説明

画像形成装置

【課題】発熱性である被駆動装置で発生する熱から駆動装置を有効に保護できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】駆動装置21からの回転力を発熱性の被駆動装置3に伝達する回転力伝達用磁気結合手段4を備え、前記駆動装置21と被駆動装置3との間に、前記被駆動装置3から発生する熱を前記駆動装置21に対して断熱するダクト5を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機やプリンタ等に適用される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機等の画像形成装置においては、被駆動装置である定着ローラ等は、駆動装置であるモータと駆動伝達軸で連結されており、モータと定着ローラとの間にフレームが設けられている場合には、駆動伝達軸はフレームに設けた開口を貫通している。
【0003】
なお、定着ローラで発生する熱を強制的に給紙カセット内の用紙に送り、転写動作に伴って用紙がカールしないように予め温めておくようにした技術が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平6−202425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年の画像形成装置では、装置の小形化に伴って各ユニット間の間隙が少なくなりつつあり、モータが定着ローラ等から発生する熱の影響を受けやすく、故障や劣化が早められるおそれが生じている。
【0005】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、発熱性の被駆動装置で発生する熱から駆動装置を保護できる画像形成装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0007】
[1]駆動装置と、
発熱性の被駆動装置と、
前記駆動装置の駆動軸と前記被駆動装置の被駆動軸とを磁力によって結合し、回転力を伝達する回転力伝達用磁気結合手段と、
前記駆動装置と被駆動装置との間に配設され、前記被駆動装置から発生する熱を前記駆動装置側に対して断熱するダクトと、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【0008】
[2]前記ダクトは、前記被駆動装置から発生する熱を吸い込んで外部に排気させる排気用として構成されている前項[1]に記載の画像形成装置。
【0009】
[3]前記ダクト内には、前記回転力伝達用磁気結合手段の回転動作に磁気結合で応動して回転するファンが配設されている前項[1]または[2]に記載の画像形成装置。
【0010】
[4]一つの駆動装置による回転力を互いに並設された複数の被駆動装置に対して、互いに並設された複数の回転力伝達用磁気結合手段を介してそれぞれ伝達するように構成されており、
前記駆動装置と前記複数の被駆動装置との間に、一つのダクトが配置されている前項[1]〜[3]のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0011】
前項[1]に記載の発明によれば、駆動装置による回転力が被駆動装置に回転力伝達用磁気結合手段を介して伝達されるので、駆動装置と被駆動装置との間にダクトによる断熱空気層を形成させることができ、これにより被駆動装置で発生する熱を駆動装置に対して断熱して、駆動装置が熱的悪影響を受ける事態を防止し、駆動装置の長寿化を図ることができる。
【0012】
前項[2]に記載の発明によれば、前記被駆動装置で発生した熱がダクトに吸い込まれて外部に排気されるため、駆動装置側に熱の影響を受ける事態を効果的に防止することができる。
【0013】
前項[3]に記載の発明によれば、ダクト内に設けたファンが、回転力伝達用磁気結合手段の回転動作に応動して回転するため、ファンのための別途の駆動装置を要することなく被駆動装置から発生する熱を効果的に排出することができる。
【0014】
前項[4]に記載の発明によれば、例えば、4色の定着ローラのような複数の被駆動装置からそれぞれ発生する熱が駆動装置に対して悪影響を及ぼすのを一つのダクトを設けた簡単な構成により、効果的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、この発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の要部を示す概略平面断面図である。
【0017】
図1において、この画像形成装置は、例えばフレーム1と、回転駆動部2と、回転駆動部2の回転力が伝達される被駆動装置3と、前記回転駆動部2と被駆動装置3との間に配設された回転力伝達用磁気結合部4と、ダクト5とを備えている。
【0018】
前記フレーム1は、前記回転駆動部2と被駆動装置3との間に位置して、装置本体(図示せず)内に固定されたものである。なお、回転力伝達用磁気結合部4における磁気結合力が滅失しないように、フレーム1の構成材としては、磁力線を通すものがよい。
【0019】
前記回転駆動部2は、例えば駆動装置としてのモータ21と、このモータ21の回転軸21aに連結された減速歯車機構22とを備えている。
【0020】
前記減速歯車機構22は、例えば原動歯車22Aと、原動歯車22Aに噛合する減速歯車22Bとからなる。勿論、減速歯車機構22の構成は、他の各種伝動機構の採用が可能である。
【0021】
前記被駆動装置3は、例えば発熱性の定着ローラ31を含む定着部であり、周知のように、定着動作時に内蔵ヒータによって発熱して用紙にトナー画像を定着させるようになっている。
【0022】
前記回転力伝達用磁気結合部4は、例えば回転駆動部2の駆動軸23に固定された円盤状の原動輪体41と、この原動輪体41に対向して配設されて、前記被駆動装置3の被駆動軸3aに固定された円盤状の従動輪体42とを備えている。
【0023】
前記原動輪体41における前記従動輪体42との対向面には、例えばN極とS極が周方向へ交互に配置された永久磁石列(図示せず)が設けられており、また、従動輪体42における少なくとも前記原動輪体41との対向面には、例えばN極とS極が周方向へ交互に配置された永久磁石列(図示せず)が設けられており、これら原動側永久磁石列と従動側永久磁石列との磁気的結合により、前記の出力軸23の回転力を無接触状態で被駆動装置3側に伝達するように構成されている。
【0024】
なお、回転力伝達用磁気結合部4における原動輪体41と従動輪体42とは、それぞれの外周面にN極とS極が周方向に交互に配置された永久磁石列を設けておき、これらの外周面同志が対向するように構成されたものであってもよい。
【0025】
前記ダクト5は、回転駆動部2側と被駆動装置3側との間、具体的には、フレーム1と前記従動輪体42との間に位置して前記フレーム1に沿って配置されており、前記被駆動装置3の定着ローラ31から発生する熱を回転駆動部2側のモータ21に対して断熱するように設定されている。
【0026】
上記のように構成された画像形成装置では、回転駆動部2におけるモータ21が起動すれば、そのモータ21の回転軸21aの回転力が減速歯車機構22における原動歯車22Aと減速歯車22Bとで減速されて駆動軸23に伝達される。この駆動軸23の回転によって前記回転力伝達用磁気結合部4における原動輪体41が回転駆動される。
【0027】
前記原動輪体41が回転駆動されると、磁力によって結合された従動輪体42に回転力が伝達されて従動輪体42が回転し、定着ローラ31の被駆動軸3aに伝達される。これにより、回転駆動部2におけるモータ21の回転力が被駆動装置3の定着ローラ31に非接触状態で伝達される。
【0028】
このように、モータ21の回転力が回転力伝達用磁気的結合部4を介して定着ローラ31に非接触で伝達されるので、モータ21と定着ローラ31との間にダクト5を配設することができ、このダクト5により定着ローラ31の動作時に発生する熱を前記回転駆動部2側に対して断熱することができる。このため回転駆動部2におけるモータ21が熱的悪影響を受ける事態を有効に防止して、該モータ21の寿命を延ばすことが可能となる。
【0029】
図2は、この発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の要部を示す概略平面断面図であり、図1と同一もしくは相当個所には、同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0030】
この第2の実施形態では、前記ダクト5内に、回転力伝達用磁気的結合部4の原動輪体41および従動輪体42に対応する位置に、前記定着ローラ31で発生した熱をダクト5内に吸引する排気用ファン6が配備されている。また、このファン6の略同軸上に位置して従動輪体32に対応するダクト5の側壁には、熱気をダクト5内に吸い込ませるための吸気孔51が形成されている。
【0031】
このファン6は、回転力伝達用磁気的結合部4の回転動作に応動するものであり、例えば図3に示すように、軸回りに開口部63bを有し、ダクト5内に配設された回転羽根保持体63と、この回転羽根保持体63の中央に位置して前記回転力伝達用磁気的結合部4の従動輪体42側に向いて突出する支軸63aと、この支軸63aに装着された回転羽根60と、この回転羽根60を境にして原動輪体41と対向する側に位置して前記支軸63に固定された永久磁石61と、受動輪体42側に位置して前記支軸63に固定された永久磁石62とを備えている。
【0032】
なお、前記回転羽根保持体63は、周方向に等配された複数の支持部材64,64を介して前記ダクト5の側壁内面に支持されている。
【0033】
この場合、前記モータ21の回転によって前記回転力伝達用磁気的結合部4における原動輪体41および従動輪体42が回転すれば、これに磁気的結合するファン6が応動して回転することになり、前記吸気孔51に対して回転羽根60の支軸63aに沿った方向に吸い込み作用が働く。
【0034】
このように、ダクト5内のファン6が前記回転力伝達用磁気的結合部4における原動輪体41の回転動作に応動して回転するので、前記定着ローラ31で発生した熱がダクト5内に吸い込まれて外部に排気される。従って、その熱が前記回転駆動部2側に移行しなくなり、モータ21等を熱から確実に保護することができる。
【0035】
また、この場合、ファンのための駆動モータ等を別途導入する必要もなく、構成の簡易化をはかることができる。もちろん、前記ファン6は、この実施形態のものに限らず、各種のものを採用可能である。
【0036】
図4は、この発明の第3の実施形態に係る画像形成装置の要部を示す概略平面断面図であり、図1〜図3と同一もしくは相当個所には、同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0037】
図4において、この画像形成装置においては、4つのトナー色であるブラック(Bk),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)にそれぞれ対応して、互いに並設された4つの定着ローラ31A,31B,31C,31Dを備えている。
【0038】
前記回転駆動部2は、前記原動歯車22Aやこれに噛合する第1減速歯車22Bの他に、原動歯車22Aに噛合する第2減速歯車22Cと、第2減速歯車22Cに噛合する第1中間歯車22Dと、第1中間歯車22Dに噛合する第3減速歯車22Eと、第3減速歯車22Eに噛合する第2中間歯車22Fと、第2中間歯車22Fに噛合する第4減速歯車22Gとを備えており、前記第1減速歯車22B、第2減速歯車22C、第3減速歯車22Eおよび第4減速歯車22Gの各駆動軸23には、前記ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)に対応して、それぞれ永久磁石をもった4つの原動輪体41A,41B,41C,41Dが固定されている。
【0039】
前記ダクト5は、前記4つの定着ローラ31A,31B,31C,31Dからそれぞれ発生する熱を一括的に排気するものとして構成されている。
【0040】
また、4つの定着ローラ31A,31B,31C,31Dの各被駆動軸3aには、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)に対応して、それぞれ従動輪体42A,42B,42C,42Dが固定されており、前記原動輪体41A,41B,41C,41Dとで回転力伝達用磁気結合部4が構成されている。
【0041】
また、前記ダクト5内には、原動輪体41A,41B,41C,41Dにそれぞれ対応する位置にファン6A,6B,6C,6Dが配置されている。これらファン6A,6B,6C,6Dのそれぞれは、図3のものと略同じ構成のものが採用されている。ここでは、一つの回転羽根保持体63が、4つのファン6A,6B,6C,6Dにおける各回転羽根60の全部を一体的に保持するように構成されている。
【0042】
この実施形態では、一つのモータ21の回転力が前記回転力伝達用磁気結合部4における4つの原動輪体41A,41B,41C,41Dに伝達され、これら原動輪体41A,41B,41C,41Dの回転力がそれぞれ4つの従動輪体42A,42B,42C,42Dに伝達されて、前記4つの定着ローラ31A,31B,31C,31Dが回転駆動される。
【0043】
この場合、4つの定着ローラ31A,31B,31C,31Dからそれぞれ発生する熱が一つのダクト5で一括的に排気され、さらに4つのファン6A,6B,6C,6Dの動作で熱の排気が効果的に行われる。
【0044】
なお、前記各実施形態においては、発熱性の被駆動装置として、定着ローラ3(31A,31B,31C,31D)を含む定着部を例に説明したが、発熱性の被駆動装置としては、定着部(定着ローラ)以外のものであっても同様の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の要部を示す概略平面断面図である。
【図2】この発明の第2の実施形態に係る画像形成装置の要部を示す概略平面断面図である。
【図3】ダクト内に配設されたファンの具体的構成を示す平面断面図である。
【図4】この発明の第3の実施形態に係る画像形成装置の要部を示す概略平面断面図である。
【符号の説明】
【0046】
2・・・回転駆動部
21・・・モータ(駆動装置)
23・・・駆動軸
3・・・被駆動装置(定着部)
31・・・定着ローラ
3a・・・被駆動軸
4・・・回転力伝達用磁気結合部(回転力伝達用磁気結合手段)
5・・・ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置と、
発熱性の被駆動装置と、
前記駆動装置の駆動軸と前記被駆動装置の被駆動軸とを磁力によって結合し、回転力を伝達する回転力伝達用磁気結合手段と、
前記駆動装置と被駆動装置との間に配設され、前記被駆動装置から発生する熱を前記駆動装置側に対して断熱するダクトと、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ダクトは、前記被駆動装置から発生する熱を吸い込んで外部に排気させる排気用として構成されている請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ダクト内には、前記回転力伝達用磁気結合手段の回転動作に磁気結合で応動して回転するファンが配設されている請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
一つの駆動装置による回転力を互いに並設された複数の被駆動装置に対して、互いに並設された複数の回転力伝達用磁気結合手段を介してそれぞれ伝達するように構成されており、
前記駆動装置と前記複数の被駆動装置との間に、一つのダクトが配置されている請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−2734(P2010−2734A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162054(P2008−162054)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】