説明

画像形成装置

【課題】像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】中間転写ベルト2と転写ローラ7とを近接および離間させるモータ126、押下げカム113と、中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端部の間に転写部間隙形成部材114を挿脱するソレノイド116と、中間転写ベルト2と転写ローラ7との間に用紙8を搬送するレジストローラ26、レジスト加圧ローラ27と、ソレノイド116により中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端部の間に転写部間隙形成部材114を挿入させるとともに、モータ126、押下げカム113により中間転写ベルト2と転写ローラ7とを近接させて転写部間隙形成部材114を挟み込んでから、レジストローラ26、レジスト加圧ローラ27により中間転写ベルト2と転写ローラ7との間に用紙8を搬送させる制御部104とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単葉のシート状の記録媒体へ記録する電子写真方式、静電記録方式、イオノグラフィー方式、磁気記録方式等の画像形成方式を採用した複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、より詳しくは、像担持体や中間転写体の速度変動を抑制するようにした画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像形成装置としては、像担持体上に画像が形成されないときに、像担持体を回転駆動する駆動手段からの駆動力により、像担持体と圧力ロールの少なくとも一方を移動させて圧接部の離間を行い、像担持体と圧力ロールの圧接部間に記録媒体が進入するタイミングと同期させて、像担持体と圧力ロールとを圧接させる付勢手段の付勢力を利用して圧接部の離間を解除するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、記録媒体の厚さに応じた押し下げ量で転写部材を押し下げて、像担持体と転写部材間に間隙を持たせることによって、像担持体と転写部材との圧接部に記録媒体が突入するときに発生する像担持体の速度変動を抑制するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
また、像担持体あるいは転写部材に凹溝部を設け、記録媒体の厚さよりも間隔が狭い間隙を像担持体と転写部材との圧接部に形成し、像担持体と転写部材との圧接部への記録媒体の突入時に発生する像担持体の速度変動を抑制するようにしたものが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開平6−274051号公報
【特許文献2】特開平4−242276号公報
【特許文献3】実公昭56−47639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、記録媒体が突入するまで圧接部を離間させているので、記録媒体の突入時における像担持体の回転負荷が抑制されることは期待できるが、圧接部の離間を解除する際に、像担持体、記録媒体、転写ローラ間が付勢手段の付勢力によって衝突してしまい、像担持体に回転負荷が生じ、画像劣化の原因となるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載のものは、記録媒体の厚さに応じた押し下げ量で転写部材を押し下げて、像担持体と転写部材間に間隙を持たせることによって、記録媒体の突入時の速度変動の低減効果を記録媒体の厚さによらず得られると考えられるが、記録媒体の厚さを検知する装置を備えたり、記録媒体の厚さに応じて調整量を決定し駆動しなければならず、装置としては高コストで煩雑なものになるという問題があった。
【0007】
また、特許文献3に記載のものは、凹状の溝部を用いて間隙を形成しており、記録媒体の突入時における像担持体の回転負荷が抑制されることは期待できるが、凹状の溝部を設けた部分のみ像担持体または転写部材が接する状態になるため、接触部分に局所的な応力集中が発生し、長期間使用の際には転写部材に塑性変形が発生する恐れがあるという問題があった。
【0008】
また、一般に、電子写真方式を採用した従来の画像形成装置であって、記録紙を挟んだ状態で転写ローラを像担持体に押圧して転写を行う転写方式を採用したものは、転写ローラと像担持体との圧接部に記録紙の先端が突入する際に像担持体の搬送速度が一時的に遅くなる現象が生じ、特に記録紙が厚いものであるほどその現象は顕著になるという問題がある。特に、近年は、装置の小型化の要請から、レジストローラから転写ローラと像担持体との圧接部までの距離が短くなっているため、像担持体の速度変動は従来以上に問題となっている。
【0009】
像担持体の搬送速度が一時的に遅くなるこの現象により、転写プロセスだけでなく、感光体上で行われるクリーニング、露光、現像のプロセスの線速までもが変動し、主走査方向の筋や、副走査方向の帯状濃淡ムラ、画像ずれ等のバンディングと呼ばれる画像不良が生じるという問題がある。
【0010】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、画像を担持して回転する像担持体と、前記像担持体が担持する画像を記録媒体に転写する転写部材と、前記像担持体と前記転写部材とを近接および離間させる近接離間手段と、前記像担持体と前記転写部材の両端部の間に間隙形成部材を挿脱する間隙形成部材駆動手段と、前記像担持体と前記転写部材との間に記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段と、間隙形成部材駆動手段により前記像担持体と前記転写部材の両端部の間に間隙形成部材を挿入させるとともに、前記近接離隔手段により前記像担持体と前記転写部材とを近接させて間隙形成部材を挟み込んでから、前記記録媒体搬送手段により前記像担持体と前記転写部材との間に記録媒体を搬送させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
この構成により、間隙形成部材を転写部材と像担持体に両端で挟持させることによって、転写部材と像担持体の距離を所定の距離離した状態で保持できるため、記録媒体が転写部材と像担持体の間に突入する前後における転写部材と像担持体の距離の差を少なくすることができ、記録媒体が転写部材と像担持体の間に突入するときに発生する像担持体速度変動を抑制できる。したがって、像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる。また、転写部材が像担持体に対して離間している状態で間隙形成部材を挿入することにより、転写部材と像担持体とが圧接している状態で間隙形成部材を挿入する場合よりも、間隙形成部材の挿入時に像担持体に回転負荷が発生する恐れを減少することができる。また、間隙形成部材駆動手段により間隙形成部材が像担持体と転写部材の両端部の間に挿脱されるようになっているので、間隙形成部材が像担持体と転写部材の両端部の間に常に挿入される場合よりも、間隙形成部材、像担持体および転写部材の磨耗や塑性変形を防止することができ、間隙形成部材駆動手段を制御することにより、必要に応じて間隙形成部材を転写部材と像担持体の離間時に挿入するようにすることができる。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記間隙形成部材駆動手段により前記像担持体と前記転写部材の両端部の間に間隙形成部材を挿入させるか否かを選択する選択手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成により、使用する記録媒体の厚さに応じて像担持体と転写部材の両端部の間に間隙形成部材を挿入させるか否かを利用者が選択することができるので、記録媒体が厚紙であるときのみ間隙形成部材を挿入させ、記録媒体が普通紙等の薄いものであるときに転写部間隙形成部材を挿入してしまうことにより像担持体と転写部材の間に十分な圧力が生じず転写性が悪化することを防止することができる。
【0015】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記間隙形成部材が、予め設定された厚さを有する円形のシート状部材からなり、前記像担持体と前記転写部材との間に挟み込まれているときに、前記像担持体と前記転写部材の両端部の間より外側の位置を回転中心として、前記像担持体または前記転写部材の少なくとも一方に接触して従動回転することを特徴とする。
【0016】
この構成により、転写部材と像担持体とが近接している間、間隙形成部材が像担持体と転写部材の両端の間に挟み込まれた状態を維持することができ、像担持体と転写部材との間に間隙形成部材の厚さに相当する間隙を安定して形成することができる。
【0017】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記間隙形成部材の回転平面が、前記近接離隔手段により近接させられた前記像担持体と前記転写部材との接触面と略同一面上に位置することを特徴とする。
【0018】
この構成により、間隙形成部材の回転平面が像担持体と転写部材との接触面と略同一面上となることにより、像担持体と転写部材とが近接したときに、間隙形成部材の片方の面にのみ像担持体または転写部材が接触することがなく、像担持体と転写部材との間の間隙が間隙形成部材の厚さよりも大きくなってしまうことを防止できるので、像担持体と転写部材との間に間隙形成部材の厚さに相当する間隙を安定して形成することができる。また、間隙形成部材の片方の面にのみ像担持体または転写部材が接触して、間隙形成部材が屈曲したり塑性変形してしまうことを防止することができる。
【0019】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記間隙形成部材駆動手段により前記像担持体と前記転写部材の両端部の間に挿入される部分の間隙形成部材の厚さを変更することにより、前記像担持体と前記転写部材の間に形成される間隙の量を制御する間隙形成量制御手段と、前記間隙形成量制御手段により制御される間隙の量を選択する間隙形成量選択手段とを備えたことを特徴とする。
【0020】
この構成により、像担持体と転写部材の両端部の間に挿入される部分の間隙形成部材の厚さを変更することにより、像担持体と転写部材の間に形成される間隙の量を、記録媒体の厚さに応じて選択および制御することができるので、記録媒体への転写性が悪化することなく、記録媒体が転写部材と像担持体の間に突入するときの像担持体の速度変動を抑制することができる。
【0021】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記間隙形成部材が、前記間隙形成部材の挿入方向に対して厚さ分布を有し、前記間隙形成量制御手段は、間隙形成部材駆動手段により前記像担持体と前記転写部材の両端部の間に挿入される間隙形成部材の挿入量を変更することにより、前記像担持体と前記転写部材の間に形成される間隙の量を制御することを特徴とする。
【0022】
この構成により、間隙形成部材を付け替えたりすることなく、転写部材と像担持体の間に異なる大きさの間隙を形成することができるので、簡便で低コストな構成で、記録媒体への転写性が悪化することなく、記録媒体が転写部材と像担持体の間に突入するときの像担持体の速度変動を抑制することができる。
【0023】
また、本発明に係る画像形成装置は、間隙形成部材駆動手段が、1つの駆動源により駆動されて前記像担持体と前記転写部材の両端部の間に間隙形成部材を挿入することを特徴とする。
【0024】
この構成により、1つの駆動源により像担持体と転写部材の両端部の間に間隙形成部材を挿入して、像担持体と転写部材との間の間隙を複数設定することができるので、簡便な構成とすることができ、低コスト化を実現することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【0028】
まず、構成について説明する。
【0029】
図1に示すように、画像形成装置50は、プリンタ部100、給紙部200、スキャナ部300および原稿自動搬送部400を備えている。
【0030】
プリンタ部100は、中間転写部101および露光装置、画像形成部、定着ユニット、トナー供給装置等を備え、記録媒体である用紙8(図2参照)に画像形成を行うものである。給紙部200は、複数の給紙カセット、用紙搬送路等を備え、用紙8の貯留および搬送をするものである。スキャナ部300は、コンタクトガラス301を備え、コンタクトガラス301上に載置された原稿の画像情報を読み取るものである。また、原稿自動搬送部400は、原稿トレー401を備え、原稿トレー401に載置された原稿をコンタクトガラス301上に搬送するものである。すなわち、画像形成装置50は、本発明に係る画像形成装置を、カラーレーザ複写機に適用した例を示している。
【0031】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の中間転写部の断面図である。
【0032】
図2に示すように、中間転写部101は、像担持体としての中間転写ベルト2、駆動ローラ3、従動ローラ4、テンションローラ5、対向ローラ6、転写ローラ7を備えている。像担持体である中間転写ベルト2は、駆動ローラ3、従動ローラ4、テンションローラ5および対向ローラ6によって張架されて、駆動ローラ3によって図の時計回りに駆動されるようになっている。中間転写ベルト2は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色にそれぞれ対応する4つの感光体ドラム1から一次転写されたトナー像を担持し、このトナー像を対向ローラ6および対向ローラ6に圧接するように設けられた転写ローラ7まで移動するようになっている。
【0033】
転写ローラ7の転写ローラ軸10は、転写ローラ支持フレーム111により軸支されている。転写ローラ支持フレーム111は、圧縮バネ9により対向ローラ6に向って付勢されている。転写ローラ支持フレーム111の一端部は、支持フレーム回動支点112で支持されており、転写ローラ支持フレーム111の他端部の上面は、押下げカム113と接している。
【0034】
押下げカム113は、その回転角度に応じて、転写ローラ支持フレーム111を圧縮バネ9の付勢力に逆らって下方に押下げるようになっている。
【0035】
転写ローラ支持フレーム111は、押下げカム113の回転により支持フレーム回動支点112を中心として上下に揺動するようになっている。このため、転写ローラ支持フレーム111が押下げカム113により下方に移動させられたときは転写ローラ7も下方に移動し、転写ローラ7と対向ローラ6とが離間する。また、圧縮バネ9により転写ローラ支持フレーム111が上方に移動させられたときは転写ローラ7も上方に移動して対向ローラ6に近接し、対向ローラ6の下部で中間転写ベルト2に接触して回転するようになっている。
【0036】
本実施の形態では、ユーザーにより印刷ジョブが投入されてプロセスコントロールを行っている間は、転写ローラ支持フレーム111が下方に移動して転写ローラ7と対向ローラ6とが離間することにより、転写ローラ7と中間転写ベルト2とが離間し、中間転写ベルト2上の残トナーやプロセスコントロールによるトナーパターンが転写ローラ7に付着しないようになっている。
【0037】
また、対向ローラ6および転写ローラ7は、中間転写ベルト2が担持するトナー像を用紙8に二次転写するようになっている。対向ローラ6と転写ローラ7の右側、すなわち用紙8の搬送方向上流側には、対向ローラ6と転写ローラ7とが中間転写ベルト2に圧接する圧接部に用紙8を搬送するレジストローラ26およびレジスト加圧ローラ27が設けられている。レジストローラ26は図示しないモータにより駆動され、レジスト加圧ローラ27はレジストローラ26と接触して従動する。
【0038】
また、レジストローラ26およびレジスト加圧ローラ27の用紙搬送方向下流側の経路には、転写部102への用紙8の先端の突入を検知するとともに転写部102から用紙8の後端が抜けたことを検知する転写部用紙通過検知センサ19が設けられている。
【0039】
転写動作時には、給紙部200から供給された用紙8は、レジストローラ26およびレジスト加圧ローラ27の設置箇所で一旦待機し、中間転写ベルト2にトナー像が転写されると、レジストローラ26およびレジスト加圧ローラ27により、中間転写ベルト2上のトナー像の先端と同期をとって対向ローラ6と転写ローラ7が中間転写ベルト2に圧接する圧接部に搬送される。圧接部において中間転写ベルト2と転写ローラ7に挟まれた用紙8には、圧縮バネ9による加圧力と図示しない転写バイアスによって、中間転写ベルト2で担持されているトナー像が転写される。このように、画像形成装置50は、一次転写によりトナー像が転写された中間転写ベルト2をレジストローラ26により挟持して搬送し、このトナー像を転写ローラ7により用紙8に二次転写する中間転写方式を採用するものである。なお、対向ローラ6と転写ローラ7は転写部102を構成するとともに、レジストローラ26、レジスト加圧ローラ27はレジスト部103を構成している。像担持体は、中間転写ベルト2に限定されるものではなく、感光体ドラム1であってもよい。すなわち、図2は、中間転写ベルト2と転写ローラ7とが接触して用紙8に二次転写を行う中間転写タイプの構成を示すものであるが、感光体ドラム1と転写ローラ7とが接触して用紙8に直接転写を行う直接転写タイプの構成であっても、本発明を適用することができる。
【0040】
図3(a)、図3(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の待機時における転写部の上面図および断面図である。また、図4(a)、図4(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写部間隙形成部材挿入時における転写部の上面図および断面図である。また、図5(a)、図5(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写ローラ圧接時における転写部の上面図および断面図である。なお、図3〜図5では、中間転写ベルト2の図示を省略している。
【0041】
図3〜図5に示すように、転写部102は、対向ローラ6と転写ローラ7とが中間転写ベルト2に圧接する転写圧接部18において中間転写ベルト2と転写ローラ7との間に間隙を形成する転写部間隙形成部材114と、この転写部間隙形成部材114を支持する転写部間隙形成部材支持部材115と、転写部間隙形成部材114が転写圧接部18の内外に移動するよう転写部間隙形成部材114を移動させるソレノイド116とを備えている。ソレノイド116は、フレーム109に固定されており、ソレノイド116のプランジャ116aは、転写部間隙形成部材支持部材115に固定されている。転写部間隙形成部材支持部材115は、引張りバネ117によって転写圧接部18から離隔する方向に付勢されている。
【0042】
ソレノイド116は、引張りバネ117の付勢力に逆らって、転写部間隙形成部材114を転写圧接部18の側に移動させることにより、転写部間隙形成部材114を転写圧接部18内に挿入するようになっている。
【0043】
転写部間隙形成部材114は、円形のシート状の部材からなり、図4(a)、図5(a)に示すように、中間転写ベルト2と転写ローラ7との間に挟み込まれているときに、中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端部の間より外側の位置を回転中心として、中間転写ベルト2または転写ローラ7の少なくとも一方に接触して従動回転するようになっている。転写部間隙形成部材114の回転平面は、図4(b)、図5(b)に示すように、モータ126、押下げカム113により近接させられた中間転写ベルト2と転写ローラ7との接触面と略同一面上に位置するようになっている。
【0044】
転写部間隙形成部材114は、後述する厚紙モードが想定する厚紙の用紙8の厚さよりも薄い厚さに予め設定されている。このため、転写部間隙形成部材114により中間転写ベルト2と転写ローラ7の間に十分な圧力が生じず転写性が悪化することが防止されるようになっている。なお、図3〜図5は、対向ローラ6と転写ローラ7の一端側を示しているが、対向ローラ6と転写ローラ7の他端側も上記と同様に構成されている。
【0045】
転写部間隙形成部材114は、中間転写ベルト2と転写ローラ7に挟まれたときに双方のローラに密着するための十分な柔軟性が要求されるとともに、中間転写ベルト2と転写ローラ7に挟まれていない待機状態においては復元力によりある程度の平面性を保っていなければならない。そのため、転写部間隙形成部材114には、可撓性の材料を用いている。可撓性の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(ナイロン)、ポリイミド(PI)等の高分子材料が好適であり、特にポリイミド(PI)は機械的特性に優れており好ましい。また、可撓性の材料として金属材料からなる材料を用いる場合は、金属薄板として市場に供給されているリン青銅条、ベリリウム銅条等が好適であるが、ステンレス鋼条は機械的特性に優れるためより好適である。ステンレス鋼条としてはSUS304−CSPが最も優れている。また、ステンレス鋼条としては析出硬化系のSUS631−CSPがあるが、繰り返し疲労を考慮すれば、オーステナイト系のSUS631−CSPを用いることが好ましい。また、転写部間隙形成部材12は、所望の肉厚に加工し易い電鋳法によりニッケル箔で製作することもできる。
【0046】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の制御部を示すブロック図である。
【0047】
図6に示すように、制御部104は、転写部用紙通過検知センサ19からの検知信号が入力されるマイクロプロセッサ21と、ソレノイド116を駆動するソレノイド駆動回路22と、押下げカム113を回転するモータ126を駆動するモータ駆動回路125とを備えている。マイクロプロセッサ21は、転写部用紙通過検知センサ19からの検知信号を含む種々の信号に基づいて、ソレノイド駆動回路22およびモータ駆動回路125を制御するようになっている。また、制御部104は、図示しない操作部等からユーザーにより選択および入力された動作モード(厚紙モードであるか否か等)を受け付けてこの動作モードを記憶する他、画像形成装置50の種々の動作を制御するようになっている。
【0048】
次に、このように構成された画像形成装置50の動作を説明する。
【0049】
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の制御部の動作を説明するフロー図である。また、図8〜図12は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の動作を時系列で示す断面図である。
【0050】
図7に示すように、制御部104は、プリントの待機時において、ユーザーの指示により設定されたモードが厚紙モードであるか否かを判別して(ステップS1)、厚紙モードである場合はプリント要求があるか否かを判別する(ステップS2)。
【0051】
ステップS1の判別を行っている待機時においては、図8に示すように、押下げカム113の働きにより、転写ローラ7が対向ローラ6から離間した状態となっている。また、転写部間隙形成部材114が転写ローラ7と対向ローラ6とのニップ部から外に出た状態となっている。
【0052】
ステップS2においてプリント要求があると判別された場合、制御部104は、プロセスコントロール等を開始し(ステップS3)、用紙8の印刷が開始されたか否かを判別する(ステップS4)。ステップS4の判別は、感光体ドラム1における電子写真プロセスの開始、転写部用紙通過検知センサ19による用紙8の先端の検知等に基づいて行われる。
【0053】
ステップS4において用紙8の印刷が開始されたと判別された場合、制御部104は、ソレノイド116をオンにして、図9に示すように、転写部間隙形成部材114を転写ローラ7と対向ローラ6のニップ部に挿入する(ステップS5)。
【0054】
次いで、制御部104は、押下げカム113を回転させて、圧縮バネ9により転写ローラ7を対向ローラ6に対して付勢させる(ステップS6)。このとき、図10に示すように、転写ローラ7と対向ローラ6とは双方の両端部において転写部間隙形成部材114を挟み込んだ状態となり、転写ローラ7と対向ローラ6との間には、転写部間隙形成部材114の厚さに相当する間隙が形成された状態となる。なお、転写ローラ7および対向ローラ6の弾性により、転写ローラ7と対向ローラ6との軸線方向中央部の間隙の大きさは、転写部間隙形成部材114の厚さよりも小さな値となる。
【0055】
また、転写ローラ7と対向ローラ6の間に用紙8が挟み込まれると、図11に示すように、転写ローラ7と対向ローラ6との間には、用紙8の厚さに相当する間隙が形成された状態となる。
【0056】
次いで、制御部104は、最終用紙の転写が終了したか否かを判別し(ステップS7)、最終用紙の転写が終了したと判別した場合に、押下げカム113を回転させて、図12に示すように、転写ローラ7を対向ローラ6から離間させる(ステップS8)。
【0057】
次いで、制御部104は、ソレノイド116をオフにして転写部間隙形成部材114を転写ローラ7と対向ローラ6のニップ部から外に移動する(ステップS9)。ステップS9が終了すると、転写部102は再び待機状態となる。
【0058】
なお、厚紙より薄い通常の厚さの用紙8を対象としたモードが設定されているとき、すなわち、ステップS1において厚紙モードであると判別されなかった場合、ステップS5、ステップS9以外の処理が実行され、転写部間隙形成部材114は転写部102の圧接部に挿入されないようになっている。
【0059】
以上のように、本実施の形態に係る画像形成装置は、画像を担持して回転する中間転写ベルト2と、中間転写ベルト2が担持する画像を用紙8に転写する転写ローラ7と、中間転写ベルト2と転写ローラ7とを近接および離間させるモータ126、押下げカム113と、中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端部の間に転写部間隙形成部材114を挿脱するソレノイド116と、中間転写ベルト2と転写ローラ7との間に用紙8を搬送するレジストローラ26、レジスト加圧ローラ27と、ソレノイド116により中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端部の間に転写部間隙形成部材114を挿入させるとともに、モータ126、押下げカム113により中間転写ベルト2と転写ローラ7とを近接させて転写部間隙形成部材114を挟み込んでから、レジストローラ26、レジスト加圧ローラ27により中間転写ベルト2と転写ローラ7との間に用紙8を搬送させる制御部104とを備えたので、転写部間隙形成部材114を転写ローラ7と中間転写ベルト2の両端で挟持させることによって、転写ローラ7と中間転写ベルト2の距離を所定の距離離した状態で保持できるため、用紙8が転写ローラ7と中間転写ベルト2の間に突入する前後における転写ローラ7と中間転写ベルト2の距離の差を少なくすることができ、用紙8が転写ローラ7と中間転写ベルト2の間に突入するときに発生する中間転写ベルト2の速度変動を抑制できる。したがって、中間転写ベルト2に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができる。また、転写ローラ7が中間転写ベルト2に対して離間している状態で転写部間隙形成部材114を挿入することにより、転写ローラ7と中間転写ベルト2とが圧接している状態で転写部間隙形成部材114を挿入する場合よりも、転写部間隙形成部材114の挿入時に中間転写ベルト2に回転負荷が発生する恐れを減少することができる。また、ソレノイド116により転写部間隙形成部材114が中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端部の間に挿脱されるようになっているので、転写部間隙形成部材114が中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端部の間に常に挿入される場合よりも、転写部間隙形成部材114、中間転写ベルト2および転写ローラ7の磨耗や塑性変形を防止することができ、ソレノイド116を制御することにより、必要に応じて転写部間隙形成部材114を転写ローラ7と中間転写ベルト2の離間時に挿入するようにすることができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る画像形成装置は、ソレノイド116により中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端部の間に転写部間隙形成部材114を挿入させるか否かを選択する制御部104を備えたので、使用する用紙8の厚さに応じて中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端部の間に転写部間隙形成部材114を挿入させるか否かを利用者が選択することができるので、用紙8が厚紙であるときのみ転写部間隙形成部材114を挿入させ、用紙8が普通紙等の薄いものであるときに転写部間隙形成部材114を挿入してしまうことにより中間転写ベルト2と転写ローラ7の間に十分な圧力が生じず転写性が悪化することを防止することができる。
【0061】
また、本実施の形態に係る画像形成装置は、転写部間隙形成部材114が、予め設定された厚さを有する円形のシート状部材からなり、中間転写ベルト2と転写ローラ7との間に挟み込まれているときに、中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端部の間より外側の位置を回転中心として、中間転写ベルト2または転写ローラ7の少なくとも一方に接触して従動回転するので、転写ローラ7と中間転写ベルト2とが近接している間、転写部間隙形成部材114が中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端の間に挟み込まれた状態を維持することができ、中間転写ベルト2と転写ローラ7との間に転写部間隙形成部材114の厚さに相当する間隙を安定して形成することができる。
【0062】
また、本実施の形態に係る画像形成装置は、転写部間隙形成部材114の回転平面が、モータ126、押下げカム113により近接させられた中間転写ベルト2と転写ローラ7との接触面と略同一面上に位置するので、転写部間隙形成部材114の回転平面が中間転写ベルト2と転写ローラ7との接触面と略同一面上となることにより、中間転写ベルト2と転写ローラ7とが近接したときに、転写部間隙形成部材114の片方の面にのみ中間転写ベルト2または転写ローラ7が接触することがなく、中間転写ベルト2と転写ローラ7との間の間隙が転写部間隙形成部材114の厚さよりも大きくなってしまうことを防止できるので、中間転写ベルト2と転写ローラ7との間に転写部間隙形成部材114の厚さに相当する間隙を安定して形成することができる。また、転写部間隙形成部材114の片方の面にのみ中間転写ベルト2または転写ローラ7が接触して、転写部間隙形成部材114が屈曲したり塑性変形してしまうことを防止することができる。
【0063】
(第2の実施の形態)
図13(a)、図13(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の待機時における転写部の上面図および断面図である。また、図14(a)、図14(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の中厚紙に対応する転写部間隙形成部材挿入時における転写部の上面図および断面図である。また、図15(a)、図15(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の最厚紙に対応する転写部間隙形成部材挿入時における転写部の上面図および断面図である。なお、前述の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
図13〜図15に示すように、第1の実施の形態の転写部102に代わって、転写部142を備えている。転写部142は、対向ローラ6と転写ローラ7とが中間転写ベルト2に圧接する転写圧接部18において中間転写ベルト2と転写ローラ7との間に間隙を形成する円形シート状の転写部間隙形成部材114a、114bと、この転写部間隙形成部材114a、114bを支持する転写部間隙形成部材支持部材115と、転写部間隙形成部材114a、114bが転写圧接部18の内外に移動するよう転写部間隙形成部材114a、114bを移動させる間隙形成部材駆動カム119とを備えている。間隙形成部材駆動カム119は、間隙形成部材駆動モータ120の出力軸に設けられており、間隙形成部材駆動モータ120は、フレーム109に固定されている。間隙形成部材駆動カム119は、その回転角度に応じて転写部間隙形成部材支持部材115を転写圧接部18の側に移動するようになっている。また、転写部間隙形成部材支持部材115は、引張りバネ117によって転写圧接部18から離隔する方向に付勢されている。
【0065】
すなわち、間隙形成部材駆動カム119は、その回転角度に応じて転写部間隙形成部材支持部材115を引張りバネ117の付勢力に逆らって転写圧接部18の側に移動させることにより、図14に示すように転写部間隙形成部材114aのみを転写圧接部18内に挿入する(中厚紙モード時の動作)か、または、図15に示すように転写部間隙形成部材114aと転写部間隙形成部材114bの両方を転写圧接部18内に挿入する(最厚紙モード時の動作)ようになっている。
【0066】
具体的には、転写部間隙形成部材114aのみを転写圧接部18内に挿入する場合と、転写部間隙形成部材114aと転写部間隙形成部材114bの両方を転写圧接部18内に挿入する場合のそれぞれにおいて、転写部間隙形成部材支持部材115の移動量(挿入方向変位)と間隙形成部材駆動カム119の回転角度を対応付けるテーブルを後述する制御部105に記憶させておき、ユーザーが設定したジョブが中厚紙モードであるか最厚紙モードであるかに応じて間隙形成部材駆動モータ120による間隙形成部材駆動カム119の回転角度を制御するようになっている。
【0067】
転写部間隙形成部材114aは、220μmの厚さに設定されており、転写部間隙形成部材114bは、180μmの厚さに設定されている。転写部間隙形成部材114aと転写部間隙形成部材114bは重ね合わされている。また、転写部間隙形成部材114aの外径は、転写部間隙形成部材114bの外径よりも大きくなっており、転写部間隙形成部材114aの外周部が転写部間隙形成部材114bの外周部よりも転写圧接部18に近くなっている。このため、転写部間隙形成部材114a、114bを1つの部材として見たときに、転写部間隙形成部材114a、114bは、転写部間隙形成部材114a、114bの挿入方向に対して厚さ分布を有している。
【0068】
なお、転写部間隙形成部材114a、114bの材料、材質は、第1の実施の形態と同様である。
【0069】
なお、中厚紙モードおよび最厚紙モードとは、第1の実施の形態で説明した厚紙モードを細分類したモードである。中厚紙モードは、220kg紙(256g/m)以上の紙重量の用紙8に対応するモードであり、最厚紙モードは、309kg紙(359g/m
)以上の紙重量の用紙8に対応するモードである。本実施の形態では、中厚紙モード時には、図14に示すように、転写部間隙形成部材114aのみを転写圧接部18内に挿入することで、中間転写ベルト2と転写ローラ7が近接したときの間隙が転写部間隙形成部材114aの厚さである約220μmに保持されるようになっている。また、最厚紙モード時には、図15に示すように、転写部間隙形成部材114aと転写部間隙形成部材114bの両方を転写圧接部18内に挿入することで、中間転写ベルト2と転写ローラ7が近接したときの間隙が転写部間隙形成部材114aの厚さと転写部間隙形成部材114bの厚さの和である約400μm(220μm+180μm)に保持されるようになっている。中厚紙モードにおける転写部間隙形成部材114aの厚さである220μmは、中厚紙モードが想定する中厚紙の用紙8の厚さよりも薄いものとなっている。最厚紙モードにおける転写部間隙形成部材114a、114bの厚さの和である400μmは、最厚紙モードが想定する最厚紙の用紙8の厚さよりも薄いものとなっている。このため、転写部間隙形成部材114a、114bにより中間転写ベルト2と転写ローラ7の間に十分な圧力が生じず転写性が悪化することが防止されるようになっている。
【0070】
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の転写部を制御する制御部のブロック図である。
【0071】
図16に示すように、制御部105は、転写部用紙通過検知センサ19からの検知信号が入力されるマイクロプロセッサ21と、間隙形成部材駆動モータ120を駆動する間隙形成部材駆動モータ駆動回路127と、押下げカム113を回転するモータ126を駆動するモータ駆動回路125とを備えている。マイクロプロセッサ21は、転写部用紙通過検知センサ19からの検知信号を含む種々の信号に基づいて、間隙形成部材駆動モータ駆動回路127およびモータ駆動回路125を制御するようになっている。また、制御部105は、図示しない操作部等からユーザーにより選択および入力された動作モード(中厚紙モードまたは最厚紙モードであるか否か等)を受け付けてこの動作モードを記憶する他、画像形成装置50の種々の動作を制御するようになっている。
【0072】
次に、このように構成された画像形成装置50の動作を説明する。
【0073】
図17〜図19は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の制御部の動作を説明するフロー図である。
【0074】
図17に示すように、制御部105は、プリントの待機時において、ユーザーの指示により設定されたモードが厚紙モードであるか否かを判別して(ステップS11)、厚紙モードである場合はプリント要求があるか否かを判別する(ステップS12)。
【0075】
ステップS11の判別を行っている待機時においては、図13(a)、図13(b)に示すように、押下げカム113の働きにより、転写ローラ7が対向ローラ6から離間した状態となっている。また、転写部間隙形成部材114a、114bが転写ローラ7と対向ローラ6とのニップ部から外に出た状態となっている。
【0076】
ステップS12においてプリント要求があると判別された場合、制御部105は、プロセスコントロール等を開始し(ステップS13)、ユーザーの指示により設定された厚紙モードが最厚紙モードであるか否かを判別して(ステップS14)、最厚紙モードであると判別されなかった場合は、図18に示す中厚紙モードの処理を実行し、最厚紙モードであると判別された場合は、図19に示す最厚紙モードの処理を実行する。
【0077】
図18に示すように、中厚紙モードにおいては、制御部105は、用紙8の印刷が開始されたか否かを判別する(ステップS21)。ステップS21の判別は、感光体ドラム1における電子写真プロセスの開始、転写部用紙通過検知センサ19による用紙8の先端の検知等に基づいて行われる。
【0078】
ステップS21において用紙8の印刷が開始されたと判別された場合、制御部105は、間隙形成部材駆動モータ120の回転により間隙形成部材駆動カム119を駆動し、図14に示すように、転写部間隙形成部材114aのみを転写ローラ7と対向ローラ6のニップ部に挿入させる(ステップS22)。
【0079】
次いで、制御部105は、押下げカム113を回転させて、圧縮バネ9により転写ローラ7を対向ローラ6に対して付勢させる(ステップS23)。このとき、転写ローラ7と対向ローラ6とは双方の両端部において転写部間隙形成部材114aを挟み込んだ状態となり、転写ローラ7と対向ローラ6との間には、転写部間隙形成部材114aの厚さに相当する間隙が形成された状態となる。なお、転写ローラ7および対向ローラ6の弾性により、転写ローラ7と対向ローラ6との軸線方向中央部の間隙の大きさは、転写部間隙形成部材114aの厚さよりも小さな値となる。
【0080】
また、転写ローラ7と対向ローラ6の間に用紙8が挟み込まれると、転写ローラ7と対向ローラ6との間には、用紙8の厚さに相当する間隙が形成された状態となる。
【0081】
次いで、制御部105は、最終用紙の転写が終了したか否かを判別し(ステップS24)、最終用紙の転写が終了したと判別した場合に、押下げカム113を回転させて、転写ローラ7を対向ローラ6から離間させる(ステップS25)。
【0082】
次いで、制御部105は、間隙形成部材駆動モータ120の回転により間隙形成部材駆動カム119を駆動し、転写部間隙形成部材114aを転写ローラ7と対向ローラ6のニップ部から外に移動する(ステップS26)。ステップS26が終了すると、転写部142は再び待機状態となる。
【0083】
一方、図19に示すように、最厚紙モードにおいては、制御部105は、用紙8の印刷が開始されたか否かを判別する(ステップS31)。ステップS31の判別は、感光体ドラム1における電子写真プロセスの開始、転写部用紙通過検知センサ19による用紙8の先端の検知等に基づいて行われる。
【0084】
ステップS31において用紙8の印刷が開始されたと判別された場合、制御部105は、間隙形成部材駆動モータ120の回転により間隙形成部材駆動カム119を駆動し、図15に示すように、転写部間隙形成部材114a、114bの両方を転写ローラ7と対向ローラ6のニップ部に挿入させる(ステップS32)。
【0085】
次いで、制御部105は、押下げカム113を回転させて、圧縮バネ9により転写ローラ7を対向ローラ6に対して付勢させる(ステップS33)。このとき、転写ローラ7と対向ローラ6とは双方の両端部において転写部間隙形成部材114aを挟み込んだ状態となり、転写ローラ7と対向ローラ6との間には、転写部間隙形成部材114a、114bの合計の厚さに相当する間隙が形成された状態となる。なお、転写ローラ7および対向ローラ6の弾性により、転写ローラ7と対向ローラ6との軸線方向中央部の間隙の大きさは、転写部間隙形成部材114a、114bの合計の厚さよりも小さな値となる。
【0086】
また、転写ローラ7と対向ローラ6の間に用紙8が挟み込まれると、転写ローラ7と対向ローラ6との間には、用紙8の厚さに相当する間隙が形成された状態となる。
【0087】
次いで、制御部105は、最終用紙の転写が終了したか否かを判別し(ステップS34)、最終用紙の転写が終了したと判別した場合に、押下げカム113を回転させて、転写ローラ7を対向ローラ6から離間させる(ステップS35)。
【0088】
次いで、制御部105は、間隙形成部材駆動モータ120の回転により間隙形成部材駆動カム119を駆動し、転写部間隙形成部材114a、114bを転写ローラ7と対向ローラ6のニップ部から外に移動する(ステップS36)。ステップS36が終了すると、転写部142は再び待機状態となる。
【0089】
以上のように、本実施の形態に係る画像形成装置は、間隙形成部材駆動モータ120、間隙形成部材駆動カム119により中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端部の間に挿入される部分の転写部間隙形成部材114a、114bの厚さを変更することにより、中間転写ベルト2と転写ローラ7の間に形成される間隙の量の選択および制御を行う制御部105とを備えたので、中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端部の間に挿入される部分の転写部間隙形成部材114a、114bの厚さを変更することにより、中間転写ベルト2と転写ローラ7の間に形成される間隙の量を、用紙8の厚さに応じて選択および制御することができるので、用紙8への転写性が悪化することなく、用紙8が転写ローラ7と中間転写ベルト2の間に突入するときの中間転写ベルト2の速度変動を抑制することができる。
【0090】
また、本実施の形態に係る画像形成装置は、転写部間隙形成部材114a、114bが、転写部間隙形成部材114a、114bの挿入方向に対して厚さ分布を有し、制御部105は、間隙形成部材駆動モータ120、間隙形成部材駆動カム119により中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端部の間に挿入される転写部間隙形成部材114a、114bの挿入量を変更することにより、中間転写ベルト2と転写ローラ7の間に形成される間隙の量を制御するので、転写部間隙形成部材114a、114bを付け替えたりすることなく、転写ローラ7と中間転写ベルト2の間に異なる大きさの間隙を形成することができるので、簡便で低コストな構成で、用紙8への転写性が悪化することなく、用紙8が転写ローラ7と中間転写ベルト2の間に突入するときの中間転写ベルト2の速度変動を抑制することができる。
【0091】
(第3の実施の形態)
図20(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の上面図である。また、図20(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の断面図である。なお、前述の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本実施の形態は、第2の実施の形態において、転写部の両端の2つの間隙形成部材の駆動を1つの駆動源により行うことができるようにしたものである。
【0092】
図20(a)、図20(b)に示すように、転写部152は、転写部間隙形成部材114a、114bを支持する転写部間隙形成部材支持部材115と、転写部間隙形成部材支持部材115を支持するラック122と、2つのラック122に歯合するとともに間隙形成部材駆動モータ120により駆動されるピニオンギヤ121とを備えている。2つのラック122は、ピニオンギヤ121を互いに挟むように配置されている。
【0093】
このため、間隙形成部材駆動モータ120がピニオンギヤ121を回転させると、2つのラック122が互いに反対の方向に移動するので、ラック122の移動に応じて転写部間隙形成部材支持部材115が、転写部間隙形成部材114a、114bを転写ローラ7と対向ローラ6のニップ部に挿入したり、転写部間隙形成部材114a、114bを転写ローラ7と対向ローラ6のニップ部の外に出したりすることができるようになっている。転写ローラ7と対向ローラ6のニップ部への転写部間隙形成部材114a、114bの挿入または非挿入の選択は、ピニオンギヤ121を駆動する間隙形成部材駆動モータ120の回転角度を制御することにより行われるようになっている。
【0094】
以上のように、本実施の形態に係る画像形成装置は、1つの間隙形成部材駆動モータ120を駆動源として中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端部の間に転写部間隙形成部材114a、114bを挿入するので、1つの間隙形成部材駆動モータ120により中間転写ベルト2と転写ローラ7の両端部の間に転写部間隙形成部材114a、114bを挿入して、中間転写ベルト2と転写ローラ7との間の間隙を複数設定することができるので、簡便な構成とすることができ、低コスト化を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上のように、本発明に係る画像形成装置は、像担持体に生じる回転負荷を低減して良好な画像形成を行うことができるという効果を有し、単葉のシート状の記録媒体へ記録する電子写真方式、静電記録方式、イオノグラフィー方式、磁気記録方式等の画像形成方式を採用した複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の中間転写部の断面図である。
【図3】(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の待機時における転写部の圧接部の上面図である。(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の待機時における転写部の断面図である。
【図4】(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写部間隙形成部材挿入時における転写部の上面図である。(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写部間隙形成部材挿入時における転写部の断面図である。
【図5】(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写ローラ圧接時における転写部の上面図である。(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写ローラ圧接時における転写部の断面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の制御部を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の制御部の動作を説明するフロー図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の動作を時系列で示す側面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の動作を時系列で示す断面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の動作を時系列で示す断面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の動作を時系列で示す断面図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の動作を時系列で示す断面図である。
【図13】(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の待機時における転写部の上面図である。(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の待機時における転写部の断面図である。
【図14】(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の中厚紙に対応する転写部間隙形成部材挿入時における転写部の上面図である。(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の中厚紙に対応する転写部間隙形成部材挿入時における転写部の断面図である。
【図15】(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の最厚紙に対応する転写部間隙形成部材挿入時における転写部の上面図である。(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の最厚紙に対応する転写部間隙形成部材挿入時における転写部の断面図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の制御部を示すブロック図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の制御部の動作を説明するフロー図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の制御部の動作を説明するフロー図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の制御部の動作を説明するフロー図である。
【図20】(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の上面図である。(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置の転写部の断面図である。
【符号の説明】
【0097】
2 中間転写ベルト(像担持体)
6 対向ローラ
7 転写ローラ(転写部材)
8 用紙(記録媒体)
18 転写圧接部
26 レジストローラ(記録媒体搬送手段)
27 レジスト加圧ローラ(記録媒体搬送手段)
50 画像形成装置
101 中間転写部
102、142、152 転写部
104、105 制御部(制御手段、選択手段、間隙形成量制御手段、間隙形成量選択手段)
113 押下げカム(近接離間手段)
114、114a、114b 転写部間隙形成部材
116 ソレノイド(間隙形成部材駆動手段)
119 間隙形成部材駆動カム(間隙形成部材駆動手段)
120 間隙形成部材駆動モータ(間隙形成部材駆動手段、駆動源)
126 モータ(近接離間手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を担持して回転する像担持体と、
前記像担持体が担持する画像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記像担持体と前記転写部材とを近接および離間させる近接離間手段と、
前記像担持体と前記転写部材の両端部の間に間隙形成部材を挿脱する間隙形成部材駆動手段と、
前記像担持体と前記転写部材との間に記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段と、
間隙形成部材駆動手段により前記像担持体と前記転写部材の両端部の間に間隙形成部材を挿入させるとともに、前記近接離隔手段により前記像担持体と前記転写部材とを近接させて間隙形成部材を挟み込んでから、前記記録媒体搬送手段により前記像担持体と前記転写部材との間に記録媒体を搬送させる制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記間隙形成部材駆動手段により前記像担持体と前記転写部材の両端部の間に間隙形成部材を挿入させるか否かを選択する選択手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記間隙形成部材が、予め設定された厚さを有する円形のシート状部材からなり、前記像担持体と前記転写部材との間に挟み込まれているときに、前記像担持体と前記転写部材の両端部の間より外側の位置を回転中心として、前記像担持体または前記転写部材の少なくとも一方に接触して従動回転することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記間隙形成部材の回転平面が、前記近接離隔手段により近接させられた前記像担持体と前記転写部材との接触面と同一面上に位置することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記間隙形成部材駆動手段により前記像担持体と前記転写部材の両端部の間に挿入される部分の間隙形成部材の厚さを変更することにより、前記像担持体と前記転写部材の間に形成される間隙の量を制御する間隙形成量制御手段と、
前記間隙形成量制御手段により制御される間隙の量を選択する間隙形成量選択手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記間隙形成部材が、前記間隙形成部材の挿入方向に対して厚さ分布を有し、
前記間隙形成量制御手段は、間隙形成部材駆動手段により前記像担持体と前記転写部材の両端部の間に挿入される間隙形成部材の挿入量を変更することにより、前記像担持体と前記転写部材の間に形成される間隙の量を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
間隙形成部材駆動手段が、1つの駆動源により駆動されて前記像担持体と前記転写部材の両端部の間に間隙形成部材を挿入することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−186589(P2009−186589A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24140(P2008−24140)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】