説明

画像形成装置

【課題】クリーンペーパの印刷物の表面に、普通紙の印刷物から発生する塵が付着することを防止する画像形成装置を提供する。
【解決手段】印刷制御部111は、一連の印刷ジョブの実行が終了する度に、印刷用紙種類記憶部113に当該印刷ジョブに係る選択された印刷用紙の種類を上書記憶する。また、操作指示部102を介して実行指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、印刷用紙種類記憶部113に記憶された印刷用紙の種類が異なる場合には、排紙トレイ28に印刷物が無いことを検知することにより、実行指示された印刷ジョブを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、普通紙/無塵紙・低発塵紙を用いて印刷する画像形成装置に係り、特に、普通紙の印刷物と無塵紙・低発塵紙の印刷物とが排紙トレイに混載しないように印刷出力制御を実行する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中における、塵などの浮遊微小粒子、浮遊微生物の数・量が所定の基準値以下になるように管理される、いわゆるクリーンルームでは、入室時に塵や細菌を持ち込まないようにすることは当然であるが、クリーンルーム内においても塵を発生させないようにする必要がある。
例えば、クリーンルームで使用する作業指示書、マニュアル、コピー用紙、メモ帳等は、主に重ね合わせた紙が擦れ合う時に塵が発生する可能性がある。そこで、最近では、クリーンルームで使用する作業指示書、マニュアル、コピー用紙、メモ帳等の印刷用紙として、無塵紙や低発塵紙(以下、クリーンペーパーと記す)が使用されている。
【0003】
なお、JIS−B9920「クリーンルーム中の浮遊粒子測定法」において、基準とする微粒子の粒径は0.1μmであり、清浄度クラス7の上限値は、0.3μm以上の粒子で1立方メートル当り1,010,000個であり、かつ0.1μm以上の粒子で1立方メートル当り10,000,000個である。
【0004】
このような、JIS清浄度クラス7以下のクリーンルーム中で使用可能な低発塵紙が様々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−49384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、クリーンルームで使用される印刷文書などは、クリーンペーパ印刷専用の画像形成装置で印刷(コピー)されるだけではなく、普通紙の印刷も行う画像形成装置で印刷されることがある。このような場合、例えば画像形成装置が、クリーンペーパの印刷物が排紙されるクリーンペーパ専用排紙トレイと普通紙の印刷物が排紙される普通紙専用排紙トレイを備えてなければ、両印刷物が、一つの排紙トレイ(共通排紙トレイ)に排紙される。
【0007】
このように、前記画像形成装置の共通排紙トレイに、クリーンペーパの印刷物と普通紙の印刷物とが混載してしまうと、両者が接触することにより、クリーンペーパの表面に、普通紙から発生した塵が付着してしまう。
【0008】
その結果、クリーンペーパの印刷物の表面に付着した塵をクリーンルーム用エアシャワー等で十分に取り除かなければ、当該印刷物をクリーンルームで使用できなくなってしまう。そこで、前記印刷物をクリーンルームに持ち込む前に、当該印刷物に付着した塵をエアシャワーで取り除かなければならないが、その作業をするためには、多大な労力/時間が掛かる。
【0009】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、クリーンペーパの印刷物の表面に、普通紙の印刷物から発生する塵が付着することを防止する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の技術手段は、印刷用紙の種類としてクリーンペーパ又は普通紙を選択指示する用紙選択指示部と、印刷物が排紙される排紙トレイと、前記排紙トレイにおける印刷物の有無を検知するセンサと、印刷用紙の種類を記憶する記憶部を備え、一連の印刷ジョブの実行が終了する度に、前記記憶部に当該印刷ジョブに係る選択された印刷用紙の種類を記憶し、実行指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、前記記憶部に記憶された印刷用紙の種類が異なる場合には、前記排紙トレイに印刷物が無いことを検知することにより、前記実行指示された印刷ジョブを実行する印刷制御部を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記印刷制御部は、前記排紙トレイに印刷物が有ることが検知された後、当該印刷物が取り出されることにより、印刷物が無いことが検知されると、前記実行指示された印刷ジョブを実行することを特徴とする。
【0012】
第3の技術手段は、第1の技術手段において、実行中の印刷ジョブに対して、他の印刷ジョブを割り込ませ当該他の印刷ジョブを実行するように指示する割り込み印刷指示部と、実行中の印刷ジョブに対して、他の印刷ジョブを割り込ませ当該他の印刷ジョブを実行する割り込み印刷制御部を備え、前記印刷制御部は、実行中の印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、割り込み印刷が指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類とが異なる場合、前記割り込み印刷が指示された印刷ジョブを実行せず、前記実行中の印刷ジョブを継続実行することを特徴とする。
【0013】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、前記印刷制御部は、前記排紙トレイに印刷物が有ることが検知された後、当該印刷物が取り出されることにより、印刷物が無いことが検知されると、前記割り込み印刷が指示された印刷ジョブを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、排紙トレイに、クリーンペーパの印刷物と普通紙の印刷物とが混載されることがなくなり、クリーンペーパの表面に、普通紙から発生した塵が付着することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概要を示す全体断面図の一例である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
【図3】メッセージ画面の一例である。
【図4】メッセージ画面の他の例である。
【図5】本発明の印刷出力制御を説明するための第1のフロー図である。
【図6】本発明の印刷出力制御を説明するための第2のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明に係る画像形成装置1の概要を示す全体断面図の一例であり、画像形成装置1は、クリーンペーパ/普通紙に対して単色及び多色の画像を形成する。
【0017】
10は、ガラス等透光性の部材から構成され、原稿の読取面を押圧する原稿載置台である。
11は、原稿載置台10を覆うための原稿カバー部である。原稿カバー部11は、矢印M方向に回動自在に構成される。
【0018】
原稿カバー部11には、原稿載置台10上に自動で原稿を搬送するための自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)12が設けられている。
【0019】
20は、画像形成装置1の下部に設けられたレーザ光露光装置である。LD(図示しない)が出射したレーザ光(符号L)により、帯電された感光体ドラム21(イエロー(Y)用感光体ドラム21y、マゼンタ(M)用感光体ドラム21m、シアン(C)用感光体ドラム21c、ブラック(K)用感光体ドラム21k)を走査して、原稿画像データに応じた静電潜像が感光体ドラム21上に形成される。
【0020】
22は、感光体ドラム21の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電器である。
【0021】
23は、各感光体ドラム21上に形成された静電潜像をY、M、C、Kの4色のトナー(図示しない)により顕像化する現像器である。
【0022】
24は、現像及び画像転写後における感光体ドラム21の表面に残留したトナーを除去、回収するクリーナユニットである。
【0023】
感光体ドラム21、帯電器22、現像器23、クリーナユニット24は、各色に応じて、それぞれ4個ずつ設けられている。
【0024】
25は、中間転写ベルトユニットで、中間転写ベルト25a、中間転写ベルト駆動ローラ25b、中間転写ベルト従動ローラ25c、中間転写ローラ25d、及び、中間転写ベルトクリーニングユニット25eから構成される。
【0025】
中間転写ベルト25aは、感光体ドラム21に接触するように設けられ、中間転写ベルト駆動ローラ25b、中間転写ベルト従動ローラ25c、及び、中間転写ローラ25dにより張架されて回転駆動される。
また、中間転写ベルト25a上に、感光体ドラム21に形成された各色のトナー像が順次的に重ねて転写されることによって、カラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。
【0026】
中間転写ベルト駆動ローラ25bは、中間転写ベルト25aを駆動するためのローラである。
【0027】
中間転写ベルト従動ローラ25cは、中間転写ベルト25aを、後述の中間転写ベルトクリーニングユニット25eのクリーニングブレード(図示しない)に接触させるため、中間転写ベルト25aを裏側から支持するためのローラである。
【0028】
中間転写ローラ25dには、高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されており、印加された転写バイアスにより、感光体ドラム21のトナー像が中間転写ベルト25aに転写される。
なお、中間転写ローラ25dは、YMCK各色に対応して4本設けられている。
【0029】
前述したように、各感光体ドラム21上で各色相に応じて顕像化された静電像は、中間転写ベルト25aで積層される。
このようにして積層された画像情報は、中間転写ベルト25a、及び、印刷用紙(記録用紙)と中間転写ベルト25aの接触位置に配置される転写ローラ26によって印刷用紙上に転写される。
【0030】
転写ローラ26によって印刷用紙上に転写されず、中間転写ベルト25a上に残存したままのトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるため、中間転写ベルトクリーニングユニット25eにより、除去、回収される。
【0031】
27は、画像形成装置1の下部に設けられた、クリーンペーパ/普通紙(印刷用紙)を蓄積しておくための給紙カセットで、クリーンペーパ/普通紙を別々の給紙カセットに蓄積する。
【0032】
28は、印刷済みのクリーンペーパ/普通紙をフェイスダウンで集積するための排紙トレイである。
【0033】
また、画像形成装置1には、符号S(2点鎖線)で示すように、給紙カセット27から供給される印刷用紙を転写ローラ26や定着ユニット33を経由させて排紙トレイ28に送るための略垂直形状の用紙搬送路が設けられている。
【0034】
用紙搬送路Sの近傍には、転写ローラ26、ピックアップローラ30、複数の搬送ローラ31a〜31d、レジストローラ32、定着ユニット33等が配設されている。
【0035】
ピックアップローラ30は、給紙カセット27の端部近傍に備えられ、給紙カセット27から印刷用紙を1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
【0036】
搬送ローラ31a〜31eは、印刷用紙の搬送を促進、補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。
【0037】
レジストローラ32は、用紙搬送路Sを搬送されている印刷用紙を一旦保持し、中間転写ベルト25a上に積層されたトナー像の先端と印刷用紙の先端を合わせるタイミングで、印刷用紙を転写ローラ26に搬送する機能を有している。
【0038】
定着ユニット33は、印刷用紙を挟んで回転するように配設されたヒートローラ33a、加圧ローラ33b等から構成される。
【0039】
ヒートローラ33aは、加圧ローラ33bとともにトナーを印刷用紙に熱圧着することにより、印刷用紙に転写された多色トナー像を溶融、混合、圧接し、印刷用紙に対して熱定着させる機能を有している。
【0040】
なお、画像形成装置1をMFPとして構成することもできる。このようにすれば、ファクシミリ処理、電子データのファイリング処理なども可能になる。
【0041】
本発明に係る画像形成装置1は、クリーンペーパの印刷物と普通紙の印刷物とが排紙トレイ28に混載しないように印刷出力制御を実行する。
図2は、本発明に係る画像形成装置1の機能ブロック図である。
101は、ネットワークI/Fで、インターネット、ローカルネットワーク等のネットワークNに対するインターフェイス機能を提供し、当該ネットワークNに接続しているファクシミリ装置(図示せず)、PC(図示せず)とデータ送受信を実行する。
【0042】
102は、画像形成装置1に対して操作指示するための操作指示部で、表示パネル、テンキー等から構成されている。操作指示部102は、印刷用紙の種類としてクリーンペーパ又は普通紙を選択指示する用紙選択指示部102aと、実行中の印刷ジョブに対して、他の印刷ジョブを割り込ませ当該他の印刷ジョブを実行するように指示する割り込み印刷指示部102bとを有する。
103は、自動原稿搬送装置12等を備えたスキャナ部で、原稿をスキャンし、原稿画像データを生成する。
【0043】
104は、画像処理部で、スキャナ部103が生成した原稿画像データに、ユーザによって設定された印刷条件に基づく画像処理などを施す。
105は、感光体ドラム21、帯電器22、現像器23、クリーナユニット24等から構成される画像形成部である。
【0044】
106は、メモリで、各種制御情報、ファクシミリ装置やPC等から送信された印刷ジョブデータ等を記憶する。107は、HDDで、メッセージ用OSDデータ、スキャナ部103が生成した原稿画像データを記録する。
【0045】
111は、印刷制御部で、一連の印刷ジョブ(一単位)の実行が終了する度に、印刷用紙種類記憶部113に当該印刷ジョブに係る選択された印刷用紙の種類を上書記憶し、操作指示部102を介して実行指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、印刷用紙種類記憶部113に記憶された印刷用紙の種類が異なる場合には、排紙トレイ28に印刷物が無いことを検知することにより、実行指示された印刷ジョブを実行する。
印刷ジョブの実行とは、例えば、スキャナ部103が生成した原稿画像データを画像形成部105でクリーンペーパ/普通紙に印刷することや、ネットワークI/F101を介して受信した印刷ジョブデータを画像形成部105でクリーンペーパ/普通紙に印刷することを意味する。
なお、前述の例では、印刷制御部111は、印刷用紙種類記憶部113に、印刷用紙の種類を上書記憶したが、上書記憶せず、順次、印刷用紙の種類を記憶してもよい。
【0046】
112は、排紙トレイ28における印刷物の有無を検知するセンサである。印刷物の有無を検知する方法としては、従来から提案されている様々な方法を用いることができる。例えば、排紙トレイ28の底面部に重量検知センサを設けてもよい。
印刷用紙種類記憶部113は、印刷用紙の種類を記憶する。
【0047】
114は、各機能ブロックを制御する制御部で、実行中の印刷ジョブに対して、他の印刷ジョブを割り込ませ当該他の印刷ジョブを割り込み実行する割り込み印刷制御部114aを有する。
【0048】
排紙トレイ28にクリーンペーパの印刷物と普通紙の印刷物とが混載することを防止する、本発明の印刷出力制御について詳細に説明する。
排紙トレイ28にクリーンペーパの印刷物と普通紙の印刷物とが混載する原因は、前回実行した印刷ジョブ(クリーンペーパ印刷ジョブ/普通紙印刷ジョブ)に係る印刷用紙の種類と、実行指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が異なり、かつ、排紙トレイ28に印刷物が残っている場合である。
【0049】
更に、印刷ジョブ実行中に、他の印刷ジョブの割り込み実行(印刷)をユーザが割り込み印刷指示部102bを介して指示し、当該指示に基づき、割り込み印刷制御部114aが、当該他の印刷ジョブの割り込み実行をする場合において、実行中の印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、割り込み印刷が指示された印刷ジョブ(他の印刷ジョブ)に係る印刷用紙の種類とが異なる場合である。
【0050】
ここで、クリーンペーパ印刷ジョブとは、印刷ジョブに係る印刷用紙の種類がクリーンペーパであることを意味し、普通紙印刷ジョブとは、印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が普通紙であることを意味する。
【0051】
クリーンペーパ印刷ジョブの実行を指示するときは、例えば、自動原稿搬送装置12に原稿をセットし、用紙選択指示部102aを介して、印刷用紙としてクリーンペーパを選択し、スキャン開始ボタン(コピー開始ボタン)を操作する。また、普通紙印刷ジョブの実行を指示するときは、印刷用紙として普通紙を選択し、スキャン開始ボタンを操作するものとする。
【0052】
印刷用紙としてクリーンペーパが選択されると、制御部114は、クリーンペーパ用給紙カセットからクリーンペーパを給紙して、画像形成部105に印刷処理を実行するように指示する。また、印刷用紙として普通紙が選択されると、普通紙用給紙カセットから普通紙を給紙して、画像形成部105に印刷処理を実行するように指示する。
【0053】
なお、ネットワークNに接続しているPCにインストールされているプリンタドライバの設定画面を用いて、印刷用紙を選択し、印刷ジョブデータを画像形成装置1に送信し、この印刷ジョブを画像形成装置1で実行(印刷)するものとしてもよい。
【0054】
クリーンペーパ印刷ジョブの実行が指示され、当該印刷ジョブの実行が終了すると、印刷制御部111は、印刷用紙種類記憶部113に、印刷ジョブに係る印刷用紙の種類:“クリーンペーパ”を上書記憶する。一方、普通紙印刷ジョブの実行が指示され、普通紙印刷ジョブの実行が終了すると、印刷制御部111は、印刷用紙種類記憶部113に、印刷ジョブに係る印刷用紙の種類:“普通紙”を上書記憶する。
【0055】
例えば、直前に、普通紙印刷ジョブが実行された後、ユーザがクリーンペーパ印刷ジョブの実行を、操作指示部102を介して指示したとする。
すると、印刷制御部111は、実行指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類を検知し、当該印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、印刷用紙種類記憶部113に記憶された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が異なるか否かを判別する。この場合、印刷用紙種類記憶部113には、印刷ジョブに係る印刷用紙の種類:“普通紙”が記憶されている。
【0056】
実行指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、印刷用紙種類記憶部113に記憶された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が異なるので、印刷制御部111は、印刷物が排紙トレイ28に有るか否かを、センサ112を用いて判別(確認)する。センサ112が、排紙トレイ28に印刷物が有ると検知した場合には、印刷制御部111は、操作指示部102の表示パネルに、図3に示すメッセージを表示し、実行指示された印刷ジョブを実行しない。そして、メモリ106に、前記印刷ジョブに係るデータ(印刷ジョブデータ)を記憶する。
【0057】
図3(A)は、印刷用紙種類記憶部113に記憶された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が普通紙で、排紙トレイ28に普通紙の印刷物が有るときに、クリーンペーパ印刷ジョブの実行が指示された場合に表示されるメッセージ、図3(B)は、印刷用紙種類記憶部113に記憶された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類がクリーンペーパ印刷ジョブで、排紙トレイ28にクリーンペーパの印刷物が有るときに、普通紙印刷ジョブの実行が指示された場合に表示されるメッセージである。
【0058】
その後、ユーザにより前記印刷物を排紙トレイ28から取り出すと、センサ112が、排紙トレイ28に当該印刷物が無いことを検知する。すると、印刷制御部111は、メモリ106に記憶された印刷ジョブを実行する。
【0059】
実行指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、印刷用紙種類記憶部113に記憶された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が同じ場合、又は、印刷物が排紙トレイ28に無い場合には、印刷制御部111は、実行指示された印刷ジョブを実行する。
【0060】
なお、印刷用紙種類記憶部113に、印刷用紙の種類を上書記憶せず、印刷用紙の種類を順次、記憶する場合、実行指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、印刷用紙種類記憶部113に最後に記憶された、印刷ジョブに係る印刷用紙の種類(最新の印刷用紙の種類)との判別を行う。
【0061】
次に、割り込み印刷実行が指示された場合の印刷出力制御について説明する。
例えば、普通紙印刷ジョブを実行中に、ユーザがクリーンペーパ印刷ジョブの割り込み実行を、操作指示部102の割り込み印刷指示部102bを介して指示したとする。
すると、印刷制御部111は、実行中の印刷ジョブに係る印刷用紙の種類を検知し、当該実行中の印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、割り込み実行が指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が異なるか否かを判別する。
この場合、実行中の印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、割り込み実行が指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が異なるので、印刷制御部111は、印刷ジョブの割り込み実行を拒否し、前記普通紙印刷ジョブを継続実行する。そして、メモリ106に割り込み実行が指示されたクリーンペーパ印刷ジョブ(データ)を記憶する。
【0062】
この時、印刷制御部111は、操作指示部102の表示パネルに、図4に示すメッセージを表示する。
図4(A)は、実行中の印刷ジョブが普通紙印刷ジョブで、割り込み実行が指示された印刷ジョブがクリーンペーパ印刷ジョブの場合に表示されるメッセージ、図4(B)は、実行中の印刷ジョブがクリーンペーパ印刷ジョブで、割り込み実行が指示された印刷ジョブが普通紙印刷ジョブの場合に表示されるメッセージである。
【0063】
前記の場合、当初の普通紙印刷ジョブの実行が終了して、ユーザが、当該印刷ジョブの印刷物を排紙トレイ28から取り出すと、センサ112が、排紙トレイ28に当該印刷物が無いことを検知する。すると、印刷制御部111は、メモリ106に記憶された、割り込み実行が指示されたクリーンペーパ印刷ジョブを実行する。
【0064】
実行中の印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、割り込み実行が指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が同じ場合には、印刷制御部111は、メモリ106に実行中の印刷ジョブを一時的に記憶し、割り込み実行が指示された印刷ジョブを実行する。そして、当該印刷ジョブの終了後、メモリ106に記憶された前記印刷ジョブを実行する。
【0065】
次に、上記印刷出力制御について、図5、図6のフロー図を用いて説明する。
なお、前回実行指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が印刷用紙種類記憶部113に記憶されているものとする。
図5において、まず、ユーザが、画像形成装置1に印刷ジョブの実行を指示する(ステップS1)。すると、印刷制御部111は、実行指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類を検知し、当該印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、印刷用紙種類記憶部113に記憶された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が異なるか否かを判別する(ステップS2)。
【0066】
実行指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、印刷用紙種類記憶部113に記憶された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が異なり(ステップS2/YES)、かつ、印刷物が排紙トレイ28に有る場合(ステップS3/YES)、印刷制御部111は、操作指示部102の表示パネルに、印刷物を取り出すように指示する旨のメッセージ(図3参照)を表示する(ステップS4)。
【0067】
その後、ユーザが、排紙トレイ28に有る印刷物を取り出し、同トレイ28から印刷物が無くなると(ステップS5/NO)、印刷制御部111は、実行指示された印刷ジョブを実行し(ステップS6)、印刷用紙種類記憶部113に、当該印刷ジョブに係る印刷用紙の種類を上書記憶する(ステップS7)。
【0068】
なお、実行指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、印刷用紙種類記憶部113に記憶された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が同じ(ステップS2/NO)、又は、印刷物が排紙トレイ28に無い場合(ステップS3/NO)、ステップS6以下の処理を実行する。
【0069】
図6は、割り込み印刷実行が指示された場合の印刷出力制御について説明するためのフロー図である。
まず、ユーザの指示を受け、画像形成装置1が印刷ジョブを実行する(ステップS11)。前記印刷ジョブの実行中に、他の印刷ジョブの割り込み実行が指示された場合(ステップS12/YES)、印刷制御部111は、実行中の印刷ジョブに係る印刷用紙の種類を検知し、当該実行中の印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、割り込み実行が指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が異なるか否かを判別する(ステップS13)。
【0070】
実行中の印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、割り込み実行が指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が異なる場合(ステップS13/YES)、印刷制御部111は、割り込み実行ができない旨のメッセージ(図4参照)を表示する(ステップS14)。そして、割り込み実行が指示された印刷ジョブ(データ)をメモリ106に記憶し(ステップS15)、実行中の印刷ジョブデータの実行を継続する(ステップS16)。
【0071】
実行中の印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、割り込み実行が指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類が同じ場合(ステップS13/NO)、印刷制御部111は、メモリ106に実行中の印刷ジョブを一時的に記憶し、割り込み実行が指示された印刷ジョブを割り込み実行する(ステップS17)。割り込み実行が指示された印刷ジョブの実行が終了すると、メモリ106に記憶された前記印刷ジョブを実行する。
【0072】
なお、継続実行中の印刷ジョブの実行が終了し(ステップS16参照)、排紙トレイ28から印刷物が取り出されると、印刷制御部111は、ステップS15でメモリ106に記憶した印刷ジョブ(データ)を実行する。
【0073】
本発明によれば、排紙トレイに、クリーンペーパの印刷物と、普通紙の印刷物とが混載されることがなくなり、クリーンペーパの表面に、普通紙から発生した塵が付着することを防止することができる。
【0074】
実施例では、1つの排紙トレイを備えた画像形成装置について説明したが、複数の排紙トレイを備えた画像形成装置であってもよい。この場合、印刷制御部111は、印刷用紙種類記憶部113に、排紙する印刷物の種類と、当該印刷物の排紙先トレイとを関連付けて記憶する。
【符号の説明】
【0075】
1…画像形成装置、10…原稿載置台、11…原稿カバー部、12…自動原稿搬送装置、20…レーザ光露光装置、21…感光体ドラム、21y,21m,21c,21k…Y用,M用,C用,K用感光体ドラム、22…帯電器、23…現像器、24…クリーナユニット、25…中間転写ベルトユニット、25a…中間転写ベルト、25b…中間転写ベルト駆動ローラ、25c…中間転写ベルト従動ローラ、25d…中間転写ローラ、25e…中間転写ベルトクリーニングユニット、26…転写ローラ、27…給紙カセット、28…排紙トレイ、30…ピックアップローラ、31a〜31e…搬送ローラ、32…レジストローラ、33…定着ユニット、33a…ヒートローラ、33b…加圧ローラ、101…ネットワークI/F、102…操作指示部、102a…用紙選択指示部、102b…割り込み印刷指示部、103…スキャナ部、104…画像処理部、105…画像形成部、106…メモリ、107…HDD、111…印刷制御部、112…センサ、113…印刷用紙種類記憶部、114…制御部、114a…割り込み印刷制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用紙の種類としてクリーンペーパ又は普通紙を選択指示する用紙選択指示部と、
印刷物が排紙される排紙トレイと、前記排紙トレイにおける印刷物の有無を検知するセンサと、印刷用紙の種類を記憶する記憶部を備え、
一連の印刷ジョブの実行が終了する度に、前記記憶部に当該印刷ジョブに係る選択された印刷用紙の種類を記憶し、
実行指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、前記記憶部に記憶された印刷用紙の種類が異なる場合には、前記排紙トレイに印刷物が無いことを検知することにより、前記実行指示された印刷ジョブを実行する印刷制御部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷制御部は、前記排紙トレイに印刷物が有ることが検知された後、当該印刷物が取り出されることにより、印刷物が無いことが検知されると、前記実行指示された印刷ジョブを実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
実行中の印刷ジョブに対して、他の印刷ジョブを割り込ませ当該他の印刷ジョブを実行するように指示する割り込み印刷指示部と、
実行中の印刷ジョブに対して、他の印刷ジョブを割り込ませ当該他の印刷ジョブを実行する割り込み印刷制御部を備え、
前記印刷制御部は、実行中の印刷ジョブに係る印刷用紙の種類と、割り込み印刷が指示された印刷ジョブに係る印刷用紙の種類とが異なる場合、前記割り込み実行が指示された印刷ジョブを実行せず、前記実行中の印刷ジョブを継続実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷制御部は、前記排紙トレイに印刷物が有ることが検知された後、当該印刷物が取り出されることにより、印刷物が無いことが検知されると、前記割り込み実行が指示された印刷ジョブを実行することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−217419(P2010−217419A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63193(P2009−63193)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】