説明

画像形成装置

【課題】現像領域から飛散したトナーによってガイド部材が汚れること、ひいては記録紙や機内が汚れることを抑制できる画像形成装置を得る。
【解決手段】感光体ドラム26と、現像ローラ42を有する現像装置32と、転写ローラ34と、記録紙を案内する第1及び第2ガイド部材25a,25bと、ファン22とを備えた画像形成装置。ファン22の空気吸引作用によって、現像領域Dからの飛散トナーを含む第1空気流路Xが形成され、ガイド部材25a,25bの設置領域からの飛散トナーを含まない第2空気流路Yが形成され、第2空気流路Yは第1空気流路Xがガイド部材25a,25bの設置領域に流れ込むことを遮蔽し、かつ、空気を取り入れるための開口部50が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、電子写真方式によって記録紙上にトナー画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式によって記録紙上にトナー画像を形成する画像形成装置は種々の形態のものが提供されている。図4は本発明者が本発明をなすに至る前提として考慮したモデルを示す。即ち、感光体ドラム26の周面に対向して、かつ、矢印aで示す回転方向に沿って、トナーを層状に担持する現像ローラ42、第1ガイド部材25a、第2ガイド部材25b、転写ローラ34を配置している。記録紙は、図4の下方から給紙され、タイミングローラ対24からガイド部材25a,25bの間で案内され、感光体ドラム26と転写ローラ34とのニップ部を搬送されてトナー画像を転写される。また、転写ローラ34の上方には図示しないファンが配置され、該ファンによって感光体ドラム26の周囲の空気を吸引して排気している。
【0003】
ところで、現像ローラ42の周面に磁気ブラシ状に担持されている現像剤中のトナーは、磁気ブラシの跳ね上がり、倒伏運動、あるいは、現像領域Dでの感光体ドラム26との接触によって飛散・浮遊する。このような飛散トナーは、感光体ドラム26や現像ローラ42の回転、及び、前記ファンによって形成される空気流に運ばれ、矢印で示すように、感光体ドラム26の周囲、ガイド部材25a,25bの間、転写ローラ34の周囲を流れる。この場合、ガイド部材25a,25bの対向する面に付着したトナーが搬送される記録紙を汚損するという問題点を有していた。
【0004】
ガイド部材25a,25bの対向面であって、通常搬送されることの多いサイズの通過部分に付着したトナーは、搬送される記録紙に微量ずつ付着して取り除かれ、蓄積することはない。しかし、通常サイズの通過部分外に付着したトナーは、大サイズの記録紙が搬送されない限り、蓄積していくことになる。蓄積量が増加した場合、大サイズの記録紙の表裏面に付着して目視されるほどの汚れとなる。また、蓄積されたトナーの塊が振動などで落下し、機内を汚損する。
【0005】
そこで、現像装置外へ飛散したトナーの汚れ防止策として、特許文献1では、現像装置と転写ガイドとの間に風路を形成し、ファンによって外気を流すことで、飛散トナーが転写ガイドに蓄積しないように散らすことを提案している。しかし、この対策では、風路を特別の部材によって形成しているため部品点数が増加し、コストアップを招来する。また、特許文献2,3では、露光装置への保護レンズへのトナーや埃の落下・付着による画像汚れ対策として、保護レンズの周辺に空気流を直接吹き付けたり、保護レンズと感光体ドラムとの間にエアーカーテンを形成することを提案している。しかし、この対策においても、専用のファンやダクトを必要としており、部品点数の増加やコストアップを招来する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−278387号公報
【特許文献2】特開平5−45945号公報
【特許文献3】特開平6−317951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、構成を大きく変更することなく、現像領域から飛散したトナーによる周辺部材の汚れ、特にガイド部材の汚れ、ひいては記録紙や機内の汚れを抑制できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態である画像形成装置は、
所定方向に回転するトナー画像担持体と、
前記トナー画像担持体の周面に対向し、該対向する現像領域で同方向に回転するトナー担持体を備えた現像装置と、
前記トナー画像担持体の周面に形成されたトナー画像を記録紙に転写する転写部材と、
記録紙を前記トナー画像担持体と前記転写手段との間に案内するガイド部材と、
前記現像領域、前記転写部材の設置領域、前記ガイド部材の設置領域から空気を前記転写部材の設置領域方向に吸引する空気吸引手段と、
を備えた画像形成装置において、
前記空気吸引手段によって、前記現像領域からの飛散トナーを含む第1空気流路と、前記ガイド部材の設置領域からの飛散トナーを含まない第2空気流路と、が形成され、
第2空気流路は、前記第1空気流路が前記ガイド部材の設置領域に流れ込むことを遮蔽し、
前記ガイド部材の第2空気流路の上流側に、第2空気流路に流れ込む空気を取り入れるための開口部が形成されていること、
を特徴とする。
【0009】
前記画像形成装置において、現像領域からの飛散トナーを含まない第2空気流は、現像領域からの飛散トナーを含む第1空気流がガイド部材の設置領域に流れ込むことを遮蔽し、第2空気流がガイド部材に対するいわばエアーカーテンとして機能するため、ガイド部材に飛散トナーが付着、蓄積することが防止される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現像領域から飛散したトナーによってガイド部材が汚れること、ひいては記録紙や機内が汚れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施例である画像形成装置の概略構成図である。
【図2】前記画像形成装置の感光体ドラムの近傍に関する拡大図で、空気流路を示している。
【図3】前記画像形成装置の感光体ドラムとガイド部材の近傍における空気流路を示す説明図である。
【図4】本発明者が本発明をなすに至る前提として考慮したモデルを示す拡大図で、空気流路を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。
【0013】
(画像形成装置の概略構成)
画像形成装置10は、電子写真方式による複写機やプリンタなどとして構成されており、図1に示すように、給紙ユニット12、作像ユニット14、定着ユニット16、排紙ローラ対18、排紙トレイ20及びファン22を備えている。給紙ユニット12は、複数枚の記録紙を積載状態で格納しており、給紙ローラ13により1枚ずつ記録紙を作像ユニット14に供給する。
【0014】
作像ユニット14は、タイミングローラ対24、第1及び第2ガイド部材25a,25b、感光体ドラム26、残留トナー及び残留電荷のクリーナー27、帯電器28、レーザ走査装置30、現像装置32及び転写ローラ34を備えている。作像ユニット14の詳細については後述する。
【0015】
定着ユニット16は、一対の定着ローラを含んでおり、一対の定着ローラ間を通過する記録紙に対して加圧・加熱処理を施すことにより、記録紙にトナー画像を定着させる。排紙ローラ対18は、定着ユニット16から搬送されてきた用紙を排紙トレイ20に排出する。
【0016】
ファン22は、空気吸引手段であって、画像形成装置10内の空気を機外に排出することにより、画像形成装置10内を冷却する。ファン22は、図1に示すように、記録紙の搬送方向において、作像ユニット14よりも下流側に設けられている。ファン22が動作することにより、画像形成装置10内には、後述する空気流が発生する。
【0017】
次に、作像ユニット14の構成について図2を参照して説明する。感光体ドラム26は、円柱形状をなしており、トナー画像像担持体として機能する。感光体ドラム26は、図示しないモータにより、矢印a方向に回転駆動される。
【0018】
帯電器28は、図1に示すように、感光体ドラム26の周面に対向するように設けられ、感光体ドラム26の周面を均一にかつ所定の電位に帯電させる。レーザ走査装置30は、画像読み取り装置(スキャナ)又はコンピュータから出力されてくる画像データに基づいて制御部(図示せず)の制御により、感光体ドラム26の周面にレーザビームBを照射する。これにより、感光体ドラム26の周面には、静電潜像が形成される。
【0019】
現像装置32は、トナー担持体である現像ローラ42が感光体ドラム26と対向するように設けられ、感光体ドラム26の周面に形成された静電潜像を現像(可視像化)する。この現像装置32はケース40にトナーを収容しており、図2に示すように、現像ローラ42は感光体ドラム26と微小な間隔を保持して対向している。この対向部分を現像領域Dと称する。
【0020】
現像ローラ42は、図示しないモータにより矢印b方向に回転駆動され、感光体ドラム26と対向する現像領域Dにトナーを搬送し、該感光体ドラム26の周面に対してトナーを付与する。なお、現像装置32は、この他に、供給ローラやトナー補給手段なども含んでいるが、これらの構成については説明を省略する。
【0021】
転写ローラ34は、図2に示すように、現像装置32よりも矢印a方向の下流側において感光体ドラム26と対向するように設けられ、該感光体ドラム26との間を通過する記録紙に対して電界を付与し、感光体ドラム26からトナー画像を記録紙上に転写する。転写ローラ34は、図示しないモータにより、矢印c方向に回転駆動される。
【0022】
タイミングローラ対24は、図2に示すように、給紙ユニット12から1枚ずつ供給された記録紙を、感光体ドラム26と転写ローラ34とのニップ部へと搬送する。
【0023】
第1ガイド部材25a及び第2ガイド部材25bは、現像装置32よりも矢印a方向の下流側であって、かつ、転写ローラ34の上流側に設けられ、タイミングローラ対24により搬送されてくる記録紙を、感光体ドラム26と転写ローラ34とのニップ部に導く。第1ガイド部材25aは記録紙の搬送経路より現像領域D側に配置されており、第2ガイド部材25bは記録紙の搬送経路より転写ローラ34側に配置されている。第1ガイド部材25aの上端部は感光体ドラム26の周面に近接している。第2ガイド部材25bの上端部は感光体ドラム26の周面に沿って転写ローラ34の近傍まで延在している。そして、第1及び第2ガイド部材25a,25bの対向面間で記録紙を案内する。
【0024】
第2ガイド部材25bの下部はタイミングローラ対24の図2中右側のローラの直上に位置し、転写ローラ34との間に空間部が形成されている。
【0025】
ここで、画像形成装置10における画像形成動作の際には、感光体ドラム26が矢印a方向に回転し、現像ローラ42が矢印b方向に回転し、転写ローラ34が矢印c方向に回転する。そして、現像ローラ42からはトナーの飛散が生じる。また、ファン22が動作して機内の空気を吸引、排気する。この際、作像ユニット14においては、現像領域D、転写ローラ42の設置領域、ガイド部材25a,25bの設置領域の空気が、転写ローラ42の設置領域の方向に流れる空気流が発生する。
【0026】
これらの空気流は、詳しくは、現像領域Dからの飛散トナーを含む第1空気流路X(図2において、黒く潰した矢印で示す)と、第1ガイド部材25aの設置領域から飛散トナーを含まない第2空気流路Y(図2において、白抜きの矢印で示す)とが形成される。第2空気流路Yを効果的に形成するため、第1ガイド部材25aの第2空気流路Yの上流側には、第2空気流路Yに流れ込む空気を取り入れるための開口部50が形成されている。この開口部50は現像装置32を構成するケース40のリブ40aとタイミングローラ対24の左側のローラとの間に形成されている。
【0027】
また、第1ガイド部材25aの下部は、現像装置32のケース40の外壁に当接している。即ち、第2空気流路Yは現像領域Dに対して第1ガイド部材25aの下部によって遮蔽されており、第2空気流路Yの形成を補助している。
【0028】
第1空気流路Xと第2空気流路Yとは、第1ガイド部材25aの上端部で近接する。このとき、飛散トナーを含まない第2空気流路Yが、第2ガイド部材25bの上端部に密着した状態で流れる(図3に細線で示す)。第1空気流路Xは、第2空気流路Yに近接するが第2空気流路Yとはほとんど交わることなく、第2空気流路Yに沿って流れる(図3に点線で示す)。その後の空気流路Zは、図2において、斜線を付した矢印で示すように、転写ローラ34の周囲をほぼ1周するように形成され、空気は転写ニップ部を通じてファン22によって機外に排気される。
【0029】
つまり、第2空気流路Yは、第1空気流路Xが第1及び第2ガイド部材25a,25bの設置領域に流れ込むことを遮蔽するいわばエアーカーテンとして機能する。これにて、現像領域Dから飛散して第1空気流路Xに含まれるトナーが第1及び第2ガイド部材25a,25bの対向面部分に流れ込むことが防止され、ひいては記録紙や機内の汚れが抑制される。また、既存のファンをそのまま利用して、かつ、作像ユニット14に大きな変更を加えることなく第1及び第2空気流路X,Yを形成することができる。
【0030】
ところで、第2空気流路Yが前述のようにエアーカーテンとしての機能を効果的に発揮するためには、第2空気流路Yの流量が第1空気流路Xの流量よりも多いことが好ましい。
【0031】
(その他の実施例)
なお、本発明に係る画像形成装置は、前記実施例の記載に限定するものではなく、その要旨の範囲内において変更可能である。
【0032】
例えば、画像形成装置自体は図1に示した装置10以外に種々の基本的な形態をとり得る。現像装置32は、1成分現像装置であっても、2成分現像装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明は、画像形成装置に有用であり、特に、現像領域から飛散したトナーによってガイド部材が汚れること、ひいては記録紙や機内が汚れることを抑制できる点で優れている。
【符号の説明】
【0034】
D…現像領域
X…第1空気流路
Y…第2空気流路
10…画像形成装置
14…作像ユニット
22…ファン
25a,25b…ガイド部材
26…感光体ドラム
32…現像装置
34…転写ローラ
42…現像ローラ
50…開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に回転するトナー画像担持体と、
前記トナー画像担持体の周面に対向し、該対向する現像領域で同方向に回転するトナー担持体を備えた現像装置と、
前記トナー画像担持体の周面に形成されたトナー画像を記録紙に転写する転写部材と、
記録紙を前記トナー画像担持体と前記転写手段との間に案内するガイド部材と、
前記現像領域、前記転写部材の設置領域、前記ガイド部材の設置領域から空気を前記転写部材の設置領域方向に吸引する空気吸引手段と、
を備えた画像形成装置において、
前記空気吸引手段によって、前記現像領域からの飛散トナーを含む第1空気流路と、前記ガイド部材の設置領域からの飛散トナーを含まない第2空気流路と、が形成され、
第2空気流路は、第1空気流路が前記ガイド部材の設置領域に流れ込むことを遮蔽し、
前記ガイド部材の第2空気流路の上流側に、第2空気流路に流れ込む空気を取り入れるための開口部が形成されていること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、記録紙の搬送経路より現像領域側に配置された第1ガイド部材と、記録紙の搬送経路より転写部材側に配置された第2ガイド部材とで構成され、
第1空気流路は前記トナー画像担持体と前記第1ガイド部材とで構成され、
第2空気流路は前記第1及び第2ガイド部材にて構成されていること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1ガイド部材の上端部は前記トナー画像担持体の周面に近接しており、前記第2ガイド部材の上端部は前記トナー画像担持体の周面に沿って前記転写部材の近傍まで延在していること、を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1ガイド部材の下部は前記現像装置のケースの外壁に当接していること、を特徴とする請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
第2空気流路の流量は第1空気流路の流量よりも多いこと、を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−186126(P2011−186126A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50410(P2010−50410)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】