説明

画像形成装置

【課題】像担持体(1)を帯電する磁気ブラシ帯電装置(3)の磁性粒子担持部材に像担持体表面の帯電時とは異なるバイアスを印加して磁気ブラシの磁性粒子を像担持体表面へ付着させ、帯電装置(3)よりも像担持体表面の移動方向下流側に配設された磁性粒子回収手段(8)にて磁気力によって非接触で回収するモードを有する画像形成装置において、像担持体表面に付着した磁性粒子を現像プロセス等で問題を発生させない良好な回収率をもって回収可能にする。
【解決手段】上記モードは、像担持体表面の帯電用磁性粒子が付着している領域が像担持体表面の移動で磁性粒子回収手段(8)の回収位置(g)に到達する前に像担持体表面の移動を停止させるステップと、像担持体表面の移動停止から所定時間が経過した後の像担持体表面の移動時に像担持体表面に付着している磁性粒子を回収手段(8)により回収するステップを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体・静電記録誘電体等の像担持体の帯電手段として磁気ブラシ帯電装置を備える電子写真方式や静電記録方式の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成装置において、像担持体としての電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)の帯電手段として用いられる帯電装置としては、コロナ帯電方式が一般的であった。しかし、近年では、放電によるオゾン生成物が少なく、かつ低電力という利点を持つ接触帯電方式の帯電装置の検討、開発が盛んに行われ、実用化に至っている。
【0003】
接触帯電方式とは、感光ドラムに帯電部材を接触させ、帯電部材に電圧を印加することによって、感光ドラムを帯電する帯電方式である。特に、接触帯電部材として磁性粒子の磁気ブラシを使用した磁気ブラシ帯電装置が放電を伴わないため、オゾンレスという点から用いられている。
【0004】
磁気ブラシ帯電装置は、磁性粒子担持部材に磁気力により拘束した帯電用磁性粒子(導電性の磁性粒子)の磁気ブラシを感光ドラムに接触させ、磁性粒子担持部材に所定の帯電電圧を印加ることによって感光ドラム表面を所定の極性・電位に帯電するものである。より具体的には、磁性粒子担持部材としてのマグネットの表面に直接に、又はマグネットを内包するスリーブの表面に磁気的に拘束した帯電用磁性粒子の磁気ブラシを感光ドラム表面に接触させ、これに電圧を印加することによって帯電を行うものである。
【0005】
感光ドラムとして通常の有機感光ドラム上に導電性微粒子を分散させた表層を有するものや、アモルファスシリコン系感光ドラムなどを磁気ブラシ帯電装置で帯電する場合の感光ドラム表面の帯電は直接注入帯電機構が支配的となる。即ち、感光ドラム表面を、磁気ブラシに印加した電圧のうちの直流成分とほぼ同等の帯電電位で帯電させることが出来る。このような帯電方法を以下「磁気ブラシ注入帯電方式」という。
【0006】
コロナ帯電方式では放電現象を利用して感光ドラムに電荷を付与する(放電帯電機構:放電現象による放電生成物で被帯電体表面が帯電する機構)。このコロナ帯電方式に対して、磁気ブラシ注入帯電方式では主に帯電用磁性粒子を介して感光ドラムに直接電荷が注入されることで感光ドラム表面が帯電する系である。そのため、オゾンを殆ど発生せず、高湿環境下においても放電生成物に起因する画像流れが発生しないという大きなメリットがある。
【0007】
また、アモルファスシリコン系感光ドラムは、有機感光ドラムに比べて硬度が高いため、寿命が長く、製品のランニングコストをより安くできる可能性を持つ。
【0008】
従って、磁気ブラシ注入帯電方式とアモルファスシリコン系感光ドラムの組み合わせは、耐久性、安定性の面で優れた画像形成システムである。
【0009】
しかし、長期の耐久においては、帯電用磁性粒子の磨耗や、トナーおよび外添剤の混入により、帯電用磁性粒子の劣化は避けられない。帯電用磁性粒子の劣化により生じる問題のひとつとして、帯電能力の低下があげられる。帯電能力が低下することによって、感光ドラム表面の電位分布のムラが大きくなり、濃度変動などの画質低下につながる。
【0010】
このような問題を解決する技術として、特許文献1の技術が知られている。この技術は、一定枚数の画像出力ごとに、磁気ブラシ更新動作(磁性粒子吐き出し動作)を実行させるものである。すなわち、一定枚数の画像出力ごとに、磁性粒子担持部材である帯電スリーブに担持されている磁気ブラシを構成している帯電用磁性粒子を感光ドラム表面に意図的に付着させて、帯電スリーブには新たな帯電用磁性粒子による磁気ブラシを形成担持させる。そして、感光ドラム表面に付着させた帯電用磁性粒子は磁気ブラシ帯電装置よりも感光ドラム回転方向下流側で現像手段よりも感光ドラム回転方向上流側において回収手段により感光ドラム表面から回収するものである。これにより、帯電用磁性粒子の帯電能力を一定の水準に保つことができる。
【特許文献1】特開2001−109347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1には、感光ドラム表面に付着した帯電用磁性粒子の回収手段として、マグネットローラを使用した、磁気力による非接触での回収手段と、クリーニングブレードを感光ドラム表面に接触させた、機械的な力による回収手段が記載されている。
【0012】
非接触型の回収手段は接触型の回収手段との対比において、感光ドラム表面に摺擦傷をつけてしまうおそれがない利点がある。しかし、感光ドラム表面からの帯電用磁性粒子の回収率は接触型の回収手段よりも低い課題がある。感光ドラム表面から帯電用磁性粒子を十分に回収できないと、下流の現像プロセスに帯電用磁性粒子が混入して、画像不良などのトラブルを引き起こすことがある。
【0013】
本発明者らの知見によれば、帯電用磁性粒子が感光ドラム表面に付着する力は、帯電用磁性粒子に溜まった電荷による静電気力が主たる要因となっている。帯電用磁性粒子の抵抗が1×10Ω・cmのように帯電用の粒子として低めであれば問題になることは多くはない。しかし、1×10Ω・cmのようにやや高めの抵抗を持った帯電用磁性粒子であれば回収率の低下が顕著に問題となる。
【0014】
本発明は、特許文献1の技術の更なる改善に係るもので、像担持体表面に付着した帯電用磁性粒子を非接触型の回収手段にて現像プロセス等で問題を発生させない良好な回収率をもって回収可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、表面が移動可能な像担持体と、磁性粒子担持部材に磁気力により拘束した帯電用磁性粒子の磁気ブラシを像担持体に接触させて像担持体表面を帯電する磁気ブラシ帯電装置と、を有し、像担持体表面に画像を形成する画像形成装置であって、磁性粒子担持部材に像担持体表面の帯電時とは異なるバイアスを印加して磁気ブラシを構成している帯電用磁性粒子を像担持体表面へ付着させ、付着した帯電用磁性粒子を磁気ブラシ帯電装置よりも像担持体表面の移動方向下流側に配設された磁性粒子回収手段にて磁気力によって非接触で回収する磁性粒子吐き出し回収モードを有する画像形成装置において、磁性粒子吐き出し回収モードは、像担持体表面の帯電用磁性粒子が付着している領域が像担持体表面の移動で磁性粒子回収手段の磁性粒子回収位置に到達する前に像担持体表面の移動を停止させるステップと、像担持体表面の移動停止から所定時間が経過した後の像担持体表面の移動時に像担持体表面に付着している帯電用磁性粒子を磁性粒子回収手段により回収するステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、像担持体表面に付着した帯電用磁性粒子を、現像プロセス等で問題を発生させない良好な回収率をもって非接触で回収可能となる。像担持体表面に付着した帯電用磁性粒子を非接触で回収するため、像担持体表面の状態を良好に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[実施例1]
(1)画像形成部
図1は本実施例の画像形成装置の概略構成を示す模式図である。この画像形成装置は、磁気ブラシ帯電方式、反転現像方式、転写方式の電子写真画像形成装置である。電子写真画像形成装置には、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンター、ファクシミリ装置、ワードプロセッサ、それらの複合機能機等が含まれる。
【0018】
この電子写真画像形成装置は、イメージリーダ・パソコン・ファクシミリ等のホスト装置200から制御装置(制御手段:CPU)100に入力した画像情報に対応したトナー画像を表面が移動可能な像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体1に形成する。そして、電子写真感光体1の表面(像担持体表面)に形成されたトナー画像を用紙・OHPシート等の記録材Sに転写し、その記録材Sを定着手段9に導入して未定着のトナー画像を固着画像として定着処理して画像形成物として排出する。
【0019】
制御装置100はホスト装置200との間で各種の電気的な情報の授受をすると共に、画像形成装置の画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルにしたがって統括的に制御する。
【0020】
電子写真感光体1は中心軸1aを中心に回転可能に配設されているドラム型の回転体(以下、感光ドラムと記す)である。この感光ドラム1は制御装置100でON/OFF制御される駆動装置(駆動手段)50により矢印R1の時計方向に所定の周速度(表面移動速度)、本実施例では300mm/secの周速度にて回転駆動される。感光ドラム1は、本実施例においては、図2の模式図に示すような層構成を有する負帯電性のアモルファスシリコン系感光体(a−Si感光体)を用いた。即ち、導電性支持体としてφ80mmのアルミニウム(Al)製のドラム基体11を用い、その表面に、ドラム基体11からの正孔の流入を阻止するための正電荷阻止層12が形成されている。その正電荷阻止層上に、露光によって光キャリアが発生し走行する光導電層13、表面に帯電された電子の流入を阻止する負電荷阻止層14、各種プロセス手段による摺擦や圧力等から感光膜を保護する表面保護層15が順次に積層されている。
【0021】
この感光ドラム1に作用する各種のプロセス手段を有する。本実施例において、その各種のプロセス手段は、感光ドラム1の周囲に感光ドラム回転方向に沿って順に配設した、除電手段2、帯電手段3、像露光手段4、帯電用磁性粒子回収手段8、現像手段5、転写手段6、クリーニング手段7等である。
【0022】
そして、回転駆動される感光ドラム1の表面が、除電手段2により除電部位aにおいて除電される。除電手段2は、前回の画像形成により感光ドラム1の表面に残存する電気的メモリを消去するための手段である。本実施例においては前露光ランプ(イレーサランプ)であり、波長600nmのLEDを用い、約370Lux.sec.の光量で感光ドラム1の表面を全面露光している。
【0023】
除電手段2により除電処理された感光ドラム表面が帯電手段3により帯電部位bにおいて所定の極性・電位に一様に帯電される。本実施例においては、この帯電手段3は磁気ブラシ帯電装置であり、感光ドラム表面はこの帯電装置により−600Vに一様に帯電される。この磁気ブラシ帯電装置については(2)項で詳述する。
【0024】
磁気ブラシ帯電装置3で帯電処理された感光ドラム表面が像露光手段4により像露光部位cにおいて像露光される。これにより、感光ドラム1の表面に像露光パターンに対応した静電潜像が順次に形成される。像露光手段4は、本実施例においてはデジタル露光手段であるレーザースキャナである。レーザースキャナは制御装置100から入力する画像信号に対応してオン/オフ変調されたレーザー光を出力して感光ドラム表面を走査露光する。これにより感光ドラム表面に画像信号(画像情報)に対応した静電潜像が形成される。像露光手段4は、LEDアレイを用いた露光装置、光源と液晶シャッタを用いた露光装置など他のデジタル露光装置であってもよい。また、原稿画像を結像光学系によりスリット投影露光するアナログ露光装置であってもよい。
【0025】
その静電潜像が現像手段5により現像部位dにおいてトナー画像として現像される。本実施例において、この現像手段5は2成分現像剤(負帯電性のトナーと正帯電性の現像用磁性磁性粒子との混合剤)を用いた反転現像装置である。51は2成分現像剤55を収容した現像容器、52は現像剤担持部材としての非磁性の現像スリーブである。この現像スリーブ52はその外周の一部を外部に露出させて現像容器51内に回転可能に配設されており、矢印の反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。そして、現像スリーブ52の外周面に該スリーブ内のマグネットローラ53の磁気力により2成分現像剤55が磁気ブラシ層として吸着されて該スリーブの回転に伴い搬送され、ブレード54により所定の薄層に整層される。現像スリーブ52は感光ドラム1に対して所定の間隔を存して対向させて並行に配設されている。現像スリーブ52と感光ドラム1との対向部が現像部位dである。現像スリーブ52には現像バイアス印加電源56から所定の現像バイアスが印加される。そして、回転する現像スリーブ52の面に薄層としてコーティングされて現像部位dに搬送された現像剤中のトナーが現像バイアスによる電界によって感光ドラム表面の静電潜像に対応して選択的に付着することで静電潜像がトナー画像として反転現像される。現像容器51内の2成分現像剤55のトナー濃度を所定の略一定範囲内に維持させるために、現像容器51内の2成分現像剤55のトナー濃度が例えば光学式トナー濃度センサー(不図示)によって検知される。制御装置100はその検知情報に応じてトナーホッパー58のトナー供給ローラを駆動制御して、トナーホッパー内のトナーtを現像容器51内の2成分現像剤55に補給する。2成分現像剤55に補給されたトナーは攪拌部材57により均一に攪拌される。
【0026】
一方、給紙機構部(不図示)から記録材Sが一枚分離給送される。そして、所定の制御タイミングにて、感光ドラム1と転写手段である導電性の転写ローラ6との当接部である転写部位eに導入される。転写ローラ6には転写バイアス印加電源61からトナーの帯電極性とは逆極性の所定電位の転写バイアスが所定の制御タイミングにて印加される。これにより、転写部位eを通過する記録材Sの表面に感光ドラム1の表面のトナー画像が順次に静電的に転写されていく。
【0027】
転写部位eを通った記録材Sは感光ドラム表面から分離され、定着手段9に導入されてトナー画像の定着処理を受け、画像形成物として画像形成装置外に排出される。定着手段9は本実施例においては所定の定着温度に加熱温調されるヒートローラ91と弾性加圧ローラ92との圧接ローラ対を基本構成とする加熱定着装置である。
【0028】
また、記録材分離後の感光ドラム表面はクリーニング手段7により転写残トナー等の残留付着物の除去を受けて、繰り返して画像形成に供される。クリーニング手段7は本実施例においてはクリーニング部材として厚さ2mmのウレタン製のクリーニングブレード71を用い、感光ドラム1に対してカウンターに当接させたブレードクリーニング装置である。ブレード71と感光ドラム1との当接部がクリーニング部位fである。感光ドラム1はこのブレード71により表面の転写残トナー等が掻き落されてクリーニングされる。掻き落された転写残トナー等はクリーニング容器72に収容される。
【0029】
(2)帯電手段3
帯電手段3は、本実施例においてはスリーブ回転型の磁気ブラシ帯電装置である。図3は図1における磁気ブラシ帯電装置3部分の拡大図である。
【0030】
30は帯電容器、32は磁性粒子担持部材としての非磁性の帯電スリーブであり、その下面部を外部に露呈させて帯電容器30内に回転可能に配設されている。本実施例においてはこの帯電スリーブ32の直径は22mmである。31は磁界発生部材(磁場発生部材)としてのマグネットローラであり、帯電スリーブ32内に挿入されて非回転に固定配設されている。33は磁性粒子規制手段としての非磁性の規制ブレードであり、帯電容器30の帯電スリーブ露出開口部に帯電スリーブ32に対向させて配設されている。本実施例においては帯電スリーブ32と規制ブレード33との間隙(ギャップ)は約350μmになるように設定されている。36は帯電容器30内に収容された帯電用磁性粒子である。本実施例においては帯電容器30内には帯電用磁性粒子36を約50g投入してある。37は帯電用磁性粒子補給手段としての磁性粒子ホッパーであり、帯電容器30の上部に配設されている。ホッパー37内には補給用の帯電用磁性粒子36bが収容されている。35はホッパー37の磁性粒子補給口、38はその補給口を開閉するシャッター、34はホッパー37内に配設された磁性粒子搬送スクリューである。
【0031】
磁気ブラシ帯電装置3は、帯電スリーブ32を感光ドラム1に略並行にして、かつ帯電スリーブ32の下面部を感光ドラム1に対して所定の間隙を存して対向させて配設されている。本実施例においては帯電スリーブ32と感光ドラム1との間隙は約300μmになるように設定されている。
【0032】
帯電用磁性粒子36・36bとしては、平均粒径が10〜100μm、飽和磁化が20〜250emu/cm、抵抗が10〜1010Ω・cmのものが好ましい。帯電能を良くするには、できるだけ抵抗の低いものを用いる方が良いが、感光ドラム1にピンホールのような絶縁欠陥部が存在することを考慮すると、10Ω・cm以上のものを用いることが好ましい。本実施例では、フェライト表面を酸化、還元処理して抵抗調整を行い、更にカップリング処理を施し、平均粒径が35μm、飽和磁化が200emu/cm、抵抗が1×10Ω・cmのものを帯電用磁性粒子として用いた。本実施例において用いた帯電用磁性粒子36・36bは、その抵抗値を、底面積が228cmの金属セルに帯電用磁性粒子を2g入れた後6.6kg/cmで荷重し、100Vの電圧を印加して測定した。
【0033】
帯電スリーブ32に内包されるマグネットローラ31において、感光ドラム1に対向する部分の磁束密度の大きさは、約900ガウスになるようにした。その理由は、感光ドラム1に対向する部分の磁束密度が500ガウスよりも小さいと、帯電用磁性粒子36がマグネットローラ31の拘束力から逃れて感光ドラム1の表面に移動してしまう、所謂帯電用磁性粒子付着という現象が発生してしまうからである。より好ましくは700ガウス以上が好適である。また、1300ガウスよりも大きいと、帯電用磁性粒子36の感光ドラム1に対する摺擦力が大きくなることによって、感光ドラム1の表面保護層15を磨耗し過ぎてしまうという問題が生じるからである。より好ましくは1100ガウス以下が好適である。
【0034】
帯電スリーブ32はマグネットローラ31の外回りを駆動機構(不図示)により矢印の時計方向R32に所定の周速度、本実施例では300mm/secで回転駆動される。即ち、帯電スリーブ32は感光ドラム1に対してカウンター方向に回転する。つまり、帯電スリーブ32の回転方向R32は感光ドラム1との対向部においては感光ドラム1の回転方向R1とは逆方向である。感光ドラム1の周速度は300mm/secであり、帯電スリーブ32の周速度は300mm/secすなわち相対速度600mm/secである。
【0035】
帯電容器30内の帯電用磁性粒子36は、帯電スリーブ近傍部の磁性粒子が帯電スリーブ内のマグネットローラ31の磁気力により帯電スリーブ32の外面にブラシ状の層(磁気ブラシ)として拘束されて担持され、帯電スリーブ32の回転にともない搬送される。規制ブレード33は、帯電スリーブ32に担持されて帯電容器30内から持ち出される磁性粒子の量(磁気ブラシの層厚)を所定に規制して適正量の磁性粒子の磁気ブラシ部36aを形成する役目をする。そして、規制ブレード33で層厚規制された磁気ブラシ部36aが引き続く帯電スリーブ32の回転にともない感光ドラム1に対して接触して感光ドラム表面が該磁気ブラシで摺擦される。感光ドラム1の磁気ブラシ部36aによる摺擦部が帯電部位bである。そして、帯電部位bを通過した磁気ブラシ部36aは引き続く帯電スリーブ32の回転にともない帯電容器30内に戻し搬送される。
【0036】
感光ドラム1の帯電時には、帯電スリーブ32には帯電バイアス印加電源39から所定の帯電バイアスが印加される。本実施例においては、直流電圧−600V、交流電圧(矩形波)500Vpp、周波数1kHzの帯電バイアス(DC+ACの重畳バイアス)を印加している。これにより、帯電用磁性粒子36から電荷が感光ドラム1に与えられ、感光ドラム1の表面が印加の帯電電圧(DC電圧)に対応した電圧(−600V)にほぼ近い値に注入帯電される。
【0037】
(3)画像形成装置の作像動作シーケンス
図4は上記画像形成装置の作像動作シーケンス図である。
【0038】
1)前多回転行程
画像形成装置の始動(起動)動作期間(ウォーミング期間)である。メイン電源スイッチのONにより、メインモーターを駆動させて感光ドラム1を回転駆動させ、所要のプロセス機器の準備動作を実行させる。
【0039】
2)スタンバイ
所定の前多回転行程終了後は、メインモーターの駆動が一旦停止されて感光ドラム1の回転駆動が停止され、画像形成装置はプリントスタート信号が入力されるまでスタンバイ(待機)状態に保持される。
【0040】
3)前回転行程
プリントスタート信号の入力(ON)により、メインモーターを再起動させて感光ドラム1を再回転駆動させ、しばらくの間画像形成装置に所定のプリント前動作を実行させる期間である。
【0041】
4)プリント行程(画像形成行程)
所定の前回転行程が終了すると、引き続いて回転する感光ドラム1に対する画像形成プロセスが実行され、トナー画像の転写を受けた記録材Sが定着装置9に搬送されて、1枚目のプリント行程が行なわれる。
【0042】
連続プリントジョブモードの場合には、上記のプリント行程が繰り返されて所定の設定枚数n分のプリント行程が順次に実行される。
【0043】
5)紙間行程
連続プリントジョブモードにおいて、一の記録材Sの後端が転写部位eを通過した後、次の記録材Sの先端が転写部位eに到達するまでの間の、転写部位eにおける記録材非通紙期間である。
【0044】
6)後回転行程
最後であるn枚目のプリント行程が終了した後もしばらくの間メインモーターの駆動を継続させて感光ドラム1を回転駆動させ、画像形成装置に所定の後動作を実行させる期間である。
【0045】
7)スタンバイ
所定の後回転行程が終了すると、メインモーターの駆動が停止されて感光ドラム1の回転駆動が停止され、画像形成装置は次のプリントスタート信号が入力するまで再びスタンバイ状態に保持される。
【0046】
前多回転行程中にプリントスタート信号が入力した場合には引き続いて前回転行程を経てプリント行程が実行される。また1枚だけのプリントの場合は、そのプリント行程の終了後、画像形成装置は後回転行程を経てスタンバイ状態になる。
【0047】
上記において、4)のプリント行程が画像形成時であり、1)の前多回転行程、3)の前回転行程、5)の紙間行程、6)の後回転行程が非画像形成時である。
【0048】
(4)磁性粒子吐き出し回収モード
制御装置100は、所定の一定枚数の画像出力ごとに、磁気ブラシ帯電装置3の磁気ブラシを更新する磁性粒子吐き出し回収モードを実行する。このモードは、帯電装置3の帯電スリーブ32に感光ドラム表面(像担持体表面)の帯電時とは異なるバイアス(磁性粒子排出用電圧)を印加して磁気ブラシ36aを構成している帯電用磁性粒子36を感光ドラム表面へ付着させる(磁性粒子の吐き出し)。そして、帯電スリーブ32には帯電容器30内の新たな帯電用磁性粒子による時期ブラシを形成担持させる(磁気ブラシの更新)。また、感光ドラム表面に付着した帯電用磁性粒子を磁気ブラシ帯電装置よりも感光ドラム表面の移動方向下流側において感光ドラム表面に非接触に配設された磁性粒子回収手段8により磁気力で回収するモードである。
【0049】
はじめに、磁気ブラシ帯電装置3から帯電用磁性粒子36を排出する方法(磁性粒子の吐き出し方法)について説明をする。
【0050】
まず、感光ドラム1と帯電スリーブ32を帯電時と同じように、カウンター方向に回転させる。このとき、帯電スリーブ32に帯電時とは異なる排出用電圧としてステップ電圧を印加すると、ステップ電圧が印加された瞬間に感光ドラム1に接していた磁気ブラシ部分の帯電用磁性粒子が感光ドラム1側へ付着する。すなわち、磁気ブラシ36aを構成している帯電用磁性粒子が帯電スリーブ32から感光ドラム1へ排出される。この排出量は印加電圧の極性にはよらず、印加電圧の大きさにのみ依存した。
【0051】
ここで、ステップ電圧(ステップ型電圧)とは階段型の電圧のことで、ある電圧からある電圧へ短時間で電圧が切り替わるような電圧のことである。本実施例においてはその立ち上がりの速さは1.25(μsec/V)である。すなわち、0Vから800Vへ立ち上がる時間は1msecである。この立ち上がりの速さは少なくとも5(μsec/V)以上が望ましい。5(μsec/V)以下の場合、立ち上がり速度の変化に対する排出量の変化が大きく、安定して一定量の帯電用磁性粒子を排出できないためである。
【0052】
この現象のメカニズムとして以下のように考えられる。まず、ステップ電圧を印加すると、感光ドラム1と感光ドラム1に接していた磁気ブラシ部36aの帯電用磁性粒子との間の接触抵抗と接触容量が存在するため注入電流が帯電用磁性粒子に留まる。そして、帯電用磁性粒子に留まった電荷による静電気力によって帯電用磁性粒子の感光ドラム1に対する付着力が発生する。この付着力が帯電スリーブ32の帯電用磁性粒子磁気拘束力を上回ると、帯電用磁性粒子は感光ドラム1に付着する。そのため、排出量は印加電圧だけでなく、接触抵抗と接触容量、帯電スリーブの帯電用磁性粒子磁気拘束力の大きさにも依存する。
【0053】
帯電用磁性粒子36の排出量を制御するために、排出用電圧としてのステップ電圧の印加電圧の大きさと付着量の関係を調べる。本実施例の構成は、帯電用磁性粒子36の抵抗が1×10Ω・cmで、帯電スリーブ32の感光ドラム1に対向する磁束密度の大きさは約900ガウスである。この構成において、帯電スリーブ32に正の電圧を印加した場合の印加電圧と付着量の関係を図5に示す。なお、帯電スリーブ32に負の電圧を印加した場合も、図5とほぼ同じ結果となる。図5より800Vのステップ電圧が印加されると、0.25gの帯電用磁性粒子が排出されることがわかる。
【0054】
本実施例では、排出モード1回あたりの帯電用磁性粒子排出量を1gとしている。800Vのステップ電圧を印加すると0.25gが排出されるので、帯電用磁性粒子1gを排出するには800Vのステップ型の電圧を4回印加する必要がある。そこで本実施例では帯電用磁性粒子を1g排出するために図6のような2パルスの矩形波型の電圧を印加する。これにより800Vのステップ型の電圧VSが4回印加される。
【0055】
ステップ間には0.02秒の間隔をあけている。ステップ間に0.02秒の間隔をあける理由を述べる。帯電スリーブ32上の帯電用磁性粒子の磁気ブラシ36aが感光ドラム1に接している帯電部位bの感光ドラム周方向の幅w(図3)、すなわち帯電ニップ幅はおよそ5mmである。そのため一回のステップ電圧で帯電用磁性粒子が排出されると、最大で幅5mmにわたって帯電用磁性粒子が排出される。すなわちステップ間に一定以上の間隔を空ける理由は、排出と排出の間隔が短すぎると、ニップ部の一部に帯電用磁性粒子が存在しないため、帯電用磁性粒子が十分に排出されないことである。0.02秒の間隔をあければ、帯電スリーブの周速が300mm/secであるから、300×0.02=6mmだけ進む。そのため帯電部位bには新たな帯電用磁性粒子の磁気ブラシ36aが供給されており、帯電用磁性粒子が十分に排出される。図13において、36cは上記4回のステップ電圧VSの印加により感光ドラム表面に付着した、1回のステップ電圧VSにつき0.25gで、合計0.25g×4=1gの帯電用磁性粒子を示している。
【0056】
帯電用磁性粒子の排出量ついて説明する。排出量は求められる電位ムラの条件によって決定される。したがって、排出量を決定するには、排出量と電位ムラの関係を調べる必要がある。本実施例での排出量と電位ムラの関係を図7に示す。電位ムラは、感光ドラム1の現像部位dの感光ドラム母線方向に、電位計を5個等間隔に並べ、帯電動作を感光ドラム1周分行い、そのときの電位の最小と最大の差を電位ムラとした。電位計にはTREK表面電位計MODEL347を用いた。本実施例では電位ムラは10V以下であることが求められる。したがって図7より、プリント1,000枚毎に0.8gの帯電用磁性粒子排出を行えば電位ムラ10V以下の条件を満たすことができる。
【0057】
そこで、本実施例ではおよそプリント1,000枚毎に磁性粒子吐き出し回収モードを設け、一回に帯電用磁性粒子1gの排出を行う。磁性粒子の吐き出しは所定の一定量(本実施例では1g)分だけ排出できればよいので、帯電スリーブ1周分である必要はない。
【0058】
帯電性を一定に保つためには帯電容器30内の帯電用磁性粒子36の量を一定に保つ必要がある。そこで、制御装置100は、帯電用磁性粒子を排出する際は、帯電用磁性粒子補給手段としてのホッパー37の補給口35を閉じているシャッター38を開き位置に移動して補給口35から帯電容器30内に1gの帯電用磁性粒子を補給する。そして、補給後にシャッター38を閉じ位置に移動して補給口35を閉じる。また、スクリュー34を駆動して補給口35へ次回の補給のための帯電用磁性粒子を搬送する。
【0059】
次に、感光ドラム1上に排出された帯電用磁性粒子36c(図13)の回収について説明する。感光ドラム1上に排出した帯電用磁性粒子36cを回収するための装置として、磁気ブラシ帯電装置3と現像装置4との間に非接触型の回収装置8を配する。即ち、感光ドラム1上に付着した帯電用磁性粒子36cを帯電装置3よりも感光ドラム回転方向下流側(像担持体表面の移動方向下流側)で現像装置4よりも上流側(像担持体表面の移動方向上流側)において磁性粒子回収手段8により回収する。この磁性粒子回収手段8は、感光ドラム表面に付着している帯電用磁性粒子36cを磁気力によって非接触で回収する非接触型の磁性粒子回収手段である。本実施例においては、帯電用磁性粒子36cを非接触で磁気回収するために感光ドラム1に所定の間隔を存して対向させ、並行に配列したマグネットローラ81を有する。マグネットローラ81と感光ドラム1との対向部が磁性粒子回収部位(磁性粒子回収位置)gである。また、マグネットローラ上に磁気回収された帯電用磁性粒子を掻き落とすためのクリーニングブレード82と、掻き落された帯電用磁性粒子を収容する回収容器83等を有する。
【0060】
マグネットローラ81の主極磁場は1600[G]、マグネットローラ81と感光ドラム1の間隔距離は1mmである。また、マグネットローラ81は感光ドラム1に対してカウンター方向に周束150mm/secすなわち相対速度450mm/secで回転駆動される。
【0061】
帯電装置3から感光ドラム1に排出された帯電用磁性粒子36cはそのままでは感光ドラム表面に対する付着力が強い。そのため、その帯電用磁性粒子36cをそのまま上記の非接触型の回収装置8にて回収しようとしても、非接触のマグネットローラ81の磁気力ですべての帯電用磁性粒子を回収することができない。
【0062】
しかし、本発明者らは次の1)と2)の動作行程にすることで非接触型の回収装置8による帯電用磁性粒子の回収率が上昇することを知見した。
【0063】
1)感光ドラム表面の帯電用磁性粒子が付着している領域が感光ドラムの回転(像担持体表面の移動)で回収装置8の磁性粒子回収部位gに到達する前に感光ドラムの回転を停止させる動作ステップ。
【0064】
2)感光ドラムの回転停止(像担持体表面の移動停止)から所定時間が経過した後の感光ドラムの回転時(像担持体表面の移動時)に感光ドラム表面に付着している帯電用磁性粒子を非接触型の回収装置8により回収する動作ステップ。
【0065】
すなわち、帯電用磁性粒子36cの感光ドラム表面に対する付着力が時間とともに減少するという現象に着目し、帯電用磁性粒子の排出後に感光ドラム1の回転を一時停止させる。これによって、帯電用磁性粒子36cの感光ドラム表面に対する付着力を減少させた状態にして、非接触のマグネットローラ81の磁気力のみで帯電用磁性粒子36cの効率的な回収を実現する。
【0066】
帯電用磁性粒子を効率的に回収するのに必要な感光ドラム停止時間を知るために、感光ドラム停止時間と回収率の関係を調べる。その結果を図8に示す。図8より、感光ドラム1の回転を停止する時間が長いほど回収率は高くなり、また同じ停止時間であれば帯電用磁性粒子の抵抗が低くなるほど回収率が高くなることがわかる。本実施例での帯電用磁性粒子の抵抗は1×10Ω・cmであるので、感光ドラム1の回転停止時間が5秒以上であればほぼすべての帯電用磁性粒子を非接触型の回収装置8にて回収することができる。
【0067】
帯電用磁性粒子の感光ドラム表面に対する付着力が帯電用磁性粒子に溜まった電荷によるものかどうかを判断するために、帯電用磁性粒子の電荷量を測定した。
【0068】
測定原理を図9に示す。帯電装置3から感光ドラム1への付着直後の帯電用磁性粒子の電荷を測定するために、帯電装置3よりも感光ドラム回転方向下流側に電極302付のスクレーパー301を設けて、帯電装置3から感光ドラム1へ付着した直後の帯電用磁性粒子を捕集する。そして、捕集した帯電用磁性粒子の電荷量を電極302に接続したクーロンメータ303で検出する。クーロンメータ303はKEITHLEY Model6514 System Electrometerを用いた。図6で示したステップ電圧を帯電スリーブ32に印加して排出した帯電用磁性粒子の電荷を測定したところ、図10のようになった。図10より帯電用磁性粒子に溜まった電荷量は時間とともに減衰することが確認できる。また帯電用磁性粒子の抵抗が低いほど減衰速度は速くなる。この電荷減衰のグラフは、図8の感光ドラム停止時間と回収率の関係と良く相関が取れており、電荷量が5[C/g]を下回ると回収率がほぼ100%になることがわかる。
【0069】
これらの結果から、帯電用磁性粒子の感光ドラム表面に対する付着力の要因は帯電用磁性粒子に溜まった電荷が主要因であり、電荷の減衰に伴い付着力が減衰し、回収率が上がるという考えが妥当であるといえる。
【0070】
また、図8と図10より帯電用磁性粒子の抵抗が1×10Ω・cmから1×10Ω・cmの範囲であれば本発明の効果は最も効果的であることがわかる。
【0071】
磁性粒子吐き出し回収モードの実行について具体的に述べる。制御装置100は、所定の一定枚数の画像出力ごとに、所定の制御タイミングにて磁性粒子吐き出し回収モードを実行する。
【0072】
先述したように、本実施例ではおよそプリント1,000枚あたり帯電用磁性粒子1gの排出を行う。これにより、長期の耐久における帯電用磁性粒子の劣化を防いで耐久におけるに電位ムラ10V以下の条件を満たすことができる。排出動作はできるだけプリントジョブの終了直前に行う。すなわちプリントジョブが終了し、感光ドラム1が停止する直前(後回転行程の終了直前)である。そうすることによって、ユーザーを待たせることなく、帯電用磁性粒子を入れ替えることができる。
【0073】
プリントジョブの終了直前に帯電用磁性粒子の入れ替え動作を行う場合を「排出モード1」とする。排出モード1になる条件としては、あるプリントジョブを処理する際に、そのプリントジョブが完了した段階で、前回の排出もしくはプリント初期からのプリント枚数が1,000枚以上で1,050枚未満のプリント枚数カウント時とする。
【0074】
3,000枚の連続プリントジョブのように、大量のジョブを処理するようなときは、そのプリントジョブの最後に排出動作を行うのではなく、プリントジョブの途中に排出の動作を入れる「排出モード2」となる。排出モード2の条件としては、プリントジョブが完了した段階で、前回の排出もしくはプリント初期からのプリント枚数が1,050枚以上のときである。
【0075】
排出モード1について、図11のタイムテーブルを用いて説明する。図11では排出モードでないときのジョブが完了した時刻(後回転終了の時点)を0秒としている。このとき感光ドラム1が停止(ドラム信号OFF)してから5秒後に次のジョブが入ってきたとする。排出モードでないときは、5秒後に新たなジョブ(次のプリントジョブのプリントスタート信号)が入ってくると、図11の(a)のように直ちにドラム信号がONになる。
【0076】
一方、排出モード1では、感光ドラム1を停止するタイミングは同じだが、帯電装置3から感光ドラム1上に排出させた帯電用磁性粒子の付着力を低減させるために、感光ドラムは所定時間、本実施例では10秒間停止状態を保たねばならない。そのため、制御装置100は5秒後に次のジョブが入ってきても、すぐにドラム信号はONにせず、図11の(b)のように10秒後からドラム信号をONにする。
【0077】
次に、帯電装置3から感光ドラム1への帯電用磁性粒子の排出のタイミングについて説明する。帯電装置3から感光ドラム1へ排出された帯電用磁性粒子36cの感光ドラム1に対する付着力を低減させるため、感光ドラム表面の帯電用磁性粒子付着領域が回収装置8の磁性粒子回収部位gに到達する前に感光ドラム1の回転を停止しなくてはならない。
【0078】
本実施例では帯電装置3の帯電スリーブ32と回収装置8のマグネットローラ81とは感光ドラム1の周長に関して約60mm離れている(図13)。つまり、帯電装置3から感光ドラム1へ帯電用磁性粒子が排出されてから、感光ドラム1が周長で60mm回転するまでに感光ドラム1の回転を停止させればよい。本実施例では帯電装置3から感光ドラム1へ帯電用磁性粒子が排出されてから、感光ドラム1が周長で30mm回転した回転角度で感光ドラム1の回転を停止するようにしている。感光ドラム1の周速は300mm/secなので、制御装置100は感光ドラム1の回転が停止する0.1秒前に、排出用電圧(ステップ電圧)を帯電スリーブ32に印加する。図11の(c)におおよそのタイミングを示し、(d)に印加する排出用電圧の波形を示している。
【0079】
そして、感光ドラム1の回転が停止してから10秒後に次のプリントジョブのプリントスタート信号に基づくドラム信号ONで感光ドラム1の回転が開始される。この感光ドラム1の回転により、感光ドラム表面に付着している帯電用磁性粒子36cが回収装置8により回収部位gにおいて非接触のマグネットローラ81の磁気力のみで回収される。この場合、感光ドラム1の回転が上記のように10秒停止した間において、感光ドラム表面に付着している帯電用磁性粒子36cが持つ電荷量が減衰して、帯電用磁性粒子36cの感光ドラム表面に対する付着力が減少する。そのため、非接触のマグネットローラ81の磁気力のみで帯電用磁性粒子36cの効率的な回収がなされる。
【0080】
制御装置100は、上記の磁性粒子吐き出し回収モードを実行したらモード制御のためのプリント枚数カウンターをリセットする。
【0081】
排出モード2について図12を用いて説明する。この排出モード2はあるプリントジョブを処理する際に、そのジョブが完了した段階で、前回の排出もしくはプリント初期からのプリント枚数が1,050枚以上となるときである。排出モード2では1,050枚目と1,051枚目の間で磁性粒子吐き出し回収モードを行う。すなわち、制御装置100は、排出モードではないときの1,050枚目のプリントの感光ドラム上での処理が完了する時点を原点とすると、排出モード2ではこの原点から10秒まで、感光ドラム1を10秒間停止させる(図12の(b))。そして10秒後から、1,051枚目以降のプリント動作を開始する。
【0082】
帯電装置3から感光ドラム1への帯電用磁性粒子の排出のタイミングは排出モード1のときと同様で、感光ドラム1の回転が停止する0.1秒前とする(図12の(c)、(d))。
【0083】
そして、感光ドラム1の回転が停止してから10秒後に1,051枚目以降のプリント動作信号に基づくドラム信号ONで感光ドラム1の回転が開始される。この感光ドラム1の回転により、感光ドラム表面に付着している帯電用磁性粒子36cが回収装置8により回収部位gにおいて非接触のマグネットローラ81の磁気力のみで回収される。この場合、感光ドラム1の回転が上記のように10秒停止した間において、感光ドラム表面に付着している帯電用磁性粒子36cが持つ電荷量が減衰して、帯電用磁性粒子36cの感光ドラム表面に対する付着力が減少する。そのため、非接触のマグネットローラ81の磁気力のみで帯電用磁性粒子36cの効率的な回収がなされる。制御装置100は、上記の磁性粒子吐き出し回収モードを実行したらモード制御のためのプリント枚数カウンターをリセットする。
【0084】
また、残りのプリントジョブが完了するのが、この排出から1,050枚目以上であれば、再び1,050枚目の後に排出動作を行う。それ以上のときも同様の処理をする。すなわち少なくとも1,050枚おきに排出動作が入るようにする。
【0085】
以上のように、電気的な力で帯電用磁性粒子を定期的に磁気ブラシ帯電装置3から排出し、同時に補給を行うことによって、帯電性能を一定に保つことができる。
【0086】
さらに、排出された帯電用磁性粒子を非接触で回収することにより、回収装置8の離間動作が不必要である。そのため低コストで、簡易な機構とすることができる。
【0087】
また、非接触なため、感光ドラム1を傷つけることなく、感光ドラム1の表面状態を良好に保つという効果も得られる。
【0088】
以上説明した実施例は像担持体として電子写真感光体を用いた電子写真画像形成装置であるが、画像形成装置は像担持体として静電記録誘電体を用いた静電記録装置であってもよい。静電記録装置の場合は、静電記録誘電体の表面を磁気ブラシ帯電装置により所定の極性・電位に一様に帯電した後、除電針ヘッド、電子銃等の除電手段で選択的に除電して静電潜像を形成する。そして、その静電潜像がトナー画像として現像される。
【0089】
像担持体はドラム型に限られず、可撓性を有し回動駆動されるエンドレスベルト型にすることもできる。走行移動される有端のウエブ型或いはベルト型の形態のものとすることもできる。
【0090】
像担持体に形成したトナー画像をドラム型或いはエンドレスベルト型の中間転写体に一次転写し、更に記録材Sに二次転写する中間転写方式の画像形成装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】実施例の画像形成装置の概略構成を示す模式図
【図2】感光ドラムの層構成の模式図
【図3】図1の磁気ブラシ帯電装置部分の拡大図
【図4】画像形成装置の動作行程図
【図5】帯電スリーブへの印加電圧(ステップ電圧)と帯電用磁性粒子の排出量の関係図
【図6】帯電スリーブへ印加するステップ電圧(排出用電圧)の波形図
【図7】帯電用磁性粒子の排出量と電位ムラの関係図
【図8】感光ドラム停止時間と帯電用磁性粒子回収率の関係図
【図9】帯電用磁性粒子に溜まった電荷の測定原理図
【図10】感光ドラム停止時間と帯電用磁性粒子電荷量の関係図
【図11】排出モード1のタイムテーブル
【図12】排出モード2のタイムテーブル
【図13】磁気ブラシ帯電装置から感光ドラムへの帯電用磁性粒子の排出のタイミング及び感光ドラムの回転停止タイミングの説明図
【符号の説明】
【0092】
1・・・・・感光ドラム
11・・・導電性支持体
12・・・正電荷阻止層
13・・・光導電層
14・・・負電荷阻止層
15・・・表面保護層
2・・・・除電手段(前露光ランプ)
3・・・・帯電手段(磁気ブラシ帯電装置)
31・・・マグネットローラ
32・・・帯電スリーブ
33・・・規制ブレード
34・・・帯電用磁性粒子搬送スクリュー
35・・・帯電用磁性粒子補給口
36・・・帯電用磁性粒子
39・・・帯電電圧装置
4・・・・露光手段(レーザースキャナ)
5・・・・現像手段(現像装置)
6・・・・転写手段(転写ローラ)
7・・・・クリーニング手段(ブレードクリーニング装置)
71・・・クリーニングブレード
8・・・・帯電用磁性粒子回収手段(回収装置)
81・・・回収用マグネットローラ
82・・・マグネット用クリーニングブレード
40・・・電流検知手段
100・・制御装置(CPU)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が移動可能な像担持体と、磁性粒子担持部材に磁気力により拘束した帯電用磁性粒子の磁気ブラシを像担持体に接触させて像担持体表面を帯電する磁気ブラシ帯電装置と、を有し、像担持体表面に画像を形成する画像形成装置であって、磁性粒子担持部材に像担持体表面の帯電時とは異なるバイアスを印加して磁気ブラシを構成している帯電用磁性粒子を像担持体表面へ付着させ、付着した帯電用磁性粒子を磁気ブラシ帯電装置よりも像担持体表面の移動方向下流側に配設された磁性粒子回収手段にて磁気力によって非接触で回収する磁性粒子吐き出し回収モードを有する画像形成装置において、
磁性粒子吐き出し回収モードは、像担持体表面の帯電用磁性粒子が付着している領域が像担持体表面の移動で磁性粒子回収手段の磁性粒子回収位置に到達する前に像担持体表面の移動を停止させるステップと、像担持体表面の移動停止から所定時間が経過した後の像担持体表面の移動時に像担持体表面に付着している帯電用磁性粒子を磁性粒子回収手段により回収するステップを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記磁性粒子回収手段は、像担持体表面に非接触に対向して配設された磁界発生部材を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記磁気ブラシ帯電装置に対して帯電用磁性粒子を補給する帯電用磁性粒子補給手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体がアモルファスシリコン系感光体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図13】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−186887(P2009−186887A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28766(P2008−28766)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】