説明

画像形成装置

【課題】用紙を画像形成部へ送り出すレジストローラ対を備え、用紙のスキュー(斜め給紙)補正を好適に行うことができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】レジストニップRNを形成し停止状態で被転写材Tの先端部T1をレジストローラ対80に一旦当接させて被転写材Tを湾曲させた後、回転駆動して被転写材Tを画像形成部GKへ送り出すレジストローラ対80と、搬送ニップHNを形成し被転写材Tを挟持した状態で被転写材Tの先端部T1をレジストローラ対80に当接させて停止可能な搬送ローラ90と、レジストニップRNへ被転写材Tを案内するガイド部材130と、を備え、レジストニップRNを含むレジストニップ平面810に対する搬送ニップHNを含む搬送ニップ平面920の角度であるニップ角度α及び/又は搬送ローラ90の搬送方向D1における位置を変更することにより被転写材Tの湾曲形状を変更可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー機、プリンタ、ファクシミリ又はこれらの複合機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被転写材としての用紙に画像を印刷(形成)するための装置として、コピー機、プリンタ又はこれらの複合機などの画像形成装置が知られている。一般的に、画像形成装置においては、用紙に画像を形成する画像形成部における用紙の搬送方向の上流側に、レジストローラ対が設けられている。レジストローラ対は、画像形成部に用紙を送り出す前に、用紙のスキュー(斜め給紙)補正や、トナー画像とのタイミング調整を行うためのローラ対である。
【0003】
レジストローラ対は、停止状態で用紙の先端部を一旦当接させて用紙を湾曲させた後、回転駆動して用紙を画像形成部へ送り出す。
具体的には、停止状態のレジストローラ対に当接される用紙は、レジストローラ対における用紙の搬送方向の上流側に配置される搬送ローラにより、レジストローラ対側に送り出される。これにより、用紙は、先端部が、レジストローラ対に形成されるレジストニップに向けて押し付けられた状態で湾曲する。ここで、レジストローラ対に当接された用紙には、用紙の搬送方向とは反対方向に向けて反力が生じている。用紙には、この用紙の反力により、先端部をレジストニップに向けて押し付ける力が生じている。レジストローラ対は、用紙の先端部がレジストニップに向けて押し付けられることにより、画像形成部に用紙を送り出す前に、用紙のスキュー(斜め給紙)補正を行っている。
【0004】
レジストローラ対を利用したスキュー(斜め給紙)補正において、用紙の先端部がレジストローラ対に押し付けられる力が弱い場合には、用紙のスキュー(斜め給紙)補正が好適に行われない場合がある。また、用紙の先端部がレジストローラ対に押し付けられる力が強い場合には、用紙がレジストニップに突入してしまうため、用紙のスキュー(斜め給紙)補正が好適に行われない場合がある。
【0005】
ところで、用紙の先端部がレジストローラ対に押し付けられる力は、用紙に形成される湾曲の大きさや形状に起因する。また、用紙に形成される湾曲の大きさや形状は、搬送ローラによる用紙の送り出し量により調整される。このような用紙の送り出し量を調整する技術として、用紙のスキュー(斜め給紙)の程度に応じて、搬送ローラによる用紙の送り出し量を調整する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−338859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、用紙の先端部がレジストローラ対に押し付けられる力は、用紙の厚さや剛性(腰の強さ)にも起因する。特許文献1に記載されている画像形成装置は、用紙のスキュー(斜め給紙)の程度に応じて搬送ローラ(特許文献1では給紙ローラ10が該当)による用紙の送り出し量を調整しているが、用紙の厚さや剛性(腰の強さ)については、それ以上格別な工夫がなされていない。そのため、用紙の厚さや剛性(腰の強さ)に対応した用紙のスキュー(斜め給紙)補正を行うことができる画像形成装置が望まれていた。
【0008】
本発明は、用紙を画像形成部へ送り出すレジストローラ対を備える画像形成装置において、用紙のスキュー(斜め給紙)補正を好適に行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シート状の被転写材に画像を形成する画像形成部と、レジストニップを形成するレジストローラ対であって、停止状態で前記被転写材の先端部を前記レジストローラ対に一旦当接させて前記被転写材を湾曲させた後、回転駆動して該被転写材を前記画像形成部へ送り出すレジストローラ対と、搬送ニップを形成する搬送ローラであって、前記レジストローラ対における前記被転写材の搬送方向の上流側に配置され、前記被転写材を前記搬送方向に搬送すると共に、前記被転写材を挟持した状態で前記被転写材の先端部を前記レジストローラ対に当接させて停止可能な搬送ローラと、前記レジストローラ対と前記搬送ローラとの間に配置され、湾曲された前記被転写材に湾曲形状の凸側を押さえ付けるように当接して、前記レジストニップへ前記被転写材を案内するガイド部材と、を備え、前記搬送ローラの軸方向から視た場合における前記レジストニップを含むレジストニップ平面に対する前記搬送ニップを含む搬送ニップ平面の角度であるニップ角度及び/又は前記搬送ローラの前記搬送方向における位置を変更することにより前記被転写材の湾曲形状を変更可能に構成される画像形成装置に関する。
【0010】
また、前記搬送ローラを前記搬送ニップを中心に回転させることにより前記ニップ角度を変更させるニップ角度変更部と、前記被転写材の厚さに関する厚さ情報及び/又は前記被転写材の剛性に関する剛性情報を含む種類情報に基づいて、前記ニップ角度を変更するように前記ニップ角度変更部を制御するニップ角度変更制御部と、を備えることが好ましい。
【0011】
また、前記搬送ローラを前記被転写材の前記搬送方向に沿って移動させることにより前記搬送ローラの前記搬送方向における位置を変更する搬送ローラ位置変更部と、前記被転写材の厚さに関する厚さ情報及び/又は前記被転写材の剛性に関する剛性情報を含む種類情報に基づいて、前記搬送ローラの前記搬送方向における位置を変更するように前記搬送ローラ位置変更部を制御する位置変更制御部と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、用紙を画像形成部へ送り出すレジストローラ対を備える画像形成装置において、用紙のスキュー(斜め給紙)補正を好適に行うことができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態のコピー機1における各構成要素の配置を説明するための図である。
【図2A】第1実施形態のコピー機1におけるレジストローラ対80を含むレジスト機構部RKの詳細な構成を示す側面図であり、ニップ角度αが大きい場合の状態を示す図である。
【図2B】第1実施形態のコピー機1におけるレジストローラ対80を含むレジスト機構部RKの詳細な構成を示す側面図であり、ニップ角度αが0°である場合の状態を示す図である。
【図3】第1実施形態のコピー機1における第1搬送ローラ対90の詳細な構成を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態のコピー機1におけるレジスト機構部RKによるスキュー補正の動作フローを示すフローチャートである。
【図5A】第2実施形態のコピー機1におけるレジストローラ対80を含むレジスト機構部RKの詳細な構成を示す側面図であり、第1搬送ローラ対90が搬送方向D1の上流側に位置された状態を示す図である。
【図5B】第2実施形態のコピー機1におけるレジストローラ対80を含むレジスト機構部RKの詳細な構成を示す側面図であり、第1搬送ローラ対90が搬送方向D1の下流側に位置された状態を示す図である。
【図6】第2実施形態のコピー機1における第1搬送ローラ対90の詳細な構成を示す斜視図である。
【図7】第2実施形態のコピー機1におけるレジスト機構部RKによるスキュー補正の動作フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態を説明する。
図1により、第1実施形態における画像形成装置としてのコピー機1における全体構造を説明する。図1は、第1実施形態のコピー機1における各構成要素の配置を説明するための図である。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置としてのコピー機1は、コピー機1における上下方向Zの上方側に配置される画像読取装置300と、コピー機1における上下方向Zの下方側に配置され画像読取装置300により読み取られた画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tにトナー画像を形成する装置本体Mと、を備える。
なお、コピー機1の説明において、感光体ドラム2、定着部9等における各種回転体(ローラ、ベルト等)の回転軸方向を「Y方向」(図1を貫く方向)という。Y方向は、被転写材としての用紙Tの搬送方向D1に直交する方向でもある(図2Aから図3参照)。Y方向において、図1における前側を「+(プラス)側」ともいい、図1における後側を「−(マイナス)側」ともいう。水平方向で且つY方向に直交する方向を「X方向」という。コピー機1の上下方向Zは、X方向及びY方向と直交する。また、用紙Tの搬送方向D1に直交する方向で且つY方向に直交する方向を「第2方向D2」という(図2Aから図3参照)。第2方向D2において、後述するレジストガイド部材130側を「+(プラス)側」ともいい、後述する搬送ガイド部材120側を「−(マイナス)側」ともいう(図2Aから図3参照)。
【0016】
まず、画像読取装置300について説明する。
図1に示すように、画像読取装置300は、蓋部材70と、原稿Gの画像を読み取る読取部301と、を備える。
蓋部材70は、読取部301に対して不図示の連結部により開閉可能に連結される。蓋部材70は、後述する読取面302Aを保護する機能を有する。
【0017】
次に、装置本体Mについて説明する。
装置本体Mは、所定の画像情報に基づいて用紙Tに所定のトナー画像を形成する画像形成部GKと、この画像形成部GKにおいて用紙Tに形成されたトナー画像を用紙Tに定着させる定着部9と、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排出する給排紙部KHと、を有する。
【0018】
図1に示すように、画像形成部GKは、感光体ドラム2と、帯電部10と、露光装置としてのレーザスキャナユニット4と、現像装置16と、トナーカートリッジ5と、トナー供給装置6と、ドラムクリーニング装置11と、転写ローラ8と、を備える。
また、給排紙部は、給紙カセット52と、レジストローラ対80と、用紙Tの搬送路Lと、排紙部50と、手差し給紙部64とを備える。
【0019】
感光体ドラム2は、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2は、搬送路Lにおける用紙Tの搬送方向に対して直交する方向に延びる機軸を中心に、矢印の方向に回転可能に配置される。感光体ドラム2の表面には、静電潜像が形成され得る。
【0020】
帯電部10は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。帯電部10は、感光体ドラム2の表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0021】
レーザスキャナユニット4は、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2の表面から離間して配置される。レーザスキャナユニット4は、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
【0022】
レーザスキャナユニット4は、CCD基板(不図示)から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4により走査露光されることで、感光体ドラム2の表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
【0023】
現像装置16は、感光体ドラム2に対応して設けられ、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。現像装置16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像に単色(通常はブラック)のトナーを付着させて、単色のトナー画像を感光体ドラム2の表面に形成する。現像装置16は、感光体ドラム2の表面に対向配置された現像ローラ17、トナー攪拌用の攪拌ローラ18等を有して構成される。
【0024】
トナーカートリッジ5は、現像装置16に対応して設けられており、現像装置16に対して供給されるトナーを収容する。
【0025】
トナー供給装置6は、トナーカートリッジ5及び現像装置16に対応して設けられており、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを現像装置16に供給する。トナー供給装置6と現像装置16とは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
【0026】
転写ローラ8は、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させる。転写ローラ8には、不図示の転写バイアス印加部により、感光体ドラム2に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させるための転写バイアスが印加される。転写ローラ8は、感光体ドラム2に対して当接した状態で回転可能に構成される。
【0027】
感光体ドラム2と転写ローラ8との間で、搬送路Lを搬送される用紙Tが挟み込まれる。挟み込まれた用紙Tは、感光体ドラム2の表面に押し当てられる。感光体ドラム2と転写ローラ8との間で、転写ニップNが形成される。転写ニップNにおいて、感光体ドラム2に現像されたトナー画像が用紙Tに転写される。
【0028】
ドラムクリーニング装置11は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。ドラムクリーニング装置11は、感光体ドラム2の表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0029】
定着部9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟み込まれた状態で用紙Tが搬送されることで、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧され、用紙Tに定着される。
【0030】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、給排紙部KHは、カセット給紙部51と、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、排紙部50とを備える。なお、搬送路Lは、後述するように、第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、第4搬送路L4と、第5搬送路L5と、第6搬送路L6と、戻し搬送路LBと、の集合体である。
【0031】
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する2個の給紙カセット52が左右(X方向)に配列されて配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの前側(図1における手前側)から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52は、用紙Tが載置される載置板60を備え、この載置板60の上に用紙Tが積層された状態で収容される。用紙Tに画像を形成する際に、載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において右側端部)に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lの第1搬送路L1に送り出すための給紙ローラ対63からなる重送防止機構と、を備える。
【0032】
装置本体Mの右側面(図1において右側)であって、給紙カセット52の上方には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの前面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを第1搬送路L1に給紙する。
【0033】
搬送路Lは、カセット給紙部51からレジストローラ対80までの第1搬送路L1と、レジストローラ対80から転写ローラ8までの第2搬送路L2と、転写ローラ8から定着部9までの第3搬送路L3と、定着部9から第1分岐部Q1までの第4搬送路L4と、第1分岐部Q1から排紙部50までの第5搬送路L5と、第4搬送路L4を上流側から下流側へ搬送される用紙Tを第1分岐部Q1から第2合流部P2まで戻し搬送する戻し搬送路LBと、表裏反転された用紙Tを排紙部50まで搬送する第6搬送路L6とを備える。
レジストローラ対80を含むレジスト機構部RKの詳細については後述する。
【0034】
第1搬送路L1には、第1合流部P1、第2合流部P2及び第3合流部P3が配置される。第1合流部P1は、2個の給紙カセット52のカセット給紙部51から第1搬送路L1への合流部である。第2合流部P2は、戻し搬送路LBから第1搬送路L1への合流部である。第3合流部P3は、手差し給紙部64から第1搬送路L1への合流部である。
【0035】
戻し搬送路LBは、第1分岐部Q1で分岐された用紙Tを屈曲させつつ斜め下方に向けて搬送する屈曲搬送路Laと、屈曲搬送により表裏反転された用紙Tを第2分岐部Q2を経て水平姿勢で受け止める水平受止部Lbと、水平受止部Lbに一旦、受止められた後逆方向に送り出される用紙Tを第3分岐部Q3で分岐させ、且つ、再度、裏表反転させて第2合流部P2に向けて搬送する水平戻し搬送路Lcとを有する。水平受止部Lbの送出し端部には、表裏反転された用紙Tを、第3分岐部Q3を経て水平戻し搬送路Lc又は第6搬送路L6へ強制搬送させるローラ対28が設けられている。また、第1分岐部Q1、第2分岐部Q2及び第3分岐部Q3には、搬送路切り替え部材30、31及び32が設けられている。
【0036】
戻し搬送路LBは、用紙Tの両面印刷を行う際、定着部9で定着された後の用紙Tを表裏反転及び裏表反転させることにより、既に印刷されている面とは反対の面(非印刷面)が感光体ドラム2に対向するように搬送するための搬送路である。また、第6搬送路L6は、戻し搬送路LBにおける屈曲搬送路Laを経て水平受止部Lbで一旦、受止められた用紙Tを表裏反転した状態(印刷面を下にした状態)で排紙部50に搬出するための搬送路である。
【0037】
装置本体Mにおける左側(図1において左側)上方側には、排紙部50が設けられる。排紙部50は、装置本体Mの左側面側に向けて開口している。排紙部50は、第5搬送路L5を搬送される用紙T又は第6搬送路L6を搬送される用紙Tをローラ対53により装置本体Mの外部の排紙トレイ54上に排出する。
【0038】
以下、図面を参照して、第1実施形態のコピー機1における特徴部分であるレジスト機構部RKに係る構成について説明する。図2Aは、第1実施形態のコピー機1におけるレジストローラ対80を含むレジスト機構部RKの詳細な構成を示す側面図であり、ニップ角度αが大きい場合の状態を示す図である。図2Bは、第1実施形態のコピー機1におけるレジストローラ対80を含むレジスト機構部RKの詳細な構成を示す側面図であり、ニップ角度αが0°である場合の状態を示す図である。図3は、第1実施形態のコピー機1における第1搬送ローラ対90の詳細な構成を示す斜視図である。
【0039】
図2A及び図2Bに示すように、第1実施形態のレジスト機構部RKは、レジストローラ対80と、搬送ローラとしての第1搬送ローラ対90と、搬送ガイド部材120と、ガイド部材としてのレジストガイド部材130と、レジスト前センサSと、ニップ角度変更部140とを備える。
【0040】
レジストローラ対80は、画像形成部GKの転写ニップNにおける用紙Tの搬送方向D1の上流側に配置される(図1参照)。
図2A及び図2Bに示すように、レジストローラ対80は、互いに対向する2つのローラ部材により構成される。レジストローラ対80における2つのローラ部材は、Y方向に平行な回転軸を中心に回転可能に構成される。レジストローラ対80には、不図示のモータが接続される。レジストローラ対80は、モータの駆動により回転したり停止したりする。
【0041】
また、レジストローラ対80における2つのローラ部材の間には、レジストニップRNが形成される。レジストニップRNは、Y方向に延びるように形成される。第1搬送路L1を搬送される用紙Tは、レジストニップRNに向けて搬送される。
第1搬送路L1を搬送される用紙Tの先端部T1は、停止状態にあるレジストローラ対80に当接する。レジストローラ対80に当接された用紙は、後述する第1搬送ローラ対90により搬送方向D1に送り出されて、第1搬送路L1におけるレジストニップRNの搬送方向D1の上流側において、第2方向D2におけるプラス側に凸状に湾曲される。
このようにして、レジストローラ対80は、レジストローラ対80が停止状態にある場合において、第1搬送路L1を搬送される用紙Tの先端部T1を一旦当接させることにより用紙Tを湾曲させる。
【0042】
レジストローラ対80に用紙Tの先端部T1が一旦当接された後、レジストローラ対80は、回転駆動される。これにより、用紙Tは、レジストニップRNに導入される。レジストニップRNに導入された用紙Tは、レジストローラ対80における2つのローラ部材に挟持された状態で、レジストローラ対80により第2搬送路L2に送り出される。このように、レジストローラ対80は、用紙Tを画像形成部GKにおける転写ニップNへ向けて送り出す。
【0043】
図2A及び図2Bに示すように、第1搬送ローラ対90は、レジストローラ対80における用紙Tの搬送方向D1の上流側に配置される。具体的には、第1搬送ローラ対90は、用紙Tを画像形成部GKへ向けて搬送する複数の搬送ローラ対のうち、レジストローラ対80に最も近い位置に位置する搬送ローラ対である。
【0044】
第1搬送ローラ対90は、互いに対向する2つのローラ部材により構成される。第1搬送ローラ対90における2つのローラ部材は、レジストローラ対80の回転軸方向に平行な回転軸を中心に回転可能に構成される。第1搬送ローラ対90には、モータ等から構成される搬送ローラ駆動部910が接続される。第1搬送ローラ対90は、搬送ローラ駆動部910の駆動により回転したり停止したりする。
【0045】
また、第1搬送ローラ対90における2つのローラ部材の間には、搬送ニップHNが形成される。搬送ニップHNは、Y方向に延びるように形成される。搬送ニップHNに導入された用紙Tは、第1搬送ローラ対90における2つのローラ部材に挟持された状態で、第1搬送ローラ対90によりレジストローラ対80に向けて送り出される。
【0046】
第1搬送ローラ対90は、用紙Tを搬送方向D1に搬送すると共に、用紙Tを挟持した状態で用紙Tの先端部T1をレジストローラ対80に当接させる。第1搬送ローラ対90は、搬送ローラ駆動部910の駆動により用紙Tを挟持した状態で用紙Tを送り出し、用紙Tの先端部T1をレジストローラ対80に当接させる。第1搬送ローラ対90は、レジストローラ対80に当接された用紙Tを更にレジストローラ対80側に送り出すことで、用紙Tを湾曲させる。第1搬送ローラ対90は、レジストローラ対80に先端部T1が当接した用紙Tを第2方向D2におけるプラス側に凸状に湾曲させるように送り出す。
第1搬送ローラ対90は、用紙Tを所定長さ送り出した後に、回転が停止される。
【0047】
第1搬送ローラ対90における用紙Tの送り出し長さは、様々な設計条件等により装置ごとに設定されている。本実施形態においては、第1搬送ローラ対90は、レジストローラ対80の用紙Tの搬送方向D1における上流側に配置されるレジスト前センサS(後述)により出力される用紙Tの通過信号に基づいて、搬送ローラ駆動部910により所定時間回転駆動される。これにより、用紙Tは、搬送方向D1に所定長さ送り出される。また、第1搬送路L1は、第2方向D2のプラス側に凸に湾曲している。その結果、用紙Tは、第2方向D2におけるプラス側に凸状に湾曲される。
このように、第1搬送ローラ対90が用紙Tの先端部T1をレジストローラ対80に押し付けることにより、画像形成部GKに用紙Tを送り出す前に、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正を行っている。
【0048】
図2A及び図2Bに示すように、第1搬送ローラ対90は、後述するニップ角度変更部140によりニップ角度αを変更可能に構成される。
ニップ角度αとは、第1搬送ローラ対90の軸方向から視た場合における、レジストニップ平面810に対する搬送ニップ平面920の角度である。レジストニップ平面810とは、レジストニップRNを含んで形成される仮想平面である。詳細には、レジストニップ平面810は、レジストニップRNにおけるレジストローラ対80の2つのローラ部材の接線を含む面である。また、搬送ニップ平面920とは、搬送ニップHNを含んで形成される仮想平面である。詳細には、搬送ニップ平面920は、搬送ニップHNにおける第1搬送ローラ対90の2つのローラ部材の接線を含む面である。
【0049】
本実施形態においては、用紙Tにおける湾曲形状の凸が第2方向D2のプラス側に形成されるため、レジストガイド部材130は、第2方向D2のプラス側に配置されている。そのため、ニップ角度αは、プラス角度になるように変更されることが好ましい。ここで、ニップ角度αにおけるプラス角度とは、搬送ニップ平面920が搬送方向D1における上流側から下流側に向かうにしたがって第2方向D2のマイナス側からプラス側に傾斜されるように形成される角度である。
【0050】
本実施形態においては、後述するニップ角度変更部140は、第1搬送ローラ対90を搬送ニップHNと同軸の第1回転軸J1を中心に回転させて、ニップ角度αを変更させる。ニップ角度変更部140は、ニップ角度αを、例えば0°からプラス20°の範囲で変更可能に構成される。
【0051】
図3に示すように、第1搬送ローラ対90は、2つのローラ部材がローラホルダ109に回転可能に支持されることにより一体化している。ローラホルダ109は、平板部106と、第1垂直板部107と、第2垂直板部108と、第3垂直板部110とを有する。
平板部106は、第1搬送ローラ対90の第2方向D2のマイナス側において、Y方向に沿って延びるように形成される。第1垂直板部107は、平板部106におけるY方向のプラス側の端部において、平板部106から第2方向D2のプラス側に垂直に延びて形成される。
【0052】
第3垂直板部110は、平板部106におけるY方向のマイナス側の端部において、平板部106から第2方向D2のプラス側に垂直に延びて形成される。第2垂直板部108は、第3垂直板部110の近傍で且つ第3垂直板部110からY方向のプラス側に離間した位置において、平板部106から第2方向D2のプラス側に垂直に延びて形成される。
【0053】
第1搬送ローラ対90における2つのローラ部材の両端部は、ローラホルダ109における第1垂直板部107及び第2垂直板部108にそれぞれ回転可能に支持される。
【0054】
第3垂直板部110には、搬送ローラ駆動部910が取り付けられている。搬送ローラ駆動部910は、例えば、モータ等により構成される。第1搬送ローラ対90における2つのローラ部材のY方向のマイナス側の端部それぞれには、互いに噛み合う一対のギア112、113が固定されている。また、第2方向D2側のギア112は、駆動モータ111の出力軸に固定されるギア114に噛み合う。
【0055】
第1搬送ローラ対90において、搬送ローラ駆動部910の駆動回転力がギア114を介して一対のギア112、113に伝達されることにより、2つのローラ部材は、図2A及び図2Bに示す矢印方向に回転する。これにより、第1搬送ローラ対90は、搬送ローラ駆動部910の駆動により用紙Tを挟持した状態で用紙Tをレジストローラ対80へ向けて送り出す。
【0056】
図2A及び図2Bに示すように、搬送ガイド部材120及びレジストガイド部材130は、第1搬送路L1におけるレジストローラ対80の直前に近づくにしたがって互いの間隔が狭まるように配置される。これにより、第1搬送ローラ対90から送り出された用紙Tは、搬送ガイド部材120及びレジストガイド部材130にガイドされてレジストニップRNへ向けて搬送される。
【0057】
搬送ガイド部材120は、平面状の板部材である。搬送ガイド部材120は、第1搬送ローラ対90とレジストローラ対80との間において、搬送される用紙Tの一方の面側(第2方向D2のマイナス側)に形成される。
搬送ガイド部材120は、一方の面側(印刷面とは反対面側)において、第1搬送ローラ対90から送り出された用紙Tを案内しながらレジストローラ対80へ向けて搬送する。
【0058】
レジストガイド部材130は、平面状の板部材である。レジストガイド部材130は、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間に配置され、搬送される用紙Tの他方の面側(印刷面側)に形成される。レジストガイド部材130は、搬送方向D1の下流側の端部がレジストニップRNの近傍に位置し、搬送方向D1の下流側の端部に向かうにしたがって搬送ガイド部材120に近づく方向(第2方向D2のマイナス側)に傾斜している。
【0059】
レジストガイド部材130は、Y−D1平面(図2A及び図2Bにおける水平面)に対して、例えば20°から25°の傾きを有する傾斜姿勢に配置されている。レジストガイド部材130は、用紙Tの先端部T1がレジストローラ対80に当接することにより凸状に湾曲された用紙Tに、湾曲形状の凸側を押さえ付けるように当接して、用紙TをレジストニップRNへ案内する。
【0060】
図2A及び図2Bに示すように、レジスト前センサSは、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間において第1搬送路L1に沿って配置される。レジスト前センサSは、用紙Tが通過したことを検知して検知信号を出力する。本実施形態においては、レジスト前センサSは、第1搬送路L1におけるレジストローラ対80の直前(レジストローラ対80における搬送方向D1の上流側の近傍)に配置される。レジスト前センサSは、用紙Tが通過することにより用紙Tの先端部T1が接触すると、用紙Tの通過を検知する接触式のセンサである。レジスト前センサSは、搬送される用紙Tが通過している間において、用紙Tに当接することにより用紙Tの搬送を妨げないように退避するレバー式のセンサである。
【0061】
図3に示すように、ニップ角度変更部140は、一対の支持部材141a、141bと、第1ギア142及び第2ギア143と、ニップ角度変更駆動部149とを備える。
一対の支持部材141a、141bは、搬送ニップHNと同軸の第1回転軸J1と同軸の部材である。言い換えると、一対の支持部材141a、141bは、搬送ニップHNが延びる直線上に配置されている。
一対の支持部材141a、141bは、ローラホルダ109と一体化している。詳述すると、一対の支持部材141a、141bは、ローラホルダ109における第1垂直板部107及び第3垂直板部110に固定され、Y方向の外側に延びるように形成される。
【0062】
図3に示すように、Y方向のマイナス側に配置される支持部材141bは、装置本体Mなどにおける軸受(図示せず)を介して回転(回動)可能に支持されている。Y方向のプラス側に配置される支持部材141aには、第1ギア142が固定されている。ニップ角度変更駆動部149の出力軸149aには、第2ギア143が固定されている。第1ギア142は、第2ギア143に噛み合う。ニップ角度変更駆動部149の出力軸149aは、第1回転軸J1と平行な軸を中心に回転駆動する。
【0063】
一対の支持部材141a、141bは、第1回転軸J1を中心に回転可能に構成される。これにより、一対の支持部材141a、141bと一体化されたローラホルダ109も、第1回転軸J1を中心に回転する。
【0064】
ニップ角度変更駆動部149は、出力軸149aを回転駆動することにより、第1ギア142及び第2ギア143を介して、一対の支持部材141a、141b及びローラホルダ109を第1回転軸J1を中心に回転駆動させる。これにより、ニップ角度変更駆動部149は、ローラホルダ109に支持された第1搬送ローラ対90を第1回転軸J1を中心に回転(回動)させる。
ニップ角度変更駆動部149は、例えば、ステッピングモータ等により構成される。
【0065】
ニップ角度変更部140は、ニップ角度変更駆動部149の出力軸149aを回転駆動させて、支持部材141a、141b及びローラホルダ109を介して第1搬送ローラ対90を回転させる。これにより、ニップ角度変更部140は、ニップ角度α(第1搬送ローラ対90の軸方向から視た場合におけるレジストニップ平面810に対する搬送ニップ平面920の角度)を変更する。本実施形態においては、ニップ角度変更部140は、ニップ角度αを、例えば、0°からプラス20°の範囲となるように変更することができる。
【0066】
次に、コピー機1の制御に係る構成について説明する。
図2Aから図3に示すように、コピー機1は、制御部200と、記憶部250とを有する。制御部200は、ニップ角度変更制御部210と、搬送ローラ駆動制御部220とを有する。
ニップ角度変更制御部210は、用紙Tの厚さに関する厚さ情報及び用紙Tの剛性に関する剛性情報を含む用紙Tの種類情報に基づいて、ニップ角度αを変更するように、ニップ角度変更部140を制御する。
【0067】
ニップ角度変更制御部210は、コピー機1が有する用紙種類選択ボタン(不図示)により選択された用紙Tの厚さに関する厚さ情報及び用紙Tの剛性に関する剛性情報を含む用紙Tの種類情報に基づいて、後述する記憶部250に記憶される情報を参照して、ニップ角度変更部140の動作量(ニップ角度αの変更量)を決定し、その決定した動作量をニップ角度変更部140へ出力する。
【0068】
搬送ローラ駆動制御部220は、レジスト前センサSに検知された用紙Tの検知信号の情報に基づいて、所定時間後に、第1搬送ローラ対90の回転を停止するように、搬送ローラ駆動部910を制御する。これにより、第1搬送ローラ対90は、先端部T1がレジストローラ対80に当接された用紙Tを所定長さ、レジストローラ対80側に送り出す。その結果、用紙Tは、先端部T1がレジストローラ対80に当接された状態で湾曲される。
【0069】
記憶部250には、用紙の種類に対応するニップ角度変更部140の動作量に関する情報が記憶される。記憶部250に記憶される情報は、ニップ角度変更制御部210により参照される。
【0070】
ところで、コピー機1には、様々な厚さの用紙Tが使用される。用紙Tの厚さが異なる場合には、用紙Tの厚さに対応して剛性(腰の強さ)が相違する。また、同じ厚さの用紙Tであっても、素材の違いなどによって、剛性(腰の強さ)が相違するといったように、多種多様な種類(剛性)の用紙Tが選択的に使用される。
そして、使用する用紙Tの種類(剛性)の違いによって、用紙Tの先端部T1がレジストローラ対80に押し付けられる力(以下、「先端押し付け力」ともいう)に差異が生じ、この先端押し付け力の差異がスキュー補正を適正に行えない要因の一つとなる。
【0071】
第1実施形態におけるレジスト機構部RKは、使用する用紙Tの種類(剛性)によって差異がある先端押し付け力を調整する機能を有する。具体的には、レジスト機構部RKは、第1搬送ローラ対90を用いて用紙Tに形成される湾曲形状を変化させることにより、先端押し付け力を調整する。
【0072】
本実施形態においては、レジスト機構部RKは、第1搬送ローラ対90を搬送ニップHNと同軸の第1回転軸J1を中心に回転させることにより、ニップ角度α(レジストニップ平面810に対する搬送ニップ平面920の角度)を変更させる。これにより、レジスト機構部RKは、剛性が小さい用紙T又は剛性が大きい用紙Tのスキュー補正を適正に行うことができる先端押し付け力を得ることができる。
【0073】
具体的には、レジスト機構部RKは、ニップ角度αを、例えば、0°からプラス20°の範囲となるように変更することができる。なお、本実施形態においては、レジストガイド部材130は、用紙Tの湾曲形状の凸が第2方向D2のプラス側に形成されるため、第2方向D2のプラス側に配置されている。そのため、ニップ角度αは、0°からプラス側の角度の範囲であることが好ましい。
【0074】
第1搬送ローラ対90により搬送される用紙Tは、ニップ角度αでレジストローラ対80に向けて搬送される。また、第1搬送路L1は、第2方向D2のプラス側に凸に湾曲している。そのため、レジストローラ対80に向けて搬送される用紙Tは、ニップ角度αがプラス側に大きい場合には、第1搬送ローラ対90から送り出された直後から、ニップ角度αが小さい場合よりもレジストローラ対80における第2方向D2のプラス側に向けて搬送される。
【0075】
そのため、レジストローラ対80に向けて搬送される用紙Tは、ニップ角度αが大きい場合(図2A参照)には、ニップ角度αが小さい場合(図2B参照。例えば、ニップ角度が0°)に比して、第1搬送路L1における第1搬送ローラ対90からレジストローラ対80までの間において、第2方向D2のプラス側に凸になるような湾曲された長い経路を搬送される。
【0076】
その後、レジストローラ対80に向けて搬送される用紙Tは、レジストローラ対80の直前に配置されるレジスト前センサSに検知される。レジストローラ対80に向けて搬送される用紙Tは、ニップ角度αが大きい場合(図2A参照)には、レジスト前センサSに検知される時点において、ニップ角度αが小さい場合(図2B参照。例えば、ニップ角度が0°)に比して、第1搬送ローラ対90からレジストローラ対80に向けて送り出される長さが長い。
【0077】
第1搬送ローラ対90は、レジスト前センサSにより出力される用紙Tの通過信号に基づいて、搬送ローラ駆動部910により所定時間回転駆動される。これにより、用紙Tは、第1搬送ローラ対90により所定長さ、送り出される。なお、本実施形態においては、第1搬送ローラ対90は、ニップ角度αの大きさに関わらず、レジスト前センサSにより出力される用紙Tの通過信号に基づいて、搬送ローラ駆動部910により所定時間回転駆動される。
【0078】
第1搬送ローラ対90により所定長さ送り出された用紙Tは、レジストローラ対80に当接する。レジストローラ対80に当接した用紙Tは、第1搬送ローラ対90により更にレジストローラ対80に向けて送り出されて湾曲される。
【0079】
湾曲される用紙Tは、ニップ角度αが大きい場合(図2A参照)には、ニップ角度αが小さい場合(図2B参照。例えば、ニップ角度が0°)に比して、第1搬送ローラ対90からレジストローラ対80に向けて送り出される長さが長い状態で湾曲している。そのため、湾曲を形成するために送り出される用紙Tの長さに対する、第1搬送ローラ対90からレジストローラ対80までの間の用紙Tの長さの比率(以下、「湾曲形成率」ともいう)は、ニップ角度αが大きい場合(図2A参照)には、ニップ角度αが小さい場合(図2B参照。例えば、ニップ角度が0°)に比して、小さい。
【0080】
例えば、第1搬送ローラ対90とレジストローラ対80との間の距離が100mmである場合について説明する。本実施形態において、ニップ角度αが例えば20°の場合(図2A参照)には、第1搬送ローラ対90とレジストローラ対80との間の用紙Tの長さは、第2方向D2のプラス側に湾曲形状の凸が形成されるように第1搬送路L1を搬送されるため、107mmである。一方、ニップ角度αが例えば0°の場合(図2B参照)には、第1搬送ローラ対90とレジストローラ対80との間の用紙Tの長さは、100mmである。
【0081】
また、湾曲を形成するために送り出される用紙Tの長さは、ニップ角度αに関わらず、用紙Tがレジストローラ対80に当接してから7.2mmである。
【0082】
そのため、ニップ角度αが例えば20°の場合(図2A参照)には、湾曲形成率は、6.7%(7.2mm/107mm)となる。一方、ニップ角度αが例えば0°の場合(図2B参照)には、湾曲形成率は、7.2%(7.2mm/100mm)となる。
【0083】
これにより、湾曲形成率は、ニップ角度αが例えば20°の場合(図2A参照。6.7%)には、ニップ角度αが例えば0°の場合(図2B参照。7.2%)よりも、小さい。
【0084】
湾曲された用紙Tの先端押し付け力は、ニップ角度αが大きいことで用紙Tの湾曲形成率が小さい場合(図2A参照。6.7%)には、ニップ角度αが小さいことで用紙Tの湾曲形成率が大きい場合(図2B参照。7.2%)よりも、小さい傾向にある。
そのため、湾曲された用紙Tの先端押し付け力は、ニップ角度αが大きい場合(図2A参照)には、ニップ角度αが小さい場合(図2B参照)の用紙Tよりも小さい傾向にある。
【0085】
また、湾曲された用紙Tは、ニップ角度αが大きい場合(図2A参照)には、ニップ角度αが小さい場合(図2B参照。例えば、ニップ角度が0°)よりも、レジストローラ対80から搬送方向D1の上流側に離間する位置に湾曲形状の凸が形成される。
【0086】
具体的には、図2Aに示すように、例えば、ニップ角度αが20°の場合には、用紙Tに形成される湾曲形状の凸は、搬送方向D1におけるレジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間の略中央の位置において、第2方向D2のプラス側に形成される。また、用紙Tに形成される湾曲形状の凸は、搬送方向D1において略対称に形成される。
【0087】
一方、図2Bに示すように、例えば、ニップ角度αが0°の場合には、用紙Tに形成される湾曲形状の凸は、搬送方向D1におけるレジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間の略中央の位置よりも下流側(レジストローラ対80の直前)において、レジストガイド部材130に湾曲形状の凸側が押さえ付けられるように第2方向D2のプラス側に形成される。
【0088】
湾曲された用紙Tの先端押し付け力は、湾曲形状の凸が搬送方向D1における上流側に形成される場合(図2A参照)には、湾曲形状の凸が搬送方向D1における下流側に形成される場合(図2B参照)よりも、小さい傾向にある。
つまり、湾曲された用紙Tの先端押し付け力は、ニップ角度αが大きい場合(図2A参照)には、ニップ角度αが小さい場合(図2B参照)よりも小さい傾向にある。
【0089】
以上のように、レジスト機構部RKは、ニップ角度αを変更することにより、用紙Tの湾曲形成率及び湾曲形状の凸が形成される搬送方向D1における位置を変更することができる。これにより、レジスト機構部RKは、用紙Tに形成される湾曲形状を変化させることができる。
【0090】
このように、第1搬送ローラ対90における用紙Tをレジストローラ対80に向けて送り出す搬送ローラ駆動制御部220による制御が同じ場合には、ニップ角度αが異なる状態で送り出されると、用紙Tには、異なる湾曲形状の凸が形成される。これにより、ニップ角度αを変更することにより、用紙Tの先端押し付け力を調整することができる。
【0091】
また、ニップ角度変更部140は、用紙Tに形成される湾曲形状を変更することにより、用紙Tの先端部T1がレジストローラ対80に当接するときの先端押し付け力が、用紙Tの種類の影響を受けずに設定した範囲内に収まるように調整する。具体的には、ニップ角度変更部140は、使用する用紙Tの種類(剛性)の違いに対応して、ニップ角度αを変更する。
【0092】
また、ニップ角度変更制御部210は、使用する用紙Tの種類情報に基づいて、記憶部250に記憶される情報を参照して、ニップ角度変更部140のニップ角度αの変更量を決定する。そして、ニップ角度変更制御部210は、ニップ角度変更部140を制御する。
【0093】
次に、図1を参照して、第1実施形態のコピー機1の動作について、簡単に説明する。
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ61及び給紙ローラ対63によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介してレジストローラ対80に搬送される。
レジストローラ対80においては、用紙Tのスキュー補正や、トナー画像とのタイミング調整が行われる。レジストローラ対80を含むレジスト機構部RKによるスキュー補正の動作については後述する。
【0094】
レジストローラ対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して感光体ドラム2と転写ローラ8との間の転写ニップNに導入される。この転写ニップNにおいて、用紙Tには、感光体ドラム2に現像されたトナー画像が転写される。
その後、用紙Tは、感光体ドラム2と転写ローラ8との間の転写ニップNから第2搬送路L2に排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいて、トナーTNが溶融及び加圧され、トナーTNが用紙Tに定着される。
【0095】
次いで、用紙Tは、第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、ローラ対53により排紙部50から装置本体Mの外部の排紙トレイ54上に排出される。
このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0096】
手差しトレイ65に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ65に載置された用紙Tは、給紙コロ66によって手差し搬送路Lに送り出され、その後、第3合流部P3を経て第1搬送路L1に搬送され、この第1搬送路L1を介して、レジストローラ対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0097】
次に、両面印刷を行う場合のコピー機1の動作について説明する。
片面印刷の場合には、前述した通り、片面印刷がされた用紙Tが、排紙部50から装置本体Mの外部に排出されて印刷動作が完了する。
これに対し、両面印刷を行う場合には、片面印刷がされた用紙Tが、戻し搬送路LBを介して、片面印刷時とは表裏反転して、レジストローラ対80に再度搬送されることにより、用紙Tの既に印刷されている面とは反対の面(非印刷面)に印刷が施されて両面印刷が完了する。
【0098】
次に、第1実施形態のコピー機1における特徴部分であるレジスト機構部RKによるスキュー補正の具体的な動作について、図2A、図2B及び図4を参照しながら説明する。図4は、第1実施形態のコピー機1におけるレジスト機構部RKによるスキュー補正の動作フローを示すフローチャートである。
【0099】
ステップST11において、コピー機1が有する用紙種類選択ボタン(不図示)により印刷に使用する用紙Tの種類を選択する。
ステップST12において、ニップ角度変更制御部210は、選択された用紙Tの種類(剛性)情報に基づいて、記憶部250を参照して、ニップ角度変更部140の動作量(ニップ角度αの変更量)を決定する。ニップ角度変更制御部210は、ニップ角度変更部140の動作量に関する情報をニップ角度変更部140へ出力する。
【0100】
ステップST13において、ニップ角度変更制御部210において決定され出力される動作量の情報に基づいて、ニップ角度変更駆動部149は、ニップ角度変更部140における支持部材141aの正逆回転の駆動を行う。そのため、第1搬送ローラ対90は、第1回転軸J1を中心に回転する。これにより、ニップ角度αが変更される。
【0101】
ここで、選択された用紙Tの剛性が大きい(腰が強い)場合には、図2Aに示すように、第1搬送ローラ対90は、ニップ角度αがプラス側に大きくなるように変更される。一方、選択された用紙Tの剛性が小さい(腰が弱い)場合には、図2Bに示すように、第1搬送ローラ対90は、ニップ角度αが小さくなるように変更される。
【0102】
ステップST14において、用紙Tは、第1搬送ローラ対90により用紙Tの搬送方向D1に沿って送り出される。第1搬送ローラ対90により搬送される用紙Tは、設定されたニップ角度αでレジストローラ対80に向けて搬送される。
【0103】
ここで、ニップ角度αが大きい場合(図2A参照)には、用紙Tは、第1搬送ローラ対90から送り出された直後から、ニップ角度αが小さい場合(図2B参照)よりもレジストローラ対80における第2方向D2のプラス側に向けて搬送される。そのため、レジストローラ対80に向けて搬送される用紙Tは、ニップ角度αが大きい場合(図2A参照)には、ニップ角度αが小さい(図2B参照。例えば、ニップ角度が0°)の場合に比して、第1搬送路L1における第1搬送ローラ対90からレジストローラ対80までの間において、第2方向D2のプラス側に凸になるような湾曲された長い経路を搬送される。
【0104】
第1搬送ローラ対90に送り出された用紙Tは、レジストローラ対80の直前(第1搬送ローラ対90における上流側)に配置されるレジスト前センサSに検知される。レジスト前センサSは、用紙Tの検知信号の情報を搬送ローラ駆動制御部220へ出力する。
【0105】
ステップST15において、用紙Tは、用紙Tの先端部T1が停止状態のレジストローラ対80に当接する。そして、用紙Tの先端部T1に続く部分(湾曲部分)Taは、第2方向D2のプラス側に凸状に湾曲される(図2A及び図2B参照)。
【0106】
湾曲される用紙Tは、ニップ角度αが大きい場合(図2A参照)には、ニップ角度αが小さい場合(図2B参照。例えば、ニップ角度が0°)に比して、第1搬送ローラ対90からレジストローラ対80に向けて送り出される長さが長い状態で湾曲している。そのため、湾曲形成率は、ニップ角度αが大きい場合(図2A参照)には、ニップ角度αが小さい場合(図2B参照。例えば、ニップ角度が0°)に比して、小さい。
【0107】
また、用紙Tに形成される湾曲部分Taは、ニップ角度αが大きい場合(図2A参照)には、ニップ角度αが小さい場合(図2B参照)よりも、搬送方向D1における上流側に凸が形成される。
【0108】
湾曲された用紙Tは、レジストガイド部材130により湾曲形状の凸側が押え付けられるようにした状態で、レジストニップRNに向けて案内される。
ここで、用紙Tの先端部T1がレジストローラ対80に当接するときの先端押し付け力は、ニップ角度αを調整することにより、用紙Tの種類の影響を受けにくく、好適に調整される。
【0109】
具体的には、図2Aに示すように、選択された用紙Tの剛性が大きい(腰が強い)場合には、第1搬送ローラ対90は、選択された用紙Tの剛性が小さい(腰が弱い)場合よりもニップ角度αが大きくなるように変更される。
また、図2Bに示すように、選択された用紙Tの剛性が小さい(腰が弱い)場合には、第1搬送ローラ対90は、選択された用紙Tの剛性が大きい(腰が強い)場合よりもニップ角度αが小さくなるように変更される。
【0110】
つまり、レジスト機構部RKは、ニップ角度αを変更することにより、用紙Tの湾曲形成率及び湾曲形状の凸の搬送方向D1における位置を変更することができる。そのため、レジスト機構部RKは、用紙Tに形成される湾曲形状を変化させることができる。これにより、用紙Tの先端部T1がレジストローラ対80に当接するときの先端押し付け力は、ニップ角度αを変更することにより調整される。
【0111】
このように、先端押し付け力が好適に調整されることによって、先端押し付け力が不足してスキュー(斜め給紙)補正を的確に行えなかったり、あるいは、先端押し付け力が過大で用紙Tの先端部T1がレジストニップRNに突入してしまってスキュー(斜め給紙)補正を的確に行えなかったりすることを抑制することができる。そのため、用紙Tの種類(剛性)の影響を受けにくく、適正なスキュー補正が行われる。
【0112】
ステップST16において、搬送ローラ駆動制御部220は、レジスト前センサSから出力される情報に基づいて、搬送ローラ駆動部910により第1搬送ローラ対90の回転を所定時間後に停止させる。
【0113】
ステップST17において、用紙Tのスキュー補正後に、レジストローラ対80は、回転駆動される。用紙Tは、画像形成部GKの転写ニップNに向けて送り出される。この場合、スキュー補正された用紙Tは、適切な先端押し付け力を有して、レジストニップRNへ案内される。
【0114】
第1実施形態のコピー機1によれば、次のような効果が奏される。
第1実施形態のコピー機1においては、レジストニップRNを形成するレジストローラ対80であって、停止状態で用紙Tの先端部T1をレジストローラ対80に一旦当接させて用紙Tを湾曲させた後、回転駆動して用紙Tを画像形成部GKへ送り出すレジストローラ対80と、搬送ニップHNを形成する第1搬送ローラ対90であって、用紙Tを挟持した状態で用紙Tの先端部T1をレジストローラ対80に当接させて停止可能な第1搬送ローラ対90と、レジストニップRNへ用紙Tを案内するレジストガイド部材130と、を備え、レジストニップRNを含むレジストニップ平面810に対する搬送ニップHNを含む搬送ニップ平面920の角度であるニップ角度αを変更することにより用紙Tの湾曲形状を変更可能に構成される。
【0115】
そのため、第1実施形態のコピー機1は、ニップ角度αを変更することにより、先端押し付け力を調整することができる。これにより、例えば、剛性の大きい(腰が強い)用紙Tを使用する場合であっても、用紙Tの先端部T1がレジストニップRNに突入することを抑制して、用紙Tのスキュー補正を好適に行うことができる。また、剛性の小さい(腰が弱い)用紙Tを使用する場合であっても、先端押し付け力の不足を解消して、用紙Tのスキュー補正を好適に行うことができる。
このように、過大な先端押し付け力、又は、先端押し付け力の不足に起因するスキュー補正を適正に行えないことを抑制して、様々な種類(剛性)の用紙Tを使用する場合でも、適正なスキュー補正を行うことができる。
【0116】
また、第1実施形態のコピー機1においては、第1搬送ローラ対90を搬送ニップHNを中心に回転させることによりニップ角度αを変更させるニップ角度変更部140と、用紙Tの厚さに関する厚さ情報及び/又は用紙Tの剛性に関する剛性情報を含む種類情報に基づいて、ニップ角度αを変更するようにニップ角度変更部140を制御するニップ角度変更制御部210と、を備える。
【0117】
そのため、厚さや剛性が異なる多種多様な用紙Tを使用する場合において、ニップ角度αを変更して、用紙Tの種類の影響を受けにくく、用紙Tの先端部T1がレジストローラ対80に当接するときの先端押し付け力を、好適に調整することが可能である。例えば、使用する用紙Tの種類を選択するボタン操作を行うことにより、用紙Tの種類情報に基づいて、用紙Tの先端部T1がレジストローラ対80に当接するときの先端押し付け力を、好適に調整することが可能である。
これにより、先端押し付け力の過大、又は、先端押し付け力の不足に起因するスキュー補正を適正に行えないことを抑制して、様々な種類(剛性)の用紙Tを使用する場合でも、適正なスキュー補正を行うことができる。
【0118】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態のコピー機1について説明する。図5Aは、第2実施形態のコピー機1におけるレジストローラ対80を含むレジスト機構部RKの詳細な構成を示す側面図であり、第1搬送ローラ対90が搬送方向D1の上流側に位置された状態を示す図である。図5Bは、第2実施形態のコピー機1におけるレジストローラ対80を含むレジスト機構部RKの詳細な構成を示す側面図であり、第1搬送ローラ対90が搬送方向D1の下流側に位置された状態を示す図である。図6は、第2実施形態のコピー機1における第1搬送ローラ対90の詳細な構成を示す斜視図である。
【0119】
第2実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様な構成については同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。第2実施形態において、特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が奏される。
【0120】
図5Aから図6に示すように、第2実施形態は、レジスト機構部RKが搬送ローラ位置変更部160を備える点、及び制御部200が位置変更制御部215を備える点において、第1実施形態におけるコピー機1とは主に異なる。
【0121】
図5Aから図6に示すように、第2実施形態のレジスト機構部RKは、搬送ローラ位置変更部160を有する。
図6に示すように、搬送ローラ位置変更部160は、一対のレール151、151と、一対の滑り移動部材152、152と、タイミングベルト153と、一対のタイミングプーリ155、156と、連結用板部材154と、位置変更駆動部169とを有して構成される。
【0122】
一対のレール151、151は、ローラホルダ109の平板部106におけるY方向のプラス側の端部側及びマイナス側の端部側において、平板部106における第1垂直板部107及び第2垂直板部108が配置される面とは反対側の面側に、用紙Tの搬送方向D1に沿って互いに平行に配置される。
【0123】
一対の滑り移動部材152、152は、ローラホルダ109の平板部106におけるY方向のプラス側の端部側及びマイナス側の端部側において、平板部106における第1垂直板部107及び第2垂直板部108が配置される面とは反対側の面に固定される。一対の滑り移動部材152、152は、一対のレール151、151に嵌合され、搬送方向D1に沿って移動可能に構成される。これにより、第1搬送ローラ対90は、用紙Tの搬送方向D1に沿って移動可能に構成される。
【0124】
一対のタイミングプーリ155、156は、平板部106におけるY方向のプラス側の端部の第1垂直板部107とは反対側の面側において、搬送方向D1に離間して配置される。タイミングプーリ155、156は、円柱状に形成される。タイミングプーリ155、156は、第1回転軸J1に平行な回転軸を中心に回転可能に構成される。一方のタイミングプーリ155は、位置変更駆動部169により正逆回転の駆動及び回転の停止を可能に構成されている。位置変更駆動部169は、例えば、モータ等により構成される。
【0125】
タイミングベルト153は、一対のタイミングプーリ155、156に掛け渡されている。タイミングベルト153は、一対のタイミングプーリ155、156の外周面に当接する。タイミングベルト153は、一方のタイミングプーリ155が正逆回転の駆動及び回転の停止をすることにより回転したり停止したりする。タイミングベルト153は、Y方向のプラス側のレール151の外側の側面に沿って配置される。
【0126】
搬送ローラ位置変更部160は、位置変更駆動部169によりタイミングベルト153を正逆回転駆動させて第1搬送ローラ対90を用紙Tの搬送方向D1に沿って移動させることにより、第1搬送ローラ対90の搬送方向D1における位置を変更する。具体的には、第1搬送ローラ対90の位置を用紙Tの搬送方向D1に沿って変更することにより、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔を、例えば、100〜110mmの範囲となるように調整することができる。
【0127】
本実施形態におけるレジスト機構部RKは、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔を短くすることにより、剛性が小さい用紙Tのスキュー補正を適正に行うことができる先端押し付け力を得ることができる。また、本実施形態におけるレジスト機構部RKは、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔を長くすることにより、剛性が大きい用紙Tのスキュー補正を適正に行うことができる先端押し付け力を得ることができる。
【0128】
図5Aから図6に示すように、第2実施形態の制御部200は、位置変更制御部215を有する。
位置変更制御部215は、用紙Tの厚さに関する厚さ情報及び用紙Tの剛性に関する剛性情報を含む用紙Tの種類情報に基づいて、記憶部250に記憶された情報を参照して、搬送ローラ位置変更部160の動作量(第2方向D2のプラス側又はマイナス側への変更量)を決定し、その決定した動作量を搬送ローラ位置変更部160へ出力する。
【0129】
記憶部250には、用紙の種類に対応する位置変更制御部215の動作量に関する情報が記憶される。記憶部250に記憶される情報は、位置変更制御部215に参照される。
【0130】
第2実施形態におけるレジスト機構部RKは、使用する用紙Tの種類(剛性)によって差異がある先端押し付け力を調整する機能を有する。具体的には、レジスト機構部RKは、第1搬送ローラ対90を用いて用紙Tに形成される湾曲形状を変化させることにより、先端押し付け力を調整する。
【0131】
本実施形態においては、レジスト機構部RKは、第1搬送ローラ対90の位置を搬送方向D1に沿って変更させる。これにより、レジスト機構部RKは、剛性が小さい用紙T又は剛性が大きい用紙Tのスキュー補正を適正に行うことができる先端押し付け力を得ることができる。
【0132】
具体的には、本実施形態におけるレジスト機構部RKは、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔を、例えば、100mmから110mmとなるように変更することができる。
【0133】
第1搬送ローラ対90により搬送される用紙Tは、レジストローラ対80に向けて搬送される。レジストローラ対80に向けて搬送される用紙Tは、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が長い場合(図5A参照)には、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が短い場合(図5B参照)に比して、第1搬送路L1における第1搬送ローラ対90からレジストローラ対80までの間において、長い経路を搬送される。
【0134】
その後、レジストローラ対80に向けて搬送される用紙Tは、レジストローラ対80の直前に配置されるレジスト前センサSに検知される。レジストローラ対80に向けて搬送される用紙Tは、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が長い場合(図5A参照)には、レジスト前センサSに検知される時点において、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が短い場合(図5B参照)に比して、第1搬送ローラ対90からレジストローラ対80に向けて送り出される長さが長い。
【0135】
第1搬送ローラ対90は、レジスト前センサSにより出力される用紙Tの通過信号に基づいて、搬送ローラ駆動部910により所定時間回転駆動される。これにより、用紙Tは、第1搬送ローラ対90により所定長さ、送り出される。なお、本実施形態においては、第1搬送ローラ対90は、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔に関わらず、レジスト前センサSにより出力される用紙Tの通過信号に基づいて、搬送ローラ駆動部910により所定時間回転駆動される。
【0136】
第1搬送ローラ対90により所定長さ送り出された用紙Tは、レジストローラ対80に当接する。レジストローラ対80に当接した用紙Tは、第1搬送ローラ対90により更にレジストローラ対80に向けて送り出されて湾曲される。
【0137】
湾曲される用紙Tは、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が長い場合(図5A参照)には、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が短い場合(図5B参照)に比して、第1搬送ローラ対90からレジストローラ対80に向けて送り出される長さが長い状態で湾曲している。そのため、湾曲形成率は、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が長い場合(図5A参照)には、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が短い場合(図5B参照)に比して、小さい。
【0138】
例えば、本実施形態において、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が例えば110mmの場合(図5A参照)には、第1搬送ローラ対90とレジストローラ対80との間の用紙Tの長さは、110mmである。一方、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が例えば100mmの場合(図5B参照)には、第1搬送ローラ対90とレジストローラ対80との間の用紙Tの長さは、100mmである。
【0139】
また、湾曲を形成するために送り出される用紙Tの長さは、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔に関わらず、用紙Tがレジストローラ対80に当接してから7.2mmである。
【0140】
そのため、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が110mmの場合(図5A参照)には、湾曲形成率は、6.6%(7.2mm/110mm)となる。一方、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が100mmの場合(図5B参照)には、湾曲形成率は、7.2%(7.2mm/100mm)となる。
【0141】
これにより、湾曲形成率は、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が例えば110mmの場合(図5A参照。6.6%)には、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が例えば100mmの場合(図5B参照。7.2%)よりも、小さい。
【0142】
湾曲された用紙Tの先端押し付け力は、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が長いことで湾曲形成率が小さい場合(図5A参照。6.6%)は、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が短いことで湾曲形成率が大きい場合(図5B参照。7.2%)よりも、小さい傾向にある。
このように、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が長い場合(図5A参照)には、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が短い場合(図5B参照)よりも用紙Tの先端押し付け力が小さい傾向にある。
【0143】
また、湾曲された用紙Tは、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が長い場合(図5A参照)場合には、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が短い(図5B参照)場合よりも、搬送方向D1の下流側(レジストローラ対80に近い側)の位置において、レジストガイド部材130に湾曲形状の凸側が押さえ付けられるように第2方向D2のプラス側に形成される。
【0144】
また、用紙Tの湾曲形状は、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が長い場合(図5A参照)場合には、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が短い(図5B参照)場合よりも、凸の第2方向D2の大きさが小さく形成される。
【0145】
具体的には、図5Aに示すように、例えば、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が110mmである場合には、用紙Tに形成される湾曲形状の凸は、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が100mmである場合(図5B参照)よりも搬送方向D1における下流側に形成される。
【0146】
レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が110mmである場合には、用紙Tに形成される湾曲形状の凸は、レジストローラ対80の搬送方向D1における上流側(レジストローラ対80の直前)であって且つレジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が100mmである場合(図5B参照)よりも搬送方向D1における下流側において、レジストガイド部材130に湾曲形状の凸側が押さえ付けられるように第2方向D2のプラス側に形成される。
【0147】
また、用紙Tの湾曲形状は、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が110mmである場合(図5A参照)には、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が100mmである場合(図5B参照)よりも、凸の第2方向D2の大きさが小さく形成される。
【0148】
本実施形態においては、用紙Tは、用紙Tの凸よりも搬送方向D1の下流側の部分がレジストガイド部材130の表面に沿うように当接して形成される。レジストガイド部材130の表面に沿うように当接する部分の長さは、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が110mmである場合(図5A参照)には、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が100mmである場合(図5B参照)よりも、短い。なお、湾曲された用紙Tは、レジストガイド部材130に湾曲形状の凸が離間して形成されていてもよいし、レジストガイド部材130に湾曲形状の凸が当接して形成されていてもよい。
【0149】
一方、図5Bに示すように、例えば、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が100mmである場合には、用紙Tに形成される湾曲形状の凸は、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が110mmである場合(図5A参照)よりも搬送方向D1における上流側に形成される。
【0150】
レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が100mmである場合には、用紙Tに形成される湾曲形状の凸は、レジストローラ対80の搬送方向D1における上流側(レジストローラ対80の直前)であって且つレジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が110mmである場合(図5A参照)よりも搬送方向D1における上流側において、レジストガイド部材130に湾曲形状の凸側が押さえ付けられるように第2方向D2のプラス側に形成される。
【0151】
また、用紙Tの湾曲形状は、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が100mmである場合(図5B参照)には、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が110mmである場合(図5A参照)よりも、凸の第2方向D2の大きさが大きく形成される。
【0152】
本実施形態においては、用紙Tの湾曲形状は、用紙Tの凸よりも搬送方向D1の下流側の部分がレジストガイド部材130の表面に沿うように当接して形成される。レジストガイド部材130の表面に沿うように当接する部分の長さは、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が100mmである場合(図5B参照)には、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が110mmである場合(図5A参照)よりも、長い。なお、湾曲された用紙Tは、レジストガイド部材130に湾曲形状の凸が離間して形成されていてもよいし、レジストガイド部材130に湾曲形状の凸が当接して形成されていてもよい。
【0153】
湾曲された用紙Tの先端押し付け力は、湾曲形状の凸が搬送方向D1における下流側に形成されると共に湾曲形状の凸が小さい場合(図5A参照)には、湾曲形状の凸が搬送方向D1における上流側に形成されると共に湾曲形状の凸が大きい場合(図5B参照)よりも小さい傾向にある。
つまり、湾曲された用紙Tの先端押し付け力は、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が長い場合(図5A参照)には、レジストローラ対80と第1搬送ローラ対90との間隔が短い場合(図5B参照)よりも小さい傾向にある。
【0154】
以上のように、レジスト機構部RKは、第1搬送ローラ対90の搬送方向D1における位置を変更することにより、用紙Tの湾曲形成率、湾曲形状の凸が形成される搬送方向D1における位置及び湾曲形状の凸の第2方向D2の大きさを変更することができる。これにより、レジスト機構部RKは、用紙Tに形成される湾曲形状を変化させることができる。
【0155】
このように、第1搬送ローラ対90における用紙Tをレジストローラ対80に向けて送り出す搬送ローラ駆動制御部220による制御が同じ場合には、第1搬送ローラ対90の搬送方向D1における位置が異なる状態で送り出されると、用紙Tには、異なる湾曲形状の凸が形成される。これにより、第1搬送ローラ対90の搬送方向D1における位置を変更することにより、用紙Tの先端押し付け力を調整することができる。
【0156】
また、搬送ローラ位置変更部160は、用紙Tに形成される湾曲形状を変更することにより、用紙Tの先端部T1がレジストローラ対80に当接するときの先端押し付け力が、用紙Tの種類の影響を受けずに設定した範囲内に収まるように調整する。具体的には、搬送ローラ位置変更部160は、使用する用紙Tの種類(剛性)の違いに対応して、第1搬送ローラ対90の搬送方向D1における位置を変更する。
【0157】
また、位置変更制御部215は、使用する用紙Tの種類情報に基づいて、記憶部250に記憶される情報を参照して、搬送ローラ位置変更部160の第1搬送ローラ対90の搬送方向D1における位置の変更量を決定する。そして、位置変更制御部215は、搬送ローラ位置変更部160を制御する。
【0158】
次に、第2実施形態のコピー機1における特徴部分であるレジスト機構部RKによるスキュー補正の具体的な動作について、図5A、図5B及び図7を参照しながら説明する。図7は、第2実施形態のコピー機1におけるレジスト機構部RKによるスキュー補正の動作フローを示すフローチャートである。
【0159】
ステップST21において、コピー機1が有する用紙種類選択ボタン(不図示)により印刷に使用する用紙Tの種類を選択する。
ステップST22において、位置変更制御部215は、選択された用紙Tの種類(剛性)情報に基づいて、記憶部250を参照して、搬送ローラ位置変更部160の動作量(位置の変更量)を決定する。位置変更制御部215は、搬送ローラ位置変更部160の動作量に関する情報を搬送ローラ位置変更部160へ出力する。
【0160】
ステップST23において、位置変更制御部215において決定され出力される動作量の情報に基づいて、位置変更駆動部169は、搬送ローラ位置変更部160におけるタイミングベルト153の正逆回転の駆動を行う。これにより、第1搬送ローラ対90は、用紙Tの搬送方向D1に沿って移動される。従って、第1搬送ローラ対90の搬送方向D1における位置が変更される。
【0161】
ここで、選択された用紙Tの剛性が大きい(腰が強い)場合には、図5Aに示すように、第1搬送ローラ対90は、レジストローラ対80から離間するように、搬送方向D1の上流側に位置が変更される。一方、選択された用紙Tの剛性が小さい(腰が弱い)場合には、図5Bに示すように、第1搬送ローラ対90は、レジストローラ対80に近接するように、搬送方向D1の下流側に位置が変更される。
【0162】
ステップST24において、用紙Tは、第1搬送ローラ対90により用紙Tの搬送方向D1に沿って送り出される。
第1搬送ローラ対90に送り出された用紙Tは、レジストローラ対80の直前(第1搬送ローラ対90における上流側)に配置されるレジスト前センサSに検知される。レジスト前センサSは、用紙Tの検知信号の情報を搬送ローラ駆動制御部220へ出力する。
【0163】
ステップST25において、用紙Tは、用紙Tの先端部T1が停止状態のレジストローラ対80に当接する。そして、用紙Tの先端部T1に続く部分(湾曲部分)Taは、第2方向D2のプラス側に凸状に湾曲される(図5A及び図5B参照)。
【0164】
湾曲される用紙Tは、第1搬送ローラ対90がレジストローラ対80から離間して位置されている場合(図5A参照)には、第1搬送ローラ対90がレジストローラ対80に近接して位置されている場合(図5B参照)に比して、第1搬送ローラ対90からレジストローラ対80に向けて送り出される長さが長い状態で湾曲している。そのため、湾曲形成率は、第1搬送ローラ対90がレジストローラ対80から離間して位置されている場合(図5A参照)には、第1搬送ローラ対90がレジストローラ対80に近接して位置されている場合(図5B参照)に比して、小さい。
【0165】
また、用紙Tに形成される湾曲部分Taは、第1搬送ローラ対90がレジストローラ対80から離間して位置されている場合(図5A参照)には、第1搬送ローラ対90がレジストローラ対80に近接して位置されている場合(図5B参照)よりも、搬送方向D1における下流側に凸が形成される。また、用紙Tに形成される湾曲部分Taは、第1搬送ローラ対90がレジストローラ対80から離間して位置されている場合(図5A参照)には、第1搬送ローラ対90がレジストローラ対80に近接して位置されている場合(図5B参照)よりも、凸の第2方向D2の大きさが小さく形成される。
【0166】
湾曲された用紙Tは、レジストガイド部材130により湾曲形状の凸側が押え付けられるようにした状態で、レジストニップRNに向けて案内される。
ここで、用紙Tの先端部T1がレジストローラ対80に当接するときの先端押し付け力は、第1搬送ローラ対90の搬送方向D1における位置を変更することにより、用紙Tの種類の影響を受けにくく、好適に調整される。
【0167】
具体的には、図5Aに示すように、選択された用紙Tの剛性が大きい(腰が強い)場合には、第1搬送ローラ対90は、選択された用紙Tの剛性が小さい(腰が弱い)場合よりも、レジストローラ対80から離間するように搬送方向D1の上流側に変更される。
また、図5Bに示すように、選択された用紙Tの剛性が小さい(腰が弱い)場合には、第1搬送ローラ対90は、選択された用紙Tの剛性が大きい(腰が強い)場合よりもレジストローラ対80に近接するように搬送方向D1の下流側に変更される。
【0168】
つまり、レジスト機構部RKは、第1搬送ローラ対90における搬送方向D1の位置を変更することにより、用紙Tの湾曲形成率、湾曲形状の凸の搬送方向D1における位置及び湾曲形状の凸の第2方向D2の大きさを変更することができる。これにより、レジスト機構部RKは、用紙Tに形成される湾曲形状を変化させることができる。そのため、用紙Tの先端部T1がレジストローラ対80に当接するときの先端押し付け力は、第1搬送ローラ対90の搬送方向D1における位置を変更することにより調整される。
【0169】
このように、先端押し付け力が好適に調整されることによって、先端押し付け力が不足してスキュー(斜め給紙)補正を的確に行えなかったり、あるいは、先端押し付け力が過大で用紙Tの先端部T1がレジストニップRNに突入してしまってスキュー(斜め給紙)補正を的確に行えなかったりすることを抑制することができる。そのため、用紙Tの種類(剛性)の影響を受けにくく、適正なスキュー補正が行われる。
【0170】
ステップST26において、搬送ローラ駆動制御部220は、レジスト前センサSから出力される情報に基づいて、搬送ローラ駆動部910により第1搬送ローラ対90の回転を所定時間後に停止させる。
【0171】
ステップST27において、用紙Tのスキュー補正後に、レジストローラ対80は、回転駆動される。用紙Tは、画像形成部GKの転写ニップNに向けて送り出される。この場合、スキュー補正された用紙Tは、適切な先端押し付け力を有して、レジストニップRNへ案内される。
【0172】
第2実施形態のコピー機1によれば、次のような効果が奏される。
第2実施形態のコピー機1においては、レジストニップRNを形成するレジストローラ対80であって、停止状態で用紙Tの先端部T1をレジストローラ対80に一旦当接させて用紙Tを湾曲させた後、回転駆動して用紙Tを画像形成部GKへ送り出すレジストローラ対80と、搬送ニップHNを形成する第1搬送ローラ対90であって、用紙Tを挟持した状態で用紙Tの先端部T1をレジストローラ対80に当接させて停止可能な第1搬送ローラ対90と、レジストニップRNへ用紙Tを案内するレジストガイド部材130と、を備え、第1搬送ローラ対90の搬送方向D1における位置を変更することにより用紙Tの湾曲形状を変更可能に構成される。
【0173】
そのため、第1実施形態のコピー機1は、第1搬送ローラ対90の搬送方向D1における位置を変更することにより、先端押し付け力を調整することができる。これにより、例えば、剛性の大きい(腰が強い)用紙Tを使用する場合であっても、用紙Tの先端部T1がレジストニップRNに突入することを抑制して、用紙Tのスキュー補正を好適に行うことができる。また、剛性の小さい(腰が弱い)用紙Tを使用する場合であっても、先端押し付け力の不足を解消して、用紙Tのスキュー補正を好適に行うことができる。
このように、過大な先端押し付け力、又は、先端押し付け力の不足に起因するスキュー補正を適正に行えないことを抑制して、様々な種類(剛性)の用紙Tを使用する場合でも、適正なスキュー補正を行うことができる。
【0174】
また、第2実施形態のコピー機1においては、第1搬送ローラ対90を用紙Tの搬送方向D1に沿って移動させることにより第1搬送ローラ対90の搬送方向D1における位置を変更する搬送ローラ位置変更部160と、用紙Tの厚さに関する厚さ情報及び/又は用紙Tの剛性に関する剛性情報を含む種類情報に基づいて、第1搬送ローラ対90の搬送方向D1における位置を変更するように搬送ローラ位置変更部160を制御する位置変更制御部215を備える。
【0175】
そのため、厚さや剛性が異なる多種多様な用紙Tを使用する場合において、第1搬送ローラ対90の搬送方向D1の位置を変更して、用紙Tの種類の影響を受けにくく、用紙Tの先端部T1がレジストローラ対80に当接するときの先端押し付け力を、好適に調整することが可能である。例えば、使用する用紙Tの種類を選択するボタン操作を行うことにより、用紙Tの種類情報に基づいて、用紙Tの先端部T1がレジストローラ対80に当接するときの先端押し付け力を、好適に調整することが可能である。
これにより、先端押し付け力の不足、又は、先端押し付け力の過大に起因するスキュー補正を適正に行えないことを抑制して、様々な種類(剛性)の用紙Tを使用する場合でも、確実かつ適正なスキュー補正を行うことができる。
【0176】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した第1及び第2実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、ニップ角度αを変更することにより用紙Tの湾曲形状を変更させる第1実施形態における構成、又は、第1搬送ローラ対90の搬送方向D1における位置を変更することにより用紙Tの湾曲形状を変更させる第2実施形態における構成、を別々の実施形態により説明したが、第1実施形態の構成及び第2実施形態の構成を同時に備える構成としてもよい。
【0177】
また、第1実施形態においては、ニップ角度変更駆動部149をモータにより構成して、第1搬送ローラ対90を第1回転軸J1を中心にモータにより回転させる構成としているが、これに制限されない。例えば、ニップ角度変更駆動部149をソレノイドにより構成して、第1搬送ローラ対90を第1回転軸J1を中心にソレノイドにより回転させる構成としてもよい。
また、第2実施形態においては、搬送ローラ位置変更部160の構成において、タイミングベルト153を用いたが、これに代えて、流体圧シリンダを用いてもよい。
【0178】
また、第1実施形態において、ニップ角度変更制御部210は、記憶部250に記憶される用紙Tの剛性等の情報に基づいて、ニップ角度変更部140を制御する構成としたが、これに制限されない。ニップ角度変更制御部210は、例えば、用紙Tに形成される湾曲形状の大きさをセンサ等で検知することにより用紙Tの剛性等の情報を取得して、この情報に基づいて、ニップ角度変更部140を制御する構成としてもよい。
【0179】
同様に、第2実施形態において、位置変更制御部215は、記憶部250に記憶される用紙Tの剛性等の情報に基づいて、搬送ローラ位置変更部160を制御する構成としたが、これに制限されない。位置変更制御部215は、例えば、用紙Tに形成される湾曲形状の大きさをセンサ等で検知することにより用紙Tの剛性等の情報を取得して、この情報に基づいて、搬送ローラ位置変更部160を制御する構成としてもよい。
【0180】
本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機などであってもよい。
また、シート状の被転写材は、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0181】
1……コピー機(画像形成装置)、80……レジストローラ対、90……第1搬送ローラ対(搬送ローラ)、130……レジストガイド部材(ガイド部材)、810……レジストニップ平面、920……搬送ニップ平面、D1……搬送方向、T……用紙(被転写材)、T1……先端部、RN……レジストニップ、GK……画像形成部、α……ニップ角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の被転写材に画像を形成する画像形成部と、
レジストニップを形成するレジストローラ対であって、停止状態で前記被転写材の先端部を前記レジストローラ対に一旦当接させて前記被転写材を湾曲させた後、回転駆動して該被転写材を前記画像形成部へ送り出すレジストローラ対と、
搬送ニップを形成する搬送ローラであって、前記レジストローラ対における前記被転写材の搬送方向の上流側に配置され、前記被転写材を前記搬送方向に搬送すると共に、前記被転写材を挟持した状態で前記被転写材の先端部を前記レジストローラ対に当接させて停止可能な搬送ローラと、
前記レジストローラ対と前記搬送ローラとの間に配置され、湾曲された前記被転写材に湾曲形状の凸側を押さえ付けるように当接して、前記レジストニップへ前記被転写材を案内するガイド部材と、を備え、
前記搬送ローラの軸方向から視た場合における前記レジストニップを含むレジストニップ平面に対する前記搬送ニップを含む搬送ニップ平面の角度であるニップ角度及び/又は前記搬送ローラの前記搬送方向における位置を変更することにより前記被転写材の湾曲形状を変更可能に構成される
画像形成装置。
【請求項2】
前記搬送ローラを前記搬送ニップを中心に回転させることにより前記ニップ角度を変更させるニップ角度変更部と、
前記被転写材の厚さに関する厚さ情報及び/又は前記被転写材の剛性に関する剛性情報を含む種類情報に基づいて、前記ニップ角度を変更するように前記ニップ角度変更部を制御するニップ角度変更制御部と、
を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送ローラを前記被転写材の前記搬送方向に沿って移動させることにより前記搬送ローラの前記搬送方向における位置を変更する搬送ローラ位置変更部と、
前記被転写材の厚さに関する厚さ情報及び/又は前記被転写材の剛性に関する剛性情報を含む種類情報に基づいて、前記搬送ローラの前記搬送方向における位置を変更するように前記搬送ローラ位置変更部を制御する位置変更制御部と、
を備える請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−126698(P2011−126698A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288955(P2009−288955)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】