説明

画像形成装置

【課題】簡易な構成にて、1次転写部における中間転写体から像担持体へのトナーの再転写を抑制することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーを担持する像担持体1と、像担持体1と接触して移動可能な中間転写体6と、中間転写体6を挟んで像担持体1と対向する位置に中間転写体6に接触して配置され、電圧が印加されることで像担持体1上のトナーを中間転写体6に転写させる1次転写部材5と、中間転写体6に接触して配置され中間転写体6上のトナーを転写材Pに転写させる2次転写部材7a、7bと、を有する画像形成装置は、1次転写部材5と中間転写体6の1次転写部材5と接触する面との間に、電気的な整流作用を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真式や静電記録方式を利用して像担持体上に形成したトナー像を、転写部材に電圧を印加することで被転写体としての中間転写体上に移動させる工程を有する複写機、プリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば電子写真方式を利用したフルカラー画像形成装置として、中間転写方式を採用した画像形成装置が増えている(特許文献1〜3参照)。中間転写方式を採用した画像形成装置としては、主に次の2つのタイプのものが知られている。
【0003】
第1のタイプは、所謂、4サイクルタイプの画像形成装置である。このタイプの画像形成装置は、1つの像担持体を備えた画像形成部において、その1つの像担持体に電子写真プロセスにより画像情報に応じた複数色のトナー像を順次形成する。その各色のトナー像を、像担持体に接触し得る状態で周回する中間転写体に順次重ね合わせるように1次転写する。そして、その中間転写ベルト上の多重トナー像を、最終的に、記録媒体である転写材に一括して2次転写する。
【0004】
第2のタイプは、所謂、タンデムタイプの画像形成装置である。このタイプの画像形成装置は、各々が1つの像担持体を備えた複数の画像形成部において、その各像担持体に電子写真プロセスにより画像情報に応じた複数色のトナー像をそれぞれ形成する。その各トナー像を、各像担持体に接触し得る状態で周回する中間転写体に順次重ね合わせるように1次転写する。そして、その中間転写体上の多重トナー像を、最終的に、記録媒体である転写材に一括して2次転写する。
【0005】
像担持体としては、回転可能なドラム型の電子写真感光体、即ち、感光ドラムが広く用いられている。又、中間転写体としては、無端ベルト状に形成された中間転写ベルトが広く用いられている。
【0006】
上述のいずれタイプの中間転写方式の画像形成装置においても、像担持体から中間転写体へのトナー像の転写は、一般的には、1次転写装置を使用して静電的に行われる。即ち、一般的に、1次転写装置は、像担持体と接触する位置における中間転写体の内周面側の部位に当接した状態で配置される1次転写部材として1次転写ローラなどの当接部材を有する。そして、この1次転写部材にトナー像を構成するトナーの正規の帯電極性とは逆極性の転写電圧を印加することで、像担持体上のトナー像を中間転写体の外周面に静電的に転写させる。
【特許文献1】特開平9−152791号公報
【特許文献2】特開2004−333677号公報
【特許文献3】特開2003−255727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
中間転写方式を採用した画像形成装置には、中間転写体に転写された直後のトナー像を構成するトナー(特にトナー像の角部を形成するトナー)の一部が当該トナー像の周囲に飛び散り、画像品質を低下させることがある、という課題がある。この現象は「トナー飛び散り」と呼ばれる。
【0008】
トナー飛び散りは、主に、像担持体の表面に付着したトナーが、像担持体と中間転写体との間の接触ニップ部(転写ニップ)に挟まれる前に、転写電界によって中間転写体へ向けて飛翔することによって発生する。この現象は「プレ転写」と呼ばれる。
【0009】
プレ転写によるトナー飛び散りを抑制する技術として、中間転写体の移動方向において、1次転写部材の中間転写体に対する当接点(当接領域の中心位置)を、像担持体の中間転写体に対する当接点よりも下流側に配置する構成が知られている(特許文献1参照)。このような構成とすることによって、像担持体の表面に付着したトナーが転写ニップ(転写領域)に入る前に受ける電界が小さくなる。そのため、プレ転写を抑制することができる。
【0010】
ところが、1次転写部材の中間転写体に対する当接点を下流へずらすと、中間転写体上に既に転写されているトナーが、次色のトナー像の転写の際に転写ニップにおいて像担持体の表面に戻る現象が発生し易くなる。この現象は「再転写」と呼ばれる(特許文献2参照)。
【0011】
再転写が多く発生すると、出力画像のがさつきや色味変動といった、画像品質の問題が生じることがある。又、像担持体上の付着物を除去、回収するために特別のクリーニング装置を設置しないクリーナレス方式の画像形成装置においては、再転写が多く発生すると、トナーの混色という問題にもつながる。
【0012】
本発明者らの鋭意研究の結果、1次転写部材の中間転写体に対する当接点を下流へずらすことによって再転写が発生し易くなる理由は次の通りであると考えられる。
【0013】
再転写は、中間転写体上のトナー像が次色のトナー像の転写のために転写ニップを通過する際に、トナー像を保持している中間転写体に過剰な電荷が注入されることによって引き起こされる。
【0014】
図2は、プレ転写によるトナー飛び散りを抑制するために、1次転写部材の中間転写体に対する当接点を、像担持体の中間転写体に対する当接点よりも中間転写体の移動方向(進行方向)下流側に配置した時の1次転写部N1を模式的に示す。
【0015】
図示の例では、像担持体としての感光ドラム1が中間転写体としての中間転写ベルト6の外周面に接触し、又1次転写部材としての1次転写ローラ5が中間転写ベルト6の内周面に接触して、1次転写部N1が構成されている。
【0016】
画像形成中は、感光ドラム1と中間転写ベルト6とはほぼ同じ速度で図2中の左から右に向かって移動している。又、この時、1次転写ローラ5には、感光ドラム1上のトナーを中間転写ベルト6上に転写するために必要な一定電流(トナーの帯電極性とは逆極性)が絶えず流れている。1次転写電流としては、少なくとも画像形成領域の全域にベタ画像(最高濃度レベルの画像)を形成する時の感光ドラム1上のトナー層の面電荷密度に相当する値以上の電流が必要である。
【0017】
ここで、図2中の1次転写部N1をA、B、C、Dの4つの領域に分ける。領域Aは、感光ドラム1と中間転写ベルト6の表面とが(中間転写ベルト6上にトナー層がある時はそれを挟んで)接触しているが、1次転写ローラ5と中間転写ベルト6の裏面とが接触していない(離間している)領域である。領域Bは、感光ドラム1と中間転写ベルト6の表面とが(中間転写ベルト6上にトナー層がある時はそれを挟んで)接触していると共に、1次転写ローラ5と中間転写ベルト6の裏面とが接触している領域である。領域Cは、中間転写ベルト6の裏面と1次転写ローラ5とが接触しているが、感光ドラム1と中間転写ベルト6の表面とが接触していない(離間している)領域である。領域Dは、中間転写ベルト6が感光ドラム1にも、1次転写ローラ5にも接触していない領域である。
【0018】
図9は、従来の画像形成装置における、上記各領域における縦方向、即ち、中間転写ベルト6の移動方向に対して垂直な方向の簡単な等価回路を示す。
【0019】
トナーの正規の帯電極性が負極性であるものとすると、1次転写ローラ5に印加する電圧の極性は正極性になる。図9に示す等価回路は、感光ドラム1の裏面(通常は電気的に接地されている)と中間転写ベルト6との間で形成されるコンデンサCnipと、1次転写ローラ5の抵抗Rtとから成る。ここで、中間転写ベルト6の厚さは無視している。Cnipに蓄えられている面電荷密度をQ(中間転写ベルト電荷密度に相当)とし、Cnipの単位面積当たりの容量をC、Cnipの下面の電位をVとすると、Q=C・Vの関係が成り立つ。ここで、簡単のため、感光ドラム1の表面電位は0Vとする。
【0020】
上記各領域における電荷移動の様子を説明する。領域Aでは、CnipとRtとの間のスイッチは繋がっておらず、Qはほぼゼロである。領域Bでは、CnipとRtとの間のスイッチが繋がり、Cnipに電荷が蓄えられ、徐々にQは飽和していく。領域Cでは、感光ドラム1と中間転写ベルト6との距離が徐々に大きくなるため、Cnipの容量が減少していく。そして、Q=C・Vの関係を保つために、Cnipに蓄えられた電荷がRtを介して戻っていくことになる。即ち、Qが減少していく。更に、領域Dでは、CnipとRtとの間のスイッチは切られ、Cnipに蓄えられた電荷は行き場がなくなり、転写ニップの下流へと移動していく。下流へ行くほどCは減少していくが、Qは変わらないので、Vは上昇していく。そして、一般に、領域Dの入口から下流側に数ミリのところで感光ドラム1と中間転写ベルト6との間で剥離放電が起こる。
【0021】
従って、上述のような各領域における電荷移動が起こる場合、中間転写ベルト6の電荷密度Qと、中間転写ベルト6の移動方向における位置との関係は、図10に示すようになる。即ち、領域Cにおいて電荷密度Qの大幅な減少が見られる。
【0022】
画像形成中は感光ドラム1上にトナーがないときでも、1次転写ローラ5には常に一定の電流が流れ続けている。図2に示すように、1次転写部N1において領域Cが存在する構成では、領域Cにおいて、中間転写ベルト6に注入された電荷の逆流が発生する。そのため、領域Bにおいて中間転写ベルト6に必要以上に多くの電荷を注入しなくてはならないことがある。領域Bにおいて過剰な電荷が注入されると、再転写が多く発生し易くなる。領域Cが長ければ長いほど、1次転写ローラ5へ逆流する電荷が多くなるため、この傾向が顕著に表れ易くなる。このため、領域Bで中間転写ベルト6に注入する電荷密度を大きくせざるを得なくなることがある。
【0023】
プレ転写を防止するために1次転写ローラ5の中間転写ベルト6に対する当接点を感光ドラム1の中間転写ベルト6に対する当接点よりも中間転写ベルト6の移動方向下流側へ配置した構成においては、必然的に領域Cは長くなる。このため、プレ転写の抑制と再転写の抑制とは両立し難い。
【0024】
中間転写ベルト6を転写ニップの下流側で感光ドラム1に巻き付け、中間転写ベルト6と感光ドラム1との接触幅を長くすれば、プレ転写を抑制しつつ、領域Cを短くするか或いは全く無くすことが可能である(特許文献3参照)。しかし、そのためには、特に、タンデムタイプの画像形成装置においては、中間転写ベルト6を上下に蛇行させなくてはならない。そのため、トルクの上昇、中間転写ベルト6の磨耗量の増加、感光ドラム1の周囲のスペースの減少などの問題が生じ、機械的設計が非常に困難になる。
【0025】
又、領域Cにおける電荷の逆流を抑えるために1次転写ローラ5の緩和時間を大きくする手段も考えられる。しかし、転写工程に充分な電流を流すための転写電圧値が上昇することによって、転写ニップの上流側の電界強度が上昇する。そのため、結局はプレ転写を誘発し易くなる。
【0026】
従って、本発明の目的は、簡易な構成にて、1次転写部における中間転写体から像担持体へのトナーの再転写を抑制することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、トナーを担持する像担持体と、前記像担持体と接触して移動可能な中間転写体と、前記中間転写体を挟んで前記像担持体と対向する位置に前記中間転写体に接触して配置され、電圧が印加されることで前記像担持体上のトナーを前記中間転写体に転写させる1次転写部材と、前記中間転写体に接触して配置され前記中間転写体上のトナーを転写材に転写させる2次転写部材と、を有する画像形成装置において、前記1次転写部材と前記中間転写体の前記1次転写部材と接触する面との間に、電気的な整流作用を有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、簡易な構成にて、1次転写部における中間転写体から像担持体へのトナーの再転写を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0030】
実施例1
[画像形成装置の全体構成]
先ず、本発明に係る画像形成装置の一実施例の全体構成について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面構成を示す。本実施例の画像形成装置100は、タンデムタイプの電子写真方式のレーザービームプリンタである。
【0031】
本実施例の画像形成装置100は、複数の画像形成手段として、第1、第2、第3、第4の画像形成部(ステーション)SY、SM、SC、SKを有する。第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するようになっている。
【0032】
本実施例では、各画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同一である。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために図中符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して総括的に説明する。
【0033】
画像形成部Sは、トナーを担持する像担持体としてのドラム型の電子写真感光体、即ち、感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、図中矢印R1方向(反時計回り)に回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、帯電手段としての接触帯電部材である帯電ローラ2、露光手段(画像情報書き込み手段)としてのレーザービームスキャナー3、現像手段としての現像装置4、クリーニング手段としてのクリーニング装置10などが配置されている。又、全ての画像形成部Sの感光ドラム1に対向するように中間転写装置60が配置されている。
【0034】
中間転写装置60は、感光ドラム1に接触して移動可能な中間転写体として、無端ベルト状部材である中間転写ベルト6を有する。中間転写ベルト6は、複数の支持部材としての駆動ローラ61、従動ローラ62、2次転写バックアップローラ7bに掛け回されている。中間転写ベルト6は、駆動ローラ61に駆動力が伝達されることで、図中矢印R2方向(時計回り)に周回移動する。又、各画像形成部Sの各感光ドラム1に対向する位置において中間転写ベルト6の内周面(裏面)に接触するように、1次転写手段としての回転可能な1次転写部材である1次転写ローラ5が配置されている。各1次転写ローラ5は、中間転写ベルト6を感光ドラム1に向けて押圧している。これにより、感光ドラム1と1次転写ローラ5とで中間転写ベルト6が挟持されて1次転写部N1が形成されている。又、バックアップローラ7bに対向する位置において中間転写ベルト6の外周面(表面)に接触するように、2次転写ローラ7aが配置されている。2次転写ローラ7aは、中間転写ベルト6に圧接している。これにより、2次転写ローラ7aとバックアップローラ7bとで中間転写ベルト6が挟持されて2次転写部N2が形成されている。2次転写ローラ7a及びバックアップローラ7bはそれぞれ、2次転写手段を構成する回転可能な2次転写部材である。
【0035】
次に、フルカラー画像形成時を例として画像形成動作を説明する。
【0036】
先ず、感光ドラム1の表面が、帯電ローラ2によって所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電される。感光ドラム1は、図中矢示R1方向に130mm/secの周速度(表面移動速度)で回転する。感光ドラム1の周速度は、画像形成装置100のプロセススピードに相当する。
【0037】
帯電された感光ドラム1の表面は、レーザービームスキャナー(画像露光装置)3によって、画像信号により変調されたレーザー光Lで走査露光される。これにより、感光ドラム1上に静電像(潜像)が形成される。
【0038】
感光ドラム1上に形成された静電像は、現像装置4によって現像剤のトナーによってトナー像として現像される。本実施例では、現像装置4は、感光ドラム1上の静電像を反転現像方式にて現像する。即ち、帯電処理された感光ドラム1の表面において露光によって電荷が減衰した画像部(明部)に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを付着させることで、感光ドラム1上の静電像を現像する。
【0039】
各感光ドラム1上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト6を挟んで1次転写ローラ5と感光ドラム1とが対向している1次転写部N1にて、中間転写ベルト6上に順次に重ね合わせて転写(1次転写)される。この時、1次転写ローラ5には、1次転写バイアス印加手段としての1次転写電源51から出力された、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の1次転写バイアス(1次転写電圧)が印加される。
【0040】
中間転写ベルト6上で4色重ねられたトナー像は、中間転写ベルト6を挟んで2次転写ローラ7aとバックアップローラ7bとが対向している2次転写部N2にて、記録用紙などの転写材P上に一括して転写(2次転写)される。この時、2次転写ローラ7aには、2次転写バイアス印加手段としての2次転写電源71から出力された、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の2次転写バイアス(2次転写電圧)が印加される。尚、本実施例では、2次転写バイアスを中間転写ベルト6の外周面に接触する2次転写部材に印加するが、2次転写バイアスは極性を反転させて中間転写ベルト6の内周面に接触する2次転写部材に印加してもよい。
【0041】
ここで、転写材Pは、転写材カセット8から供給ローラなどによって取り出され、搬送ローラ、搬送ガイドなどを経由して2次転写部N2へと供給される。
【0042】
トナー像が転写された転写材Pは、中間転写ベルト6から分離されて、定着手段としての定着器(熱ローラ定着器)9へと搬送される。そして、転写材P上の未定着トナー像は、定着器9によって加熱及び加圧されることで、転写材Pに定着される。
【0043】
尚、1次転写工程後に中間転写ベルト6に転写されずに感光ドラム1の表面に残ったトナー(1次転写残トナー)は、クリーニング装置10により感光ドラム1の表面から除去され、回収される。クリーニング装置10は、弾性体ブレード(クリーニングブレード)などのクリーニング部材によって、感光ドラム1上のトナーを掻き取る。1次転写残トナーが除去された感光ドラム1は、繰り返し画像形成に供される。
【0044】
又、2次転写工程後に転写材Pに転写されずに中間転写ベルト6の表面に残ったトナー(2次転写残トナー)は、中間転写ベルトクリーナ64によって中間転写ベルト6の表面から除去され、回収される。中間転写ベルトクリーナ64は、弾性体ブレード(クリーニングブレード)などの中間転写ベルトクリーニング部材によって、中間転写ベルト6上のトナーを掻き取る。中間転写ベルトクリーナ64は、中間転写ベルト6の表面に当接/離間自在に取り付けられていてよい。そして、1次転写工程中は中間転写ベルトクリーニング部材を中間転写ベルト6の表面から離間させ、2次転写前のトナー像を乱し難くすることができる。
【0045】
画像形成装置100は、所望の単独又は4個の画像形成部のうちのいくつかのみを用いてトナー像を形成することで、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできる。この場合も、トナー像を形成しない画像形成部があることを除けば、画像形成動作は上述のフルカラー画像形成時と同様である。
【0046】
次に、画像形成装置100の主要な構成要素について更に詳しく説明する。
【0047】
本実施例では、帯電ローラ2として、導電性ゴムから成る接触帯電ローラを用いた。帯電ローラ2には、帯電バイアス(帯電電圧)として、直流電圧(本実施例では−600V)と交流電圧(本実施例では正弦波、920Hz、1100μA)とを重畳した交番電圧が印加される。これにより、約−600Vの均一な感光ドラム1の帯電電位が得られる。
【0048】
画像形成装置100の本体に接続されたCCDなどの光電変換素子を有する原稿読み取り装置(図示せず)は、原稿の画像情報に対応する画像信号を出力する。レーザービームスキャナー3に内蔵された半導体レーザーは、この画像信号に対応して制御されレーザービームを射出する。尚、本実施例の画像形成装置100は、その本体に接続された電子計算機(ホストコンピュータ)からの出力信号に基づいてプリントアウトすることもできる。
【0049】
本実施例では、感光ドラム1は、ドラム型に形成された、負帯電性のOPC(有機光導電体)感光体である。この感光ドラム1は、直径30mmのアルミニウム製のドラム基体(以下「アルミ基体」という)上に、次の第1〜第4の4層の機能層を下から順に設けたものである。第1層は下引き層であり、アルミ基体の欠陥などを均すため、又レーザー露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられた導電層である。本実施例では、下引き層の厚さは約20μmである。第2層は正電荷注入防止層であり、アルミ基体から注入された正電荷が、帯電処理された感光ドラム1の表面の負電荷を打ち消すのを防止する役割を果たす。この正電荷注入防止層は、ポリアミド樹脂とメトキシメチル化ナイロンとによって、体積抵抗率が106Ω・cm程度となるように電気抵抗が調整された中抵抗層である。本実施例では、正電荷注入防止層の厚さは約1μmである。第3層は電荷発生層であり、ジスアゾ系の顔料を樹脂に分散した層であり、レーザー露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。本実施例では、電荷発生層の厚さは約0.3μmである。第4層は電荷輸送層であり、ポリカーボネイト樹脂にヒドラゾンを分散した層である。この電荷輸送層は、P型半導体である。従って、帯電処理された感光ドラム1の表面の負電荷はこの電荷輸送層を移動することはできず、電荷発生層で発生した正電荷のみを感光ドラム1の表面に輸送することができる。
【0050】
本実施例では、現像装置4は、現像剤として、負帯電性の非磁性トナー粒子(トナー)と、磁性キャリア粒子(キャリア)とが主に混合されて成る2成分現像剤を用いる。
【0051】
本実施例では、1次転写ローラ5は、芯金と、その外周面に形成した円筒状の半導電性発泡ゴムとから成っている。本実施例では、1次転写ローラ5は、全ての画像形成部Sで同じものを使用した。本実施例では、発泡ゴムには、トリアリールアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、ジアルキルアミノベンゼン誘導体などの正孔(ホール)輸送剤が分散されており、p型の導電型を示す。本実施例では、1次転写ローラ5の体積抵抗率は108Ω・cm程度に調節した。又、本実施例では、1次転写ローラ5の直径は16mmである。
【0052】
尚、1次転写ローラ5は、長手方向(回転軸線方向)の両端部が軸受け部材にて回転自在に軸支されると共に、感光ドラム1の母線に平行に配置されている。そして、1次転写ローラ5は、スプリングなどの押圧手段で中間転写ベルト6を介して感光ドラム1に一定の力で押し当てられている。1次転写ローラ5への1次転写電圧の印加は、導電性樹脂を使用して構成された1次転写ローラ5の長手方向端部の軸受けを介して行われる。
【0053】
本実施例では、2次転写ローラ7aは、芯金と、その外周面に形成した円筒状の導電性発泡ゴムとから成る従来のものを用いた。本実施例では、2次転写ローラ7aの体積抵抗率は約108Ω・cmである。又、本実施例では、2次転写ローラ7aの直径は28mmである。
【0054】
本実施例では、バックアップローラ7bは、金属ローラの表面に、n型の半導電性樹脂をコートしたものを用いた。本実施例では、n型の半導電性樹脂の体積抵抗率は約108Ω・cmである。又、本実施例では、n型の半導電樹脂は、高分子バインダー樹脂にトリニトロフルオレン、テトラニトロフルオレノン、クロラニル、テトラシアノキノジメタンなどの電子(エレクトロン)輸送剤を分散させたものである。
【0055】
又、本実施例では、中間転写ベルト6は、ポリイミドなどの基材に、導電性材料としてトリニトロフルオレン、テトラニトロフルオレノン、クロラニル、テトラシアノキノジメタンなどの電子輸送剤を含有させて、n型の導電型を示すものを使用した。本実施例では、中間転写ベルト6の体積抵抗率は108〜1011Ω・cmに調整した。又、本実施例では、中間転写ベルト6の周長は895mm、厚さは85μmである。そして、本実施例では、中間転写ベルト6は、第4の画像形成部SKの1次転写位置の下流側に位置する駆動ローラ61により、感光ドラム1の周速度と同じ130mm/secの周速度で回転駆動される。
【0056】
[1次転写部における電荷移動]
本実施例の目的の1つは、前述したような従来の課題に鑑み、中間転写ベルト6を感光ドラム1に巻き付けるなどの困難な機械的設計を伴うことなく、プレ転写によるトナー飛び散りを抑制しつつ、再転写を抑制することである。
【0057】
そこで、本実施例では、画像形成装置100は、1次転写部材としての1次転写ローラ5と中間転写体としての中間転写ベルト6の裏面(1次転写部材と接触する面)との間に電気的な整流作用を持たせる。
【0058】
トナーの正規の帯電極性が負極性である場合、中間転写体の少なくとも裏面がn型の導電機構を持ち、1次転写部材がp型の導電機構を持つことにより、1次転写部材と中間転写体の裏面との間に電気的な整流作用を持たせ得る。又、トナーの正規の帯電極性が負極性である場合、中間転写体の少なくとも裏面がn型の導電機構を持ち、1次転写部材が金属的な導電機構を持つことにより、1次転写部材と中間転写体の裏面との間に電気的な整流作用を持たせ得る。
【0059】
又、トナーの正規の帯電極性が負極性である場合、好ましくは、中間転写体の裏面に接触する2次転写部材が、n型の導電機構又は金属的な導電機構を持つようにする。より好ましくは、中間転写体の裏面に接している部材で、1次転写部材以外の部材が全て、n型の導電機構又は金属的な導電機構を持つようにする。即ち、中間転写体の裏面と中間転写体の裏面に接触する2次転写部材との間には、中間転写体の裏面と1次転写部材との間の電気的な整流作用とは逆の電気的な整流作用、又はオーミックな導電性を持たせる。
【0060】
図3は、本実施例に従って中間転写ベルト6と1次転写ローラ5との間に電気的な整流作用を持たせた時の、図2に示すような1次転写部N1の領域A〜Dの等価回路を示す。尚、図2に示す領域A〜Dは、前述の通りのものである。
【0061】
尚、詳しくは後述するように、本実施例では、感光ドラム1の中間転写ベルト6に対する当接点と、1次転写ローラ5の中間転写ベルト6に対する当接点との関係は、図2を参照して前述したものと同じである。
【0062】
図3に示すように、本実施例においても、領域Bでは図9に示す従来の構成と同様に電荷が移動し、中間転写ベルト6に電荷が注入される。しかし、本実施例では、領域CにおいてCnipとRtとの間に整流作用があるため、中間転写ベルト6に注入した電荷が1次転写ローラ5へ戻ることができない。この時の中間転写ベルト6内の電荷密度と、中間転写ベルト6の移動方向における位置との関係は、図4に示すようになる。即ち、図10に示す従来の構成の場合とは異なり、領域Cにおける電荷密度Qの減少がほとんどない。従って、1次転写ローラ5へと戻る電荷が少ないので、従来の構成よりも領域Bの電荷密度Qは低く抑えることができる。つまり、1次転写部N1における再転写を発生し難くすることができる。
【0063】
又、中間転写ベルト6の裏面に接触する部材のうち、1次転写ローラ5以外の部材に整流作用を持たせなければ、1次転写部N1で中間転写ベルト6に過剰な電荷が注入されても、中間転写ベルト6が各部材上を通過する時に除電が行われる。そのため、中間転写ベルト6のチャージアップに起因する画像不具合が発生することはない。
【0064】
ここで、図5に示すような測定系を用いて、中間転写ベルト6と1次転写ローラ5との間の整流性を確かめる実験を行った。即ち、金属板の上に中間転写ベルト6を載せ、1次転写ローラ5をその上から押し当てて、金属板と1次転写ローラ5の芯金との間の電流−電圧特性を測定した。金属板と中間転写ベルト6との間はオーミックな接合(接触)となっている。又、1次転写ローラ5と中間転写ベルト6との接触部を除く中間転写ベルト6の1次転写ローラ5側の面には絶縁テープを貼った。図6に測定結果を示す。
【0065】
図6に示すように、本実施例では、中間転写ベルト6と1次転写ローラ5との間にpn接合による整流作用が見られる。又、図6の結果から、逆バイアス印加時の耐圧は4kV程度であり、本実施例の構成においては、領域Cにおける電荷の逆流を防止するのに充分な耐圧であると推測できる。
【0066】
次に、本実施例の画像形成装置100で発生する再転写量を測定した。ここでは、マゼンタ色用の画像形成部SMの1次転写部N1Mにおいて中間転写ベルト6上に転写されたマゼンタ色のベタ画像がシアン色用の画像形成部SCの1次転写部N1Cを通過する際に発生する、該画像形成部SCの感光ドラム1Cへの再転写量を測定した。マゼンタ、シアン共にトナー帯電量は−35μC/g程度、トナー層数は2〜3層である。再転写量は感光ドラム1C上をテーピングしてマゼンタトナーの反射濃度を測定することで評価した。反射濃度の測定にはX-rite社のSpectrodensitometerを使用した。又、シアン色のライン画像を出力したときのトナー飛び散りの評価も行った。
【0067】
尚、シアン色用の画像形成部SCの1次転写部N1Cは図2に示すように領域A〜Dを有している。1次転写ローラ5の中間転写ベルト6に対する当接点(中間転写ベルト6の移動方向における当接領域の中心位置)は、感光ドラム1の中間転写ベルト6に対する当接点よりも、中間転写ベルト6の移動方向下流側へ3mm程度ずらしている。より具体的には、本実施例では、中間転写ベルト6の移動方向において、領域Aは2mm、領域Bは0.5mm、領域Cは1.5mmであった。
【0068】
又、本実施例と共に、次の2つの比較例の検討も行った。
【0069】
(比較例1)
本比較例では、1次転写ローラ5と中間転写ベルト6とを従来のものにして、本実施例と同様の検討を行った。本比較例の1次転写ローラ5は、芯金と、その外周面に形成した円筒状の導電性発泡ゴムとから成っており、体積抵抗率は約108Ω・cmである。又、本比較例の中間転写ベルト6は、ポリイミドなどの基材に、カーボンなどの導電性材料を分散させたものであり、体積抵抗率は108〜1011Ω・cmに調整されている。1次転写ローラ5と中間転写ベルト6は従来の製品のものであり、導電型の制御はされていない。従って中間転写ベルト6の裏面と1次転写ローラ5との間に電気的な整流作用は見られなかった。1次転写ローラ5の直径、1次転写ローラ5の配置位置、中間転写ベルト6の厚みや周長は、本実施例と同じである。
【0070】
(比較例2)
本比較例では、比較例1と同じ1次転写ローラ5と中間転写ベルト6とを用いた。但し、本比較例は、比較例1とは異なり、中間転写ベルト6の移動方向において1次転写ローラ5の中間転写ベルト6に対する当接点を、感光ドラム1の中間転写ベルト6に対する当接点と同じ位置に配置して検討を行った。図7は、本比較例における1次転写部N1Cを模式的に示す。即ち、本比較例では、中間転写ベルト6に対して感光ドラム1は接触しているが1次転写ローラ5は接触していない領域A、及び中間転写ベルト6に対して1次転写ローラ5は接触しているが感光ドラム1は接触していない領域Cは、どちらもほとんど存在しない。その他の条件は、全て実施例1及び比較例1と同じである。
【0071】
図8は、本実施例、比較例1及び比較例2における、シアン色用の画像形成部SCの1次転写部N1Cに流した1次転写電流と、マゼンタトナーの再転写量との関係を示す。図中のI0は、本実施例で感光ドラム1上のベタ画像をきれいに中間転写ベルト6に転写するために最低限必要な転写電流値を示している。つまり、実際の画像形成プロセスにおいては、I0以上の転写電流値を用いることになる。この転写電流値は本実施例、比較例1及び比較例2で同じである。
【0072】
本実施例では、領域Cにおいて中間転写ベルト6内の電荷が1次転写ローラ5へ逆流する現象が起こらないことから、領域Bの電荷密度が小さく抑えられ、再転写が比較的抑制されている(●、実線)。
【0073】
一方、比較例1では、領域Cにおいて中間転写ベルト6内の電荷が1次転写ローラ5へと逆流するため、所定の転写電流を流すためには、より多くの電荷を領域Bに注入しなくてはならない。そのため、比較例1では、再転写量が多くなった(□、一点鎖線)。比較例1では、転写電流がI0の辺りでは、本実施例の4倍程度の再転写量になっている。
【0074】
又、比較例2では、領域Cがほぼ存在しないため、1次転写ローラ5への電荷の逆流が発生せず、本実施例と同程度に再転写の抑制特性は良好である(○、点線)。
【0075】
下記表1は、本実施例、比較例1及び比較例2において、シアン色用の画像形成部SCの1次転写部N1Cで発生するシアントナーの飛び散りを比較評価した結果である。
【0076】
【表1】

【0077】
本実施例及び比較例1では、図2に示すように、1次転写ローラ5の中間転写ベルト6に対する当接点を、感光ドラム1の中間転写ベルト6に対する当接点よりも中間転写ベルト6の移動方向下流側へずらしている。そのため、プレ転写が抑制されて、トナー飛び散りが少なく、良好な画像が得られる。
【0078】
一方、比較例2では、図7のように1次転写ローラ5の中間転写ベルト6に対する当接点が感光ドラム1の中間転写ベルト6に対する当接点の真下にあるため、転写ニップの上流部に強い電界がかかる。そのため、プレ転写によるトナー飛び散りが多く発生し、良好な画像が得られなかった。
【0079】
以上の結果から、本実施例によれば、プレ転写を抑制しつつ、再転写を抑制することが可能となることが分かる。
【0080】
又、本実施例では、中間転写ベルト6の裏面に接触する2次転写部材であるバックアップローラ7bは、n型の導電型を示す。これにより、1次転写部N1で中間転写ベルト6に注入された余剰なプラス電荷は、2次転写部N2において有効に排出される。そのため、画像形成を繰り返すことによって、中間転写ベルト6がチャージアップして1次転写電圧が上昇したり、異常放電に起因する画像不具合が発生したりすることはなかった。
【0081】
尚、1次転写部材を構成する材料として中間転写体よりも大きな仕事関数を持つ金属材料を使用すれば、n型の導電機構を持つ中間転写体の接触面と1次転写部材との間でショットキー接合による整流作用が発生するので、本実施例と同様の効果が得られる。
【0082】
又、中間転写体の裏面に接している部材で、1次転写部材以外の部材(例えば、本実施例における中間転写ベルト6の駆動ローラ61など)を全てn型の導電機構、又は中間転写ベルト6よりも小さい仕事関数を持つ金属部材にすることができる。このような構成にすれば、中間転写体に注入されている余剰なプラス電荷がその部材を介して除電され、中間転写体のチャージアップをより厳しく防止することができる。
【0083】
更に、本実施例ではトナーの正規の帯電極性が負極性であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。トナーの正規の帯電極性が正極性の場合でも、負極性のときと逆の整流作用を1次転写部などに持たせれば、本実施例と同様の効果が得られる。
【0084】
即ち、トナーの正規の帯電極性が正極性である場合、中間転写体の少なくとも裏面がp型の導電機構を持ち、1次転写部材がn型の導電機構を持つことにより、1次転写部材と該中間転写体の裏面との間に電気的な整流作用を持たせ得る。又、トナーの正規の帯電極性が正極性である場合、中間転写体の少なくとも裏面がp型の導電機構を持ち、1次転写部材が金属的な導電機構を持つことにより、1次転写部材と中間転写体の裏面との間に電気的な整流作用を持たせ得る。
【0085】
又、トナーの正規の帯電極性が正極性である場合、好ましくは、中間転写体の裏面に接触する2次転写部材が、n型の導電機構又は金属的な導電機構を持つようにする。より好ましくは、中間転写体の裏面に接している部材で、1次転写部材以外の部材が全て、p型の導電機構又は金属的な導電機構を持つようにする。即ち、中間転写体の裏面と中間転写体の裏面に接触する2次転写部材との間には、中間転写体の裏面と1次転写部材との間の電気的な整流作用とは逆の電気的な整流作用、又はオーミックな導電性を持たせればよい。
【0086】
以上、本実施例によれば、中間転写ベルト6を感光ドラム1に巻きつけるなどの機械的な設計の困難を伴うことなく、プレ転写によるトナー飛び散りを防止しつつ、再転写を抑制することが可能となる。
【0087】
尚、プレ転写による飛び散りを抑制するために、1次転写部材の中間転写体に対する当接点を、像担持体の中間転写体に対する当接点よりも中間転写体の移動方向下流側にする時に、以上説明したような、飛び散りと再転写との両方を抑制する効果は大きくなる。但し、1次転写部材の中間転写体に対する当接点をこのような配置にしない場合であっても、上述した再転写を抑制する効果を得ることができる。
【0088】
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。例えば、画像形成装置がタンデムタイプのものではなく、前述のような4サイクルタイプのものである場合にも、単一の像担持体から中間転写体へのトナーの1次転写部に関して本発明を等しく適用することができ、上記同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略断面構成図である。
【図2】1次転写ローラの配置の一例を説明するための1次転写部の模式図である。
【図3】中間転写ベルトと1次転写ローラとの間に整流作用を持たせた時の1次転写部の各領域における等価回路図である。
【図4】中間転写ベルトと1次転写ローラとの間に整流作用を持たせた時の中間転写ベルト内電荷密度と中間転写ベルトの移動方向における位置との関係を示すグラフ図である。
【図5】中間転写ベルトと1次転写ローラとの間の電気特性の測定方法を説明するための模式図である。
【図6】中間転写ベルトと1次転写ローラとの間の電気特性の測定結果の一例を示すグラフ図である。
【図7】1次転写ローラの配置の他の例を説明するための1次転写部の模式図である。
【図8】1次転写電流とマゼンタトナーの再転写量との関係の評価結果を示すグラフ図である。
【図9】従来の1次転写部の各領域における等価回路図である。
【図10】従来の1次転写部の構成における中間転写ベルト内電荷密度と中間転写ベルトの移動方向における位置との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0090】
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
3 レーザービームスキャナー
4 現像装置
5 1次転写ローラ
6 中間転写ベルト
7a 2次転写ローラ
7b バックアップローラ
N1 1次転写部
N2 2次転写部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを担持する像担持体と、前記像担持体と接触して移動可能な中間転写体と、前記中間転写体を挟んで前記像担持体と対向する位置に前記中間転写体に接触して配置され、電圧が印加されることで前記像担持体上のトナーを前記中間転写体に転写させる1次転写部材と、前記中間転写体に接触して配置され前記中間転写体上のトナーを転写材に転写させる2次転写部材と、を有する画像形成装置において、
前記1次転写部材と前記中間転写体の前記1次転写部材と接触する面との間に、電気的な整流作用を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記トナーの正規の帯電極性は負極性であり、前記中間転写体の前記1次転写部材と接触する面はn型の導電機構を有し、前記1次転写部材はp型の導電機構を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナーの正規の帯電極性は負極性であり、前記中間転写体の前記1次転写部材と接触する面はn型の導電機構を有し、前記1次転写部材は金属的な導電機構を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記中間転写体の前記1次転写部材に接触する面に接触する前記2次転写部材は、n型の導電機構又は金属的な導電機構を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記中間転写体の前記1次転写部材に接触する面に接触する部材で、前記1次転写部材以外の部材は全て、n型の導電機構又は金属的な導電機構を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナーの正規の帯電極性は正極性であり、前記中間転写体の前記1次転写部材と接触する面はp型の導電機構を有し、前記1次転写部材はn型の導電機構を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記トナーの正規の帯電極性は正極性であり、前記中間転写体の前記1次転写部材と接触する面はp型の導電機構を有し、前記1次転写部材は金属的な導電機構を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記中間転写体の前記1次転写部材に接触する面に接触する前記2次転写部材は、p型の導電機構又は金属的な導電機構を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記中間転写体の前記1次転写部材に接触する面に接触する部材で、前記1次転写部材以外の部材は全て、p型の導電機構又は金属的な導電機構を有することを特徴とする請求項6〜8のいずれかの項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記1次転写部材の前記中間転写体に対する当接領域の前記中間転写体の移動方向における中心位置は、前記像担持体の中間転写体に対する当接領域の前記中間転写体の移動方向における中心位置よりも、前記中間転写体の移動方向下流側にあることを特徴とする請求項1〜9のいずれかの項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−3035(P2009−3035A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161914(P2007−161914)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】