のガイド部材は、上記短冊状部分の短辺側の縁が面取りされたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0033】
請求項1に記載の発明によれば、複数の短冊状部分が波形に変形した記録媒体の形状にならって波形となり、記録媒体によるガイド部材への押し付け力が減少し、記録媒体送出時の騒音の発生が抑制される。
【0034】
また、請求項2に記載の発明によれば、ガイド部材の個々の短冊状部分が、波形に変形した記録媒体にならった形状に変形し易く、そのため、記録媒体送出時の騒音抑制効果をさらに高めることができる。
【0035】
また、請求項3に記載の発明によれば、波形に変形した記録媒体の押し付け力を更に低減することができ、そのため、記録媒体送出時の騒音抑制効果をさらに高めることができる。
【0036】
また、請求項4に記載の発明によれば、位置変更機構が作動して上記一対のローラが回転軸方向に移動したときにも記録媒体が短冊状部分の長辺側の縁に引っかかるのを防止することができる。
【0037】
また、請求項5に記載の発明によれば、記録媒体と短冊状部分の短辺側の縁との摩擦が軽減され、記録媒体送出時の騒音、特に擦過音の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0039】
図1は、第1の実施形態の画像形成装置の全体構成図である。
【0040】
図1に示すように、この画像形成装置10は、用紙P(記録媒体)を収納し供給する給紙手段20と、帯電器30a、像形成部30b、現像部30c、転写部30dからなる、用紙P上にトナー像を形成する像形成部30と、用紙P上のトナー像を加熱することにより用紙P上にトナー像を定着させる定着器40と、用紙の幅方向に間隔をおいて配置された複数の個別ローラからなる排紙ローラおよび排紙ローラを構成する複数の個別ローラとは回転軸方向の異なる位置に間隔をおいて配置された複数の個別ローラからなるコルゲーションローラから構成された一対のローラを有し、定着器40によりトナー像が定着された用紙Pを、機外に、用紙Pの幅方向断面を波形に変形させながら送り出す送出部50と、定着器40を経由して進んできた用紙Pを、定着器40から送出部50に到る、用紙Pの厚さ方向に湾曲した案内路80に沿って案内するガイド部材60と、ガイド部材60による案内機能を補助する補助ガイド70と、送出部50から送り出された用紙Pを収容する排紙トレイ90とを備えている。
【0041】
ガイド部材60は、案内路80の終端側で、上記波形の凹部と凸部との間隔よりも狭い幅の複数の短冊状部分に分かれている。
【0042】
なお、この画像形成装置10は、前記一対のローラを回転軸方向に移動させることにより、用紙Pを送出部50から送り出す位置を変更する位置変更機構を備えており、例えば、送出部50から送り出される用紙を、排紙トレイ90上の互いに異なる複数の位置に排紙するソート機構として動作させるようになっている。
【0043】
上記送出部50、ガイド部材60、および位置変更機構の詳細については、後述する。
【0044】
図2は、第1の実施形態におけるガイド部材および送出部を示す斜視図であり、図3は、図2に示すガイド部材および送出部により用紙が排紙される状態を示す図である。
【0045】
図2には、定着器40(図1参照)から搬送されてきた用紙を案内するガイド部材60と、ガイド部材60の案内機能を補助する補助ガイド70と、用紙の幅方向に間隔をおいて配置された複数の個別ローラ51aからなる排紙ローラ51と、排紙ローラ51を構成する複数の個別ローラ51aとは回転軸方向の異なる位置に間隔をおいて配置された複数の個別ローラ52aからなるコルゲーションローラ52とから構成された一対のローラからなり、定着器40によりトナー像が定着された用紙を、機外に、用紙の幅方向断面を波形に変形させながら送り出す送出部50とが示されている。
【0046】
ガイド部材60は、定着器40を経由して進んできた用紙を、定着器40から送出部50に到る、用紙の厚さ方向に湾曲した案内路80(図1参照)に沿って案内するものであり、案内路80の終端側で、用紙に形成される波形の凹部P’と凸部P”との間隔よりも狭い幅の複数の短冊状部分60bに分かれている。
【0047】
本実施形態では、ガイド部材60として、プラスチック、樹脂、ゴム、薄肉板金などの可撓性を有する材料を用いている。
【0048】
このガイド部材60からの二次的な騒音が放射されるのを抑制するためには、振動減衰係数の大きな材質を用いることが望ましい。一般に、上記の可撓性材料の中ではゴムの振動減衰係数が最も大きく、プラスチックがこれに次ぎ、金属の振動減衰係数は小さいので、ゴムまたはプラスチックを用いることが望ましい。また、振動減衰係数の大きな薄板材料を貼り合わせ又は積層した制振板や、材料自体が高い振動減衰特性を有する液晶ポリマなどを用いてもよい。
【0049】
また、短冊状部分60bの幅は、用紙に形成される波形の凹部P’と凸部P”との間隔よりも狭い幅とする必要がある。この幅は上記波形の凹部P’と凸部P”との間隔よりも狭い幅であれば任意のサイズでよいが、短冊状部分60bに生じる曲げ反力は、短冊状部分60bの幅に比例して小さくなり、その幅が狭いほど短冊状部分60bは容易に変形するので、折れなどによる破損の恐れのない範囲でできるだけ狭いものとすることが望ましい。具体的には、一般的な用紙サイズであるA4用紙ないしA3用紙を用いる画像形成装置では、1mmから10数mmまでの幅とすることが望ましい。
【0050】
なお、短冊状部分60bの幅が、用紙Pに形成される波形の凹部P’と凸部P”の間隔よりも広い場合には、短冊状部分60bが用紙Pの凸部P”の形状にならって上方に曲がるという現象が起きなくなるので騒音抑制効果を得ることができない。
【0051】
次に、本実施形態の送出部およびガイド部材の動作について説明する。
【0052】
図3に示すように、用紙Pは、排紙ローラ51とコルゲーションローラ52により用紙の幅方向断面を波形に変形させながら排紙される。このとき、用紙Pは後端をも含めて全体が波形に変形する。用紙Pが波形に変形することにより用紙搬送方向の曲げこわさが大きくなり、用紙P後端の凸部P”がガイド部材60に強く押し付けられるが、ガイド部材60の端部60aは幅の狭い複数の短冊状部分60bに分かれているので、用紙がフラットな状態でガイド部材60に接触した場合に比べて用紙Pとガイド部材60との接触面積は数分の一から十数分の一程度に小さくなり、接触部には接触面積に反比例した大きな押し付け力が生じ、この押し付け力によってガイド部材60の短冊状部分60bのうちの、用紙P後端の凸部P”が接触した短冊状部分60cが上方に曲げられる。
【0053】
このように一部の短冊状部分60cが上方に曲げられた結果、用紙Pの波形にガイド部材60がならって接触面積が増え、用紙Pによるガイド部材60ヘの押し付け力が減少する。その結果、ガイド部材60と用紙Pとの接触による擦過音の発生が抑制される。
【0054】
また、波形に変形した用紙P後端がガイド部材60を通過する際に発生する後端はね音についても、上述のように、ガイド部材60の複数の短冊状部分60bのうちの、用紙Pが接触する短冊状部分60cが用紙Pにより上方に曲げられた結果、押し付け力が減少しているので、後端はね音の発生も抑制される。
【0055】
次に、本実施形態の画像形成装置に備えられた位置変更機構について説明する。
【0056】
図4は、第1の実施形態における位置変更機構による送出部および用紙の動作を示す図である。
【0057】
この送出部50には、用紙の送り出し位置を変更させる位置変更機構(図示せず)が備えられており、排紙ローラ51およびコルゲーションローラ52が、装置のフロント側(図面左方向)と装置のリア側(図面右方向)との間を交互に移動することにより、排紙ローラ51とコルゲーションローラ52の間に挟まれた用紙Pがこれら一対のロールに伴われて左右に移動し、用紙は排紙トレイ90(図1参照)上にソートされた状態で排紙される。
【0058】
本実施形態では、このような位置変更機構が設けられているため、ソート時には、用紙Pの波形における凹凸の箇所が変化することとなるが、複数の短冊状部分60bを有するガイド部材60は、どの箇所に波形の凹凸が来てもその波形にならう効果を発揮するので、騒音抑制効果はソートによって妨げられない。
【0059】
ここで、上記のように、複数の短冊状部分が設けられたガイド部材による用紙の案内機能について説明すると、ガイド部材60によって案内されてきた用紙Pは、送出部50に送り込まれる前は、まだ送出部50による変形を受けてはいないので、用紙の搬送方向の曲げこわさは元のままであり、特に強くはなってはおらず、また、用紙Pはフラットな状態でガイド部材60に接触するため用紙Pとガイド部材60との接触面積は大きく、用紙Pの後端がガイド部材60と接触するときと比較すると用紙の押し付け力は桁違いに小さい。そのため、ガイド部材60の全ての短冊状部分60bは変形せず元のままなので、用紙先端は送出部50の所定の位置に正しく案内される。また、送出部50から排紙トレイ90上に送り出された用紙には、波形が若干残ることがあるが、用紙は搬送方向の曲げこわさを保持しているので排紙トレイ90上にきちんと整列した状態で収容される。このように、複数の短冊状部分が設けられたガイド部材によって用紙は適切に案内されることとなる。
【0060】
ところで、本実施形態におけるガイド部材は、短冊状部分の長辺側の縁が面取りされている。
【0061】
図5は、第1の実施形態におけるガイド部材の短冊状部分の長辺側の縁が面取りされている様子を示す図である。
【0062】
図5に示すように、ガイド部材62の各短冊状部分62bの長辺側の縁62cが面取りされているので、図4に示すように、排紙ローラ51およびコルゲーションローラ52をフロント側およびリア側との間を交互に移動させて、用紙を排紙トレイ90(図1参照)上にソートされた状態で排紙する際に、排紙ローラ51およびコルゲーションローラ52のフロント側またはリア側への移動に伴われて左右に移動する用紙が、短冊状部分62bの長辺側の縁に引っかかり騒音が発生することが防止され、また、紙折れ、しわ、さらにそれに付随して起きる紙詰まりなどのトラブルの発生が回避される。
【0063】
また、本実施形態におけるガイド部材は、複数の短冊状部分の短辺側の縁63dも面取りされている。
【0064】
図6は、第1の実施形態におけるガイド部材の短冊状部分の短辺側の縁が面取りされている様子を示す図である。
【0065】
図6に示すように、ガイド部材63の各短冊状部分63bの短辺側の縁63dが面取りされているので、用紙と各短冊状部分62bの短辺側の縁との摩擦が軽減され、主に擦過音の発生が抑制される。
【0066】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0067】
この第2の実施形態の画像形成装置は、前述の第1の実施形態の画像形成装置と類似の構成を有しているが、ガイド部材の短冊状部分の形状が第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成は、第1の実施形態と同様であるので、以下では、上記ガイド部材の短冊状部分の形状について説明する。
【0068】
図7は、第2の実施形態におけるガイド部材および送出部を示す図である。
【0069】
図7に示すように、この第2の実施形態では、用紙Pの波形の凸部P”(図3参照)に対応する位置にある複数の短冊状部分61bのうちの一部の短冊状部分61cの端部が、用紙Pから遠ざかる方向に湾曲している。全ての短冊状部分61bの端部が用紙から遠ざかる方向に曲げられてしまうと用紙Pの先端を送出部50へ案内する機能が損なわれてしまうので、一部の短冊状部分61cの端部のみが湾曲している。
【0070】
このように、用紙Pの波形の凸部P”(図3参照)に対応する位置にある短冊状部分61cの端部が用紙Pから遠ざかる方向に湾曲していることにより、ガイド部材61が用紙Pの波形にならう効果が増してガイド部材61への押し付け力が低下する。このため、用紙Pの後端がガイド部材61を通り抜けるときには、用紙Pの後端はガイド部材61から緩やかに離れ、ガイド部材61が用紙Pの後端で強く弾かれることがなく、従って後端はね音の発生が抑制される。
【0071】
また、上記短冊状部分61c以外の短冊状部分61bの端部は湾曲されずにフラットのままとなっているので、用紙先端を送出部50に案内する機能が損なわれることはない。
【0072】
また、この第2の実施形態の画像形成装置には、第1の実施形態におけると同様の位置変更機構が組み込まれている。上記短冊状部分61cの用紙幅方向の配置位置は、この位置変更機構による排紙ローラ51およびコルゲーションローラ52の移動幅と関連させて設定する必要があるが、それには、次のような考え方で短冊状部分61cの配置位置を設定すればよい。
【0073】
先ず、排紙ローラ51およびコルゲーションローラ52の移動幅は、用紙に形成される波形のピッチよりも狭く設定されている。図3に示す送出部50を用いた場合には、用紙Pには3つの凸部P”を有する波形が形成されるが、これを3周期の波形と考えると、用紙幅はA4用紙で約300mmなのでピッチは約100mmとなる。一方、排紙ローラおよびコルゲーションローラの移動幅は一般に10mm〜50mm程度であり、本実施形態では、一例として20mmに設定されている。この移動幅20mmに相当する領域Z(図4参照)に、端部が湾曲した短冊状部分61cが配置されている。すなわち、図4(a)に示すように、排紙ローラ51およびコルゲーションローラ52がフロント側に移動したときの用紙Pの波形の凸部P”と、図4(b)に示すように、排紙ローラ51およびコルゲーションローラ52がリア側に移動したときの用紙Pの波形の凸部P”とが互いに重なり合う領域Zに対応する位置にある短冊状部分の端部は、図7における短冊状部分61cのように、用紙Pから遠ざかる方向に湾曲している。
【0074】
このように構成したことにより、位置変更機構によって排紙ローラ51およびコルゲーションローラ52がフロント側およびリア側のいずれの側に移動したときにも、端部が上方に湾曲した短冊状部分61cは、用紙Pの波形の凸部P”(図3参照)に対応する位置にあるので、ガイド部材61が用紙Pの波形にならって接触面積が増え、用紙Pの後端がガイド部材61を通過するときの後端はね音の発生が抑制され、かつ、位置変更機構によるローラの移動に伴う用紙の移動が、ガイド部材により妨げられることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1の実施形態の画像形成装置の全体構成図である。
【図2】第1の実施形態におけるガイド部材および送出部を示す斜視図である。
【図3】図2に示すガイド部材および送出部により用紙が排紙される状態を示す図である。
【図4】第1の実施形態における位置変更機構による送出部および用紙の動作を示す図である。
【図5】第1の実施形態におけるガイド部材の短冊状部分の長辺側の縁が面取りされている様子を示す図である。
【図6】第1の実施形態におけるガイド部材の短冊状部分の短辺側の縁が面取りされている様子を示す図である。
【図7】第2の実施形態におけるガイド部材および送出部を示す図である。
【図8】従来の画像形成装置における送出部を示す図である。
【図9】図8に示す送出部5から排紙される用紙を示す図である。
【図10】従来の画像形成装置の用紙送出部の一例を示す図である。
【図11】従来の、後端はね音が軽減された用紙搬送装置の概要図である。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置
4 定着器
5 送出部
5_1 排紙ローラ
5_1a,5_2a 個別ローラ
5_2 コルゲーションローラ
6 用紙ガイド
6a 端部
7 補助ガイド
8 用紙案内路
9 排紙トレイ
10 画像形成装置
20 給紙手段
30 像形成部
30a 帯電器
30b 像形成部
30c 現像部
30d 転写部
40 定着器
50 送出部
51 排紙ローラ
51a,52a 個別ローラ
52 コルゲーションローラ
60,61,62,63 ガイド部材
60a 端部
60b,60c,61b,62b,63b 短冊状部分
62c,63c 縁
70 補助ガイド
80 案内路
90 排紙トレイ
91 用紙搬送路
92 上部ガイド板
93,94 揺動ガイド板
93a,94a 支軸
95 送出しローラ装置
96 搬送ローラ装置
97 スプリング
98 シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上にトナー像を形成する像形成部と、
前記記録媒体上のトナー像を加熱することにより該記録媒体上に該トナー像を定着させる定着器と、
記録媒体の幅方向に間隔をおいて配置された複数の個別ローラからなる排紙ローラと、該排紙ローラを構成する複数の個別ローラとは回転軸方向の異なる位置に間隔をおいて配置された複数の個別ローラからなるコルゲーションローラとから構成された一対のローラを有し、前記定着器によりトナー像が定着された記録媒体を、機外に、該記録媒体の幅方向断面を波形に変形させながら送り出す送出部と、
前記定着器を経由して進んできた記録媒体を、該定着器から前記送出部に到る、記録媒体の厚さ方向に湾曲した案内路に沿って案内する、該案内路の終端側で、前記波形の凹部と凸部との間隔よりも狭い幅の複数の短冊状部分に分かれているガイド部材とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、可撓性を有する材料で形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記複数の短冊状部分のうちの一部の短冊状部分の端部が前記記録媒体から遠ざかる方向に湾曲したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記一対のローラを回転軸方向に移動させることにより、前記記録媒体を前記送出部から送り出す位置を変更する位置変更機構を備え、
前記ガイド部材は、前記短冊状部分の長辺側の縁が面取りされたものであることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記短冊状部分の短辺側の縁が面取りされたものであることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−120312(P2009−120312A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295480(P2007−295480)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】