説明

画像形成装置

【課題】インク粘度を検出するための構成が複雑である。
【解決手段】サブタンク35にインクを送液し、電極ピン208b、208cでインク液面を検知したときから、電極ピン208c、208aでインク液面を検知するまでの時間を算出し、算出した経過時間Δtと、電極ピン208cと電極ピン208bの長さの差Δh、サブタンク35の横断面積ΔAに基いて、インク液面の移動速度に対応する送液速度Vを得て、送液速度Vからインク粘度を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に液滴を吐出する記録ヘッド及び記録ヘッドに液体を供給するサブタンクを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
このような画像形成装置において、記録ヘッドにインクを供給するサブタンク(ヘッドタンク、バッファタンクとも称される。)を備え、装置本体側に着脱自在に装着されるメインタンク(インクカートリッジとも称する)からサブタンクに対してインクを供給する方式のものが知られている。
【0005】
ところで、インクが再利用された場合や所望のインクが使用されなかった場合に、インクの増粘が生じると、メインタンクからサブタンクへのインク供給を行うときに所要の供給量で供給できなかったり、滴吐出不良を生じたりすることがある。
【0006】
そこで、従来、インクの粘度を検出し、インクを供給するインクタンクに貯められたインクの粘度をインク粘度検出手段で検出し、この検出した粘度に基づいてインクタンクに希釈液を供給してインクタンク内のインクの粘度を調整しながら、印字ヘッドから記録媒体にインクを吐出して画像を形成するものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−207371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のインク粘度検出装置にあっては、構成が複雑であるという課題がある。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で液体粘度を検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに液体を供給するサブタンクと、
前記サブタンクに供給する前記液体を収容するメインタンクと、
前記メインタンクと前記サブタンクとの間に設けられた送液手段と、
前記サブタンクに設けられた複数の長さの異なる電極ピン部材と、
前記メインタンクから前記サブタンクに前記液体を送液し、又は、前記サブタンクから前記メインタンクに前記液体を送液し、前記電極ピン部材の導通状態を検出して前記サブタンク内の液面の移動速度を検出し、前記検出された前記液面の移動速度に基づいて前記液体の粘度を検出する粘度検出手段と、を備えている
構成とした。
【0011】
ここで、前記粘度検出手段は、前記検出された前記液面の移動速度と環境温度に応じて前記液体の粘度を検出する構成とできる。
【0012】
また、前記検出した液体の粘度に応じて前記送液手段の駆動量を変更する構成とできる。
【0013】
また、前記送液手段を駆動して前記サブタンクに送液するときに、予め定めた所定時間経過しても前記サブタンクに前記液体が送液されないと判別手段と、前記所定時間を前記検出した液体の粘度に応じて変更する手段とを備えている構成とできる。
【0014】
また、前記粘度検出手段は、前記メインタンクが交換されたときに、複数回の検出動作を行う構成とできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る画像形成装置によれば、メインタンクからサブタンクに液体を送液し、又は、サブタンクからメインタンクに液体を送液し、電極ピン部材の導通状態を検出してサブタンク内の液面の移動速度を検出し、検出された液面の移動速度に基づいて液体の粘度を検出する構成としたので、簡単な構成で液体の粘度を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る画像形成装置の機構部の全体構成を説明する側面概略構成図である。
【図2】同機構部の要部平面説明図である。
【図3】インク供給系の説明に供する模式的説明図である。
【図4】サブタンクの一例を示す模式的平面説明図である。
【図5】同じく図3の模式的正面説明図である。
【図6】サブタンクの満タン検知の説明に供するキャリッジと満タン検知センサの要部説明図である。
【図7】同じくサブタンクの満タン検知の説明に供する模式的説明図である。
【図8】同装置の制御部を説明する概略ブロック説明図である。
【図9】同制御部が行う本発明の第1実施形態における粘度検出処理の説明に供するフロー図である。
【図10】同じく粘度検出処理の説明に供するサブタンク内液面変化の説明図である。
【図11】同じく図11に続く説明図である。
【図12】同じく粘度算出の供する説明図である。
【図13】同じく送液速度とインク粘度の関係の説明に供する説明図である。
【図14】本発明の第2実施形態の説明に供する送液速度とインク粘度と温度の関係の説明に供する説明図である。
【図15】本発明の第3実施形態の説明に供するインク粘度と送液ポンプのトルクの関係の説明に供する説明図である。
【図16】本発明の第4実施形態の説明に供するインク粘度とタイムアウト時間の関係の説明に供する説明図である。
【図17】本発明の第5実施形態の説明に供するインクカートリッジ交換時のインク粘度の変化の説明に供する説明図である。
【図18】本発明の第6実施形態の説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同装置の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型インクジェット記録装置であり、装置本体1の左右の側板21A、21Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド31、32でキャリッジ33を主走査方向に摺動自在に保持し、後述する主走査モータによってタイミングベルトを介してキャリッジ主走査方向に移動走査する。
【0018】
このキャリッジ33には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド34a、34b(区別しないときは「記録ヘッド34」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0019】
記録ヘッド34は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド34aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド34bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0020】
また、キャリッジ33には、記録ヘッド34のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク35a、35b(区別しないときは「サブタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク35には、カートリッジ装填部4に着脱自在に装着される各色のメインタンクであるインクカートリッジ10y、10m、10c、10kから、供給ポンプユニット24によって各色の供給チューブ36を介して、各色のインクが補充供給される。
【0021】
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
【0022】
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド34の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド34に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
【0023】
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト51は、後述する副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ52が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0024】
さらに、記録ヘッド34で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロである拍車63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
【0025】
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
【0026】
さらに、キャリッジ33の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド34のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構81を配置している。この維持回復機構81には、記録ヘッド34の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a、82b(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのワイパ部材(ワイパブレード)83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84と、キャリッジ33をロックするキャリッジロック87などとを備えている。また、このヘッドの維持回復機構81の下方側には維持回復動作によって生じる廃液を収容するための廃液タンク100が装置本体に対して交換可能に装着される。
【0027】
また、キャリッジ33の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド34のノズル列方向に沿った開口部89などを備えている。
【0028】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0029】
このとき、帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
【0030】
そこで、キャリッジ33を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド34を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
【0031】
そして、記録ヘッド34のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ33をホーム位置である維持回復機構81に対向する位置に移動して、キャップ部材82によるキャッピングを行ってノズルからの吸引を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0032】
次に、この画像形成装置におけるインク供給系について図3の模式的説明図を参照して説明する。
このインク供給系は、記録ヘッド34にインクを供給するサブタンク35と、サブタンク35に供給するインクを収容したメインタンクとしてのインクカートリッジ10と、インクカートリッジとサブタンク35との間に設けられた、チューブポンプなどの可逆型(供給及び吸引を行なえる意味)ポンプからなる送液ポンプ241とを備え、送液ポンプ241を駆動する駆動モータ242を駆動制御して、インクカートリッジ10からサブタンク35にインクを送液し(正転送液)、サブタンク35からインクカートリッジ10にインクを送液する(逆転送液)。
【0033】
なお、本実施形態では、サブタンク35の負圧を形成するとき、サブタンク35からインクカートリッジ10にインクを逆転送液することで負圧を形成するようにして、負圧形成時に使用するインクの再利用を可能とし、無駄なインクの消費を低減している。
【0034】
次に、サブタンク35の一例について図4及び図5を参照して説明する。なお、図4は同サブタンクの1つのヘッド分の模式的上面説明図、図5は同サブタンクの1つのヘッド分の模式的正面説明図である。
サブタンク35は、インクを保持するための一側部が開口したインク収容部を形成するタンクケース201を有し、このタンクケース201の開口部は可撓性フィルム203で密閉し、タンクケース201内に配置した弾性部材としてのバネ204によってフィルム203を常時外方へ付勢している。これにより、タンクケース201のフィルム203がバネ204によって外方への付勢力が作用しているので、タンクケース201内のインク残量が減少することによって負圧が発生する。
【0035】
また、タンクケース201の外側には、一端部を支軸202で揺動可能に支持され、タンクケース201側に向けて付勢されているフィラからなる変位部材(満タン検知フィラともいう。)205がフィルム203に接着などで固定され、フィルム203の動きに連動して変位部材205が変位するので、装置本体側に配置された光学センサからなる満タン検知センサ301によって変位部材205の変位量を検知することによりサブタンク35内のインク残量などを検知することができる。
【0036】
また、タンクケース201の上部には、インクカートリッジ10からインクを供給するための供給口209があり、インク供給チューブ36に接続されている。また、タンクケース201の側部には、サブタンク35内を大気に開放する大気開放機構207が設けられている。この大気開放機構207は、サブタンク35内に連通する大気開放路207aを開閉する弁体207b及びこの弁体207bを閉弁状態に付勢するスプリング207cなどを備え、装置本体側の大気開放ソレノイド302によって弁体207bを押すことで開弁されて、サブタンク35内に大気開放状態(大気に連通した状態)になる。
【0037】
また、サブタンク35内のインク液面高さを検出するための複数の長さの異なる電極ピン部材(以下「電極ピン」という。)208a、208b、208cが取り付けられている。インクは電導性を持っており、電極ピン208aと208b、208cの所までインクが到達すると、電極ピン208aと208b間、208aと208c間に電流が流れて両者の抵抗値が変化するため、インク液面高さが所定高さになったことを検出できる。
【0038】
このサブタンク35における満タン検知について図6及び図7を参照して説明する。
ここでは、図6に示すように、装置本体側には、キャリッジ33が主走査方向に移動するときに各サブタンク35の変位部材(満タン検知フィラ)205の先端205aが通過する位置に、前述した透過型光センサである満タン検知センサ301が設置されている。ここで、キャリッジ33の主走査方向の位置は、エンコーダセンサ331によってキャリッジ主走査方向に沿って配置されたエンコーダスケール332を読み取ることで検出している。
【0039】
したがって、図7(a)に示すように、サブタンク35を満タンにしたときに、満タン検知センサ301で満タン検知フィラ205の先端205aが検知されるときのキャリッジ33の位置を記憶しておき、同図(b)に示すように、キャリッジ33を当該記憶した位置に移動し、大気開放状態で、サブタンク35にインクを正転送液(補給)すると、満タン検知フィラ205が例えば破線図示の位置から実線図示のように変位するので、満タン検知センサ301で満タン検知フィラ205の先端205aが検知されたときをサブタンク35が満タンになったと検出する。
【0040】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図8を参照して説明する。なお、同図は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司り、本発明に係る粘度検出手段、判別手段、送液ポンプ241の駆動力を変更する手段などを兼ねるCPU501と、CPU501が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505とを備えている。
【0041】
また、記録ヘッド34を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ33側に設けた記録ヘッド34を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ33を移動走査する主走査モータ554、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ555、維持回復機構81の維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510と、帯電ローラ56にACバイアスを供給するACバイアス供給部511と、サブタンク35の大気開放機構207を開閉する大気開放ソレノイド302を駆動するソレノイド駆動部512と、送液ポンプ241を駆動する駆動モータ242を駆動するポンプ駆動部516などを備えている。
【0042】
さらに、CPU501は、カートリッジ通信回路517を介して、インクカートリッジ10に備えられるインク情報(残量、使用日時、色種など)を格納したインク情報格納手段としての例えばカートリッジEEPROMなどを含むIDチップ521との間での通信を行い、インクカートリッジ10のIDチップ521からインク残量を情報を読み出して内部の不揮発性メモリ504などに記憶手段に保持し、サブタンク35に供給したインク量、サブタンク35から戻したインク量の加減算を行なって、インクカートリッジ10のインク残量を演算して、その結果をインクカートリッジ10のIDチップ521に再書き込みするなどの制御を行なう。
【0043】
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0044】
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0045】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0046】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0047】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド34の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド7の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド7を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0048】
I/O部513は、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、この画像形成装置の制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ制御部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ(温度センサ)、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチ、サブタンク35の変位部材205を検知する満タン検知センサ301などがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0049】
また、このI/O部513には液面検出部530の検出結果が入力される。液面検出部520は、電極ピン208bと208a間、208cとピン208a間に、順次各ピンがインク中に浸漬された時ときに電極ピン208b又は208cから電極ピン208aに向かう方向に電流が流れる電圧を印加し、電極ピン208bと208a間、208cとピン208a間にそれぞれ電流が流れたことを検出する。
【0050】
そして、CPU501は、インクカートリッジ10からサブタンク35へのインク供給を行なって、液面検出部530からの液面検知信号を受けて、液面の移動速度を検出し、移動速度と予めROM502などに保持している液面移動速度とインク粘度の相関関係を示すテーブルを使用するなどして、インク粘度の検出を行なう。
【0051】
次に、本発明の第1実施形態における粘度検出処理について図9のフロー図及び図10ないし図13の説明図を参照して説明する。
まず、サブタンク35には前述したように3本(3本以上であればよい。)の電極ピン208a、208b、208cを設けている。この電極ピン208a、208b、208cの長さ(サブタンク内の長さの意味)の関係は、図10にも示すように、208a>208b>208cとい、高さ方向における下端位置は、電極ピン208aが最も低く、電極ピン208bが中間、電極ピン208cが最も高いとする。
【0052】
また、電極ピン208bと208a間、208cとピン208a間に、インクに浸漬されたときに電極ピン208b、208cから電極ピン208aに向かう方向に電流が流れる電圧を印加し、電極ピン208bと208a間、208cとピン208a間にそれぞれ電流が流れたことを検出する液面検出部530を設け、液面検出部530の検出結果を制御部500に入力するようにしている。
【0053】
図9を参照して、電極ピン208aがインク400中に浸漬されていない状態(液面検知部530から電極ピン208bに電流を流しても検出できない状態)で、インクカートリッジ10からサブタンク35にインクを供給し、電極208bと電極208aが導通したか否か(電極208b、208a検知)を判別する
【0054】
すなわち、サブタンク35へのインク供給により、図10(a)に示すように、インク400の液面400aが上昇し、更にインクを供給し続けると、同図(b)に示すように、電極ピン208aにインク液面400aが到達し、その後インク液面400aが電極ピン208bに到達することで、電極ピン208aと208bとの間に電流が流れ、液面検知部530によってインク液面が電極ピン208bの位置に達したことが検出される。
【0055】
そして、電極208bと電極208aが導通したときに、電極208cに電流を流すとともに、電極208bから電極208cに達するまでの時間をカウントするタイマをスタートし、電極208cと電極208aが導通したか否か(電極208c、208a検知)を判別する
【0056】
すなわち、図11(a)に示すように、液面検知部530から電極ピン208cに電流を流し、インク供給を続けると、図11(b)に示すように、インク液面400aが電極ピン208cに到達することで、電極ピン208aと208cとの間に電流が流れ、液面検知部530によってインク液面が電極ピン208cの位置に達したことが検出される。
【0057】
そこで、インク液面が電極208bに達してから電極208cに達するまでの時間Δtを算出し、インク粘度を算出する。
【0058】
すなわち、図12に示すように、電極ピン208cと電極ピン208bの長さの差をΔh、サブタンク35の横断面積をΔAとする。電極ピン208bによるインク液面検知1回目から、電極ピン208cによるインク液面検知2回目までの経過時間Δtを計時することで、インクカートリッジ10からサブタンク35への送液速度Vは、V=(Δh・ΔA)/Δt[m/s]で算出することができる。
【0059】
つまり、送液ポンプ241を正転駆動して、インクカートリッジ10からサブタンク35側に正転送液することで、インク液面を上昇させて、その上昇速度を送液速度として得ることができる。
【0060】
なお、インク供給方向(矢印方向)と逆方向に、つまり、送液ポンプ241を逆転駆動して、サブタンク35からインクをインクカートリッジ10側に逆転送液することで、インク液面を下降させて、その下降速度を送液速度として得ることもできる。
【0061】
一方、送液ポンプ241による送液速度とインク粘度との関係は、図13に示すように反比例の相関関係にあり、送液速度Vが得られると、対応するインク粘度νを得ることができる。
【0062】
このように、メインタンクからサブタンクに液体を送液し、又は、サブタンクからメインタンクに液体を送液し、電極ピン部材の導通状態を検出してサブタンク内の液面の移動速度を検出し、検出された液面の移動速度に基づいて液体の粘度を検出する構成とすることで、簡単な構成で液体の粘度を検出できる
【0063】
そこで、例えばインクカートリッジを再利用した場合、インクカートリッジを交換した場合、またインクカートリッジのインク情報が予定されたインクカートリッジでない場合などに、上述した粘度検出処理を行なうことで、装置の性能を維持することができる。
【0064】
次に、本発明の第2実施形態について図14を参照して説明する。
インク粘度は温度にも依存して特性が変化するため、送液速度とインク粘度の関係を一義的に定めると、本来のインク粘度を正しく検出できない可能性がある。
【0065】
そこで、予め複数の温度(ここでは温度T1〜T3とするが、これに限らない。)毎に送液速度とインク粘度との関係を定めておき、センサ群515に含まれる環境温度センサで検出した温度に応じてインク粘度を求めるようにすることが好ましい。
【0066】
次に、本発明の第3実施形態について図15を参照して説明する。
送液ポンプ241として使用しているチューブポンプ(チュービングポンプ)を駆動する駆動モータ242の回転速度は、フィードバック制御して一定に保つこともできるが、速度検出手段が必要になるためにコストが高くなる。
【0067】
そこで、本実施形態では、例えば、図15に示すように、複数段階(ここでは、A〜Eの5段階としているが、これに限らない。)のインク粘度に対応して複数段階の駆動モータトルクを予め設定しておき、前述したようにして検出したインク粘度に応じて送液ポンプ241の回転速度(インク送液速度)を変更するようにしている。
【0068】
これによって、送液ポンプの駆動トルクをインク粘度にかかわらず一定値とする場合に比べて、回転速度(インク送液速度)のばらつきを抑えることができる。
【0069】
次に、本発明の第4実施形態について図16を参照して説明する。
前述したように送液ポンプ241を駆動してインクカートリッジ10からサブタンク35にインク供給を行ったとき、所定時間が経過しても、電極ピン208でインクを検知できない場合に、インクが送液されていないことになる。
【0070】
そこで、送液ポンプ241の駆動開始からの経過時間が予め設定した所定時間(これを「タイムアウト時間」という。)以上になってもインクを検知できないこの場合には、「インク送液できず(又はカートリッジ空)」と判別して、その旨をユーザに通知するなどしている。
【0071】
ここで、送液量はインク粘度に応じて変化するので、本実施形態では、図14に示すように、複数段階(ここでは、A〜Eの5段階としているが、これに限らない。)のインク粘度に対応したタイムアウト時間を設定している。これにより、インク粘度の変化による送液量の変化によるタイムアウト検出精度のバラツキを低減することができる。
【0072】
次に、本発明の第5実施形態について図17を参照して説明する。
例えば、インク粘度aのインクAを収容したインクカートリッジ10を使用し、その後インクAが供給チューブ36やサブタンク35内に残存した状態で、インク粘度bのインクBのインクカートリッジ10に交換した場合、インク供給系のインク粘度は、インクAにインクBが漸次置換されていくことから、インクAとインクBの混合度によって、図15に示すように変化する。
【0073】
そこで、本実施形態では、インクカートリッジ10のIDチップ521に記憶されているインク情報から、インクカートリッジ10が交換されたことを検知した場合、インクAからインクBへのインク切り換わりの過程において、インク粘度検出動作(処理)をインク粘度が安定するまで複数回、例えば一定の間隔で行うようにしている。これにより、インク粘度の検出精度を向上させることができる。
【0074】
次に、本発明の第6実施形態について図18を参照して説明する。
本実施形態では、検出したインク粘度が本画像形成装置が予定しないインク粘度である場合などに、その旨を操作パネル514やホスト600側のプリンタドライバ601を通じて表示することでユーザに通知している。
【0075】
以上の液体粘度検出処理などの各種の本発明に係る処理は、ROM502に格納されているプログラムによってコンピュータに実行させる。このプログラムは、情報処理装置(ホスト600)側にダウンロードして画像形成装置にインストールすることができる。また、上記処理は、情報処理装置(ホスト600)側のプリンタドライバで行う構成とすることもできる。さらに、本発明に係る画像形成装置と情報処理装置又は画像形成装置と本発明に係る処理を行うプログラムを有する情報処理装置とを組み合わせて画像形成システムとして構成することもできる。
【符号の説明】
【0076】
10 インクカートリッジ(メインタンク)
33 キャリッジ
34、34a、34b 記録ヘッド(液体吐出ヘッド)
35 サブタンク
81 維持回復機構
208〜208c 電極ピン部材
241 送液ポンプ
500 制御部
600 ホスト(情報処理装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに液体を供給するサブタンクと、
前記サブタンクに供給する前記液体を収容するメインタンクと、
前記メインタンクと前記サブタンクとの間に設けられた送液手段と、
前記サブタンクに設けられた複数の長さの異なる電極ピン部材と、
前記メインタンクから前記サブタンクに前記液体を送液し、又は、前記サブタンクから前記メインタンクに前記液体を送液し、前記電極ピン部材の導通状態を検出して前記サブタンク内の液面の移動速度を検出し、前記検出された前記液面の移動速度に基づいて前記液体の粘度を検出する粘度検出手段と、を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記粘度検出手段は、前記検出された前記液面の移動速度と環境温度に応じて前記液体の粘度を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検出した液体の粘度に応じて前記送液手段の駆動量を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記送液手段を駆動して前記サブタンクに送液するときに、予め定めた所定時間経過しても前記サブタンクに前記液体が送液されないと判別手段と、前記所定時間を前記検出した液体の粘度に応じて変更する手段とを備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記粘度検出手段は、前記メインタンクが交換されたときに、複数回の検出動作を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−183617(P2011−183617A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49758(P2010−49758)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】