説明

画像形成装置

【課題】キャップ部材やブレードをクリーニングするクリーナー手段の性能を長期に亘って維持でき、記録ヘッドからの吐出を良好に維持できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置の印刷部100は、印刷用紙2を搬送する搬送装置4と、液滴を吐出する複数の記録ヘッド6を有するヘッド部8と、キャップ10及び吸引手段を有するヘッド維持装置14と、クリーナー手段16と、クリーナー手段16に洗浄液を供給する洗浄液供給手段18とを備えている。クリーナー手段16は、キャップ10に付着した液体を吸収して除去する多孔体28と、この多孔体28を保持する多孔体保持体30とを有している。クリーナー手段16の多孔体28に洗浄液を供給することで、多孔体28の表面などに残った増粘したインクなどをキャップ10の吐出面当接部に付着させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録方式を採用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、印刷装置、これらのうち1つを含む複合機等の画像形成装置に関し、詳しくは、記録ヘッドのノズル面を、クリーニング、キャッピングする手段を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、記録ヘッドの吐出面に不要なインクや紙粉等の異物が付着し易く、付着した場合にはインク滴の吐出方向が乱れたり吐出不能が生じて画像品質が低下する等の問題を抱えている。
この種の画像形成装置では上記のような不具合を解消すべく、吐出面の状態を回復するための手段を備えている。
特許文献1記載のインクジェット記録装置では、記録ヘッドの吐出面に圧接して相対移動することにより吐出口形成面上に付着した異物を摺接除去するワイピング手段(ブレード)と、吐出口形成面と略同一面上に配設されワイピング手段が圧接しつつ相対移動することによりワイピング手段を清浄化するクリ−ニング手段と、吐出口の非記録時の乾燥を防止するキャップ部材と、キャップ部材に接続され、吐出口からインクを強制的に吸引する吸引手段とを有している。
クリーニング手段として、インク吸収性に優れた多孔質の吸収体を用いている。
所定のタイミングでキャップ部材をクリ−ニング手段の吸収体に当接させ、吸収体に集積したインク等の異物をキャップ部材を介して吸引手段で除去するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1記載のインクジェット記録装置では、所定のタイミングで吸収体からインクを吸引しているが、吸収体はインクを吸収しているため、孔部のインクは吸引除去されるが、孔部以外は、吸引されても完全に除去されるわけではなく、表面にはインクが残留することとなる。
表面に残留したインクは、増粘・固化して吸収体の表面に堆積して、インクの吸収を妨げて、吸収体の性能が早期に劣化してしまう。
表面にインクが残留した状態でキャップ部材を当接させると、キャップ部材の当接部に増粘・固化したインクが転写して、さらにその状態で、記録ヘッドの吐出面をキャッピングすると、当接部の増粘・固化したインクが吐出面に付着することとなる。増粘・固化したインクは、ワイピング時に負荷となり、拭き残しを発生させたり、吐出口付近に増粘・固化したインクが移動させられて吐出曲がり、不良を引き起こす原因となる。
表面にインクが残留した状態でブレードを圧接させると、増粘・固化したインクがブレード側に転写して、ブレードに付着する。その状態でワイピングを行うと、ブレードに付着した増粘・固化したインクを吐出口周りに付着させて吐出曲がりを起こしたり、吐出口内に押し込むことで不吐出を起こしたりする原因となる。
【0004】
本発明は、キャップ部材やブレードをクリーニングするクリーニング手段(クリーナー手段)の性能を長期に亘って維持でき、記録ヘッドからの吐出を良好に維持できる画像形成装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、記録媒体に液滴を吐出する記録ヘッドの吐出面に当接するキャップ部材と、前記キャップ部材に接続され、前記キャップ部材内に負圧を形成する吸引手段と、前記キャップ部材が前記記録ヘッドから離れた位置で前記キャップ部材に当接して、前記キャップ部材に付着した液体を吸収して除去する多孔体を有するクリーナー手段と、前記多孔体に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、を備え、前記多孔体に前記キャップ部材を当接させた状態で、前記吸引手段で前記多孔体から前記キャップ部材を介して前記液体を吸引することを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の画像形成装置において、前記記録ヘッド及び前記キャップ部材を各々複数有していることを特徴とする。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の画像形成装置において、前記多孔体は前記複数のキャップ部材に選択的に当接することを特徴とする。
請求項4記載の発明では、請求項2記載の画像形成装置において、前記多孔体が複数設けられ、前記洗浄液供給手段は前記複数の多孔体に選択的に洗浄液を供給可能であることを特徴とする。
【0007】
請求項5記載の発明では、請求項4記載の画像形成装置において、前記洗浄液は顔料インクを使用した記録ヘッドの吐出面に当接するキャップ部材に対応した多孔体のみに供給することを特徴とする。
請求項6記載の発明では、請求項2記載の画像形成装置において、前記多孔体が複数設けられ、前記洗浄液供給手段は第一の洗浄液と第二の洗浄液とを別々の多孔体に供給することを特徴とする。
請求項7記載の発明では、請求項6記載の画像形成装置において、第一の洗浄液は顔料インクを洗浄可能で、第二の洗浄液は染料インクを洗浄可能であることを特徴とする。
請求項8記載の発明では、請求項6記載の画像形成装置において、第一の洗浄液は定着液を洗浄可能で、第二の洗浄液はインクを洗浄可能であることを特徴とする。
請求項9記載の発明では、請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記クリーナー手段は前記キャップ部材の上方に配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、クリーナー手段の多孔体に洗浄液を供給することで、多孔体の表面などに残った増粘したインクなどをキャップの吐出面当接部に付着させないため、キャップとの当接によって記録ヘッドの吐出面に増粘したインクが転写されるのを抑制でき、不吐出を防止することができる。
また、インク吸収体である多孔体の寿命が長くなり、クリーナー手段の性能が安定して持続する。また、キャップから洗浄液を吸引することで、キャップから下流の吸引経路内もクリーニングされることにより、吸引経路の目詰まりなどを防止でき、吸引不良を発生させない効果もある。
選択的に洗浄液を供給することで、使用する洗浄液を少なくしたり、部品構成が少なくなるので、コストダウンとなる。
乾燥・固化しやすいインクまたは定着液など、吐出する液に合わせた洗浄液を使用することにより、溶解性を高めることが可能で、キャップのクリーニング性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の印刷部の構成図である。
【図2】印刷後、記録ヘッドのメンテナンスをする動作の初期状態を示す図である。
【図3】ヘッド維持装置が記録ヘッドの下部のメンテナンス位置に位置した状態を示す図である。
【図4】ヘッド維持装置のキャップ部材と記録ヘッドの吐出口が当接した状態(キャッピング状態)を示す図である。
【図5】キャップ部材のクリーニングを行っている状態を示す図である。
【図6】印刷動作〜記録ヘッドのメンテナンス〜キャップ部材のクリーニング動作を示すフローチャートである。
【図7】洗浄液供給〜キャップ部材のクリーニング動作を示すフローチャートである。
【図8】キャップ部材を有するヘッド維持装置の概要断面図である。
【図9】制御ブロック図である。
【図10】第2の実施形態に係る画像形成装置の印刷部の構成図である。
【図11】キャップ部材内の乾燥度合いによる制御の違いを示すフローチャートである。
【図12】第3の実施形態に係る画像形成装置の印刷部の構成図である。
【図13】不吐出検知に伴う制御を示すフローチャートである。
【図14】不吐出検出手段の概要構成図である。
【図15】第4の実施形態に係る画像形成装置の印刷部の構成図である。
【図16】第5の実施形態に係る画像形成装置の印刷部の構成図である。
【図17】第6の実施形態に係る画像形成装置の印刷部の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
図1乃至図9に基づいて第1の実施形態を説明する。図1は印字中の画像形成装置の印刷部の側面図である。
画像形成装置は図示した印刷部の他に、図示しない画像読み取り部、給紙部、排紙部等を有している。
画像形成装置の印刷部100は、記録媒体としての印刷用紙2を搬送する搬送装置4と、液滴を吐出する複数の記録ヘッド6を有するヘッド部8と、キャップ部材(以下、単に「キャップ」という)10、吸引手段12(図9参照)を有するヘッド維持装置14と、クリーナー手段16と、洗浄液供給手段18とを備えている。
【0011】
搬送装置4は、無端ベルト20、搬送駆動ローラ22、搬送従動ローラ24、吸引ファン26からなり、吸引ファン26が動作することにより吸引負圧が発生して、無端ベルト20に設けられた吸引孔(図示せず)で印刷用紙2を吸引搬送することが可能である。
クリーナー手段16は、キャップ10に付着した液体を吸収して除去する多孔体28と、この多孔体28を保持する多孔体保持体30とを有している。
洗浄液供給手段18は、洗浄液タンク32、洗浄液供給弁34、洗浄液供給チューブ36等で構成されている。
【0012】
ヘッド部8は複数の記録ヘッド6が無端ベルト20の搬送面に沿うように搬送装置4の上方に配置されており、印刷用紙2に向けて液滴を吐出することにより画像が形成可能である。
印字中、ヘッド維持装置14は、ヘッド維持装置移動手段14a(図9参照)によりヘッド部8の用紙搬送方向下流の退避位置に移動させられている。退避位置はクリーナー手段16に対向する位置でもある。
ヘッド維持装置14には、印字後に記録ヘッド6の吐出面(吐出口)に当接して吐出口のインクの乾燥を防止したり、連通した負圧発生ポンプ(吸引ポンプともいう)12a(図9参照)で増粘インクなどを吸引・排出するキャップ10が配設されている。キャップ10は記録ヘッド6の数に対応して複数設けられている。
【0013】
ヘッド維持装置14が退避位置(図1に示す位置)にある時、キャップ10はクリーナー手段16の多孔体28に当接している。
多孔体28は、インク、洗浄液に対して耐蝕性があり、かつ吸収性の高い多孔質の吸収部材である。多孔体保持体30は、洗浄液、インクなどが乾燥し難い材料、また、キャップ10から洗浄液を吸引する時に、多孔体28に適切に負圧が作用するように、空気を遮断する材料で構成されている。
洗浄液供給手段18の洗浄液タンク32は、クリーナー手段16の上方に位置し、洗浄液供給チューブ36を介して多孔体保持体30に連通している。洗浄液供給弁34は、印字中は閉じられている。
【0014】
次に、印字終了後のヘッド維持動作(吐出面回復動作)を図2〜図4を用いて説明する。
図2は記録ヘッド6のメンテナンスの第一動作を示している。印字終了後、クリーナー手段16はクリーナー移動手段16a(図9参照)によって上方に移動(矢印A移動)させられて、キャップ10との当接を解除される。それと同時にヘッド部8もヘッド移動手段8a(図9参照)によって上方に移動(矢印B移動)させられて、ヘッド維持装置14の移動経路(水平ないし左右移動)から退避する。
その後、ヘッド維持装置14は、図3に示すように、ヘッド維持移動手段14aによって用紙搬送方向上流に水平移動(矢印C移動)してヘッド部8の下部(メンテナンス位置)に位置する。その後、図4に示すように、ヘッド部8がキャップ10に当接するキャッピング位置まで下降(矢印D移動)して、キャップ10と記録ヘッド6の吐出面が当接することによりインクの乾燥を防止する。
この場合、ヘッド部8を下降させずにキャップ10のみを上方に移動させて吐出面に当接させる(キャッピングする)ようにしてもよい。
【0015】
次に、放置後から印字開始までの動作を説明する。
上記した印字からキャッピングまでの動作の逆のプロセスを行う。すなわち、ヘッド移動手段8aがヘッド部8を上方に移動させて、キャップ10との当接を解除する。ヘッド維持装置14は、ヘッド維持装置移動手段14aによって、用紙搬送方向下流に水平移動してクリーナー手段16の下部の退避位置に移動する。
クリーナー移動手段16aによって、クリーナー手段16が下方に移動させられて、キャップ10とクリーナー手段16の多孔体28が当接する。
【0016】
洗浄液の供給について説明する。
洗浄液供給手段18の洗浄液タンク32には、増粘したインクや、固化したインクを溶解することができるインク溶解性の洗浄液が充たされている。洗浄液供給弁34は、電磁弁、または、チューブを押しつぶして閉塞するような構成でも良い。
キャップ10と多孔体28が当接した後に、洗浄液供給弁34が開くことにより洗浄液が多孔体28に供給される。電磁弁が開いている時間は、多孔体28が洗浄液で充たされ、且つ、多孔体28から洗浄液が垂れ落ちない程度の時間として制御される。この時間は実験的に求めることができる。
多孔体28に洗浄液が充たされて、キャップ10と多孔体28が当接したままヘッド維持移動手段16aがヘッド維持装置14を水平方向に微小に移動(矢印E移動)させることで(図5参照)、キャップ10は多孔体28に擦り付けられ、キャップ10の洗浄効果が上がる。
図6は、上記した動作を示すフローチャートである。
【0017】
図7に洗浄液供給からキャップクリーニングまでのフローチャートを示す。洗浄液は、経時的に多少蒸発するので、前回洗浄液を供給してからある一定時間α(実験により求められる値)が経過した場合、それを補う必要がある。経過時間の大きさに応じて洗浄液供給弁34を開く時間がテーブル制御される。これらの時間の計測は計時手段38としてタイマ38aによりなされる(図9参照)。
また、キャップ10からの洗浄液の吸引は、多孔体28に含まれている洗浄液を全て吸引する必要はなく、キャップ10と多孔体28が当接している周辺部までを吸引できる時間で良い。
【0018】
図8を用いてヘッド維持装置14を具体的に説明する。キャップ10の下流には、吸引チューブ40を介して吸引手段12である負圧発生ポンプ12aが接続されている。吸引手段12においては、液体を送液可能な負圧発生ポンプであれば特に限定はない。
例えば、柔らかいチューブを押しつぶして送液するチュービングポンプや、ダイヤフラムポンプなどがある。その他の負圧発生ポンプでも構わない。
負圧発生ポンプ12aの下流には、チューブ(図示せず)を介して廃液タンク(図示せず)に繋がっている。ヘッド維持装置14のベース42は断面コ字形の容器状になっており、キャップ外に垂れ落ちた洗浄液を受ける構造となっている。ベース42をチューブ(図示せず)を介して廃液タンク(図示せず)に接続しておくことで、洗浄液を無端ベルト20上に垂れ落とすことがないので、印刷用紙を汚損したり、搬送装置4を汚したりすることがない。
また、ヘッド維持装置14にブレード44を同時に配設しても良い。ブレード44は、従来知られている一般的なワイパーブレードで、ゴムなどの弾性体からなっており、吸引回復後の吐出面に付着したインク、紙粉などを取り除く役目を果たす。
ブレード44がキャップ10と同時に多孔体28に当接することでクリーニングされ、ブレード44に増粘したインクが付着することがない。
上記各手段、要素の動作は、図9に示す制御手段46により制御される。制御手段46は、CPU、ROM、RAM、図示しないI/Oインターフェース等を有するマイクロコンピュータである。なお、図9は他の実施形態の制御手段も兼ねた形で表示している。
【0019】
図10に基づいて第2の実施形態を説明する。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略する(以下の他の実施形態において同じ)。
ここでは、洗浄液供給弁を持たない洗浄液供給手段の実施例を説明する。洗浄液供給手段50は、クリーナー手段16の左方に配設された洗浄液タンク52と、多孔体保持体30に連通する洗浄液供給チューブ54を有している。洗浄液供給チューブ54は、内側にスポンジなどの洗浄液多孔体56を有し、外側をゴムなどの材質のチューブで構成されている。
洗浄液供給チューブ54の洗浄液多孔体56の先端は、洗浄液タンク52の底まで位置するように配置されている。また、クリーナー手段側の先端は、クリーナー手段16の多孔体28に接している。洗浄液タンク52内の洗浄液の液面と、クリーナー手段16の多孔体28の面は、水頭差が設けられており、クリーナー手段16の多孔体28から洗浄液が垂れ落ちることのないようになっている。
通常は洗浄液供給チューブ54内の洗浄液多孔体56は毛細管現象により洗浄液が充たされ、クリーナー手段16の多孔体28まで洗浄液が充たされ、キャップ10の吸引により必要量が吸引された後は、水頭差によりクリーナー手段16の多孔体28の液面が若干上方になることで、洗浄液の垂れ落ちが防止される。
【0020】
図11にキャップ内の乾燥度合いによる制御の違いをフロー図で示す。
キャップ内の乾燥度合いは、タイマ38a(図9参照)と温湿度検出手段60である温湿度センサ60a(図9参照)によって行われる。これは、高温低湿時はインクの乾燥が速く進み、高湿時は乾燥が進み難いという特徴から、予め求められた所定の温度、湿度の値を基準に判断される。
また、インクは経時的に乾燥し易い特性を持っているために、前回洗浄を行った時間からの所定の放置時間で判断される。判断基準は、実験的に求められる。
【0021】
図12乃至図14に基づいて第3の実施形態を説明する。
本実施形態では、第1の実施形態と比べて、洗浄液供給手段の洗浄液供給チューブが、各キャップに対応するように途中で分岐されていること、分岐されたチューブに対して洗浄液供給弁が配設されていること、多孔体保持体が各キャップに対応して仕切られ、仕切られた区画毎に多孔体が設けられていることが異なる。すなわち、多孔体が各キャップに対応して複数設けられている。
図12に示すように、洗浄液供給手段70の洗浄液供給チューブ72の分岐された下流側は、保持体仕切り74で仕切られた多孔体保持体30の各保持体内の多孔体76に連通している。
ここで洗浄液の供給は、搬送方向上流に顔料インクなど固まりやすいインクが記録ヘッド6に用いられている時、それに対応する洗浄液供給弁34が開けられて洗浄液が供給される。
図13にヘッド部8から選択的に吸引回復が行われた場合のフローチャートを示す。レーザー光線などを用いて不吐出を検知する技術が多々考案されている。この場合、不吐出を検出した記録ヘッド6のみに吸引回復を行えば排出するインクが少量で済む。
また、吸引回復を行った記録ヘッド6に対するキャップ10は、インクが多量に付着しているため、このキャップ10に対応する多孔体76に洗浄液を供給する必要がある。
【0022】
図14に記録ヘッド6の不吐出を検知する構成の一例を示す。不吐出検出手段106は、レーザー光線LBを発生可能なレーザー光源106aと、このレーザー光を受光するレーザー受光素子106bとを有している。本実施形態では不吐出検出手段106はヘッド部8に設けられているが、ヘッド維持装置14側に設けることもできる。
記録ヘッド6の目詰まりチェックは、吸引前に記録ヘッド6の吐出口とキャップ10とを離間させた状態で空吐出を行うことによりなされる。
インク滴を吐出していない記録ヘッド6があるとレーザー光線がインク滴に当たらないので、レーザー受光素子106bにレーザー光線が受光されてレーザー受光素子106bから制御手段46へ入力される検出信号のレベルが変化する。このレベル変化によって目詰まりを検出できる。
この検出動作を複数の記録ヘッド6で実施することにより、目詰まりをしている記録ヘッド6が特定できる。
吐出口(ノズル)チェックパターンを印字して対象記録ヘッドを特定しても良い。
【0023】
図15に第4の実施形態を示す。
本実施形態におけるクリーナー手段80は、キャップ1個にしか対応しておらず、クリーナー手段80を水平方向に移動させるクリーナー水平移動手段80a(図9参照)によって、クリーニング対象キャップに選択的に移動してクリーニングを行うことを特徴としている。
クリーナー手段80は、多孔体82と、この多孔体82を保持する多孔体保持体84とを有している。
【0024】
図16に第5の実施形態を示す。
本実施形態では、洗浄液供給手段18は顔料インクなど乾燥・固化し易いインクの記録ヘッド6のみに対応して設けられていることが特徴である。クリーナー手段86の多孔体保持体30は1つの保持体仕切り74によって2つに区画されている。用紙搬送方向上流側に位置する区画には1つのキャップ10に対応する大きさの多孔体88aが設けられており、下流側の区画には3つのキャップ10に対応する大きさの多孔体88bが設けられている。
用紙搬送方向最上流に位置する記録ヘッド6では顔料インクが用いられており、これに対応するキャップ10に対向する多孔体88aに対してのみ洗浄液供給手段18が設けられている。
他の記録ヘッド6では染料インクが用いられており、染料インクは顔料インクなどに比べて乾燥・固化しにくい特徴があるので、ここでは洗浄液を供給しないようにしている。
この構成により、洗浄液供給チューブ36、洗浄液供給弁34などが少なくて済み、コストダウンとなる。
【0025】
図17に第6の実施形態を示す。
本実施形態では、洗浄液タンクを2個配置しており、成分の異なる第一の洗浄液と第二の洗浄液を各洗浄液タンクに充たしている。すなわち、成分の異なる洗浄液を有する2つの洗浄液供給手段が設けられている。
顔料インクを用いた記録ヘッド6に対応するキャップ10に対しては洗浄液供給手段18Aが、染料インクを用いた3つの記録ヘッド6に対応する3つのキャップ10に対しては洗浄液供給手段18Bが設けられている。
洗浄液供給手段18Aの洗浄液タンク32には、乾燥・固化し易い顔料インクに対して溶解性が最適となるような第一の洗浄液が収容されている。一方、洗浄液供給手段18Bの洗浄液タンク32には、染料インクに対して溶解性が最適となるような第二の洗浄液が収容されている。
洗浄液の分け方としては、第一の洗浄液を定着液に対して溶解性が最適となるような洗浄液とし、第二の洗浄液を、例えば顔料インク、染料インクなどそのヘッドに用いられているインクを溶解するのに最適な洗浄液とするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0026】
2 記録媒体としての印刷用紙
4 記録ヘッド
10 キャップ部材
12a 吸引手段としての負圧発生ポンプ
16 クリーナー手段
18 洗浄液供給手段
28 多孔体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開平4−357044号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に液滴を吐出する記録ヘッドの吐出面に当接するキャップ部材と、
前記キャップ部材に接続され、前記キャップ部材内に負圧を形成する吸引手段と、
前記キャップ部材が前記記録ヘッドから離れた位置で前記キャップ部材に当接して、前記キャップ部材に付着した液体を吸収して除去する多孔体を有するクリーナー手段と、
前記多孔体に洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
を備え、前記多孔体に前記キャップ部材を当接させた状態で、前記吸引手段で前記多孔体から前記キャップ部材を介して前記液体を吸引することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記記録ヘッド及び前記キャップ部材を各々複数有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記多孔体は前記複数のキャップ部材に選択的に当接することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記多孔体が複数設けられ、前記洗浄液供給手段は前記複数の多孔体に選択的に洗浄液を供給可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置において、
前記洗浄液は顔料インクを使用した記録ヘッドの吐出面に当接するキャップ部材に対応した多孔体のみに供給することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2記載の画像形成装置において、
前記多孔体が複数設けられ、前記洗浄液供給手段は第一の洗浄液と第二の洗浄液とを別々の多孔体に供給することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置において、
第一の洗浄液は顔料インクを洗浄可能で、第二の洗浄液は染料インクを洗浄可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6記載の画像形成装置において、
第一の洗浄液は定着液を洗浄可能で、第二の洗浄液はインクを洗浄可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記クリーナー手段は前記キャップ部材の上方に配設されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−162791(P2010−162791A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7855(P2009−7855)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】