説明

画像形成装置

【課題】印刷処理を効率的に行うと共に、印刷処理中におけるエンジン各部の劣化を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】印刷に用いるページ毎の描画データをエンジンに送信するまでの見込み時間を算出し、ページ毎の描画データと、ページ毎の描画データの印刷指示と、見込み時間とをエンジンに送信する判断手段と、エンジンの各部を起動または停止させる起動停止手段と、次ページの描画データの有無をコントローラに確認し、次ページの描画データがある旨が確認された場合に、見込み時間を取得し、見込み時間がエンジンの各部を起動する時間とエンジンの各部を停止する時間との和よりも長いか否かを判定する確認手段と、起動停止時間よりも長いと判定された場合に、エンジンの各部を起動または停止するように、起動停止手段を制御する起動停止制御手段、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、エンジンの各部を制御して印刷処理を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複合機等の画像形成装置では、操作パネルや通信ネットワークに接続されたPC(Personal Computer)等から印刷処理の実行指示を受けた場合に、実行指示に従って印刷用データを描画データに展開するコントローラ部と、感光体、帯電部、光書き込み部、現像部、分離部及びクリーニング部等を制御して、コントローラ部が展開した描画データを用紙に印刷するエンジンを備えているのが一般的である。
【0003】
例えば、エンジンは、コントローラから描画データを受けると、まず、感光体を帯電させた後、光書き込み部を動作させて感光体上に静電潜像を形成する。その後、エンジンは、給紙部から給紙された用紙にトナー画像を用紙に転写させる。そして、トナー画像の転写された用紙を加熱・加圧させ、トナー画像を用紙に定着させる。この一連の処理を行うことによって印刷処理が完了する(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−49202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図14は、上述した従来の画像形成装置において、エンジンがコントローラから描画データを受け取った場合に、エンジンの帯電部、現像部、転写部、分離部、クリーニング部等の各部が起動し、その後印刷処理を実行し、さらに停止するまでのタイミングチャートである。
【0006】
図14に示すように、従来の画像形成装置では、コントローラから印刷開始の指示を受けると、指示を受けたときにエンジンを立ち上げ(P1)、帯電部、現像部、転写部の立ち上げを行い、その後、さらに分離部15を立ち上げる。そして、分離部の立ち上げが完了すると、エンジンの立ち上げが完了する(P2)。なお、図14では、P1からP2までの期間を、プロセス立ち上げ処理期間Taと記載している。
【0007】
エンジンは、これらの各部の立ち上げが完了すると、コントローラから受け取った描画データに対して、静電潜像を形成する露光処理、感光体上の静電潜像に現像部からトナーを供給してトナー画像を形成する現像処理、感光体上のトナー画像を転写部の転写電圧によって用紙に転写する転写処理、トナー画像の転写された用紙を分離部の分離電圧で感光体から分離する分離処理等の一連の印刷処理を行う(プロセス印刷処理期間Tb)。
【0008】
その後、プロセス印刷処理期間Tbの間の中の所定の時間が経過すると、次のページの印刷開始の指示がコントローラから送られてきたか否かをチェックし、所定の時間内に印刷開始の指示がなければ、帯電部の停止を行う(P3)。その後、エンジンの各部を起動したときと同様に、現像部、転写部、分離部の各部を停止し、クリーニング部を作動させる。そして、クリーニング部の動作が終了すると、エンジンの各部の停止処理が終了する(P4)。なお、図14では、P3からP4までの期間を、プロセス終了処理期間Tcと記載している。
【0009】
このように、従来の画像形成装置では、印刷処理実行中(Tb)に、次ページの印刷開始の指示がない場合には、エンジンの各部を停止させている。その理由は、エンジンが、所定時間内に印刷開始の指示がない場合、印刷処理が完了した、あるいは何らかの異常が生じたと判断して印刷処理を終了させようとするためである。
【0010】
しかし、描画データによっては、データ量が多い、あるいは特定のページだけ高画質の画像があるために、コントローラが、そのページを描画データにする時間がかかってしまう等、所定時間内に印刷開始の指示を行えない場合も存在する。そのような場合、従来の画像形成装置では、図15に示すように、エンジンの各部の停止を開始したあとに、次ページの印刷開始の指示を受けることとなる。この場合、帯電部、現像部等の全てが停止した後でなければ、再び帯電部、現像部等の各部を起動できず、印刷処理の時間が無駄に長くなると共に、エンジンの各部を再起動することによって、これらの各部の劣化を早めることとなる結果、画像形成装置の寿命を短くしてしまうという問題があった。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、印刷処理を効率的に行うと共に、印刷処理中におけるエンジン各部の劣化を防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、コントローラからの印刷指示に応じて印刷処理を行うエンジンを備える画像形成装置であって、前記コントローラは、印刷に用いるページ毎の描画データを前記エンジンに送信するまでの見込み時間を算出し、前記ページ毎の描画データと、前記ページ毎の描画データの印刷指示と、前記見込み時間とを前記エンジンに送信する判断手段、を備え、前記エンジンは、前記エンジンの各部を起動または停止させる起動停止手段と、前記ページ毎の印刷指示を受けたか否かを判定し、前記ページ毎の印刷指示を受けていない場合に、次ページの前記描画データの有無を前記コントローラに確認し、次ページの前記描画データがある旨が確認された場合に、前記見込み時間を取得し、前記見込み時間が、前記エンジンの各部を起動する時間と前記エンジンの各部を停止する時間との和よりも長いか否かを判定する確認手段と、前記エンジンの各部を起動する時間と前記エンジンの各部を停止する時間との和である起動停止時間よりも長いと判定された場合に、前記エンジンの各部を起動または停止するように、前記起動停止手段を制御する起動停止制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コントローラは、判断手段が、印刷に用いるページ毎の描画データをエンジンに送信するまでの見込み時間を算出し、ページ毎の描画データと、ページ毎の描画データの印刷指示と、見込み時間とをエンジンに送信し、エンジンは、起動停止手段が、エンジンの各部を起動または停止させ、確認手段が、ページ毎の印刷指示を受けたか否かを判定し、ページ毎の印刷指示を受けていない場合に、次ページの描画データの有無をコントローラに確認し、次ページの描画データがある旨が確認された場合に、見込み時間を取得し、見込み時間が、エンジンの各部を起動する時間とエンジンの各部を停止する時間との和よりも長いか否かを判定し、起動停止制御手段が、エンジンの各部を起動する時間とエンジンの各部を停止する時間との和である起動停止時間よりも長いと判定された場合に、エンジンの各部を起動または停止するように、起動停止手段を制御するので、印刷処理を効率的に行うと共に、印刷処理中におけるエンジン各部の劣化を防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
本発明の一実施の形態として、画像形成装置をレーザプリンタに適用した例を示す。なお、以下の説明では画像形成装置を上述したレーザプリンタに適用した場合について説明しているが、例えば、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、印刷機能、スキャナ機能等を一つの筐体に納めたいわゆるMFP(Multi Function Peripheral)と称される複合機等、印刷機能を備えた装置であれば、レーザプリンタ以外の装置に対しても適用可能である。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかるレーザプリンタ1の物理的な配置を示すブロック図である。図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体ユニット2と、両面ユニット3と、給紙ユニット4と、メールボックスユニット5と、フィニッシャユニット6と、不図示のオペレーションパネル7とを含んで構成されている。図2は、このうち本体ユニット2と、両面ユニット3、およびメールボックスユニット5の物理的な概略構成を示す図である。
【0017】
本体ユニット2は、図2に示すように、感光体10と、帯電部11と、書き込み部12と、現像部13と、転写部14と、分離部15と、クリーニング部16と、コントローラ100と、エンジン200とを含んで構成されている。
【0018】
上述した帯電部11と、光書き込み部12と、現像部13と、転写部14と、分離部15、クリーニング部16の各部が感光体10の周囲に配設され、後述するコントローラ100からの指示に応じて、印刷を行うための潜像形成等の各種の処理を行う。また、破線で示す用紙(印刷媒体)の搬送路上には、給紙ローラ17、レジストセンサ18、レジストローラ19、定着部20及び経路切換爪21が順次配設され、給紙ユニット4に蓄えられた用紙を搬送する。
【0019】
光書き込み部12は、光源と、ポリゴンミラーと、照射ミラーとを含んで構成されている。光源はレーザ光を出射し、ポリゴンミラーは、印刷データの画素密度に応じた回転角速度で回転駆動され、光源から出射されたレーザ光を主走査方向に偏向して反射させる。照射ミラーは、ポリゴンミラーで反射されたレーザ光を感光体10上に照射する。このように、光書き込み部12が、印刷データの静電潜像を感光体10上に形成させる。
【0020】
また、レジストセンサ18は、給紙ユニット4に蓄えられた用紙が給紙ローラ17およびレジストローラ19によって搬送されると、搬送された用紙の存在を検出し、感光体10上に形成された静電潜像の位置に合うように、用紙の位置を調整する。
【0021】
また、感光体10及び給紙ローラ17等は、不図示のモータによって駆動されている。感光体10は、帯電部11によって一様に帯電され、上述した光書き込み部12がレーザ光を照射させることによって静電潜像を形成する。そして、静電潜像が形成された感光体10に対して、不図示の供給部が、感光体10に対してトナーを供給することによってトナー画像が形成されることとなる。
【0022】
そして、転写部14は、感光体10上に形成されたトナー画像を、給紙ユニット4または両面ユニット3から搬送された用紙に転写する。このとき、転写部14は、トナー画像の転写された用紙を、分離部15から供給される分離電圧によって、感光体10から分離させ、定着部20に搬送する。
【0023】
また、定着部20は、分離部15によって、感光体10から分離されたトナー画像が転写された用紙を加熱および加圧することによって、トナー画像を用紙に定着させる。その後、トナー画像が定着した用紙が、各種のローラによって、メールボックスユニット5、フィニッシャユニット6、または両面ユニット3に、経路切換爪21によって、排出先が切り換えられた上で搬送されることとなる。
【0024】
上述した本体ユニット2の各部の動作は、後述するように、エンジン200からの指示に従って行われる。
【0025】
図3は、コントローラ100およびエンジン200の物理的な構成を示す図である。
【0026】
コントローラ100は、ホストインターフェイス101と、プログラムROM(Read Only Memory)102と、フォントROM103と、パネルインターフェイス104と、コントローラCPU(Central Processing Unit )105と、RAM106と、オプションRAM(Random Access Memory)107と、エンジンインタフェース108と、バス109とを含んで構成されている。
【0027】
ホストインターフェイス101は、通信ネットワークに接続されたホスト装置HSから送信される印刷用データや、印刷用データを印刷するための制御信号(例えば、部数、印刷面、紙種の印刷設定情報等)を受信する。なお、制御信号は、印刷用データの各ページ毎に設定されているものとする。
【0028】
プログラムROM102は、コントローラ100が印刷用データに対する各種の処理を行うためのプログラムを記憶するメモリ等の記憶媒体である。
【0029】
フォントROM103は、レーザプリンタ1で印刷に使用する各種フォントを格納するためのメモリ等の記憶媒体である。
【0030】
オペレーションパネル7は、LCD(Liquid Crystal Display)等のパネルから構成され、レーザプリンタ1のモードやフォント等の切換操作等の各種操作の指定を受け付ける。
【0031】
パネルインターフェイス104は、オペレーションパネル7とコントローラ100との間の上述した各種情報を媒介するインタフェースである。
【0032】
また、フォントカートリッジ300は、文字のフォントタイプが保存する記憶媒体であり、必要に応じて利用者によってコントローラ100に接続される。
【0033】
コントローラCPU105は、プログラムROM102に格納されているプログラムに従って、RAM106をワークメモリとして利用しつつ、ホスト装置HSから受信した印刷用データを描画データに展開したり、制御信号に含まれるページ数を読み取る等の各種の処理を行う。コントローラCPU105の具体的な制御については後述する。
【0034】
RAM106は、ホストインターフェイス101がホスト装置HSから受信した印刷用データから展開した描画データをページ単位で記憶するメモリ等の記憶媒体である。
【0035】
オプションRAM107は、いわゆる補助メモリであり、RAM106の容量が不足した際等に補助として使用される。
【0036】
なお、コントローラ100は、レーザプリンタ1の電源が切られているときにも記憶内容を保持する必要のあるデータを記憶するNVRAM(Nonvolatile Random Access Memory)等を備えている。
【0037】
エンジンインタフェース108は、エンジン200との間で、上述した制御信号や印刷用データの受け渡しを媒介するためのインタフェースである。
【0038】
なお、コントローラ100には、オペレーションパネル7、フォントカートリッジ300、交換ユニット500が接続されている。また、エンジン200には、エンジンに異常が生じた場合であっても、印刷等の各種の処理が実行できるように交換ユニット500が接続されている。続いて、エンジン200について説明する。
【0039】
エンジン200は、上述した感光体10やクリーニング部16、定着部20等の各部に対して印刷開始や印刷終了等の印刷処理に関する指示を行うユニットである。
【0040】
図3に示すように、エンジン200は、物理的には、エンジンCPU201と、割り込み制御回路202および203と、コントローラインタフェース205と、エンジンROM206と、RAM207と、フラッシュROM208と、入力ポート209と、出力ポート210と、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)211と、センサ212と、ディップスイッチ(DIP SW)213と、入力部214と、電圧プロセス215と、クラッチ216と、モータ217と、出力部218とを含んで構成されている。
【0041】
エンジンCPU201は、エンジンROM206に格納されているプログラムに従って、RAM207をワークメモリとして利用しつつ、コントローラ100から受け取った描画データに対する処理を行うように、上述した感光体10、帯電部11、光書き込み部12等の各部を制御する。具体的な制御については後述する。
【0042】
コントローラインタフェース205は、印刷用データおよび制御信号の受け渡しを媒介するためのインタフェースである
【0043】
入力ポート209は、各センサ212、ディップスイッチ213及びその他の入力部214からのアナログ信号をデジタル信号に変換してエンジンCPU201に出力する。
【0044】
出力ポート210は、エンジンCPU201からの制御信号を、各電圧プロセス215、各クラッチ216、各モータ217及びその他の出力部218へ出力する。
【0045】
フラッシュROM208は、レーザプリンタ1のエンジン200の各部を制御するためのプログラムを記憶するメモリ等の記憶媒体である。
【0046】
EEPROM211は、交換ユニット500の種類、寿命、型番等のメンテナンスに必要な各種情報を記憶するための記憶媒体である。続いて、本体ユニット2の機能的な構成について説明する。
【0047】
図4は、本体ユニット2のコントローラ100とエンジン200の機能的な構成を示すブロック図である。
【0048】
図4に示すように、コントローラ100は、送受信部2100と、判断部2200と、記憶部2300とを含んで構成されている。なお、送受信部2100および判断部2200は、例えば、図3に示すコントローラCPU105に相当し、記憶部2300は、例えば、図3に示すRAM106に相当する。
【0049】
送受信部2100は、ホスト装置HSから印刷用データおよび制御信号を受信する。
【0050】
判断部2200は、送受信部2100が受信した印刷用データのページ情報(例えば、送ページ数、各ページの番号)を制御信号から読み取る。また、判断部2200は、送受信部2100が受信した印刷用データをページ毎に読み取って、順次、記憶部2300に描画データとして展開する。
【0051】
また、判断部2200は、印刷用データをページ毎に描画データとして記憶部2300に展開し、その後、展開した描画データをエンジン200に送信するまでに要する時間(以下、見込み時間と呼ぶ。)を算出する。見込み時間の算出は、例えば、描画データのデータ量と、コントローラ100の処理速度とに従って算出する。
【0052】
また、判断部2200は、見込み時間の算出が終了すると、記憶部2300に展開した描画データをエンジン200に送信するとともに、エンジン200に印刷開始を指示する。なお、以下の説明では、見込み時間の算出と、描画データのエンジン200への送信および、描画データの印刷開始の指示は、印刷データのページ単位に行っているものとする。
【0053】
すなわち、判断部2200は、1ページ目の印刷データを描画データに展開し、展開した描画データ共に印刷開始の指示をエンジン200に送信すると、2ページ目の描画データの見込み時間を算出する。そして、1ページ目の描画データの送信および印刷開始の指示が送信すると、2ページ目の描画データの見込み時間を算出する。以下、1ページ目の描画データの場合と同様にして、描画データ及び印刷開始の指示を、制御信号から読みとったページ数の最大値(すなわち、全ページ分)になるまでエンジン200に順次送信する。
【0054】
また、判断部2200は、エンジン200から次ページの描画データがあるか否かの確認があった場合には、次ページの描画データの有無を回答する。また、判断部2200は、エンジン200から、見込み時間を確認する旨の問い合わせを受けると、次ページの描画データの見込み時間をエンジン200に通知する。
【0055】
記憶部2300は、送受信部2100が受信し、印刷用データから展開された描画データを記憶するためのメモリ等の記憶媒体である。続いて、エンジン200について説明する。
【0056】
図4に示すように、エンジン200は、起動停止部4100と、起動停止制御部4200と、確認部4300と、記憶部4400とを含んで構成されている。なお、起動停止部4100、起動停止制御部4200、および確認部4300は、例えば、図3に示すエンジンCPU201に相当し、記憶部4400は、例えば、図3に示すRAM207に相当する。
【0057】
起動停止部4100は、起動停止制御部4200からの指示に応じて、帯電部11、書き込み部12、現像部13、転写部14、分離部15、クリーニング部16等の各部を順次起動または停止させる。
【0058】
また、起動停止部4100は、上述した各部を起動した後、起動停止制御部4200から、描画データの印刷する指示(以下、印刷実行指示と呼ぶ。)を受けると、印刷を開始する。
【0059】
起動停止制御部4200は、コントローラ100から印刷開始の指示を受信すると、起動停止部4100に対して、上述した各部を順次起動させる指示を行う。
【0060】
また、起動停止制御部4200は、コントローラ100から描画データを受信すると、受信した描画データを記憶部4400に記憶させる。また、起動停止制御部4200は、帯電部11、書き込み部12、現像部13、転写部14、分離部15、クリーニング部16等の各部の起動が完了すると、起動停止部4100に対して、記憶部4400に記憶した描画データの印刷実行指示をする。なお、以下では、印刷実行指示に従って、描画データを印刷している時間のことをプロセス印刷処理期間(Tb)と呼ぶこととする。
【0061】
起動停止制御部4200は、起動停止部4100に対して描画データの印刷実行指示をした後、コントローラ100から次のページの描画データの印刷開始の指示を受信したか否かを判定する。次のページの描画データの印刷開始の指示を受信した場合は、そのまま印刷処理を続ける。
【0062】
また、起動停止制御部4200は、確認部4300が、コントローラ100から、次ページの描画データがない旨の通知を受けた場合には、印刷用データの印刷が終了したものと判断し、起動停止部4100に対して、帯電部11、書き込み部12、現像部13、転写部14、分離部15、クリーニング部16等の各部を順次停止させる指示を行う。
【0063】
確認部4300は、起動停止制御部4200が次のページの描画データの印刷開始の指示を受信していないと判定した場合、コントローラ100に対して、次ページの描画データがあるか否かを問い合わせる。
【0064】
確認部4300は、コントローラ100から、次ページの描画データがある旨の回答を受けた場合には、コントローラ100から、次ページの描画データの見込み時間を受け取る。そして、受け取った見込み時間が、帯電部11、書き込み部12、現像部13、転写部14、分離部15、クリーニング部16等の各部を起動させる時間(以下、プロセス立ち上げ処理期間Taと呼ぶ。)と、これらの各部を停止させる時間(以下、プロセス終了処理期間:Tcと呼ぶ。)との和(以下、起動停止時間と呼ぶ。)よりも長いか否かを判定する。
【0065】
また、確認部4300は、見込み時間が、起動停止時間より長いと判定した場合は、上述した各部を停止し、その後再起動する。一方、見込み時間が、起動停止時間より長いと判定した場合は、上述した各部の停止および再起動は行わず、そのまま見込み時間が経過するまで待機する。
【0066】
さらに、確認部4300は、上述した各部の停止および再起動が完了するか、または見込み時間が経過すると、記憶部4400に次ページの描画データが記憶されているか否かを判定し、次ページの描画データが記憶部4400に記憶されていないと判定した場合は、再度、コントローラ100に対して、次ページの描画データがあるか否かを確認する。続いて、図2に戻り、両面ユニット3について説明する。
【0067】
なお、以下の説明では、確認部4300は、印刷処理中に見込み時間を取得しているが、コントローラ100が見込み時間を算出した後であれば、エンジン200の各部の起動時または停止時等に取得したり、印刷処理中に割り込み処理等によって、印刷処理とは別の処理を行うことによって、見込み時間を取得することも可能である。
【0068】
図1に戻り、両面ユニット3は、印刷用データを両面印刷する場合に、用紙の向きを反転させて、用紙の表面と裏面に印刷用データを印刷するためのユニットである。具体的には、両面ユニット3は、用紙を入口用紙センサ31で検出して、反転ローラ32〜34と分離爪35で用紙の表裏面を反転させた後、本体ユニット2のレジストローラ19へと送り出すとともに、送り出す反転用紙を両面出口用紙センサ36で検出する。
【0069】
給紙ユニット4は、用紙を蓄積するためのユニットである。具体的には、給紙ユニット4は、複数の給紙トレイと、各給紙トレイの用紙を1枚ずつ分離し給紙する給紙機構と、給紙された用紙を本体ユニット2に送り出す送り出しローラ41が設けられている。この給紙ユニット4の各給紙トレイには、それぞれ異なる紙種や用紙サイズの用紙が複数枚セット可能となっている。
【0070】
メールボックスユニット5は、印刷用データの印刷が完了した場合に、印刷用データが印刷された用紙を排出するためのユニットである。具体的には、メールボックスユニット5には、複数の搬送ローラ51〜54、排紙切換爪55、2つの排紙トレイ56、57及び各排紙トレイ56、57への記録済み用紙の排出を検出する排紙検出センサ58、59等が設けられており、印刷が完了した用紙が送り込まれて来ると、排紙切換爪55で用紙の排出方向を切り換え、その後、搬送ローラ51〜54によってタッチパネル排紙トレイ57に用紙を排出する。
【0071】
フィニッシャユニット6は、本体ユニット2で印刷処理された用紙に対して、ステープ
ル処理、折り処理等の種々の後処理を実行するためのユニットである。
【0072】
続いて、上述したレーザプリンタ1で行われる印刷処理の処理手順について説明する。
【0073】
図5は、印刷用データをホスト装置HSから受信した場合において、印刷用データの開始から終了までの処理手順を示すフローチャートである。以下の説明では、コントローラ100の送受信部2100は、ホスト装置HSから印刷用データと制御信号を既に受信しているものとする。
【0074】
判断部2200は、送受信部2100が受信した印刷用データの制御信号を読み取ってページ情報を取得する(ステップS501)。そして、印刷用データをページ毎に読み取って、順次、記憶部2300に描画データとして展開し、見込み時間を算出する(ステップS502)。
【0075】
その後、判断部2200は、描画データをエンジン200に送信するとともに、エンジン200に印刷開始を指示する(ステップS503)。
【0076】
そして、コントローラ100から印刷開始の指示を受信すると、起動停止制御部4200は、起動停止部4100に対して、帯電部11、書き込み部12、現像部13、転写部14、分離部15、クリーニング部16等の各部を順次起動させると共に、描画データを記憶部4400に記憶する(ステップS504)。
【0077】
その後、起動停止制御部4200は、起動停止部4100に対して印刷実行指示行い、起動停止部4100は印刷を開始する(ステップS505)。
【0078】
そして、描画データの印刷が開始すると、起動停止制御部4200は、コントローラ100から次のページの描画データの印刷開始の指示を受信したか否かを判定する(ステップS506)。
【0079】
そして、起動停止制御部4200は、次のページの描画データの印刷開始の指示を受信したと判定した場合(ステップS506;Yes)は、そのまま印刷処理を続ける。
【0080】
一方、次のページの描画データの印刷開始の指示を受信していないと判定した場合(ステップS506;No)、起動停止制御部4200は、コントローラ100に対して次ページの描画データの有無を問い合わせる(ステップS507)。
【0081】
そして、確認部4300は、起動停止制御部4200からの問い合わせに対して、次ページの描画データがあるか否かを確認する(ステップS508)。
【0082】
そして、確認部4300は、コントローラ100から、次ページの描画データがない旨の通知を受けた場合(ステップS508;No)には、印刷用データの印刷が終了したものと判断し、ステップS513に進み、起動停止部4100に対して、帯電部11、書き込み部12、現像部13、転写部14、分離部15、クリーニング部16等の各部を順次停止させる指示を行い、起動停止部4100は各部を停止させる(ステップS513)。
【0083】
一方、確認部4300は、コントローラ100から、次ページの描画データがある旨の通知を受けた場合(ステップS507;Yes)には、コントローラ100から、次ページの描画データの見込み時間を受け取る(ステップS509)。
【0084】
そして、確認部4300は、受け取った見込み時間が、起動停止時間よりも長いか否かを判定する(ステップS510)。
【0085】
そして、見込み時間が、起動停止時間より長いと判定した場合(ステップS509;Yes)は、起動停止制御部4200は、起動停止部4100に対して、上述した各部を停止し、その後再起動させる(ステップS511)。
【0086】
一方、確認部4300が、見込み時間が起動停止時間より長くないと判定した場合(ステップS509;No)は、何もせずにステップS512に進む。
【0087】
その後、確認部4300は、ステップS510またはS511が終了すると、記憶部4400に次ページの描画データが記憶されているか否かを判定する(ステップS512)。
【0088】
そして、記憶部4400に次ページの描画データが記憶されていると判定した場合(ステップS512;Yes)は、ステップS505に戻り、起動停止制御部4200は、起動停止部4100に対して印刷実行指示行い、起動停止部4100は印刷を開始する。
【0089】
一方、確認部4300は、次ページの描画データが記憶部4400に記憶されていないと判定した場合(ステップS512;No)は、ステップS507に戻り、再度、コントローラ100に対して、次ページの描画データがあるか否かを確認する。上述したステップS501〜S513までの処理が終了すると、レーザプリンタ1で行われる全ての印刷処理が終了する。
【0090】
図6、図7は、上述した印刷処理を時系列に説明するためのタイミングチャートである。
【0091】
図6において、「潜像形成・帯電」は書き込み部12・帯電部11、「現像」は現像部13、「転写」は転写部14、「分離」は分離部15、「クリーニング」はクリーニング部16を表しており、時間の経過に従って、順次起動または停止する様子を示している。
【0092】
図6に示すように、上述した各部の起動が完了し、プロセス立ち上げ期間Taが経過すると、起動停止制御部4200からの印刷実行指示に応じて起動停止部4100が印刷を開始し、プロセス印刷時間Tbに入る。
【0093】
そして、確認部4300が、次ページの描画データがある旨の通知を受けた場合に、見込み時間Tsが、プロセス立ち上げ処理期間Taと、プロセス終了処理期間:Tcとの和(起動停止時間)より長い場合には、上述したエンジン200の各部を一旦停止し、さらに再起動させる。
【0094】
一方、プロセス立ち上げ処理期間Taと、プロセス終了処理期間:Tcとの和(起動停止時間)より長くない場合には、図7に示すように、エンジン200の各部の停止または再起動を行わず、プロセス印刷処理期間(Tb)を継続させる。
【0095】
このように、本実施の形態においては、エンジン200が、コントローラ100から、次ページの描画データがある旨の通知を受けた場合おいて、次ページの描画データの見込み時間を取得し、取得した見込み時間の長さに応じて、エンジン200の各部を停止または再起動させるか否かを判定するので、単にコントローラ100からの印刷指示をうけて印刷を実行するか各部を停止または再起動させるかを判定する場合に比べて、無駄な印刷処理の待ち時間を削減でき、効率的に印刷を行うことが出来ると共に、エンジン200の各部に対する余計な停止または再起動を行わないので、エンジン200の各部の劣化を軽減し、エンジン200、しいてはレーザプリンタ1の寿命を延ばすことができる。
【0096】
(第2の実施の形態)
上述した第1の実施の形態においては、コントローラ100は、描画データの見込み時間を、描画データのデータ量とコントローラ100の処理速度に従って算出し、エンジン200が、見込み時間とエンジン200の各部の起動停止時間とを比較することによって、効率的に印刷を行うこととした。しかし、各ページの描画データの画素密度が異なる場合には、書き込み部12のポリゴンミラーの回転速度も調整する必要があるため、エンジン200の各部の停止および再起動が必要となる場合も存在する。そこで、描画データの各ページの間で画素密度が異なる場合に印刷処理を行う場合について説明する。
【0097】
図8は、第2の実施の形態にかかる本体ユニット28の機能的な構成を示すブロック図である。第2の実施の形態にかかる本体ユニット28は、第1の実施の形態とは異なるコントローラ108とエンジン208とを備えている点で、第1の実施の形態にかかる本体ユニット2とは異なっている。以下の説明では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。まず、コントローラ108について説明する。
【0098】
コントローラ108は、第1の実施の形態における判断部2200とは異なる判断部2208を備えている。
【0099】
判断部2208は、第1の実施の形態における判断部2200と同様の処理を行うほか、描画データの画素密度を算出し、既にエンジン208に送信した描画データと、これから送信しようとする描画データの画素密度を比較し、両者の画素密度が同じであるか否かを判定する。
【0100】
そして、エンジン208から画素密度の確認する旨の要求を受けた場合に、そして、画素密度の判定結果をエンジン208に通知する。続いて、エンジン208について説明する。
【0101】
エンジン208は、第1の実施の形態における確認部4300とは異なる確認部4308を備えている点で、第1の実施の形態におけるエンジン200とは異なっている。
【0102】
確認部4308は、第1の実施の形態における確認部4300と同様に処理を行うほか、見込み時間が起動停止時間よりも長くないと判定した場合に、さらに、次ページの描画データの画素密度と既に印刷した描画データの画素密度が同じであるか否かを確認する旨の要求を行う。
【0103】
そして、コントローラ108から、次ページの描画データの画素密度と既に印刷した描画データの画素密度が同じである旨の通知を受けた場合には、見込み時間が経過するまで待機する。
【0104】
一方、次ページの描画データの画素密度と既に印刷した描画データの画素密度が同じである旨の通知を受けていない場合には、エンジン208の各部を停止し、再起動する。
【0105】
続いて、第2の実施の形態におけるレーザプリンタ1008で行われる実行処理について説明する。第2の実施の形態にかかるレーザプリンタ1008で行われる印刷処理は、第1の実施の形態における各処理と比べて、描画データの画素密度を算出して、エンジン208の各部を停止させる部分のみが異なっている。そこで、図9を用いてこれらの処理について説明するが、これら以外の処理については、第1の実施の形態にかかる処理と同じ処理内容であるため、第1の実施の形態にかかる処理と同一の処理(ステップS501、S502〜S513)については、その説明を省略している。
【0106】
判断部2208は、送受信部2100が受信した印刷用データの制御信号を読み取って取得した後(ステップS501)、記憶部2300に描画データとして展開し、見込み時間を算出すると共に、展開した描画データの画素密度を算出する(ステップS801)。
【0107】
その後、第1の実施の形態における各処理と同様の処理を行い(ステップS503〜S510)、確認部4308は、見込み時間が、起動停止時間より長くないと判定した場合(ステップS510;No)において、次ページの描画データの画素密度と既に印刷した描画データの画素密度が同じであるか否かを確認する旨の要求を行う(ステップS802)。
【0108】
そして、コントローラ108から、次ページの描画データの画素密度と既に印刷した描画データの画素密度が同じである旨の通知を受けた場合(ステップS802;Yes)には、第1の実施の形態と同様に、ステップS512に進む。
【0109】
一方、次ページの描画データの画素密度と既に印刷した描画データの画素密度が同じである旨の通知を受けていない場合(ステップS802;No)には、第1の実施の形態と同様に、エンジン208の各部を停止し、再起動する(ステップS511)。
【0110】
このように、本実施の形態においては、コントローラ108の判断部2208が、描画データの画素密度を算出し、各ページの描画データの画素密度が同じであるか否かを判定し、エンジン208の確認部4308が、各ページの描画データの画素密度が同じであるか否かをコントローラ108に確認した上で、エンジン208の各部を停止または再起動するので、描画データの画素密度に応じてポリゴンミラーの回転を効率よく調整する事ができ、効率的に印刷を行うことが出来る。
【0111】
(第3の実施の形態)
上述した第1の実施の形態においては、コントローラ100は、描画データの見込み時間を、描画データのデータ量とコントローラ100の処理速度に従って算出し、エンジン200が、見込み時間とエンジン200の各部の起動停止時間とを比較することによって、効率的に印刷を行うこととした。しかし、印刷用データを印刷する用紙の種類(以下、紙種と呼ぶ。)が、例えば、普通紙から上質紙、あるいは普通紙から再生紙等のように変化する場合には、その紙種に応じてトナー画像を転写する用紙を給紙する速度を調整する必要があるため、一旦エンジンの各部を停止し、再起動する場合も存在する。そこで、描画データの各ページの間で紙種が異なる場合に印刷処理を行う場合について説明する。
【0112】
図10は、第3の実施の形態にかかる本体ユニット28の物理的な構成を示す図である。第3の実施の形態にかかる本体ユニット38は、第1の実施の形態とは異なるコントローラ138とエンジン238とを備えている点で、第1の実施の形態にかかる本体ユニット2とは異なっている。以下の説明では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。まず、コントローラ138について説明する。
【0113】
コントローラ138は、第1の実施の形態における判断部2200とは異なる判断部2238を備えている。
【0114】
判断部2238は、第1の実施の形態における判断部2200と同様の処理を行うほか、送受信部2100が受信した印刷用データの制御信号から紙種情報(再生紙、上質紙、普通紙、はがき、封筒、厚紙、OHP用のシート等の描画データを印刷する用紙の種類)を読み取って、隣接するページの紙種情報が異なっているページを識別する。
【0115】
また、エンジン238から紙種情報を確認する旨の要求を受けた場合に、紙種情報の識別結果をエンジン238に通知する。続いて、エンジン238について説明する。
【0116】
エンジン238は、第1の実施の形態における確認部4300とは異なる確認部4338を備えている点で、第1の実施の形態におけるエンジン200とは異なっている。
【0117】
確認部4338は、第1の実施の形態における確認部4300と同様に処理を行うほか、見込み時間が起動停止時間よりも長くないと判定した場合に、さらに、次ページの描画データを印刷するページの紙種情報が同じであるか否かを確認する旨の要求を行う。
【0118】
そして、コントローラ108から、次ページの描画データの紙種情報と既に印刷した描画データを印刷するページの紙種情報が同じである旨の通知を受けた場合には、見込み時間が経過するまで待機する。
【0119】
一方、次ページの描画データの紙種情報と既に印刷した描画データの紙種情報が同じである旨の通知を受けていない場合には、エンジン208の各部を停止し、再起動する。
【0120】
続いて、第3の実施の形態におけるレーザプリンタ1038で行われる実行処理について説明する。第3の実施の形態にかかるレーザプリンタ1038で行われる印刷処理は、第1の実施の形態における各処理と比べて、描画データを印刷するページの紙種情報を識別して、エンジン238の各部を停止させる部分のみが異なっている。そこで、図11を用いてこれらの処理について説明するが、これら以外の処理については、第1の実施の形態にかかる処理と同じ処理内容であるため、第1の実施の形態にかかる処理と同一の処理(ステップS502〜S513)については、その説明を省略している。
【0121】
判断部2238は、送受信部2100が受信した印刷用データの制御信号から、ページ情報と共に紙種情報を読み取って取得する(ステップS1101)。その後、判断部2238は、第1の実施の形態と同様に、記憶部2300に描画データとして展開し、見込み時間を算出すると共に、展開した描画データの画素密度を算出する(ステップS502)。
【0122】
その後、第1の実施の形態における各処理と同様の処理を行い(ステップS503〜S509)、確認部4338は、見込み時間が、起動停止時間より長くないと判定した場合(ステップS509;No)において、次ページの描画データを印刷する用紙の紙種情報が同じであるか否かを確認する旨の要求を行う(ステップS1102)。
【0123】
そして、確認部4338は、コントローラ108から、次ページの描画データを印刷する用紙の紙種情報が同じである旨の通知を受けた場合(ステップS1102;Yes)には、第1の実施の形態と同様に、ステップS512に進む。
【0124】
一方、次ページの描画データを印刷する用紙の紙種情報が同じである旨の通知を受けていない場合(ステップS1102;No)には、第1の実施の形態と同様に、エンジン208の各部を停止し、再起動する(ステップS511)。
【0125】
このように、本実施の形態においては、コントローラ108の判断部2238が、制御情報から、描画データを印刷する用紙の紙種を読み取り、隣接するページの紙種情報が同じであるか否かを識別し、エンジン238の確認部4338が、隣接するページの紙種情報が同じであるか否かをコントローラ138に確認した上で、エンジン238の各部を停止または再起動するので、描画データを印刷する用紙の紙種に応じて、トナー画像を転写する用紙を給紙する速度を調整することができ、効率的に印刷を行うことが出来る。
【0126】
(第4の実施の形態)
上述した第1の実施の形態においては、コントローラ100は、描画データの見込み時間を、描画データのデータ量とコントローラ100の処理速度に従って算出し、エンジン200が、見込み時間とエンジン200の各部の起動停止時間とを比較することによって、効率的に印刷を行うこととした。しかし、描画データを印刷する途中で、用紙の紙詰まり(ジャム)が発生し、エンジン200が、コントローラ100から描画データを受け取ったものの印刷できず、そのような場合において、ジャムを解消した後に印刷処理を行うと、描画データを重複して印刷してしまう場合も存在する。そこで、描画データの印刷途中でジャムが生じた場合における印刷処理について説明する。
【0127】
図12は、第4の実施の形態にかかる本体ユニット48の物理的な構成を示す図である。第4の実施の形態にかかる本体ユニット48は、第1の実施の形態とは異なるコントローラ148とエンジン248とを備えている点で、第1の実施の形態にかかる本体ユニット2とは異なっている。以下の説明では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。まず、コントローラ148について説明する。
【0128】
コントローラ148は、第1の実施の形態における判断部2200とは異なる判断部2248を備えている。
【0129】
判断部2248は、第1の実施の形態における判断部2200と同様の処理を行うほか、エンジン248から、描画データを印刷する用紙にジャムが生じた旨の通知を受けた場合には、記憶部2300に記憶した次ページの描画データを削除する。そして、次ページの描画データの削除が終了すると、その旨をエンジン248に通知する。続いて、エンジン248について説明する。
【0130】
エンジン248は、第1の実施の形態における確認部4300とは異なる起動停止制御部4248と確認部4348とを備え、検知部4500をさらに備えている点で、第1の実施の形態におけるエンジン200とは異なっている。
【0131】
起動停止制御部4248は、第1の実施の形態における起動停止制御部4200と同様の処理を行うほか、コントローラ148から、記憶部2300に記憶した次ページの描画データを削除する。そして、次ページの描画データの削除した旨の通知を受けると、起動停止部4100に対して、エンジン248の各部を停止させるように指示する。
【0132】
確認部4348は、第1の実施の形態における確認部4300と同様に処理を行うほか、検知部4500が、用紙のジャムを検知すると、その旨をコントローラ100に通知する。
【0133】
検知部4500は、描画データが印刷されている途中に、用紙のジャムが発生しているか否かを検知する。
【0134】
続いて、第4の実施の形態におけるレーザプリンタ1048で行われる実行処理について説明する。第4の実施の形態にかかるレーザプリンタ1048で行われる印刷処理は、第1の実施の形態における各処理と比べて、用紙のジャムを検知し、次ページの描画データを削除する部分のみが異なっている。そこで、図13を用いてこれらの処理について説明するが、これら以外の処理については、第1の実施の形態にかかる処理と同じ処理内容であるため、第1の実施の形態にかかる処理と同一の処理(ステップS501〜S513)については、その説明を省略している。
【0135】
ステップS509において、確認部4348が、コントローラ148から、次ページの描画データの見込み時間を受け取った場合(ステップS508)、検知部4500は、用紙のジャムの発生を検知する(ステップS1301)。
【0136】
そして、検知部4500が用紙のジャムの発生を検知した場合(ステップS1301;YES)、確認部4348は、その旨をコントローラ148に通知する(ステップS1302)。
【0137】
そして、コントローラ148の判断部2248は、エンジン248からジャムが発生した旨の通知を受けると、記憶部2300に記憶した次ページの描画データを削除し、その旨をエンジン248に通知する(ステップS1303)。
【0138】
その後、起動停止制御部4248は、コントローラ148から、次ページの描画データを削除した旨の通知を受けると、起動停止部4100に対して、帯電部11、書き込み部12、現像部13、転写部14、分離部15、クリーニング部16等の各部を順次停止させる指示を行い、起動停止部4100は各部を停止させる(ステップS513)。
【0139】
このように、本実施の形態においては、エンジン248の検知部4500が、用紙のジャムの発生を検知し、確認部4348がその旨をコントローラ148に通知し、判断部2248は、記憶部2300に記憶した次ページの描画データを削除するので、描画データの印刷途中で用紙のジャムが生じた場合であっても、描画データを重複して印刷してしまうという不具合を防止することが出来る。
【0140】
なお、上述した実施の形態においては、エンジン248の検知部4500は用紙のジャムが発生したか否かを検知しているが、例えば、光書き込み部12のポリゴンミラーの回転速度が、画素密度に応じた回転速度になっていないこと、あるいは光書き込み部12の光源が正常にレーザ光を射出していないことを検知する等、他のエンジンの各部の異常を検知することとしてもよい。このようにした場合、本来の設定に従って静電潜像が形成されない等の理由で、精度の低い描画データが用紙に印刷されてしまうことを防止することができる。
【0141】
また、上述した実施の形態においては、検知部4500は、印刷処理中に用紙のジャムが発生しているか否かを検知することとした。しかし、エンジン248の各部を起動するタイミングや停止するタイミングに、時用紙のジャムが生じる場合も存在する。そのような場合には、エンジンの各部を起動または停止するタイミングにあわせて、検知部4500が用紙のジャムの発生を検知することも可能である。このような場合、複数のタイミングで用紙のジャムが発生したか否かを検知するので、さらに効率的に印刷処理を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
以上のように、本発明にかかる画像形成装置は、エンジンの各部を制御して印刷処理を行う際に有用であり、特に、エンジンの各部の停止および再起動を行って複数のページを印刷する技術に適している。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】第1の実施の形態にかかるレーザプリンタの物理的な配置を示す構成図である。
【図2】図1に示すレーザプリンタの本体ユニット、両面ユニット、メールボックスユニットの物理的な概略構成を示す図である。
【図3】図2に示す本体ユニットの物理的な構成を示す図である。
【図4】図3に示すコントローラとエンジンの機能的な構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施の形態において、印刷用データの開始から終了までの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態における印刷処理を時系列に説明するためのタイミングチャートである(見込み時間が長い場合)。
【図7】第1の実施の形態における印刷処理を時系列に説明するためのタイミングチャートである(見込み時間が短い場合)。
【図8】第2の実施の形態にかかる本体ユニットの機能的な構成を示すブロック図である。
【図9】第2の実施の形態において、印刷用データの開始から終了までの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態にかかる本体ユニットの機能的な構成を示すブロック図である。
【図11】第3の実施の形態において、印刷用データの開始から終了までの処理手順を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施の形態にかかる本体ユニットの機能的な構成を示すブロック図である。
【図13】第3の実施の形態において、印刷用データの開始から終了までの処理手順を示すフローチャートである。
【図14】従来の画像形成装置において、エンジンの各部が印刷開始の指示を受けて印刷処理を行う場合のタイミングチャートである。
【図15】従来の画像形成装置において、エンジンの各部が次ページの印刷開始の指示を受けて印刷処理を行う場合のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0144】
1 1008 1038 1048 レーザプリンタ
2 28 38 48 本体ユニット
3 両面ユニット
4 給紙ユニット
5 メールボックスユニット
6 フィニッシャユニット
7 オペレーションパネル
10 感光体
11 帯電部
12 光書き込み部
13 現像部
14 転写部
15 分離部
16 クリーニング部
17 給紙ローラ
18 レジストセンサ
19 レジストローラ
20 定着部
21 経路切換爪
31 入口用紙センサ
32 反転ローラ
35 分離爪
36 両面出口用紙センサ
41 ローラ
51 搬送ローラ
55 排紙切換爪
56 排紙トレイ
57 タッチパネル排紙トレイ
58 排紙検出センサ
100 108 138 148 コントローラ
101 ホストインターフェイス
102 プログラムROM
103 フォントROM
104 パネルインターフェイス
105 CPUコントローラ
106 ROM
107 RAM
108 エンジンインタフェース
109 バス
200 238 248 エンジン
202 制御回路
205 コントローラインタフェース
206 エンジンROM
208 フラッシュROM
209 入力ポート
210 出力ポート
212 センサ
213 ディップスイッチ
214 入力部
215 電圧プロセス
216 クラッチ
217 モータ
218 出力部
300 フォントカートリッジ
500 交換ユニット
2100 送受信部
2200 2208 2238 2248 判断部
2300 4400 記憶部
4100 起動停止部
4200 4248 起動停止制御部
4300 4308 4328 4348 確認部
4500 検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラからの印刷指示に応じて印刷処理を行うエンジンを備える画像形成装置であって、
前記コントローラは、
印刷に用いるページ毎の描画データを前記エンジンに送信するまでの見込み時間を算出し、前記ページ毎の描画データと、前記ページ毎の描画データの印刷指示と、前記見込み時間とを前記エンジンに送信する判断手段、を備え、
前記エンジンは、
前記エンジンの各部を起動または停止させる起動停止手段と、
前記ページ毎の印刷指示を受けたか否かを判定し、前記ページ毎の印刷指示を受けていない場合に、次ページの前記描画データの有無を前記コントローラに確認し、次ページの前記描画データがある旨が確認された場合に、前記見込み時間を取得し、前記見込み時間が、前記エンジンの各部を起動する時間と前記エンジンの各部を停止する時間との和よりも長いか否かを判定する確認手段と、
前記エンジンの各部を起動する時間と前記エンジンの各部を停止する時間との和である起動停止時間よりも長いと判定された場合に、前記エンジンの各部を起動または停止するように、前記起動停止手段を制御する起動停止制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記判断手段は、さらに前記描画データのページ毎の画素密度を求め、前記描画データの画素密度がページ毎に異なっているか否かを判定し、前記画素密度がページ毎に異なっている場合には、前記エンジンからの問い合わせに対して前記画素密度がページ毎に異なっている旨を通知し、
前記確認手段は、前記コントローラに対して、前記描画データの画素密度がページ毎に異なっているか否かを問い合わせ、前記画素密度がページ毎に異なっている旨の通知を受けた場合には、前記見込み時間が前記起動停止時間よりも長くないと判定した場合であっても、前記エンジンの各部を停止および再起動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判断手段は、さらに前記描画データを印刷する用紙の種類である紙種情報を取得し、前記描画データの画素密度がページ毎に異なっているか否かを判定し、前記画素密度がページ毎に異なっている場合には、前記エンジンからの問い合わせに対して前記画素密度がページ毎に異なっている旨を通知し、
前記確認手段は、前記コントローラに対して、前記描画データの画素密度がページ毎に異なっているか否かを問い合わせ、前記画素密度がページ毎に異なっている旨の通知を受けた場合には、前記見込み時間が前記起動停止時間よりも長くないと判定した場合であっても、前記エンジンの各部を停止および再起動する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記エンジンは、
前記エンジンの各部の異常を検知する検知手段、をさらに備え、
前記コントローラは、前記エンジンの各部が異常である旨の通知を受けた場合に、変換した前記描画データを削除し、前記描画データを削除した旨を前記エンジンに通知し、
前記確認手段は、前記エンジンの各部の異常が検知された場合には、前記エンジンの各部の異常を前記コントローラに通知し、
前記起動停止制御手段は、前記コントローラから前記描画データを削除した旨の通知を受けた場合に、前記エンジンの各部を停止させるように前記起動停止手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知手段は、前記描画データのページを印刷した後に前記エンジンの各部の停止中または、描画データのページを印刷した後、または印刷した前記描画データのページの次のページを印刷するために前記各エンジンの各部を起動したタイミングで前記異常を検知し、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検知手段は、前記用紙のジャムを前記エンジンの各部の異常として検知する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−83064(P2010−83064A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256189(P2008−256189)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】