説明

画像形成装置

【課題】 画像形成装置の本体内部の空気を好適に外部に排出することのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 筐体101の側面には,通気口151が設けられている。手差しトレイ110には,開口部111が設けられている。手差しトレイ110は,開いた載置状態と,閉じた格納状態とをとることができるものである。格納状態では,手差しトレイ110は,筐体101における通気口151がある側の側面に対面するように配置される。そして,排気ファン150により筐体101の内部から外部に通気口151を通して排出された空気は,開口部111から排出される。なお,載置状態では,筐体101の内部の空気は,排気ファン150により通気口151から筐体101の外部に問題なく排気される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像形成装置に関する。さらに詳細には,画像形成装置本体の内部の空気を外部に好適に排出することのできる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は,帯電させた像担持体の表面を露光して静電潜像を形成し,これにトナーを付与して現像し,得られたトナー像を記録媒体上に転写して画像を形成するものである。そして記録媒体上のトナー像を定着するために,定着装置が設けられていることが一般的である。定着装置は,記録媒体を加熱するための加熱装置でもある。したがって,定着装置は発熱することとなる。このような定着装置の発する熱が画像形成装置本体の内部にこもると,例えば現像容器内部のトナーが固まってしまうおそれがある。トナーが固まってしまうと,そのトナーにより画像形成を行った画像の品質は低い。
【0003】
そのため,画像形成装置本体の内部の熱を外部に逃がすために,特許文献1(図2参照)や特許文献2(図1等参照)には,空気を外部に排出するためのファンを設けた画像形成装置が開示されている。また,特許文献3(図1〜3参照)には,現像容器および定着装置の近くに空気の流路となる通気部材を設けた画像形成装置が開示されている。また,特許文献4(図4(A)(B)参照)には,給紙カセットの出入動作に連動して画像形成装置本体の内部に空気を流す画像形成装置が開示されている(特許文献4の段落
[0054]から段落[0056]までを参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−27533号公報
【特許文献2】特開平6−161199号公報
【特許文献3】特開2009−14825号公報
【特許文献4】特開2009−230053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年,画像形成装置のコンパクト化が技術課題としてクローズアップされてきている。オフィス内でのスペースを有効に活用するためである。このようなコンパクト化を達成するために,排気口と手差しトレイとが近接して設けられることが多くなってきている。そのため,手差しトレイを格納した状態では,排気装置と手差しトレイとが近接して対向した状態となる。
【0006】
しかし,このように排気装置と手差しトレイとが近接対向した状態では,排気装置により画像形成装置本体から排出された空気は格納された手差しトレイに遮られる。これにより空気は流れを変えられ,画像形成装置本体の内部に再び入ることがある。これでは,画像形成装置内部の冷却効果は十分に得られない。
【0007】
とはいえ,空気の排気方向は,本体側面から斜め下に向けて排気されるように安全規格で定められており,その方向を大きく変更することはできない。一方,手差しトレイを小さくしすぎると,用紙を載置することができない。また,排気装置の大型化や追加をすることは,そもそもコンパクト化という目的にそぐわない。
【0008】
本発明は,前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,画像形成装置本体の内部の空気を好適に外部に排出することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題の解決を目的としてなされた本発明の画像形成装置は,用紙に画像を形成する画像形成部と,画像形成部により画像形成された用紙に画像を加熱して定着させる定着装置と,画像形成部と定着装置とを内部に備える筐体と,筐体の側面の一部に開口している通気口と,筐体の内部に配置されるとともに通気口を通して筐体の内部の空気を外部に排出する排気装置と,筐体の外部から画像形成部に給紙する用紙を載置する手差し用紙載置部とを有するものである。そして,手差し用紙載置部は,手差し用紙を載置できる載置状態と,その載置面が筐体における通気口が設けられている側の側面に対面するように配置される格納状態との少なくとも2つの状態をとることができるものであるとともに,厚み方向に貫通する貫通孔が設けられているものである。かかる画像形成装置は,格納状態において,通気口により筐体の外部に排気された空気を,手差し用紙載置部の貫通孔からさらに外部へ排出することができる。すなわち,載置状態のみならず,格納状態においても,筐体の内部の空気を外部に滞りなく排出することができる。
【0010】
上記に記載の画像形成装置において,手差し用紙載置部の一方の面に,第1の方向に平行に形成された第1リブと,第1の方向に交差する第2の方向に平行に形成された第2リブとがそれぞれ複数設けられており,貫通孔が,第1リブと,第2リブとにより区画されるマス目の位置に形成されているとよい。第1リブおよび第2リブが,空気の流れを整える整流フィンの役割を果たすからである。そのため,スムーズに空気が流れることとなるからである。
【0011】
上記に記載の画像形成装置において,載置状態では,第1の方向が用紙の搬送方向であるとなおよい。手差し用紙の搬送が好適に行われるからである。
【0012】
上記に記載の画像形成装置において,筐体の側面に通気口が複数形成されており,筐体の側面に,通気口間に位置するとともに,筐体の内側ほど高く外側ほど低い傾斜をなすように配置された複数の整流板を有し,第2リブは,格納状態で,筐体の内側寄りほど高く外側寄りほど低い傾斜をなすように配置されているものであるとさらによい。画像形成装置本体の斜め下に,より好適に排気することができるからである。
【0013】
上記に記載の画像形成装置において,格納状態では,整流板のうち最も上側のものをその傾斜面の方向に延長した線から整流板のうち最も下側のものをその傾斜面の方向に延長した線までの範囲内の手差し用紙載置部に,少なくとも一つの貫通孔が存在するものであるとさらによい。より好適に排気することができるからである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば,画像形成装置本体の内部の空気を好適に外部に排出することのできる画像形成装置が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置を説明するための斜視図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置における手差しトレイを広げた様子を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置を説明するための概略構成図である。
【図4】本発明に係る画像形成装置の手差しトレイを説明するための斜視図(その1)である。
【図5】本発明に係る画像形成装置の手差しトレイを説明するための斜視図(その2)である。
【図6】図1のFF断面の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,画像形成装置について,本発明を具体化したものである。
【0017】
1.画像形成装置
図1は,本形態の画像形成装置100の斜視図である。画像形成装置100は,その筐体101の内部に画像形成部を備えるとともに,筐体101の外部の側面下部に手差しトレイ110を備えるものである。手差しトレイ110は,下端で回転可能に支持されている。手差しトレイ110は,ユーザがつまみ部114を操作することにより手差しトレイ110を開閉することができるようになっている。手差しトレイ110を閉じた状態を図1に示す。手差しトレイ110を開いた状態を図2に示す。図2に示すように,手差しトレイ110を開いた状態では,通気口151が外部から見えている。図1では,通気口151は手差しトレイ110に隠れているため見えない。手差しトレイ110や通気口151の構造等については後で詳しく述べる。
【0018】
図3は,本形態の画像形成装置100の内部機構の概略構成図である。本形態の画像形成装置100は,図3に示すように,画像形成部1と,定着装置70とを有している。図1でいえば,画像形成部1は,筐体101の内部における矢印Kの指し示す辺りの内部にある。図1でいえば,定着装置70は,筐体101の内部における矢印Lの指し示す辺りの内部にある。画像形成部1は,感光体ドラム10と,帯電ローラ20と,露光装置30と,現像装置40と,転写ローラ50と,クリーニング装置60とを有している。
【0019】
感光体ドラム10は,その表面で静電潜像やトナー像を担持するための像担持体である。帯電ローラ20は,感光体ドラム10の表面を一様に帯電するためのものである。露光装置30は,帯電ローラ20により一様に帯電された感光体ドラム10の表面を露光することにより感光体ドラム10の表面に静電潜像を描くためのものである。
【0020】
現像装置40は,感光体ドラム10に担持された静電潜像を現像するためのものである。現像装置40は,現像ローラ41を有している。現像ローラ41は,感光体ドラム10に現像剤を付与するための現像部材である。転写ローラ50は,感光体ドラム10に担持されたトナー像を用紙に転写するためのものである。
【0021】
クリーニング装置60は,感光体ドラム10の表面から現像残トナーを回収するためのものである。クリーニング装置60は,クリーニングブレード61と,廃トナーボックス62とを有している。クリーニングブレード61は,感光体ドラム10の表面から現像残トナーを擦り落とすためのクリーニング部材である。廃トナーボックス62は,クリーニングブレード61により擦り落とされたトナーを回収するための容器である。
【0022】
定着装置70は,定着ローラ71と,加圧ローラ72とからなるローラ対を有している。定着ローラ71は,用紙に転写されたトナーを加熱するためのローラである。そのため,定着ローラ71は,その内部に発熱する熱源を有している。定着ローラ71,加圧ローラ72のローラ対は,定着ローラ71によりトナーを加熱するとともに,加圧するためのものである。このように定着ローラ71は,その内部で発熱する。したがって,画像形成装置100の内部の温度は,定着ローラ71の発熱とともに上昇することとなる。
【0023】
感光体ドラム10は図3の矢印Aの向きに回転するものである。帯電ローラ20は,図3の矢印Bの向き,すなわち感光体ドラム10の回転方向にならう向きに回転するものである。現像ローラ41は,図3の矢印Cの向き,すなわち感光体ドラム10の回転方向にならう向きに回転するものである。ただし,現像ローラ41は,矢印Cとは逆の向き,すなわち感光体ドラム10とカウンタ回りに回転するものであってもよい。現像することができることに変わりないからである。転写ローラ50は,図3の矢印Dの向き,すなわち感光体ドラム10にならう向きに回転するものである。そして用紙は,矢印Pの向きに走行する。
【0024】
続いて,画像形成装置100の基本的動作について簡単に説明する。感光体ドラム10は,前述のとおり図3中の矢印Aの向きに回転する。そしてその回転に伴って,以下に示す処理が施される。まず,帯電ローラ20が,矢印Bの向きに回転しつつ感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる。帯電後の感光体ドラム10の表面の電位は,画像の背景部電位である。
【0025】
その下流では,露光装置30が,感光体ドラム10の表面に静電潜像を描きこむ。すなわち,露光を受けた箇所の電位が,画像部電位となるのである。さらにその下流では,図3中の矢印Cの向きに回転する現像ローラ41が,感光体ドラム10の表面に形成された静電潜像にトナーを付与する。これにより,感光体ドラム10の表面にトナー像が形成される。このトナー像は,図3の転写ローラ50によって矢印Pの向きに搬送される用紙に転写されることとなる。
【0026】
その後,トナー像を転写された用紙は,定着ローラ71,加圧ローラ72のローラ対により加熱されるとともに加圧される。これにより,トナー像が用紙に定着される。そして,定着ローラ71の発する熱は,その一部が用紙に伝わるとともに,残りの熱が画像形成装置100の内部に放熱されることとなる。
【0027】
2.手差しトレイ
本実施の形態の手差しトレイ110は,図2に示すように手差しトレイ110の下端で支持されるとともに,下端を支点として回転することにより開閉可能なものである。したがって,手差しトレイ110は,閉じた格納状態(図1参照)と,開いた載置状態(図2)との2とおりの状態をとることができるようになっている。
【0028】
手差しトレイ110の開閉は,ユーザがつまみ部114を操作することにより行われる。手差しトレイ110による用紙の供給を行わないときには,図1にあるように手差しトレイ110を画像形成装置100の本体側面に格納した状態にすることができる。手差しトレイ110は,図2のように開いた状態にあるときにユーザの手差し用紙を用いてコピーをとることができるようになっている。つまり,手差しトレイ110は,手差し用紙を載置するための手差し用紙載置部である。その場合の搬送方向は,図2の矢印Eの向き,すなわち筐体101に向かう向きである。
【0029】
図4は,画像形成装置100の手差しトレイ110を裏側から見た斜視図である。図4中の矢印Eは,図2中の矢印Eと同じ用紙搬送方向を示している。手差しトレイ110の裏面116は,図1で示したように,不使用時には画像形成装置100の本体側面に格納されて外部から見えなくなる面である。使用時には,手差しの用紙を載置することとなる面である。
【0030】
図4に示すように,手差しトレイ110の裏面116には,縦方向リブ113と,横方向リブ112と,縦方向リブ115とがそれぞれ複数形成されている。縦方向リブ113は,用紙搬送方向に平行に形成された第1リブである。横方向リブ112は,用紙搬送方向に垂直な方向に形成された第2リブである。縦方向リブ115は,用紙搬送方向に平行に形成されたリブである。なお,用紙搬送方向は,第1の方向である。用紙搬送方向に垂直な方向は,第2の方向である。
【0031】
横方向リブ112は,複数の縦方向リブ113のうち一方の端部のものから他方の端部までの範囲にわたって形成されている。縦方向リブ113は,手差しトレイ110の上端118から複数の横方向リブ112のうち,用紙搬送方向(矢印E)の最も下流側に位置するものまでの範囲にわたって形成されている。
【0032】
横方向リブ112,縦方向リブ113,115はいずれも用紙を下側から支持するためのものである。また,手差しトレイ110に用紙が載置された状態で,用紙の重みにより手差しトレイ110自身が撓まないようにするための強度補強部の役割も果たすものである。また,詳しくは後述するが,手差しトレイ110は,整流フィンの役割も果たすものである。
【0033】
図4に示すように,縦方向リブ113と,横方向リブ112とは,格子状に交わるように形成されている。そして,その格子のマス目の箇所は,開口している開口部111となっている。開口部111は,手差しトレイ110を厚さ方向に貫通している貫通孔である。縦方向リブ113と,横方向リブ112とは,格子状に交わるように配置されているため,開口部111が形成されていても,手差しトレイ110の強度は十分である。
【0034】
図5は,手差しトレイ110の表側からみた斜視図である。表面117は,手差しトレイ110の格納時に,外部から視認できる側の面のことである。図5に示すように,表面117からみたときに開口部111が外部から見えるようになっている。そして後述するように,手差しトレイ110を画像形成装置100の本体へ格納したときには,開口部111は,画像形成装置100の本体から排出される空気を通す通気口となるものである。
【0035】
図6は,図1のFF断面の一部を示す断面図である。図6では,手差しトレイ110が格納された状態を示している。この格納状態では,手差しトレイ110は,筐体101の側面に対面している。画像形成装置100の筐体101の内部には,排気ファン150が設けられている。排気ファン150は,筐体101の内部の空気を筐体101の外部に排出するための排気装置である。なお,排気ファン150は,筐体101の外面板のすぐ内側であって,定着装置70に近い位置に配置されている。
【0036】
図6に示すように,排気ファン150の送風方向の下流の位置における筐体101の側面には,図2にも示した通気口151が複数設けられている。通気口151は,筐体101の側面の一部を貫通している貫通孔である。つまり,排気ファン150から流れる空気を筐体101の内部から外部に排出するためのものである。そしてこの通気口151は,図2に示したように細長いスリット状である。
【0037】
図6に示すように,筐体101の通気口151間には,整流板152が複数枚配置されている。すなわち,整流板152同士の間が,通気口151となっている。整流板152は,通気口151から排気される空気の流れる向きを定めるためのものである。整流板152は,筐体101の側面に対して傾斜をつけて配置されている。その傾斜は,筐体101の内側ほど高く,外側ほど低い傾斜である。排気ファン150から押し出された筐体101の内部の空気を矢印Gの向き,すなわち筐体101の斜め下の方向に排出するためである。
【0038】
図6に示すような格納状態では,手差しトレイ110の横方向リブ112は,整流板152に対してほぼ平行である。つまり,横方向リブ112の傾斜は,整流板152の傾斜と同程度である。その傾斜は,筐体101の内側寄りほど高く,外側寄りほど低い傾斜である。筐体101の内部から矢印Gの向きに排出された空気をスムーズに外部に排出するためである。なお,このように横方向リブ112と整流板152とがほとんど平行であることが好ましいが,これらは必ずしも正確に平行である必要はない。
【0039】
続いて,格納状態における整流板152と横方向リブ112との位置関係について説明する。整流板152のうち最も上側のものをその傾斜面の方向,すなわち矢印Gの方向に延長した線から,整流板152のうち最も下側のものをその傾斜面の方向,すなわち矢印Gの方向に延長した線までの範囲内の手差しトレイ110に,少なくとも1つの開口部111が存在するとよい。排気される空気の流れがスムーズであるからである。
【0040】
ここで,排気ファン150から排出される空気の流れについて説明する。通気口151から排気される空気の流れる向きは,整流板152の傾斜に沿う向き,すなわち図6中の矢印Gの方向である。この向きで,筐体101の内部の空気は筐体101の外部に排出される。矢印Gの方向に排気された空気は,矢印Hのように画像形成装置100の外部に排気される。すなわち,一時的には,筐体101の側面と手差しトレイ110との間の空間を流れる。そして手差しトレイ110の開口部111から画像形成装置100の外部へ流れるのである。なお,この際に,縦方向リブ113と,横方向リブ112とは,整流フィンとしての役割も担うこととなる。
【0041】
なお,図2に示したように手差しトレイ110が開いた状態の場合には,筐体101の側面にある通気口151の外側の箇所には,通気の障害になるような部材は存在しない。そのため,筐体101内部の空気を好適に排気することができる。したがって,画像形成装置100の本体内部の温度が上昇しすぎるおそれはない。
【0042】
3.従来の画像形成装置との比較
ここで,比較のために開口部111のない従来の画像形成装置について説明する。開口部111の設けられていない手差しトレイを備える画像形成装置では,図6に示すように,矢印Iもしくは矢印Jの向きに気流が流れる。つまり,矢印Gの向きに排気された熱せられた空気は,手差しトレイ(110に相当)の内側の面ではねかえって再び画像形成装置の本体の内部に入り込むのである。
【0043】
したがって,画像形成装置本体の内部に熱がこもりやすい。図6中の矢印Iおよび矢印Jの先には,画像形成部が存在する。画像形成部の現像装置の内部にはトナーが収容されている。そして現像装置付近に熱がこもると,トナーが固まるおそれがある。固まったトナーを用いて画像形成した場合,その画像の品質はいうまでもなく低い。
【0044】
このように,従来の画像形成装置では,手差しトレイを格納した状態のまま画像形成を行うと画像形成装置本体の内部の温度が上昇しすぎるおそれがあった。これにより,画像形成される画像の品質が低いものとなるおそれがあった。しかし,本形態の画像形成装置100では,手差しトレイ110を格納した状態のまま画像形成を行っても画像形成装置100の本体内部の温度が上昇しすぎるおそれはない。
【0045】
なお,図6の矢印Mで示すように,手差しトレイ110の上端118と筐体101との間隔Mが狭いほど,本発明の効果は大きい。例えば,間隔Mが6mm以内であると,より効果が高い。間隔Mが狭いほど,矢印Gの向きに排出された空気が,手差しトレイ110の上端118と筐体101との隙間から外部に排出されにくいからである。
【0046】
4.まとめ
以上,詳細に説明したように,本実施の形態に係る画像形成装置100は,手差しトレイ110に開口部111を設けたものである。そのため,画像形成装置の排気ファンにより排出される空気が,手差しトレイの内側の面にあたってはねかえることにより,再び画像形成装置の内部に入るおそれがなくなった。これにより,内部に熱がこもりにくい画像形成装置が実現されている。
【0047】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,コピー機に限らず,プリンタにも用いることができる。また,公衆回線から印刷ジョブを受信して画像形成する機能を備えた画像形成装置やその他の画像を形成する装置に適用することができる。また,トナーの種類によらず適用できる。トナーでなくともインクであってもよい。
【0048】
また,縦方向リブ113を用紙搬送方向と平行に,横方向リブ112を用紙搬送方向と垂直に設けた。しかし,これらの向きは必ずしも本実施の形態の向きである必要はない。ただし,縦方向リブ113が用紙搬送方向と平行であるほうが,用紙を搬送する上で好ましい。また,縦方向リブ113および横方向リブ112を,手差しトレイ110の裏面116に設けることとしたが,表面117に設けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…画像形成部
10…感光体ドラム
20…帯電ローラ
30…露光装置
40…現像装置
50…転写ローラ
70…定着装置
71…定着ローラ
72…加圧ローラ
100…画像形成装置
110…手差しトレイ
111…開口部
112…横方向リブ
113…縦方向リブ
116…裏面
117…表面
150…排気ファン
151…通気口
152…整流板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成部と,
前記画像形成部により画像形成された用紙に画像を加熱して定着させる定着装置と,
前記画像形成部と前記定着装置とを内部に備える筐体と,
前記筐体の側面の一部に開口している通気口と,
前記筐体の内部に配置されるとともに前記通気口を通して前記筐体の内部の空気を外部に排出する排気装置と,
前記筐体の外部から前記画像形成部に給紙する用紙を載置する手差し用紙載置部とを有する画像形成装置において,
前記手差し用紙載置部は,
手差し用紙を載置できる載置状態と,
その載置面が前記筐体における前記通気口が設けられている側の側面に対面するように配置される格納状態との少なくとも2つの状態をとることができるものであるとともに,
厚み方向に貫通する貫通孔が設けられているものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において,
前記手差し用紙載置部の一方の面に,
第1の方向に平行に形成された第1リブと,前記第1の方向に交差する第2の方向に平行に形成された第2リブとがそれぞれ複数設けられており,
前記貫通孔が,
前記第1リブと,前記第2リブとにより区画されるマス目の位置に形成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において,
前記載置状態では,
前記第1の方向が用紙の搬送方向であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の画像形成装置において,
前記筐体の側面に前記通気口が複数形成されており,
前記筐体の側面に,
前記通気口間に位置するとともに,前記筐体の内側ほど高く外側ほど低い傾斜をなすように配置された複数の整流板を有し,
前記第2リブは,
前記格納状態で,前記筐体の内側寄りほど高く外側寄りほど低い傾斜をなすように配置されているものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において,
前記格納状態では,
前記整流板のうち最も上側のものをその傾斜面の方向に延長した線から前記整流板のうち最も下側のものをその傾斜面の方向に延長した線までの範囲内の前記手差し用紙載置部に,少なくとも一つの前記貫通孔が存在するものであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−175059(P2011−175059A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38319(P2010−38319)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】