説明

画像形成装置

【課題】帯電部材(例えば帯電ローラ)の清掃にあたり、従来のパッド状清掃部材を採用する場合と比べると長期にわたり所期の清掃効果を発揮することができようにする。
【解決手段】感光体1表面を帯電させる帯電ローラ2の表面を清掃する清掃装置20を備えている画像形成装置の場合、清掃装置20の清掃部材201を弾性圧縮変形可能のパッド状清掃部材とし、これを帯電ローラ2に対して圧接されるように、且つ、帯電ローラ2と清掃部材201の相互接触域CAの上流側端ueから下流側端deへ向かうにしたがい帯電ローラ2に対する圧接力が大きくなるように固定配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置に関係しており、特に、像担持体表面を帯電させる帯電部材を清掃する清掃装置に関係している。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ機、或いはこれらのうち2以上を組み合わせた複合機等の画像形成装置として、像担持体表面を帯電装置で帯電させ、該帯電域に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成することができるものが知られている。このタイプの画像形成装置では、一般的にはトナー像を記録紙等の記録媒体に転写定着させることもできるようになっている。
【0003】
像担持体としては、電子写真方式の画像形成装置では、ドラム型やベルト型の感光体を例示することができ、静電記録方式の画像形成装置では静電記録可能の誘電体からなる像担持体を例示できる。
【0004】
いずれにしても静電潜像形成に先立って像担持体表面を帯電させる帯電方式には、主に非接触帯電方式と接触帯電方式の二つがある。非接触帯電方式にはコロナ放電によって像担持体を帯電するコロトロン方式やスコロトロン方式がある。接触帯電方式には、主として像担持体とこれに接触する帯電部材間の接触域に隣り合って生じる微小空隙での火花放電によって像担持体を帯電させるローラ帯電方式やブラシ帯電方式などがある。
【0005】
非接触帯電方式ではコロナ放電によりオゾンが発生し、そのオゾンを排気するためのダクトやフアンなどが要求されるため、高コスト化、大型化する傾向がある。一方、接触帯電方式は実質上オゾンレス帯電方式であるため、オゾンを排気するダクトやフアンが不要であり、それだけ低コスト化、コンパト化できる。そのため、画像形成速度が比較的低速で低コストである所謂ローエンド領域の画像形成装置では、接触帯電方式が主流になっている。
【0006】
さらに、接触帯電方式において実用化され、主流となっているものとしてローラ帯電方式を挙げることができる。
ところが、ローラ帯電方式は、帯電ローラが像担特体に接触するため、ローラ表層がトナーやその外添剤(例えば流動化剤であるシリカ)で汚染され、汚染物質により抵抗ムラが生じ、帯電性能が損なわれ、像担持体を均−に帯電させることができないようになり、ひいては形成される画像にムラが生じやすくなる。
【0007】
そこで一般的には、帯電ローラ表層を清掃する清掃装置が用いられている。様々な清掃装置があるが、主流となっているのは特開平8−62948号公報等に記載されている清掃装置である。すなわち、帯電ローラに回転可能に接触配置された、樹脂発泡体からなる清掃ローラを採用するものであり、回転体である清掃ローラにより帯電ローラを清浄に保とうとするものである。
【0008】
しかし、清掃ローラは、通常、芯金周囲に発泡部材を成型により形成して製造しなければならず、また、帯電ローラに接触回転させるために軸受やバネ等の押圧手段が必要となるなどにより、コストアップが避けられない。また、近年の画像形成装置のロングライフ化の要請に応えるには、使用を重ねるうちに汚染物質が蓄積して所期の清掃効果が発揮され難くなるので、耐久性が十分とは言えない。
【0009】
一方、清掃部材としてパッド状の清掃部材を採用し、これを帯電ローラに対して固定配置して当接させる清掃装置も提案されている。例えば、特開平2−272589号公報には、フエルト材からなるパッド状清掃部材を帯電ローラに対し固定配置して接触させる清掃装置が記載されている。また、特開平9−96953号公報には、フエルト或いはスポンジからなるパッド状清掃部材であって、中央部に除去した物質が溜まる窪みを形成した清掃部材を帯電ローラに対し固定配置して接触させる清掃装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−62948号公報
【特許文献2】特開平2−272589号公報
【特許文献3】特開平9−96953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
帯電部材に対して固定配置されるパッド状清掃部材は清掃ローラのように軸受や帯電部材への押圧手段等を必要としないからコスト面では清掃ローラに比べて極めて有利である。
【0012】
しかしながら、固定配置のパッド状清掃部材は、汚れが蓄積されやすく、短い使用期間で清掃能力が低下してくる。前記の中央部窪みを形成したパッド状清掃部材の場合でも、窪みの大きさには限界があるうえ、窪みに溜まった汚染物質が帯電部材表面移動方向において下流側の清掃部材の部分に侵入しやすく、そのため帯電部材を逆に汚してしまうことがある。
【0013】
そこで本発明は、像担持体表面を該表面に接触回転可能の帯電部材を用いて帯電させ、該帯電域に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成することができ、該帯電部材表面を清掃する清掃装置を備えている画像形成部を少なくとも一つ含んでいる画像形成装置であって、前記画像形成部の少なくとも一つにおける清掃装置がその清掃部材として清掃ローラを採用する場合よりもコスト安にすみ、従来のパッド状清掃部材を採用する場合と比べると長期にわたり所期の清掃効果を発揮することができ、ひいては、画像形成装置全体としても、それだけ長期にわたり帯電部材汚れに起因する画像ムラの発生を抑制することができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は前記課題を解決するため、
像担持体表面を該表面に接触回転可能の帯電部材を用いて帯電させ、該帯電域に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成することができ、該帯電部材表面を清掃する清掃装置を備えている画像形成部を少なくとも一つ含んでいる画像形成装置であり、前記画像形成部の少なくとも一つにおける前記清掃装置は、弾性圧縮変形可能のパッド状清掃部材を含んでおり、該パッド状清掃部材が前記帯電部材に対して圧接されるように、且つ、該帯電部材と該パッド状清掃部材の相互接触域の帯電部材表面移動方向において上流側端から下流側端へ向かうにしたがい前記帯電部材に対する該パッド状清掃部材の圧接力が大きくなるように該帯電部材に対して固定配置されている画像形成装置を提供する。
ここで回転可能の帯電部材としては代表例として帯電ローラを挙げることができるが、帯電ベルト等であっても構わない。
【0015】
本発明に係る画像形成装置によると、少なくとも一つの画像形成部においては、像担持体を帯電させる帯電部材を清掃する清掃装置は、その清掃部材が弾性圧縮変形可能のパッド状部材という構造簡単な部材であるとともに帯電部材に対して固定配置されるものであるから、帯電部材の清掃部材として清掃ローラを採用する場合と比べると、清掃ローラのように軸受や帯電部材への押圧手段等を必要としないから清掃装置コスト面では清掃ローラを採用する場合に比べて極めて安価に済む。
【0016】
そして、清掃装置の清掃部材は、弾性圧縮変形可能のパッド状部材ではあるが、前記帯電部材に対して圧接されるように、且つ、該帯電部材と該清掃部材の相互接触域の帯電部材表面移動方向において上流側端から下流側端へ向かうにしたがい前記帯電部材に対する圧接力が大きくなるように該帯電部材に対して固定配置されている。
【0017】
従って、帯電部材表面移動方向において下流端にいくにつれて帯電部材に対する清掃部材の押圧力が高くなるので清掃効果が高くなる一方、帯電部材表面の汚染物質は、清掃部材の下流端にいくにつれて帯電部材表面移動速度に対して遅れるように速度差ができ、帯電部材と清掃部材との相互ニップ部を出たときに一気に押圧力が開放され、それにより帯電部材表面から引き離され、それだけ帯電部材表面を清浄に保つことができる。
なお、ここで汚染物質とは、主としてトナーや、その外添剤(例えば流動化剤としてのシリカ)などである。
【0018】
前記清掃部材の前記帯電部材との接触面は不織布で形成されていてもよい。帯電部材との接触面を不織布で形成することで、清掃部材内部に汚染物質が滞留することを抑制でき、それだけ長期にわたり清掃能力を所期のものに維持できる。
【0019】
前記帯電部材と前記清掃部材の相互接触域の帯電部材表面移動方向において下流側端に対応する清掃部材部分は、上流側端に対応する清掃部材部分より重力方向において下方に位置させてもよい。このように清掃部材の下流側端を重力方向で下方に位置させると、帯電部材と清掃部材とのニップ部から一気に解放される汚染物質がより確実に清掃部材から離脱し、それだけ清掃装置の清掃性を所期のものに維持しやすくなる。
【0020】
前記清掃部材の前記帯電部材への圧接面は、該帯電部材の回転軸線方向に垂直な断面において円弧形状を呈する圧接面としてもよい。このような圧接面を採用することで、帯電部材とパッド状清掃部材の相対的接触移動距離が長くなるのでそれだけ清掃効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によると、像担持体表面を該表面に接触回転可能の帯電部材を用いて帯電させ、該帯電域に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成することができ、該帯電部材表面を清掃する清掃装置を備えている画像形成部を少なくとも一つ含んでいる画像形成装置であって、前記画像形成部の少なくとも一つにおける前記清掃装置が、清掃部材として清掃ローラを採用する場合よりもコスト安にすみ、従来のパッド状清掃部材を採用する場合と比べると長期にわたり所期の清掃効果を発揮することができ、ひいては、画像形成装置全体としても、それだけ長期にわたり帯電部材汚れに起因する画像ムラの発生を抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る画像形成装置例の構成の概略を示す図である。
【図2】帯電ローラの清掃装置の1例を示す図である。
【図3】図2の清掃装置を採用する場合の汚染物質の挙動を説明する図である。
【図4】従来タイプの清掃部材を採用する場合の汚染物質の挙動を説明する図である。
【図5】図2の清掃装置に対して清掃部材の配置を変更した場合の汚染物質の挙動を説明する図である。
【図6】帯電ローラの清掃装置の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明に係る画像形成装置の1例の構成を概略的に示している。
図1の画像形成装置は所謂4サイクル型のカラープリンタである。
図1に示すプリンタ10は、ここでの像担持体であるドラム型感光体1を備えており、その周囲に帯電ローラ2、現像装置4、中間転写ベルト6及びクリーニング装置5がこの順序で配置されている。帯電ローラ2と現像装置4の間から感光体1へ画像露光を行なう画像露光装置3が設けられており、その下方に記録紙等の記録媒体(以下、「記録紙」という。)の供給部9が設けられている。
【0024】
感光体1は感光体駆動モータ(図示省略)により図中時計方向に回転駆動される。帯電ローラ2は、感光体1表面に接触配置されて感光体に従動して図中反時計方向まわりに回転するものであってもよいが、回転の安定化のため図示省略の駆動部により、周速が感光体周速と同じになるように図中反時計方向まわりに回転駆動される。帯電ローラ2には出力可変の帯電用電源(図示省略)から所定のタイミングで感光体帯電電圧が印加される。 また、帯電ローラ2に対してはその清掃装置20が配置されている。清掃装置20については後ほど詳述する。
【0025】
現像装置4は現像器ラック40にブラック現像器4K、シアン現像器4C、マゼンタ現像器4M及びイエロー現像器4Yを搭載したものである。現像器ラック40は図示省略の駆動部により図中反時計方向まわりに回転駆動可能である。現像器は90度の等中心角度間隔で、ラック回転方向に現像器4K、4C、4M、4Yの順序で現像器ラック40に搭載されている。
【0026】
ブラック現像器4KにはブラックトナーカートリッジKCが、シアン現像器4CにはシアントナーカートリッジCCが、マゼンタ現像器4MにはマゼンタトナーカートリッジMCが、イエロー現像器4YにはイエロートナーカートリッジYCがそれぞれ交換可能に搭載されている。各現像器には感光体1上の静電潜像を現像するための現像ローラ(トナー担持体ローラ)41が搭載されている。
【0027】
各現像器は、現像ローラ41のほか、該ローラヘトナーを供給するトナー供給ローラ42、トナー供給ローラ42から供給されるトナーの現像ローラ41上での層厚を規制するトナー規制ブレード(図示省略)等も含んでいる。各現像器は負極性に帯電させたトナーを用いて感光体1上の静電潜像を反転現像できる。
【0028】
各現像器は現像器ラック40を回動させることで感光体1上の静電潜像を現像ローラ41で現像する現像位置に配置することができる。現像位置に配置された現像ローラ41は感光体1表面に臨み、出力可変の現像バイアス電源(図示省略)から現像バイアス印加が可能となる。また、現像位置に配置された現像ローラ41は現像ローラ駆動モータ(図示省略)により図上反時計方向に回転駆動可能となる。さらに、図示省略の電源から、トナー供給ローラヘトナー供給バイアスを印加できるようになり、トナー規制ブレードに規制バイアスを印加できるようになる。
【0029】
中間転写ベルト6は駆動ローラ61、これに対向する従動対向ローラ62、感光体1に対向配置された1次転写ローラ63、1次転写ローラ63と共同して中間転写ベルト6を感光体1に当接させるローラ64からなるローラ群に巻き掛けられている。
【0030】
1次転写ローラ63には図示省略の1次転写電源から1次転写電圧を印加できる。駆動ローラ61を図示省略の転写ベルト駆動モータにより図中反時計方向まわりに回転駆動することで中間転写ベルト6を反時計方向回りに回転させることができる。
【0031】
中間転写ベルト6の駆動ローラ61に巻き掛けられた部分に対して2次転写ローラ7が配置されている。2次転写ローラ7は図示省略のローラ変位駆動部により所定のタイミングで中間転写ベルト6に対し接離される。2次転写ローラ7には図示省略の2次転写電源から2次転写電圧を印加できる。
【0032】
中間転写ベルト6の対向ローラ62に巻き掛けられた部分に対して紙粉等(2次転写残トナーを含む)を除去清掃するクリーニング装置65が配置されている。このクリーニング装置65には、中間転写ベルト6の紙粉等を除去するクリーニングブレードBLが設けられている。
【0033】
このクリーニング装置65には、中間転写ベルト6に対してクリーニングブレードBLを当接(圧接)させる状態と離隔させる状態とを切換える、ブレード駆動部BLDが設けられている。このブレード駆動部BLDは、本来的には、次のために設けられている。
【0034】
すなわち、二つ以上の現像器を用いてカラー画像形成するとき、1色目のトナー像を中間転写ベルト6上に形成した後、次の2色目のトナー像、或いはさらに3色目のトナー像、或いはさらに4色目のトナー像を中間転写ベルト6に形成している間は、中間転写ベルト6上のトナー像を乱さないように中間転写ベルト6からクリーニングブレードBLを離隔させる。そして、目的とする全トナー像が記録紙Sに多重形成された後に、クリーニングブレードBLを中間転写ベルト6をクリーニングするタイミングで中間転写ベルト6に圧接して本来のクリーニング機能を発現させる。
【0035】
2次転写ローラ7の上方には定着装置8が、さらにその下流側には記録紙排出ローラR3及び記録紙排出トレイTが順次設けられている。
2次転写ローラ7の下方にはタイミングローラ対R2及び記録紙収容部9からの記録紙Sをタイミングローラ対R2へ案内する案内ローラ対Rlが配置されている。
【0036】
以上説明したプリンタ10は図示省略の制御部の指示のもとに、4K、4C、4M及び4Yの現像器のうち1又は2以上を用いて記録紙S上にトナー画像を形成することができる。四つの現像器を用いてフルカラー画像を形成する例を以下に説明する。
【0037】
先ず、必要に応じ、図示省略のラック駆動部により現像器ラック40を回動させてイエロー現像器4Yをその現像ローラ41が感光体1に臨む現像位置に配置するとともに、感光体1を図中時計方向に回転させ、中間転写ベルト6も回転させる。この段階では2次転写ローラ7は中間転写ベルト6から離隔させておく。
【0038】
回転する感光体1の表面を帯電用電源から帯電用電圧が印加された帯電ローラ2で一様に所定電位に帯電させ、その帯電域に画像露光装置3から折り返し反射ミラー31、32を経てイエロー画像のための画像露光を施してイエロー静電潜像を形成し、該潜像を現像器4Yで現像してイエロートナー像を形成する。このイエロートナー像を1次転写電圧が印加された1次転写ローラ63により中間転写ベルト6上に1次転写する。
【0039】
さらに、イエロートナー像の形成の場合と同様にして、マゼンタ現像器4Mを現像位置に配置して感光体1上にマゼンタトナー像を形成し、これを中間転写ベルト6上に転写し、次いでシアン現像器4Cを現像位置に配置して感光体1上にシアントナー像を形成し、これを中間転写ベルト6上に転写し、次いでブラック現像器4Kを現像位置に配置して感光体1上にブラックトナー像を形成し、これを中間転写ベルト6上に転写する。各色トナー像の感光体1への形成及び中間転写ベルト6への1次転写はこれらトナー像が重ねて中間転写ベルト6上に転写されるタイミングで行なう。
【0040】
このカラー画像形成において中間転写ベルト6への1次転写が行なわれているときには、クリーニング装置65のクリーニングブレードBLは、圧接離隔機構BLDにより、中間転写ベルト6から離隔されている。
【0041】
一方、記録紙Sを記録紙供給部9から供給ローラ91により引き出してタイミングローラ対R2へ向け供給し、記録紙先端がタイミングローラ対R2の出口側にある図示省略のタイミングセンサに検出されると、タイミングローラ対R2を停止させ、記録紙Sをそこで待機させておく。
【0042】
そして、中間転写ベルト6上の多重トナー像が中間転写ベルト6の回転により2次転写ローラ7へ到達するに先立って該ローラ7を中間転写ベルト6へ接触させ、多重トナー像が2次転写領域に到達するタイミングで記録紙Sもタンミングローラ対R2で2次転写領域へ送り込む。
【0043】
かくして記録紙Sに多重トナー像が2次転写される。多重トナー像が転写された記録紙Sは定着装置8でそのトナー像が加熱加圧下に定着され、排出ローラR3にて排出トレイTに排出される。かくしてフルカラー画像が形成された記録紙Sを得ることができる。
【0044】
感光体1上の1次転写残トナー等はクリーニング装置5により除去清掃され、該装置の貯留スペースに落下して貯留され、中間転写ベルト6上の紙粉等(2次転写残トナーを含む)はクリーニング装置65により除去清掃される。このとき、装置65のクリーニングブレードBLは、ブレード駆動部BLDにより、中間転写ベルト6に圧接される。
【0045】
以上の説明から理解できるように、プリンタ10は、シアントナー像、マゼンタトナー像、イエロートナー像、ブラックトナー像を形成できる合計四つの画像形成部を含んでいるといえるのもであり、且つ、感光体1及び感光体1を帯電させる帯電ローラ2等が四つの画像形成部に共通で用いられているものであると言える。
【0046】
次に帯電ローラ2の清掃装置20について説明する。
図2は帯電ローラ2とその清掃装置20を拡大して示している。
清掃装置20は弾性圧縮変形可能の(圧縮可能、圧縮状態から弾性復元可能の)パッド状の清掃部材201と清掃部材201を保持して定位置の部材(図示省略)に固定されている保持部材202とを含んでいる。
【0047】
パッド状清掃部材201は主としてフェルト状の材質で構成されている。
清掃部材201は略直方体形状の部材で、帯電ローラ2に下方から臨んでおり、保持部材202が図示省略の部材に固定されていることで、あたかも下方から上方へむけ力Fで押し上げられるようにして圧縮された状態で帯電ローラ2に圧接されている。
【0048】
その結果、清掃部材201の帯電ローラ2への圧接面2011は、図2に示すように帯電ローラ2の回転軸線Cの方向に対して垂直な断面において円弧形状を呈する圧接面となっている。
【0049】
また、この状態でパッド状清掃部材201の帯電ローラ回転方向において下流側の上下方向面201sは、帯電ローラ2の回転中心線Cを含んで上下方向に延びる面VSに存在するか、或いはそれより図中左側にあり、いずれにしても、清掃部材201は面VSより図中右側へははみ出さないように配置されている。
【0050】
清掃部材201はこのように配置されていることで、帯電ローラ2に対する食い込み量(換言すれば清掃部材201への帯電ローラ食い込み量)が、帯電ローラ2と清掃部材201とのニップの帯電ローラ回転方向において上流側から下流側へかけて次第に大きくなっており、最後の出口部分では食い込み量が最大となっている。
【0051】
直方体形状のパッド状部材201は略全体にわたり均一な材質で形成されており、従って、清掃部材201の帯電ローラ2に対する押圧力は食込み量に略比例する。
【0052】
また、帯電ローラ2と清掃部材201の相互接触域、換言すればニップCAの帯電ローラ2表面移動方向において下流側端deに対応する清掃部材部分は、上流側端ueに対応する清掃部材部分より重力方向において下方に位置している。
【0053】
図3は図2に示す清掃装置20を採用した場合の帯電ローラ2上の汚染物質tの挙動を示している。帯電ローラ2の表面に付着した汚染物質t(トナーやトナー外添剤など)は、帯電ローラ2の回転に伴って清掃部材201まで搬送されたあと、最初は清掃部材201の帯電ローラ2への押圧力が弱いためにほとんど帯電ローラ表面から動かされることはないが、ニップCAの上流側端(入口)ueから下流側端(出口)deへ向かうにつれ、徐々に押圧力が大きくなるため、ニップ下流側端に向かうにつれて帯電ローラ2表面に対して動かされる。
【0054】
その結果、ニップの下流側部分には汚染物質tが徐々に堆積した状態になる。ニップCAの出口de付近で汚染物質tは帯電ローラ2表面と最大の速度差を生じ、そのままニップCAを出るが、ニップを出た瞬間に押圧力が一気に開放される。その結果、汚染物質tは帯電ローラ2表面から剥離して清掃部材201から排出されることになる。
【0055】
また、既述のとおり、清掃部材201の下流側端deを重力方向で下方に位置させてあるので、帯電ローラ2と清掃部材201とのニップから一気に解放される汚染物質tがより確実に清掃部材201から離脱し、それだけ清掃装置20の清掃性を長期にわたり所期のものに維持しやすくなっている。
【0056】
図4は従来タイプの清掃部材の帯電ローラ2に対する当接方法としたときの汚染物質tの挙動を示している。
汚染物質tが清掃部材と帯電ローラ2とのニップ部に進入してから押圧力が最大になる部分までは、次第に汚染物質tの帯電ローラ表面に対する速度差が大きくなり、汚染物質tが一つ所に集まるようになるが、その後押圧力が徐々に弱くなると、汚染物質tは帯電ローラ2表面との速度差が徐々に小さくなる。従って、最終的にニップ出口に来たときには、帯電ローラ2表面との速度差がなくなり、帯電ローラ2に付着した状態になってしまう。また、押圧力が最終的にゼロにならなくても、この現象はある確率で発生すると考えられる。
【0057】
図2及び図3に示す帯電ローラ2に対する清掃部材201の配置関係に対して、例えば図5に示すように、帯電ローラ2の回転中心軸線を含む上下方向面VSに対称に清掃部材201を配置変えすると(清掃部材201の左側面201s’が面VSに存在するか或いは面VSより図中右側に位置すると)、汚染物質tが清掃部材201と帯電ローラ2とのニップ部に進入し始めた当初は清掃部材201の押圧力が最大であるから、汚染物質tの多くは帯電ローラ2から掻き取られる。しかし、掻き取られることなくニップ内へ進入するものもある。ニップへ進入した汚染物質tは、帯電ローラ2への清掃部材201の押圧力が次第に弱まることで、帯電ローラ2表面との速度差が低下し、ニップ下流端を出た汚染物質tは再び帯電ローラ2に付着した状態に戻ってしまう。よって、図4に示す場合と比べると採用し得るものであるが、どちらかと言えば、図2や図3に示す配置関係の方が好ましいと言える。
【0058】
図6は帯電ローラ清掃装置の他の例を示している。図6の清掃装置20’は、清掃部材201’の帯電ローラ2との当接面2011’が、外力が作用しないとき、破線で示すように円弧状に形成されている。このような構成にすることで、帯電ローラ2と清掃部材201’とのニップ部をより長くすることが可能になる。ニップ部を長くすることで、ニップ出口での帯電ローラ2と汚染物質tとの速度差を大きくすることができ、清掃効果を高めることができる。
清掃部材201’はその保持部材202’が図示省略の部材に固定されていることで、あたかも下方から上方へ向け力F1が、横から力F2がそれぞれ加えられた状態で圧縮されて帯電ローラ2に圧接されている。
【0059】
いずれにしても、清掃部材201、201’の帯電ローラ2との接触面2011、2011’は不織布で形成されていてもよい。帯電ローラ2との接触面を不織布で形成することで、清掃部材201の内部に汚染物質が滞留することを抑制でき、それだけ長期にわたり清掃部材201の清掃能力を所期のものに維持できる。
【0060】
次表は図2に示すタイプの清掃装置(実施例1)及び図6に示すタイプの清掃装置(実施例2)と図4に示すタイプの3種類の従来タイプ清掃装置(従来例1、2、3)のそれぞれの、清掃性能維持に関する耐久性の評価実験結果を示している。
【0061】
評価は形成される画像における画像ムラの発生レベルを比較することで行った。
従来例1及び従来例2では清掃部材が固定配置されたパッド状の部材であるが、図4のように構成したものである。従来例3は清掃部材をローラ形状として、帯電ローラに従動回転するように配置したものである。従来例1と従来例3の清掃部材材質はともに発泡ウレタンであり、セル骨格が3次元網目構造の連泡タイプのものを使用した。従来例2の清掃部材はフェルト素材の不織布を使用した。実施例1及び実施例2はそれぞれ図2と図6に示すものであり、材質はフェルト素材の不織布である。
【0062】
各清掃装置の耐久性評価は、コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社製のmagicolor2550 をそれぞれ改造して各清掃装置を搭載し、環境温度10℃、相対湿度15%のもとでブラックトナーによるモノクロモードで印字率5%のパターンを連続通紙で印字して行った。
印字操作途中でハーフトーン画像を採取し、その濃度ムラで画像ムラ発生レベルを評価した。
【0063】
次表において「○」は問題のないレベル、「△」は濃度ムラがみられるが許容できる範囲のレベル、「×」は濃度ムラがひどく許容できないレベルを示している。以下の表で「K」は「1000枚」をあらわしている。

10K 30K 50K 80K 100K
従来例1 ○ × 従来例2 ○ ×
従来例3 ○ △ ×
実施例1 ○ ○ △ △ ×
実施例2 ○ ○ ○ △ ×
【0064】
従来例1及び従来例2はともに印字30×103 枚時点で「×」となり、従来例3は印字50×103 枚時点で「×」となった。
実施例1及び実施例2はともに印字100×103 枚時点で「×」となったが、従来例と比較するとはるかに長期にわたり清掃性能が所期のものに維持されているとが分かる。 また実施例1よりも実施例2のほうがより清掃効果が高い結果となっている。
【0065】
実施例においては清掃部材の食込み量を変えることで押圧力を変更したが、これに限らず例えば清掃部材の硬さをニップ下流に行くほど硬くする等の手法も採用できる。この場合は食込み量はニップの各部で略同等にすることができる。またニップ下流端を重力方向で下方に配置することで、ニップから排出された汚染物質が清掃部材近傍に溜まらず、それだけ清掃性能が所期の状態に維持される。
【0066】
以上説明した画像形成装置10は所謂4サイクル型のカラー画像形成装置であったが、本発明はタンデム型カラー画像形成装置にも、また、モノクロ画像形成装置にも適用できる。
【0067】
また、像担持体及びその帯電部材の組を複数備えている画像形成装置では、該複数組の全数より少ない数の組の帯電部材について本発明に係る清掃装置を設けることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は像担持体を帯電させる帯電部材の表面を清掃する清掃装置が従来より長期にわたり所期の清掃性能を発揮することができる画像形成装置を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0069】
10 プリンタ
1 感光体
2 帯電ローラ
3 画像露光装置
4 現像装置
40 現像器ラック
4Y イエロー現像器
4M マゼンタ現像器
4C シアン現像器
4K ブラック現像器
41 現像ローラ
42 トナー供給ローラ
5 クリーニング装置
6 中間転写ベルト
63 1次転写ローラ
64 ローラ
65 クリーニング装置
7 2次転写ローラ
8 定着装置
9 記録媒体の供給部
20,20’ 帯電ローラの清掃装置
201、201’ 清掃部材
202、202’ 保持部材
2011、2011’ 清掃部材201、201’の帯電ローラ2への圧接面
201s 清掃部材201の下流側の上下方向面
201s’清掃部材201の上流側の上下方向面 VS 帯電ローラ中心軸線に対して垂直な上下方向面
CA、CA’ 帯電ローラと清掃部材の相互接触領域(ニップ)
ue、ue’ 領域CA、CA’の上流端(ニップ入口)
de、de’ 領域CA、CA’の下流端(ニップ出口)
t 汚染物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体表面を該表面に接触回転可能の帯電部材を用いて帯電させ、該帯電域に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して可視トナー像を形成することができ、該帯電部材表面を清掃する清掃装置を備えている画像形成部を少なくとも一つ含んでいる画像形成装置であり、前記画像形成部の少なくとも一つにおける前記清掃装置は、弾性圧縮変形可能のパッド状清掃部材を含んでおり、該パッド状清掃部材が前記帯電部材に対して圧接されるように、且つ、該帯電部材と該パッド状清掃部材の相互接触域の帯電部材表面移動方向において上流側端から下流側端へ向かうにしたがい前記帯電部材に対する該パッド状清掃部材の圧接力が大きくなるように該帯電部材に対して固定配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記清掃部材の前記帯電部材との接触面が不織布で形成されている請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記帯電部材と前記清掃部材の相互接触域の帯電部材表面移動方向において下流側端に対応する清掃部材部分は、上流側端に対応する清掃部材部分より重力方向において下方に位置している請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記清掃部材の前記帯電部材への圧接面は、該帯電部材の回転軸線方向に垂直な断面において円弧形状を呈する圧接面である請求項1、2又は3記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−107288(P2011−107288A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260536(P2009−260536)
【出願日】平成21年11月14日(2009.11.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】