説明

画像形成装置

【課題】感光体表面での傷発生の防止およびブレードなどの接触部材との間で異音が発生するのを確実に抑制して耐久性および異音発生による装置設置箇所での作業環境の悪化を防止できる構成を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】潜像担持体に形成された潜像を可視像処理し、該可視像とされたトナー像を記録紙に転写する構成を備えた画像形成装置において、前記潜像担持体の表面のユニバーサル硬度が150〜175N/m2かつ弾性仕事率が30〜40%に設定され、前記潜像担持体からのトナー像を転写する転写部材が前記潜像担持体と対向する位置以外にオフセットされた位置に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、さらに詳しくは、画像形成時に用いられる感光体などの潜像担持体表面での損傷防止に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを用いた画像形成装置において、潜像担持体として用いられる感光体に対して帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程を施すことにより画像形成が行われる。
上述した画像形成装置には、パーソナルコンピュータの出力装置として用いられるプリンタあるいは情報受信信号の出力装置として用いられるファクシミリ装置さらにはデジタル信号を用いた画像情報に基づく画像形成が可能なデジタル複写機さらにはこれら機能を複合した装置がある。
【0003】
一方、画像形成装置には、モノクロ画像のみでなく、フルカラー画像を含む多色画像を形成可能なものもある。
フルカラー画像形成装置の構成としては、潜像担持体である感光体における現像位置に向けて回転させることにより色毎の現像部を対面されることができるリボルバ型と称される構成(例えば、特許文献1)、あるいは、ベルトなどの中間転写体の展張方向に沿って各色の作像部を並列させて設けたタンデム型と称される構成(例えば、特許文献2)が知られている。
【0004】
リボルバ型の構成は、感光体を一つだけ備えるだけで済むことにより、近年、要求が高まってきている装置の小型化が図れる。しかし、複数の画像形成処理が必要となることでランタイムが多く必要となり、画像形成処理の高速化においては不利な構成である。
【0005】
これに対してタンデム型の構成は、各作像部を転写体が移動する過程で各色の画像を順次転写することができ、重畳転写された画像を一括転写することによりフルカラー画像などが得られる。これにより、上述した複数回の画像形成処理が不要な分、高速化が可能である反面、各色の作像部を並置するために転写体の展張スペースが必要となることで装置が大型化する不利がある。
しかし、高速化の観点から、タンデム型の画像形成装置が注目されてきているのが現状である。
【0006】
図6は、タンデム型の画像形成装置1を示す模式図であり、同図において1次転写工程を実行するために設けられている中間転写ベルト101の展張面には展張方向に沿って色毎の作像部(図6では補色を示す符号K、C、M、Yで示してある)が並置されている。
【0007】
各作像部には、回転自在の潜像担持体である感光体ドラム102画も受けられており、感光体ドラム101の周囲には、画像形成処理を実行するための帯電装置102、書込装置103、現像装置104、クリーニング装置105が配置されている。感光体ドラム101と対峙する位置には、感光体ドラム101に当接しながら移動可能な中間転写ベルト106Aおよび転写バイアス部材である1次転写ローラ106Bを備えて転写装置106が配置されており、各作像部からの画像が重畳転写されて移動する位置には給紙装置から繰り出された記録紙Sに対して画像を一括転写する2次転写ローラ107が、そして、2次転写後に記録紙Sが移動する位置には定着装置108が配置されている。
【0008】
感光体ドラム101は、フルカラー画像形成時の場合で説明すると、回転する過程において帯電装置102により一様帯電され、書込装置103において画像情報に応じて出射されるレーザ光により静電潜像が形成される。
【0009】
感光体ドラム101上の静電潜像は現像装置104から供給される現像剤Dにより可視像処理されてトナー像とされ、トナー像が中間転写ベルト106Aに順次転写される。1次転写工程後の感光体ドラム101はクリーニング装置105によってクリーニングされて新たな画像形成に備えられる。
【0010】
中間転写ベルト106A上の重畳画像は、2次転写ローラ107によって記録紙に一括転写され、記録紙Sが定着装置108を通過することで記録紙に定着される。
【0011】
上述した画像形成装置に用いられる現像剤には、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤の他に、低コストなものとして例えば、非磁性トナーのみを用いた一成分系現像剤がある。
トナーは、定着時の熱により融解して記録シートなどに浸透することで定着されるが、このときホットオフセットが発生することがある。そこで、このようなホットオフセットを防止する目的として、一成分系現像剤には 帯電性を補助するシリカ成分を含む外添剤やワックスなどの光沢性を補助する成分を内添させて定着オイルレスを実現している。
【0012】
しかし、ワックスなどの内添成分を用いた場合には、現像装置内での攪拌混合により摩擦帯電作業や現像部材に担持された後に行われる層厚保規制部材による掻き取り等により機械的なストレスを受けることが原因してトナー表面に内添成分が浸み出してくることがある。このような内添成分の浸み出しは、トナーの流動性を悪化させることになり、結果として、トナー間の凝縮力が大きくなり、感光体にトナーが付着しやすくなる。
【0013】
このような不具合を解消する目的で外添成分によるトナーの流動性確保が実行されているが、外添成分はトナー母体に比較して粒径がきわめて小さく、トナー母体の表面積に限界があることから、外添成分の被覆率を高めると、上述した機械的ストレスを受けた際にトナー母体から剥落しやすくなる。
【0014】
従来、転写後の感光体に残っている未転写トナーや帯電による放電生成物を除去するためのクリーニング装置が設けられているが、トナーから遊離した外添成分がクリーニング部材をすり抜けて堆積するフィルミング現象を引き起こす虞がある。
【0015】
クリーニング装置には、感光体に圧接するブレード部材が備えられているが、ブレードの圧接により感光体表面に細かな傷を発生させることがある。このような細かい傷は、上述した外添成分さらには未転写トナーが堆積する部分となり、この傷部分を起点としてトナーが付着すると凝縮を起こしフィルミング現象がさらに促進されてクリーニング不良を引き起こす虞がある。クリーニング不良は、感光体の地肌部での汚れを招き、地汚れの顕著な異常画像が得られてしまうという問題の発生を含んでいる。
【0016】
ところで、未転写トナーや放電生成物の除去を目的として設けられているクリーニングブレードに圧接する感光体表面では、この表面と接触するクリーニングブレードが振動によるビビリ音などの異音を発生させる場合がある。
特に、クリーニングブレードによるクリーニング性を向上させる要因の一つである、感光体表面に対するクリーニングブレードの当接圧が高いと、ブレード先端と感光体表面との間での摩擦による振動が増加し、摩擦による振動音が発生しやすくなる。具体的には、ブレードの材料としてポリウレタンなどのゴム製ブレードを用いた場合には、ブレードの当接圧を高めることでブレード先端での摩擦振動が大きくなる。さらに高温環境下では、ブレードの反発弾性が上昇する現象が生じ、観光体表面側でのブレード当接位置での共振が増幅し、結果としてブレードの振動と感光体の共振とを合わせた不快な振動音が発生してしまう。
【0017】
このような、摩擦接触による振動が原因する異音の発生を抑制するための構成として、感光体表面に潤滑剤を供給して摩擦抵抗を軽減する方法がある。
感光体表面に潤滑剤を供給するための構成として、感光体に接触および潤滑剤に接触して回転可能なブラシローラを用い、ブラシローラが押圧接触することで潤滑剤を削り取り、削り取った潤滑剤を感光体表面に塗布して供給する構成(例えば、特許文献3)、あるいは、トナー中に潤滑剤を含有させ、画像の可視像処理に際してトナーが感光体表面に接触するのに合わせて潤滑剤を感光体表面に供給する構成(例えば、特許文献4)。がある。
【0018】
一方、感光体表面でのフィルミングの原因となる傷の発生を抑制する構成としては、感光体表面に高硬度のフィラーを含む硬化型保護層を設けたり、架橋樹脂膜を成膜する等の構成が提案されている(例えば、特許文献5、6)。
【0019】
【特許文献1】特開2007−225943号公報
【特許文献2】特開2007−078754号公報
【特許文献3】特開2000−231298号公報
【特許文献4】特開平11−184340号公報
【特許文献5】特開2002−258499号公報
【特許文献6】特開2000−66424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
特許文献3に開示されているように、感光体表面での摩擦低減のための構成であるブラシローラによる潤滑剤の供給構造においては、画像形成処理に用いられる装置の他に潤滑剤供給装置を必要とする。このため、省コストや省スペース化が望まれる画像形成装置においては、異音防止のための構成によるコストアップや装置の大型化を招く虞がある。
【0021】
また、特許文献4に開示されているように、トナー中に潤滑剤を含有させて供給する構成においては、潤滑剤がトナーよりも小粒径であることが多く、これによってクリーニング用のブレードをすり抜ける機会が多くなる。このため、すり抜けた潤滑剤が帯電装置などの飛散付着するのを防止することが必要となる。このような帯電装置への飛散付着を防止するには、帯電装置の構成として、観光体表面と接触しない構成とすることが必要となり、安価な構成の帯電装置ですませることができなくなる虞がある。
【0022】
一方、感光体表面側での傷防止の構成を開示している特許文献5,6においては、耐傷性を向上させるために感光体表面の硬度が高められている。このため、感光体表面での硬さが高まることで表面での弾性率が低下し、ブレードの反発力が大きくなり、結果として、ブレードの反発振動が強くなることでブレードのなき現象や捲れ現象が新たに発生する虞がある。
【0023】
本発明の目的は、上記従来の画像形成装置、特に、潜像担持体として用いられる感光体表面での傷発生の防止およびブレードなどの接触部材との間で異音が発生するのを確実に抑制して耐久性および異音発生による装置設置箇所での作業環境の悪化を防止できる構成を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
この目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)一様帯電された潜像担持体を対象として形成された静電潜像を、非磁性一成分でワックスを内添されたトナーを用いて可視像処理する現像装置と、現像されたトナー像を転写体に転写する転写装置と、転写装置通過後に潜像担持体上の未転写トナーを除去するクリーニング装置とを備え、前記転写装置には前記潜像担持体に当接しながら移動可能なベルト体および該ベルト体に対してトナー像を転写するバイアス印加が可能な転写部材とが備えられ、前記クリーニング装置には前記潜像担持体表面に当接する弾性体からなるブレードが用いられている画像形成装置において、
前記転写部材は、前記ベルト体の移動方向において前記潜像担持体と対向する位置以外にオフセットされ、該ベルト体を前記潜像担持体に部分的に捲装できる位置に配置され、
前記潜像担持体は、表面のユニバーサル硬度が150〜175N/m2かつ弾性仕事率が30〜40%に設定されていることを特徴とする画像形成装置、
(2)前記転写部材は、転写ローラが用いられ、これの軸中心が前記ベルト体の移動方向にオフセットする距離として、5〜10mmに設定されていることを特徴とする(1)に記載の画像形成装置。
(3)前記潜像担持体には電子写真用感光体が用いられ、該電子写真用感光体は、感光層中に結着樹脂として少なくとも
【0025】
【化1】

【0026】
および
【0027】
【化2】

【0028】
で表される繰り返し単位を含むポリカーボネート共重合体樹脂Aと、
【0029】
【化3】

【0030】
で表されるポリカーボネート樹脂Bとを含み、ポリカーボネート共重合体樹脂Aとポリカーボネート樹脂Bとの重量比が、60:40〜90:10の範囲に設定されて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
(4)前記電子写真用感光体は、前記感光層中の電荷発生剤がY型オキシチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする(1)または(3)に記載の画像形成装置。
(5)前記電子写真用感光体は、該感光層中の電荷移動剤が
【0031】
【化4】

【0032】
(式中、R1〜Rは、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基を表す。)
で表されるジスチリル系電荷移動剤であることを特徴とする(1)、(3)または(4)のいずれかに記載の画像形成装置。
(6)前記電子写真用感光体は、前記感光層に含まれる添加剤としてフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むことを特徴とする(1)または(3)乃至(5)のいずれかに記載の画像形成装置。
(7)前記電子写真用感光体は、前記感光層の成分を溶解し、感光層を形成するための溶剤としてテトラヒドロフランが用いられていることを特徴とする(1)、(3)乃至(6)のいずれかに記載の画像形成装置。
(8)前記ベルト体のユニバーサル硬度が10〜120N/mmに設定されていることを特徴とする(1)に記載の画像形成装置。
(9)前記転写部材に用いられる転写ローラが金属製であることを特徴とする(1)に記載の画像形成装置。
(10)前記転写ローラは、前記ベルト体に対して接離可能に設けられ、前記ベルト体に当接した際に、前記ベルト体を前記潜像担持体周面の一部に捲装する状態を設定することを特徴とする(1)、(2)、(9)および(10)のいずれかに記載の画像形成装置。
(11)前記転写ロールは、複数の色画像の作像部においてそれぞれ前記ベルト体に接離可能に設けられ、単色での画像形成時には、該当する色の転写位置の転写ローラを除いて前記ベルト体から離間する構成であることを特徴とする(1)、(2)、(9)および(10)のいずれかに記載の画像形成装置。
(12)前記潜像担持体と前記転写ローラの軸中心を結ぶ線上での転写ロール表面と像担持体表面の間隔が転写ベルト厚みよりも大きく設定されていることを特徴とする(1)、(2)、(9)乃至(11)のいずれかに記載の画像形成装置。
(13)前記ベルト体に用いられる移動駆動部材は、非画像形成時に画像形成時とは逆方向に移動可能であることを特徴とする(1)または(11)に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、感光体表面でのユニバーサル硬度と弾性仕事率を設定することによる感光体表面での柔らかさを設定することによってクリーニングブレードの摩擦振動による異音発生を防止することができる。この構成とした場合、転写装置に用いられる転写部材の配置構成として、感光体に対向する位置以外でオフセットさせるようにしているので、感光体に直接転写部材が衝突するのではなく、これら両部材間に位置する転写装置のベルト体を感光体表面の一部に捲装する状態とすることでベルト体が衝突した際の緩衝機能により感光体表面への傷の発生を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面により本発明を実施するための最良の形態について説明する
図1は、本発明による画像形成装置の実施形態を示す模式図であり、同図には、図6に示したタンデム型の画像形成装置と同様に、中間転写ベルト58の展張方向における一つの色を対象とした作像部(図1では黒色を対象として、図6において符号Kで示した作像部)の要部構成が開示されている。
【0035】
図1において作像部には、潜像担持体である電子写真用感光体ドラム(以下、便宜上、感光体ドラムという)51が回転可能に設けられ、感光体ドラム51の周囲には、矢印で示す回転方向に沿って画像形成処理を実行する帯電装置80,書込装置81、現像装置82およびクリーニング装置83が配置されている。
【0036】
感光体ドラム51の回転方向において現像装置82を通過した後の位置には、現像装置82により供給された現像剤により可視像処理されたトナー像が転写される転写装置670が設けられている。
【0037】
帯電装置80は、帯電ローラ80Aを備え、感光体ドラム51に設けられている感光層を一様帯電するためのバイアス部材であり、書込装置3は、図示しないレーザ光源から画像情報に応じて出射されるレーザ光により感光層に静電潜像を形成する装置である。
図1に示す帯電装置80としては、図1に示すように、感光体ドラム51の表面に当接する帯電ローラの芯金に高電圧を印加し、感光体表面を一様に帯電する接触ローラ帯電方式が用いられているが、チャージワイヤに高電圧を印加する方式であるコロトロン方式やスコロトロン方式等の非接触帯電方式を用いることも可能であり、さらには、帯電ブラシや帯電シートまた針電極等を用いた方式を用いることも可能である。非接触帯電方式では、感光体ドラムの表面からの異物の転移がない利点がある反面、放電の際に発生する放電生成物であるオゾンやNOxなどの量が接触帯電方式に比べて多くなるという不利がある。このため、感光体ドラム1の表面との間にわずかな隙間を設けて帯電ローラを接近させた帯電方式を用いることもある。
【0038】
現像装置82には非磁性一成分系トナーが現像剤として用いられ、現像槽内で攪拌による摩擦帯電によって帯電量を負荷されたトナーがドクターブレードなどの層厚保規定部材82Aによって層厚を規定された上で現像スリーブ82Bの表面に担持される。現像スリーブ82Bに担持されたトナーは感光体ドラム51に形成されている静電潜像に対して静電吸着される。このとき、現像スリーブ82Bには、トナーを感光体ドラム1に向け飛翔させるための現像バイアスが印加されている。
【0039】
感光体ドラム51上に担持されたトナー像は、転写装置670に備えられているベルト体が用いられる中間転写ベルト58に対して1次転写工程により転写される。
【0040】
転写装置670は、中間転写ベルト58を挟んで対向する転写部材である転写ローラ57からの転写バイアスによって中間転写ベルト58にトナー像を転写するようになっている。
【0041】
感光体ドラム51に対する中間転写ベルト58および転写ローラ57の配置位置関係については、本発明の特徴として後で詳しく説明する。
【0042】
クリーニング装置83は、感光体ドラム51に当接するクリーニングブレード83Aと除電装置83Bとで構成されており、感光体ドラム51に残る未転写トナーや放電生成物をクリーニングブレード83Aにより掻き取り、掻き取った後の感光体ドラム51の残留電荷を除電することで感光体ドラム51を新たな画像形成に備えさせるようになっている。
【0043】
中間転写ベルト58は、図示しないが、各作像部において形成された色画像を順次転写された重畳画像が、転写バイアスを印加された2次転写装置を介して給紙装置(図示されず)から給送されてくる記録紙S(図3参照)に対して2次転写ローラ60(図3参照)により一括転写工程に供されるようになっている。
【0044】
図1に示す画像形成装置の作像部では、ネガポジ画像を形成するようになっており、このための工程は次の通りである。
帯電装置80によって感光体ドラム51の表面が一様に負帯電され、画像情報に応じたレーザ光によって静電潜像が感光体ドラム51に形成される。感光体ドラム51に形成された静電潜像は、上述したように現像装置82から供給されるトナーによって可視像処理されてトナー像とされ、中間転写ベルト58に対して1次転写工程により転写される。
【0045】
中間転写ベルト58に対して順次転写された形成された重畳画像は、2次転写ローラ60(図3参照)を介して記録シートに一括転写される。
1次転写後の感光体ドラム51は、上述したようにクリーニング装置83を介して新たな画像形成のために準備が行われる。2次転写ローラ60によって一括転写された記録紙上のトナー像は、例えば、図6に示す定着装置100を通過する過程で熱、・圧力を受けることで記録紙に対し融解・浸透することで定着されて排出される。
【0046】
感光体ドラム51は、その構成が図2に示されている。
図2において感光体ドラム51に用いられる電子写真用感光体は、導電性支持体51A1上に、少なくとも電荷発生剤が含有される電荷発生層51A2が形成され、その上に少なくとも電荷移動剤が含有される電荷移動層51A3が形成される機能分離型電子写真感光体が適用されるものである。この場合、電荷発生層と電荷移動層とにより感光層51Aが形成される。
【0047】
電荷発生層51A2の形成方法としては、各種の方法を使用することができるが、例えばオキシチタニウムフタロシアニン顔料を電荷発生剤として用い、バインダー樹脂とともに適当な溶媒により分散若しくは溶解した塗布液を、所定の下地となる支持体上に塗布し、必要に応じて乾燥させて形成することができる。
【0048】
電荷移動層51A3は、少なくとも後述する本発明の電荷移動剤を有するものであり、この電荷移動層51A3は、例えば、その下地となる電荷発生層51A2上に電荷移動剤を、バインダー樹脂を用いて結着することにより形成することができる。
【0049】
電荷移動層51A3の形成方法としては、各種の方法を使用することができるが、通常の場合、電荷移動剤をバインダー樹脂とともに適当な溶媒により分散若しくは溶解した塗布液を、下地となる電荷発生層51A2上に塗布し、乾燥させる方法を用いることができる。
【0050】
また、電荷発生層51A2と電荷移動層51A3を上下逆に積層させた逆積層型電子写真感光体等についても適用することができる。さらに、電荷発生剤と電荷移動剤とを同一層に含有する単層型電子写真感光体にも適用できる。また、必要に応じて導電性支持体51A1と電荷発生層51A2の間に中間層を設けても良いし、感光層51A上に保護層を設けても良い。
【0051】
本発明で用いることができる導電性支持体51A1としては、アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼、ニッケル、クロム、チタン、金、銀、銅、錫、白金、モリブデン、インジウム等の金属単体やそれらの合金の加工体が挙げられる。形状は、シ−ト状、フイルム状、ベルト状等フレキシブルな形状であればいずれのものでもよく、そして、無端、有端を問わない。また、導電性支持体の直径は、60mm以下、好ましくは30mm以下のものが特に有効である。
【0052】
また導電性支持体51A1の厚みは、振動減少の観点から0.6〜1.5mmであり、0.7〜1.2mmであることがより好ましい。0.6mm以下であると支持体の強度が不足し、さらに真直度や、フレ精度を保つことが困難でフルカラーの画像などでは色ずれ等の不具合がある。逆に1.2mm以上では、材料費が上がりコスト高となってしまう。
【0053】
このなかでも、JIS3000系、JIS5000系、JIS6000系等のアルミニウム合金が用いられ、EI(Extrusion Ironing)法、ED(Extrusion Drawing)法、DI(Drawing Ironing)法、II(Impact Ironing)法等一般的な方法により成形を行なった導電性支持体51A1が好ましく、さらに、その導電性支持体51A1の表面に、ダイヤモンドバイト等による表面切削加工や研磨、陽極酸化処理等の表面処理、またはこれらの加工処理を行なわない無切削管などいずれのものでもよい。
【0054】
また、基体として樹脂を用いる場合、樹脂中に金属粉や導電性カーボン等の導電剤を含有させたり、基体形成用樹脂として導電性樹脂を用いることもできる。
【0055】
さらに、基体にガラスを用いる場合、その表面に酸化錫、酸化インジウム、ヨウ化アルミニウムで被覆し、導電性を持たせてもよい。
【0056】
さらに、導電性支持体51A1上に中間層を形成してもよい。この中間層は接着向上機能、アルミニウム管からの流れ込み電流を防止するバリヤー機能、アルミニウム管表面の欠陥被覆機能等をもつ。この中間層には、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂等の各種樹脂を用いることができる。これらの樹脂層は、単独の樹脂で構成してもよく、2種以上の樹脂を混合して構成してもよい。また、層中に金属化合物、カーボン、シリカ、樹脂粉末等を分散させることもできる。さらに、特性改善のために各種顔料、電子受容性物質や電子供与性物質等を含有させることもできる。
【0057】
これらの中間層は感光層と同様に適当な溶媒、分散、塗工法を用いて形成することができる。中間層の膜厚は、0.1μm〜50μm、好ましくは0.5μm〜20μmが適当である。
【0058】
本発明に用いることができる電荷発生剤としては、オキシチタニウムフタロシアニンが高感度特性を有することから望ましく、なかでも、図3に示すX線回折ピーク図のY型オキシチタニウムフタロシアニンが本発明の電荷移動剤との組み合わせにおいて相性がよい。
【0059】
これらの電荷発生剤は単体で用いてもよいし、適切な光感度波長や増感作用を得るために2種類以上を混合して用いてもよい。電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
【0060】
次に、本発明の感光層に用いられる結着樹脂として、化学構造式5及び化学構造式6で表される繰り返し単位を含むポリカーボネート共重合体樹脂Aと、化学構造式7で表されるポリカーボネート樹脂Bの両方を含む。なお、化学構造式5,6,7の内容は、化学構造式1,2,3の内容に相当している。
【0061】
【化5】

【0062】
および
【0063】
【化6】

【0064】
【化7】

【0065】
前記ポリカーボネート共重合体樹脂A:前記ポリカーボネート樹脂B(重量比)が、60:40から90:10の範囲にあることが適当であり、前記ポリカーボネート共重合体樹脂Aの比率が前記範囲より小さくなると異音が発生するようになり、大きくなると電子写真装置内で発生するオゾン及び窒素酸化物による感光体表面の劣化に伴う画像濃度低下が発生するようになる。
【0066】
一方、本発明で用いられる電子写真用感光体においては、感光層中に、上述したポリカーボネート共重合体樹脂Aにおいては、更にシロキサンを含むポリカーボネートを共重合化することができる。
【0067】
本発明に用いられる電荷移動剤としては、一例として化学構造式8(なお、化学構造式8の内容は化学構造式4の内容に相当している)で表される化合物が含有される。
【0068】
【化8】

【0069】
(化学構造式8中、R〜Rは、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリ−ル基を表す。)なお、電荷移動剤の詳細については後で説明する。
【0070】
前述した感光層中に含まれるポリカーボネート共重合体樹脂Aにおいては、シロキシサンを含むポリカーボネートを共重合化することができ、具体的には、化学構造式9および化学構造式14で表されるシロキサンを含むポリカーボネート樹脂が上げられる。
【0071】
【化9】

【0072】
(化学構造式9中、R10、11は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリ−ル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリ−ルオキシ基のいずれかを表し、aは1〜200の整数であり、Xは、−O−、又は化学構造式10若しくは化学構造式11(化学構造式10中のR13は、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリ−ル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリ−ルオキシ基のいずれかを表し、b、b’は、各々独立に0〜6の整数、dは0〜4の整数である。)で示される基を表し、Xは、−O−、又は化学構造式12若しくは13(化学構造式12中、R14は、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリ−ル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、又は炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリ−ルオキシ基のいずれかを表す。)で示される基を表し、f、f’は、各々独立に0〜6の整数、lは0〜4の整数を表す。」
【0073】
【化10】

【0074】
【化11】

【0075】
【化12】

【0076】
【化13】

【0077】
【化14】

【0078】
(化学構造式14中、R21〜R32は、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基のいずれかを表し、m、n、pは、各々独立に2〜6の整数を表し、qは0〜200の整数を表す。)
なお、感光層が電荷発生層と電荷移動層とからなる場合には、前記樹脂はどちらの層にも適用できる。
【0079】
電荷発生層51A1に用いる場合の結着樹脂の量は、電荷発生剤100重量部に対し、10〜500重量部、好ましくは25〜300重量部が適当である。
【0080】
次に前述した電荷移動剤に関する詳細を説明する。
電荷移動剤としては、化学構造式8で表される化合物が含有されており、この化合物を含有することで本発明の電子写真用感光体に含まれるバインダー樹脂との相性が良くなり、耐環境性に強い電子写真用感光体が提供できるようになった。
【0081】
上記化学構造式8に示す化合物において、特に、以下に挙げる化学構造式15〜18で表される化合物が上述したバインダー樹脂との相性が良く好ましい。
【0082】
【化15】

【0083】
【化16】

【0084】
【化17】

【0085】
【化18】

【0086】
本発明は、電荷移動剤に対する結着樹脂の比率は、1.25〜2.5(重量比)の範囲が好ましい。さらに好ましくは1.5から2.0(重量比)がよい。2.5(重量比)より多いと、残留電位が上昇するなど電気特性が悪化する。他方、1.25(重量比)より少ないと、耐摩耗性等の機械特性が低下する。
さらに、化学構造式9で表される化合物と他の電荷移動剤とを混合して用いることもできる。この場合、化学構造式9の化合物と他の化合物の含有比率は、化学構造式9で表される化合物:他の化合物=50:50〜95:5、好ましくは70:30〜95:5の範囲がよい。
【0087】
他の電荷移動剤としては、ポリビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルインドロキノキサリン、ポリビニルベンゾチオフェン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリビニルピラゾリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリジアセチレン、ポリヘプタジイエン、ポリピリジンジイル、ポリキノリン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェロセニレン、ポリペリナフチレン、ポリフタロシアニン等の導電性高分子化合物を用いることができる。又、低分子化合物として、トリニトロフルオレノン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、キノン、ジフェノキノン、ナフトキノン、アントラキノン及びこれらの誘導体、アントラセン、ピレン、フェナントレン等の多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、イミダゾール等の含窒素複素環化合物、フルオレノン、フルオレン、オキサジアゾール、オキサゾール、ピラゾリン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、トリフェニルアミン、エナミン、スチルベン等を使用することができる。また、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸等の高分子化合物にLiイオン等の金属イオンをドープした高分子固体電解質等も用いることができる。さらに、テトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタンで代表される電子供与性化合物と電子受容性化合物で形成された有機電荷移動錯体等も用いることができ、これらを1種だけ添加して又は2種以上の化合物を混合して添加して、所望の感光体特性を得ることができる。
【0088】
本発明で用いられる電子写真感光体製造のための溶剤としては、結着樹脂及び電荷移動剤の溶解性、製造された溶液の安定性、あるいは環境に対する負荷の面から、テトラヒドロフランが適当である。
【0089】
本発明に用いられる電子写真感光体を製造するための塗布液には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、軟化剤、硬化剤、架橋剤等を添加して、感光体の特性、耐久性、機械特性の向上を図ることができる。特に、酸化防止剤と紫外線吸収剤との併用は感光体の耐久性向上に寄与し有用である。その中でも該感光層にアミン系酸化防止剤が好ましく、例えば、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−エチル−2−メチル−p−フェニレンジアミン、N−エチル−N−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、アルキル化ジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジアリル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン、4,4′−ジオクチル−ジフェニルアミン、4,4′−ジオクチル−ジフェニルアミン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、N−フェニル−β−ナフチルアミン、N,N′−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等を挙げることができる。
【0090】
フェノール系酸化防止剤は、2.6−ジ−tert−ブチルフェノール、2.6−ジ−tert−4−メトキシフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2.4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2.6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、プロピオン酸ステアリル−β−(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)、α−トコフェロール、β−トコフェロール、n−オクタデシル−3−(3’−5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系、2.2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4.4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4.4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1.1.3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1.3.5−トリメチル−2.4.6−トリス(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3(3.5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のポリフェノール系等が好ましく、これらを1種若しくは2種以上を同時に感光層中に含有することができる。
【0091】
紫外線吸収剤は、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3.5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3.5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3.5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3.5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル、サリチル酸−p−tert−ブチルフェニル、サリチル酸−p−オクチルフェニル等のサリチル酸系が好ましく、特にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。以上の酸化防止剤を1種若しくは2種以上を同時に感光層に含有することができる。
【0092】
本発明に用いられる電子写真用感光体に添加されるフェノール系酸化防止剤の添加量は、結着樹脂に対して3〜20重量%、アミン系酸化防止剤の添加量は、結着樹脂に対して3〜20重量%の範囲であることが好ましい。一方、紫外線吸収剤の添加量は、結着樹脂に対して3〜30重量%とすることが好ましい。
【0093】
加えて、感光層の上に、ポリビニルホルマール樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の有機薄膜や、シランカップリング剤の加水分解物で形成されるシロキサン構造体から成る薄膜を成膜して表面保護層を設けてもよく、その場合には、感光体の耐久性が向上するので好ましい。この表面保護層は、耐久性向上以外の他の機能を向上させるために設けてもよい。
保護層の膜厚は、0.1〜20μmが適当である。
【0094】
本発明における特徴の一つとして、次に挙げる電子写真用感光体の材料特性がある。
本発明に用いられる電子写真用感光体は、感光層表面のユニバーサル硬度が150〜175N/mmであり、弾性仕事率30〜40%未満であることが好ましい。
ユニバーサル硬度が175N/mm以上では、該感光体を電子写真方式による画像形成装置に装着、作動した時、感光層表面とクリーニングブレードの接点で異音が発生する。同様に、弾性仕事率が40%以上でも異音が発生する。
【0095】
一方、ユニバーサル硬度が150N/mmより小さく、弾性仕事率が30%よりも小さいと、フィルミングによる濃度異常が発生する。
【0096】
本発明に用いられる電子写真用感光体において、ユニバーサル硬度及び弾性仕事率の測定は、アルミニュームパイプ上に乾燥後の膜厚が24μmの該感光層の表面について行った。
【0097】
感光体のユニバーサル硬度及び弾性仕事率は、フィッシャーインストルメンツH―100(フィッシャーインストルメンツ社製)、ビッカース圧子を用い、設定加重9.8mN、押し込み深さ1μm、測定環境として温度22℃、相対湿度55%の条件下で測定した。ユニバーサル硬度については圧子の最大荷重での変位を硬さの値として表し、弾性仕事率は負荷―除荷試験のグラフより計算して求めた。
【0098】
クリーニング装置83における、ブレードクリーニングのブレード(以下、クリーニングブレードという)83A(図1参照)は、支持体に板状のポリウレタン等の素材からなる弾性部材を取り付けたもので、電子写真用感光体の表面に加圧当接させる構成となっている。
クリーニングブレード83Aは硬度65〜75°(JISA硬度)、反発弾性30〜50%の範囲で適宜選択できる。トナーのクリーニング精度を上げるためには、ブレード先端を電子写真用感光体へ押し込みブレードの当接圧を上げると効果的であるが、前述のとおりクリーニングブレードの当接圧が大きすぎるとブレード先端の挙動が大きくなり、ブレードのビビリ音また振動数が感光体の固有振動数と共振すると不快な異音となる。
【0099】
感光体ドラムが該当する電子写真用感光体へのブレードの当接形態としては、電子写真用感光体の回転方向に対し順方向のものと、カウンター方向のものとがある。
クリーニングの精度から見ると、後者のカウンター方向の当接形態がより好ましい。クリーニング精度を向上させるカウンター方向の当接法は、感光体の回転時に感光体へのブレードの当接ピーク圧を上げ、両者の摩擦力の上昇を引き起こす。その結果、感光体の削れ量の増加による耐久性低下、電子写真用感光体の傷の発生、ブレードと感光体との接触部のめくれによるクリーニング不良の発生や感光体下流方向へのブレード巻き込みによる装置の停止や破損等の問題に至る恐れが生じる。
【0100】
次に本発明の今ひとつの特徴である転写装置の構成について説明する。
本発明での今ひとつの特徴は、上述した電子写真用感光体の材料特性に加えて、転写部材である転写ローラの配置構成にある。これは、電子写真用感光体として用いられる感光体ドラム51表面で傷が発生するのを抑えることを目的としている。以下に詳細を説明する。
【0101】
図3は、転写装置の構成を示す模式図であり、同図に示されている転写装置は、図1に示した黒色を対象とする作像部を含めて4色の画像を対象とした作像部が転写体である中間転写ベルト58の展張方向に沿って並置されている構成を対象としている。
【0102】
図3において、画像形成装置1には、直列に配列された4つの感光体ドラム(潜像担持体)51〜54を有する作像ユニットが配設されている。
ベルト駆動ローラ55及び張架ローラ56、2次転写対向ローラ57により中間転写ベルト58を張架する。
【0103】
さらに、中間転写ベルト58上に残留したトナーを回収するクリーナユニット59、2次転写ローラ60、転写材である記録紙S、張架ローラ62、中間転写ベルトに感光体上のトナー像を転写するためにトナーと逆極性のバイアスを印加することのできる転写部材に相当する1次転写ローラ67、68、69、70が設けられている。
【0104】
転写部材として用いられる1次転写ローラ67〜70は、感光体ドラム51〜54と対向する位置以外にオフセットされて中間転写ベルト58を感光体ドラム51〜54に対して部分的に捲装できる位置に配置されている。この場合のオフセットとは、図4において感光体ドラム51〜54の軸心から垂直方向に延長された線上に1次転写ローラ67〜70が位置していないことを意味している(以下の説明では、オフセットされた配置をオフセット配置と称する場合もあることを前置きしておく)。
【0105】
このような構成を用いることにより、1次転写ローラ67〜70を感光体ドラム51〜54の回転方向下流側へオフセットさせていることで感光体側に食い込ませることになる。
1次転写ローラ67〜70が感光体ドラム51〜54に接近する際には、1次転写ローラ67〜70が感光体ドラム51〜54の軸心から垂直方向に延長された線上に位置している場合と違って、直接感光体ドラム51〜54に衝突するのでなく、中間転写ベルト58が感光体ドラム51〜54に部分的に捲装された状態で当接する。
このため、1次転写ローラ67〜70が中間転写ベルト58を介して直接感光体51〜54に負荷を与えることなく中間転写ベルト58が感光体51〜54に転写ニップを形成できる。
【0106】
これにより、1次転写ローラ67〜70と感光体ドラム51〜54とが当接した場合には、中間転写ベルト58が感光体ドラムに対して部分的に捲装された状態に張架されることで1次転写ローラが直接当接する場合よりも衝撃力(転写圧力)を軽減することが可能となり、感光体表面に摺擦キズなどの発生を防止することができる。つまり、中間転写ベルト58が1次転写ローラ67〜70に押圧されて展張部分の一部が感光体ドラム51〜54の周面の一部に到達する際の緩衝力により感光体ドラム51〜54表面への衝撃力が緩和されることになる。ただし、当接した後の接触圧は感光体ドラム51〜54の周面から中間転写ベルト58が遊離することがない圧力であることはもちろんである。
【0107】
また1次転写ローラ67〜70の表面と感光体ドラム51〜54の表面との間のギャップは、中間転写ベルト58の厚みよりも大きくされている。
つまり、感光体ドラム51〜54の軸心から垂直方向に延長された線上に1次転写ローラ67〜70を配置した場合の1次転写ローラ67〜70の表面と感光体ドラム51〜54の表面との間のギャップよりも1次転写ローラ67〜70が感光体ドラム51〜54の回転方向下流側にオフセットした分だけ、そのギャップが大きくされている。このようなギャップの設定によって、中間転写ベルト58は、その展張方向の一部が感光体ドラム51〜54の周面に対して部分的に捲装された状態となっている。
【0108】
これにより、中間転写ベルト58と感光体ドラム51〜54との間の転写ニップを安定化することができるだけでなく、中間転写ベルト58への圧力も軽減できるので、駆動停止時放置した場合でも中間転写ベルト58のローラ当接による圧痕(くせつき)を軽減できるメリットがある。
【0109】
一方、1次転写ローラ57〜60は、接離機構63、64、65、66によって中間転写ベルト58を感光体ドラム51〜54に対して接離させるようになっている。接離機構63、64、65、66は、印字モードに応じて中間転写ベルト58に対して1次転写ローラ67〜70を接離させるために設けられている。
接離機構63、64、65、66は、最端部の像担持体のみを利用した単色印字モード時、この像担持体に対応する転写手段すなわち、黒用1次転写ローラ(図4では、符号67で示すローラが該当している)は、像担持体である感光体ドラム51上のトナー像を転写すべく所定の位置に接触し、それ以外の転写手段については、上記接離機構により感光体ドラムである像担持体との接触が解除され、中間転写ベルト58と像担持体を非接触とする図示しない制御手段によって制御される。中間転写ベルトの像担持体への押しつけ圧力は1次転写ローラの移動量により制御される。
【0110】
本実施の形態では、感光体51〜54の直径がφ24、感光体間ピッチが53.4mm、駆動ローラ55及び転写ローラ67〜70が軸芯金径φ16でかつゴム層を厚み0.5mmにそれぞれ設定され、外径がφ17とされている。
中間転写ベルト38にはポリカを使用したが、他にポリイミド、ポリアミドイミド、PVDF等を使用できる。
【0111】
中間転写ベルトのユニバーサル硬度は、回転時の摺擦により、感光体表面に微細なキズをつけてしまうため、感光体表面の硬度よりも低いことが望ましく10〜120N/mmであることが好ましい。
【0112】
中間転写ベルト58のユニバーサル硬度及び弾性仕事率は、フィッシャーインストルメンツH―100(フィッシャーインストルメンツ社製)、ビッカース圧子を用い、設定加重9.8mN、押し込み深さ10μm、測定環境として温度22℃、相対湿度55%の条件下で測定した。
ユニバーサル硬度については圧子の最大荷重での変位を硬さの値として表し、弾性仕事率は負荷―除荷試験のグラフより計算して求めた。
【0113】
転写ローラをオフセット配置することで、1次転写ローラ67〜70の硬度は転写不良に関与せずに設定できる。なお前述のとおりオフセット量と食い込み量は、感光体ドラム51〜54と1次転写ローラ67〜70との間隙が中間転写ベルト58の厚みより大きくなるように任意に設定することができる。
【0114】
転写手段、すなわち、1次転写ローラ67〜70をオフセット配置させているので、転写手段として高硬度材料を使用することが可能となり、材料自由度が増し、低コスト部材を使用しつつ転写性を向上させることができる。
【0115】
したがって、1次転写ローラとして、アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼、ニッケル、クロム、チタン、金、銀、銅、錫、白金、モリブデン、インジウム等金属単体のコストの低い材料を選定できる。しかし、特にこれら金属材料に限定されず、EPDMやNBR等ゴムローラも使用できる。
接離機構63、64、65、66の移動手段については、特に限定されるものではないが、ばねなどの加圧手段にて加圧することで転写圧が安定化し、転写ニップが安定化するメリットがある。
【0116】
また、非画像形成時には、正規回転方向と逆回転方向に少なくとも1回以上の動作を付加すると中間転写のクリーニングブレードエッジに溜まるトナーを一度解除できるため、中間転写クリーニングブレードをすり抜けるトナーを減少することができる。転写残トナーが中間転写ベルトのクリーニングブレードをすり抜けると、感光体との押し圧あるいは転写バイアスにより、トナーが局所的に付着固化し、感光体との摺擦部にて、感光体表面に微細なキズをつけてしまう。
【0117】
以上の構成において、中間転写ベルトのクリーニング性が向上するため、中間転写クリーニングブレード設定の余裕度が確保できるため、クリーニング精度が比較的緩和されるため、対向ロール径の小型化、低コスト設計、中間転写ベルトに負荷の小さいクリーニング設計が可能となり、中間転写ベルトの表面が安定化し、感光体に微細なキズがつくことを抑制する事ができる。
逆回転時の移動量は特に規定しないが、少なくとも堰き止めたトナー層がいったん解除される量だけは移動することが好ましく1mm以上は移動することが好ましい。
【0118】
本実施例で説明した転写装置を利用し、以下に説明する感光体と常温環境下(23℃/50%Rh)にて5000枚の耐刷試験をおこない感光体の表面キズと画像品質の確認を行った。
【0119】
評価機はRICOH製CX3000を改造したもので上記転写装置を配置し、感光体、トナーは標準品と交換し実験をおこなった。その結果は後に挙げる表1に示すとおりである。
【0120】
実験に際しての帯電条件は帯電ロールを用いた接触帯電方式により感光体表面電位を−500Vに均一に帯電できるように電圧を印加し、現像条件は接触ロールを用いた非磁性1成分現像方式の画像形成装置を使用している。システム速度は120mm/secにて試験を行った。異音確認時には、半速モード(60mm/sec)での確認も行っている。この実験に用いる条件は以下の通りである。
「画像濃度」
○;良好、×;濃度不良。
「フィルミング」
5000枚ランニング後のクリーニング性について、以下の基準により評価した。
◎:良好 、○:フィルミングはあるが画質影響無し、 △:軽微な画像不良 ×:極めて不良。
「異音」
5000枚ランニング後の異音発生について、以下の基準により評価した。
◎:良好 、○:軽微な異音 △:不快な音 ×:極めて大きな異音。
(実施例1)
「トナーの作成」
ポリエステル樹脂A(軟化点131℃、AV値 25)・・・68部
ポリエステル樹脂B(軟化点116℃、AV値 1.9)・・・32部
シアンのマスターバッチ(Pigment Blue 15:3を50部含有)・・・8部
カルナウバワックス・・・8部
上記トナー材料をヘンシェルミキサーで十分混合した後、二軸押出し混練機(PCM−30:池貝鉄工社製)の排出部を取り外したものを使用して、溶融混練し、得られた混合物を冷却プレスローラで厚さ2mmに圧延し、冷却ベルトで冷却した後、フェザーミルで粗粉砕した。その後、機械式粉砕機(KTM:川崎重工業社製)で平均粒径10〜12μmまで粉砕し、さらに、ジェット粉砕機(IDS:日本ニューマチック工業社製)で粗粉分級しながら粉砕した後、微粉分級をロータ型分級機(ティープレックス型分級機タイプ100ATP:ホソカワミクロン社製)を使用して分級を行い、体積平均粒径7.9μm、平均円形度0.910のトナー母体Aを得た。 このトナー母体A100部に対して、シリカ(RX200)1部を添加し、ヘンシェルミキサーで周速40m/sec、5分間混合処理して、トナーを作成した。
「感光体の作製」
直径24mm、厚み1.0mmの無切削アルミニウムからなる円筒ドラム上に、アルキド樹脂(ベッコライトM−6401−50大日本インキ化学工業社製)とアミノ樹脂(スーパーベッカミンG−821−60大日本インキ化学工業社製)を65:35の割合で混合し、さらに前記混合樹脂と酸化チタン(CR−EL石原産業社製)を1:3の割合とし、メチルエチルケトンに溶解して塗布液として、1.5μmの膜厚で形成した。次に、図4のX線回折角Cukα(2θ±0.2度)27.3度に最大ピークを有するY型−オキシチタニウムフタロシアニン粉末10gをガラスビ−ズと1,3ジオキソラン500mlにポリビニルブチラール樹脂(BX-1積水化学工業社製)10gを溶解した液を加え、サンドミル分散機で20時間分散し、得られた分散液をろ過してガラスビ−ズを取り去り、電荷発生層用塗布液を作成した。これを前記下引層上に浸漬塗工し乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。次に結着樹脂としては、化学構造式1および2を基に、90:10のモル比で、粘度平均分子量(Mv:40,000)のポリカーボネート共重合体樹脂と、化学構造式3で表される粘度平均分子量(Mv:50,000)のポリカーボネート樹脂とより成り、重量比90:10である。
【0121】
電荷移動剤としては、化学構造式8で表される化合物とする。
結着樹脂と電荷移動剤の重量比は100:60である。
前記結着樹脂と電荷移動剤をテトラヒドロフランに溶解し、電荷移動層用塗工液を調製した。電荷発生層を形成した基体を該電荷移動層用塗工液に浸漬塗工し、130℃で60分乾燥し膜厚24.0μmの電荷移動層を形成し、電子写真用感光体を作製した。
【0122】
中間転写ベルト58はポリカーボネート製で、厚み0.2mm、ユニバーサル硬度30.5N/mm、転写ローラは軸芯金径φ16でかつゴム層を厚み0.5mmで設定し、外径をφ17とした。オフセット量は7mmにて上記感光体に当接させた。
(実施例2)
実施例1で用いたポリカーボネート共重合体樹脂と、ポリカーボネート樹脂式との重量比を60:40とした以外は、他は実施例1と同様にして実験をおこなった。
(実施例3)
実施例1で用いたポリカーボネート共重合体の化学構造式1および2、モル比を80:20に代えた以外は、他は実施例1と同様にして実験をおこなった。
(実施例4)
実施例1で用いた電荷移動剤に代えて、化学構造式20で表される電荷移動剤に代えた以外は、他は実施例1と同様にして実験をおこなった。
(実施例5)
実施例1で用いた電荷移動剤に代えて、化学構造式21で表される電荷移動剤に代えた以外は、他は実施例1と同様にして実験をおこなった。
(実施例6)
実施例1で用いた電荷移動剤に代えて、化学構造式22で表される電荷移動剤に代えた以外は、他は実施例1と同様にして実験をおこなった。
(実施例7)
実施例1において、結着樹脂及び電荷移動材に加え、酸化防止剤として2.6−ジ−tert−ブチルフェノールとN−フェニル−1−ナフチルアミンとを電荷移動剤に対しそれぞれ5%重量、紫外線吸収剤2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールも電荷移動剤に対して5%重量加えた以外は、実施例1と同様にして電子写真用感光体を作成した。
(実施例8)
実施例1において、該転写ローラをSUS製のローラとした以外は、実施例1と同様にして実験をおこなった。
(実施例9)
実施例1において、耐刷試験時100枚ごとに移動量3mmの中間転写ベルト逆回転モードを入れた以外は、実施例1と同様にして実験をおこなった。
(比較例1)
実施例1で用いられたポリカーボネート共重合体樹脂の化学構造式1に代えて、化学構造式19を用いた他は実施例1と同様にして実験をおこなった。
【0123】
【化19】

【0124】
(比較例2)
実施例7で用いたポリカーボネート共重合体樹脂と、ポリカーボネート樹脂との重量比を50:50とした以外は、他は実施例7と同様にして実験をおこなった。
(比較例3)
実施例7で用いたポリカーボネート共重合体樹脂と、ポリカーボネート樹脂との重量比を100:0とした以外は、他は実施例7と同様にして電子写真用感光体を作成した。
(比較例4)
実施例7で用いられた電荷移動剤(化学構造式8)に代えて電荷移動剤(化学構造式20)を用いた他は実施例7と同様にして電子写真用感光体を作成した。
【0125】
【化20】

【0126】
(比較例5)
実施例7で用いられた電荷発生剤のY型オキシチタニールフタロシアニンに代えて、図5のX線回折角Cukα(2θ±0.2度)で表されるα型オキシチタニールフタロシアニンを用いた他は実施例7と同様にして電子写真用感光体を作成した。
(比較例6)
実施例1において中間転写ロールのオフセット量を15mmとした以外は、実施例1と同様にして実験をおこなった。
(比較例7)
実施例1において中間転写ロールのオフセット量を0mmとした以外は、実施例1と同様にして実験をおこなった。
(比較例8)
実施例1において中間転写ロールのオフセット量を5mmとした以外は、実施例1と同様にして実験をおこなった。
(比較例9)
実施例1において中間転写ロールのオフセット量を3mmとした以外は、実施例1と同様にして実験をおこなった。
(比較例10)
実施例1において中間転写ロールのオフセット量を10mmとした以外は、実施例1と同様にして実験をおこなった。
(比較例11)
実施例7で用いたポリカーボネート共重合体樹脂と、ポリカーボネート樹脂との重量比を95:5とした以外は、他は実施例7と同様にして電子写真用感光体を作成した。
【0127】
以上のような条件による実験結果は以下の表1に示すとおりである。
【0128】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明による実施形態を説明するための画像形成装置を示す模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に用いられる感光体の構成を説明するための模式図である。
【図3】図1に示した画像形成装置に用いられる転写部の構成を説明するための模式図である。
【図4】感光体に用いられる化合物の一成分を対象としたX線回折角Cukα(2θ±0.2度)を示す線図である。
【図5】感光体に用いられる化合物の他の成分を対象としたX線回折角Cukα(2θ±0.2度)を示す線図である。
【図6】画像形成装置の一形式であるタンデム型の画像形成装置の構成を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0130】
1 画像形成装置
51〜54 感光体ドラム
51A 感光層
67〜70 1次転写ローラ
80 帯電装置
81 書込装置
82 現像装置
83 クリーニング装置
83A クリーニングブレード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一様帯電された潜像担持体を対象として形成された静電潜像を、非磁性一成分でワックスを内添されたトナーを用いて可視像処理する現像装置と、現像されたトナー像を転写体に転写する転写装置と、転写装置通過後に潜像担持体上の未転写トナーを除去するクリーニング装置とを備え、前記転写装置には前記潜像担持体に当接しながら移動可能なベルト体および該ベルト体に対してトナー像を転写するバイアス印加が可能な転写部材とが備えられ、前記クリーニング装置には前記潜像担持体表面に当接する弾性体からなるブレードが用いられている画像形成装置において、
前記転写部材は、前記ベルト体の移動方向において前記潜像担持体と対向する位置以外にオフセットされ、該ベルト体を前記潜像担持体に部分的に捲装できる位置に配置され、
前記潜像担持体は、表面のユニバーサル硬度が150〜175N/m2かつ弾性仕事率が30〜40%に設定されていることを特徴とする画像形成装置、
【請求項2】
前記転写部材は、転写ローラが用いられ、これの軸中心が前記ベルト体の移動方向にオフセットする距離として、5〜10mmに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記潜像担持体には電子写真用感光体が用いられ、該電子写真用感光体は、感光層中に結着樹脂として少なくとも
【化1】

および
【化2】


で表される繰り返し単位を含むポリカーボネート共重合体樹脂Aと、
【化3】

で表されるポリカーボネート樹脂Bとを含み、ポリカーボネート共重合体樹脂Aとポリカーボネート樹脂Bとの重量比が、60:40〜90:10の範囲に設定されて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電子写真用感光体は、前記感光層中の電荷発生剤がY型オキシチタニウムフタロシアニンであることを特徴とする請求項1または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電子写真用感光体は、該感光層中の電荷移動剤が
【化4】

(式中、R1〜Rは、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基、炭素数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基を表す。)
で表されるジスチリル系電荷移動剤であることを特徴とする請求項1,3または4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記電子写真用感光体は、前記感光層に含まれる添加剤としてフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むことを特徴とする請求項1または3乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記電子写真用感光体は、前記感光層の成分を溶解し、感光層を形成するための溶剤としてテトラヒドロフランが用いられていることを特徴とする請求項1,3乃至6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ベルト体のユニバーサル硬度が10〜120N/mmに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記転写部材に用いられる転写ローラが金属製であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記転写ローラは、前記ベルト体に対して接離可能に設けられ、前記ベルト体に当接した際に、前記ベルト体を前記潜像担持体周面の一部に捲装する状態を設定することを特徴とする請求項1,2,9および10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記転写ロールは、複数の色画像の作像部においてそれぞれ前記ベルト体に接離可能に設けられ、単色での画像形成時には、該当する色の転写位置の転写ローラを除いて前記ベルト体から離間する構成であることを特徴とする請求項1、2、9および10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記潜像担持体と前記転写ローラの軸中心を結ぶ線上での転写ロール表面と像担持体表面の間隔が転写ベルト厚みよりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1,2,9乃至11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記ベルト体に用いられる移動駆動部材は、非画像形成時に画像形成時とは逆方向に移動可能であることを特徴とする請求項1または11に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−128187(P2010−128187A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302748(P2008−302748)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】