説明

画像形成装置

【課題】記録媒体を搬送する際の負荷変動による画像ムラの発生を抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成部12により画像が形成された長尺の記録用紙Pをカッター20に搬送するメイン搬送経路22の一部に記録用紙Pの搬送方向を変更すると共に当該記録用紙Pを湾曲させる変更湾曲部22Bを設け、当該変更湾曲部22Bで記録用紙Pの搬送を一時的に滞留させて画像形成の処理速度と切断の処理速度の差を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に長尺状の記録媒体に対して順次画像を形成し、画像毎に記録媒体を切断することにより個別に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺状の記録用紙等の記録媒体に対して順次画像を形成し、画像毎に記録媒体を切断することにより個別に画像を形成する画像形成装置が広く知られている。
【0003】
この種の画像形成装置では、長尺状の記録媒体に対して順次画像を形成して画像毎に切断するため、記録媒体の切断の際に記録媒体の搬送を停止させた場合、画像を形成する生産性が低下する。
【0004】
そこで、特許文献1には、長尺状の記録用紙に画像を形成するプリンタ部と記録用紙をカットする切断部の間で記録用紙に弛みを持たせて通過させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−281684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術では、記録用紙に弛みを持たせたとしても、記録用紙の弾力により記録用紙を搬送する際の負荷変動が伝搬し、画像にムラが発生する。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して、記録媒体を搬送する際の負荷変動による画像ムラの発生を抑えることができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、搬送される長尺状の記録媒体に対して順次画像を形成する画像形成手段と、画像が形成された前記記録媒体を画像毎に切断する切断手段と、少なくとも一部に前記記録媒体の搬送方向を変更すると共に当該記録媒体を湾曲させる変更湾曲部が設けられ、前記画像形成手段により画像が形成された前記記録媒体を前記切断手段に搬送する搬送経路と、前記変更湾曲部で前記記録媒体の搬送を一時的に滞留させて前記画像形成手段による画像形成の処理速度と前記切断手段による切断の処理速度の差を調整する調整手段と、を備えている。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、画像形成手段により、搬送される長尺状の記録媒体に対して順次画像が形成され、切断手段により、画像が形成された記録媒体が画像毎に切断される。
【0010】
そして、本発明によれば、画像形成手段により画像が形成された記録媒体を切断手段に搬送する搬送経路の少なくとも一部に記録媒体の搬送方向を変更すると共に当該記録媒体を湾曲させる変更湾曲部が設けられ、調整手段により、変更湾曲部で記録媒体の搬送を一時的に滞留させて画像形成手段による画像形成の処理速度と切断手段による切断の処理速度の差が調整される。
【0011】
このように、請求項1に記載の発明よれば、画像形成手段により画像が形成された記録媒体を切断手段に搬送する搬送経路の少なくとも一部に記録媒体の搬送方向を変更すると共に当該記録媒体を湾曲させる変更湾曲部を設け、当該変更湾曲部で記録媒体の搬送を一時的に滞留させて画像形成の処理速度と切断の処理速度の差を調整しているので、記録媒体を搬送する際の負荷変動が発生しても記録媒体の搬送方向を変更したことにより負荷変動が伝搬しなくなるため、記録媒体を搬送する際の負荷変動による画像ムラの発生を抑えることができる。
【0012】
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記調整手段が、前記変更湾曲部の前記画像形成手段より搬送される前記記録媒体の搬送方向が最初に変わる部分で前記記録媒体の搬送を一時的に滞留させることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、請求項3に記載の発明のように、前記調整手段は、前記画像形成手段による画像形成の処理速度に応じて前記記録媒体を搬送させる第1駆動源と、前記切断手段による切断の処理速度に応じて前記記録媒体を搬送させる第2駆動源と、備えてもよい。
【0014】
また、本発明は、請求項4に記載の発明のように、前記画像形成手段を、前記記録媒体にインク滴を吐出して画像を形成するインクジェット方式とし、前記搬送経路を、前記画像形成手段による画像形成位置で水平方向とすると共に水平方向に搬送される前記記録媒体の搬送方向を前記変更湾曲部で上方向に変更することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、記録媒体を搬送する際の負荷変動による画像ムラの発生を抑えることができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す側面図である。
【図2】実施の形態に係る吸着搬送部の構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態に係る吸着搬送部の構成を示す断面図である。
【図4】実施の形態に係る画像形成装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
図1には、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成を示す側面図が示されている。
【0019】
本実施の形態に係る画像形成装置10は、記録用紙に画像を形成する画像形成部12を備えている。画像形成部12は、記録用紙に向けてインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド14と、インクジェット記録ヘッド14を保持するキャリッジ16とを有する。本実施の形態では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色で画像を形成するカラー式の画像形成装置10として説明するが、モノクロ式の画像形成装置であっても適用可能である。
【0020】
また、画像形成装置10は、後述する長尺状の記録用紙の後端を切断する後端カッター17と、記録用紙のインクジェット記録ヘッド14により画像が形成された面側に乾燥風を送給してインク滴を固化させるドライヤー18と、記録用紙を画像毎に切断するカッター20と、記録用紙をインクジェット記録ヘッド14、後端カッター17、ドライヤー18、カッター20へ順次搬送するメイン搬送経路22と、を備えている。なお、図1ではカッター20には2枚の刃を描いているが、刃の枚数は1枚であってもよい。
【0021】
メイン搬送経路22には、記録用紙を水平方向へ搬送する水平部分22Aが設けられている。この水平部分22Aには、インクジェット記録ヘッド14による画像形成位置、後端カッター17によるカット位置、及びドライヤー18による乾燥風の送給位置が順に配置されている。また、水平部分22Aには、インクジェット記録ヘッド14による画像形成の処理速度に応じて記録用紙を搬送するための複数のローラ対23Aが設けられている。
【0022】
また、メイン搬送経路22は、水平方向に搬送される記録用紙の搬送方向を上側に所定の曲率でU字状に変更すると共に記録用紙を湾曲させる変更湾曲部22Bが設けられている。この変更湾曲部22Bには、カッター20による切断の処理速度に応じて記録用紙を搬送するための複数のローラ対23Bが設けられている。変更湾曲部22Bは、記録用紙の搬送を一時的に滞留させて記録用紙を外側に湾曲させることにより記録用紙を一時的に保持することが可能とされている。本実施の形態では、記録用紙の搬送方向が最初に変わる部分で記録用紙の搬送を一時的に滞留させる。変更湾曲部22Bには、形成可能な最大画像で1枚分の記録用紙が保持されて記録用紙が外側に湾曲した位置に記録用紙を検出する用紙センサ80が設けられている。用紙センサ80は、例えば、発光素子80Aと受光素子80Bが対向されて構成され、受光素子80Bで発光素子80Aからの光が記録用紙を遮断されたことを検知することにより記録用紙を検出する。
【0023】
変更湾曲部22Bを通過した記録用紙はカッター20に搬送され、画像毎に切断される。カッター20で画像毎に切断された記録用紙Pは、複数のローラ対23Cによる搬送によりスイッチバック収納部70に一旦収納された後に搬送方向が反転されて排紙口72からトレイ73へ排出される。
【0024】
また、画像形成装置10は、両面印刷用の反転搬送経路74を備えている。反転搬送経路74は、ローラ対74Aを含んで構成されている。インクジェット記録ヘッド14により片面に画像が形成された記録用紙は、反転搬送経路74で表裏が反転されて再びメイン搬送経路22に送給される。これにより、記録用紙の両面に画像を形成することが可能とされている。
【0025】
メイン搬送経路22のローラ対23A及び反転搬送経路74のローラ対74Aはモータ82Aから駆動伝達経路84Aを介して伝達された駆動力によって回転駆動し、変更湾曲部22Bのローラ対23Bはモータ82Bから駆動伝達経路84Bを介して伝達された駆動力によって回転駆動する。すなわち、本実施の形態では、ローラ対23A及びローラ対74Aを駆動させる駆動源及び駆動伝達経路とローラ対23Bを駆動させる駆動源及び駆動伝達経路を別々としている。
【0026】
また、画像形成装置10は、シート状の記録用紙PSを給紙するシート式給紙部24と、長尺状の記録用紙を給紙する第1ロール式給紙部26及び第2ロール式給紙部28と、を備えている。シート式給紙部24は、記録用紙の上面側が大気開放面側となるように記録用紙を収容する給紙カセット25を備えている。
【0027】
給紙カセット25は、例えば、内部の仕切り部材等の位置を調整することによってサイズの異なるシート状の記録用紙PSが収納可能とされている。給紙カセット25には、収納されたシート状の記録用紙PSのサイズを検出するための複数のメカニカルスイッチ(不図示。)が設けられている。この複数のメカニカルスイッチは、収納されたシート状の記録用紙PSに当接されることにより、当該シート状の記録用紙PSのサイズに応じてオン、オフ状態の組み合わせが変わるように配置されており、各メカニカルスイッチのオン、オフ状態の組み合わせに応じて収納されている記録用紙PSのサイズを検出することができる。
【0028】
第1ロール式給紙部26及び第2ロール式給紙部28は、例えば、102mm〜254mmの間で幅の異なる長尺状の記録用紙をロール状に巻回したロール状記録用紙27が収納可能とされている。第1ロール式給紙部26及び第2ロール式給紙部28にも、収納されたシート状のロール状記録用紙27の幅を検出するための複数のメカニカルスイッチ(不図示。)が設けられている。さらに、第1ロール式給紙部26及び第2ロール式給紙部28には、ロール状記録用紙27の厚さに基づいて記録用紙の残量を検出する残量センサ29がそれぞれ設けられている。なお、ロール状記録用紙27の重さに基づいて記録用紙の残量を検出するようにしてもよい。
【0029】
画像形成装置10は、シート式給紙部24から送り出されたシート状の記録用紙PSを搬送するシート搬送部30と、第1ロール式給紙部26から巻き出された長尺状の記録用紙PR1を搬送する第1ロール搬送部32と、第2ロール式給紙部28から巻き出された長尺状の記録用紙PR2を搬送する第2ロール搬送部34と、を備えている(以下、説明の都合上、記録用紙PS、PR1、PR2の総称を記録用紙Pと記載して説明する)。
【0030】
また、画像形成装置10は、シート式給紙部24、第1ロール式給紙部26、第2ロール式給紙部28、及び反転搬送経路74からの記録用紙Pをメイン搬送経路22に送給する副走査ローラ40を備えている。シート状の記録用紙PS、長尺状の記録用紙PR1、長尺状の記録用紙PR2は選択的に副走査ローラ40を介してメイン搬送経路22に搬送される。
【0031】
なお、記録用紙Pは、例えば写真プリントに用いるフォトプリント用の用紙や普通紙である。フォトプリント用の用紙では、吸水性のシリカ粒子を含有するコーティング層が両面に形成されている。従って、記録用紙Pの片面で乾燥が進むと、この片面側のコーティング層が収縮し、この片面が凹となるようにカールする。また、普通紙の場合でも、同様に、片面が大気面と接すると、この片面の乾燥が進んで紙繊維の収縮が進み、この片面が凹となるようにカールする。また、近年フォトブック用に両面に吸水性のシリカ粒子を含有するコーティング層を有する用紙についても同様の特性を持つ。さらに、ロール状記録用紙27は、ロール状に巻回されているため、巻回された内側が凹となるようにカールする。
【0032】
そこで、メイン搬送経路22には、インクジェット記録ヘッド14による画像形成位置に搬送される記録用紙の平面性を確保しつつ記録用紙とインクジェット記録ヘッド14との距離を一定に保つため、吸着搬送部42が設けられている。この吸着搬送部42は、副走査ローラ40から搬出された記録用紙Pを吸着しつつ画像形成部12で画像が形成される領域(すなわちインクジェット記録ヘッド14の直下)に吸着搬送するようになっている。
【0033】
また、反転搬送経路74には、記録用紙をデカール処理するデカール搬送部38を備えている。デカール搬送部38は、画像が形成されて上面が凹にカールした記録用紙のデカールを行なって、メイン搬送経路22上で表面が凸となるようにカールさせる。
【0034】
(吸着搬送部の機構)
図2には吸着搬送部42の構成を示す斜視図が示されており、図3には吸着搬送部42の幅方向の断面図が示されている。
【0035】
吸着搬送部42は、上側にメイン搬送経路22を形成すると共に記録用紙Pの幅方向に対して2つの空気室(チャンバー)48A、48Bを形成する空気室形成部材50と、空気室48A、48Bにそれぞれ対応して設けられ負圧吸引を行なう2つの吸引ファン52A、52Bと、を備えている。
【0036】
空気室形成部材50は、記録用紙Pの幅方向に対する幅が、本画像形成装置10で使用可能な記録用紙Pの最大幅よりも大きく形成されており、メイン搬送経路22を形成する上面に空気室48とメイン搬送経路22の上側とを連通させるための多数の吸引孔49が配置されている。また、空気室形成部材50の底側には、吸引ファン52A、52Bがそれぞれ空気室48A、48Bと連通するように、開口62A、62Bが形成されている。
【0037】
記録用紙Pは、幅方向の一端が空気室形成部材50の幅方向一端となるように吸着搬送部42に搬送される。
【0038】
図4には、画像形成装置10の電気系の要部構成が示されている。
【0039】
同図に示すように、画像形成装置10は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)100と、各種データを一時的に記憶するRAM102と、装置全体を制御する制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM104と、各種情報を記憶する不揮発性メモリ105と、各種の操作画面を表示する液晶表示パネル等の表示装置106に接続されて当該表示装置106を制御する表示制御部108と、ユーザからの各種の操作指示が入力される操作パネル110に接続されて当該操作パネル110に対する操作を検出する操作入力検出部112と、を備えている。
【0040】
また、画像形成装置10は、上述した画像形成部12による画像形成処理を制御する画像形成制御部116と、吸着搬送部42の吸引ファン52A、52Bを制御する吸引制御部118と、記録用紙Pの搬送を制御する搬送制御部120と、後端カッター17及びカッター20による切断動作を制御するカッター制御部121と、を備えている。
【0041】
搬送制御部120は、シート搬送部30、第1ロール搬送部32、第2ロール搬送部34を制御して記録用紙Pを選択的にメイン搬送経路22に搬送させる。また、搬送制御部120は、モータ82A及びモータ82Bを制御して記録用紙Pのメイン搬送経路22の搬送を制御する。
【0042】
CPU100、RAM102、ROM104、不揮発性メモリ105、表示制御部108、操作入力検出部112、画像形成制御部116、吸引制御部118、搬送制御部120、及びカッター制御部121は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU100は、RAM102、ROM104、及び不揮発性メモリ105へのアクセスと、表示制御部108を介した表示装置106への操作画面、各種メッセージ等の各種情報の表示の制御と、画像形成制御部116を介した画像形成部12の作動の制御と、吸引制御部118を介した記録用紙Pの吸着の制御と、搬送制御部120を介した記録用紙Pの搬送の制御と、カッター制御部121を介した後端カッター17及びカッター20の作動の制御と、を各々行うことができる。また、CPU100は、操作入力検出部112により検出された操作情報に基づく、操作パネル110に対する操作内容を把握することができる。
【0043】
また、システムバスBUSには、用紙センサ80がさらに接続されている。従って、CPU100は、変更湾曲部22Bに最大画像で1枚分の記録用紙が保持されたか否かの把握を行うことができる。
【0044】
さらに、システムバスBUSには、用紙サイズ検出部122及び残量センサ29がさらに接続されている。用紙サイズ検出部122は、シート状の記録用紙PSのサイズ毎に記録用紙PSの幅を示した用紙幅情報が記憶されている。用紙サイズ検出部122は、給紙カセット25に設けられた複数のメカニカルスイッチのオン、オフ状態の組み合わせに応じて給紙カセット25に収納された記録用紙PSのサイズを検出し、用紙幅情報に基づいて検出された記録用紙PSの幅を導出する。また、用紙サイズ検出部122は、第1ロール式給紙部26及び第2ロール式給紙部28にそれぞれ設けられた複数のメカニカルスイッチのオン、オフ状態の組み合わせに応じて第1ロール式給紙部26及び第2ロール式給紙部28に収納されたロール状記録用紙27の幅を検出する。従って、CPU100は、給紙カセット25に収納された記録用紙PSの幅や第1ロール式給紙部26、第2ロール式給紙部28に収納されたロール状記録用紙27の幅の把握と、第2ロール式給紙部28に収納されたロール状記録用紙27の残量の把握と、を各々行うことができる。
【0045】
(作用、効果)
以下、本実施の形態の作用、効果について説明する。
【0046】
画像を形成する場合、メイン搬送経路22には、シート状の記録用紙PS、長尺状の記録用紙PR1、長尺状の記録用紙PR2から選択的に画像形成対象とする記録用紙Pが搬送される。吸着搬送部42では、図2に示すように、記録用紙Pの幅方向の一端が空気室形成部材50の幅方向一端となるように搬送される。記録用紙Pは、吸着搬送部42からの吸着力が作用していない場合、メイン搬送経路22に対して若干凸となる向きにカールしている。
【0047】
CPU100は、記録用紙Pに対して画像形成を行なう場合、画像形成対象とする記録用紙Pの幅を把握し、画像形成対象とする記録用紙Pの幅が空気室48Aの幅以下の場合は吸着搬送部42を制御して吸引ファン52Aの負圧吸引させて吸着搬送部42の空気室48Aに対応する領域でのみ記録用紙Pを吸着させ、画像形成対象とする記録用紙Pの幅が空気室48Aの幅よりも大きい場合は吸着搬送部42を制御して吸引ファン52A、52Bの負圧吸引させて吸着搬送部42の全面で記録用紙Pを吸着させる。
【0048】
また、CPU100は、画像形成部12を制御してキャリッジ16を走査させると共にインクジェット記録ヘッド14からインク滴を吐出させて記録用紙Pに画像を一定幅ずつ形成させ、画像が一定幅形成される毎に、搬送制御部120を介してモータ82Aを制御してローラ対23Aを回転駆動させ、記録用紙Pを搬送方向に間欠搬送させる。
【0049】
これにより、記録用紙Pは、吸着搬送部42で吸着搬送され、画像形成部12でインクジェット記録ヘッド14からのインク吐出滴により記録用紙PSの上面側に画像が形成される。
【0050】
画像が形成された記録用紙Pには、ドライヤー18からの温風が当てられ、インク滴を固化させる。また、長尺状の記録用紙PR1及び長尺状の記録用紙PR2は、後端カッター17で後端がカットされる。後端カッター17及びドライヤー18を通過した記録用紙Pは、変更湾曲部22Bに搬送されて外側に湾曲することにより変更湾曲部22Bに一時的に保持される。
【0051】
また、CPU100は、変更湾曲部22Bに保持された記録用紙Pが最大画像で1枚分となり、用紙センサ80で記録用紙Pが検出された場合、搬送制御部120を介してモータ82Bを制御してローラ対23Bを回転駆動させ、記録用紙Pを画像1枚分だけ搬送させ、カッター制御部121を介してカッター20を制御して画像毎に記録用紙Pを切断する。
【0052】
画像毎に切断された記録用紙Pは、スイッチバック収納部70に一旦収納された後に搬送方向が反転されて排紙口72からトレイ73へ排出される。
【0053】
一方、記録用紙Pの両面に画像を形成する場合には、後端カッター17及びドライヤー18を通過した記録用紙Pの搬送方向が逆方向に切り換えられて反転搬送経路74上を搬送される。
【0054】
なお、インク吐出滴に含まれている溶媒が、記録用紙PSのコーティング層もしくは紙の繊維に吸収され、記録用紙PSの上面側が下面側よりも吸湿して伸長する。このため、記録用紙PSには、上面側に更に凸となるようにカールする力が作用する。
【0055】
反転搬送経路74では、記録用紙PSをデカール搬送部38でデカール処理する。このように、デカール搬送部38でデカール処理された記録用紙PSは、カール方向が反転する。すなわち、デカール搬送部38から搬出された状態では記録用紙PSは上に凸、すなわちメイン搬送経路22上で凸にカールしている。従って、2回目の画像形成(反対面側への画像形成)でメイン搬送経路22を記録用紙PSが搬送される際、1回目の画像形成のときと同様、記録用紙PSは搬送経路形状に沿った形状にされて搬送され、先端がメイン搬送経路22から浮き上がることがない。
【0056】
以上説明したように本実施の形態よれば、画像形成部12により画像が形成された長尺の記録用紙Pをカッター20に搬送するメイン搬送経路22の一部に記録用紙Pの搬送方向を変更すると共に当該記録用紙Pを湾曲させる変更湾曲部22Bを設け、当該変更湾曲部22Bで記録用紙Pの搬送を一時的に滞留させて画像形成の処理速度と切断の処理速度の差を調整しているので、記録用紙Pを搬送する際の負荷変動が発生しても記録用紙Pの搬送方向を変更したことにより負荷変動が伝搬しなくなるため、記録用紙Pを搬送する際の負荷変動による画像ムラの発生を抑えることができる。
【0057】
また、本実施の形態よれば、変更湾曲部22Bの画像形成部12より搬送される記録用紙Pの搬送方向が最初に変わる部分で記録用紙Pの搬送を一時的に滞留させることにより、画像形成部12からの搬送力で記録用紙Pが湾曲して搬送方向下流側からの負荷変動が吸収されるため、負荷変動が伝搬しなくなる。
【0058】
また、本実施の形態よれば、画像形成部12による画像形成の処理速度に応じて記録用紙Pを搬送させるモータ82A及び駆動伝達経路84Aと、カッター20による切断の処理速度に応じて記録用紙Pを搬送させるモータ82B及び駆動伝達経路84Bとを分けているため、カッター20側の駆動力の伝達経路に負荷変動が発生しても画像形成部12側に当該負荷変動が伝達することを防止できる。
【0059】
特に、記録用紙Pにインク滴を吐出して画像を形成するインクジェット方式の画像形成部12では、高画質な画像を形成するには記録用紙Pの平面性を確保し、さらに、印刷時に記録用紙Pと画像形成部12との距離を一定に保つことが重要であるため、メイン搬送経路22を、画像形成部12による画像形成位置で水平方向とすると共に水平方向に搬送される記録用紙Pの搬送方向を変更湾曲部22Bで上方向に変更することが好ましい。
【0060】
なお、上記実施の形態では、変更湾曲部22Bに形成可能な最大画像で1枚分の記録用紙を保持可能とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数枚分の記録用紙を保持可能としてもよく、少なくと1枚分保持可能あればよい。
【0061】
また、上記実施の形態では、変更湾曲部22Bに用紙センサ80を設けて1枚分の記録用紙を保持されたか否かを検出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ローラ対23Aによる記録用紙Pの搬送距離とローラ対23Bによる記録用紙Pの搬送距離との差を求め、搬送距離の差から保持された記録用紙の長さを検出するようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、給紙カセット25や第1ロール式給紙部26、第2ロール式給紙部28に複数のメカニカルスイッチを設けて記録用紙Pのサイズや幅を取得する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ユーザが操作パネル110に対して記録用紙Pのサイズを入力することにより記録用紙Pのサイズを取得するものとしてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、吸着搬送部42として記録用紙Pの幅方向に対して2つの空気室48A、48Bと空気室48A、48Bにそれぞれ対応して2つの吸引ファン52A、52Bを設けた場合について説明したが、2以上設けて、記録用紙Pの幅が広いほど動作させる吸引ファンの数を多くする制御を行なうようにしてもよい。
【0064】
さらに、上記実施の形態では、インクジェット方式の画像形成装置に本発明を適用した場合について説明したが、例えば、電子写真方式等の他の方式の画像形成装置に本発明を適用してもよい。
【0065】
その他、上記実施の形態で説明した画像形成装置10の構成(図1参照。)、吸着搬送部42の構成(図2、図3参照。)及び画像形成装置10の電気系の構成(図4参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0066】
10 画像形成装置
12 画像形成部(画像形成手段)
20 カッター(切断手段)
22 メイン搬送経路(搬送経路)
22B 変更湾曲部
23A ローラ対(調整手段)
23B ローラ対(調整手段)
82A モータ(第1駆動源)
82B モータ(第2駆動源)
84A 駆動伝達経路
84B 駆動伝達経路
100 CPU(調整手段)
P、PS、PR1、PR2 記録用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される長尺状の記録媒体に対して順次画像を形成する画像形成手段と、
画像が形成された前記記録媒体を画像毎に切断する切断手段と、
少なくとも一部に前記記録媒体の搬送方向を変更すると共に当該記録媒体を湾曲させる変更湾曲部が設けられ、前記画像形成手段により画像が形成された前記記録媒体を前記切断手段に搬送する搬送経路と、
前記変更湾曲部で前記記録媒体の搬送を一時的に滞留させて前記画像形成手段による画像形成の処理速度と前記切断手段による切断の処理速度の差を調整する調整手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記変更湾曲部の前記画像形成手段より搬送される前記記録媒体の搬送方向が最初に変わる部分で前記記録媒体の搬送を一時的に滞留させる
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記画像形成手段による画像形成の処理速度に応じて前記記録媒体を搬送させる第1駆動源と、
前記切断手段による切断の処理速度に応じて前記記録媒体を搬送させる第2駆動源と、
を備えた請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成手段を、前記記録媒体にインク滴を吐出して画像を形成するインクジェット方式とし、
前記搬送経路を、前記画像形成手段による画像形成位置で水平方向とすると共に水平方向に搬送される前記記録媒体の搬送方向を前記変更湾曲部で上方向に変更する
請求項1〜請求項3の何れか1項記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−214802(P2010−214802A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64865(P2009−64865)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】