画像形成装置
【課題】 複数の画像処理部を備え、所定の領域単位で入力される単一の画像データに対して複数の画像処理を並列に実行する画像形成装置において、消費電力を低減する。
【解決手段】 複数の画像処理部を備え、所定の処理領域単位で入力される単一の画像データに対して複数の画像処理を並列に実行する画像形成装置であって、
画像データに関連付けされた属性データを参照する参照手段、前記参照手段で参照した属性データの値と予め定めた値が一致するか否かを判定する判定手段、前期複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断する遮断手段を備え、
前記遮断手段は、処理領域内の全画素の属性データが予め定めた値と一致する場合に、当該属性データに関連付けられた画像データを処理する前記複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断することを特徴とする。
【解決手段】 複数の画像処理部を備え、所定の処理領域単位で入力される単一の画像データに対して複数の画像処理を並列に実行する画像形成装置であって、
画像データに関連付けされた属性データを参照する参照手段、前記参照手段で参照した属性データの値と予め定めた値が一致するか否かを判定する判定手段、前期複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断する遮断手段を備え、
前記遮断手段は、処理領域内の全画素の属性データが予め定めた値と一致する場合に、当該属性データに関連付けられた画像データを処理する前記複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、入力された画像データに画像処理を施して出力する画像形成装置に関し、特に、単一の画像データに対して複数の画像処理を並列に実行する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、ＣＰＵの高速化、ＩＣメモリやハードディスクの大容量化に伴い、モノクロだけでなくカラーの画像データを処理できる画像形成装置が存在している。しかしながら、１ページ全体の画像データ（例えば、用紙サイズがＡ４、解像度が６００ｄｐｉ、１画素あたりＲＧＢ各８ｂｉｔの画像データ）は、データ量がかなり大きい。そこで、一般的に、画像形成装置は、画像データに対して何らかの圧縮処理を施した形で機器内に記憶する。
【０００３】
上記の画像圧縮を適用すれば、画像形成装置は、１ページ全体の画像データを圧縮（符号化）してから記憶し、記憶した画像データを伸張（復号化）してから必要な処理を実行できるので、圧縮後の１ページ全体の画像データを記憶するだけの容量を備えればよい。しかしながら、実際には、例えば、画像データを９０度回転させたい場合に、１ページ全体の画像データをページ単位で圧縮していると、一度伸張してからでないと９０度回転させることができない。そこで、この問題を解決するために、１ページの画像データをタイルと呼ばれる矩形単位（例えば、３２画素×３２画素）に分割する技術が提案されている。これにより、タイル単位で画像データを圧縮しておけば、タイル単位で画像データを伸張してから必要な処理を実行でき、画像処理のためのメモリ容量を節約することができる。
【０００４】
また、近年、上記の画像圧縮を適用する上で、予め複数の画像圧縮方法を備え、画像データの種別に適した画像圧縮方法を選択的に用いて画像圧縮する技術が提案されている。
【０００５】
例えば、特許文献１では、文字領域の画像データに対しては可逆圧縮方法、写真（自然画）領域の画像データに対しては非可逆圧縮方法を選択的に適用する。これにより、従来以上に高画質かつ小容量の画像データを生成し機器内に記憶することができる。
【０００６】
一方で、上記のような画像処理部で消費電力を削減する技術もまた提案されている。
【０００７】
例えば、特許文献２では、画像データの画像処理部において、ブロック毎に参照画像データと次に符号化する原画像データとの差分（＝必要な画像処理量）を取り、差分の大小に応じて符号化処理エレメントの動作周波数を上下させることで、消費電力を削減する。
【０００８】
また、例えば、特許文献３では、画像データの画像表示部において、常時表示部分と点滅表示部分をメモリに記憶し、一定時間継続して画像データが変化しない場合に、画像生成部の一部又は全部への電力供給を遮断することで、消費電力を削減する。
【特許文献１】特開２００６−５００９６号公報
【特許文献２】特開平９−９２５１号公報
【特許文献３】特開平６−５９６５３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
前述したように、予め複数の画像圧縮方法を備え、それぞれの画像データに適した画像圧縮方法を選択的に用いて画像圧縮する技術を用いれば、従来以上に高画質かつ小容量の画像データを生成できる。しかしながら、上記アルゴリズムにより画像圧縮方法の選択を実現する回路は、単一の入力画像データに対して複数の画像圧縮処理部を並列に動作させ、各画像圧縮処理部の出力結果を比較する必要がある。これに伴い、最終的な出力データとして選択されない画像処理部に対しても、画像処理を実行するための電力を供給し続けなければならないため、当該画像処理部における消費電力が増加してしまう課題がある。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
前述した課題を解決するために、本発明の画像形成装置は以下の構成・手段を備える。
【００１１】
複数の画像処理部（２０３）を備え、所定の処理領域単位で入力される単一の画像データに対して複数の画像処理を並列に実行する画像形成装置（１００）であって、
画像データに関連付けされた属性データを参照する参照手段（５００）、前記参照手段で参照した属性データの値と予め定めた値が一致するか否かを判定する判定手段（５０１）、前期複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断する遮断手段（５０２）を備え、
前記遮断手段（５０２）は、処理領域内の全画素の属性データが予め定めた値と一致する場合に、当該属性データに関連付けられた画像データを処理する前記複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１２】
本発明によれば、複数の画像処理部を備え、所定の領域単位で入力される単一の画像データに対して複数の画像処理を並列に実行する画像形成装置において、所定領域内の全画素の属性データが予め定められた領域（例えば、文字領域、写真領域など）であることを示す値である場合に、複数の画像処理部のうち少なくとも一つの画像処理部への電力供給を遮断することで、当該画像処理部における消費電力を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【実施例１】
【００１４】
本発明に関する第１の実施の形態を、図１〜図１５を用いて説明する。
【００１５】
＜システム構成＞
図１は、本発明の第１の実施形態における画像形成装置１００の構成例を示したブロック図である。
【００１６】
画像形成装置１００は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ＦＡＸ機能などの異なる複数の機能を実現可能な複合機（ＭＦＰ）を想定しており、バスＩ／Ｆ部２００、通信部２０１、スキャナ部２０２、画像処理部２０３、中央演算処理装置ＣＰＵ２０４、不揮発性メモリＲＯＭ２０５、揮発性メモリＲＡＭ２０６、ハードディスクＨＤＤ２０７、プリンタ部２０８、及び、電源供給部２０９で構成される。
【００１７】
バスＩ／Ｆ部２００は、画像形成装置１００における各処理部を電気的に接続するインタフェースである。バスＩ／Ｆ２００は、ＣＰＵ２０４から入力される制御信号に従い、通信部２０１、スキャナ部２０２、画像処理部２０３、ＲＡＭ２０６、ＨＤＤ２０７、プリンタ部２０８の各処理部の間で画像データ及び属性データを転送する。
【００１８】
通信部２０１は、インターネットやＬＡＮなどのネットワークに接続され、画像形成装置１００と外部機器との間で画像データ及び属性データの送受信を行う処理部である。また、通信部２０１は、公衆電話回線に接続することでＦＡＸ通信を行ったり、ＰＣとのＵＳＢインタフェースで直接接続することでデータ通信を行ったりする。
【００１９】
スキャナ部２０２は、原稿画像を光学的に読み取って電気的な画像信号に変換する処理部である。スキャナ部２０２は、密着型イメージセンサ、読取駆動部、読取点灯制御部、等で構成される。スキャナ部２０２は、読取駆動部によって駆動される密着型イメージセンサによって原稿全体がスキャンされる際、読取点灯制御部によって密着型イメージセンサ内部のＬＥＤを点灯制御する。同時に、スキャナ部２０２は、密着型イメージセンサ内部のフォトセンサが原稿画像を光学的に読み取って、電気的な画像信号に変換する。
【００２０】
画像処理部２０３は、スキャン系画像処理、通信系画像処理、プリント系画像処理を行う処理部である。ここで、本発明の実施形態における画像処理部２０３は、少なくとも、タイル生成部３０１、画像圧縮部３０２、画像伸張部３０３の各処理部を備える。スキャン系画像処理は、スキャナ２０２から受信した画像データ及び属性データを高精細な画像データに変換するための画像処理であり、シェーディング補正、ガンマ処理、２値化処理、中間調処理、ＲＧＢｔｏＣＭＹＫ色変換処理、等を実行する。プリント系画像処理は、画像データ及び属性データを記録解像度に合わせて解像度変換するための画像処理であり、変倍処理、スムージング補正、濃度補正、等を実行する。通信系画像処理は、画像データ及び属性データを画像形成装置１００内で記憶可能な容量及び通信性能に合わせて変換するための画像処理であり、タイル生成処理、画像圧縮処理、画像伸張処理、解像度変換、色変換処理、等を実行する。ここで、タイル生成部３０１は、1ページの画像データ及び属性データを、タイルと呼ばれる矩形単位（例えば、３２画素×３２画素）に分割する。また、画像圧縮部３０２は、タイル生成部３０１で分割されたタイル単位の画像データ及び属性データに対して、予め複数の画像圧縮方法を備え、それぞれの画像データ及び属性データに適した画像圧縮方法を選択的に適用する。具体的には、例えば、タイル単位で、文字領域の画像データに対しては可逆圧縮方法、自然画（写真）領域の画像データに対しては非可逆圧縮方法を選択的に適用する。また、画像伸張部３０３は、画像圧縮部３０２で圧縮されたタイル単位の画像データ及び属性データに対して、予め複数の画像伸張方法を備え、画像圧縮部３０２で選択的に適用された画像圧縮方法に対応する画像伸張方法を適用して、非圧縮の画像データ及び属性データを生成する。
【００２１】
中央演算処理装置ＣＰＵ２０４は、画像形成装置１００における画像データ及び属性データの転送、及び、画像処理の実行を制御する制御部である。ＣＰＵ２０４は、ＲＯＭ２０５に予め記憶されたプログラムを順次実行して、画像形成装置１００を制御する。
【００２２】
不揮発性メモリＲＯＭ２０５は、画像形成装置１００の制御手段を記述したプログラムを保持する記憶部である。
【００２３】
揮発性メモリＲＡＭ２０６は、画像処理装置１００の機能を実現するために、制御手段を記述したプログラムや画像データ及び属性データを一時的に記憶する記憶部である。特に、ＲＡＭ２０６は、画像処理部２０３におけるタイル生成部３０１、画像圧縮部３０２、画像伸張部３０３のそれぞれが画像処理を実行する際に、画像データ及び属性データを一時的に記憶する。なお、本発明の実施形態においては、ＲＡＭ２０６と画像処理部２０３とを分離して位置づけているが、本発明の請求の範囲は、特に上記メモリ構成に限定されるものではなく、例えば、画像処理部２０３の内部にＳＲＡＭ等を用いた記憶部を備えるメモリ構成であっても良い。
【００２４】
ハードディスク２０７は、画像処理装置１００の機能を実現するために、制御手段を記述したプログラムや画像データ及び属性データを記憶する記憶部である。特に、ハードディスク２０７は、画像圧縮部３０２によって圧縮された、圧縮処理後の画像データ及び属性データを記憶する。なお、本発明の実施形態においては、ハードディスク２０７を圧縮処理後の画像データ及び属性データの記憶部として位置づけているが、本発明の請求の範囲は、特に上記メモリデバイスに限定するものではなく、フラッシュメモリ等の他のメモリデバイスであっても構わない。
【００２５】
プリンタ部２０８は、電気的な画像信号に基づき、記録紙上にトナーやインクを用いた可視像として印字する処理部である。プリンタ部２０８は、レーザービームプリンタやインクジェットプリンタで構成される。
【００２６】
電源供給部２０９は、画像形成装置１００の各処理部への電力を供給する処理部である。電力供給部２０９は、バスＩ／Ｆ部２００を介して画像形成装置１００の各処理部（装置）に接続されており、各処理部（装置）が動作（駆動）するために必要な電力（動作クロック）を供給する。
【００２７】
＜装置動作＞
図２〜図１５を用いて、本発明の実施形態における画像形成装置１００の制御手順を説明する。
【００２８】
図２は、本発明の実施形態における画像形成装置１００のスキャナ部２０２の制御手順を説明するフローチャートである。図１１及び図１２は、本発明の実施形態における画像形成装置１００に入力されるページ画像データの例である。
【００２９】
（Ｓ１００）
画像形成装置１００は、スキャナ部２０２において、図１１に示した例のようなページ単位の画像データ、及び、このページ単位の画像データの各画素に１対１で対応したページ単位の属性データを読み取り、ＲＡＭ２０６に転送して保持する。ここで、スキャナ部２０２は、図１２の矢印で示したように主走査幅Ｘ方向に画素データ及び属性データを１画素ずつ順番に読み取り、主走査幅Ｘ方向の１ラインを読み終えたら、続けて副走査幅Ｙ方向の次ラインの画素データ及び属性データを１画素ずつ順番に読み取る。
【００３０】
（Ｓ１０１）
画像形成装置１００は、スキャナ部２０２において、図１２に示したバンドと呼ばれる主走査幅Ｘ×タイル幅（例えば、３２画素）分の画像データ及び属性データがＲＡＭ２０６上に保持されたか否かを検知する。ここで、ＲＡＭ２０６上に１バンド分の画像データ及び属性データが保持されたならば（Ｙｅｓ）、ステップＳ１０２に遷移し、保持されていなければ（Ｎｏ）、ステップＳ１００に遷移する。
【００３１】
（Ｓ１０２）
画像形成装置１００は、スキャナ部２０２から、バスＩ／Ｆ２００を介して電気的に接続されたタイル生成部３０１に対して、ＲＡＭ２０６上に１バンド分の画像データ及び属性データが保持されたことを通知する。
【００３２】
（Ｓ１０３）
画像形成装置１００は、スキャナ部２０２において、バスＩ／Ｆ２００を介して電気的に接続されたタイル生成部３０１から、ＲＡＭ２０６上の１バンド分の画像データ及び属性データのタイル生成処理が終了したことを通知されたか否かを検知する。ここで、ＲＡＭ２０６上の１バンド分の画像データ及び属性データのタイル生成処理が終了したならば（Ｙｅｓ）、ステップＳ１０４に遷移し、終了していなければ（Ｎｏ）、再びステップＳ１０３に遷移する。
【００３３】
（Ｓ１０４）
画像形成装置１００は、スキャナ部２０２において、図１１及び図１２に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの画像データ及び属性データの全画素データの読み取りが終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの全画素データの読み取りが終了したならば（Ｙｅｓ）、スキャン動作を終了し、終了していなければ（Ｎｏ）、ステップＳ１００に遷移してスキャン動作を継続する。
【００３４】
図３は、本発明の実施形態における画像形成装置１００のタイル生成部３０１の制御手順を説明するフローチャートである。図１３は、本発明の実施形態における画像形成装置１００に入力されたページ画像データに対するタイル生成処理を説明する概念図である。
【００３５】
（Ｓ２００）
画像形成装置１００は、タイル生成部３０１において、バスＩ／Ｆ２００を介して電気的に接続されたスキャナ部２０２から、ＲＡＭ２０６上に１バンド分の画像データ及び属性データが保持されたことを通知されたか否かを検知する。ここで、ＲＡＭ２０６上に１バンド分の画像データ及び属性データが保持されたならば（Ｙｅｓ）、ステップＳ２０１に遷移し、保持されていなければ（Ｎｏ）、再びステップＳ２００に遷移する。
【００３６】
（Ｓ２０１）
画像形成装置１００は、タイル生成部３０１において、図１２及び図１３に示した例のようなＲＡＭ２０６上の１バンド分の画像データ及び属性データから、タイル単位（例えば、３２画素×３２画素）の画素データを１画素ずつ順番に読み取り、ＲＡＭ２０６に転送して保持する。ここで、タイル生成部３０１は、図１３の矢印で示したようにタイル単位の主走査幅Ｘ方向の画素データ及び属性データを１画素ずつ順番に読み取り、主走査幅Ｘ方向のタイル幅（例えば、３２画素）を読み終えたら、続けて副走査幅Ｙ方向の次ラインの画素データ及び属性データを１画素ずつ順番に読み取る。
【００３７】
（Ｓ２０２）
画像形成装置１００は、タイル生成部３０１において、図１３に示したタイルと呼ばれる主走査幅Ｘ方向のタイル幅×副走査方向のタイル幅（例えば、３２画素×３２画素）分の画像データ及び属性データがＲＡＭ２０６上に保持されたか否かを検知する。ここで、ＲＡＭ２０６上に１タイル分の画像データ及び属性データが保持されたならば（Ｙｅｓ）、ステップＳ２０３に遷移し、保持されていなければ（Ｎｏ）、ステップＳ２０１に遷移する。
【００３８】
（Ｓ２０３）
画像形成装置１００は、タイル生成部３０１において、図１２に示したページ画像データ内における当該タイル画像データの位置情報（座標）を、当該タイル画像データのヘッダ情報として付加し、ＲＡＭ２０６上に書き込む。ここで、タイル画像データの位置情報（座標）は、例えば、画像データを９０度回転させたい場合に、タイル画像データのそれぞれを９０度回転すると共に、タイル画像データのそれぞれの位置を適宜変更して読み出すことで、ページ画像データ全体の９０度回転を実現するために必要な情報である。
【００３９】
（Ｓ２０４）
画像形成装置１００は、タイル生成部３０１において、図１２及び図１３に示した例のようなＲＡＭ２０６上の１バンド分の画像データ及び属性データから、タイル単位の画像データ及び属性データとして全て取得したか否かを検知する。ここで、タイル単位の画像データ及び属性データとして全て取得したならば（Ｙｅｓ）、ステップＳ２０５に遷移し、取得していなければ（Ｎｏ）、ステップＳ２０１に遷移する。
【００４０】
（Ｓ２０５）
画像形成装置１００は、タイル生成部３０１から、バスＩ／Ｆ２００を介して電気的に接続されたスキャナ部２０２に対して、ＲＡＭ２０６上の１バンド分の画像データ及び属性データのタイル生成処理が終了したことを通知する。
【００４１】
（Ｓ２０６）
画像形成装置１００は、タイル生成部３０１において、図１１及び図１２に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの画像データ及び属性データの全画素データのタイル生成処理が終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの全画素データのタイル生成処理が終了したならば（Ｙｅｓ）、タイル生成処理を終了し、終了していなければ（Ｎｏ）、ステップＳ２００に遷移してタイル生成処理を継続する。
【００４２】
図５は、従来例の実施形態における画像形成装置１００の画像圧縮部３０２の制御手順を説明するフローチャートである。図７は、従来例の実施形態における画像形成装置１００の画像圧縮部の動作を説明するブロック図（概念図）である。
【００４３】
（Ｓ７００）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図７に示した入力データ制御部４００を経由してタイル画像データＴ１、Ｔ２、Ｔ３、…を読み取り、画像バッファ４０１ａ〜４０１ｂに保持する。
【００４４】
（Ｓ７０１）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図７に示した入力データ制御部４００を経由してタイル属性データＡ１、Ａ２、Ａ３、…を読み取り、属性バッファ４０２に保持する。ここで、図７に示した例では、白色表示部分が文字領域を示す属性データ、色付表示部分が自然画（写真）領域を示す属性データを意味するものとする。
【００４５】
（Ｓ７０２）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図７に示した複数の画像圧縮方法４０３ａ〜４０３ｂ、４０４を備え、複数の画像圧縮方法を同時並列に適用する。例えば、画像バッファ４０１ａ〜４０１ｂに保持したタイル単位の画像データＴ１、Ｔ２、Ｔ３、…に対しては、可逆圧縮処理部（可逆画像エンコーダ）４０３ａと非可逆圧縮処理部（非可逆画像エンコーダ）４０３ｂを同時並列に適用し、圧縮処理後の画像データを画像バッファ４０５ａ〜４０５ｂに保持する。一方で、例えば、属性バッファ４０２に保持したタイル単位の属性データＡ１、Ａ２、Ａ３、…に対しては、属性データの特性に適合したアルゴリズムによる可逆圧縮処理部（ランレングスエンコーダ）を適用し、圧縮処理後の属性データを属性バッファ４０６に保持する。
【００４６】
（Ｓ７０３）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２における、図７に示した出力データ選択部４０７で、画像バッファ４０５ａ〜４０５ｂに保持された圧縮処理後の画像データの容量を比較し、容量の少ない方を選択的に採用して、容量の多い方を破棄する。すなわち、例えば、タイル画像データＴ１に関して、可逆圧縮処理部４０３ａによる圧縮処理後の画像データの容量が１５００Ｂｙｔｅ、非可逆圧縮処理部４０３ｂによる圧縮処理後の画像データの容量が５００Ｂｙｔｅであったならば、非可逆圧縮処理部４０３ｂの出力を採用する。同様に、例えば、タイル画像データＴ２に関して、可逆圧縮処理部４０３ａによる圧縮処理後の画像データの容量が５５０Ｂｙｔｅ、非可逆圧縮処理部４０３ｂによる圧縮処理後の画像データの容量が４５０Ｂｙｔｅであったならば、非可逆圧縮処理部４０３ｂの出力を採用する。同様に、例えば、タイル画像データＴ３に関して、可逆圧縮処理部４０３ａによる圧縮処理後の画像データの容量が２５０Ｂｙｔｅ、非可逆圧縮処理部４０３ｂによる圧縮処理後の画像データの容量が１０００Ｂｙｔｅであったならば、可逆圧縮処理部４０３ａの出力を採用する。上記の選択は、他のタイル画像データについても同様である。ここで、画像圧縮部３０２は、選択したいずれか一方の圧縮処理後の画像データを、出力データ制御部４０８を経由してハードディスクＨＤＤ２０７に格納する。
【００４７】
（Ｓ７０４）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、属性バッファ４０６に保持された圧縮処理後の属性データを、出力データ制御部４０８を経由してハードディスクＨＤＤ２０７に格納する。
【００４８】
（Ｓ７０５）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図１１及び図１２に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの画像データ及び属性データの全画素データの画像圧縮処理が終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの全画素データの画像圧縮処理が終了したならば（Ｙｅｓ）、画像圧縮処理を終了し、終了していなければ（Ｎｏ）、ステップＳ７００に遷移して画像圧縮処理を継続する。
【００４９】
図４は、本発明の実施形態における画像形成装置１００の画像圧縮部３０２の制御手順を説明するフローチャートである。図８〜図１０は、本発明の実施形態における画像形成装置１００の画像圧縮部３０２の動作を説明するブロック図（概念図）である。
【００５０】
（Ｓ３００）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図８〜図１０に示した入力データ制御部４００を経由してタイル画像データＴ１、Ｔ２、Ｔ３、…を読み取り、画像バッファ４０１ａ〜４０１ｂに保持する。
【００５１】
（Ｓ３０１）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図８〜図１０に示した入力データ制御部４００を経由してタイル属性データＡ１、Ａ２、Ａ３、…を読み取り、属性バッファ４０２に保持する。ここで、図８〜図１０の例では、白色表示部分が文字領域を示す属性データ、色付表示部分が自然画（写真）領域を示す属性データを意味するものとする。
【００５２】
（Ｓ３０２）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２における、図８〜図１０に示した動作回路選択部４０９で、タイル単位の属性データＡ１、Ａ２、Ａ３…を参照し、１タイル全画素の属性データが文字領域又は自然画（写真）領域を示す属性データであるか否かを判定する。ここで、１タイル全画素の属性データが文字領域又は自然画（写真）領域を示す属性データであれば（Ｙｅｓ）、ステップＳ３０３に遷移し、そうでなければ（Ｎｏ）、ステップＳ３０４に遷移する。すなわち、例えば、動作回路選択部４０９は、参照手段５００を用いて、図８に示したタイル単位の属性データＡ３を参照し、判定手段５０１を用いて、１タイル全画素の属性データが文字領域を示す属性データであると判定したならば、ステップＳ３０３に遷移する。同様に、例えば、動作回路選択部４０９は、参照手段５００を用いて、図９に示したタイル単位の属性データＡ１を参照し、判定手段５０１を用いて、１タイル全画素の属性データが自然画（写真）領域を示す属性データであると判定したならば、ステップＳ３０３に遷移する。同様に、例えば、動作回路選択部４０９は、参照手段５００を用いて、図１０に示したタイル単位の属性データＡ２を参照し、判定手段５０１を用いて、１タイル内の属性データが文字領域と自然画（写真）領域の両方を含む属性データであると判定したならば、ステップＳ３０４に遷移する。
【００５３】
（Ｓ３０３）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２における、図８〜図９に示した動作回路選択部４０９で、ステップＳ３０２の判定結果に従い、複数の画像圧縮方法のうち少なくとも１つの画像圧縮方法の電力供給を遮断する。すなわち、例えば、動作回路選択部４０９は、判定手段５０１を用いて、図８に示した１タイル全画素の属性データが文字領域を示す属性データであると判定したならば、遮断手段５０２を用いて、当該タイル属性データに関連付けられたタイル画像データの画像圧縮処理を開始する前に、電力供給部２０９から非可逆圧縮処理部（非可逆画像エンコーダ）４０３ｂへの電力供給を遮断する。同様に、例えば、動作回路選択部４０９は、判定手段５０１を用いて、図９に示した１タイル全画素の属性データが自然画（写真）領域を示す属性データであると判定したならば、遮断手段５０２を用いて、当該タイル属性データに関連付けられたタイル画像データの画像圧縮処理を開始する前に、電力供給部２０９から可逆圧縮処理部（可逆画像エンコーダ）４０３ａへの電力供給を遮断する。
【００５４】
（Ｓ３０４）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２における、図１０に示した動作回路選択部４０９で、ステップＳ３０２の判定結果に従い、複数の画像圧縮方法に電力供給する。すなわち、例えば、動作回路選択部４０９は、判定手段５０１を用いて、図１０に示した１タイル内の属性データが文字領域と自然画（写真）領域の両方を含む属性データであると判定したならば、遮断手段５０２を用いて、当該タイル属性データに関連付けられたタイル画像データの画像圧縮処理を開始する前に、電力供給部２０９から可逆圧縮処理部（可逆画像エンコーダ）４０３ａと非可逆圧縮処理部（非可逆画像エンコーダ）４０３ｂの両方に電力供給する。
【００５５】
（Ｓ３０５）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図８〜図１０に示した複数の画像圧縮方法４０３ａ〜４０３ｂ、４０４を備え、複数の画像圧縮方法を同時並列に適用する。ただし、図８に示したように、例えば、タイル画像データＴ３に対しては、可逆圧縮処理部（可逆画像エンコーダ）４０３ａのみを適用し、圧縮処理後の画像データを画像バッファ４０５ａに保持する。また、図９に示したように、例えば、タイル画像データＴ１に対しては、非可逆圧縮処理部（非可逆画像エンコーダ）４０３ｂのみを適用し、圧縮処理後の画像データを画像バッファ４０５ｂに保持する。また、図１０に示したように、例えば、タイル画像データＴ２に対しては、可逆圧縮処理部（可逆画像エンコーダ）４０３ａと非可逆圧縮処理部（非可逆画像エンコーダ）４０３ｂを同時並列に適用し、圧縮処理後の画像データを画像バッファ４０５ａ〜４０５ｂに保持する。一方で、例えば、属性バッファ４０２に保持したタイル単位の属性データＡ１、Ａ２、Ａ３、…に対しては、属性データの特性に適合したアルゴリズムによる可逆圧縮処理部（ランレングスエンコーダ）を適用し、圧縮処理後の属性データを属性バッファ４０６に保持する。
【００５６】
（Ｓ３０６）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２における、図８〜図１０に示した出力データ選択部４０７で、画像バッファ４０５ａ〜４０５ｂに保持された圧縮処理後の画像データの容量を比較し、容量の少ない方を選択的に採用して、容量の多い方を破棄する。ただし、電力供給の遮断により、圧縮処理後の画像データとして有効な画像データが生成されていない場合には、これを選択対象としない。すなわち、図８に示したように、例えば、タイル画像データＴ３に関して、可逆圧縮処理部４０３ａによる圧縮処理後の画像データの容量が２５０Ｂｙｔｅであったのに対し、非可逆圧縮処理部４０３ｂによる圧縮処理後の画像データとして有効な画像データが生成されていなければ、可逆圧縮処理部４０３ａの出力を採用する。同様に、図９に示したように、例えば、タイル画像データＴ１に関して、可逆圧縮処理部４０３ａによる圧縮処理後の画像データとして有効な画像データが生成されておらず、非可逆圧縮処理部４０３ｂによる圧縮処理後の画像データの容量が５００Ｂｙｔｅであったならば、非可逆圧縮処理部４０３ｂの出力を採用する。同様に、例えば、図１０に示すように、タイル画像データＴ２に関して、可逆圧縮処理部４０３ａによる圧縮処理後の画像データの容量が５５０Ｂｙｔｅ、非可逆圧縮処理部４０３ｂによる圧縮処理後の画像データの容量が４５０Ｂｙｔｅであったならば、非可逆圧縮処理部４０３ｂの出力を採用する。上記の選択は、他のタイル画像データについても同様である。ここで、画像圧縮部３０２は、選択したいずれか一方の圧縮処理後の画像データを、出力データ制御部４０８を経由してハードディスクＨＤＤ２０７に格納する。
【００５７】
（Ｓ３０７）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、属性バッファ４０６に保持された圧縮処理後の属性データを、出力データ制御部４０８を経由してハードディスクＨＤＤ２０７に格納する。
【００５８】
（Ｓ３０８）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図１１及び図１２に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの画像データ及び属性データの全画素データの画像圧縮処理が終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの全画素データの画像圧縮処理が終了したならば（Ｙｅｓ）、画像圧縮処理を終了し、終了していなければ（Ｎｏ）、ステップＳ３００に遷移して画像圧縮処理を継続する。
【００５９】
図６は、本発明の実施形態における画像形成装置１００の画像伸張部３０３の制御手順を説明するフローチャートである。
【００６０】
（Ｓ８００）
画像形成装置１００は、画像伸張部３０３において、圧縮処理後のタイル画像データＴ１、Ｔ２、Ｔ３、…を読み取り、画像バッファ（非図示）に保持する。
【００６１】
（Ｓ８０１）
画像形成装置１００は、画像伸張部３０３において、圧縮処理後のタイル属性データＡ１、Ａ２、Ａ３、…を読み取り、属性バッファ（非図示）に保持する。
【００６２】
（Ｓ８０２）
画像形成装置１００は、画像伸張部３０３において、図７に示した複数の画像圧縮方法４０３ａ〜４０３ｂ、４０４の逆変換に相当する複数の画像伸張方法（非図示）を備え、複数の画像伸張方法のうちいずれか１つを適用し、伸張処理後の画像データを画像バッファ（非図示）に保持する。例えば、非可逆圧縮処理（非可逆エンコーダ）を用いて圧縮された圧縮処理後のタイル画像データＴ１、Ｔ２に対しては、非可逆伸張処理部（非可逆画像デコーダ）を適用する。同様に、例えば、可逆圧縮処理（可逆エンコーダ）を用いて圧縮された圧縮処理後のタイル画像データＴ３に対しては、可逆伸張処理部（可逆画像デコーダ）を適用する。一方で、例えば、可逆圧縮処理部（ランレングスエンコーダ）を用いて圧縮された圧縮処理後のタイル属性データＡ１、Ａ２、Ａ３、…に対しては、属性データの特性に適合したアルゴリズムによる可逆伸張処理部（ランレングスデコーダ）を適用し、伸張処理後の属性データを属性バッファ（非図示）に保持する。
【００６３】
（Ｓ８０３）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、画像バッファ（非図示）に保持された圧縮処理後の画像データを、ハードディスクＨＤＤ２０７に格納する。
【００６４】
（Ｓ８０４）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、属性バッファ（非図示）に保持された圧縮処理後の属性データを、ハードディスクＨＤＤ２０７に格納する。
【００６５】
（Ｓ８０５）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図１１及び図１２に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの画像データ及び属性データの全画素データの画像伸張処理が終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの全画素データの画像伸張処理が終了したならば（Ｙｅｓ）、画像伸張処理を終了し、終了していなければ（Ｎｏ）、ステップＳ８００に遷移して画像伸張処理を継続する。
【００６６】
図１４〜図１５は、本発明の実施形態における画像形成装置１００で対象とする複数の画像圧縮部３０２による画像圧縮方法の特性を説明する概念図である。
【００６７】
図１４は、各々の属性を有するタイル単位の画像データに対して、可逆圧縮処理部４０３ａによる圧縮処理後の画像データの容量を横軸、非可逆圧縮処理部４０３ｂによる圧縮処理後の画像データの容量を縦軸に取り、プロットした結果を各属性についてまとめた概念図である。図１４に示すように、自然画（写真）、文字線画、グラデーション、等の各属性がタイル単位で一意に定まる場合には、縦軸と横軸で示した圧縮処理後の画像データの容量に固有の関係がある。また、図１５は、図１４でプロットした結果を元に、各属性に適した画像圧縮手法をまとめた表である。図１５に示すように、自然画（写真）、文字線画、グラデーション、等の各属性がタイル単位で一意に定まる場合には、各属性に適した画像圧縮手法が一意に定まる。以上を鑑みると、タイル単位の全画素の属性データが一意に定まる場合には、圧縮処理後に選択される画像圧縮方法を予め選択しておくことが可能になる。本発明は、各々の属性を有するタイル画像データの固有の関係に基づいて、複数の画像圧縮処理部のうち少なくともいずれか１つの画像圧縮処理部への電力供給を遮断することを可能にしたものである。
【００６８】
なお、本発明の実施形態においては、複数の画像圧縮部３０２を対象として説明したが、本発明の請求の範囲は、特に上記例に限定するものではない。すなわち、単一の画像データに対して複数の画像処理を同時並列に動作させる画像処理部であれば、画像圧縮以外の異なる画像処理であっても同様である。
【００６９】
なお、本発明の実施形態においては、動作回路選択部４０９が有する遮断手段５０２を用いて電源供給を遮断する旨を説明したが、本発明の請求の範囲は、特に上記遮断の実現方法に関して手段を問わない。この実現方法としては、例えば、電源供給部２０９から画像圧縮部３０２内の可逆画像圧縮部４０３ａ、及び、非可逆画像圧縮部４０３ｂに電気的に接続された動作クロック信号のうち、いずれか一方をマスクしてクロック供給を停止する方法であっても良い。また、この別の実現方法としては、例えば、電源供給部２０９から画像圧縮部３０２内の可逆画像圧縮部４０３ａ、及び、非可逆画像圧縮部４０３ｂに供給される電源系統そのものを予め分離しておき、いずれか一方の電源系統を停止する方法であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【００７０】
【図１】本発明の実施形態における画像形成装置の構成例を示したブロック図である。
【図２】本発明の実施形態における画像形成装置のスキャナ部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図３】本発明の実施形態における画像形成装置のタイル生成部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図４】本発明の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図５】従来例の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図６】本発明の実施形態における画像形成装置の画像伸張部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図７】従来例の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の動作を説明するブロック図（概念図）である。
【図８】本発明の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の動作を説明するブロック図（概念図）である。
【図９】本発明の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の動作を説明するブロック図（概念図）である。
【図１０】本発明の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の動作を説明するブロック図（概念図）である。
【図１１】本発明の実施形態における画像形成装置に入力されるページ画像データの例である。
【図１２】本発明の実施形態における画像形成装置に入力されたページ画像データに対するタイル生成処理を説明する概念図である。
【図１３】本発明の実施形態における画像形成装置に入力されたページ画像データに対するタイル生成処理を説明する概念図である。
【図１４】本発明の実施形態における画像形成装置で対象とする複数の画像圧縮部による画像圧縮方法の特性を説明する概念図である。
【図１５】本発明の実施形態における画像形成装置で対象とする複数の画像圧縮部による画像圧縮方法の特性を説明する概念図である。
【符号の説明】
【００７１】
１００ 画像形成装置
２００ バスＩ／Ｆ
２０１ 通信部
２０２ スキャナ部
２０３ 画像処理部
２０４ ＣＰＵ
２０５ ＲＯＭ
２０６ ＲＡＭ
２０７ ハードディスク（ＨＤＤ）
２０８ プリンタ部
２０９ 電源供給部
３０１ タイル生成部
３０２ 画像圧縮部
３０３ 画像伸張部
４００ 入力データ制御部
４０１ａ〜４０１ｂ 画像データバッファ
４０２ 属性データバッファ
４０３ａ 画像圧縮処理部（可逆画像エンコーダ）
４０３ｂ 画像圧縮処理部（非可逆画像エンコーダ）
４０４ 画像圧縮処理部（可逆ランレングスエンコーダ）
４０５ａ〜４０５ｂ 画像データバッファ
４０６ 属性データバッファ
４０７ 出力データ選択部
４０８ 出力データ制御部
５００ 参照手段
５０１ 判定手段
５０２ 遮断手段
【技術分野】
【０００１】
本発明は、入力された画像データに画像処理を施して出力する画像形成装置に関し、特に、単一の画像データに対して複数の画像処理を並列に実行する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、ＣＰＵの高速化、ＩＣメモリやハードディスクの大容量化に伴い、モノクロだけでなくカラーの画像データを処理できる画像形成装置が存在している。しかしながら、１ページ全体の画像データ（例えば、用紙サイズがＡ４、解像度が６００ｄｐｉ、１画素あたりＲＧＢ各８ｂｉｔの画像データ）は、データ量がかなり大きい。そこで、一般的に、画像形成装置は、画像データに対して何らかの圧縮処理を施した形で機器内に記憶する。
【０００３】
上記の画像圧縮を適用すれば、画像形成装置は、１ページ全体の画像データを圧縮（符号化）してから記憶し、記憶した画像データを伸張（復号化）してから必要な処理を実行できるので、圧縮後の１ページ全体の画像データを記憶するだけの容量を備えればよい。しかしながら、実際には、例えば、画像データを９０度回転させたい場合に、１ページ全体の画像データをページ単位で圧縮していると、一度伸張してからでないと９０度回転させることができない。そこで、この問題を解決するために、１ページの画像データをタイルと呼ばれる矩形単位（例えば、３２画素×３２画素）に分割する技術が提案されている。これにより、タイル単位で画像データを圧縮しておけば、タイル単位で画像データを伸張してから必要な処理を実行でき、画像処理のためのメモリ容量を節約することができる。
【０００４】
また、近年、上記の画像圧縮を適用する上で、予め複数の画像圧縮方法を備え、画像データの種別に適した画像圧縮方法を選択的に用いて画像圧縮する技術が提案されている。
【０００５】
例えば、特許文献１では、文字領域の画像データに対しては可逆圧縮方法、写真（自然画）領域の画像データに対しては非可逆圧縮方法を選択的に適用する。これにより、従来以上に高画質かつ小容量の画像データを生成し機器内に記憶することができる。
【０００６】
一方で、上記のような画像処理部で消費電力を削減する技術もまた提案されている。
【０００７】
例えば、特許文献２では、画像データの画像処理部において、ブロック毎に参照画像データと次に符号化する原画像データとの差分（＝必要な画像処理量）を取り、差分の大小に応じて符号化処理エレメントの動作周波数を上下させることで、消費電力を削減する。
【０００８】
また、例えば、特許文献３では、画像データの画像表示部において、常時表示部分と点滅表示部分をメモリに記憶し、一定時間継続して画像データが変化しない場合に、画像生成部の一部又は全部への電力供給を遮断することで、消費電力を削減する。
【特許文献１】特開２００６−５００９６号公報
【特許文献２】特開平９−９２５１号公報
【特許文献３】特開平６−５９６５３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
前述したように、予め複数の画像圧縮方法を備え、それぞれの画像データに適した画像圧縮方法を選択的に用いて画像圧縮する技術を用いれば、従来以上に高画質かつ小容量の画像データを生成できる。しかしながら、上記アルゴリズムにより画像圧縮方法の選択を実現する回路は、単一の入力画像データに対して複数の画像圧縮処理部を並列に動作させ、各画像圧縮処理部の出力結果を比較する必要がある。これに伴い、最終的な出力データとして選択されない画像処理部に対しても、画像処理を実行するための電力を供給し続けなければならないため、当該画像処理部における消費電力が増加してしまう課題がある。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
前述した課題を解決するために、本発明の画像形成装置は以下の構成・手段を備える。
【００１１】
複数の画像処理部（２０３）を備え、所定の処理領域単位で入力される単一の画像データに対して複数の画像処理を並列に実行する画像形成装置（１００）であって、
画像データに関連付けされた属性データを参照する参照手段（５００）、前記参照手段で参照した属性データの値と予め定めた値が一致するか否かを判定する判定手段（５０１）、前期複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断する遮断手段（５０２）を備え、
前記遮断手段（５０２）は、処理領域内の全画素の属性データが予め定めた値と一致する場合に、当該属性データに関連付けられた画像データを処理する前記複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１２】
本発明によれば、複数の画像処理部を備え、所定の領域単位で入力される単一の画像データに対して複数の画像処理を並列に実行する画像形成装置において、所定領域内の全画素の属性データが予め定められた領域（例えば、文字領域、写真領域など）であることを示す値である場合に、複数の画像処理部のうち少なくとも一つの画像処理部への電力供給を遮断することで、当該画像処理部における消費電力を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【実施例１】
【００１４】
本発明に関する第１の実施の形態を、図１〜図１５を用いて説明する。
【００１５】
＜システム構成＞
図１は、本発明の第１の実施形態における画像形成装置１００の構成例を示したブロック図である。
【００１６】
画像形成装置１００は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ＦＡＸ機能などの異なる複数の機能を実現可能な複合機（ＭＦＰ）を想定しており、バスＩ／Ｆ部２００、通信部２０１、スキャナ部２０２、画像処理部２０３、中央演算処理装置ＣＰＵ２０４、不揮発性メモリＲＯＭ２０５、揮発性メモリＲＡＭ２０６、ハードディスクＨＤＤ２０７、プリンタ部２０８、及び、電源供給部２０９で構成される。
【００１７】
バスＩ／Ｆ部２００は、画像形成装置１００における各処理部を電気的に接続するインタフェースである。バスＩ／Ｆ２００は、ＣＰＵ２０４から入力される制御信号に従い、通信部２０１、スキャナ部２０２、画像処理部２０３、ＲＡＭ２０６、ＨＤＤ２０７、プリンタ部２０８の各処理部の間で画像データ及び属性データを転送する。
【００１８】
通信部２０１は、インターネットやＬＡＮなどのネットワークに接続され、画像形成装置１００と外部機器との間で画像データ及び属性データの送受信を行う処理部である。また、通信部２０１は、公衆電話回線に接続することでＦＡＸ通信を行ったり、ＰＣとのＵＳＢインタフェースで直接接続することでデータ通信を行ったりする。
【００１９】
スキャナ部２０２は、原稿画像を光学的に読み取って電気的な画像信号に変換する処理部である。スキャナ部２０２は、密着型イメージセンサ、読取駆動部、読取点灯制御部、等で構成される。スキャナ部２０２は、読取駆動部によって駆動される密着型イメージセンサによって原稿全体がスキャンされる際、読取点灯制御部によって密着型イメージセンサ内部のＬＥＤを点灯制御する。同時に、スキャナ部２０２は、密着型イメージセンサ内部のフォトセンサが原稿画像を光学的に読み取って、電気的な画像信号に変換する。
【００２０】
画像処理部２０３は、スキャン系画像処理、通信系画像処理、プリント系画像処理を行う処理部である。ここで、本発明の実施形態における画像処理部２０３は、少なくとも、タイル生成部３０１、画像圧縮部３０２、画像伸張部３０３の各処理部を備える。スキャン系画像処理は、スキャナ２０２から受信した画像データ及び属性データを高精細な画像データに変換するための画像処理であり、シェーディング補正、ガンマ処理、２値化処理、中間調処理、ＲＧＢｔｏＣＭＹＫ色変換処理、等を実行する。プリント系画像処理は、画像データ及び属性データを記録解像度に合わせて解像度変換するための画像処理であり、変倍処理、スムージング補正、濃度補正、等を実行する。通信系画像処理は、画像データ及び属性データを画像形成装置１００内で記憶可能な容量及び通信性能に合わせて変換するための画像処理であり、タイル生成処理、画像圧縮処理、画像伸張処理、解像度変換、色変換処理、等を実行する。ここで、タイル生成部３０１は、1ページの画像データ及び属性データを、タイルと呼ばれる矩形単位（例えば、３２画素×３２画素）に分割する。また、画像圧縮部３０２は、タイル生成部３０１で分割されたタイル単位の画像データ及び属性データに対して、予め複数の画像圧縮方法を備え、それぞれの画像データ及び属性データに適した画像圧縮方法を選択的に適用する。具体的には、例えば、タイル単位で、文字領域の画像データに対しては可逆圧縮方法、自然画（写真）領域の画像データに対しては非可逆圧縮方法を選択的に適用する。また、画像伸張部３０３は、画像圧縮部３０２で圧縮されたタイル単位の画像データ及び属性データに対して、予め複数の画像伸張方法を備え、画像圧縮部３０２で選択的に適用された画像圧縮方法に対応する画像伸張方法を適用して、非圧縮の画像データ及び属性データを生成する。
【００２１】
中央演算処理装置ＣＰＵ２０４は、画像形成装置１００における画像データ及び属性データの転送、及び、画像処理の実行を制御する制御部である。ＣＰＵ２０４は、ＲＯＭ２０５に予め記憶されたプログラムを順次実行して、画像形成装置１００を制御する。
【００２２】
不揮発性メモリＲＯＭ２０５は、画像形成装置１００の制御手段を記述したプログラムを保持する記憶部である。
【００２３】
揮発性メモリＲＡＭ２０６は、画像処理装置１００の機能を実現するために、制御手段を記述したプログラムや画像データ及び属性データを一時的に記憶する記憶部である。特に、ＲＡＭ２０６は、画像処理部２０３におけるタイル生成部３０１、画像圧縮部３０２、画像伸張部３０３のそれぞれが画像処理を実行する際に、画像データ及び属性データを一時的に記憶する。なお、本発明の実施形態においては、ＲＡＭ２０６と画像処理部２０３とを分離して位置づけているが、本発明の請求の範囲は、特に上記メモリ構成に限定されるものではなく、例えば、画像処理部２０３の内部にＳＲＡＭ等を用いた記憶部を備えるメモリ構成であっても良い。
【００２４】
ハードディスク２０７は、画像処理装置１００の機能を実現するために、制御手段を記述したプログラムや画像データ及び属性データを記憶する記憶部である。特に、ハードディスク２０７は、画像圧縮部３０２によって圧縮された、圧縮処理後の画像データ及び属性データを記憶する。なお、本発明の実施形態においては、ハードディスク２０７を圧縮処理後の画像データ及び属性データの記憶部として位置づけているが、本発明の請求の範囲は、特に上記メモリデバイスに限定するものではなく、フラッシュメモリ等の他のメモリデバイスであっても構わない。
【００２５】
プリンタ部２０８は、電気的な画像信号に基づき、記録紙上にトナーやインクを用いた可視像として印字する処理部である。プリンタ部２０８は、レーザービームプリンタやインクジェットプリンタで構成される。
【００２６】
電源供給部２０９は、画像形成装置１００の各処理部への電力を供給する処理部である。電力供給部２０９は、バスＩ／Ｆ部２００を介して画像形成装置１００の各処理部（装置）に接続されており、各処理部（装置）が動作（駆動）するために必要な電力（動作クロック）を供給する。
【００２７】
＜装置動作＞
図２〜図１５を用いて、本発明の実施形態における画像形成装置１００の制御手順を説明する。
【００２８】
図２は、本発明の実施形態における画像形成装置１００のスキャナ部２０２の制御手順を説明するフローチャートである。図１１及び図１２は、本発明の実施形態における画像形成装置１００に入力されるページ画像データの例である。
【００２９】
（Ｓ１００）
画像形成装置１００は、スキャナ部２０２において、図１１に示した例のようなページ単位の画像データ、及び、このページ単位の画像データの各画素に１対１で対応したページ単位の属性データを読み取り、ＲＡＭ２０６に転送して保持する。ここで、スキャナ部２０２は、図１２の矢印で示したように主走査幅Ｘ方向に画素データ及び属性データを１画素ずつ順番に読み取り、主走査幅Ｘ方向の１ラインを読み終えたら、続けて副走査幅Ｙ方向の次ラインの画素データ及び属性データを１画素ずつ順番に読み取る。
【００３０】
（Ｓ１０１）
画像形成装置１００は、スキャナ部２０２において、図１２に示したバンドと呼ばれる主走査幅Ｘ×タイル幅（例えば、３２画素）分の画像データ及び属性データがＲＡＭ２０６上に保持されたか否かを検知する。ここで、ＲＡＭ２０６上に１バンド分の画像データ及び属性データが保持されたならば（Ｙｅｓ）、ステップＳ１０２に遷移し、保持されていなければ（Ｎｏ）、ステップＳ１００に遷移する。
【００３１】
（Ｓ１０２）
画像形成装置１００は、スキャナ部２０２から、バスＩ／Ｆ２００を介して電気的に接続されたタイル生成部３０１に対して、ＲＡＭ２０６上に１バンド分の画像データ及び属性データが保持されたことを通知する。
【００３２】
（Ｓ１０３）
画像形成装置１００は、スキャナ部２０２において、バスＩ／Ｆ２００を介して電気的に接続されたタイル生成部３０１から、ＲＡＭ２０６上の１バンド分の画像データ及び属性データのタイル生成処理が終了したことを通知されたか否かを検知する。ここで、ＲＡＭ２０６上の１バンド分の画像データ及び属性データのタイル生成処理が終了したならば（Ｙｅｓ）、ステップＳ１０４に遷移し、終了していなければ（Ｎｏ）、再びステップＳ１０３に遷移する。
【００３３】
（Ｓ１０４）
画像形成装置１００は、スキャナ部２０２において、図１１及び図１２に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの画像データ及び属性データの全画素データの読み取りが終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの全画素データの読み取りが終了したならば（Ｙｅｓ）、スキャン動作を終了し、終了していなければ（Ｎｏ）、ステップＳ１００に遷移してスキャン動作を継続する。
【００３４】
図３は、本発明の実施形態における画像形成装置１００のタイル生成部３０１の制御手順を説明するフローチャートである。図１３は、本発明の実施形態における画像形成装置１００に入力されたページ画像データに対するタイル生成処理を説明する概念図である。
【００３５】
（Ｓ２００）
画像形成装置１００は、タイル生成部３０１において、バスＩ／Ｆ２００を介して電気的に接続されたスキャナ部２０２から、ＲＡＭ２０６上に１バンド分の画像データ及び属性データが保持されたことを通知されたか否かを検知する。ここで、ＲＡＭ２０６上に１バンド分の画像データ及び属性データが保持されたならば（Ｙｅｓ）、ステップＳ２０１に遷移し、保持されていなければ（Ｎｏ）、再びステップＳ２００に遷移する。
【００３６】
（Ｓ２０１）
画像形成装置１００は、タイル生成部３０１において、図１２及び図１３に示した例のようなＲＡＭ２０６上の１バンド分の画像データ及び属性データから、タイル単位（例えば、３２画素×３２画素）の画素データを１画素ずつ順番に読み取り、ＲＡＭ２０６に転送して保持する。ここで、タイル生成部３０１は、図１３の矢印で示したようにタイル単位の主走査幅Ｘ方向の画素データ及び属性データを１画素ずつ順番に読み取り、主走査幅Ｘ方向のタイル幅（例えば、３２画素）を読み終えたら、続けて副走査幅Ｙ方向の次ラインの画素データ及び属性データを１画素ずつ順番に読み取る。
【００３７】
（Ｓ２０２）
画像形成装置１００は、タイル生成部３０１において、図１３に示したタイルと呼ばれる主走査幅Ｘ方向のタイル幅×副走査方向のタイル幅（例えば、３２画素×３２画素）分の画像データ及び属性データがＲＡＭ２０６上に保持されたか否かを検知する。ここで、ＲＡＭ２０６上に１タイル分の画像データ及び属性データが保持されたならば（Ｙｅｓ）、ステップＳ２０３に遷移し、保持されていなければ（Ｎｏ）、ステップＳ２０１に遷移する。
【００３８】
（Ｓ２０３）
画像形成装置１００は、タイル生成部３０１において、図１２に示したページ画像データ内における当該タイル画像データの位置情報（座標）を、当該タイル画像データのヘッダ情報として付加し、ＲＡＭ２０６上に書き込む。ここで、タイル画像データの位置情報（座標）は、例えば、画像データを９０度回転させたい場合に、タイル画像データのそれぞれを９０度回転すると共に、タイル画像データのそれぞれの位置を適宜変更して読み出すことで、ページ画像データ全体の９０度回転を実現するために必要な情報である。
【００３９】
（Ｓ２０４）
画像形成装置１００は、タイル生成部３０１において、図１２及び図１３に示した例のようなＲＡＭ２０６上の１バンド分の画像データ及び属性データから、タイル単位の画像データ及び属性データとして全て取得したか否かを検知する。ここで、タイル単位の画像データ及び属性データとして全て取得したならば（Ｙｅｓ）、ステップＳ２０５に遷移し、取得していなければ（Ｎｏ）、ステップＳ２０１に遷移する。
【００４０】
（Ｓ２０５）
画像形成装置１００は、タイル生成部３０１から、バスＩ／Ｆ２００を介して電気的に接続されたスキャナ部２０２に対して、ＲＡＭ２０６上の１バンド分の画像データ及び属性データのタイル生成処理が終了したことを通知する。
【００４１】
（Ｓ２０６）
画像形成装置１００は、タイル生成部３０１において、図１１及び図１２に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの画像データ及び属性データの全画素データのタイル生成処理が終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの全画素データのタイル生成処理が終了したならば（Ｙｅｓ）、タイル生成処理を終了し、終了していなければ（Ｎｏ）、ステップＳ２００に遷移してタイル生成処理を継続する。
【００４２】
図５は、従来例の実施形態における画像形成装置１００の画像圧縮部３０２の制御手順を説明するフローチャートである。図７は、従来例の実施形態における画像形成装置１００の画像圧縮部の動作を説明するブロック図（概念図）である。
【００４３】
（Ｓ７００）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図７に示した入力データ制御部４００を経由してタイル画像データＴ１、Ｔ２、Ｔ３、…を読み取り、画像バッファ４０１ａ〜４０１ｂに保持する。
【００４４】
（Ｓ７０１）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図７に示した入力データ制御部４００を経由してタイル属性データＡ１、Ａ２、Ａ３、…を読み取り、属性バッファ４０２に保持する。ここで、図７に示した例では、白色表示部分が文字領域を示す属性データ、色付表示部分が自然画（写真）領域を示す属性データを意味するものとする。
【００４５】
（Ｓ７０２）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図７に示した複数の画像圧縮方法４０３ａ〜４０３ｂ、４０４を備え、複数の画像圧縮方法を同時並列に適用する。例えば、画像バッファ４０１ａ〜４０１ｂに保持したタイル単位の画像データＴ１、Ｔ２、Ｔ３、…に対しては、可逆圧縮処理部（可逆画像エンコーダ）４０３ａと非可逆圧縮処理部（非可逆画像エンコーダ）４０３ｂを同時並列に適用し、圧縮処理後の画像データを画像バッファ４０５ａ〜４０５ｂに保持する。一方で、例えば、属性バッファ４０２に保持したタイル単位の属性データＡ１、Ａ２、Ａ３、…に対しては、属性データの特性に適合したアルゴリズムによる可逆圧縮処理部（ランレングスエンコーダ）を適用し、圧縮処理後の属性データを属性バッファ４０６に保持する。
【００４６】
（Ｓ７０３）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２における、図７に示した出力データ選択部４０７で、画像バッファ４０５ａ〜４０５ｂに保持された圧縮処理後の画像データの容量を比較し、容量の少ない方を選択的に採用して、容量の多い方を破棄する。すなわち、例えば、タイル画像データＴ１に関して、可逆圧縮処理部４０３ａによる圧縮処理後の画像データの容量が１５００Ｂｙｔｅ、非可逆圧縮処理部４０３ｂによる圧縮処理後の画像データの容量が５００Ｂｙｔｅであったならば、非可逆圧縮処理部４０３ｂの出力を採用する。同様に、例えば、タイル画像データＴ２に関して、可逆圧縮処理部４０３ａによる圧縮処理後の画像データの容量が５５０Ｂｙｔｅ、非可逆圧縮処理部４０３ｂによる圧縮処理後の画像データの容量が４５０Ｂｙｔｅであったならば、非可逆圧縮処理部４０３ｂの出力を採用する。同様に、例えば、タイル画像データＴ３に関して、可逆圧縮処理部４０３ａによる圧縮処理後の画像データの容量が２５０Ｂｙｔｅ、非可逆圧縮処理部４０３ｂによる圧縮処理後の画像データの容量が１０００Ｂｙｔｅであったならば、可逆圧縮処理部４０３ａの出力を採用する。上記の選択は、他のタイル画像データについても同様である。ここで、画像圧縮部３０２は、選択したいずれか一方の圧縮処理後の画像データを、出力データ制御部４０８を経由してハードディスクＨＤＤ２０７に格納する。
【００４７】
（Ｓ７０４）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、属性バッファ４０６に保持された圧縮処理後の属性データを、出力データ制御部４０８を経由してハードディスクＨＤＤ２０７に格納する。
【００４８】
（Ｓ７０５）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図１１及び図１２に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの画像データ及び属性データの全画素データの画像圧縮処理が終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの全画素データの画像圧縮処理が終了したならば（Ｙｅｓ）、画像圧縮処理を終了し、終了していなければ（Ｎｏ）、ステップＳ７００に遷移して画像圧縮処理を継続する。
【００４９】
図４は、本発明の実施形態における画像形成装置１００の画像圧縮部３０２の制御手順を説明するフローチャートである。図８〜図１０は、本発明の実施形態における画像形成装置１００の画像圧縮部３０２の動作を説明するブロック図（概念図）である。
【００５０】
（Ｓ３００）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図８〜図１０に示した入力データ制御部４００を経由してタイル画像データＴ１、Ｔ２、Ｔ３、…を読み取り、画像バッファ４０１ａ〜４０１ｂに保持する。
【００５１】
（Ｓ３０１）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図８〜図１０に示した入力データ制御部４００を経由してタイル属性データＡ１、Ａ２、Ａ３、…を読み取り、属性バッファ４０２に保持する。ここで、図８〜図１０の例では、白色表示部分が文字領域を示す属性データ、色付表示部分が自然画（写真）領域を示す属性データを意味するものとする。
【００５２】
（Ｓ３０２）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２における、図８〜図１０に示した動作回路選択部４０９で、タイル単位の属性データＡ１、Ａ２、Ａ３…を参照し、１タイル全画素の属性データが文字領域又は自然画（写真）領域を示す属性データであるか否かを判定する。ここで、１タイル全画素の属性データが文字領域又は自然画（写真）領域を示す属性データであれば（Ｙｅｓ）、ステップＳ３０３に遷移し、そうでなければ（Ｎｏ）、ステップＳ３０４に遷移する。すなわち、例えば、動作回路選択部４０９は、参照手段５００を用いて、図８に示したタイル単位の属性データＡ３を参照し、判定手段５０１を用いて、１タイル全画素の属性データが文字領域を示す属性データであると判定したならば、ステップＳ３０３に遷移する。同様に、例えば、動作回路選択部４０９は、参照手段５００を用いて、図９に示したタイル単位の属性データＡ１を参照し、判定手段５０１を用いて、１タイル全画素の属性データが自然画（写真）領域を示す属性データであると判定したならば、ステップＳ３０３に遷移する。同様に、例えば、動作回路選択部４０９は、参照手段５００を用いて、図１０に示したタイル単位の属性データＡ２を参照し、判定手段５０１を用いて、１タイル内の属性データが文字領域と自然画（写真）領域の両方を含む属性データであると判定したならば、ステップＳ３０４に遷移する。
【００５３】
（Ｓ３０３）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２における、図８〜図９に示した動作回路選択部４０９で、ステップＳ３０２の判定結果に従い、複数の画像圧縮方法のうち少なくとも１つの画像圧縮方法の電力供給を遮断する。すなわち、例えば、動作回路選択部４０９は、判定手段５０１を用いて、図８に示した１タイル全画素の属性データが文字領域を示す属性データであると判定したならば、遮断手段５０２を用いて、当該タイル属性データに関連付けられたタイル画像データの画像圧縮処理を開始する前に、電力供給部２０９から非可逆圧縮処理部（非可逆画像エンコーダ）４０３ｂへの電力供給を遮断する。同様に、例えば、動作回路選択部４０９は、判定手段５０１を用いて、図９に示した１タイル全画素の属性データが自然画（写真）領域を示す属性データであると判定したならば、遮断手段５０２を用いて、当該タイル属性データに関連付けられたタイル画像データの画像圧縮処理を開始する前に、電力供給部２０９から可逆圧縮処理部（可逆画像エンコーダ）４０３ａへの電力供給を遮断する。
【００５４】
（Ｓ３０４）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２における、図１０に示した動作回路選択部４０９で、ステップＳ３０２の判定結果に従い、複数の画像圧縮方法に電力供給する。すなわち、例えば、動作回路選択部４０９は、判定手段５０１を用いて、図１０に示した１タイル内の属性データが文字領域と自然画（写真）領域の両方を含む属性データであると判定したならば、遮断手段５０２を用いて、当該タイル属性データに関連付けられたタイル画像データの画像圧縮処理を開始する前に、電力供給部２０９から可逆圧縮処理部（可逆画像エンコーダ）４０３ａと非可逆圧縮処理部（非可逆画像エンコーダ）４０３ｂの両方に電力供給する。
【００５５】
（Ｓ３０５）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図８〜図１０に示した複数の画像圧縮方法４０３ａ〜４０３ｂ、４０４を備え、複数の画像圧縮方法を同時並列に適用する。ただし、図８に示したように、例えば、タイル画像データＴ３に対しては、可逆圧縮処理部（可逆画像エンコーダ）４０３ａのみを適用し、圧縮処理後の画像データを画像バッファ４０５ａに保持する。また、図９に示したように、例えば、タイル画像データＴ１に対しては、非可逆圧縮処理部（非可逆画像エンコーダ）４０３ｂのみを適用し、圧縮処理後の画像データを画像バッファ４０５ｂに保持する。また、図１０に示したように、例えば、タイル画像データＴ２に対しては、可逆圧縮処理部（可逆画像エンコーダ）４０３ａと非可逆圧縮処理部（非可逆画像エンコーダ）４０３ｂを同時並列に適用し、圧縮処理後の画像データを画像バッファ４０５ａ〜４０５ｂに保持する。一方で、例えば、属性バッファ４０２に保持したタイル単位の属性データＡ１、Ａ２、Ａ３、…に対しては、属性データの特性に適合したアルゴリズムによる可逆圧縮処理部（ランレングスエンコーダ）を適用し、圧縮処理後の属性データを属性バッファ４０６に保持する。
【００５６】
（Ｓ３０６）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２における、図８〜図１０に示した出力データ選択部４０７で、画像バッファ４０５ａ〜４０５ｂに保持された圧縮処理後の画像データの容量を比較し、容量の少ない方を選択的に採用して、容量の多い方を破棄する。ただし、電力供給の遮断により、圧縮処理後の画像データとして有効な画像データが生成されていない場合には、これを選択対象としない。すなわち、図８に示したように、例えば、タイル画像データＴ３に関して、可逆圧縮処理部４０３ａによる圧縮処理後の画像データの容量が２５０Ｂｙｔｅであったのに対し、非可逆圧縮処理部４０３ｂによる圧縮処理後の画像データとして有効な画像データが生成されていなければ、可逆圧縮処理部４０３ａの出力を採用する。同様に、図９に示したように、例えば、タイル画像データＴ１に関して、可逆圧縮処理部４０３ａによる圧縮処理後の画像データとして有効な画像データが生成されておらず、非可逆圧縮処理部４０３ｂによる圧縮処理後の画像データの容量が５００Ｂｙｔｅであったならば、非可逆圧縮処理部４０３ｂの出力を採用する。同様に、例えば、図１０に示すように、タイル画像データＴ２に関して、可逆圧縮処理部４０３ａによる圧縮処理後の画像データの容量が５５０Ｂｙｔｅ、非可逆圧縮処理部４０３ｂによる圧縮処理後の画像データの容量が４５０Ｂｙｔｅであったならば、非可逆圧縮処理部４０３ｂの出力を採用する。上記の選択は、他のタイル画像データについても同様である。ここで、画像圧縮部３０２は、選択したいずれか一方の圧縮処理後の画像データを、出力データ制御部４０８を経由してハードディスクＨＤＤ２０７に格納する。
【００５７】
（Ｓ３０７）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、属性バッファ４０６に保持された圧縮処理後の属性データを、出力データ制御部４０８を経由してハードディスクＨＤＤ２０７に格納する。
【００５８】
（Ｓ３０８）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図１１及び図１２に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの画像データ及び属性データの全画素データの画像圧縮処理が終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの全画素データの画像圧縮処理が終了したならば（Ｙｅｓ）、画像圧縮処理を終了し、終了していなければ（Ｎｏ）、ステップＳ３００に遷移して画像圧縮処理を継続する。
【００５９】
図６は、本発明の実施形態における画像形成装置１００の画像伸張部３０３の制御手順を説明するフローチャートである。
【００６０】
（Ｓ８００）
画像形成装置１００は、画像伸張部３０３において、圧縮処理後のタイル画像データＴ１、Ｔ２、Ｔ３、…を読み取り、画像バッファ（非図示）に保持する。
【００６１】
（Ｓ８０１）
画像形成装置１００は、画像伸張部３０３において、圧縮処理後のタイル属性データＡ１、Ａ２、Ａ３、…を読み取り、属性バッファ（非図示）に保持する。
【００６２】
（Ｓ８０２）
画像形成装置１００は、画像伸張部３０３において、図７に示した複数の画像圧縮方法４０３ａ〜４０３ｂ、４０４の逆変換に相当する複数の画像伸張方法（非図示）を備え、複数の画像伸張方法のうちいずれか１つを適用し、伸張処理後の画像データを画像バッファ（非図示）に保持する。例えば、非可逆圧縮処理（非可逆エンコーダ）を用いて圧縮された圧縮処理後のタイル画像データＴ１、Ｔ２に対しては、非可逆伸張処理部（非可逆画像デコーダ）を適用する。同様に、例えば、可逆圧縮処理（可逆エンコーダ）を用いて圧縮された圧縮処理後のタイル画像データＴ３に対しては、可逆伸張処理部（可逆画像デコーダ）を適用する。一方で、例えば、可逆圧縮処理部（ランレングスエンコーダ）を用いて圧縮された圧縮処理後のタイル属性データＡ１、Ａ２、Ａ３、…に対しては、属性データの特性に適合したアルゴリズムによる可逆伸張処理部（ランレングスデコーダ）を適用し、伸張処理後の属性データを属性バッファ（非図示）に保持する。
【００６３】
（Ｓ８０３）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、画像バッファ（非図示）に保持された圧縮処理後の画像データを、ハードディスクＨＤＤ２０７に格納する。
【００６４】
（Ｓ８０４）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、属性バッファ（非図示）に保持された圧縮処理後の属性データを、ハードディスクＨＤＤ２０７に格納する。
【００６５】
（Ｓ８０５）
画像形成装置１００は、画像圧縮部３０２において、図１１及び図１２に示した例のようなページ単位、すなわち、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの画像データ及び属性データの全画素データの画像伸張処理が終了したか否かを検知する。ここで、主走査幅Ｘ×副走査幅Ｙの全画素データの画像伸張処理が終了したならば（Ｙｅｓ）、画像伸張処理を終了し、終了していなければ（Ｎｏ）、ステップＳ８００に遷移して画像伸張処理を継続する。
【００６６】
図１４〜図１５は、本発明の実施形態における画像形成装置１００で対象とする複数の画像圧縮部３０２による画像圧縮方法の特性を説明する概念図である。
【００６７】
図１４は、各々の属性を有するタイル単位の画像データに対して、可逆圧縮処理部４０３ａによる圧縮処理後の画像データの容量を横軸、非可逆圧縮処理部４０３ｂによる圧縮処理後の画像データの容量を縦軸に取り、プロットした結果を各属性についてまとめた概念図である。図１４に示すように、自然画（写真）、文字線画、グラデーション、等の各属性がタイル単位で一意に定まる場合には、縦軸と横軸で示した圧縮処理後の画像データの容量に固有の関係がある。また、図１５は、図１４でプロットした結果を元に、各属性に適した画像圧縮手法をまとめた表である。図１５に示すように、自然画（写真）、文字線画、グラデーション、等の各属性がタイル単位で一意に定まる場合には、各属性に適した画像圧縮手法が一意に定まる。以上を鑑みると、タイル単位の全画素の属性データが一意に定まる場合には、圧縮処理後に選択される画像圧縮方法を予め選択しておくことが可能になる。本発明は、各々の属性を有するタイル画像データの固有の関係に基づいて、複数の画像圧縮処理部のうち少なくともいずれか１つの画像圧縮処理部への電力供給を遮断することを可能にしたものである。
【００６８】
なお、本発明の実施形態においては、複数の画像圧縮部３０２を対象として説明したが、本発明の請求の範囲は、特に上記例に限定するものではない。すなわち、単一の画像データに対して複数の画像処理を同時並列に動作させる画像処理部であれば、画像圧縮以外の異なる画像処理であっても同様である。
【００６９】
なお、本発明の実施形態においては、動作回路選択部４０９が有する遮断手段５０２を用いて電源供給を遮断する旨を説明したが、本発明の請求の範囲は、特に上記遮断の実現方法に関して手段を問わない。この実現方法としては、例えば、電源供給部２０９から画像圧縮部３０２内の可逆画像圧縮部４０３ａ、及び、非可逆画像圧縮部４０３ｂに電気的に接続された動作クロック信号のうち、いずれか一方をマスクしてクロック供給を停止する方法であっても良い。また、この別の実現方法としては、例えば、電源供給部２０９から画像圧縮部３０２内の可逆画像圧縮部４０３ａ、及び、非可逆画像圧縮部４０３ｂに供給される電源系統そのものを予め分離しておき、いずれか一方の電源系統を停止する方法であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【００７０】
【図１】本発明の実施形態における画像形成装置の構成例を示したブロック図である。
【図２】本発明の実施形態における画像形成装置のスキャナ部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図３】本発明の実施形態における画像形成装置のタイル生成部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図４】本発明の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図５】従来例の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図６】本発明の実施形態における画像形成装置の画像伸張部の制御手順を説明するフローチャートである。
【図７】従来例の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の動作を説明するブロック図（概念図）である。
【図８】本発明の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の動作を説明するブロック図（概念図）である。
【図９】本発明の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の動作を説明するブロック図（概念図）である。
【図１０】本発明の実施形態における画像形成装置の画像圧縮部の動作を説明するブロック図（概念図）である。
【図１１】本発明の実施形態における画像形成装置に入力されるページ画像データの例である。
【図１２】本発明の実施形態における画像形成装置に入力されたページ画像データに対するタイル生成処理を説明する概念図である。
【図１３】本発明の実施形態における画像形成装置に入力されたページ画像データに対するタイル生成処理を説明する概念図である。
【図１４】本発明の実施形態における画像形成装置で対象とする複数の画像圧縮部による画像圧縮方法の特性を説明する概念図である。
【図１５】本発明の実施形態における画像形成装置で対象とする複数の画像圧縮部による画像圧縮方法の特性を説明する概念図である。
【符号の説明】
【００７１】
１００ 画像形成装置
２００ バスＩ／Ｆ
２０１ 通信部
２０２ スキャナ部
２０３ 画像処理部
２０４ ＣＰＵ
２０５ ＲＯＭ
２０６ ＲＡＭ
２０７ ハードディスク（ＨＤＤ）
２０８ プリンタ部
２０９ 電源供給部
３０１ タイル生成部
３０２ 画像圧縮部
３０３ 画像伸張部
４００ 入力データ制御部
４０１ａ〜４０１ｂ 画像データバッファ
４０２ 属性データバッファ
４０３ａ 画像圧縮処理部（可逆画像エンコーダ）
４０３ｂ 画像圧縮処理部（非可逆画像エンコーダ）
４０４ 画像圧縮処理部（可逆ランレングスエンコーダ）
４０５ａ〜４０５ｂ 画像データバッファ
４０６ 属性データバッファ
４０７ 出力データ選択部
４０８ 出力データ制御部
５００ 参照手段
５０１ 判定手段
５０２ 遮断手段
【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数の画像処理部（２０３）を備え、所定の処理領域単位で入力される単一の画像データに対して複数の画像処理を並列に実行する画像形成装置（１００）であって、
画像データに関連付けされた属性データを参照する参照手段（５００）、前記参照手段で参照した属性データの値と予め定めた値が一致するか否かを判定する判定手段（５０１）、前期複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断する遮断手段（５０２）を備え、
前記遮断手段（５０２）は、処理領域内の全画素の属性データが予め定めた値と一致する場合に、当該属性データに関連付けられた画像データを処理する前記複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項２】
請求項１に記載の画像形成装置であって、
前記遮断手段（５０２）は、処理領域内の全画素の属性データが文字領域であることを示す値である場合に、当該属性データに関連付けられた画像データを処理する前記複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項３】
請求項１に記載の画像形成装置であって、
前記遮断手段（５０２）は、処理領域内の全画素の属性データが画像領域であることを示す値である場合に、当該属性データに関連付けられた画像データを処理する前記複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項４】
請求項１〜請求項３のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記遮断手段（５０２）は、前記複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部へのクロック供給を停止することで以って、電力供給を遮断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項５】
請求項１〜請求項３のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記遮断手段（５０２）は、前記複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部に対応する予め電源分離された電源をオフ状態に切り替えることで以って、電力供給を遮断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項１】
複数の画像処理部（２０３）を備え、所定の処理領域単位で入力される単一の画像データに対して複数の画像処理を並列に実行する画像形成装置（１００）であって、
画像データに関連付けされた属性データを参照する参照手段（５００）、前記参照手段で参照した属性データの値と予め定めた値が一致するか否かを判定する判定手段（５０１）、前期複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断する遮断手段（５０２）を備え、
前記遮断手段（５０２）は、処理領域内の全画素の属性データが予め定めた値と一致する場合に、当該属性データに関連付けられた画像データを処理する前記複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項２】
請求項１に記載の画像形成装置であって、
前記遮断手段（５０２）は、処理領域内の全画素の属性データが文字領域であることを示す値である場合に、当該属性データに関連付けられた画像データを処理する前記複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項３】
請求項１に記載の画像形成装置であって、
前記遮断手段（５０２）は、処理領域内の全画素の属性データが画像領域であることを示す値である場合に、当該属性データに関連付けられた画像データを処理する前記複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部への電力供給を遮断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項４】
請求項１〜請求項３のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記遮断手段（５０２）は、前記複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部へのクロック供給を停止することで以って、電力供給を遮断することを特徴とする画像形成装置。
【請求項５】
請求項１〜請求項３のいずれかに記載の画像形成装置であって、
前記遮断手段（５０２）は、前記複数の画像処理部のうち少なくとも１つの画像処理部に対応する予め電源分離された電源をオフ状態に切り替えることで以って、電力供給を遮断することを特徴とする画像形成装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【公開番号】特開２０１０−８１５４８（Ｐ２０１０−８１５４８Ａ）
【公開日】平成２２年４月８日（２０１０．４．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２５０６７０（Ｐ２００８−２５０６７０）
【出願日】平成２０年９月２９日（２００８．９．２９）
【出願人】（０００００１００７）キヤノン株式会社 (59,756)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年４月８日（２０１０．４．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年９月２９日（２００８．９．２９）
【出願人】（０００００１００７）キヤノン株式会社 (59,756)
【Ｆターム（参考）】
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