説明

画像形成装置

【課題】 ユーザの意思しだいで、ある画像形成装置により受信されたデータを、その画像形成装置または他の画像形成装置にて処理させることができるようにする。
【解決手段】 コントローラ14は、インタフェース15に外部メモリ装置2が接続されているか否かを判定する。インタフェース15に外部メモリ装置2が接続されていると判定された場合において印刷部11が画像形成処理を実行しているときには、コントローラ14は、外部から受信されたジョブデータを外部メモリ装置2に格納する。コントローラ14は、印刷部11によりジョブデータ12aに基づく画像形成処理が完了したときに、外部メモリ装置2にジョブデータが格納されている場合には、そのジョブデータを外部メモリ装置2からRAM12へ移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
受信された画像データに関する情報に基づいて、外部メモリおよび内部メモリのいずれかに画像データを格納する装置がある(例えば特許文献1参照)。この装置では、受信された画像データに基づき画像を印刷することができないときにその画像データをバックアップ保存する場合、データサイズ、カラー/モノクロ設定などに応じて、画像データの格納場所が選択される。
【0003】
【特許文献1】特開2004−096511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、受信データは、内部メモリに格納され、画像形成処理される。このため、画像形成処理されるデータが多いと、新たな受信データが画像形成処理されるまで、時間がかかってしまう。
【0005】
上記技術のようにしてデータを外部メモリに格納した後に、その外部メモリを外し他の装置へ接続して、その接続した装置により画像形成処理を行わせることが考えられる。
【0006】
しかしながら、上記技術では、装置の処理状況とは関係なく、データの格納場所が決まってしまうため、新たな受信データが画像形成処理されるまでに時間がかかる場合のみ、選択的に、データが格納された外部メモリを外し他の装置へ接続して、その接続した装置により画像形成処理を行わせることは困難である。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ユーザの意思しだいで、ある画像形成装置により受信されたデータを、その画像形成装置または他の画像形成装置にて処理させることが可能である画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、ジョブデータを格納可能な内部メモリと、内部メモリに格納されているジョブデータに基づき画像形成処理を実行する処理手段と、外部メモリ装置を着脱可能なインタフェースと、インタフェースに外部メモリ装置が接続されているか否かを判定する接続判定手段と、接続判定手段によりインタフェースに外部メモリ装置が接続されていると判定された場合において処理手段が画像形成処理を実行しているときには、外部から受信されたジョブデータを外部メモリ装置に格納するジョブデータ格納手段と、内部メモリに格納されているジョブデータに基づく画像形成処理が完了したときに、外部メモリ装置にジョブデータが格納されている場合には、そのジョブデータを外部メモリ装置から内部メモリへ移動させるジョブデータ移動手段とを備える。
【0010】
これにより、外部メモリ装置を接続したままにしておけば、この画像形成装置にてジョブデータの画像形成処理が実行される。一方、他のジョブデータを処理中である場合には、ジョブデータの格納された外部メモリ装置を外して他の画像形成装置に接続することで、その画像形成装置にてジョブデータの画像形成処理が実行される。このように、ユーザの意思しだいで、ある画像形成装置により受信されたデータを、その画像形成装置または他の画像形成装置にて処理させることが可能となる。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、ジョブデータ格納手段は、処理手段が画像形成処理を実行していないときには、外部から受信されたジョブデータを内部メモリに格納する。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、ジョブデータ格納手段は、接続判定手段によりインタフェースに外部メモリ装置が接続されていないと判定された場合、外部から受信されたジョブデータを内部メモリに格納する。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像形成装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、ジョブデータ移動手段は、処理手段が画像形成処理を実行していないときに外部メモリ装置がインタフェースに接続された場合、外部メモリ装置に格納されているジョブデータを外部メモリ装置から内部メモリへ移動させる。
【0014】
これにより、他の画像形成装置にて外部メモリ装置に格納されたジョブデータの画像形成処理をこの画像形成装置にて実行することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザの意思しだいで、ある画像形成装置により受信されたデータを、その画像形成装置または他の画像形成装置にて処理させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。図1において、画像形成装置1は、外部からジョブデータを受信し、そのジョブデータに対する印刷処理を実行する装置である。画像形成装置1には、外部メモリ装置2を着脱可能である。外部メモリ装置2は、不揮発性メモリおよび所定のインタフェースを有する装置である。外部メモリ装置2としては、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CF(Compact Flash)カード、メモリカードなどが使用される。ジョブデータは、外部のパーソナルコンピュータ、内部のスキャナなどからの画像データについての印刷処理命令であったり、ファクシミリ受信データであったりする。
【0018】
そして、画像形成装置1は、印刷部11、RAM12、通信装置13、コントローラ14、およびインタフェース15を備える。印刷部11は、ジョブデータ12aに従って媒体上に画像を形成する。印刷部11は、ジョブデータから制御信号を生成する画像処理部およびその制御信号に従って動作する印刷機構を有する。印刷部11は、処理手段の一例である。
【0019】
また、RAM12は、ジョブデータ12aを記憶する揮発性メモリである。RAM12は、内部メモリの一例である。
【0020】
また、通信装置13は、外部の装置からジョブデータ12aを受信する通信回路である。通信装置13としては、例えばネットワークインタフェースカード、周辺機器インタフェース、モデムなどが使用される。
【0021】
また、コントローラ14は、印刷部11によるジョブ実行の制御、外部メモリ装置2の検出、受信されたジョブデータ12aの格納場所の選択、外部メモリ装置2からRAM12へのジョブデータ12aの移動などを行う回路である。コントローラ14は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)としてもよいし、コンピュータとしてもよい。コントローラ14は、接続判定手段、ジョブデータ格納手段およびジョブデータ移動手段の一例である。
【0022】
また、インタフェース15は、 外部メモリ装置2を着脱可能であって、外部メモリ装置2内の不揮発性メモリに対するデータの読み書きを行う回路である。外部メモリ装置2がUSBメモリである場合、インタフェース15は、USBホストインタフェースとされる。
【0023】
次に、上記装置の動作について説明する。(a)ジョブデータ受信時の動作と、(b)ジョブ実行時の動作について説明する。
【0024】
(a)ジョブデータ受信時の動作
【0025】
図2は、図1に示す装置のジョブデータ受信時の動作を説明するフローチャートである。
【0026】
通信装置13がジョブデータ12aを受信すると(ステップS1)、コントローラ14は、印刷部11がジョブ処理中であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0027】
ジョブデータ12aの受信時に印刷部がジョブ処理中ではない場合には、RAM12にジョブデータ12aが格納されていないので、コントローラ14は、受信されたジョブデータ12aをRAM12に格納する(ステップS3)。ジョブデータ12aは、RAM12における印刷キューに格納される。
【0028】
一方、ジョブデータ12aの受信時に印刷部がジョブ処理中である場合には、コントローラ14は、外部メモリ装置2がインタフェース15に接続されているか否かを判定する(ステップS4)。外部メモリ装置2がインタフェース15に接続されている場合には、コントローラ14は、受信されたジョブデータ12aを外部メモリ装置2のファイルシステムに格納する(ステップS5)。ジョブデータ12aの受信時に印刷部がジョブ処理中であるときに、外部メモリ装置2がインタフェース15に接続されていない場合には、コントローラ14は、受信されたジョブデータ12aをRAM12における印刷キューの最後に格納する(ステップS3)。
【0029】
(b)ジョブ実行時の動作
【0030】
図3は、図1に示す装置のジョブ実行時の動作を説明するフローチャートである。
【0031】
装置1が起動すると、コントローラ14は、RAM12にジョブデータ12aがあるか否かを判定する(ステップS11)。
【0032】
RAM12にジョブデータ12aがある場合には、コントローラ14は、そのジョブデータ12aについての画像形成処理を印刷部11に実行させる(ステップS12)。これにより、印刷部11によりジョブが実行される。印刷部11は、RAM12の一部を作業領域として使用して画像処理を実行し、画像処理により生成された制御信号に基づいて印刷処理を実行する。そして、ジョブが完了すると、コントローラ14は、そのジョブデータ12aをRAM12から削除する。
【0033】
一方、RAM12にジョブデータ12aがない場合には、コントローラ14は、外部メモリ装置2がインタフェース15に接続されているか否かを判定する(ステップS13)。外部メモリ装置2がインタフェースに接続されている場合、コントローラ14は、その外部メモリ装置2のファイルシステムにおける所定の格納場所(所定のパスのディレクトリなど)にジョブデータ12aが格納されているか否かを判定する(ステップS14)。
【0034】
その外部メモリ装置2にジョブデータ12aが格納されている場合には、コントローラ14は、その外部メモリ装置2からジョブデータ12aを読み出し、RAM12に書き込む(ステップS15)。RAM12へのジョブデータ12aの書き込みが完了すると、コントローラ14は、外部メモリ装置2からそのジョブデータ12aを削除する。
【0035】
この状態では、RAM12にジョブデータ12aが格納されているので、コントローラ14は、そのジョブデータ12aについての画像形成処理を印刷部11に実行させる(ステップS12)。これにより、印刷部11によりジョブが実行される。印刷部11は、RAM12の一部を作業領域として使用して画像処理を実行し、画像処理により生成された制御信号に基づいて印刷処理を実行する。そして、ジョブが完了すると、コントローラ14は、そのジョブデータ12aをRAM12から削除する。
【0036】
一方、ステップS11において外部メモリ装置2がインタフェース15に接続されていない場合、またはステップS12において外部メモリ装置2のファイルシステムにおける所定の格納場所にジョブデータ12aが格納されていない場合には、コントローラ14は、ステップS11に戻り、RAM12または外部メモリ装置2内のジョブデータ12aが検出されるまで、RAM12または外部メモリ装置2内のジョブデータ12aの監視を継続する。
【0037】
以上のように、上記実施の形態によれば、コントローラ14は、インタフェース15に外部メモリ装置2が接続されているか否かを判定する。インタフェース15に外部メモリ装置2が接続されていると判定された場合において印刷部11が画像形成処理を実行しているときには、コントローラ14は、外部から受信されたジョブデータを外部メモリ装置2に格納する。コントローラ14は、印刷部11によりジョブデータ12aに基づく画像形成処理が完了したときに、外部メモリ装置2にジョブデータが格納されている場合には、そのジョブデータを外部メモリ装置2からRAM12へ移動させる。
【0038】
これにより、外部メモリ装置2を接続したままにしておけば、この画像形成装置1にてジョブデータの画像形成処理が実行される。一方、他のジョブデータを処理中である場合には、ジョブデータの格納された外部メモリ装置2を外して他の画像形成装置に接続することで、その画像形成装置にてジョブデータの画像形成処理が実行される。このように、ユーザの意思しだいで、ある画像形成装置により受信されたデータを、その画像形成装置または他の画像形成装置にて処理させることが可能となる。
【0039】
また、印刷部11が処理中である場合には、受信されたジョブデータが外部メモリ装置2に格納されるため、RAM12において広い作業領域を確保することができ、印刷処理を高速に行うことができる。
【0040】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0041】
例えば、上記実施の形態において、コントローラ14は、印刷部11が印刷処理を実行していないときに外部メモリ装置2がインタフェース15に接続された場合、外部メモリ装置2に格納されているジョブデータを外部メモリ装置2からRAM12へ移動させるようにしてもよい。これにより、他の画像形成装置にて外部メモリ装置2に格納されたジョブデータの画像形成処理をこの画像形成装置1にて実行することができる。
【0042】
また、上記実施の形態において、外部メモリ装置2が接続されていないときに印刷部11がジョブ処理中である場合には、コントローラ14は、通信装置13を制御して、ジョブデータの受信を拒否するようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施の形態において、外部メモリ装置2として、磁気カードなどの不揮発性の書換可能な記録媒体を有する装置を使用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、例えば、周辺機器インタフェースを備えた複合機に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す装置のジョブデータ受信時の動作を説明するフローチャートである。
【図3】図1に示す装置のジョブ実行時の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 画像形成装置
2 外部メモリ装置
11 印刷部(処理手段)
12 RAM(内部メモリ)
12a ジョブデータ
14 コントローラ(接続判定手段,ジョブデータ格納手段,ジョブデータ移動手段)
15 インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブデータを格納可能な内部メモリと、
前記内部メモリに格納されている前記ジョブデータに基づき画像形成処理を実行する処理手段と、
外部メモリ装置を着脱可能なインタフェースと、
前記インタフェースに前記外部メモリ装置が接続されているか否かを判定する接続判定手段と、
前記接続判定手段により前記インタフェースに前記外部メモリ装置が接続されていると判定された場合において前記処理手段が前記画像形成処理を実行しているときには、外部から受信されたジョブデータを前記外部メモリ装置に格納するジョブデータ格納手段と、
前記内部メモリに格納されている前記ジョブデータに基づく画像形成処理が完了したときに、前記外部メモリ装置に前記ジョブデータが格納されている場合には、そのジョブデータを前記外部メモリ装置から前記内部メモリへ移動させるジョブデータ移動手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ジョブデータ格納手段は、前記処理手段が前記画像形成処理を実行していないときには、外部から受信されたジョブデータを前記内部メモリに格納することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ジョブデータ格納手段は、前記接続判定手段により前記インタフェースに前記外部メモリ装置が接続されていないと判定された場合、外部から受信されたジョブデータを前記内部メモリに格納することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ジョブデータ移動手段は、前記処理手段が前記画像形成処理を実行していないときに前記外部メモリ装置が前記インタフェースに接続された場合、前記外部メモリ装置に格納されているジョブデータを前記外部メモリ装置から前記内部メモリへ移動させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−253406(P2009−253406A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95703(P2008−95703)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】