説明

画像形成装置

【課題】転写ローラとバックアップローラとの相対位置も、搬送ユニットとバックアップローラとの相対位置も精度良く位置決めできるようにする。
【解決手段】トナー像を担持する像担持体8と、被転写材を挟んで像担持体に押圧される転写ローラ12と、像担持体に押圧された転写ローラの押圧反力を受け止めるバックアップローラ10と、転写ローラとバックアップローラとの相対位置を位置決めする位置決め機構41とを有し、転写ローラを回転自在に支持する転写ローラ支持部材36が、バックアップローラに対して組み付けられる搬送ユニット25に組み込まれている画像形成装置であって、転写ローラ支持部材が、転写ローラの像担持体に対する押圧方向に交差する方向への移動を許容する融通部39を介して、搬送ユニットに組み込まれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像を担持する像担持体と、被転写材を挟んで前記像担持体に押圧される転写ローラと、前記像担持体に押圧された転写ローラの押圧反力を受け止めるバックアップローラと、前記転写ローラと前記バックアップローラとの相対位置を位置決めする位置決め機構とを有し、前記転写ローラを回転自在に支持する転写ローラ支持部材が、前記バックアップローラに対して組み付けられる搬送ユニットに組み込まれている画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記画像形成装置では、従来、転写ローラを回転自在に支持する転写ローラ支持部材が、中間転写ベルトに対して固定の軸芯周りで揺動自在に組み付けられている(例えば、特許文献1参照。)。
位置決め機構としては、例えば、転写ローラ支持部材に形成したU字状の切欠きに、バックアップローラの回転軸を係合させることにより相対位置を位置決めできる機構を設けてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−52747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の画像形成装置では、転写ローラ支持部材が搬送ユニットに対して固定の軸芯周りで揺動自在に組み付けられているので、搬送ユニット自体又はその構成部品の寸法にバラツキが発生していると、搬送ユニットをバックアップローラに対して適切な相対位置で組み付けようとしても、転写ローラとバックアップローラとの相対位置を位置決めするにともなって、搬送ユニットとバックアップローラとの相対位置がずれてしまうおそれがある。
このため、バックアップローラに対する所定の位置に組み付けてある用紙搬送部材と、搬送ユニットに組み付けてある用紙搬送部材との協同で、転写ローラに向けて用紙を搬送したり、転写ローラを通過した用紙を搬送したりできるように構成してある場合に、搬送ユニットとバックアップローラとの相対位置がずれてしまうと、用紙搬送部材どうしの相対位置にくるいが生じ、用紙の正常な搬送ができなくなる欠点がある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、転写ローラとバックアップローラとの相対位置も、搬送ユニットとバックアップローラとの相対位置も精度良く位置決めできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、トナー像を担持する像担持体と、被転写材を挟んで前記像担持体に押圧される転写ローラと、前記像担持体に押圧された転写ローラの押圧反力を受け止めるバックアップローラと、前記転写ローラと前記バックアップローラとの相対位置を位置決めする位置決め機構とを有し、前記転写ローラを回転自在に支持する転写ローラ支持部材が、前記バックアップローラに対して組み付けられる搬送ユニットに組み込まれている画像形成装置であって、前記転写ローラ支持部材が、前記転写ローラの前記像担持体に対する押圧方向に交差する方向への移動を許容する融通部を介して、前記搬送ユニットに組み込まれている点にある。
【0006】
本構成の画像形成装置であれば、転写ローラとバックアップローラとの相対位置を位置決めする際に、搬送ユニットに対する、転写ローラの像担持体に対する押圧方向に交差する方向への転写ローラ支持部材の移動が許容されるので、搬送ユニットとバックアップローラとの相対位置がずれてしまうおそれが少ない。
したがって、転写ローラとバックアップローラとの相対位置も、搬送ユニットとバックアップローラとの相対位置も精度良く位置決めし易い。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記位置決め機構が、前記バックアップローラを回転自在に支持するバックアップローラ支持部材と前記転写ローラ支持部材とのうちの一方に形成された凹部に、他方に形成された凸部を前記押圧方向に沿う方向から係合させて位置決め可能に構成され、前記凹部又は前記凸部には、前記凸部と前記凹部との係合姿勢が所定姿勢になるように案内するガイドが設けられている点にある。
【0008】
本構成であれば、転写ローラとバックアップローラとの相対位置を位置決めする際に、凸部と凹部とを所定姿勢で係合させ易く、転写ローラとバックアップローラとの相対位置を一層精度良く位置決めし易い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像形成装置の内部を示す側面図
【図2】要部の側面図
【図3】要部の斜視図
【図4】要部の側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明による電子写真式画像形成装置の一例としての、中間転写方式、タンデム方式を採用した4色フルカラーのプリンタを示す。
【0011】
画像形成装置は、カセット式給紙部1、手差し給紙部2、用紙搬送部3、画像形成部4、排紙部5などが設けられている。用紙搬送部3は、装置本体6と前面カバー7との間に設けられている。
【0012】
画像形成部4には、トナー像を担持する像担持体としての無端の中間転写ベルト8と、中間転写ベルト8に沿って配置した4個の画像形成ユニット9とが設けられている。
画像形成ユニット9は、マゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y),ブラック(K)の各色毎に対応して設けられている。
【0013】
中間転写ベルト8は、駆動ローラ10と従動ローラ11とに亘って巻き掛けられていて、図中の矢印Aの方向に回動する。
駆動ローラ10は、2次転写ローラ12に対向されていて、中間転写ベルト8に押圧された2次転写ローラ12の押圧反力を受け止めるバックアップローラとして機能する。
【0014】
駆動ローラ10、従動ローラ11、中間転写ベルト8、1次転写ローラ13などが、転写フレーム14に一体的に組み込まれていて全体として中間転写ユニット15を構成している。
【0015】
画像形成ユニット9の夫々は、感光体ドラム16と、感光体ドラム16の周囲に配設された帯電装置17、露光装置18、現像装置19、ドラムクリーナ20などを一体に組み付けてある。
【0016】
1次転写ローラ13は、感光体ドラム16の表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト8に1次転写する。
各画像形成ユニット9毎に形成された各色のトナー像は、1次転写ローラ13によって順次に中間転写ベルト8に転写されて重ね合わされる。
中間転写ベルト8に転写されたフルカラーのトナー像は、2次転写ローラ12により用紙(被転写材)Pに2次転写される。
【0017】
用紙搬送部3は、カセット式給紙部1又は手差し給紙部2から給紙された用紙を排紙部5に向けて上方に搬送する用紙搬送路21と、両面印刷するために一方の面にトナー像が定着された後の用紙Pを表裏に反転させて用紙搬送路21に再度送り込む反転搬送路22とを有する。
【0018】
用紙搬送路21は、互いに対向する装置本体6の側に設けてある後側ガイド23と、前面カバー7の側の前側ガイド24との間に設けられており、前側ガイド24の一部が搬送ユニット25に設けられている。
【0019】
用紙搬送路21には、ピックアップローラ26、給紙ローラ対27、搬送ローラ対28、レジストローラ対29、用紙Pを挟んで中間転写ベルト8に押圧される2次転写ローラ12、定着ローラ対30、排紙ローラ対31などが配設されている。
【0020】
用紙搬送路21に送り込まれた用紙Pには、中間転写ベルト8に転写されたフルカラーのトナー像が2次転写ローラ12で2次転写され、転写されたトナー像は、定着ローラ対30によって加熱・加圧されて用紙Pに定着される。
【0021】
搬送ユニット25は、用紙搬送路21と反転搬送路22との間に配置されている。
搬送ユニット25には、用紙搬送路21における前側ガイド24の一部と、反転搬送路22における後側ガイド32の一部と、レジストローラ対29のうちの遊転ローラ29aと、2次転写ローラ12と、反転搬送用ローラ対33の一方のローラ33aとが左右の側板34に亘って組み込まれている。
【0022】
搬送ユニット25は、図2(a),(b)に示すように、左右の側板34の下部に揺動軸芯Xを有していて、装置本体6の側に上下揺動自在(開閉自在)に支持されている。
前面カバー7は、図2(a),(b)に示すように、下端側に揺動軸35を有していて、装置本体6の側に上下揺動自在(開閉自在)に支持されている。
搬送ユニット25は、前面カバー7の開閉動作に連動して開閉される。
【0023】
図2(a)に示すように前面カバー7を閉じ位置に移動させると、搬送ユニット25は、レジストローラ対29のローラどうしが接当し、かつ、2次転写ローラ12が中間転写ベルト8を押圧している閉じ位置に移動する。
【0024】
用紙詰まりなどが発生したときに、図2(b)に示すように前面カバー7を開き位置に移動させると、搬送ユニット25は、レジストローラ対29のローラどうしが離間し、かつ、2次転写ローラ12が中間転写ベルト8から離れる開き位置に移動する。
【0025】
すなわち、搬送ユニット25は、開き位置から閉じ位置に移動することによって駆動ローラ10に対して組み付けられる。
図3に示すように、この搬送ユニット25に、2次転写ローラ12を回転自在に支持する転写ローラ支持部材36が組み込まれている。
【0026】
転写ローラ支持部材36は、2次転写ローラ12の両端部を回転自在に支持する支持部37を備えた矩形の枠状に形成してあり、左右の側板34に亘って2次転写ローラ12の回転軸芯と平行に固定してある揺動軸38の周りで左右に揺動自在に支持してある。
【0027】
転写ローラ支持部材36は、コイルバネ45で装置本体6の側に向けて揺動するように付勢されており、このコイルバネ45による付勢力で、2次転写ローラ12が中間転写ベルト8を押圧する。
【0028】
転写ローラ支持部材36は、図4にも示すように、2次転写ローラ12の中間転写ベルト8に対する押圧方向に交差する方向(本実施形態では略直交する方向)への移動を許容する融通部39を介して、揺動軸38の周りで揺動自在に支持してある。
【0029】
融通部39は、2次転写ローラ12の回転軸芯Yを通る線分Lに沿って長く、かつ、その線分Lに対して直交する方向の幅が、揺動軸38を挿通できる幅の長孔40を転写ローラ支持部材36に形成して、この長孔40に揺動軸38を挿通して構成してある。
【0030】
図4に示すように、駆動ローラ(バックアップローラ)10を回転自在に支持するバックアップローラ支持部材としての転写フレーム14と、転写ローラ支持部材36とに亘って、2次転写ローラ12と駆動ローラ10との相対位置を位置決めする位置決め機構41を設けてある。
【0031】
位置決め機構41は、転写フレーム14に形成された凹部42に、転写ローラ支持部材36に形成された凸部43を、2次転写ローラ12の中間転写ベルト8に対する押圧方向から係合させて位置決め可能に構成してある。
【0032】
図示しないが、凹部42が転写ローラ支持部材36に形成され、凸部43が転写フレーム14に形成されていてもよい。
【0033】
凹部42をその底面側ほど幅狭になる形状に形成して、凸部43と凹部42との係合姿勢が所定姿勢になるように案内するガイド44を設けてある。
図示しないが、凸部43をその先端側ほど幅狭になる形状に形成して、凸部43と凹部42との係合姿勢が所定姿勢になるように案内するガイド44を設けてあってもよい。
【0034】
〔その他の実施形態〕
1.本発明による画像形成装置は、像担持体が感光体ドラムにおけるドラム本体に積層してある感光体層であり、被転写材を挟んで像担持体(感光体層)に押圧される転写ローラが1次転写ローラであり、像担持体(感光体層)に押圧された転写ローラ(1次転写ローラ)の押圧反力を受け止めるバックアップローラが感光体ドラムのドラム本体であってもよい。
2.本発明による画像形成装置は、プリンタや複写機、ファクシミリ、或いはこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0035】
8 像担持体
10 バックアップローラ
12 転写ローラ
14 バックアップローラ支持部材
25 搬送ユニット
36 転写ローラ支持部材
39 融通部
41 位置決め機構
42 凹部
43 凸部
44 ガイド
P 被転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、被転写材を挟んで前記像担持体に押圧される転写ローラと、前記像担持体に押圧された転写ローラの押圧反力を受け止めるバックアップローラと、前記転写ローラと前記バックアップローラとの相対位置を位置決めする位置決め機構とを有し、
前記転写ローラを回転自在に支持する転写ローラ支持部材が、前記バックアップローラに対して組み付けられる搬送ユニットに組み込まれている画像形成装置であって、
前記転写ローラ支持部材が、前記転写ローラの前記像担持体に対する押圧方向に交差する方向への移動を許容する融通部を介して、前記搬送ユニットに組み込まれている画像形成装置。
【請求項2】
前記位置決め機構が、前記バックアップローラを回転自在に支持するバックアップローラ支持部材と前記転写ローラ支持部材とのうちの一方に形成された凹部に、他方に形成された凸部を前記押圧方向に沿う方向から係合させて位置決め可能に構成され、
前記凹部又は前記凸部には、前記凸部と前記凹部との係合姿勢が所定姿勢になるように案内するガイドが設けられている請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−256809(P2010−256809A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109640(P2009−109640)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】