説明

画像形成装置

【課題】 本発明は上記問題を解決するために、開閉カバーの開時に感光体ドラムを保護し、閉時には冷却ダクトからの冷却風を搬送路に送風することができ、さらに部品点数も減らすことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明に係る画像形成装置の保護機構は、開閉カバーの開時には感光体ドラムの開閉カバー側を覆う位置に移動し、開閉カバーの閉時には感光体ドラムの上方に移動し、閉時におけるシート部材の移動には、シート部材の変形に対する復元力を利用することから、開閉カバーの開時に確実に感光体ドラムを保護することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラムを保護する保護機構を備えており、この保護機構を利用して効率的に内部を冷却することができる冷却機構を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、用紙の搬送路を鉛直方向に形成したいわゆる縦搬送形式の画像形成装置が増えている。この画像形成装置は、図10に示されるように、給紙カセット(100)、給紙トレイ(101)等の用紙収納手段に収納した用紙をピックアップローラ(102)によって1枚ずつ取り出し、搬送ローラ(103)によってレジストローラ対(104)にまで搬送する。搬送された用紙は、レジストローラ対(104)によって所定のタイミングで転写部(105)に給紙され、感光体ドラム(106)上に作成されたトナー画像を用紙に転写し、定着部(107)でトナー画像が用紙に定着される。
【0003】
このような縦搬送形式の画像形成装置では、ジャム処理や保守点検等を行い易くするために、搬送路に近いハウジングの片側壁の一部を開閉可能な開閉カバー(108)としているが、図10に示されるように感光体ドラム(106)も搬送路の近くに配置されている。この状態で、開閉カバー(108)を開けた場合、感光体ドラム(106)の一部が、外部に露出した状態となり、ジャム処理等を行う作業員の手や装身具、工具が感光体ドラム(106)に当たって感光体ドラム(106)を傷つけたり、外光が直接照射されることによって感光体ドラム(106)が劣化するといった問題があった。
【0004】
この問題を解決するために特許文献1では、ハウジングと開閉カバーとの間にストラップを張架するとともに、このストラップにカバー部材を取り付け、カバーの開時にカバー部材が感光体ドラムを覆う位置に移動し、閉時にはカバー部材が収納される位置に移動するようにする機構が提案されている。
しかしながら、特許文献1の機構は、紐状体とローラ、プーリーにより構成されていることから、上下左右方向の動作が不安定であり、ジャム処理や保守点検時にユーザの手などが触れることによりその機構が外れる可能性がある。
【0005】
特許文献2に開示された機構では、特許文献1の問題を解決するために、開閉カバーの開操作に伴って、感光体ドラムの搬送路側に移動して感光体ドラムを覆う保護状態となる一方、開閉カバーの閉操作に伴って、感光体ドラムの搬送路側から退避し、退避状態となる感光体ドラムカバーが設けられている。
特許文献2の機構は、感光体ドラムを保護するには十分の機構であるが、部品点数が多いため、構造が複雑化し、製造コストが上がるといった問題を有している。更に、この機構では、開閉カバーの閉時には、感光体ドラムの天面に感光体ドラムカバーが退避されるため冷却ダクトからの冷却風の流れを妨げ、搬送路に冷却風が届かないといった問題も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−91482号公報
【特許文献2】特開2009−69387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は上記問題を解決するために、開閉カバーの開時に感光体ドラムを保護し、閉時には冷却ダクトからの冷却風を搬送路に送風することができ、さらに部品点数も減らすことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は以下の構成からなる。
請求項1に係る発明は、装置本体の側面を開閉可能な開閉カバーと、前記開閉カバーの内側近傍に配設された感光体ドラムと、前記感光体ドラムを保護するための保護機構とを備える画像形成装置であって、前記保護機構は、前記感光体ドラムを覆うシート部材と、前記開閉カバーの開閉に連動して前記シート部材を移動させるべく前記シート部材と前記開閉カバーとを連結するリンクアームとを備え、前記シート部材は、前記リンクアームと連動して、開閉カバーの開時には前記感光体ドラムの前記開閉カバー側を覆う位置に移動し、前記開閉カバーの閉時には前記感光体ドラムの上方に移動し、前記閉時における前記シート部材の移動には、前記シート部材の変形に対する復元力を利用することを特徴とする画像形成装置に関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記保護機構は、前記シート部材と、前記シート部材の上下端を夫々保持する上下のシートホルダーと、前記上シートホルダーを前記感光体ドラム上方において略水平方向に進退可能にガイドするホルダーレールと、前記リンクアームの上端を上下方向に昇降可能にガイドするアームレールとを備え、前記リンクアームは、上端が前記下シートホルダーと連結され且つ下端が前記開閉カバーと連結されており、前記開閉カバーの開時に、前記下シートホルダーが前記リンクアームの上端と共に前記アームレールに沿って下降するとともに、前記上シートホルダーが前記ホルダーレールに沿って前進することにより、前記シート部材が前記感光体ドラムの開閉カバー側を覆う位置に移動し、前記開閉カバーの閉時に、前記下シートホルダーが前記リンクアームの上端と共に前記アームレールに沿って上昇するとともに、前記上シートホルダーが前記ホルダーレールに沿って後退することにより、前記シート部材が前記感光体ドラムの上方に移動することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置に関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記下シートホルダーと前記リンクアームの上端の連結部が、前記下シートホルダーの姿勢の角度を規制するための姿勢規制機構を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置に関する。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記リンクアームと前記開閉カバーの連結部が、開閉カバーの開閉動作とシート部材の昇降動作のタイミングをずらすための遊び部を備えることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の画像形成装置に関する。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記シート部材の素材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミドからなる群から選択されることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の画像形成装置に関する。
【0013】
請求項6に係る発明は、装置本体を冷却するための冷却機構を更に備えており、前記冷却機構は、吸気ファンと、前記吸気ファン側に吸気口を有し且つ前記開閉カバー側に排気口を有する冷却ダクトを備え、前記排気口内に前記ホルダーレールの後端部が配置されていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の画像形成装置に関する。
【0014】
請求項7に係る発明は、前記排気口が前記ホルダーレールの後端部に比べて上下方向に広く形成されていることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置に関する。
【0015】
請求項8に係る発明は、前記ホルダーレールの端部が、前記冷却ダクトの前記排気口内に向かって下向きに傾斜することを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、装置本体の側面を開閉可能な開閉カバーと、前記開閉カバーの内側近傍に配設された感光体ドラムと、前記感光体ドラムを保護するための保護機構とを備える画像形成装置であって、前記保護機構は、前記感光体ドラムを覆うシート部材と、前記開閉カバーの開閉に連動して前記シート部材を移動させるべく前記シート部材と前記開閉カバーとを連結するリンクアームとを備え、前記シート部材は、前記リンクアームと連動して、開閉カバーの開時には前記感光体ドラムの前記開閉カバー側を覆う位置に移動し、前記開閉カバーの閉時には前記感光体ドラムの上方に移動し、前記閉時における前記シート部材の移動には、前記シート部材の変形に対する復元力を利用することから、開閉カバーの開時に確実に感光体ドラムを保護することができる。また、シート部材は、その変形に対する復元力により開閉カバーの閉時に感光体ドラムを覆う位置から感光体ドラムの上方に移動することができるため、シート部材を移動させるための特別な機構を設ける必要がなく、部品点数を減らすことができ、製造コストも下げることができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、保護機構は、シート部材と、前記シート部材の上下端を夫々保持する上下のシートホルダーと、前記上シートホルダーを前記感光体ドラム上方において略水平方向に進退可能にガイドするホルダーレールと、前記リンクアームの上端を上下方向に昇降可能にガイドするアームレールとを備え、前記リンクアームは、上端が前記下シートホルダーと連結され且つ下端が前記開閉カバーと連結されており、前記開閉カバーの開時に、前記下シートホルダーが前記リンクアームの上端と共に前記アームレールに沿って下降するとともに、前記上シートホルダーが前記ホルダーレールに沿って前進することにより、前記シート部材が前記感光体ドラムの開閉カバー側を覆う位置に移動し、前記開閉カバーの閉時に、前記下シートホルダーが前記リンクアームの上端と共に前記アームレールに沿って上昇するとともに、前記上シートホルダーが前記ホルダーレールに沿って後退することにより、前記シート部材が、前記感光体ドラムの上方に移動する。従って、上下のシートホルダーによりシート部材がしっかりと保持され、ホルダーレールとアームレールによりシート部材が正確にガイドされる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、下シートホルダーと前記リンクアームの上端の連結部が、前記下シートホルダーの姿勢の角度を規制するための姿勢規制機構を備えることから、シート部材が感光体ドラムを覆う位置にある時に、下シートホルダーが傾くことによりシート部材が変形し、開閉カバーと搬送路との間に形成される開口部にシート部材が突出することを防止することができる。従って、ジャム処理や保守点検時に必要な機械内部の開口部を大きく確保することができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、リンクアームと開閉カバーを連結させるための連結部が、遊び部を備えることから、開閉カバーの開閉動作とシート部材の昇降動作のタイミングをずらすことができる。これにより、開閉カバーが略閉じる状態となってはじめて、シート部材が感光体ドラムの上方に移動することとなり、感光体ドラムを完全に保護することができる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、シート部材の素材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミドからなる群から選択されることから、開閉カバーが閉じる時に生じる変形に対する復元力が大きくなり、開閉カバーの閉動作に応じてシート部材を感光体ドラムを覆う位置から感光体ドラムの上方に確実に移動させることができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、装置本体を冷却するための冷却機構を更に備えており、前記冷却機構は、吸気ファンと、前記吸気ファン側に吸気口を有し且つ前記開閉カバー側に排気口を有する冷却ダクトを備え、前記排気口内に前記ホルダーレールの後端部が配置されていることから、前記シート部材が前記感光体ドラムの上方に位置するときに、前記冷却ダクトの排気口から排出される冷却風を、前記シート部材と前記ホルダーレールに沿って、効率よく装置本体内に排出させることができる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、排気口は前記ホルダーレールの後端部に比べて上下方向に広く形成されていることから、排気口から排出される冷却風は、シート部材の上方と、ホルダーレールに沿う方向と、ホルダーレールの下方を通る3方向に排出されることとなる。従って、装置本体内の全体を効率よく冷却することができる。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、ホルダーレールの端部が、前記冷却ダクトの前記排気口内に向かって下向きに傾斜することから、シート部材を保持するシートホルダーが排気口に向かって下向きに傾斜する。従って、シート部材の上方を通る冷却風は、その傾斜に沿って上方に配されている定着部に確実に送風され、定着部を効率よく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る画像形成装置の要部を示す断面図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の開閉カバー閉時の感光体ドラム保護機構の状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の開閉カバー開時の感光体ドラム保護機構の状態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置の感光体ドラムの保護機構を示す拡大斜視図である。
【図5】本発明に係る画像形成装置のシートホルダーの端部とリンクアームの嵌合部分の一実施形態を示す拡大斜視図である。
【図6】本発明に係る画像形成装置の感光体ドラムの保護機構の一実施形態を示す側面図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置の冷却ダクトの一実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る画像形成装置の冷却ダクトの一実施形態を示す側面断面図である。
【図9】本発明に係る画像形成装置の冷却ダクトの一実施形態を示す拡大側面断面図である。
【図10】従来の画像形成装置の全体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置内の保護機構を示す断面図であり、図2は開閉カバーの閉時の本発明の一実施形態に係る感光体ドラムの保護機構の状態を示した斜視図であり、図3は開閉カバーの開時の本発明の一実施形態に係る感光体ドラムの保護機構の状態を示した斜視図であり、図4は本発明に係る画像形成装置の下シートホルダーの姿勢の角度を規制するために設けられた姿勢規制機構の一実施形態を示す斜視図であり、図5は姿勢規制機構を示す拡大斜視図であり、図6は本発明に係る画像形成装置のリンクアームと開閉カバーの連結部に設けられた長穴形状の遊び部を示す側面図である。
【0026】
図1に示すように、画像形成装置(1)は、給紙カセット(2)に収納した用紙(P)をピックアップローラ(3)によって1枚ずつ取り出し、搬送ローラ(4)を経てレジストローラ対(5)にまで搬送する。感光体ドラム(6)の表面に露光装置から画像情報に基づく光が照射され、光が照射された部分の帯電状態の消滅によって静電潜像が形成される。この静電潜像に向けて現像装置(7)からトナーが供給されると、感光体ドラム(6)表面にトナー像が形成され、このトナー像がレジストローラ(5)対によって所定のタイミングで給紙される用紙(P)に転写される。転写後の用紙(P)が定着部(8)に搬送されるように構成され、用紙(P)の一連の搬送路(9)は、装置本体(1A)の縦方向に設定されている。
【0027】
画像形成装置(1)は、装置本体(1A)の側面を開閉可能な開閉カバー(10)と、開閉カバー(10)の内側近傍に配設された感光体ドラム(6)と、感光体ドラム(6)を保護する保護機構(11)を備えている。開閉カバー(10)は、その下端部が装置本体(1A)に対して回動可能に連結されており、開閉カバー(10)を開閉操作すると、装置本体(1A)と開閉カバー(10)との間に開口部が形成される開状態(一点鎖線で示される位置)と、画像形成が可能となる閉状態とに切り換わる。開閉カバー(10)が閉状態にあるときには、後程詳述する保護機構(11)により、シート部材(12)が、感光体ドラム(6)の上方に移動するが、開閉カバー(10)が開状態にあるときには、保護機構(11)により、シート部材(12)が開閉カバー(10)側を覆う位置に移動し、感光体ドラム(6)を保護するよう構成されている。
【0028】
以下に、図1を参照しながら図2及び図3に基づいて感光体ドラム(6)の保護機構(11)について詳述する。ここで図の説明の便宜上、図2及び図3の矢印で示すA及びBの方向を、正面方向及び背面方向とし、C及びDの方向を左方向及び右方向とする。
図2及び図3に示されるように、保護機構(11)は、感光体ドラム(6)を保護するシート部材(12)と、シート部材(12)を上端で保持する上シートホルダー(13a)と下端で保持する下シートホルダー(13b)と、上シートホルダー(13a)を略水平方向(正面方向及び背面方向)に進退可能にガイドする一対のホルダーレール(14)と、開閉カバー(10)の開閉に連動してシート部材(12)を移動させるべく下シートホルダー(13b)と開閉カバー(10)とを連結するリンクアーム(15)と、リンクアーム(15)を下方向にガイドする一対のアームレール(16)を備えている。
【0029】
シート部材(12)は、開閉カバー(10)の開操作に伴って、感光体ドラム(6)の開閉カバー(10)側を覆う位置、つまり搬送路(9)側に移動(下降)し、ジャム処理等の作業者の手や装身具、工具などが感光体ドラム(6)に接触し、感光体ドラム(6)を傷つけることから保護するものである。シート部材(12)は、開閉カバー(10)の閉時に、感光体ドラム(6)を覆う位置から感光体ドラム(6)の上方に移動する。この移動時においては、後述する如く、シート部材(12)の変形に対する復元力を利用する。そのため、シート部材(12)には適度な復元力を有する素材、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド等が用いられ、中でもポリエチレンテレフタレートが好適に用いられる。
また、シート部材(12)は、矩形状に形成され、その幅方向(図2に示す左右方向)の寸法が、感光体ドラム(6)の幅方向の長さ以上に設定されるとともに、縦方向(図2に示す正面、背面方向)の寸法が感光体ドラム(6)の外径の約2倍程度に設定される。
【0030】
シートホルダー(13)は、図2及び図3に示される上シートホルダー(13a)と下シートホルダー(13b)とを備えている。上シートホルダー(13a)はシート部材(12)の上端部を略全幅にわたって固定支持し、下シートホルダー(13b)はシート部材(12)の下端部を略全幅にわたって固定支持する。また、これらシートホルダー(13a、13b)は、左右両端に一対の端部材(13c、13d)を備えている。上シートホルダー(13a)の端部材(13c)はホルダーレール(14)と嵌合しており、上シートホルダー(13a)は略水平に配されたホルダーレール(14)に沿って移動自在に支持される。また、下シートホルダー(13b)の端部材(13d)は一対のアームレール(16)の縦スライドガイド溝(16a)と嵌合しており、下シートホルダー(13b)は縦方向に配されたアームレール(16)に沿って移動自在に支持されている。
【0031】
ホルダーレール(14)は、感光体ドラム(6)の上方で略水平方向(図1に示す横方向)に装置本体(1A)に固定支持され、水平方向に横スライドガイド溝(14a)を備えている。上シートホルダー(13a)の端部材(13c)は、横スライドガイド溝(14a)に嵌合して移動する。
アームレール(16)は、感光体ドラム(6)と開閉カバー(10)の間で縦方向(図1に示す上下方向)に装置本体(1A)に固定支持され、縦スライドガイド溝(16a)を備えている。下シートホルダー(13b)の端部材(13d)は、縦スライドガイド溝(16a)に嵌合して移動する。
【0032】
一対のリンクアーム(15)は、上端がそれぞれ下シートホルダー(13b)の一対の端部材(13d)と連結され且つ、下端がそれぞれ開閉カバー(10)と連結されている。この一対のリンクアーム(15)によって、開閉カバー(10)と下シートホルダー(13b)との連動が可能となっている。これにより、開閉カバー(10)の開時に、下シートホルダー(13b)は、リンクアーム(15)の上端と共にアームレール(16)の縦スライドガイド溝(16a)に沿って下降するとともに、上シートホルダー(13a)がホルダーレール(14)に沿って前進することにより、シート部材(12)が感光体ドラム(6)の開閉カバー(10)側を覆う位置に移動する。開閉カバー(10)の閉時には、下シートホルダー(13b)は、リンクアーム(15)の上端と共にアームレール(16)の縦スライドガイド溝(16a)に沿って上昇するとともに、上シートホルダー(13a)がホルダーレール(14)に沿って後退することにより、シート部材(12)が感光体ドラム(6)の上方に移動する。この上方への移動時には、シート部材(12)の変形に対する復元力を利用する。
より詳しく説明すると、シート部材(12)が下降した状態で開閉カバー(10)を閉じると、シート部材(12)の下端は、下シートホルダー(13b)と共に、上昇する。このとき、上シートホルダー(13a)を後退させるための力として前記復元力を利用する。つまり、シート部材(12)の下端が上昇すると、シート部材は撓み変形しようとするが、変形に対する復元力により上シートホルダー(13a)を後退させる。
【0033】
本発明にかかる保護機構(11)は、シートホルダー(13)の姿勢を規制するための姿勢規制機構を設けることもできる。
姿勢規制機構は、下シートホルダー(13b)の端部材(13d)に形成された突出部(17)と、リンクアーム(15)の上端の切欠き部(18)からなる。
図4及び図5に示されるように、下シートホルダー(13b)の一対の端部材(13d)の一部に突出部(17)を設ける。さらに、下シートホルダー(13b)の端部材(13d)の突出部(17)とリンクアーム(15)の端部を嵌合させ、リンクアーム(15)を回動可能に構成する。
【0034】
リンクアーム(15)の端部には切欠き部(18)が設けられており、下シートホルダー(13b)の端部材(13d)の突出部(17)と嵌合するように構成される。この切欠き部(18)の大きさを調整することにより下シートホルダー(13b)の回転角度を調整し、下シートホルダー(13b)は最適な姿勢に規制される。これにより、開閉カバー(10)の開時に、シート部材(12)が変形し、開閉カバー(10)側の開口部に向かってシート部材(12)が突出することを防止することができる。
【0035】
図6に示されるように、リンクアーム(15)の開閉カバー(10)との接続部である一端部に、長穴形状の遊び部(19)を設けてもよい。この長穴形状の遊び部(19)に開閉カバー(10)の接続部(20)をスライド可能に嵌合する。これにより、感光体ドラム(6)を保護するシート部材(12)は、開口部が略閉まる位置まで移動しないと感光体ドラム(6)の上方向に移動することはない。従って、感光体ドラム(6)を確実に保護することができる。
【0036】
図7から図9に基づいて、本発明に係る画像形成装置の冷却機構と保護機構との関係を以下に詳細に説明する。尚、図に示されている矢印は冷却風の流れを示している。
本発明に係る画像形成装置は、装置本体を冷却するための冷却機構(21)をさらに備えている。この冷却機構(21)は、吸気ファン(22)と、吸気ファン(22)側に吸気口(23)を有し且つ開閉カバー(10)側に排気口(24)を有する冷却ダクト(25)を備えている。ホルダーレール(14)の後端部は、排気口(24)内に配置されている。
【0037】
開閉カバー(10)に対して反対側に位置するホルダーレール(14)の端部は、冷却風を排出する排気口(24)内に配され、さらに排気口(24)がホルダーレール(14)の後端部に比べて上下方向に広く形成されている。
これにより、シート部材(12)が感光体ドラム(6)の上方に位置するときに、冷却ダクト(25)側の上シートホルダー(13a)の端部は、冷却ダクト(25)の排気口(24)を3分割するように配されることとなる。従って、図8に示されるように冷却風は、排気口(24)から定着部(8)と、感光体ドラム(6)と、搬送路(9)の3方向に排出される。
【0038】
図9に示されるようにホルダーレール(14)の端部は、冷却ダクト(25)の排気口(24)内に向かって下向きに傾斜するように構成してもよい。
これにより、シート部材(12)が感光体ドラム(6)の上方にあるとき、上シートホルダー(13a)は、排気口(24)に向かって下向きに傾斜して排気口(24)内に配されることになる。従って、上シートホルダー(13a)の上方を通る冷却風は、上シートホルダー(13a)の傾斜に沿って上方向に排出され、搬送路(9)より上方に配されている定着部に確実に送られる。また、上シートホルダー(13a)は、排気口(24)に向かって下向きに傾斜しているため、排気口(24)から排出される冷却風が上シートホルダー(13a)とシート部材(12)に沿って排出されることとなり、搬送路(9)の方向に送風され、さらにホルダーレール(14)よりも下方向に排出される冷却風は感光体ドラム(6)方向に送風されることとなる。
【0039】
感光体ドラム(6)に冷却風を確実に送風するために、冷却機構(21)の排気口(24)に冷却風を感光体ドラム(6)方向に導くための補助排気口(26)を設けてもよい。これにより、確実に感光体ドラム(6)に冷却風を導くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る画像形成装置は、用紙の搬送路を鉛直方向に形成したいわゆる縦搬送形式を利用した様々なコピー機、プリンター、FAXに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1・・・画像形成装置
6・・・感光体ドラム
10・・開閉カバー
11・・保護機構
12・・シート部材
13・・シートホルダー
14・・ホルダーレール
15・・リンクアーム
16・・アームレール
17・・突出部
18・・切欠き部
19・・遊び部
22・・吸気ファン
23・・吸気口
24・・排気口
25・・冷却ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の側面を開閉可能な開閉カバーと、前記開閉カバーの内側近傍に配設された感光体ドラムと、前記感光体ドラムを保護するための保護機構とを備える画像形成装置であって、
前記保護機構は、前記感光体ドラムを覆うシート部材と、前記開閉カバーの開閉に連動して前記シート部材を移動させるべく前記シート部材と前記開閉カバーとを連結するリンクアームとを備え、
前記シート部材は、前記リンクアームと連動して、開閉カバーの開時には前記感光体ドラムの前記開閉カバー側を覆う位置に移動し、前記開閉カバーの閉時には前記感光体ドラムの上方に移動し、
前記閉時における前記シート部材の移動には、前記シート部材の変形に対する復元力を利用することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記保護機構は、前記シート部材と、前記シート部材の上下端を夫々保持する上下のシートホルダーと、前記上シートホルダーを前記感光体ドラム上方において略水平方向に進退可能にガイドするホルダーレールと、前記リンクアームの上端を上下方向に昇降可能にガイドするアームレールとを備え、
前記リンクアームは、上端が前記下シートホルダーと連結され且つ下端が前記開閉カバーと連結されており、
前記開閉カバーの開時に、前記下シートホルダーが前記リンクアームの上端と共に前記アームレールに沿って下降するとともに、前記上シートホルダーが前記ホルダーレールに沿って前進することにより、前記シート部材が前記感光体ドラムの開閉カバー側を覆う位置に移動し、
前記開閉カバーの閉時に、前記下シートホルダーが前記リンクアームの上端と共に前記アームレールに沿って上昇するとともに、前記上シートホルダーが前記ホルダーレールに沿って後退することにより、前記シート部材が前記感光体ドラムの上方に移動することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記下シートホルダーと前記リンクアームの上端の連結部が、前記下シートホルダーの姿勢の角度を規制するための姿勢規制機構を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記リンクアームと前記開閉カバーの連結部が、開閉カバーの開閉動作とシート部材の昇降動作のタイミングをずらすための遊び部を備えることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シート部材の素材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミドからなる群から選択されることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
装置本体を冷却するための冷却機構を更に備えており、
前記冷却機構は、吸気ファンと、前記吸気ファン側に吸気口を有し且つ前記開閉カバー側に排気口を有する冷却ダクトを備え、
前記排気口内に前記ホルダーレールの後端部が配置されていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記排気口は、前記ホルダーレールの後端部に比べて上下方向に広く形成されていることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ホルダーレールの端部が、前記冷却ダクトの前記排気口内に向かって下向きに傾斜することを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−170046(P2011−170046A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32791(P2010−32791)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】