説明

画像形成装置

【課題】分離爪を回避した状態のクリーニング保護用トナー像を用いた場合におけるクリーニングブレードの変形を防止して、良好なクリーニングを実行する。
【解決手段】トナー像を担持する像担持体と、該像担持体の前記トナー像を該記録紙に転写する転写部と、記録紙を前記像担持体から分離する分離部と、前記像担持体上の転写残トナーもしくは紙滓を該像担持体表面から掻き落とすクリーニング部と、各部に指示を与えて画像形成を制御する制御部とを備え、像担持体の非画像領域において前記分離部領域を少なくとも避けた状態で像担持体軸方向を長手方向とする帯状のクリーニング保護用トナー像を形成し、前記クリーニング部の前記像担持体と接する部分を該クリーニング保護用トナー像に接触させる際に、該クリーニング保護用トナー像を形成する毎に、前記クリーニング保護用トナー像の前記分離部領域を避ける端部位置を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式によってトナー像を形成する画像形成装置に関し、像担持体上に残存するトナーを除去するクリーニング部の保護に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成装置では、回転する感光体ドラムや感光体ベルトの像担持体(感光体)上にトナー像を形成し、形成されたトナー像を直接或いは間接に記録紙上に転写し、さらに定着して画像を形成することが行われている。
【0003】
このような画像形成装置では、転写されずに感光体上に残ったトナー(以下、転写残トナー)、あるいは、記録紙から発生する粉末状の滓(以下、紙滓)を次の画像形成までに除去する必要がある。
【0004】
そのため、感光体の転写領域の下流であって、帯電部までの間に、クリーニングブレードを備えたクリーニング部を設ける。そして、クリーニングブレードが感光体の表面と接することで、上述した転写残トナーや紙滓を感光体表面から掻き落とすようにしている。
【0005】
ところで、このようにクリーニングブレードが感光体と当接しつづける為には、該クリーニングブレードの感光体に対する接触面の状態を良好に保ち、めくれなどの現象が発生しないようにする必要がある。
【0006】
そのため、感光体の非画像領域において、感光体軸方向を長手方向とする帯状のクリーニング保護用トナー像を形成し、この帯状のクリーニング保護用トナー像を転写せずにクリーニングブレードに接触させ、トナーに含まれる潤滑剤の働きによってクリーニングブレードの接触面を良好に保つ技術が存在している。
【0007】
なお、この種のクリーニング保護用トナー像を形成してクリーニングブレードを保護する画像形成装置については、以下の特許文献1−2などに提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−6441号公報
【特許文献2】特開2004−252030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、画像形成装置において、転写領域の下流で、爪部が感光体に接することにより、トナー像が転写された記録紙を感光体から分離する分離部を備えたものがある。
そのため、以上の特許文献1−2では、分離爪にトナーが付着しないよう、分離部領域を少なくとも避け、分離部回避領域を設けた状態で、感光体軸方向を長手方向とする帯状のクリーニング保護用トナー像を形成するようにしている。
【0010】
このようにして分離部回避領域を設けることで分離爪を避けた状態のクリーニング保護用トナー像の形成の様子を、図7に示す。
ここでは、感光体1473と転写部1475との接する部分を転写領域としており、感光体1473の回転方向下流側に分離部1476が配置されている。
【0011】
また、感光体1473の回転方向の更に下流側には、クリーニングブレードによって転写残トナーや紙滓を掻き落とすクリーニング部1477が配置されている。ここでは、クリーニング部1477について、模式的にクリーニングブレードのみを示すが、実際には、掻き落とした残存トナーや紙滓を回収する容器などが配置される。そして、ここでは、分離部1476が感光体の中央付近に配置されているため、クリーニング保護用トナー像は中央部分(分離部領域)を避けて形成される。
【0012】
ところで、クリーニング保護用トナー像の分離部領域を避ける端部(トナー領域と非トナー領域(爪避け部)との境界)がクリーニングブレードに接する部分、図7では丸で囲まれた部分2箇所では、クリーニングブレードと感光体との摩擦度合い(滑り具合)が急激に変化している。
【0013】
従って、その部分で、クリーニングブレードが変形する不具合が発生しやすい状況になる。そして、そのようなクリーニングブレードの変形によって、転写残トナーや紙滓のクリーニングが適切になされず、画像形成の画質が劣化する不具合が発生することになる。
【0014】
本発明は、分離爪を回避した状態のクリーニング保護用トナー像を用いた場合におけるクリーニングブレードの変形を防止して、良好なクリーニングを実行することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決する本願発明は、以下に述べる通りである。
(1)請求項1記載の発明は、トナー像を担持する像担持体と、該像担持体の前記トナー像を該記録紙に転写する転写部と、爪部が前記像担持体に接することにより、前記トナー像が転写された記録紙を前記像担持体から分離する分離部と、前記像担持体上の転写残トナーもしくは紙滓を該像担持体表面から掻き落とすクリーニング部と、各部に指示を与えて画像形成を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、像担持体の非画像領域において前記分離部領域を少なくとも避けた状態で像担持体軸方向を長手方向とする帯状のクリーニング保護用トナー像を形成し、前記クリーニング部の前記像担持体と接する部分を該クリーニング保護用トナー像に接触させる際に、該クリーニング保護用トナー像を形成する毎に、前記クリーニング保護用トナー像の前記分離部領域を避ける端部位置を変化させる、ことを特徴とする画像形成装置である。
【0016】
(2)請求項2記載の発明は、前記制御部は、前記クリーニング保護用トナー像の前記分離部領域を避ける端部の間隔を一定に保ちつつ、該クリーニング保護用トナー像を形成する毎に該端部位置を変化させる、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【0017】
(3)請求項3記載の発明は、前記制御部は、前記クリーニング保護用トナー像の前記分離部領域を避ける端部の間隔を変化させつつ、該クリーニング保護用トナー像を形成する毎に該端部位置を変化させる、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【0018】
(4)請求項4記載の発明は、トナー像を担持する像担持体と、該像担持体の前記トナー像を該記録紙に転写する転写部と、爪部が前記像担持体に接することにより、前記トナー像が転写された記録紙を前記像担持体から分離する分離部と、前記像担持体上の転写残トナーもしくは紙滓を該像担持体表面から掻き落とすクリーニング部と、各部に指示を与えて画像形成を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、像担持体の非画像領域において前記分離部領域を少なくとも避けた状態で像担持体軸方向を長手方向とする帯状のクリーニング保護用トナー像を形成し、前記クリーニング部の前記像担持体と接する部分を該クリーニング保護用トナー像に接触させる際に、前記クリーニング保護用トナー像の前記分離部領域を避ける端部について、該端部に向かって徐々にトナー濃度を下げる、あるいは、該端部に向かって徐々に前記帯の太さを細くなるようにする、ことを特徴とする画像形成装置である。
【0019】
(5)請求項5記載の発明は、前記分離部は、前記像担持体の軸方向に移動可能に構成されており、前記制御部は、前記分離部の移動に合わせ、前記クリーニング保護用トナー像の前記分離部領域を避ける領域を移動させる、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0020】
以上の発明によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第一の発明では、像担持体の非画像領域において分離爪領域を少なくとも避けた状態で像担持体軸方向を長手方向とする帯状のクリーニング保護用トナー像を形成し、クリーニング部の像担持体と接する部分を該クリーニング保護用トナー像に接触させる際に、該クリーニング保護用トナー像を形成する毎に、クリーニング保護用トナー像の分離爪領域を避ける端部位置を変化させている。
【0021】
これにより、クリーニング部と像担持体との接する部分において、摩擦度合いが大きく変化する箇所が1点に集中せずに広がることになり、分離爪を回避した状態のクリーニング保護用トナー像を用いた場合におけるクリーニングブレードの変形を防止して、良好なクリーニングを実行することが可能になる。
【0022】
(2)第二の発明では、像担持体の非画像領域において分離爪領域を少なくとも避けた状態で像担持体軸方向を長手方向とする帯状のクリーニング保護用トナー像を形成し、クリーニング部の像担持体と接する部分を該クリーニング保護用トナー像に接触させる際に、クリーニング保護用トナー像の分離爪領域を避ける端部について、該端部に向かって徐々にトナー濃度を下げる、あるいは、該端部に向かって徐々に帯の太さを細くなるようにしている。
【0023】
これにより、クリーニング部と像担持体との接する部分において、摩擦度合いが大きく変化する箇所が1点に集中せずに広がることになり、分離爪を回避した状態のクリーニング保護用トナー像を用いた場合におけるクリーニングブレードの変形を防止して、良好なクリーニングを実行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態の概略構成を示す構成図である
【図2】本発明の実施形態の概略構成を示す構成図である
【図3】本発明の実施形態の概略構成を示す構成図である
【図4】本発明の実施形態のクリーニングブレードの保護の様子を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態のクリーニングブレードの保護の様子を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態のクリーニングブレードの保護の様子を示す説明図である。
【図7】従来のクリーニングブレードの保護の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の画像形成装置を実施するための形態(実施形態)を詳細に説明する。
〔画像形成装置100の構成〕
ここで、第一実施形態の電子写真方式の画像形成装置100の構成を、図1−図3に基づいて詳細に説明する。なお、画像形成装置100として既知であって、本実施形態の特徴的な動作や制御に直接に関係しない一般的な部分についての説明は省略してある。
【0026】
図1に示す画像形成装置100は、各部を制御する制御部101と、操作者が各種操作入力を行うと共に各種表示を行う操作表示部105、ジョブデータや各種データを記憶する記憶部110、原稿を読み取って画像データを生成するスキャナ120、画像形成すべき画像データに所定の画像処理を施す画像処理部130、画像データに基づいて用紙上に画像を形成するプリントエンジン140、を備えて構成されている。
【0027】
ここで、制御部101は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。ここで、CPUは、RAMの所定領域をワークエリアとし、ROMに記憶されている各種プログラムを実行して、画像形成装置100の各部を統括的に制御する。また、制御部101は、後述するように、フローチャートに示すクリーニング保護制御を実行する。
【0028】
ここで、操作表示部105は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力デバイスを備え、入力される各種指示信号を制御部101に送信する。また、操作表示部105は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等の表示手段を備え、制御部101から入力される各種画像データを表示する。なお、この操作表示部は操作部と表示部が別であってもよいが、表示されたアイコンあるいはキー(以下、「キー」と呼ぶ)を押下するタッチパネルが一般的であるため、以下の実施形態ではタッチパネル形式の操作表示部105であるとして説明を行う。
【0029】
また、記憶部110は、データの書き込み、消去、読み出しが自在に行えるHDD(Hard Disc Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置であり、固定的に設けたものであってもよいし、また、着脱自在に設けたものであってもよい。この記憶部110は、登録済みの一又は複数のジョブを含むジョブデータ(処理済み、処理中のジョブや、未処理のジョブを含む。)を格納する。さらに、この実施形態において、記憶部110は、クリーニングブレードを保護するためのクリーニング保護用トナー像を生成するための各種データを記憶している。
【0030】
プリントエンジン140は、電子写真方式や各種方式の画像形成部や印刷装置であり、複写機やプリンタやファクシミリ装置などにおいて所定の用紙上に画像を形成して出力するものであり、後述する図2−図3のような構成により、像担持体上の転写残トナーや紙滓をクリーニングするためのクリーニング部を備えると共に、クリーニング保護用トナー像を形成するよう構成されている。
【0031】
また、図1に示す例では、画像形成装置100は、通信手段200を介して、外部PCなどの端末装置300と通信可能に接続されて、画像形成システムを構成してもよい。ここで、通信手段200は、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等を想定するが、電話回線網、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線網、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線網、移動体通信網、通信衛星回線、CATV(CAble TeleVision)回線、光通信回線、無線通信回線等の各種通信回線を含むような構成であってもよい。そして、画像形成システムとして、外部の端末装置300が制御部として動作し、この端末装置300からクリーニング保護用トナー像を形成するための制御がなされる構成であってもよい。
【0032】
〔プリントエンジン140の構成〕
ここで、第一実施形態の画像形成装置100内のプリントエンジン140構成を、図2と図3とに基づいて詳細に説明する。なお、プリントエンジン140として既知であって、本実施形態の特徴的な動作や制御に直接に関係しない一般的な部分についての説明は省略してある。
【0033】
また、この図2と図3とでは1色分の基本的な構成を具体例として示す。本実施形態のプリントエンジン140は、画像形成に関して各部を制御する制御手段としてCPU(Central Processing Unit)等により構成されたプリント制御部141、給紙トレイ1450Tに収容された記録紙を送り出す給紙部1450、給紙部1450により送り出された記録紙をセンサ1460sで画像形成のタイミングに合わせて所定の搬送速度で搬送する搬送部1460、回転する感光体ドラムや感光体ベルトなどの像担持体(以下、総称して「感光体」と呼ぶ)上にトナー像を形成し、該トナー像を直接或いは間接に静電的に記録紙上に転写して画像を形成する画像形成部1470、記録紙上に転写されたトナー像を定着ローラによる熱と圧力とによって記録紙上に安定した状態で定着させる定着器1480、を備えて構成される。
【0034】
この構成において、プリント制御部141は、制御部101や画像形成装置100の制御プログラムに従って、プリントエンジン140を構成する各部を制御して、各種の調整や制御を行うことによって、プリントエンジン140を統括的に制御する。
【0035】
給紙部1450は、単数または複数の給紙トレイ1450Tに載置された記録紙を給紙ローラによって画像形成位置まで送り出す給紙手段である。
搬送部1460は、給紙部1450から送り出された記録紙を所定の搬送速度で搬送する搬送手段であり、レジストローラやその他各種の搬送ローラ、搬送ベルトなどを備えて構成されている。さらに、搬送部1460の各部の所定位置には、記録紙の先端を検知する先端検知センサなどの搬送センサ1460sが配置されている。
【0036】
画像形成部1470は、感光体に所定の電圧を帯電させる帯電部1471、帯電された感光体に画像データに応じた露光を行って帯電電圧を変化させることで静電潜像を形成する露光部1472、以上の帯電と露光により表面に静電潜像が形成されて該静電潜像がトナー像とされる像担持体としての感光体1473、感光体1473表面に形成された静電潜像にトナーを付着せしめて現像してトナー像とする現像部1474、感光体1473表面に形成されたトナー像を静電的に記録紙に転写する転写部1475、爪部(分離爪)が感光体1473に接することによってトナー像転写済み記録紙を像担持体1473から分離する分離部1476と、感光体表面上の転写残トナーもしくは紙滓をブレード(クリーニングブレード1477b)によって該感光体表面から掻き落とすクリーニング部1477と、を備えて構成されている。
【0037】
〔実施形態(1)〕
以下、制御部101、あるいは、プリント制御部141の制御により、クリーニング保護用トナー像によるクリーニングブレード保護の動作について説明する。
【0038】
クリーニングブレード1477bが感光体1473と当接しつつ良好なクリーニングを実行する為には、該クリーニングブレード1477bの感光体1473に対する接触面の状態を良好に保ち、めくれなどの現象が発生しないようにする必要がある。
【0039】
そのため、制御部101あるいはプリント制御部401の制御により、感光体1473の非画像領域において、図4に示すように、感光体軸方向(画像の主走査方向)を長手方向とする帯状のクリーニング保護用トナー像T1,T2を形成する。なお、このクリーニング保護用トナー像T1,T2の副走査方向の幅については、クリーニングブレード1477bに必要とされる潤滑に加え、古くなったトナー排出の意味もあるため、トナー濃度に応じて適宜定めればよい。
【0040】
そして、この帯状のクリーニング保護用トナー像T1,T2を転写せずにクリーニングブレード1477bに接触させる。これにより、トナーに含まれる潤滑剤の働きによってクリーニングブレード1477bと感光体1473との接触面を良好に保つことが可能になる。
【0041】
このようなクリーニング保護用トナー像T1,T2を、画像形成実行中の非画像領域、すなわち、画像形成領域と画像形成領域との間の領域で形成する。また、画像形成実行中でなければ、任意の領域において、クリーニング保護用トナー像T1,T2を形成してもよい。
【0042】
なお、この場合において、分離部1476にクリーニング保護用トナー像のトナーが付着しないよう、分離部領域を少なくとも避け、分離部回避領域Tsを設けた状態で、像担持体軸方向を長手方向とする帯状のクリーニング保護用トナー像T1,T2を形成するようにしている。
【0043】
なお、ここでは、分離部1476の爪部が一つであるため、分離部回避領域Tsが一つになっているが、分離部1476の爪部の個数や位置にあわせ、分離部回避領域Tsを配置すればよい。
【0044】
ところで、クリーニング保護用トナー像の分離部領域を避ける分離部回避領域Tsの端部(トナー領域と非トナー領域の境界)がクリーニングブレード1477bに接する部分、図4では丸で囲まれた部分2箇所では、クリーニングブレードと像担持体との摩擦度合い(滑り具合)が急激に変化している。
【0045】
そこで、制御部101あるいは制御部401の制御により、所定のタイミング、たとえば、クリーニング保護用トナー像を形成するごとに、この分離部回避領域Tsの間隔を標準状態(図4(b))から狭めたり(図4(a))、標準状態(図4(b))から広げたり(図4(c))、というように変更する。ここでは、3段階しか示していないが、連続的、あるいは、多段階に分離部回避領域Tsの間隔を変更する。この場合、数mm〜十数mm程度の振幅で分離部回避領域Tsの間隔の変更を行う。なお、この振幅については、クリーニングブレード1477bの材質(柔軟性)や厚み、感光体1473の表面平滑度、クリーニング保護用トナー像の有無による摩擦係数の違い、など各種の要因に応じて適切な値を定めればよい。
【0046】
これにより、クリーニング部1477と感光体1473との接する部分において、摩擦度合いが大きく変化する箇所が1点に集中せずに広がることになり、分離部1476を回避した状態のクリーニング保護用トナー像T1,T2を用いた場合におけるクリーニングブレード1477bの変形を防止できる。そして、このようにクリーニングブレード1477bの変形を防止することにより、良好なクリーニングを実行することが可能になる。
【0047】
〔実施形態(2)〕
また、別の実施形態例として、制御部101あるいは制御部401の制御により、所定のタイミング、たとえば、クリーニング保護用トナー像を形成するごとに、この分離部回避領域Tsの間隔は変化させずに、分離部回避領域Tsを主走査方向の一方に寄せたり、主走査方向の他方に寄せたり、というような位置の制御も可能である。
【0048】
この場合、図5(a)に示すように、あるタイミングでは、クリーニング保護用トナー像T1を短くし、クリーニング保護用トナー像T2を長くし、クリーニング保護用トナー像T1側に分離部回避領域Tsを寄せる。
【0049】
また、図5(b)に示すように、あるタイミングでは、クリーニング保護用トナー像T1とT2とを等しくし、クリーニング保護用トナー像T1とT2の中間に分離部回避領域Tsを配置する。
【0050】
また、図5(c)に示すように、あるタイミングでは、クリーニング保護用トナー像T2を短くし、クリーニング保護用トナー像T1を長くし、クリーニング保護用トナー像T2側に分離部回避領域Tsを寄せる。
【0051】
ここでは、3段階しか示していないが、連続的、あるいは、多段階に分離部回避領域Tsの間隔を変更する。この場合、数mm〜十数mm程度の振幅で分離部回避領域Tsの位置の変更を行う。なお、この位置を変更する際の振幅については、クリーニングブレード1477bの材質(柔軟性)や厚み、感光体1473の表面平滑度、クリーニング保護用トナー像の有無による摩擦係数の違い、など各種の要因に応じて適切な値を定めればよい。
【0052】
これにより、クリーニング部1477と感光体1473との接する部分において、摩擦度合いが大きく変化する箇所が1点に集中せずに広がることになり、分離部1476を回避した状態のクリーニング保護用トナー像T1,T2を用いた場合におけるクリーニングブレード1477bの変形を防止できる。そして、このようにクリーニングブレード1477bの変形を防止することにより、良好なクリーニングを実行することが可能になる。
【0053】
また、この場合には、分離部回避領域Tsを移動させる各タイミングでトナーの消費量が一定になるため、古いトナーを消費させるという点で好ましい効果が得られる。
〔実施形態(3)〕
また、更に別の実施形態例として、制御部101あるいは制御部401の制御により、クリーニング保護用トナー像T1,T2の形状を変更することも可能である。
【0054】
上述した例では、長方形の帯状のクリーニング保護用トナー像T1,T2を形成していたが、図6(a)に示す例では、クリーニング保護用トナー像T1,T2の端部の主走査方向の位置や間隔を変更しない。ここでは、分離部回避領域Tsに接するクリーニング保護用トナー像T1,T2の端部で副走査方向の長さを徐々に小さくし、突端部を尖らせた形状の領域T1’,T2’を設けるようにしている。この場合、端部に向かう主走査方向数mm〜十数mm程度で、副走査方向の長さを徐々に小さくすればよい。なお、このように副走査方向を徐々に小さくする主走査方向長さについては、クリーニングブレード1477bの材質(柔軟性)や厚み、感光体1473の表面平滑度、クリーニング保護用トナー像の有無による摩擦係数の違い、など各種の要因に応じて適切な値を定めればよい。
【0055】
これにより、クリーニング部1477と感光体1473との接する部分において、摩擦度合いが大きく変化する箇所が1点に集中せずに広がることになり、分離部1476を回避した状態のクリーニング保護用トナー像T1,T2を用いた場合におけるクリーニングブレード1477bの変形を防止できる。そして、このようにクリーニングブレード1477bの変形を防止することにより、良好なクリーニングを実行することが可能になる。
【0056】
〔実施形態(4)〕
また、更に別の実施形態例として、制御部101あるいは制御部401の制御により、クリーニング保護用トナー像T1,T2の分離部回避領域Ts側の濃度を変更することも可能である。
【0057】
図6(b)に示す例では、クリーニング保護用トナー像T1,T2の端部の主走査方向の位置や間隔を変更せず、また、形状は長方形のままで、分離部回避領域Tsに接するクリーニング保護用トナー像T1,T2の端部に向かうに従って、徐々に濃度を薄くした領域T1’,T2’を設けるようにしている。この場合、端部に向かう主走査方向数mm〜十数mm程度で、ベタ濃度を薄くしてもよいし、一定濃度のドットを形成する密度(ドット密度)を徐々に薄くしてもよい。なお、このように徐々に濃度を薄くする主走査方向長さについては、クリーニングブレード1477bの材質(柔軟性)や厚み、感光体1473の表面平滑度、クリーニング保護用トナー像の有無による摩擦係数の違い、など各種の要因に応じて適切な値を定めればよい。
【0058】
これにより、クリーニング部1477と感光体1473との接する部分において、摩擦度合いが大きく変化する箇所が1点に集中せずに広がることになり、分離部1476を回避した状態のクリーニング保護用トナー像T1,T2を用いた場合におけるクリーニングブレード1477bの変形を防止できる。そして、このようにクリーニングブレード1477bの変形を防止することにより、良好なクリーニングを実行することが可能になる。
【0059】
〔実施形態(5)〕
また、更に別の実施形態例として、上述した具体例の組み合わせとして、
(a)クリーニング保護用トナー像T1,T2の端部位置を変えつつ突端部を尖らせる領域を設ける、
(b)クリーニング保護用トナー像T1,T2の端部位置を変えつつ端部のトナー濃度を薄くする領域を設ける、
(c)クリーニング保護用トナー像T1,T2の端部位置を変えつつ突端部を尖らせる領域でトナー濃度を薄くする領域を設ける、
といった組合せも可能である。
【0060】
この場合も、クリーニング部1477と感光体1473との接する部分において、摩擦度合いが大きく変化する箇所が1点に集中せずに広がることになり、分離部1476を回避した状態のクリーニング保護用トナー像T1,T2を用いた場合におけるクリーニングブレード1477bの変形を防止できる。そして、このようにクリーニングブレード1477bの変形を防止することにより、良好なクリーニングを実行することが可能になる。
【0061】
〔その他の実施形態(1)〕
なお、分離部1476の爪部が主走査方向に移動可能な構成である場合には、制御部101あるいは制御部401の制御により、クリーニング保護用トナー像T1,T2の分離部回避領域Tsの位置を分離部の位置に合わせて移動させつつ、上述した各実施形態の制御を行う。これにより、上述した実施形態を適用することが可能であり、良好な結果を得ることができる。
【0062】
〔その他の実施形態(2)〕
以上の実施形態の説明では、感光体1473で直接転写を行う形態の画像形成装置であったが、これに限定されるものではない。たとえば、中間転写体を使用する画像形成装置において、中間転写体をクリーニングするクリーニング部に対して、上述した実施形態を適用することが可能であり、良好な結果を得ることができる。
【符号の説明】
【0063】
100 画像形成装置(画像形成システム)
101 制御部
130 画像処理部
140 プリントエンジン
1471 帯電部
1472 露光部
1473 感光体
1474 現像部
1475 転写部
1476 分離部
1477 クリーニング部
T1,T2 クリーニング保護用トナー像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、
該像担持体の前記トナー像を該記録紙に転写する転写部と、
爪部が前記像担持体に接することにより、前記トナー像が転写された記録紙を前記像担持体から分離する分離部と、
前記像担持体上の転写残トナーもしくは紙滓を該像担持体表面から掻き落とすクリーニング部と、
各部に指示を与えて画像形成を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
像担持体の非画像領域において前記分離部領域を少なくとも避けた状態で像担持体軸方向を長手方向とする帯状のクリーニング保護用トナー像を形成し、前記クリーニング部の前記像担持体と接する部分を該クリーニング保護用トナー像に接触させる際に、該クリーニング保護用トナー像を形成する毎に、前記クリーニング保護用トナー像の前記分離部領域を避ける端部位置を変化させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記クリーニング保護用トナー像の前記分離部領域を避ける端部の間隔を一定に保ちつつ、該クリーニング保護用トナー像を形成する毎に該端部位置を変化させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記クリーニング保護用トナー像の前記分離部領域を避ける端部の間隔を変化させつつ、該クリーニング保護用トナー像を形成する毎に該端部位置を変化させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
トナー像を担持する像担持体と、
該像担持体の前記トナー像を該記録紙に転写する転写部と、
爪部が前記像担持体に接することにより、前記トナー像が転写された記録紙を前記像担持体から分離する分離部と、
前記像担持体上の転写残トナーもしくは紙滓を該像担持体表面から掻き落とすクリーニング部と、
各部に指示を与えて画像形成を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
像担持体の非画像領域において前記分離部領域を少なくとも避けた状態で像担持体軸方向を長手方向とする帯状のクリーニング保護用トナー像を形成し、前記クリーニング部の前記像担持体と接する部分を該クリーニング保護用トナー像に接触させる際に、前記クリーニング保護用トナー像の前記分離部領域を避ける端部について、該端部に向かって徐々にトナー濃度を下げる、あるいは、該端部に向かって徐々に前記帯の太さを細くなるようにする、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記分離部は、前記像担持体の軸方向に移動可能に構成されており、
前記制御部は、
前記分離部の移動に合わせ、前記クリーニング保護用トナー像の前記分離部領域を避ける領域を移動させる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−107300(P2011−107300A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260691(P2009−260691)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】