説明

画像形成装置

【課題】複数のユニットが軸方向にずらして配置されたフルライン型の磁気潜像形成手段を備えた画像形成装置において、磁気潜像形成手段の各ユニットについて位置ずれを定量的に検出し、磁気潜像保持体の軸方向の全幅にわたって連続した磁気潜像の画素列を形成することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1のユニット60の右端にある重複画素分の2個の磁気ヘッド40、40を駆動して磁気記録を行うと、磁気ドラム10上には、軸方向に連続した画素列からなるマーキング潜像110が形成される。第2のユニット60の左端にある重複画素分の2個の磁気ヘッド40、40を駆動して、マーキング潜像110を読み取る。同様に、第2のユニット60の磁気ヘッド40、40が磁気ドラム10上に記録したマーキング潜像110を、第3のユニット60の磁気ヘッド40、40を駆動して読み取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一回の潜像形成で必要部数の印刷が可能な磁気印写装置が知られている。この磁気印写装置では、磁気記録媒体(磁気潜像保持体)に磁気的に形成された磁気潜像を保持させ、現像領域でその磁気記録媒体に磁性トナーを供給して磁気潜像をトナー像として顕像化し、転写領域で紙などの記録媒体を磁気記録媒体へ押し当て、顕像化されたトナー像を記録媒体へ転写し、更に転写後の記録媒体を定着領域に搬送して定着処理することにより印写を完成させる。この方式は、一般にマグネトグラフィと呼ばれている。
【0003】
マグネトグラフィの1つの方式として、粉体の磁性トナーを利用したいわゆる乾式の粉体マグネトグラフィ(例えば、特許文献1、2参照)がある。粉体マグネトグラフィのプロセスでは、例えば、磁性トナーは磁気記録媒体に対して離間位置に配置された供給ローラによって供給される。供給ローラは磁性トナー層をその周面上に保持し、磁性トナー層を磁気記録媒体へ接触させて、磁気記録媒体の磁気潜像へ磁性トナーを供給し、付着させる。
【0004】
また、マグネトグラフィの他の方式として、磁性トナーを液体中に分散させた液体現像剤を用いた液体マグネトグラフィ(例えば、特許文献3、4参照)がある。液体マグネトグラフィのプロセスでは、トナーが液体中に含まれるため、高画質化のためにトナー粒径を小さくしても、トナーが飛散するいわゆるトナークラウド等の問題が発生することはない。
【0005】
また、磁気印写装置は、磁気潜像を形成するために、磁気ドラム(磁気潜像保持体)と磁気ヘッド(磁気潜像形成手段)とを含んで構成されている。例えば、1個又は数個の磁気ヘッドを搭載したキャリッジを備え、磁気ドラムを回転させることにより主走査を行い、キャリッジを磁気ドラムの軸方向に移動させて副走査を行うことにより磁気潜像を形成する磁気印写装置が提案されている(特許文献5、6)。
【特許文献1】特開平6−4008号公報
【特許文献2】特開平9−156150号公報
【特許文献3】特公平5−87834号公報
【特許文献4】特開平5−188827号公報
【特許文献5】特開平03−004282号公報
【特許文献6】特開平09−258603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複数の磁気ヘッドが磁気潜像保持体の軸方向に配列された磁気ヘッド列を有する複数のユニットを備え、隣接するユニットが軸方向に一部重複した磁気潜像の画素列を形成するように軸方向にずらして配置されると共に、回転方向に重ならないように回転方向にずらして配置されたフルライン型の磁気潜像形成手段を備えた画像形成装置において、磁気潜像形成手段の各ユニットについて位置ずれを定量的に検出し、磁気潜像保持体の軸方向の全幅にわたって連続した磁気潜像の画素列を形成することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、回転可能に支持されると共に、磁気潜像を保持可能な磁気潜像保持体と、複数の磁気ヘッドが前記磁気潜像保持体の軸方向に順位を付けて配列された磁気ヘッド列を有する複数のユニットを備え、隣接するユニットが軸方向に一部重複した磁気潜像の画素列を形成するように軸方向にずらして配置されると共に、回転方向に重ならないように回転方向にずらして配置されて、前記磁気潜像保持体に磁気潜像を形成する磁気潜像形成手段と、前記複数のユニット毎に設けられ、前記磁気潜像保持体への磁気潜像の記録又は前記磁気潜像保持体に記録された磁気潜像の再生の一方を行うように、ユニットに含まれる複数の磁気ヘッドを独立に駆動する複数のユニット駆動手段と、前記磁気潜像保持体を回転させるモータを駆動するモータ駆動手段と、前記磁気潜像保持体が一定速度で回転するように前記モータ駆動手段を制御すると共に、前記複数のユニット毎に、前記磁気ヘッド列の一端側に配置され重複した画素列を形成する磁気ヘッドの一部を記録用磁気ヘッドとして駆動し、前記磁気ヘッド列の他の磁気ヘッドの一部又は全部を再生用磁気ヘッドとして駆動して、隣接する2個のユニットに対して、一定速度で回転する前記磁気潜像保持体に、一方のユニットの記録用磁気ヘッドにより位置検出用の基準潜像が記録された後に、他方のユニットの再生用磁気ヘッドで一方のユニットで記録された基準潜像が再生されるように、前記複数のユニット駆動手段の各々を制御する制御手段と、前記複数のユニットの各々から得られた再生データに基づいて、前記磁気潜像形成手段の各ユニットの位置ずれを定量的に検出する位置ずれ検出手段と、を備えた画像形成装置であることを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御手段が、一定速度で回転する前記磁気潜像保持体上に、前記記録用磁気ヘッドにより回転方向に延びた位置検出用の基準潜像が記録されるように、前記複数のユニット駆動手段の各々を制御し、前記位置ずれ検出手段が、前記複数のユニットの各々から得られた再生データから、基準潜像を再生した磁気ヘッドの順位をユニット毎に取得して、取得した磁気ヘッドの順位から軸方向のずれ量をユニット毎に検出する軸方向ずれ量検出処理を行うことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記軸方向ずれ量検出処理において、得られた再生データから基準潜像を再生できないユニットがある場合には、当該ユニットに隣接するユニットの基準潜像を再生した磁気ヘッドの順位を予め定めた閾値と比較して、磁気ヘッドの順位が閾値以下の場合には画素列の連続性があるものとして処理を継続し、磁気ヘッドの順位が閾値を超えている場合には画素列の連続性が無いものとして処理を終了することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記位置ずれ検出手段の検出結果を表示する表示手段を更に備え、前記軸方向ずれ量検出処理において、画素列の連続性が無いものとして処理を終了する場合には、前記表示手段に画素列の連続性が無い旨を表示することを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記位置ずれ検出手段で取得された磁気ヘッドの順位から、隣接するユニットにより重複した磁気潜像の画素列が形成される場合には、何れか一方のユニットの磁気ヘッドにより画素列が形成されるように使用する磁気ヘッドを選択し、磁気潜像の形成に使用される磁気ヘッドの各々に、軸方向に形成される画素の順番を表す画素番号を付番する付番手段を、更に備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5までの何れか1項に記載の発明において、前記制御手段が、一定速度で回転する前記磁気潜像保持体上の軸方向に延びた基準ライン上に、前記記録用磁気ヘッドにより位置検出用の基準潜像が記録されるように、前記複数のユニット駆動手段の各々を制御し、前記位置ずれ検出手段が、前記複数のユニットの各々から得られた再生データから、前記基準潜像が記録されてから再生されるまでの時間をユニット毎に取得して、取得した時間から回転方向のずれ量を検出する回転方向ずれ量検出処理を更に行う、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、各ユニットの位置ずれを定量的に検出することで、磁気潜像保持体の軸方向の全幅にわたって連続した磁気潜像の画素列を形成することが可能となる、という効果がある。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、ユニットの軸方向のずれ量と共に、隣接するユニット間で軸方向に形成される磁気潜像の画素列の重複度(重複画素数)を検出することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、画素列の連続性の有無を判定することが可能になる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、画素列の連続性が無いことを報知することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、隣接するユニット間で軸方向に形成される磁気潜像の画素列の重複を避け、ユニット横断で有効な画素番号を再配置することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、基準潜像が記録されてから再生されるまでの時間から、ユニット毎に回転方向のずれ量(各ユニットの基準ラインまでのオフセット距離)を検出することができ、ユニット毎に書き込みタイミングを補正することにより、軸方向の全幅にわたって回転方向にずれの無い磁気潜像の画素列を形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0020】
本実施の形態に適用される画像形成プロセスは、いわゆる電子写真プロセスや、誘電体上にイオンなどで静電潜像を形成するプロセス(イオノグラフィ)、帯電した誘電体にサーマルヘッドの熱により画像情報に応じて静電潜像を形成するプロセスなど、静電潜像を利用するものではなく、磁気潜像保持体上に磁気潜像を形成してトナー像を形成するプロセスである。
【0021】
本実施の形態では、磁気現像のための現像剤として、水性媒体中に磁性トナーを分散させた液体現像剤を用いる。本実施の形態に用いる液体現像剤は、水性媒体中に磁性トナーを分散させて構成される。磁性トナーとしては、一般的に高分子化合物中に磁性粉を含む磁性重合体粒子を用いる。磁性重合体粒子とは、磁性粉が重合体中に分散されてなる磁性粉分散粒子で構成されるものである。
【0022】
ここで、水性媒体とは、水を50質量%以上含む溶媒を意味する。「水」とは、蒸留水、イオン交換水、超純水等、精製した水を意味する。液体現像剤を用いたいわゆる液体マグネトグラフィでは、通常、現像直後の磁気潜像保持体上のトナー像は、多量の余剰現像液を含むことから、用紙等の記録媒体へのトナー画像の転写の前に乾燥工程を設けて、余剰現像液を除去しなければならない場合がある。
【0023】
本実施の形態では、液体現像剤における分散媒として水性媒体を用いることにより、水が水素結合により表面張力が大きいため、撥水性の磁気潜像保持体と組み合わせることで、現像の際に液体現像剤が磁気潜像保持体と接触しても分散媒である液体が磁気潜像保持体に転移しにくく、液体を磁気潜像保持体上に残さない状態でトナー像を記録媒体に転写させている。
【0024】
また、現像の際には表面張力の大きい水性媒体は磁気潜像保持体表面にほとんど濡れ広がることはなく、一方現像剤中に高い易動性を有して均一に分散している磁性トナーは、磁気潜像保持体との接触と同時に磁気潜像のみに磁気力で転移するため、画像かぶりが発生しにくい現像環境がつくり出される。なお、本明細書において、前記分散等に関する「均一」とは、系内に磁性粉、重合体粒子等の1次粒子が十数個以上集まった程度の大きさの凝集体が存在しないことをいう。
【0025】
以下において、本実施の形態における液体現像剤を用いた磁気現像プロセスによる画像形成装置を簡単に説明する。
【0026】
<画像形成装置の全体構成>
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
この画像形成装置100は、磁気ドラム(磁気潜像保持体)10、磁気記録ヘッド(磁気潜像形成手段)12、現像装置(現像剤貯留手段及び現像剤供給手段)14、中間転写体(転写手段)16、クリーナ18、消磁装置(消磁手段)20、及び転写定着ローラ(転写手段)28を含んで構成されている。磁気ドラム10は円柱形状を有している。磁気ドラム10の周りには、磁気記録ヘッド12、現像装置14、中間転写体16、クリーナ18、及び消磁装置20が、上流側からこの順に設けられている。
【0027】
上記の画像形成装置100では、各装置が以下のように動作して画像を形成する。まず、画像形成装置100には、例えば、後述する情報取得部が接続されており、この情報取得部で受信した画像データを受け取る。磁気記録ヘッド12は、画像データに応じて磁気ドラム10の側面上を走査しながら磁力線を放出することによって、磁気ドラム10に磁気潜像22を形成する。なお、図1では磁気潜像22は磁気ドラム10における斜線を付した部分で示される。
【0028】
現像装置14は、現像ローラ14aと現像剤貯蔵容器14bとを含んで構成されている。現像ローラ14aは、現像剤貯蔵容器14bに貯蔵される液体現像剤24に一部が浸るようにして設けられる。液体現像剤24は、水性媒体とトナー粒子とを含んで構成される。トナー粒子は磁性体を含んで構成される磁性トナーである。
【0029】
液体現像剤24中では、トナー粒子は均一に分散されているが、例えば液体現像剤24を、さらに現像剤貯蔵容器14b内に設けられる撹拌部材によって所定の回転速度で撹拌し続けることで、液体現像剤24中のトナー粒子の濃度バラツキは低減される。これにより図の矢印A方向に回転する現像ローラ14aには、トナー粒子の濃度バラツキが低減された液体現像剤24が供給される。
【0030】
現像ローラ14aに供給された液体現像剤24は、規制部材13によって一定の供給量に制限された状態で磁気ドラム10に搬送され、現像ローラ14aと磁気ドラム10とが近接(あるいは接触)する位置で磁気潜像22に供給される。これによって磁気潜像22が顕像化されてトナー像26となる。現像されたトナー像26は、図の矢印C方向に回転する中間転写体16に転写される。中間転写体16への転写は、トナー粒子が電荷をほとんど有していないため、シアリング転写(非電界転写)により行うことが好適である。
【0031】
具体的には、矢印B方向に回転する磁気ドラム10と矢印C方向に回転する中間転写体16とを一定のニップ(移動方向の接触幅を有する接触面)を持って接触させ、トナー像26に対して磁気ドラム10との磁気力以上の吸着力により中間転写体上にトナー像26を移行させる。このとき、磁気ドラム10及び中間転写体16間に周速差を設けてもよい。次いで、中間転写体16により矢印C方向に搬送されたトナー像は、転写定着ローラ28との接触位置において記録媒体30に転写され、同時に定着される。
【0032】
転写定着ローラ28は、中間転写体16と共に記録媒体30を挟み、中間転写体16上のトナー像を記録媒体30に密着させて、記録媒体30上に定着像29を形成する。これによって記録媒体30にトナー像を転写し、同時に記録媒体30上にトナー像を定着させることができる。トナー像の定着は、トナーの特性により加圧によってのみ行うこともできるし、転写定着ローラ28に発熱体を設けて加圧及び加熱により行ってもよい。
【0033】
一方、中間転写体16にトナー像26を転写した磁気ドラム10では、転写残トナーがクリーナ18との接触位置まで運ばれ、クリーナ18によって回収される。クリーニング後、磁気潜像22を保持したまま磁気ドラム10は消磁位置まで回転移動する。消磁装置20は、磁気ドラム10に形成された磁気潜像22を消去する。前記クリーナ18と消磁装置20とによって磁気ドラム10は画像形成前の磁性層の帯磁状態にばらつきがない状態に戻される。
【0034】
以上の動作により記録媒体30上に画像が形成される。なお、上記画像形成装置100では、磁気記録ヘッド12、現像装置14、中間転写体16、転写定着ローラ28、クリーナ18及び消磁装置20は、すべて磁気ドラム10の回転速度と同期をとって動作されている。
【0035】
<磁気潜像形成手段>
(フルライン型の磁気記録ヘッド)
図2は図1の磁気ドラム10と磁気記録ヘッド12との位置関係を示す斜視図である。磁気ドラム10は、回転軸32を備えている。回転軸32の一端側には、磁気ドラム10を矢印B方向に回転させるモータ34が設けられている。回転軸32の他端側には、磁気ドラム10の回転角度(回転方向の位置)を検出するためのエンコーダ36が設けられている。
【0036】
磁気潜像形成装置(磁気潜像形成手段)は、基本的には磁気記録ヘッド12とその駆動回路(図示せず)とから構成されている。磁気記録ヘッド12を駆動する駆動回路については後述する。磁気記録ヘッド12は、長手方向が磁気ドラム10の軸方向の全幅と略等しい長尺状の外観を備えたフルライン型の磁気記録ヘッドである。従って、磁気ドラム10の軸方向に対しては、磁気ドラム10と磁気記録ヘッド12とを相対的に移動させる必要はなく、極めて高速な記録が可能になる。
【0037】
フルライン型の磁気記録ヘッド12は、長尺状の主基板38を備えている。主基板38の一方の表面38A上には、磁力線を放出する多数の磁気ヘッド(図示せず)が配置されている。1個の磁気ヘッドが1画素分の磁気潜像を形成する。多数の磁気ヘッドは、磁気ドラム10の軸方向の全幅にわたって連続した磁気潜像の走査ラインを形成するように、所定レイアウトで配置されている。なお、磁気ヘッドの具体的な配置や配置方法については後述するが、多数の磁気ヘッドは複数のユニットに分けて配置されている。
【0038】
磁気記録ヘッド12は、主基板38の磁気ヘッドが配置された表面38A側が、磁気ドラム10と対向するように、磁気ドラム10に近接させて配置されている。また、磁気記録ヘッド12の長手方向が磁気ドラム10の軸方向(以下、単に「軸方向」という。)を向くと共に、磁気記録ヘッド12の幅方向が磁気ドラム10の回転方向(以下、単に「回転方向」という。)を向くように配置されている。
【0039】
(磁気ヘッドによる記録・再生)
図3(A)は磁気ヘッドの一例を示す概略図であり、図3(B)は磁気ヘッドをギャップ側から見たときの概略図である。個々の磁気ヘッド40は、例えば、図3(A)及び(B)に示すように、リング状の磁性体にギャップ44を設けたヘッドコア42と、ヘッドコア42に巻き付けられたコイル46と、で構成された「リング型磁気ヘッド」とすることができる。磁気ヘッド40のギャップ44は、通常は1μm程度と非常に狭い。
【0040】
例えば、隣接する2つのギャップ44同士の軸方向の間隔を狭くして、解像度600dpi(ドット・パー・インチ)とすると、A4サイズの紙幅方向の記録領域をカバーするためには、多数の磁気ヘッドを並べてフルライン化する必要がある。なお、ここではリング型磁気ヘッドを用いる例について説明するが、フルライン化のためには隣接する2個のギャップ44同士の間隔を小さくする必要があり、リング型磁気ヘッドに代えて、薄膜プロセスで形成された「薄膜磁気ヘッド」を用いてもよい。
【0041】
図4(A)及び(B)は磁気ヘッド40による記録・再生の原理を示す模式図である。図4(A)に示すように、磁気ヘッド40が電源50に接続されると、コイル46に電流が流れる。コイル46に電流が流れるとヘッドコア42が磁化され、ギャップ44に局所的に強い磁界が発生して、磁力線48が外部に膨らみ漏洩磁界が生じる。ギャップ44を磁気ドラム(磁気記録媒体)10に近接させると、漏洩磁界により磁気記録媒体が磁化されて磁化部分52が形成され、磁気記録が行われる。
【0042】
即ち、磁気ドラム10に対してギャップ44を相対移動させながら、磁気ヘッド40のコイル46に流す電流を画像データに応じてオンオフすると、磁化部分52が順次形成されて、磁気潜像が形成される。一般に、磁気ヘッドで保持力Hcの磁気記録媒体に記録を行うためには、ギャップ内に保持力Hcの2〜3倍程度の磁界を発生させる必要がある。ここで形成した磁気潜像は消磁装置20で消去しない限り消えることはない。このため、現像、転写、定着、クリーニングの各工程を繰り返すことで、何度でも同じ画像を形成することができる。即ち、マルチコピー機能を有する。また、磁気潜像は湿度の影響を受けにくいため、静電式に比べて環境安定性に優れている。
【0043】
一方、図4(B)に示すように、磁気潜像が形成された磁気ドラム10の磁化部分52からは磁力線54が発生している。磁気ドラム10の表面に磁気ヘッド40を近接させると、点線で示すように、磁力線56がヘッドコア42の内部を通り、コイル46に微弱な誘導電流を発生させる。この誘導電流を増幅し、電流波形から磁化を検出することにより、磁気再生が行われる。
【0044】
以上の通り、磁気ヘッド40は、電気信号(ここではオンオフ信号)を磁気に変換して磁気記録媒体を磁化する磁気記録(書き込み)と、磁気記録媒体の磁化を電気信号に変換する磁気再生(読み出し)と、を行う。
【0045】
(マルチユニットによる磁気ヘッドの配列)
図5(A)は磁気ヘッド40が複数個配列されたユニットの構成を示す概略図である。本実施の形態では、副基板58の表面58Aに、複数の磁気ヘッド40が一列に形成されたユニット60を用いる。作製上の理由から、1個のユニットに設けることができる磁気ヘッド40の個数は、数個程度である。この例では、平面視が矩形状の副基板58の中央部分に、8個の磁気ヘッド40〜40が形成されている。これら8個の磁気ヘッド40〜40は、副基板58の長手方向と平行になるように一列に形成されている。
【0046】
磁気ヘッド40〜40の各々は、それぞれのヘッドコアが並列になるように配列されている。この結果、副基板58の表面58Aには、副基板58の長手方向に平行に、8個のギャップ44〜44が配列されることになる。なお、磁気ヘッド40〜40の各々を区別する必要が無い場合には、磁気ヘッド40と総称する。同様に、ギャップ44〜44の各々を区別する必要が無い場合には、ギャップ44と総称する。
【0047】
このユニット60を、図2に示す長尺状の主基板38の表面38A上に、所定のレイアウトで多数配置することで、フルライン型の磁気記録ヘッド12が構成されている。ユニット60の各々は、その副基板58の裏面が、主基板38の表面38Aに接着剤等で貼り付けられて、固定配置されている。そして、磁気記録ヘッド12は、主基板38の磁気ヘッドが配置された表面38A側が、磁気ドラム10と対向するように配置される。
【0048】
以下では、磁気ドラム10に形成される走査ラインとの関係を分かり易くするために、図5(B)に示すように、ユニット60の構造を模式的に表す。即ち、ユニット60を副基板58の裏面58B側から見た場合には、磁気ヘッド40は見えないが、表面58Aに形成される磁気ヘッド40の位置を実線で表す。また、磁気ドラム10には、ギャップ44の大きさに応じた画素(ドット)が形成されるが、1個の磁気ヘッド40が1画素分の磁気潜像を形成するものとして、磁気ヘッド40の各々を1画素に対応する正方形で表す。
【0049】
図6は磁気記録ヘッド12における複数のユニット60の配列の一例を示す部分拡大図である。長尺状の主基板38の一端部における複数のユニット60の配列を図示している。また、図6においても、複数のユニット60の配列と磁気ドラム10に形成される走査ラインとの関係を分かり易くするために、主基板38は見えないものとして仮想線(一点鎖線)で図示されている。
【0050】
また、磁気ドラム10の「軸方向」及び「回転方向」との関係が明確になるように、磁気ドラム10も併せて図示されている。上述した通り、磁気記録ヘッド12(主基板38)は、その長手方向が軸方向を向くと共に、その幅方向が回転方向を向くように配置されている。従って、磁気ヘッド40やユニット60の位置を表す場合には、上記の「軸方向」及び「回転方向」を基準とする。
【0051】
図6に示すように、本実施の形態では、磁気記録ヘッド12の長尺状の主基板38には、複数のユニット60が所定のレイアウトで配置されている。図6では、長尺状の主基板38の一端部に配置された16個のユニット60〜6016だけを図示しているが、主基板38の全体にはn個のユニット60〜60が配置されている。なお、図面上では、軸方向に沿って左側から右側へと昇順で付番する。また、ユニット60〜60の各々を区別する必要が無い場合には、ユニット60と総称する。
【0052】
ユニット60の各々には、磁気ヘッド40〜40が、軸方向に沿って左側から右側へと昇順で並ぶように配置されている。従って、1個のユニット60で、同時に8画素のライン状の磁気潜像(以下、「ユニット画素ライン」という。)を軸方向に形成することが可能となる。また、例えばユニット60とユニット60のように、軸方向に隣接する2つのユニット60は、各々のユニット画素ラインが、同じ走査ライン上で一部(この例では、2画素分)が重複するように配置されている。
【0053】
また、n個のユニット60〜60は、数個のユニット60からなる組に分けられている。各組に含まれる複数のユニット60は、ユニット同士が重ならないように、長尺状の主基板38の幅方向(回転方向)に一定のピッチで配置されている。この例では、1組は8個のユニット60から構成されている。例えば、主基板38の一端部に配置された16個のユニット60〜60は、8個のユニット60〜60の組と、8個のユニット60〜6016の組と、に分けられている。
【0054】
即ち、各組に含まれる複数のユニット60は、隣接する2つのユニット60がユニット画素ラインが重複するように配置されると共に、隣接する2つのユニット60が主基板38の幅方向に各々同じピッチで配置されている。この結果、各組に含まれる複数のユニット60は、軸方向に対し斜め(図面上は右下がり)に配置されている。また、各組に含まれる先頭のユニット60は、軸方向の同じライン上に配置されている。
【0055】
例えば、8個のユニット60〜60は、軸方向に対し斜めに昇順で配置されており、8個のユニット60〜6016は、軸方向に対し斜めに昇順で配置されている。ユニット60とユニット60とは、軸方向の同じライン上に配置されている。また、ユニット60とユニット60のように、組を隔てて軸方向に隣接するユニットであっても、各々のユニット画素ラインが重複するように配置されている。
【0056】
なお、ここでは1組が8個のユニット60から構成される例について説明したが、1組に含まれるユニット60の個数は、主基板38の幅方向の長さ、ユニット60(副基板58)の幅方向の長さ、磁気ドラム10の回転速度、磁気ヘッド40の駆動速度などを勘案して、適宜決定することができる。例えば、1組を2個のユニット60から構成して、n個のユニット60を千鳥状に配置してもよい。
【0057】
図7は複数のユニット60の理想的な配列を示す模式図である。ここでは3個のユニット60〜60の理想的な(ずれが発生していない)配列を示す。第1のユニット60と第2のユニット60とは、磁気ドラム10の軸方向に形成されるユニット画素ラインが2画素分重複するように配置されている。また、第2のユニット60と第3のユニット60も同様に、ユニット画素ラインが2画素分重複するように配置されている。
【0058】
隣接するユニット60を画素が重複するように配置するのは、後述する通り、ユニット60の位置ずれによる画素の欠落を防止するためである。画素が重複する部分では、いずれか一方のユニットの磁気ヘッドで磁気潜像を形成すればよく、他方のユニットの磁気ヘッドは使用しないで済む。例えば、×印を付けたように、第1のユニット60の磁気ヘッド40、40は使用せずに、第2のユニット60の磁気ヘッド40、40を使用する。また、第2のユニット60の磁気ヘッド40、40は使用せずに、第3のユニット60の磁気ヘッド40、40を使用する。
【0059】
また、第1のユニット60と第2のユニット60とは、8個の磁気ヘッド40〜40の列(以下、「磁気ヘッド列」という。)同士が、磁気ドラム10の回転方向に間隔d12で離間するように配置されている。また、第2のユニット60と第3のユニット60も同様に、磁気ヘッド列同士が、磁気ドラム10の回転方向に間隔d23(=d12)で離間するように配置されている。磁気ドラム10上の基準ライン64と第1のユニット60の磁気ヘッド列との間隔をd01(=d12)とすると、磁気ドラム10の定速回転に伴い、第1のユニット60、第2のユニット60、及び第3のユニット60の磁気ヘッド列の各々が、所定時間毎に基準ライン64に順次到達して磁気潜像を形成する。
【0060】
図7に示す例では、第1のユニット60の磁気ヘッド40〜40は、画素62〜62を磁気ドラム10上に形成する。第2のユニット60の磁気ヘッド40〜40は、画素62〜6212を磁気ドラム10上に形成する。第3のユニット60の磁気ヘッド40〜40は、画素6213〜6218を磁気ドラム10上に形成する。こうして画素62〜6218が軸方向に連続して配列された画素列(走査ライン)62が形成される。また、潜像形成に使用される磁気ヘッド40には、画素列62内での順序に応じた画素番号(軸方向のアドレス)が付与され、画素番号に応じて画像データが入力される。
【0061】
同様に、磁気記録ヘッド12の主基板38に配置されたn個のユニット60〜60の各々は、磁気ドラム10上の所定位置に到達したときに、それぞれユニット画素ラインを形成する。これにより、磁気ドラム10の軸方向の全幅にわたって連続した磁気潜像の走査ラインが形成される。例えば、磁気ドラム10上の基準ライン64を走査開始位置とすると、n個のユニット60が基準ライン64に到達したときに第1の走査ラインが形成され、その後、磁気ドラム10が1ライン分回転した位置で次の走査ラインが形成される。こうして磁気ドラム10の一定速度での回転に応じて、回転方向にも走査ラインが順次形成される。
【0062】
<画像形成装置の制御系の構成>
図8は図1に示す画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。
画像形成装置100は、画像形成装置の各部を制御する制御部66、入力された画像データを画像形成に適した形式の画像データに変換する画像処理部68、各種データや各種プログラムを記憶するメモリ70、ユーザインタフェースとしての表示入力部72、外部から各種情報を取得する情報取得部74、磁気記録ヘッド12を駆動するヘッド駆動部76、各種モータを駆動するモータ駆動部78、及びエンコーダ36の出力パルスをカウントするカウンタ80を含んで構成されている。
【0063】
これら制御部66、画像処理部68、メモリ70、表示入力部72、情報取得部74、ヘッド駆動部76、モータ駆動部78、及びカウンタ80は、互いにデータや信号の授受が行なえるように、バス82により接続されている。
【0064】
制御部66は、制御及び各種演算を行うCPU(Central Processing Unit)84、OS(Operating Systems)等の各種プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)86、プログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)88等を含んだマイクロコンピュータで構成されている。CPU84は、後述する「検査プログラム」を含む各種プログラムをROM84又はメモリ70から読み出し、RAM88にロードする。そして、RAM88をワークエリアとして使用し、表示入力部72を用いてユーザと対話をしながら、ロードされたプログラムを実行する。
【0065】
画像処理部68は、入力された画像データを磁気潜像の書き込みに適した画像データに変換する。例えば、カラー画像を形成する場合には、RGBデータとして入力された画像データをYMCKデータに色変換し、多値画像であるYMCKデータをスクリーン処理して、YMCKデータの各画素の階調がドットマトリックスで表現された2値画像に変換する。これによりドット毎にオン/オフするY色、M色、C色、及びK色の潜像書き込み用の画像データが各々生成される。なお、本明細書では、1個の磁気ヘッド40により磁気ドラム10上に形成される磁気潜像を1画素又は1ドットという。
【0066】
メモリ70には、磁気記録ヘッド12上の複数のユニット60の位置ずれを検査する検査プログラム90が記憶されている。また、メモリ70には、画像メモリ92が設けられている。この画像メモリ92には、画像処理部68で生成された潜像書き込み用の画像データが記憶される。表示入力部72には、ユーザに各種の情報を表示し且つユーザが各種の情報を入力する。表示入力部72としては、例えば、タッチパネル等が挙げられる。情報取得部74は、外部から画像データや画像形成指示情報を取得する。情報取得部74としては、例えば、パラレルポート、シリアルポート、有線または無線によりネットワークに接続可能なネットワークポート等が挙げられる。
【0067】
ヘッド駆動部76には、磁気記録ヘッド12の第1ユニット60、第2ユニット60、・・・第nユニット60のn個のユニット60〜60の各々に対応して、第1ユニットドライバ94、第2ユニットドライバ94、・・・第nユニットドライバ94のn個のユニットドライバ94〜94が設けられている。即ち、第k(<n)番目のユニット60は、第k番目のユニットドライバ94により駆動される。なお、n個のユニットドライバ94〜94の各々を区別する必要が無い場合には、ユニットドライバ94と総称する。ヘッド駆動部76は、磁気記録ヘッド12をユニット60毎に駆動して、磁気ドラム10に潜像を磁気記録し、磁気ドラム10に記録された潜像を磁気再生する。
【0068】
また、ヘッド駆動部76には、書き込み開始のタイミング等、各種の設定値が予め記憶された設定値記憶部96が設けられている。各種の設定値は、n個のユニット60〜60毎に記憶されている。例えば、ヘッド駆動部76は、制御部66から書き込み開始を指示する制御信号が入力されると、設定値記憶部96に記憶された各々のユニットの設定値に基づいて、n個のユニット60〜60の各々を個別のタイミングで駆動する。
【0069】
モータ駆動部78には、磁気ドラム10を回転させるモータ(磁気ドラム回転モータ)34を駆動するモータドライバ98と、現像ローラ14aや中間転写体16等の回転部材を回転させるその他のモータ35を駆動するモータドライバ群102と、磁気ドラム回転モータ34及びその他のモータ35の駆動タイミング等、各種の設定値が予め記憶された設定値記憶部104と、が設けられている。
【0070】
カウンタ80は、エンコーダ36の出力パルスをカウントする。エンコーダ36は、磁気ドラム10上の基準ラインを検出し、磁気ドラム10が所定角度回転する毎にパルス信号を出力する。カウンタ80は、磁気ドラム10が基準位置にあるときからカウントを開始し、パルスが入力される度にカウント値をインクリメントし、磁気ドラム10が1周回転して再び基準位置に到達したときにカウント値をリセットする。従って、カウンタ80のカウント値から、磁気ドラム10の回転角度(回転方向の位置)を検出することができる。また、エンコーダ36の出力パルスは、クロック信号やラインカウント信号として使用することもできる。この場合には、エンコーダ36の出力パルスは、カウンタ80を介して制御部66やヘッド駆動部76にも入力される。
【0071】
図9及び図10は各ユニットドライバの機能を示す機能ブロック図である。
ユニットドライバ94の各々には、複数の磁気ヘッド40の各々に対応して、複数の磁気ヘッド駆動回路106が設けられている。例えば、第1ユニットドライバ94には、第1ユニット60の8個の磁気ヘッド40〜40の各々に対応して、8個の磁気ヘッド駆動回路106〜106が設けられている。なお、8個の磁気ヘッド駆動回路106〜106の各々を区別する必要が無い場合には、磁気ヘッド駆動回路106と総称する。
【0072】
磁気記録ヘッド12の多数の磁気ヘッド40を、ユニット60毎に駆動して磁気記録を行う。図9に示すように、磁気記録時には、ヘッド駆動部76のn個のユニットドライバ94〜94の各々に、更にはユニットドライバ94〜94の磁気ヘッド駆動回路106〜106の各々に、制御部66から磁気記録を指示するための制御信号(記録信号)が入力されると共に、画像メモリ92から読み出された画像データが入力される。
【0073】
記録信号が入力されると、磁気ヘッド駆動回路106は、書き込み用の駆動回路として機能する。即ち、磁気ヘッド駆動回路106は、入力された画像データに応じた記録電流を生成して、生成された記録電流を対応する磁気ヘッド40に出力する。
【0074】
また、磁気記録ヘッド12の多数の磁気ヘッド40を、ユニット60毎に駆動して磁気再生を行う。図10に示すように、磁気再生時には、ヘッド駆動部76のn個のユニットドライバ94〜94の各々に、更にはユニットドライバ94〜94の磁気ヘッド駆動回路106〜106の各々に、制御部66から磁気再生を指示するための制御信号(再生信号)が入力される。
【0075】
再生信号が入力されると、磁気ヘッド駆動回路106は、読み出し用の駆動回路として機能する。即ち、磁気ヘッド駆動回路106は、磁化の検出により磁気ヘッド40から出力された再生電流を増幅して、潜像位置と対応付けた再生データに変換し、変換された再生データを制御部66に出力する。この磁気再生により得られた再生データから、何れのユニット60の何れの磁気ヘッド40が、磁化を検出したかを特定することもできる。
【0076】
<フルライン型の磁気記録ヘッドの検査処理>
(位置ずれの態様)
図11(A)はユニット60の回転方向の位置ずれの様子を示す模式図であり、図11(B)はユニット60の軸方向の位置ずれの様子を示す模式図である。複数のユニット60を配置して磁気記録ヘッド12を形成する場合には、磁気記録ヘッド12の長手方向が磁気ドラム10の軸方向を向くように、磁気記録ヘッド12が適切な位置に配置されていても、個々のユニット60の位置ずれにより、磁気ドラム10上で磁気潜像の形成位置がずれてしまう。
【0077】
図7に示したように、理想的には、軸方向に対しては、隣接する2つのユニット60が各々のユニット画素ラインが所定画素分だけ重複するように配置されると共に、回転方向に対しては、隣接する2つのユニット60が主基板38の幅方向に各々同じピッチで配置されることが好ましい。しかしながら、多数のユニット60の各々を正確な位置に配置することは非常に難しい。
【0078】
図11(A)及び(B)では、図7と同じ3個のユニット60〜60の配列において、第2のユニット60が位置ずれを生じている場合について説明する。第2のユニット60が本来あるべき位置を「点線」で示し、位置ずれ発生後の位置を「太い実線」で示している。「矢印」はずれの発生方向を示している。
【0079】
図11(A)に示す例では、第2のユニット60は「回転方向の位置ずれ」を生じている。即ち、第2のユニット60の磁気ヘッド列が、回転方向に沿って第1のユニット60側に、本来あるべき位置から2画素分の位置ずれを生じている。その結果、図7に示した理想的な配列と比較すると、第1のユニット60と第2のユニット60の磁気ヘッド列の間隔d12は2画素分だけ短くなり、第2のユニット60と第3のユニット60の磁気ヘッド列の間隔d23は2画素分だけ長くなる。
【0080】
これにより、第1のユニット60、第2のユニット60、及び第3のユニット60の各々の磁気ヘッド列が、磁気ドラム10の定速回転に伴い基準ライン64に到達する時間間隔は異なるようになる。従って、軸方向に連続する走査ラインを形成するためには、ユニット毎に潜像形成のタイミングを設定しなければならない。なお、この例では「軸方向の位置ずれ」は生じておらず、隣接する2個のユニット60のユニット画素ラインは、2画素分重複している。
【0081】
図11(B)に示す例では、第2のユニット60は「軸方向の位置ずれ」を生じている。即ち、第2のユニット60の磁気ヘッド列は、磁気ドラム10の軸方向に沿って第3のユニット60側に、本来あるべき位置から2画素分の位置ずれを生じている。その結果、図7に示した理想的な配列と比較すると、第1のユニット60と第2のユニット60のユニット画素ラインは重複しなくなり、第2のユニット60と第3のユニット60のユニット画素ラインは4画素分重複するようになる。なお、この例では「回転方向の位置ずれ」は生じておらず、磁気ヘッド列の間隔d12と間隔d23とは等しい。
【0082】
既に説明した通り、画素が重複する部分では、いずれか一方のユニットの磁気ヘッドで磁気潜像を形成すればよく、他方のユニットの磁気ヘッドは使用しないで済む。「軸方向の位置ずれ」を生じると、ユニット画素ラインの重複状態も変化する。例えば、×印を付けたように、第2のユニット60の磁気ヘッド40〜40は使用せずに、第1のユニット60の磁気ヘッド40〜40は全部使用する。従って、潜像形成に使用される磁気ヘッド40に、軸方向の画素番号(軸方向のアドレス)を再設定する。例えば、図11(B)に示す例では、下記表1に示すように、軸方向の画素番号、磁気ヘッド40の番号、及び磁気ヘッド40が所属するユニット60の番号が、各々関連付けられて記憶される。
【0083】
【表1】

【0084】
また、図11(B)から分かるように、更に「軸方向の位置ずれ」が拡大すると、第1のユニット60と第2のユニット60との間で、ユニット画素ラインの連続性が失われ、画素の欠落が生じることになる。画素の欠落が生じる磁気記録ヘッド12をそのまま使用することはできない。このようなユニット配列の「不具合」をユーザに知らせた上で、ユニット60の配置を修正するか、不良品として排除する必要がある。以上のように、ユニット60の位置ずれの程度に応じて、潜像形成のタイミングや画素番号等の「設定値の補正」や「不具合の報知」の必要がある。
【0085】
(検査プログラム)
図12はフルライン型の磁気記録ヘッド12を検査するための「検査プログラム」のフローチャートである。画像形成装置100に磁気記録ヘッド12を取り付けた後に、メモリ70から読み出した「検査プログラム」を実行して、磁気記録ヘッド12の各ユニット60について、「軸方向のずれ量」及び「回転方向のずれ量」を検出し、上述した「設定値の補正」や「不具合の報知」を行う。
【0086】
まず、ステップ100で、磁気記録ヘッド12の各ユニット60について、軸方向のずれ量を検出する「軸方向ずれ量検出処理」を実行する。後述する通り、「軸方向ずれ量検出処理」を実行した結果、画素の欠落が生じるほど軸方向のずれを生じているユニット60が1つでもある場合には、表示入力部72にエラー表示を行い、磁気記録ヘッド12の不具合をユーザに報知する。
【0087】
次に、ステップ102で、エラー表示が無かったか否かを判断する。画素の欠落が生じていなければ、エラー表示は行われない。エラー表示が無ければ、ステップ102で肯定判定してステップ104に進む。そして、ステップ104で、ステップ102で検出した各ユニット60の「軸方向のずれ量」に応じて、軸方向の画素番号(軸方向のアドレス)を再設定する。一方、エラー表示が有れば、検査を続行する必要がないので、ステップ102で否定判定してルーチンを終了する。
【0088】
次に、ステップ106で、磁気記録ヘッド12の各ユニット60について、回転方向のずれ量を検出する「回転方向ずれ量検出処理」を実行する。そして、ステップ108で、ステップ106で検出した各ユニット60の「回転方向のずれ量」に応じた「回転方向の補正量」を演算し、ステップ110で「回転方向の補正量」を設定して、ルーチンを終了する。
【0089】
後で詳しく説明するが、例えば、各ユニット60が予め定めた基準ラインに到達したときのカウンタ80のカウント値を「回転方向のずれ量」として検出し、検出されたカウント値から各ユニット60の潜像形成のタイミングを表す補正値を「回転方向の補正量」として演算する。
【0090】
このようなタイミングを表す補正値としては、例えば、ユニットドライバ94に制御信号が入力されてから、ユニット60の磁気ヘッド40に記録電流を出力するまでのクロック数等が挙げられる。ユニット60毎に、各ユニット60が理想的な位置に配置されている場合の潜像形成のタイミングを表す初期値が設定されている。この初期設定値に代えて、演算された補正値が設定される。
【0091】
(軸方向のずれ量の検出)
図13は「軸方向ずれ量検出処理」のサブルーチンを示すフローチャートである。また、図14〜図16を参照して「軸方向のずれ量」に応じた検出結果の相違を説明する。ここでは、図7と同じ3個のユニット60〜60の配列において、第2のユニット60が位置ずれを生じている場合について説明する。図14は軸方向に1画素のずれしか生じておらず、画素の連続性がある場合である。図15は軸方向に2画素のずれが生じているが、画素の連続性がある場合である。図16は軸方向の3画素のずれを生じ、画素の連続性が失われている場合である。
【0092】
図13に示す「軸方向ずれ量検出処理」では、まず、ステップ200で、磁気記録ヘッド12の各ユニット60を制御して、回転する磁気ドラム10上に、軸方向のずれ量を計測する場合の基準となる画素又は画素列(マーキング潜像)を記録する。例えば、図14(A)に示すように、3個のユニット60〜60各々の右端の磁気ヘッド40を連続駆動して磁気記録を行うと、図14(B)に示すように、磁気ドラム10上には、回転方向に連続した画素列からなるマーキング潜像108〜108が形成される。マーキング潜像108は、磁気ドラム10の全周にわたって形成されていてもよい。
【0093】
なお、各ユニット60の右端の磁気ヘッド40を駆動して磁気記録を行うのは、各ユニット60により形成可能な「ユニット画素ライン」の右側の端部画素の位置を、左側に隣接するユニット60により検出するためである。これとは逆に、各ユニット60の左端の磁気ヘッド40を駆動して磁気記録を行い、「ユニット画素ライン」の左側の端部画素の位置を、右側に隣接するユニット60により検出してもよい。
【0094】
次に、ステップ202で、磁気記録ヘッド12の各ユニット60を制御して、回転する磁気ドラム10上に形成されたマーキング潜像108を再生する。例えば、図14(C)に示すように、3個のユニット60〜60各々の複数の磁気ヘッド40を駆動して、マーキング潜像108〜108を読み取る。再生に使用する磁気ヘッド40は、マーキング潜像108の記録に使用した磁気ヘッド40を除外して構成する。
【0095】
この例では、ユニット60及びユニット60各々の磁気ヘッド40〜40を駆動して、マーキング潜像108を再生する。第1のユニット60により形成されたマーキング潜像108の磁化は、第1のユニット60に隣接する第2のユニット60の磁気ヘッド40〜40の何れかにより検出される。同様に、第2のユニット60により形成されたマーキング潜像108の磁化は、第3のユニット60の磁気ヘッド40〜40の何れかにより検出される。
【0096】
次に、ステップ204で、磁気記録ヘッド12の各ユニット60から得られた再生データを解析して、各ユニット60の検知画素の順位を取得する。即ち、各ユニット60の何番目に配置された磁気ヘッド40が、磁気ドラム10上に形成されたマーキング潜像108の磁化を検出したかを特定する。
【0097】
例えば、図14(C)に示すように、第1のユニット60により形成されたマーキング潜像108の磁化は、第2のユニット60の第1番目の磁気ヘッド40により検出され、第2のユニット60により形成されたマーキング潜像108の磁化は、第3のユニット60の第3番目の磁気ヘッド40により検出される。これにより、第1のユニット60と第2のユニット60とは、ユニット画素ラインが1画素分重複しており、第2のユニット60と第3のユニット60とは、ユニット画素ラインが3画素分重複していることが分かる。
【0098】
図14のように軸方向に1画素のずれしか生じておらず、画素の連続性がある場合であれば、第1のユニット60を除いた全部のユニット60について、検知画素の順位を取得することができる。しかしながら、軸方向に2画素以上のずれが生じている場合には、検知画素の順位を取得できないユニット60が発生する。
【0099】
例えば、軸方向に2画素のずれが生じている場合には、図15(A)に示すように、3個のユニット60〜60各々の右端の磁気ヘッド40を駆動して磁気記録を行うと、図15(B)に示すように、マーキング潜像108〜108が形成される。図15(C)に示すように、ユニット60及びユニット60各々の磁気ヘッド40〜40を駆動してマーキング潜像108を再生すると、第2のユニット60により形成されたマーキング潜像108の磁化は、第3のユニット60の第4番目の磁気ヘッド40により検出される。
【0100】
一方、第1のユニット60により形成されたマーキング潜像108の磁化は、第2のユニット60では検出できない(再生不能)。しかしながら、第2のユニット60と第3のユニット60とは、ユニット画素ラインが4画素分重複していることから、第1のユニット60と第2のユニット60とは、ユニット画素ラインが連続していることが分かる(画素の連続性あり)。
【0101】
また、軸方向に3画素のずれが生じている場合には、図16(A)に示すように、3個のユニット60〜60各々の右端の磁気ヘッド40を駆動して磁気記録を行うと、図16(B)に示すように、マーキング潜像108〜108が形成される。図16(C)に示すように、ユニット60及びユニット60各々の磁気ヘッド40〜40を駆動してマーキング潜像108を再生すると、第2のユニット60により形成されたマーキング潜像108の磁化は、第3のユニット60の第5番目の磁気ヘッド40により検出される。
【0102】
一方、第1のユニット60により形成されたマーキング潜像108の磁化は、第2のユニット60では検出できない(再生不能)。この場合には、第2のユニット60と第3のユニット60とは、ユニット画素ラインが5画素分重複していることから、第1のユニット60と第2のユニット60とは、ユニット画素ラインが連続しておらず、画素の欠落が発生していることが分かる(画素の連続性なし)。
【0103】
元々、ユニット画素ラインが2画素分重複するように、隣接する2個のユニット60を配置した場合には、ユニット画素ラインの重複画素数が4画素以下なら「画素の連続性あり」と判断することができ、ユニット画素ラインの重複画素数が4画素を超えると「画素の連続性なし」と判断することができる。このように、ユニット画素ラインの設計上の重複画素数に応じて画素の連続性を判断するために、検知画素の順位に関する「閾値」を予め設定しておくことができる。
【0104】
図13に示すフローチャートの説明に戻る。ステップ204で、各ユニット60の検知画素の順位を取得した後に、ステップ206で、再生不能なユニット60があるか否かを判断する。上述した通り、軸方向に2画素以上のずれが生じている場合には、検知画素の順位を取得できない(再生不能な)ユニット60が発生する。再生不能なユニット60がある場合には、ステップ206で肯定判定してステップ208に進む。一方、再生不能なユニット60が無い場合には、ステップ206で否定判定してステップ210に進む。
【0105】
ステップ208では、再生不能なユニットに隣接するユニット60の検知画素の順位が閾値以下か否かを判断する。例えば、図15(C)及び図16(C)に示すように、第2のユニット60が再生不能なユニットである場合には、第3のユニット60の検知画素の順位が閾値以下か否かを判断する。ここでの閾値は4である。隣接するユニット60の検知画素の順位が閾値以下の場合は、画素の連続性があるので、ステップ208で肯定判定してステップ210に進む。
【0106】
一方、隣接するユニット60の検知画素の順位が閾値を超えた場合は、画素の連続性が無いので、ステップ208で否定判定してステップ214に進み。そして、ステップ214で、表示入力部72に画素の連続性が無い(或いは、画素の欠落が発生した)旨のエラー表示をする等して、ユーザに対し磁気記録ヘッド12の不具合を報知して、ルーチンを終了する。
【0107】
ステップ210では、ステップ204で取得した各ユニット60の検知画素の順位に基づいて、ユニット60毎に「軸方向のずれ量」を画素単位で演算する。例えば、図14(C)に示す例では、第2のユニット60の「軸方向のずれ量」は1画素であり、図15(C)に示す例では、第2のユニット60の「軸方向のずれ量」は2画素である。次に、ステップ212で、演算して得られた「軸方向のずれ量」をユニット60毎に記憶して、ルーチンを終了する。
【0108】
(回転方向のずれ量の検出)
図17は「回転方向ずれ量検出処理」のサブルーチンを示すフローチャートである。図18(A)及び(B)は「回転方向のずれ量」の検出方法を模式的に説明する図である。
【0109】
図17に示す「回転方向ずれ量検出処理」では、まず、ステップ300で、磁気記録ヘッド12の第1のユニット60が基準ライン64に到達するまで、基準ライン64に到達したか否かを繰り返し判断する。そして、ステップ302で、第1のユニット60が基準ライン64に到達したときに、カウンタ80のカウント値を取得する。既に説明したように、各ユニット60が基準ライン64に到達したときのカウンタ80のカウント値を「回転方向のずれ量」として検出する。
【0110】
次に、ステップ304で、第1のユニット60を制御して、回転する磁気ドラム10の基準ライン64上に、回転方向のずれ量を計測する場合の基準となる画素又は画素列(マーキング潜像)を記録する。例えば、図18(A)に示すように、第1のユニット60の右端にある重複画素分の2個の磁気ヘッド40、40を駆動して磁気記録を行う。磁気ドラム10上には、軸方向に連続した画素列からなるマーキング潜像110が形成される。
【0111】
次に、ステップ306で、磁気記録ヘッド12の隣接する第2のユニット60を制御して、回転する磁気ドラム10上に形成されたマーキング潜像110を再生する。例えば、図18(A)に示すように、第2のユニット60の左端にある重複画素分の2個の磁気ヘッド40、40を駆動して、マーキング潜像110を読み取る。
【0112】
次に、ステップ308で、マーキング潜像110の再生時又は再生後に、次のユニット60(ここでは、第2のユニット60)が基準ラインに到達したか否かを、繰り返し判断する。ステップ310で、第2のユニット60が基準ラインに到達したときに、カウンタ80のカウント値を取得する。
【0113】
マーキング潜像110は第2のユニット60が基準ラインに到達したときに再生されるが、カウント値の取得やマーキング潜像の記録を同時に行う必要はない。カウンタ80のカウント値は、1周回転する毎にリセットされるので、周回遅れで基準ラインに到達した場合にも、「回転方向のずれ量」を表す同じカウント値を取得することができる。
【0114】
そして、ステップ312で、第2のユニット60を制御して、回転する磁気ドラム10の基準ライン64上にマーキング潜像を記録する。例えば、図18(B)に示すように、第2のユニット60の右端にある重複画素分の2個の磁気ヘッド40、40を駆動して磁気記録を行う。磁気ドラム10上には、軸方向に連続した画素列からなるマーキング潜像110が形成される。
【0115】
次に、ステップ314で、次のユニット60が存在するか否かが判断される。次のユニット60が無ければルーチンを終了し、次のユニット60が存在する場合には、ステップ306に戻って、次のユニット60(ここでは、隣接する第3のユニット60)を制御して、回転する磁気ドラム10上に形成されたマーキング潜像110を再生する。例えば、図18(B)に示すように、第3のユニット60の左端にある重複画素分の2個の磁気ヘッド40、40を駆動して、マーキング潜像110を読み取る。
【0116】
例えば、n個のユニット60について検査を行う場合には、n番目のユニット60について「回転方向のずれ量(カウント値)」が検出されるまで、ステップ306〜ステップ314の処理を繰り返し行い、次のユニット60が存在しなくなったところで、ルーチンを終了する。こうして、各ユニット60が基準ライン64に到達したときのカウント値が、ユニット60の「回転方向のずれ量」としてユニット毎に検出される。
【0117】
なお、上記の実施の形態では、液体現像剤を用いた液体マグネトグラフィ方式の画像形成装置について説明したが、本発明は、粉体マグネトグラフィ方式の画像形成装置にも適用することができる。
【0118】
また、上記の実施の形態では、磁気潜像保持体として磁気ドラムを用いる例について説明したが、磁気潜像保持体はドラム状のものに限られず、ベルト状に形成されたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す磁気ドラムと磁気記録ヘッドとの位置関係を示す斜視図である。
【図3】(A)は磁気ヘッドの一例を示す概略図であり、(B)は(A)の磁気ヘッドをギャップ側から見たときの概略図である。
【図4】(A)及び(B)は磁気ヘッド40による記録・再生の原理を示す模式図である。
【図5】(A)は磁気ヘッドが複数個配列されたユニットの構成を示す概略図であり、(B)はユニットの構造を模式的に表す模式図である。
【図6】磁気記録ヘッドにおける複数のユニットの配列の一例を示す部分拡大図である。
【図7】複数のユニットの理想的な配列を示す模式図である。
【図8】図1に示す画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図9】各ユニットドライバの記録機能を示す機能ブロック図である。
【図10】各ユニットドライバの再生機能を示す機能ブロック図である。
【図11】(A)はユニットの回転方向の位置ずれの様子を示す模式図であり、(B)はユニットの軸方向の位置ずれの様子を示す模式図である。
【図12】フルライン型の磁気記録ヘッド12を検査するための「検査プログラム」のフローチャートである。
【図13】「軸方向ずれ量検出処理」のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図14】(A)〜(C)は、軸方向に1画素のずれしか生じておらず画素の連続性がある場合の「軸方向のずれ量」の検出結果を説明する図である。
【図15】(A)〜(C)は、軸方向に2画素のずれが生じているが画素の連続性がある場合の「軸方向のずれ量」の検出結果を説明する図である。
【図16】(A)〜(C)は、軸方向の3画素のずれを生じ画素の連続性が失われている場合の「軸方向のずれ量」の検出結果を説明する図である。
【図17】「回転方向ずれ量検出処理」のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図18】(A)及び(B)は「回転方向のずれ量」の検出方法を模式的に説明する図である。
【符号の説明】
【0120】
10 磁気ドラム
12 磁気記録ヘッド
13 規制部材
14 現像装置
14a 現像ローラ
14b 現像剤貯蔵容器
16 中間転写体
18 クリーナ
20 消磁装置
22 磁気潜像
24 液体現像剤
26 トナー像
28 転写定着ローラ
29 定着像
30 記録媒体
32 回転軸
34 モータ(磁気ドラム回転モータ)
35 その他モータ
36 エンコーダ
38 主基板
38A 主基板の表面
40 磁気ヘッド
42 ヘッドコア
44 ギャップ
46 コイル
48 磁力線
50 電源
52 磁化部分
54 磁力線
56 磁力線
58 副基板
58A 副基板の表面
58B 副基板の裏面
60 ユニット
62 画素
64 基準ライン
66 制御部
68 画像処理部
70 メモリ
72 表示入力部
74 情報取得部
76 ヘッド駆動部
78 モータ駆動部
80 カウンタ
82 バス
90 検査プログラム
92 画像データ
94 ユニットドライバ
96 設定値記憶部
98 モータドライバ
100 画像形成装置
102 モータドライバ群
104 設定値記憶部
106 磁気ヘッド駆動回路
108 マーキング潜像
110 マーキング潜像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持されると共に、磁気潜像を保持可能な磁気潜像保持体と、
複数の磁気ヘッドが前記磁気潜像保持体の軸方向に順位を付けて配列された磁気ヘッド列を有する複数のユニットを備え、隣接するユニットが軸方向に一部重複した磁気潜像の画素列を形成するように軸方向にずらして配置されると共に、回転方向に重ならないように回転方向にずらして配置されて、前記磁気潜像保持体に磁気潜像を形成する磁気潜像形成手段と、
前記複数のユニット毎に設けられ、前記磁気潜像保持体への磁気潜像の記録又は前記磁気潜像保持体に記録された磁気潜像の再生の一方を行うように、ユニットに含まれる複数の磁気ヘッドを独立に駆動する複数のユニット駆動手段と、
前記磁気潜像保持体を回転させるモータを駆動するモータ駆動手段と、
前記磁気潜像保持体が一定速度で回転するように前記モータ駆動手段を制御すると共に、前記複数のユニット毎に、前記磁気ヘッド列の一端側に配置され重複した画素列を形成する磁気ヘッドの一部を記録用磁気ヘッドとして駆動し、前記磁気ヘッド列の他の磁気ヘッドの一部又は全部を再生用磁気ヘッドとして駆動して、隣接する2個のユニットに対して、一定速度で回転する前記磁気潜像保持体に、一方のユニットの記録用磁気ヘッドにより位置検出用の基準潜像が記録された後に、他方のユニットの再生用磁気ヘッドで一方のユニットで記録された基準潜像が再生されるように、前記複数のユニット駆動手段の各々を制御する制御手段と、
前記複数のユニットの各々から得られた再生データに基づいて、前記磁気潜像形成手段の各ユニットの位置ずれを定量的に検出する位置ずれ検出手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段が、一定速度で回転する前記磁気潜像保持体上に、前記記録用磁気ヘッドにより回転方向に延びた位置検出用の基準潜像が記録されるように、前記複数のユニット駆動手段の各々を制御し、
前記位置ずれ検出手段が、前記複数のユニットの各々から得られた再生データから、基準潜像を再生した磁気ヘッドの順位をユニット毎に取得して、取得した磁気ヘッドの順位から軸方向のずれ量をユニット毎に検出する軸方向ずれ量検出処理を行う請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記軸方向ずれ量検出処理において、得られた再生データから基準潜像を再生できないユニットがある場合には、当該ユニットに隣接するユニットの基準潜像を再生した磁気ヘッドの順位を予め定めた閾値と比較して、磁気ヘッドの順位が閾値以下の場合には画素列の連続性があるものとして処理を継続し、磁気ヘッドの順位が閾値を超えている場合には画素列の連続性が無いものとして処理を終了する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記位置ずれ検出手段の検出結果を表示する表示手段を更に備え、
前記軸方向ずれ量検出処理において、画素列の連続性が無いものとして処理を終了する場合には、前記表示手段に画素列の連続性が無い旨を表示する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記位置ずれ検出手段で取得された磁気ヘッドの順位から、隣接するユニットにより重複した磁気潜像の画素列が形成される場合には、何れか一方のユニットの磁気ヘッドにより画素列が形成されるように使用する磁気ヘッドを選択し、磁気潜像の形成に使用される磁気ヘッドの各々に、軸方向に形成される画素の順番を表す画素番号を付番する付番手段を、更に備えた請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段が、一定速度で回転する前記磁気潜像保持体上の軸方向に延びた基準ライン上に、前記記録用磁気ヘッドにより位置検出用の基準潜像が記録されるように、前記複数のユニット駆動手段の各々を制御し、
前記位置ずれ検出手段が、前記複数のユニットの各々から得られた再生データから、前記基準潜像が記録されてから再生されるまでの時間をユニット毎に取得して、取得した時間から回転方向のずれ量を検出する回転方向ずれ量検出処理を更に行う請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−208362(P2009−208362A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53840(P2008−53840)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】