説明

画像形成装置

【課題】アドレスデコーダにおいて、プログラムが暴走した際の不揮発性メモリへの書き込みを防止し、当該メモリの内容を適切に保護することができるメモリ制御方法、メモリ制御装置およびプリンタのメモリ制御方法を提供する。
【解決手段】データの書き換え可能な不揮発性メモリを含む複数の記憶装置に割り当てる複数のアドレス領域を配置し、制御情報により記憶装置の動作を制御するCPUと、CPUからの前記制御情報に基づいて、アクセスする記憶装置を特定し、当該記憶装置の動作を有効にするアクセス制御手段とを有する装置において実行されるメモリ制御方法である。CPUのアドレス空間は、不揮発性メモリに記憶されるプログラムを保護するための保護領域を配置する。このメモリ制御方法は、CPUが制御情報に基づいて保護領域を特定した場合、アクセス制御手段は不揮発性メモリに記憶されるプログラムの制御を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの書き換え可能な不揮発性メモリを含むメモリへアクセスするためのメモリ制御方法、メモリ制御装置およびプリンタのメモリ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータが著しく普及するにつれて、コンピュータシステムにおいて、メモリ、I/Oなどアクセス制御回路の高信頼性設計が要望されている。
【0003】
従来、アクセス制御回路は、一致検出回路、セット・リセット回路(RS回路)、アドレスデコーダ回路、ANDゲート、メモリブロック、アドレスバス、データバスなどで構成される。このようなアクセス回路では、信号がアクティブなアドレスに対して読み出し、書き込みを行うことにより、メモリブロックへのアクセスを制限していた。そのため、メモリブロックの内容をプログラムの暴走やバグなどによる破壊から十分に保護することができないという問題点があった。
【0004】
そこで、タイマー回路を設けて、一定時間に限りメモリブロックへのアクセスを許可し、メモリブロックの内容をプログラムの暴走による破壊から防ぐ技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この特許文献1に記載の技術では、メモリブロックへのアクセスが許可された後に、プログラムが暴走した場合であっても、一定時間経過後に自動的にアクセスが不許可となり、メモリブロックの内容をプログラムの暴走による破壊から防いでいる。
【特許文献1】特開平05−151090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、タイマー回路を設けて、メモリブロックへのアクセスを制御するため、回路構成やその制御が複雑となる。
【0007】
本発明は上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、アドレスデコーダにおいて、プログラムが暴走した際の不揮発性メモリへの書き込みを防止し、当該メモリの内容を適切に保護することができるメモリ制御方法、メモリ制御装置およびプリンタのメモリ制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
(1)データの書き換え可能な不揮発性メモリを含む複数の記憶装置に割り当てる複数のアドレス領域を配置し、制御情報により前記記憶装置の動作を制御するCPUと、前記CPUからの前記制御情報に基づいて、アクセスする記憶装置を特定し、当該記憶装置の動作を有効にするアクセス制御手段とを有する装置において実行されるメモリ制御方法であって、前記CPUのアドレス空間は、前記不揮発性メモリに記憶されるプログラムを保護するための保護領域を配置し、前記CPUが前記制御情報に基づいて前記保護領域を特定した場合、前記アクセス制御手段は不揮発性メモリに記憶される前記プログラムの制御を禁止するステップ(a)を有すること特徴するメモリ制御方法。
【0010】
(2)前記制御情報は、アドレス空間内の所定の領域を特定するためのアドレス情報、および記憶装置を有効にするための動作選択情報を含み、前記ステップ(a)において、前記アクセス制御手段は、前記アドレス情報に基づいて前記保護領域を特定した場合、前記動作選択信号を無効にする上記(1)に記載のメモリ制御方法。
【0011】
(3)前記制御情報は、アドレス空間内の所定の領域を特定するためのアドレス情報、および記憶装置に書込動作を指示する書込情報を含み、前記ステップ(a)において、前記アクセス制御手段は、前記アドレス情報に基づいて前記保護領域を特定した場合、書込情報を遮断する上記(1)に記載のメモリ制御方法。
【0012】
(4)前記CPUのアドレス空間は、前記不揮発性メモリに記憶されるプログラム領域を前記保護領域に近接して配置する上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のメモリ制御方法。
【0013】
(5)前記CPUのアドレス空間は、前記不揮発性メモリに記憶されるプログラム領域を前記保護領域の前後に配置する上記(4)に記載のメモリ制御方法。
【0014】
(6)前記不揮発性メモリは、プログラムを記憶するプログラム領域およびデータの書き換え可能な不揮発性メモリ領域を配置し、前記CPUのアドレス空間は、プログラム領域と不揮発性メモリ領域との間に、前記保護領域を配置する上記(1〜5のいずれか一項)に記載のメモリ制御方法。
【0015】
(7)上記(1)〜(6)に記載のメモリ制御方法であって、前記不揮発性メモリに記憶されるプログラムは、プリンタのプログラムであり、前記ステップ(a)において、前記アクセス制御手段は不揮発性メモリに記憶される前記プリンタのプログラムの制御を禁止するプリンタのメモリ制御方法。
【0016】
(8)データの書き換え可能な不揮発性メモリを含む複数の記憶装置を制御するメモリ制御装置であって、複数の記憶装置に割り当てる複数のアドレス領域を配置し、制御情報により前記記憶装置の動作を制御するCPUと、前記CPUからの前記制御情報に基づいて、アクセスする記憶装置を特定し、当該記憶装置の動作を有効にするアクセス制御手段とを有し、前記CPUのアドレス空間は、前記不揮発性メモリに記憶されるプログラムを保護するための保護領域を配置し、前記CPUが前記制御情報に基づいて前記保護領域を特定した場合、前記アクセス制御手段は不揮発性メモリに記憶される前記プログラムの制御を禁止すること特徴するメモリ制御装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、アドレスデコーダにおいて、プログラムが暴走した際の不揮発性メモリへの書き込みを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係るプリンタの構成を概略的に示す構成図である。
【0020】
プリンタ1は、各機械部分を駆動する回路としてのメカ制御用基板10と、画像データの処理を実行する回路としての画像処理用基板20とを有し、プリンタ1の各機械部分の制御と画像データの処理を別途実行し、プリンタ処理の高速化を図る。
【0021】
メカ制御用基板10は、CPU11と、FlashROM12と、RAM13とを備えており、これらは信号をやり取りするためのバスを介して相互に接続される。CPU11は、プログラムにしたがってプリンタ1の各機械部分の制御や各種の演算処理等を行う。FlashROM12は、プリンタ1の制御プログラムを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。
【0022】
画像処理用基板20は、CPU21と、FlashROM22と、RAM23と、HDD(ハードディスクドライブ)24とを備えており、これらは信号をやり取りするためのバスを介して相互に接続される。CPU21は、画像処理プログラムにしたがって各種の演算を実行し画像データの処理を行う。FlashROM22は、画像処理プログラムを格納する。RAM23は、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。HDD24は、プリンタ1が受信した画像データを一時的に記憶する。
【0023】
これら基板は、その内部にFlashROMを搭載しプログラムを格納することで、プリンタに回路基板を実装したままで書き込みや消去をすることができ、プログラムのアップデートや利便性の向上等を図ることができる。
【0024】
このように、プログラムや各種データ等が複数の記憶装置に格納される場合、CPUは、アドレスマップを用いて、各記憶装置におけるアクセスする領域を一元的に管理する。つまり、アドレスマップは、CPUのアドレス空間とアクセス領域(各記憶装置への割り当て)との対応関係を示す。
【0025】
図2を参照して、プリンタのアドレスマップを説明する。図2は、プリンタのアドレスマップの一例を示す図であり、図1に示す画像処理用基板についてのアドレスマップである。
【0026】
アドレスマップには、画像処理中に生成されるデータを一時的に記憶するためのRAM領域と、プリンタが受信した画像データを一時的に記憶するためのハードディスク領域と、画像処理プログラムを格納するためのプログラム領域と、CPUの演算結果やアドレス等を格納するためのCPUレジスタ領域と、プログラム領域を保護するためのプロテクト領域とが配置される。図2に示すでは、CPUは32ビットであり、合計で4Gバイトのアドレスマップ領域を有する。
【0027】
RAM領域はRAM23で構成され、2Gバイトである。RAM領域には、0x0000―0000番地(先頭の0xは16進表記であることを示す)〜0x7FFF―FFFF番地が割り振られる。
【0028】
ハードディスク領域はHDD24で構成され、256Mバイトである。ハードディスク領域には、0x8000―0000番地〜0x8FFF―FFFF番地が割り振られる。
【0029】
CPUレジスタ領域はCPU21内部のレジスタで構成され、1Gバイトである。CPUレジスタ領域には、0xC000―0000番地〜0xCFFF―FFFF番地が割り振られる。
【0030】
プログラム領域およびプロテクト領域はFlashROM22で構成される。プログラム領域には、0xA000―0000番地〜0xAFFF―FFFF番地が割り振られ、256Mバイトである。プロテクト領域には、0x9000―0000番地〜0x9FFF―FFFF番地および0xB000―0000番地〜0xBFFF―FFFF番地が割り振られ、それぞれ256Mバイトである。
【0031】
CPU21が画像処理を実行する場合のアドレスマップへの通常のアクセスを説明する。
【0032】
CPU21は、プログラム領域にアクセスしプログラムを起動し、CPUレジスタ領域にアクセスし必要な画像データの格納先のアドレスを取り出し、ハードディスク領域にアクセスし処理すべき画像データを読み込み、RAM領域にアクセスし画像データの画像処理プログラムを読み込み、画像データに対して画像処理を実行する。ここで、通常のアクセスにおいて、CPU21はプロテクト領域にアクセスすることはない。
【0033】
このように、CPU21がプログラム通りに正常に動作する場合、プログラム領域への書き込みは発生しない。しかし、外部からノイズ等を受けて各バスや各線を流れる電流値(信号値)に変化が生じること等が原因となり、プログラムが暴走し、予期せぬアドレスにアクセスして画像処理が正常に実行されないことがある。
【0034】
この場合、画像処理プログラムを格納するプログラム領域を保護し、画像処理プログラムが再書き込みされることを防止する必要がある。
【0035】
プロテクト領域は、プログラムが暴走した場合、プログラム領域への動作禁止領域または書込禁止領域を構成し、プログラム領域への再書込を禁止する。
【0036】
例えば、CPU21がハードディスク領域へデータの書き込みを実行している際に、プログラムが暴走した場合、一つの特性として、アドレスポインタはインクリメントし、ハードディスク領域を超えてプロテクト領域にアクセスする場合がある。ここで、CPU21がプロテクト領域にアクセスした場合、プログラムの制御を禁止する。
【0037】
本実施形態では、プログラム領域の前後にプロテクト領域を配置するため、プログラムが暴走した場合、アドレスポインタはインクリメントするときに限らず、デクリメントするにも有効である。また、アドレスポインタがランダムにプロテクト領域を指定する場合も、プログラムの制御を禁止することができる。
【0038】
図3および4を参照して、プログラムが暴走した場合、プログラムの制御を禁止する方法を説明する。図3は、CPUからFlashROMを制御する回路部の一例を示す図ある。
【0039】
CPU31は、制御信号をアドレスデコーダ32に伝送し、アドレスレコーダ32にデコードさせ、アクセスするデバイス(FlashROM)を特定してチップイネーブル信号を伝送させる。その後、CPU31は、特定されたデバイス(FlashROM)との間でデータ信号を送受信し、データの読込や書込を実行する。
【0040】
CPU31は、アドレスバス、CS(チップセレクト)線を介してアドレスデコーダ32に接続され、リード線、ライト線、データバスを介してFlashROM33に接続される。FlashROM33は、CS(チップセレクト)線を介してアドレスデコーダ32に接続される。
【0041】
制御信号としては、アドレス信号、チップイネーブル(CE)信号、アウトプットイネーブル(OE:読込イネーブル)信号およびライトイネーブル(WE:書込イネーブル)信号がある。
【0042】
アドレスデコーダ32は、CPU31からのアドレス信号に基づきアクセスするデバイス(FlashROM)を判定して、該当するデバイス(FlashROM)をイネーブル(有効)にするためのCE信号を伝送する。つまり、CPU31からFlashROM32へのアドレス信号およびCE信号が伝送された場合、アドレスデコーダ32はFlashROM33にCE信号を伝送し、FlashROM33を動作状態にする。
【0043】
アドレス信号は、図2に示すアドレスマップ上の各領域に付与される番地を指定するための信号であり、アドレスバスを介して伝送される。
【0044】
CE信号は、デバイスの選択または非選択を決めるための活性化(アクティブ)信号であり、CS線を介して伝送される。例えば、CE信号が"L"レベルの場合、CS信号により、FlashROM33はイネーブルにされ、動作状態となり、一方、"H"レベルの場合、FlashROM33は停止状態になる。
【0045】
OE信号は、読み込みを可能にするための信号である。例えば、OE信号が"H"レベルの場合、内部のアドレスポインタはインクリメントし、読込動作を実行し、一方、"L"レベルの場合、内部への読込動作は禁止され、内部のアドレスポインタは停止する。
【0046】
WE信号は、書き込みを可能にするための信号である。例えば、WE信号が"H"レベルの場合、内部のアドレスポインタはインクリメントし、読込動作を実行し、一方、"L"レベルの場合、内部への書込動作は停止され、内部のアドレスポインタは停止する。
【0047】
データ信号は、アドレス信号で選択されたデバイス(FlashROM)とCPUとの間でデータをやり取りするための信号であり、データバスを介して伝送される。つまり、FlashROM33にプログラムが書き込まれる場合、CPU31からFlashROM33にプログラムデータが伝送される。一方、FlashROM33からデータが読み込まれる場合、FlashROM33からCPU31にデータが伝送される。
【0048】
CPU31が、FlashROM33へデータの読込を命令する場合の動作について説明する。FlashROM33には、プログラムが格納される。CPU31は、CS線を介してアドレス信号とCE信号を出力するとともに、OE線を介してOE信号を出力して、FlashROM33をプログラムデータの読出可能な状態にする。CPU31は、データバスを介して、FlashROM33からプログラムデータを取得する。
【0049】
次に、CPU31が、FlashROM33へデータの書込を命令する場合の動作について説明する。CPU31は、CS線を介してアドレス信号とCE信号を出力するとともに、OE線を介してOE信号を出力して、FlashROM33をデータの書込可能な状態にする。CPU31は、データバスを介して、FlashROM33にデータを伝送し格納させる。
【0050】
ここで、CPU31からFlashROM33のプロテクト領域へアクセスがある場合、アドレスデコーダ32は、CE信号を伝送しない。
【0051】
つまり、CPU31がプログラム通りに正常に動作するとき、CPU31はプロテクト領域にはアクセスしないため、プロテクト領域へのアクセスがある場合、プログラムが暴走したとみなし、CE信号を遮断する。したがって、プロテクト領域は、動作禁止領域を構成することになり、プログラム領域への再書込を禁止する。
【0052】
したがって、例えば、CPU31がハードディスク領域へデータの書き込みを実行している際に、プログラムが暴走しアドレスポインタがインクリメントし、ハードディスク領域を超えてプロテクト領域にアクセスする場合、書込動作は実行されず、プログラム領域への再書込みを禁止することができる。なお、この場合、CPU31は全ての領域へアクセスすることは可能であるが、停止状態である。
【0053】
図4は、CPUからFlashROMを制御する回路部の他の例を示す図である。なお、図3を参照して説明した部分と同様のものについては、説明の重複を避けるため、その説明を省略する。
【0054】
CPU41は、制御信号をアドレスデコーダ42に伝送し、アドレスレコーダ42にデコードさせ、アクセスするデバイス(FlashROM)を特定してチップイネーブル信号を伝送させる。その後、CPU41は、特定されたデバイス(FlashROM)との間でデータ信号を送受信し、データの読込や書込を実行する。
【0055】
または、CPU41は、制御信号をアドレスデコーダ42に伝送し、アドレスレコーダ42にデコードさせ、アクセスするデバイス(FlashROM)を特定する。その後、CPU41は、CE信号およびOE信号を特定されたデバイス(FlashROM)に伝送し、データ信号を送受信し、データの読込を実行する。
【0056】
CPU41は、アドレスバス、ライト線を介してアドレスデコーダ42に接続され、CS線、リード線、データバスを介してFlashROM44に接続される。FlashROM43は、ライト線を介してアドレスデコーダ42に接続される。
【0057】
アドレスデコーダ42は、CPU41からのアドレス信号およびWE信号に基づきアクセスするデバイス(FlashROM)を判定して、該当するデバイス(FlashROM)をイネーブル(有効)にする。つまり、CPU41からFlashROM42へのアドレス信号およびWE信号が伝送された場合、アドレスデコーダ42はFlashROM43にWE信号を伝送し、FlashROM43を書込可能な状態にする。その後、CPU41は、FlashROM43との間でデータをやり取りし、FlashROM43にプログラムを書き込む。
【0058】
CPU41が、FlashROM43へデータの書込を命令する場合の動作について説明する。CPU41は、CS線を介してアドレス信号とWE信号を出力するとともに、CS線を介してWE信号を出力して、FlashROM43をプログラムデータの書込可能な状態にする。CPU41は、データバスを介して、FlashROM43にデータを伝送し格納させる。
【0059】
ここで、CPU41からFlashROM43のプロテクト領域へアクセスがある場合、アドレスデコーダ42は、WE信号を伝送しない。
【0060】
つまり、CPU41がプログラム通りに正常に動作するとき、CPU41はプログラム領域にはアクセスしないため、プロテクト領域へのアクセスがある場合、プログラムが暴走したとみなし、WE信号を遮断する。したがって、プロテクト領域は、書込禁止領域を構成することなり、プログラム領域への再書込を禁止する。
【0061】
したがって、例えば、CPU41がハードディスク領域へデータの書込を実行している際に、プログラムが暴走する場合、書込動作は実行されず、いずれの領域への再書込みを禁止することができる。なお、この場合、CPU41は全ての領域へアクセスすることは可能であるが、書込動作は禁止される。
【0062】
次に、CPU41が、FlashROM43へデータの読込を命令する場合の動作について説明する。CPU31は、CS線を介してアドレス信号を出力するとともに、OE線を介してOE信号を出力し、CS線を介してCE信号を出力して、FlashROM43をデータの読込可能な状態にする。CPU41は、データバスを介して、FlashROM43からプログラムデータを取得する。
【0063】
このようなプログラムの制御を禁止する方法は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、CPLD (Complex Programmable Logic Device)およびFPGA (Field Programmable Gate Array)などのPLD(programmable logic device)を用いることにより実現することができる。これらの論理回路は、Veriog−HDLやVHDL等のデジタル回路設計用のハードウェア記述言語(HDL)により記述される。
【0064】
本実施形態によれば、プロテクト領域が、動作禁止領域または書込禁止領域を構成することにより、プログラムが暴走した場合、プログラムの制御を禁止することができる。したがって、アドレスデコーダにおいて、プログラムが暴走した際のFlashROMOへの書き込みを防止し、当該FlashROMの内容を適切に保護することができる。
【0065】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0066】
図5を参照して、プリンタのアドレスマップの他の例を説明する。図5は、プリンタのアドレスマップの他の例を示す図である。
【0067】
上記本実施形態では、プリンタのアドレスマップにおいて、プログラム領域は、FlashROMで構成されており、FlashROMには、他にプロテクト領域が配置されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0068】
FlashROMには、プログラム領域および不揮発性メモリ領域を配置させることができる。この場合、FlashROMには、プリンタのプログラムを格納する他、未使用領域を設けることができる。この場合、FlashROMに、プログラム領域および不揮発性メモリ領域を配置することにより、FlashROMの有効利用を図ることができる。例えば、コンビニ等のプリンタで使用される際には印刷枚数のカウントが必要である。この場合、不揮発性メモリ領域である未使用領域に、印刷情報等を書き込むことができ、FlashROMの有効利用を図るとともに、利便性の向上を図ることができる。
【0069】
図5は、図2に示すプリンタのアドレスマップにおけるプログラム領域の変形例に相当する。したがって、当該領域は、0xA000―0000番地〜0xAFFF―FFFF番地が割り振られ、256Mバイトである。
【0070】
アドレスマップには、使用後に情報を書き込むための未使用領域である不揮発性メモリ領域と、プログラム領域を保護するためのプロテクト領域と、画像処理プログラムを格納するためのプログラム領域とが配置される。
【0071】
不揮発性メモリ領域には、0xAC000―0000番地〜0xA1FF―FFFF番地が割り振られ、プロテクト領域には、0xA400―0000番地〜0xA7FF―FFFF番地が割り振られ、プログラム領域には、0xA800―0000番地〜0xAFFF―FFFF番地が割り振られる。
【0072】
このように、プログラム領域の前にプロテクト領域を配置するため、上記実施形態と同様に、プログラムが暴走した場合、プロテクト領域がプログラム領域への再書込を禁止する。
【0073】
例えば、CPUが不揮発性メモリへデータの書き込みを実行している際に、プログラムが暴走した場合、アドレスポインタはインクリメントし、不揮発性メモリ領域を超えてプロテクト領域にアクセスする場合がある。そこで、CPUがプロテクト領域にアクセスした場合、プログラムの制御を禁止することで、プログラム領域への再書込みが禁止される。
【0074】
また、上記実施形態では、本発明のメモリ制御方法をプリンタに適用して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明のメモリ制御方法は、MFP(Multi−Function Peripheral)、デジタル複写機、ファクシミリ、電子メールプリンタ等の電子写真方式を用いた画像形成装置の他、データの書換可能な不揮発性メモリ(EPROM:Erasable Programmable ROM)を実装するコンピュータ制御機器にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本実施形態に係るプリンタの構成を概略的に示す構成図である。
【図2】プリンタのアドレスマップの一例を示す図である。
【図3】CPUからFlashROMを制御する回路部の一例を示す図ある。
【図4】CPUからFlashROMを制御する回路部の他の例を示す図ある。
【図5】プリンタのアドレスマップの他の例を説明する。
【符号の説明】
【0076】
1 プリンタ、
10 メカ制御用基板、
11,21,31,41 CPU、
12,22,33,43 FlashROM、
13,23 RAM、
20 画像処理用基板、
24 HDD、
32,42 アドレスデコーダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの書き換え可能な不揮発性メモリを含む複数の記憶装置に割り当てる複数のアドレス領域を配置し、制御情報により前記記憶装置の動作を制御するCPUと、前記CPUからの前記制御情報に基づいて、アクセスする記憶装置を特定し、当該記憶装置の動作を有効にするアクセス制御手段とを有する装置において実行されるメモリ制御方法であって、
前記CPUのアドレス空間は、前記不揮発性メモリに記憶されるプログラムを保護するための保護領域を配置し、
前記CPUが前記制御情報に基づいて前記保護領域を特定した場合、前記アクセス制御手段は不揮発性メモリに記憶される前記プログラムの制御を禁止するステップ(a)を有すること特徴するメモリ制御方法。
【請求項2】
前記制御情報は、アドレス空間内の所定の領域を特定するためのアドレス情報、および記憶装置を有効にするための動作選択情報を含み、
前記ステップ(a)において、前記アクセス制御手段は、前記アドレス情報に基づいて前記保護領域を特定した場合、前記動作選択信号を無効にする請求項1に記載のメモリ制御方法。
【請求項3】
前記制御情報は、アドレス空間内の所定の領域を特定するためのアドレス情報、および記憶装置に書込動作を指示する書込情報を含み、
前記ステップ(a)において、前記アクセス制御手段は、前記アドレス情報に基づいて前記保護領域を特定した場合、書込情報を遮断する請求項1に記載のメモリ制御方法。
【請求項4】
前記CPUのアドレス空間は、前記不揮発性メモリに記憶されるプログラム領域を前記保護領域に近接して配置する請求項1〜3のいずれか一項に記載のメモリ制御方法。
【請求項5】
前記CPUのアドレス空間は、前記不揮発性メモリに記憶されるプログラム領域を前記保護領域の前後に配置する請求項4に記載のメモリ制御方法。
【請求項6】
前記不揮発性メモリは、プログラムを記憶するプログラム領域およびデータの書き換え可能な不揮発性メモリ領域を配置し、
前記CPUのアドレス空間は、プログラム領域と不揮発性メモリ領域との間に、前記保護領域を配置する請求項1〜5のいずれか一項に記載のメモリ制御方法。
【請求項7】
請求項1〜6に記載のメモリ制御方法であって、
前記不揮発性メモリに記憶されるプログラムは、プリンタのプログラムであり、
前記ステップ(a)において、前記アクセス制御手段は不揮発性メモリに記憶される前記プリンタのプログラムの制御を禁止するプリンタのメモリ制御方法。
【請求項8】
データの書き換え可能な不揮発性メモリを含む複数の記憶装置を制御するメモリ制御装置であって、
複数の記憶装置に割り当てる複数のアドレス領域を配置し、制御情報により前記記憶装置の動作を制御するCPUと、
前記CPUからの前記制御情報に基づいて、アクセスする記憶装置を特定し、当該記憶装置の動作を有効にするアクセス制御手段とを有し、
前記CPUのアドレス空間は、前記不揮発性メモリに記憶されるプログラムを保護するための保護領域を配置し、
前記CPUが前記制御情報に基づいて前記保護領域を特定した場合、前記アクセス制御手段は不揮発性メモリに記憶される前記プログラムの制御を禁止すること特徴するメモリ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−134555(P2010−134555A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307863(P2008−307863)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】