説明

画像形成装置

【課題】 複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において、排紙ローラに付着する水滴が転写材に付着することを防止することにより、1面目を定着した転写材が排紙ローラを通過する際に水滴が付着し、2面目に水滴跡の画像不良を発生させることを防止する。
【解決手段】 吸水性部材を排紙ローラなどの搬送手段に接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。更に詳しくは、電子写真、静電記録、磁気記録等の画像形成プロセス手段により、転写材(紙、印刷紙、転写材シート、OHTシート、光沢紙、光沢フィルム等)に画像情報に対応した未定着トナー画像を形成担持させ、該未定着トナー画像を、該画像を担持している転写材P面上に永久固着画像として加熱定着処理した後排出する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に使用される定着装置として、転写材に形成された未定着画像を加熱溶融し、転写材上に定着させる加熱定着方式が一般的に使用されている。
【0003】
ところでこのような定着方式においては、転写材が加熱部材により加熱されることにより、転写材に吸収されていた水分が蒸発し、加熱部材近傍にあって、加熱部材より低温度の部材に蒸発した水分が水滴となって結露する、いわゆる結露が生じる場合がある。
【0004】
この結露が、転写材の搬送経路上の部材に生じると転写材には水滴が付着することとなる。特に排紙ローラなどの搬送手段に水滴が付着すると、転写材への水滴の付着は不可避となる。このような転写材への水滴付着は、ジャムや紙しわの発生を誘発し、定着画像を汚染する。
【0005】
さらに、両面反転機構を備え、一面目(表面)を転写、定着後再び二面目(裏面)を転写、定着して転写材の両面に定着画像を得る方式の画像形成装置においては、両面印刷時に、一面目を印刷後、裏面に水滴が付着すると、裏面印刷時に搬送によって搬送方向に引き伸ばされた領域において転写不良が発生し、裏面には「白抜け」した「水滴跡」と呼ばれる画像不良が発生する恐れがある。
【0006】
こうした問題を解決するため、転写材の搬送路において結露して発生する水滴を、水分吸収部材を用いて吸収する発明として、特許文献1〜特許文献3がある。特許文献1では水分吸収部材は搬送路の天板に、特許文献2では定着−排紙ローラ間のガイド部材に、特許文献3では両面反転部を有する構成において、両面反転部入り口に、それぞれ水分吸収部材が設けて、発生する水滴を捕集する発明である。
【特許文献1】特開平6−35360号公報
【特許文献2】特開平9−204112号公報
【特許文献3】特開2000−231227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記で提案されているような水分吸収部材を配置する方法では、定着装置近傍が低温条件であるとき、または吸湿した転写材が使用された場合に、排紙ローラなどの搬送手段について、結露を防止することができない。
【0008】
また、転写材に水分吸収部材が接触する構成では、水分吸収部材が転写材に接触することによって、吸水性部材が転写材の定着画像面を擦って傷をつける、または定着画像面を汚染させる恐れがあり、印刷を終了した完成画像を劣化させる弊害があった。
【0009】
さらに、排紙ローラとして全幅のローラを使用する場合、発生した水蒸気が定着装置内に篭もしやすい構成をなるため、排紙ローラはより結露が生じやすい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明の画像形成装置は、
転写材上の未定着トナー像を加熱定着させる定着装置と、前記定着装置より転写材を搬出する搬送手段とを有する画像形成装置において、前記搬送手段に接触して配置された吸水性部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、定着装置を通過した転写材から蒸発した水分が搬送手段に結露する場合において、搬送手段に吸水性部材を直接接触させるため、搬送手段に付着する水滴を極めて効果的に除去することができる。そのため、転写材への付着は発生せず、水滴跡の白スジという画像不良の発生を効果的に防止することができ、また、画像を汚損させない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
【実施例1】
【0013】
[画像形成装置の全体構成]
まず、画像形成装置の全体構成について、図8を参照して概要説明する。なお、図8は画像形成装置の一態様であるフルカラーレーザービームプリンタ全体構成を示す縦断面図である。
【0014】
同図に示す画像形成装置は、垂直方向に並設された4個の感光体ドラム1a,1b,1c,1dを備えている。感光体ドラム1(1a,1b,1c,1d)は、駆動手段(不図示)によって、同図中、反時計回りに回転駆動される。感光体ドラム1の周囲には、その回転方向に従って順に、感光体ドラム1の表面を均一に帯電する帯電装置2(2a、2b、2c、2d)、画像情報に基づいてレーザービームを照射し感光体ドラム1上の静電潜像を形成するスキャナユニット3(3a、3b、3c、3d)、静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する現像装置4(4a、4b、4c、4d)、感光体ドラム1上のトナー像を転写材Pに転写させる静電転写ユニット5、転写後の感光体ドラム1表面に残った転写残トナーを除去するクリーニング装置6(6a、6b、6c、6d)等が配設されている。
【0015】
ここで、感光体ドラム1と帯電装置2、現像装置4、クリーニング装置6は一体的にカートリッジ化されプロセスカートリッジ7を形成している。以下、感光体ドラム1から順に詳述する。
【0016】
感光体ドラム1は、例えば直径30mmのアルミシリンダの外周面に有機光導伝体層(OPC感光体)を塗布して構成したものである。感光体ドラム1は、その両端部を支持部材によって回転自在に支持されており、一方の端部に駆動モータ(不図示)からの駆動力が伝達されることにより、反時計周りに回転駆動される。
【0017】
帯電装置2としては、接触帯電方式のものを使用することができる。帯電部材は、ローラ状に形成された導電性ローラであり、このローラを感光体ドラム1の表面に当接させるとともに、このローラに帯電バイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム1表面を一様に帯電させるものである。
【0018】
スキャナユニット3は、対応する感光体ドラム1と上下方向において略同レベルに配置され、レーザーダイオード(不図示)によって画像信号に対応する画像光が、スキャナモーター(不図示)によって高速回転されるポリゴンミラー9(9a、9b、9c、9d)に照射される。ポリゴンミラー9に反射した画像光は、結像レンズ10(10a、10b、10c、10d)を介して帯電済みの感光体ドラム1表面を選択的に露光して静電潜像を形成するように構成している。
【0019】
現像装置4a,4b,4c,4dはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーを夫々収納した現像器から構成される。
【0020】
すべての感光体ドラム1a,1b,1c,1dに対向し、接するように回転移動する静電転写ベルト11が配設される。静電転写ベルト11は1011〜1014Ω・cmの体積固有抵抗を持たせた厚さ約150μmのフィルム状部材で構成される。この静電転写ベルト11は、垂直方向に4軸でローラに支持され、図8中左側の外周面に転写材Pを静電吸着して上記感光体ドラム1に転写材Pを接触させるべく回転移動する。これにより、転写材Pは静電転写ベルト11により転写位置まで搬送され、感光体ドラム1上のトナー像を転写される。
【0021】
この静電転写ベルト11の内側に当接し、4個の感光体ドラム1a,1b,1c,1dに対向した位置に転写ローラ12(12a,12b,12c,12d)が並設される。これら転写ローラ12から正極性の電荷が静電転写ベルト11を介して転写材Pに印加され、この電荷による電界により、感光体ドラム1に接触中の用紙に、感光体ドラム1上の負極性のトナー像が転写される。
【0022】
静電転写ベルト11は周長約700mm、厚み150μmのベルトであり、駆動ローラ13、従動ローラ14a、14b、テンションローラ15の4本のローラにより掛け渡され、図8の矢印Aの方向に回転する。これにより、上述した静電転写ベルト11が循環移動して転写材Pが従動ローラ14a側から駆動ローラ13側へ搬送される間にトナー像を転写される。
【0023】
給紙部16は、画像形成部に転写材Pを給紙搬送するものであり、複数枚の転写材Pが給紙カセット17に収納されている。画像形成時には給紙ローラ18(半月ローラ)が給紙カセット17上最上部のシートSを給紙し、シートS先端はレジストローラ対19に突き当たり一旦停止し、ループを形成した後静電転写ベルト11の回転と画像書出し位置の同期をとって、レジストローラ対19によって静電転写ベルト11へと給紙されていく。
【0024】
定着部20は、転写材Pに転写された複数色のトナー画像を定着させるものであり、回転する加熱部材21aと、これに圧接して転写材Pに熱及び圧力を与える加圧ローラ21bとからなる。その下流には排紙ローラ23があり、転写材Pを装置本体外に排出する。
【0025】
また、定着ローラ対21と排紙ローラ23との間には排紙センサ(不図示)を配置しており、転写材Pが確実に本体外に排出できたか、定着ローラ対21に巻きついていないかをモニターしている。
【0026】
すなわち、感光体ドラム1上のトナー像を転写した転写材Pは定着部20を通過する際に定着ローラ対21で搬送されるとともに、定着ローラ対21によって熱及び圧力を与えられる。これによって複数色のトナー像が転写材P表面に定着される。
【0027】
両面パスは、静電転写ベルトユニット5の裏面部に形成されている。両面パスでは搬送ローラ28、搬送ローラ29によって、図中下方向に転写材Pを搬送していく。最下点にはシートの搬送方向を変えるべくUターンパス30が設けられ、Uターンパス30に導かれた転写材Pはレジストローラ対19に再給紙されていく。
【0028】
画像形成の動作としては、プロセスカートリッジ7a、7b、7c、7dが、印字タイミングに合わせて順次駆動され、その駆動に応じて感光体ドラム1a、1b、1c、1dが、反時計回り方向に回転駆動される。そして、各々のプロセスカートリッジ7に対応するスキャナユニット3が順次駆動される。この駆動により、帯電ローラ2は感光体ドラム1の周面に一様な電荷を付与し、スキャナユニット3は、その感光体ドラム1周面に画像信号に応じて露光を行って感光体ドラム1周面上に静電潜像を形成する。現像装置4内の現像ローラは、静電潜像の低電位部にトナーを転移させて感光体ドラム1周面上にトナー像を形成(現像)する。
【0029】
最上流にある感光体ドラム1周面上のトナー像の先端が、静電転写ベルト11との対向点に回転搬送されてくるタイミングで、その対向点に転写材Pの印字開始位置が一致するように、レジローラ対19が回転を開始して転写材Pを静電転写ベルト11へ給送する。
【0030】
転写材Pは静電吸着ローラ22と静電転写ベルト11とによって挟み込むようにして静電転写ベルト11の外周に圧接し、かつ静電転写ベルト11と静電吸着ローラ22との間に電圧を印加することにより、誘電体である転写材Pと静電転写ベルト11の誘電体層に電荷を誘起し、転写材Pを静電転写ベルト11の外周に静電吸着するように構成している。これにより、転写材Pは静電転写ベルト11に安定して吸着され、最下流の転写部まで搬送される。
【0031】
このように搬送されながら転写材Pは、各感光体ドラム1と転写ローラ12との間に形成される電界によって、各感光体ドラム1のトナー像を順次転写される。
【0032】
4色のトナー像を転写された転写材Pは、ベルト駆動ローラ13の曲率により静電転写ベルト11から曲率分離され、定着部20に搬入される。転写材Pは、定着部20で上記トナー像を熱定着された後、排紙ローラ23によって、排紙部24から画像面を下にした状態で本体外に排出される。
【0033】
両面印字の動作について説明する。プリンタ本体は、両面印字の信号を受け取ると、転写材Pが定着ローラ対21を抜けたことを排紙センサにて検知する。その検出信号により、搬送ローラ25は逆回転を行い、両面パスに転写材Pを導いていく。両面パスに入った転写材Pは矢印Bで示す方向へ、搬送ローラ28、搬送ローラ29により、Uターンパス30を通り、レジストローラ対19まで搬送されていく。その後、表面印字と同様の画像形成プロセスで印字が完了し、転写材Pは排紙部31より装置本体外に排出される。
【0034】
[定着装置の構成]
図9に定着装置の詳細図を示す。なお、図9に記載しているヒータ、ヒータホルダ、定着ベルトからなるフィルム定着方式は、本発明で定義している加熱部材の一例として例示したものに過ぎず、加熱部材は、従来から使用されてきたハロゲンヒータを用いた熱ローラであっても、電磁誘導加熱を用いた熱ローラであっても、また加熱部がベルトなどの熱運搬体を介して転写材Pに熱を加える方式であってもよく、要は未定着画像を定着することを目的とする発熱元を有している場合の全てに対し適用される。
【0035】
ヒータ50、ヒータホルダ51、サーミスタ52、定着ベルト54、加圧ローラ21b、入り口ガイド56、排紙ローラ23により構成される、フィルム定着方式を採用している。
【0036】
第一の定着部材としての定着ベルト54は、ベルト状部材に弾性層を設けてなる円筒状(エンドレスベルト状)の部材である。この定着ベルト54は、SUSの素管を引き抜き加工により、厚さ50μmの厚みのシームレスベルト状に形成した、SUSベルト上に、シリコーンゴム層を、リングコート法により形成した上に、厚み30μmのPFA樹脂チューブを被覆してなる。シリコーンゴム層には、極力熱伝導率の高い材質を用い、定着ベルト54の熱容量を小さくすることが、温度立上げの観点からは望ましい。本実施例においては、熱伝導率が約1.0×10−3cal/sec・cm・Kと、シリコーンゴムとしては、熱伝導率が高い部類に属する材質を用いた。
【0037】
定着ベルト54表面にフッ素樹脂層を設けることで、表面の離型性を向上し、定着ベルト54表面にトナーが一旦付着し、再度転写材Pに移動することで発生するオフセット現象を防止することができる。
【0038】
また、定着ベルト54表面のフッ素樹脂層を、PFAチューブとすることで、より簡便に、均一なフッ素樹脂層を形成することが可能となる。
【0039】
21bは第二の定着部材としての加圧ローラである。51は横断面略半円弧状樋型の耐熱性・剛性を有するヒーターホルダ、50は熱源としての定着ヒータであり、ヒータホルダ51の下面に該ホルダの長手に沿って配設してある。定着ベルト54はこのヒータホルダ51にルーズに外嵌させてある。定着ヒータ50はセラミックヒータである。
【0040】
ヒータホルダ51は、耐熱性の高い液晶ポリマー樹脂で形成し、定着ヒータ50を保持し、定着ベルト54をガイドする役割を果たす。
【0041】
加圧ローラ21bは、ステンレス製の芯金に、射出成形により、厚み約3mmのシリコーンゴム層を形成し、その上に厚み約40μmのPFA樹脂チューブを被覆してなる。この加圧ローラ21bは芯金の両端部を装置フレーム58の不図示の奥側と手前側の側板間に回転自由に軸受保持させて配設してある。この加圧ローラ21bの上側に、前記のヒータ50・ヒータホルダ51・定着ベルト54等から成る加熱部材21aをヒータ50側を下向きにして加圧ローラ21bに並行に配置し、ヒータホルダ51の両端部を不図示の加圧機構により片側98N(10kgf)、総圧196N(20kgf)の力で加圧ローラ21bの軸線方向に附勢することで、定着ヒータ50の下向き面に定着ベルト54を介して加圧ローラ21bの弾性層に該弾性層の弾性に抗して所定の押圧力をもって圧接させ、加熱定着に必要な所定幅の定着ニップ部Nを形成させてある。加圧機構は、圧解除機構を有し、ジャム処理時等に、加圧を解除し、転写材Pの除去が容易な構成となっている。
【0042】
52と53は第一と第二の温度検知手段としてのメインとサブの2つのサーミスタである。第一の温度検知手段としてのメインサーミスタ52は熱源である定着ヒータ50に非接触に配置され、本実施例ではヒータホルダ51の上方において定着ベルト54の内面に弾性的に接触させてあり、定着ベルト54の内面の温度を検知する。第二の温度検知手段としてのサブサーミスタ53は熱源である定着ヒータ50に接触して配置され、本実施例では定着ヒータ50の裏面に接触しており、定着ヒータ裏面の温度を検知する。
【0043】
メインサーミスタ52は、ヒータホルダ51に固定支持させたステンレス製のアーム57の先端にサーミスタ素子が取り付けられ、アーム57が弾性揺動することにより、定着ベルト54の内面の動きが不安定になった状態においても、サーミスタ素子が定着ベルト54の内面に常に接する状態に保たれる。
【0044】
メインサーミスタ52、及びサブサーミスタ53は、制御回路部(CPU)55に接続され、制御回路部55は、メインサーミスタ52、サブサーミスタ53の出力をもとに、定着ヒータ50の温調制御内容を決定し、不図示のヒータ駆動回路部によって定着ヒータ50への通電を制御する。
【0045】
56と23は不図示の装置フレームに組付けた入り口ガイドと排紙ローラ23である。入り口ガイド56は、二次転写ニップを抜けた転写材Pが、定着ニップ部Nに正確にガイドされるよう、転写材Pを導く役割を果たす。本実施例の入り口ガイド56は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂により形成されている。
【0046】
排紙ローラ23は、ステンレスの基材に表層を厚み5μmでKNめっきされた径5mmの芯金に、射出成形により厚み約3mmのシリコーンゴム層を形成し、その上に厚み30μmのPFA樹脂チューブを被覆してなる。排紙ローラは定着駆動に連動して駆動する排紙ローラ23と、その排紙ローラにバネで当接されて従動する排紙ローラとの二種があり、排紙ローラが転写材を挟む構成である。二種の排紙ローラは共に、その長さは搬送可能である転写材Pの最大幅であるLetterサイズ:216mm以上の幅である227mmであり、転写材の全域に対して、排紙ローラが転写材を挟みこむ。
【0047】
なお、排紙ローラは、定着駆動が動作している間、すなわち定着ベルトおよび加圧ローラが回転している間、連動して回転する。
【0048】
転写材幅より狭い幅のローラまたはコロを使用した場合、転写材Pのうちローラまたはコロに接触する部位と接触しない部位とが存在するが、ローラまたはコロの温度が低い場合、もしくは転写材Pに対し従動しなかった場合に、ローラまたはコロの設置位置に対してスジ状に跡がつく「コロ跡」と呼ばれる画像不良が発生してしまう。ところが、前記略全幅の排紙ローラ23を使用するため、転写材Pの全面でローラが接触するため、「コロ跡」は発生しない。
【0049】
加圧ローラ21bは駆動手段Mにより矢印の反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。この加圧ローラ21bの回転駆動による加圧ローラ21bの外面と定着ベルト54との定着ニップ部Nにおける圧接摩擦力により円筒状の定着ベルト54に回転力が作用して該定着ベルト54がその内面側が定着ヒータ50の下向き面に密着して摺動しながらヒータホルダ51の外回りを矢印の時計方向に従動回転状態になる。定着ベルト54内面にはグリスが塗布され、ヒータホルダ51と定着ベルト54内面との摺動性を確保している。
【0050】
加圧ローラ21bが回転駆動され、それに伴って円筒状の定着ベルト54が従動回転状態になり、また定着ヒータ50に通電がなされ、該定着ヒータ50が昇温して所定の温度に立ち上がり温調された状態において、定着ニップ部Nの定着ベルト54と加圧ローラ21bとの間に未定着トナー像を担持した転写材Pが入り口ガイド56に沿って案内されて導入され、定着ニップ部Nにおいて転写材Pのトナー像担持面側が定着ベルト54の外面に密着して定着ベルト54と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この挟持搬送過程において、定着ヒータ50の熱が定着ベルト54を介して転写材Pに付与され、転写材P上の未定着トナー像が転写材P上に加熱・加圧されて溶融定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは定着ベルト54から曲率分離し、排紙ローラ23で排出される。
【0051】
なお、本画像形成装置においては、温度および湿度を検知する温湿度センサを具備しており、装置の設置環境について検知することができる。この温湿度センサの検知結果は、図8で示した帯電、現像、転写プロセスにおける印加バイアスや、図9で示した定着装置における定着温度などといった画像形成に関するパラメータを最適化するために極めて重要である。
【0052】
[吸水性部材の適用例]
画像形成装置および定着装置は、以上の図8、図9で示した構成からなり、動作する。図1〜図5に、本発明に係わる第一の実施形態を示す。
【0053】
定着装置は加熱部材21a、加圧ローラ21b、排紙ローラ23、定着カバー60、吸水性部材から構成されている。吸水性部材は少なくとも搬送する転写材Pの幅以上の幅を有しており、排紙ローラ23よりも長く、排紙ローラ23の全域にわたって接触させることが望ましい。これは、少なくとも転写材Pが排紙ローラ23と接触する領域においては、排紙ローラ23が結露した場合においても付着した水滴が除かれるため、排紙ローラ23から転写材Pに水滴が付着することを防止できるためである。
【0054】
吸水性部材の形状としては、シート(図1 100)、ローラ(図2 200)、パット(図3 300)、ブレード(図4 400)、ブラシ(図5 500)形状などが考えられる。図1〜図5はこれらの形状の吸水性部材を実施する際の、吸水性部材と排紙ローラとの位置関係を示している。図1はシートを、図2はローラを、図3はパッドを、図4はブレードを、図5はブラシをそれぞれ排紙ローラに接触するように配した。
【0055】
吸水性部材としては、吸水性を有する吸水部材であれば理想的であり、例えば吸水性高分子やシリカゲル含有シートなど様々な材料が考えられるが、実用上、水滴を除去することができればよく、必ずしも吸水後、吸水した水分を捕集、維持する機能は要さない。例えば、不織布レーヨン(ヒメロン(登録商標):アンビック社製)やスポンジなどのような部材でもよい。
【0056】
本実施例では吸水性部材として、ヒメロン・シートを用い、排紙ローラに当接させた図1の構成について説明する。
【0057】
以上に説明した本実施例の画像形成装置を用いて、15℃/10%RH環境下にて開封直後の転写材P(使用記録材;オフィスプランナー(登録商標))に、両面印字した際の評価結果を示す。また比較例1として、排紙ローラ23に吸水性部材を当接しない画像形成装置にて、同様の評価を行った際の結果を併記する。
【0058】
【表1】

【0059】
上記表1に示すように、本実施例の画像形成装置においては、画像不良の発生はなかった。一方比較例1の画像形成装置においては、両面印字5枚目から両面印字10枚目の範囲にて、水滴が付着した箇所において、トナー散りによるモヤ画像となった。これは1面目通紙時に転写材先後端へ、排紙ローラ表面に結露した水滴が付着するため、2面目の画像形成工程においてトナーが転写材に転写される際、2面目の先後端に存在する水滴の存在によって、トナーが散乱されることによって発生した現象である。
【0060】
以上説明したように本実施例の画像形成装置においては、定着装置直後に設けられる転写材搬送手段に対して、水分除去手段を当接し、搬送手段表面の水分を除去するので、転写材に対する水分付着を防止し、画像不良の発生を防ぐことができる。
【0061】
なお、ここでは図1に示した吸水シートを排紙ローラに当接させた系について示したが、図2〜5に示した構成を用いて、以上に記載したのと同様な検討を行ったところ、いずれも、同様に転写材に対する水分付着は防止され、画像欠陥の発生を防止できる。
【実施例2】
【0062】
図6に即して、本発明に係わる第2の実施形態について、説明する。なお、本実施例の画像形成装置の構造は、すべて実施例1と同じである。
【0063】
本実施例では、結露現象が発生し得る状況において、吸水性部材排紙ローラ23に対する当接離間を制御する構成とした。実施例1の構成では、吸水性部材(図1〜5に図示したシート100、またはローラ200、またはパッド300、またはブレード400、またはブラシ500)が、常に当接状態となっているが、本実施例では、当接する機会を限定できるため、さらに耐久性を高めることができる。
【0064】
排紙ローラ23への結露発生と環境(雰囲気温湿度)の関係を調査した所、以下の状況を満たす場合に、特に顕著な結露が発生することが分かった。(図7)
(1) 雰囲気温度18℃以下
(2) 絶対水分量 10g/m以上
排紙ローラ23は、画像装置の装置外近くに配置してあるため、雰囲気温度の影響を受けやすい状況にある。すなわち、雰囲気温度が低い時ほど、排紙ローラ23の温度も低くなる。よって、雰囲気温度が低い場合には、加熱された転写材Pは、排紙ローラ23通過の際に、急激に冷やされる。この際、定着時に転写材から発生した水蒸気が結露しやすくなる。また、絶対水分量が大きい程、定着時に発生する水蒸気の量が多くなるため、結露する量も多くなる。本実施例では、以下のような構成、制御を実施している。
【0065】
本実施例では、画像形成装置の機内に温湿度センサ(不図示)を配備するようにした。また、吸水性部材の排紙ローラ23に対する接離機構(不図示)を設ける。以下、図7に即して、本実施例の制御内容を説明する。
【0066】
(Step 1〜2) プリント前回転動作開始時に、温湿度センサから温度、相対湿度の検知結果情報を入手する。
【0067】
(Step 3) 温度、相対湿度情報を基に、絶対水分量を算出する。
【0068】
(Step 4〜5)温度/絶対水分量が図6で示した領域に当てはまる(温度18℃以下かつ絶対水分量10g/m3)場合は、吸水性部材を排紙ローラ23に当接させ、それ以外の場合には吸水性部材を排紙ローラ23から離間させたままとする。
【0069】
(Step 6)転写材をピックして、画像形成を実行する。
【0070】
(Step 7〜9)最終紙が排出されたら、吸水性部材を排紙ローラから離間状態として停止する。
【0071】
このような構成とすることにより、結露が発生し得る状況に限定して吸水性部材を排紙ローラに当接させることができ、吸水性部材や排紙ローラ23への結露に伴う「水滴跡」等の画像不良発生を防止するという要件を満たしつつ、吸水性部材や排紙ローラ23の耐久性を高めることが可能となる。
【0072】
なお、定着装置から転写材Pを排出する排紙ローラ23に言及して記載したが、転写材Pに接触して、転写材Pを搬送する搬送ローラや機外へ排出するローラなどの搬送手段に対して、適用可能である。
【0073】
また、適用される定着装置の形態は図9にて例示したフィルム定着装置には限定されず、熱を利用した定着装置について適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施例の略断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例において、吸水性部材をローラとした構成の略断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例において、吸水性部材をパッドとした構成の略断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例において、吸水性部材をカウンターブレードとした構成の略断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例において、吸水性部材をブラシとした構成の略断面図である。
【図6】本発明の第2の実施例に説明する図である。
【図7】本発明の第2の実施例のフローチャートである。
【図8】画像形成装置の全体断面図である。
【図9】定着装置の詳細断面図である。
【符号の説明】
【0075】
21a 加熱部材
21b 加圧ローラ
23 排紙ローラ
60 定着カバー
100 吸水シート
200 吸水ローラ
300 吸水パッド
400 吸水ブレード
500 吸水ブラシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写材上の未定着トナー像を加熱定着させる定着装置と、前記定着装置より転写材を搬出する搬送手段とを有する画像形成装置において、前記搬送手段に接触して配置された吸水性部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記吸水性部材はシート状、またはローラ状、またはパッド状、またはブレード状、またはブラシ形状であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
吸水性部材と搬送手段とを当接、離間させることができる接離機構を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成装置は、温度および、または湿度を検知する検知手段を有し、温度、湿度、およびこれらから算出した絶対水分量のうち、少なくともいずれか一つのパラメータに応じて吸水性部材が搬送手段に当接または離間することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−128300(P2010−128300A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304409(P2008−304409)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】