説明

画像形成装置

【課題】原稿読取部で読み取った原稿の画像データの重要度を識別してファクシミリの送信先を限定することによりセキュリティ性能が高められた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、原稿表面の画像を原稿画像データとして読み取る画像読取部と、画像読取部で読み取られた原稿画像データの重要度を複数レベルに順位付けるための重要度決定用データを記憶する記憶部と、複数の外部機器との通信を行うための回線が接続された通信部と、重要度決定用データに基づいて画像読取部で読み取られた原稿画像データの重要度を順位付け、原稿画像データの重要度に基づいて原稿画像データを送信するとき、原稿画像データの重要度によって異なる送信条件が満たされた後に通信部から原稿画像データを送信させる制御部と、を備える。これにより、原稿画像データの重要度に基づいて好適な原稿画像データの送信条件が選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ機能を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタ等の画像形成装置の一般的な構成は、原稿表面の画像を読み取る画像読取部や、原稿を画像読取部に向けて送り出す原稿搬送装置、印刷前の用紙を積載して収容する給紙カセット、トナー像を形成する画像形成部、トナー像を用紙に転写する転写部、未定着トナー像を用紙に定着させる定着部などからなる。
【0003】
画像形成装置でユーザが原稿の複写を行う場合には、文字や図形、模様などの画像が描かれた原稿を、原稿搬送装置に積載したり、画像読取部上面のコンタクトガラス上に載置したりする。原稿搬送装置では1枚ずつ分離して原稿が送り出され、画像読取部によってその画像が読み取られる。コンタクトガラス上の原稿に対しては、画像読取部内で光を走査させることによって画像が読み取られる。
【0004】
画像形成装置には上記のような画像形成機能だけでなく、通信機能であるファクシミリ機能を備えているものがある。ファクシミリ機能は画像形成装置の通信部を介して画像データを送信、受信するものであり、この通信部を備えた画像形成装置の例を特許文献1及び2に見ることができる。ファクシミリ機能により、画像読取部で読み取った原稿の画像データを電話回線やネットワーク回線などの公衆回線を介して遠く離れた場所に対して送信、受信することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−259044号公報(第3頁、図1)
【特許文献2】特開2004−172757号公報(第4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、企業のオフィスなどでは会社として機密性の高い重要な原稿を画像形成装置のファクシミリ機能を利用して外部に送信する場合がある。重要度の高い原稿は送信先が特定されていることが多く、企業利益を守るため必要以上に外部に送信されるのを阻止する必要がある。しかしながら、一般的な画像形成装置は原稿読取部で読み取った原稿の重要度を識別し、さらにファクシミリの送信先を限定するように設計されていないのが現状である。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、原稿読取部で読み取った原稿の画像データの重要度を識別してファクシミリの送信先を限定することによりセキュリティ性能が高められた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は画像形成装置において、原稿表面の画像を原稿画像データとして読み取る画像読取部と、前記画像読取部で読み取られた原稿画像データの重要度を複数レベルに順位付けるための重要度決定用データを記憶する記憶部と、複数の外部機器との通信を行うための回線が接続された通信部と、前記重要度決定用データに基づいて前記画像読取部で読み取られた原稿画像データの重要度を順位付け、その原稿画像データの重要度に基づいて原稿画像データを送信するとき、原稿画像データの重要度によって異なる送信条件が満たされた後に前記通信部から原稿画像データを送信させる制御部と、を備えることとした。
【0009】
この構成によれば、画像形成装置は画像読取部で読み取られた原稿画像データと記憶部に記憶された重要度決定用データとを比較し、その原稿画像データの重要度を識別する。そして、原稿画像データの重要度に基づいて好適な原稿画像データの送信条件が選択される。
【0010】
また、上記構成の画像形成装置において、前記制御部は、前記画像読取部で読み取らせた前記原稿画像データの重要度に基づき、前記通信部を介する原稿画像データの送信を中止することとした。この構成によれば、例えば最も重要度の高い原稿画像データは送信されなくなる。
【0011】
また、上記構成の画像形成装置において、送信先情報を入力可能な操作パネルと、送信先情報が予め記憶された前記記憶部と、を備え、前記制御部は、前記画像読取部で読み取らせた前記原稿画像データの重要度が所定レベルを超えるとき、前記操作パネルに入力された送信先情報と前記記憶部に記憶された送信先情報と比較して双方が一致したとき、一致した送信先に原稿画像データを前記通信部から送信させ、一致しないとき原稿画像データを送信させないこととした。この構成によれば、原稿画像データの重要度が比較的高いレベルである場合、送信先が記憶された送信先に限定され、さらに手入力された送信先情報と予め記憶された送信先情報との照合が行われる。
【0012】
なお、上記「所定レベル」は複数の画像データに対して予め順位付けて設定した重要度のうち、最上位より下位の任意のレベルである。例えば重要度レベルを「高」「中」「低」の3段階で順位付け、後述する実施形態では「所定レベル」を「中レベル」と設定しているが、このような設定に限定されるわけではない。また、以下の手段の複数箇所において「所定レベル」という語が用いられるが、すべてを同じレベルに設定しても構わないし、すべてを異なるレベルに設定しても構わない。
【0013】
また、上記構成の画像形成装置において、送信先情報が予め記憶された前記記憶部を備え、前記制御部は、前記画像読取部で読み取らせた前記原稿画像データの重要度が所定レベルに該当するとき、前記記憶部に送信先情報が記憶された送信先に対してのみ原稿画像データを前記通信部から送信させることとした。この構成によれば、原稿画像データの重要度が所定レベルである場合、送信先が記憶された送信先に限定される。
【0014】
なお、上記「所定レベル」は複数の画像データに対して予め順位付けて設定した重要度のうちの任意のレベルである。例えば重要度レベルを「高」「中」「低」の3段階で順位付け、後述する実施形態では「所定レベル」を「中レベル」と設定しているが、このような設定に限定されるわけではない。
【0015】
また、上記構成の画像形成装置において、送信先情報を入力可能な操作パネルと、送信先情報が予め記憶された前記記憶部と、を備え、前記制御部は、前記画像読取部で読み取らせた前記原稿画像データの重要度が所定レベル未満であるとき、前記操作パネルに入力された送信先情報に基づき、または前記記憶部に記憶された送信先情報に基づき、原稿画像データを前記通信部から送信させることとした。この構成によれば、原稿画像データの重要度が比較的低いレベルである場合、より多くの送信先が設定される。
【0016】
なお、上記「所定レベル」は複数の画像データに対して予め順位付けて設定した重要度のうち、最下位より上位の任意のレベルである。例えば重要度レベルを「高」「中」「低」の3段階で順位付け、後述する実施形態では「所定レベル」を「中レベル」と設定しているが、このような設定に限定されるわけではない。
【発明の効果】
【0017】
本発明の構成によれば、画像形成装置が自動的に原稿画像データの重要度を識別してファクシミリの送信先を限定し、さらに送信先の照合も実行する。このようにして、重要度が高い原稿画像データの特定の送信先以外へのファクシミリ送信が阻止され、セキュリティ性能が高められた画像形成装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図2】図1の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す画像形成装置の操作パネルの正面図である。
【図4】図3に示す操作パネルの液晶表示部の正面図である。
【図5】ファクシミリ通信における原稿画像データの重要度に基づく送信条件の選択に係る動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図1〜図5に基づき説明する。
【0020】
最初に、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置について、図1〜図3を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は画像形成装置の模型的垂直断面正面図、図2は画像形成装置の構成を示すブロック図、図3は画像形成装置の操作パネルの正面図である。この画像形成装置は、中間転写ベルトを用いてトナー像を用紙に転写するカラー印刷タイプのものである。
【0021】
図1に示すように、画像形成装置1の本体2の内部下方には給紙カセット3が配置されている。給紙カセット3はその内部に印刷前のカットペーパーなどの用紙Pを積載して収容している。そして、この用紙Pは図1において給紙カセット3の左上方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット3は本体2の正面側から水平に引き出すことが可能である。
【0022】
本体2の内部であって給紙カセット3の左方には第1用紙搬送部4が備えられている。第1用紙搬送部4は本体2の左側面に沿って略垂直に形設されている。そして、第1用紙搬送部4は給紙カセット3から送り出された用紙Pを受け取り、本体2の左側面に沿って垂直上方に二次転写部5まで搬送する。
【0023】
給紙カセット3の上方であって第1用紙搬送部4が形設された本体2の左側面とは反対側の側面である右側面の箇所には手差し給紙部6が備えられている。手差し給紙部6には給紙カセット3に入っていないサイズの用紙や、厚紙、OHPシートのように1枚ずつ手で送り込みたいものが載置される。
【0024】
手差し給紙部6の左方には第2用紙搬送部7が備えられている。第2用紙搬送部7は給紙カセット3のすぐ上方にあって、手差し給紙部6から第1用紙搬送部4まで略水平に延びて第1用紙搬送部4に合流している。そして、第2用紙搬送部7は手差し給紙部6から送り出された用紙を受け取り、略水平に第1用紙搬送部4まで搬送する。
【0025】
一方、画像形成装置1の本体2の上面には原稿搬送装置8が、その下方の本体2内部には画像読取部9が備えられている。ユーザが原稿の複写を行う場合には、文字や図形、模様などの画像が描かれた原稿を、原稿搬送装置8に積載したり、画像読取部9上面のコンタクトガラス9a上に載置したりする。原稿搬送装置8では1枚或いは複数枚の原稿が1枚ずつ分離して送り出され、画像読取部9によってその画像が読み取られる。コンタクトガラス9a上の原稿に対しては、画像読取部9内で光を走査させることによって画像が読み取られる。
【0026】
原稿画像の読み取り、すなわち画像形成の開始は本体2の上部であって画像読取部9の正面側に備えられた操作パネル10を用いて実行される。操作パネル10はユーザによる印刷に使用する用紙の種類やサイズ、部数、拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件設定や、ファクシミリにおける送信先設定などを受け付ける。
【0027】
操作パネル10は、図3に示すように、その中央部に液晶表示部10aを備えている。液晶表示部10aにはその上方に重ね合わされた形でタッチパネル部(図示せず)が設けられている。液晶表示部10aは入力や設定、指示などの項目を、液晶を用いて表示している。タッチパネル部はユーザが指などで接触することにより液晶表示部10aに表示された項目の選択やキーの入力を受け付ける。
【0028】
原稿の画像データの情報は後述の制御部や画像処理部を経由して画像処理が施された後、第2用紙搬送部7の上方であって、本体2の中央部に配置された露光装置11に送られる。露光装置11により、画像データに基づいて制御されたレーザ光Lが画像形成部12に向かって照射される。
【0029】
露光装置11の上方には計4台の画像形成部12が、さらにそれら各画像形成部12の上方には中間転写体を無端ベルトの形で用いた中間転写ベルト13が備えられている。中間転写ベルト13は複数のローラに巻き掛けられて支持され、図示しない駆動装置により図1において時計方向に回転する。
【0030】
4台の画像形成部12は、図1に示すように中間転写ベルト13の回転方向に沿って回転方向上流側から下流側に向けて一列にして配置された所謂タンデム方式である。4台の画像形成部12とは、上流側から順にイエロー用の画像形成部12Y、マゼンタ用の画像形成部12M、シアン用の画像形成部12C、及びブラック用の画像形成部12Bである。これらの画像形成部12には、各色に対応する現像剤供給容器及び搬送手段(図示せず)により現像剤(トナー)が補給される。
【0031】
なお、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、画像形成部12の「Y」「M」「C」「B」の識別記号は省略するものとする。また、画像形成装置1はカラー印刷と白黒印刷とを選択可能であるが、特に指定する場合を除きカラー印刷を実施するものとする。
【0032】
各画像形成部12では、露光装置11によって照射されたレーザ光Lにより原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナー像は、各画像形成部12の上方に備えられた一次転写部14で、中間転写ベルト13表面に一次転写される。そして、中間転写ベルト13の回転とともに所定のタイミングで各画像形成部12のトナー像が中間転写ベルト13に転写されることにより、中間転写ベルト13表面にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
【0033】
中間転写ベルト13が用紙搬送路に懸かる箇所には二次転写部5が配置されている。中間転写ベルト13表面のカラートナー像は第1用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた用紙Pに、二次転写部5に形成される二次転写ニップ部で転写される。
【0034】
二次転写後、中間転写ベルト13表面に残留するトナーなどの付着物は中間転写ベルト13に対してイエロー用の画像形成部12Yの回転方向上流側に設けられた中間転写ベルト13用のクリーニング装置15によってクリーニングされ、回収される。
【0035】
二次転写部5の上方には定着部16が備えられている。二次転写部5にて未定着トナー像を担持した用紙Pは定着部16へと送られ、熱ローラと加圧ローラとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0036】
定着部16の上方には用紙案内装置17が備えられている。定着部16から排出された用紙Pは両面印刷を行わない場合、用紙案内装置17から画像形成装置1の上部に設けられた胴内用紙排出部18に排出される。
【0037】
用紙案内装置17から胴内用紙排出部18に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分はスイッチバック部19としての機能を果たす。両面印刷を行う場合にはこのスイッチバック部19において定着部16から排出された用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは用紙案内装置17を通過し、定着部16の左方、及び転写部5の左方に設けられた両面印刷用用紙搬送路20を通して下方に送られ、再度第1用紙搬送部4を経て二次転写部5へと送られる。
【0038】
また、画像形成装置1は装置全体の動作制御のため、図2に示すようにその本体2内にCPU22やその他の図示しない電子部品で構成された制御部21を備えている。制御部21は中央演算処理装置であるCPU22と画像処理部23とを利用し、記憶部24に記憶、入力されたプログラム、データに基づき画像読取部9、画像形成部12、中間転写ベルト13、定着部16などといった構成要素を制御して一連の画像形成動作を実現する。
【0039】
画像形成装置1は電話回線やネットワーク回線を利用して外部機器と画像データの授受を行うための通信部25を備えている。通信部25は電話回線を利用して通信するファクシミリ通信部26と、ネットワーク回線を利用して通信するネットワークI/F(インターフェース)部27とを備えている。
【0040】
続いて、ファクシミリ通信における原稿画像データの重要度に基づく送信条件の選択に係る動作について、図2に加えて図4を用い、図5に示すフローに沿って説明する。図4は操作パネルの液晶表示部の正面図、図5は原稿画像データの重要度に基づく送信条件の選択に係る動作を示すフローチャートである。
【0041】
画像形成装置1は通信部25のファクシミリ通信部26を介して原稿の画像データをファクシミリとして外部に送信することができる。なお、ファクシミリの送信先情報は送信先の名称や電話番号等が予めアドレス帳としてまとめられ、記憶部24に記憶されている。アドレス帳については送信先情報が記憶部24から操作パネル10の液晶表示部10aに送られ、図4示すように液晶表示部10aにアドレス帳画面30として表示することができる。
【0042】
ファクシミリ機能を利用して画像形成装置1から画像データを送信するとき(図3のスタート)、制御部21は画像読取部9に原稿表面の画像を原稿画像データとして読み取らせる(図3のステップ#101)。原稿画像データは原稿搬送装置8を利用したり、コンタクトガラス9a上に原稿を載置したりすることにより画像読取部9で読み取られる。
【0043】
そして、制御部21は画像読取部9に読み取らせた原稿画像データの重要度を識別する(ステップ#102)。
【0044】
重要度の識別は原稿の画像データに含まれる画像やテキストに着目して行われる。注目すべき画像の画像データやテキストは、例えば記憶部24に重要度決定用データとして記憶される。そして、重要度を認識するため、画像データに関する処理は画像処理部23で行われても良いし、制御部21内で行われても良い。
【0045】
例えば重要度決定用データとして、地紋やイエロードットの画像の画像データを記憶部24に記憶させておくことができる。そして、例えば制御部21や画像処理部23は画像データに地紋やイエロードットの画像が埋め込まれているか否かを確認する。例えば地紋パターンの場合、パターンの画像データを複数記憶しておき、画像データを走査して各地紋パターンの画像データと照合し、一致率が一定値以上であれば地紋パターンが含まれると判断される。
【0046】
重要度決定用データとしての、画像データの他の例としては、バーコードやRFIDタグが挙げられる。制御部21や画像処理部23はバーコードやRFIDタグを読み取ることにより重要度を認識する。
【0047】
また、重要度決定用データとして「丸秘」、「極秘」、「守秘レベル○○」、「Confidential」といったテキストデータを記憶部24に記憶させておくことができる。そして、画像データに含まれる文字に着目する場合、例えば光学文字認識技術(OCR、Optical Character Recognition)を用いる。OCRについては、例えばOCR処理部を画像処理部23に設けても良いし、記憶部24にOCR用プログラムを記憶させておいても良い。
【0048】
そして、画像データに対して文字認識処理を行い、テキストを抽出する。そして、例えば制御部21や画像処理部23は抽出したテキストに「丸秘」等の文字が含まれているか否かを確認する。また、厳しい守秘義務を要する送信先を示す文字を重要度決定用データとして記憶部24に記憶させても良い(例えば「○○株式会社」等)。また、例えば秘密を保持すべき書類のタイトルを重要度決定用データとして記憶部24に記憶させても良い(例えば「明細書」、「財務書類」、「計画書」等)。
【0049】
なお、重要度の識別に用いられる画像データは原稿の端部など予め所定の箇所に記載することを決めておくと識別し易くなる。
【0050】
原稿の重要度は基準となる所定レベルとして中程度のレベルが設定され、さらにこの中レベルを超える重要度高レベルと、中レベル未満の重要度低レベルとが設定されている。上記地紋の判別やバーコードの読み取りなどの方法で識別される重要度決定用データとしての各画像データや各テキストデータには各々予め「高」「中」「低」の3段階の重要度が順位付けて設定され、画像データやテキストデータと重要度とが対応付けて記憶部24に記憶されている。
【0051】
重要度決定用データとして記憶される各画像データや各テキストデータの重要度は、例えば操作パネル10の液晶表示部10aに各画像データや各テキストデータを表示させて、設定することができるようにしても良い。また、例えば画像形成装置1からネットワークで繋がった外部機器(例えばコンピュータ)に通信部25から重要度決定用データを送信する。外部機器では各画像データや各テキストデータの重要度を決定し、通信部25を介して画像形成装置1に送り返す。このように、外部機器で重要度が決定できるようにしても良い。これにより、ユーザや管理者は都合や事情にあわせて各画像データや各テキストデータの重要度を個別に設定することができる。
【0052】
そして、ステップ#102において、制御部21は画像処理部23に画像読取部9で読み取らせた原稿画像データと記憶部24に記憶された重要度が順位付けて設定された重要度決定用データとを比較させる。
【0053】
次に、制御部21は画像読取部9で読み取らせた原稿画像データに重要度が高レベルの重要度決定用データが含まれるか否かを判定する(ステップ#103)。原稿画像データに重要度が高レベルの重要度決定用データが含まれる場合(ステップ#103のYes)、制御部21はユーザに操作パネル10から送信先情報の手入力を行うことを要求する(ステップ#104)。この送信先情報としては、図4に示すアドレス帳画面30における例えば送信先の名称や電話番号などである。
【0054】
続いて、制御部21はステップ#104で手入力された送信先情報が予め記憶部24に記憶された送信先情報と一致するか否かを判定する(ステップ#105)。送信先情報が一致した場合(ステップ#105のYes)、制御部21はファクシミリ通信部26を介して原稿画像データの送信を実行し(ステップ#106)、ファクシミリ送信に係る一連の動作を終了する(図3のエンド)。
【0055】
送信先情報が一致しない場合(ステップ#105のNo)、制御部21は原稿画像データのファクシミリ送信をすることなく(ステップ#107)、ファクシミリ送信に係る一連の動作を終了する(図3のエンド)。このようにして、原稿画像データの重要度が比較的高いレベルである場合、送信先が記憶された送信先に限定され、さらに手入力された送信先情報と予め記憶された送信先情報との照合が行われる。そして、照合結果が不一致の場合、重要度が高いレベルの原稿画像データは送信されない。
【0056】
一方、画像読取部9で読み取らせた原稿画像データに重要度が高レベルの重要度決定用データが含まれていない場合(ステップ#103のNo)、さらに制御部21は原稿画像データに重要度が中レベルの重要度決定用データが含まれるか否かを判定する(ステップ#108)。
【0057】
原稿画像データに重要度が中レベルの重要度決定用データが含まれる場合(ステップ#108のYes)、制御部21はユーザに送信先を記憶部24に記憶されたアドレス帳から選択することを要求する(ステップ#109)。そして、制御部21はファクシミリ通信部26を介して原稿画像データの送信を実行し(ステップ#106)、ファクシミリ送信に係る一連の動作を終了する(図3のエンド)。このようにして、原稿画像データの重要度が中程度のレベルである場合、送信先が記憶された送信先に限定される。
【0058】
一方、画像読取部9で読み取らせた原稿画像データに重要度が中レベルの重要度決定用データが含まれていない場合(ステップ#108のNo)、制御部21はユーザに送信先を記憶部24に記憶されたアドレス帳から選択、または操作パネル10を利用して手入力することを要求する(ステップ#110)。そして、制御部21はファクシミリ通信部26を介して原稿画像データの送信を実行し(ステップ#106)、ファクシミリ送信に係る一連の動作を終了する(図3のエンド)。このようにして、原稿画像データの重要度が比較的低いレベルである場合、より多くの送信先が設定される。
【0059】
上記のように、画像形成装置1は重要度決定用データに基づいて画像読取部9で読み取られた原稿画像データの重要度を順位付け、その原稿画像データの重要度に基づいて原稿画像データを送信するとき、原稿画像データの重要度によって異なる送信条件が満たされた後にファクシミリ通信部26から原稿画像データを送信させるので、原稿画像データの重要度に基づく好適な原稿画像データの送信条件が選択される。その結果として、重要度が高い原稿画像データの特定の送信先以外へのファクシミリ送信が阻止され、セキュリティ性能が高められた画像形成装置1を提供することが可能である。
【0060】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0061】
例えば、本発明の上記実施形態における画像形成装置1は、中間転写ベルトを用いてトナー像を用紙に転写するカラー印刷用の画像形成装置であるが、発明の適用対象となる画像形成装置がこのような種類に限定されるわけではなく、中間転写ベルトを用いない画像形成装置や白黒印刷用の画像形成装置であっても構わない。
【0062】
また、上記実施形態では、重要度の高い原稿画像データの送信において、手入力された送信先情報が予め記憶部24に記憶された送信先情報と一致するか否かという形で送信条件を付したが、上記以外の条件であっても良い。例えば、原稿画像データの重要度が高いと認められた場合、手入力された送信先情報が予め記憶部24に記憶された送信先情報と一致し、且つ、パスワード入力が求められ、適正なパスワードが入力されたときだけ原稿画像データの送信を行うようにしても良い。
【0063】
そして、上記実施形態では、原稿画像データの重要度を「高」「中」「低」の3段階として説明したが、2段階でも、3段階以上でも構わない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、ファクシミリ機能を有する画像形成装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 画像形成装置
9 画像読取部
10 操作パネル
10a 液晶表示部
21 制御部
23 画像処理部
24 記憶部
25 通信部
26 ファクシミリ通信部
30 アドレス帳画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿表面の画像を原稿画像データとして読み取る画像読取部と、
前記画像読取部で読み取られた原稿画像データの重要度を複数レベルに順位付けるための重要度決定用データを記憶する記憶部と、
複数の外部機器との通信を行うための回線が接続された通信部と、
前記重要度決定用データに基づいて前記画像読取部で読み取られた原稿画像データの重要度を順位付け、その原稿画像データの重要度に基づいて原稿画像データを送信するとき、原稿画像データの重要度によって異なる送信条件が満たされた後に前記通信部から原稿画像データを送信させる制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記画像読取部で読み取らせた前記原稿画像データの重要度に基づき、前記通信部を介する原稿画像データの送信を中止することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
送信先情報を入力可能な操作パネルと、
送信先情報が予め記憶された前記記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記画像読取部で読み取らせた前記原稿画像データの重要度が所定レベルを超えるとき、前記操作パネルに入力された送信先情報と前記記憶部に記憶された送信先情報と比較して双方が一致したとき、一致した送信先に原稿画像データを前記通信部から送信させ、一致しないとき原稿画像データを送信させないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
送信先情報が予め記憶された前記記憶部を備え、
前記制御部は、前記画像読取部で読み取らせた前記原稿画像データの重要度が所定レベルに該当するとき、前記記憶部に送信先情報が記憶された送信先に対してのみ原稿画像データを前記通信部から送信させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
送信先情報を入力可能な操作パネルと、
送信先情報が予め記憶された前記記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記画像読取部で読み取らせた前記原稿画像データの重要度が所定レベル未満であるとき、前記操作パネルに入力された送信先情報に基づき、または前記記憶部に記憶された送信先情報に基づき、原稿画像データを前記通信部から送信させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−114759(P2011−114759A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−271210(P2009−271210)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】