画像形成装置
【課題】簡易な構成にて被冷却体(ユニット体)と受熱部との間の異物の侵入を防止し、冷却効率に影響を与えない画像形成装置を提供する。
【解決手段】発熱部もしくはこの発熱部により昇温する昇温部を有するユニット体と、ユニット体から熱を受ける受熱部44と、熱を外部へ放熱する放熱部38と、冷却媒体が循環可能なように受熱部44と放熱部38とを連結する冷却液循環路33とを有する冷却装置31を備える。ユニット体Uが画像形成装置本体100に対して着脱自在に配置された画像形成装置である。ユニット体Uの画像形成装置本体100からの取出状態において、冷却装置31の受熱部44表面44aへの異物付着を防止する異物付着防止手段Gを備える。
【解決手段】発熱部もしくはこの発熱部により昇温する昇温部を有するユニット体と、ユニット体から熱を受ける受熱部44と、熱を外部へ放熱する放熱部38と、冷却媒体が循環可能なように受熱部44と放熱部38とを連結する冷却液循環路33とを有する冷却装置31を備える。ユニット体Uが画像形成装置本体100に対して着脱自在に配置された画像形成装置である。ユニット体Uの画像形成装置本体100からの取出状態において、冷却装置31の受熱部44表面44aへの異物付着を防止する異物付着防止手段Gを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複合機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関し、特に、装置内の現像装置(現像ユニット)等を冷却する冷却装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらを備えた複合機等の電子写真方式の画像形成装置は、内部に書き込み装置、現像装置などの画像形成動作時に発熱を伴う複数のユニットを有している。すなわち、画像形成装置においては、書込ユニット、定着ユニット、及び現像ユニット等が発熱を伴うユニットとなる。
【0003】
例えば、現像ユニットにおいては、現像ユニット内の現像剤を攪拌搬送する現像剤攪拌搬送部材を駆動した際に、現像剤攪拌搬送部材と現像剤との摺擦による摩擦熱や、現像剤同士の摺擦による摩擦熱により装置内を温度上昇させる。また、現像剤を現像領域に搬送する前に現像剤担持体上に担持されている現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材と現像剤との摺擦による摩擦熱や、現像剤規制部材による規制の際の現像剤同士の摺擦による摩擦熱により装置内を温度上昇させる。
【0004】
装置内の温度が上昇すると、トナーの帯電量が低下してトナー付着量が増加し、所定の画像濃度が得られなくなる。また、温度上昇によりトナーが溶融して現像剤規制部材や現像剤担持体、像担持体などに固着し、画像にスジ状の異常画像などが生じるおそれがある。特に、近年、定着エネルギーを小さくするために溶融温度の低いトナーを用いた場合は、トナーの固着による異常画像などが生じやすい。
【0005】
そのため、従来において空冷ファンで取り込んだ外気をダクトで現像ユニットの周辺に搬送し、気流を発生させ現像ユニットを空冷して、現像ユニットの温度が過度に上昇するのを抑制している。しかし、近年、画像形成装置の小型化のため、装置内が高密度化して現像ユニットの周囲に空間的余裕がなくなってきている。このため、現像ユニット周辺に空冷ファンの気流を搬送するためのダクトを設置するスペースの確保が難しくなっており、現像ユニットを強制空冷することが困難となっている。
【0006】
また、従来には、液体を循環させて発熱ユニットたる現像ユニットを冷却する液冷方式を用いた画像形成装置が記載されている(特許文献1)。この場合の液冷装置は、発熱ユニットたる現像ユニット壁面に接触して冷却液が現像ユニットの熱を受ける受熱部と、冷却液の熱を放熱するための放熱手段たるラジエータと、冷却液が受熱部とラジエータとを循環するように配管された循環パイプと、循環パイプ内の冷却液を受熱部へ搬送するための搬送手段たる搬送ポンプとを備えている。
【0007】
液冷装置は、空冷装置よりも効率良く冷却できるため、現像ユニットを効率よく冷却することができる。また、冷却液を循環させるための循環パイプは、ダクトよりも小さいため、現像ユニットの周囲の空間が狭くても、現像ユニットの周囲に循環パイプを配置することができる。よって、装置内が高密度化しても現像ユニットを冷却することができる。また、現像ユニットは、単体で装置本体から着脱可能に構成されていたり、プロセスカートリッジとして潜像担持体と一体で装置本体から着脱可能に構成されていたりする。また、現像ユニットを着脱する際は、受熱部を現像ユニットから離間させ、現像ユニットが装置本体に装着されると、受熱部が付勢手段によって現像ユニット側へ付勢され、受熱部が現像ユニットに密着する接離機構を備えている。このように構成することで、現像ユニットの着脱を容易に行うことができる。また、現像ユニット装着時には、受熱部が現像ユニットに密着するので、効率よく現像ユニットを冷却することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、機内にはトナー等の異物が舞っていることが多く、この異物が受熱部表面に付着すると、受熱部と現像ユニットとの密着度合いが減少し、冷却効率に悪影響を与えることになる。さらに、受熱部と現像ユニットとの間に熱伝導シートを使用している装置においては、挿入した異物によりシートの劣化を促進するおそれもある。またこれらのことは、現像のみでなく、機内の要冷却体とそれに接触して冷却する受熱部についても同様なことが言える。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑み、簡易な構成にて被冷却体(ユニット体)と受熱部との間の異物の侵入を防止し、冷却効率に影響を与えない画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置は、発熱部もしくはこの発熱部により昇温する昇温部を有するユニット体と、ユニット体から熱を受ける受熱部と、熱を外部へ放熱する放熱部と、冷却液が循環可能なように受熱部と放熱部とを連結する冷却液循環路とを有する冷却装置を備え、前記ユニット体が画像形成装置本体に対して着脱自在に配置された画像形成装置であって、前記ユニット体の画像形成装置本体からの取出状態において、前記冷却装置の受熱部表面に異物付着を防止する異物付着防止手段を備えたものである。ここで、異物とはトナー、ごみ、埃等である。
【0011】
本発明の画像形成装置によれば、異物付着防止手段にて、ユニット体の画像形成装置本体からの取出状態において、冷却装置の受熱部表面に異物が付着するのを防止できる。すなわち、要冷却体である現像ユニット等のユニット体を画像形成装置本体から取り出している間、受熱部表面に異物が付着するのを防止することによって、受熱部と要冷却体壁面(現像ユニット壁面)間に異物が侵入するのを防止できる。
【0012】
異物付着防止手段は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では受熱部上部に配置され、画像形成装置本体からのユニット体の取出状態では受熱部上部から延びて受熱部表面の上部を覆う屋根部材にて構成される場合がある。
【0013】
このように、異物付着防止手段が屋根部材にて構成されるものでは、ユニット体の取出状態では、屋根部材が受熱部表面の上部を覆うことになって、受熱部表面への異物の付着を防止することができる。
【0014】
異物付着防止手段は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では収納状態となり、画像形成装置本体からのユニット体の取出状態では展開状態となって受熱部表面を覆うシャッタ部材にて構成されるものであってもよい。
【0015】
このように、異物付着防止手段がシャッタ部材にて構成されるものでは、ユニット体の取出状態では展開状態となって受熱部表面を覆うことになって、受熱部表面への異物の付着を防止することができる。
【0016】
シャッタ部材は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では収納状態となり、画像形成装置本体からのユニット体の取出動作に連動して、取出動作方向に沿って順次展開状態となるものであってもよい。
【0017】
シャッタ部材は、受熱部表面に沿って配設される複数の分離体を備え、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では各分離体が収納状態となり、画像形成装置本体からのユニット体の取出動作に連動して各分離体が順次展開状態となるものであってもよい。この場合、ユニット体の引き出し動作に連動して順次展開状態となっていくことになる。
【0018】
異物付着防止手段は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では非エア吹き出し状態であり、画像形成装置本体からのユニット体の取出状態ではエア吹き出し状態となって、受熱部表面上に空気の流れを形成するエアカーテン機構にて構成してもよい。
【0019】
エアカーテン機構は、吹き出されたエアを装置外へ排出する排出路を備えたものであってもよい。
【0020】
異物付着防止手段は受熱部を回動させる回動機構から構成され、回動機構は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では受熱部の表面がユニット体に相対面する状態を維持させ、画像形成装置本体からのユニット体の取出状態では受熱部の表面を下方に向けるようにしてもよい。
【0021】
異物付着防止手段は受熱部の表面が下方を向くように傾斜した状態に配置させる機構をもって構成してもよい。
【0022】
受熱部の表面が下方に向くものであれば、この表面への異物の付着を防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、要冷却体である現像ユニット等のユニット体を画像形成装置本体から取り出している間、受熱部表面に異物が付着するのを防止することによって、受熱部と要冷却体壁面(現像ユニット壁面)間に異物が侵入するのを防止でき、冷却装置による冷却効率の低下を防止できる。また、受熱部と現像ユニット(ユニット体)との間に熱伝導シートを使用している場合、異物侵入防止によって、この熱伝導シートの劣化を防止できる。
【0024】
異物付着防止手段が屋根部材であってもシャッタ手段であっても、受熱部表面への異物の付着を防止でき、しかも、ユニット体が画像形成装置本体に装着されている状態では、屋根部材は受熱部の上部に位置し、シャッタ手段は収納状となっている。このため、これらの異物付着防止手段ではユニット体の装着状態では、冷却装置による冷却機能を低下させない。特に、シャッタ手段では、受熱部表面を覆うことになって、付着防止精度の向上を図ることができる。
【0025】
ユニット体の引き出し動作に連動して順次展開状態となっていくことになるものでは、受熱部表面が機内に晒される時間を少なくすることができ、より確実に受熱部表面への異物の付着を防止できる。
【0026】
異物付着防止手段がエアカーテンにて構成されるものでは、受熱部表面に一旦異物が付着しても吹き飛ばすことができ、冷却装置の冷却効率の低下や熱伝導部材(熱伝導シート)の劣化を防止できる。また、吹き出されたエアを装置外へ排出する排出路を備えたものでは、吹き飛ばされた異物を撒き散らすことがなく、受熱部表面への異物付着防止が安定する。
【0027】
受熱部の表面が下方を向くものでは、下方を向くことによって、受熱部の表面への異物付着を防止でき、冷却装置による冷却効率の低下や熱伝導部材(熱伝導シート)の劣化を防止できる。特に、受熱部の表面が常時下方を向くものでは、受熱部の角度を変更するための揺動機構等を必要とせず、装置全体の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の画像形成装置の全体簡略図である。
【図2】本発明の画像形成装置の冷却装置の簡略斜視図である。
【図3】前記画像形成装置のユニット体と第1の異物付着防止手段とを示す簡略図である。
【図4】前記画像形成装置のユニット体の着脱方向を示す簡略図である。
【図5】前記図3に示す異物付着防止手段の動作を示す簡略図である。
【図6】第2の異物付着防止手段を示す簡略図である。
【図7】第3の異物付着防止手段を示す簡略図である。
【図8】第4の異物付着防止手段を示す簡略図である。
【図9】第5の異物付着防止手段を示す簡略図である。
【図10】前記図9に示す異物付着防止手段の変形例を示す簡略図である。
【図11】第6の異物付着防止手段を示す簡略図である。
【図12】第7の異物付着防止手段を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図に示す実施例による本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例】
【0030】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。この画像形成装置は、タンデム型間接転写方式を採用してフルカラー画像を形成可能なカラー複写装置である。この画像形成装置は、画像形成装置本体100内に、像担持体としての感光体18Y,18M,18C,18Kを並列に配置し、それぞれ個別に現像装置(現像ユニット)19Y,19M,19C,19Kを備え、作像部1を形成している。作像部1の上方には、潜像形成手段としての露光装置(書込ユニット)9が設けられている。
【0031】
また、装置上部には、コンタクトガラス上に載置された原稿を走査して読み取る読取装置(読取ユニット)10が設けられている。作像部1の下方には、中間転写体としての中間転写ベルト15を備えた転写ユニット2が設けられている。中間転写ベルト15は、複数の支持ローラに掛け渡されており、図中時計回り方向に回転移動する。中間転写ベルト15を挟んで作像部1の反対側には2次転写装置4が設けられている。
【0032】
2次転写装置4は、2次転写ローラ17を備えており、2次転写ローラ17は、中間転写ベルト15における転写対向ローラ16に対する掛け回し箇所にベルトおもて面から当接して2次転写ニップを形成している。また、中間転写ベルト15の回転方向における2次転写装置4よりも下流側には、中間転写ベルト15上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置が設けられている。
【0033】
2次転写装置4の図中左方には、シート上に転写されたトナー像を定着するために、内部に発熱体を備えた加熱ローラを有する定着装置(定着ユニット)7が設けられている。また、2次転写装置4と定着装置7との間には、トナー像転写後のシートを定着装置7へと搬送する搬送ベルト6が設けられている。また、装置下方には、図示しない給紙収容部から1枚ずつ分離して給送されたシートを2次転写装置4へ給紙する給紙ユニット3が設けられている。また、定着装置7を通過したシートを機外または両面ユニット5へ搬送する排紙ユニット8が設けられている。
【0034】
次に図1に示す画像成形装置の画像形成動作について簡単に説明する。読取ユニット10は従来周知なものと同様の構成であり、コンタクトガラス上に載置された原稿画像を読み取る。その読み取られた画像情報又は本装置をプリンタとして用いる場合は外部から供給された画像情報に基づいて、書込ユニット9が駆動される。作像部1においては、感光体ドラム18が図示しない駆動手段によって回転駆動され、その感光体表面が帯電手段によって所定の極性に一様に帯電される。
【0035】
帯電された感光体表面には、書込ユニット9からのレーザ光が照射され、これによって感光体ドラム18表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラム18に露光される画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー,マゼンタ,シアン及び黒の色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成された静電潜像に現像装置19から各色トナーが付与され、トナー像として可視化される。
【0036】
また、中間転写ベルト15が図中時計回りに走行駆動され、一次転写手段の作用により感光体ドラム18から中間転写ベルト15に各色トナー像が順次重ね転写される。このようにして中間転写ベルト15はその表面にフルカラーのトナー像を担持する。なお、いずれか1つの感光体を使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つの感光体により2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。モノクロプリントの場合は、4個の感光体ドラム18のうち、黒色トナーを用いる図の一番右側の感光体ドラムを用いて画像形成を行う。
【0037】
そして、トナー像を転写した後の感光体ドラム表面に付着する残留トナーは、クリーニング手段によって感光体ドラム表面から除去され、次いでその表面が除電器の作用を受けて表面電位が初期化されて次の画像形成に備える。一方、図示しない給紙カセットから用紙が給送され、レジストローラ対14によって、中間転写ベルト15上に担持されたトナー像とのタイミングを取って2次転写部に向けて送出される。2次転写ローラ17によって中間転写ベルト表面のトナー像が用紙上に一括して転写される。トナー像を転写された用紙は搬送ベルト6により定着装置7へと搬送され、定着装置7を通過するとき、熱と圧力によってトナー像が用紙に熔融定着される。定着された用紙は、排紙ユニット8により装置側面の図示しない排紙トレイに排出される。
【0038】
用紙両面にプリントを行う場合は、用紙片面にトナー像を定着した用紙を排紙ユニット8部で反転させ、両面ユニット5を介して用紙をレジストローラ14へと再給紙する。再給紙された用紙裏面に中間転写ベルト15からトナー像が転写され、その裏面画像を定着装置7で定着することにより、表裏両面に画像を担持する用紙を、排紙トレイに排出することで、両面コピー・両面プリントが完成する。
【0039】
ところで、本例のカラー複写機では、装置内における発熱源である定着装置7からの熱の影響を作像部1及び中間転写ユニット2に与えないように、定着装置7と作像部1及び中間転写ユニット2との間に断熱装置20を設けている。断熱装置20は、ダクトによる気流から成る場合も多いが、ここではヒートパイプを使った断熱装置について説明する。
【0040】
断熱装置20は、受熱板21と、ヒートパイプ22と、放熱板23と、ダクト24及び図示しない排気ファンとで構成される。受熱部材である受熱板21は熱を吸収しやすい材料で形成され、発熱源である定着装置7と、その熱の影響から保護したい保護対象部である作像部1及び中間転写ユニット2との間に配置されている。
【0041】
伝熱手段(熱輸送手段)としてのヒートパイプ22は、受熱板21の下面に装着され、その一端部(下端部)側が受熱部となっている。ヒートパイプ22の他端側は放熱部であり、受熱部よりも高い位置で放熱板23に装着されている。放熱部材である放熱板23は、熱を放出しやすい材料で形成され、必要に応じてヒートシンクを設けても良い。ダクト24は本例では装置本体100の前面から背面に延設され、そのダクト内部に放熱板23が位置するように設けられる。ダクト24の装置前面側端部には空気流入口が設けられ、背面側端部には排気口が有り、その排気口部には図示しない排気ファンが設けられている。
【0042】
このように構成された断熱装置20は、発熱部(本例では定着装置7)からの熱を受熱板21で受け、その熱が伝熱手段であるヒートパイプ22によって放熱部(放熱板23)まで輸送される。そして、ダクト24内にある放熱板23から熱が放出され、放出された熱は図示しない排気ファンにより機外に排出される。なお、排気ファンを設けず、自然冷却とすることも可能である。このように、定着熱の影響を遮断し、保護対象である作像部1及び中間転写ユニット2を効果的に保護することにより、中間転写ベルト15の変形による色ズレ等の不具合や、トナー固化等による不具合の発生を未然に防止する。
【0043】
次に、発熱の大きい箇所、もしくは強制空冷用のダクトスペースを設けることができない箇所における冷却手段として有効となる液冷却方式に冷却装置31について説明する。
【0044】
この冷却装置31は、図2に示すように、受熱部44としての受熱板32と、冷却媒体が循環する循環径路33と、ポンプ34と、ラジエータ35aおよび冷却ファン35bからなる放熱部38としての冷却部35と、リザーブタンク36を備えている。
【0045】
受熱板32は、熱伝導性の高い部材で形成されており、冷却される被冷却体Sから熱を奪う冷却媒体(冷却液)が流動する流路が貼り付けまたは埋め込みにより形成されている。また、受熱板32自体が流路を形成する構成としても良い。受熱板32は、発熱源からの熱を受け、効率よく流路内の冷却媒体に伝達する。循環径路33は、熱を奪った冷却媒体を受熱板32から冷却部35へ移動させて冷却した後に再び受熱板32へ戻して、冷却媒体を受熱板32と冷却部35との間で循環させる管である。その使用場所により、適宜アルミ管、ゴムチューブ等を使用している。冷却部35では、循環経路33からの冷却媒体を内包する収容部(熱伝導率が高いアルミ等で構成)を介して冷却媒体を伝熱・放熱する放熱手段であるラジエータ35aを備え、放熱量に応じて冷却ファン35bによる強制空冷、または自然空冷がとられる。ポンプ34は冷却媒体を受熱板32と冷却部35とで循環させる駆動源であり、冷却媒体は図2中矢印のように循環させる。また、リザーブタンク36は冷却媒体保管用のタンクである。冷却媒体は、受熱板32で受けた熱をラジエータ35aまで輸送する熱輸送媒体であり、プロピレングリコール系不凍液等が用いられている。なお、このような冷却装置31においてリザーブタンク36を有さないものであってもよい。
【0046】
ところで、前記書込ユニット9、定着ユニット7、及び現像ユニット19等は、発熱部もしくはこの発熱部により昇温する昇温部を有するユニット体Uであり、装置内の温度を上昇させる。そこで、本発明では、これらのユニット体Uを前記冷却装置でもって冷却するものである。
【0047】
図3は装置本体100に対して着脱自在に配置されたユニット体Uとしての現像ユニット41を示している。現像ユニット41の近傍には、感光体40が配置されている。現像ユニット41として、現像ローラ42、トナー搬送スクリュ43等を備える。
【0048】
そして、現像ユニット41を介して感光体40と反対側に冷却装置31の受熱部44が配置される。また、現像ユニット41は、図4に示す矢印41A、41B方向に沿ってスライドさせることができる。すなわち、現像ユニット41を矢印41Aに沿ってスライドさせることによって、装置本体100に装着できる。また、装着された状態から矢印41B方向に沿ってスライドさせることによって、装置本体100から取り外すことができる。
【0049】
受熱部44に、その表面44aへの異物(トナー、ごみ、埃等)が付着するのを防止する異物付着防止手段Gが付設されている。この場合の異物付着防止手段Gは、図3に示すように、現像ユニット41がこの装置本体に収納(装着)された状態で、受熱部44の上部を被覆する屋根部材45を備える。
【0050】
現像ユニット41を取り外した時には、屋根部材45は図5の矢印のように感光体40側へスライドする(延びる)。このように、屋根部材45が感光体40側へスライドした状態では、受熱部44の表面44aを上方から覆うことになる。また、ユニット体Uをこの取り外し状態から収納状態する場合、屋根部材45は矢印方向と逆方向(反対方向)にスライドして、図3に示す状態となる。
【0051】
屋根部材45は、例えば、ラック・アンド・ピニオン機構等の機構を介して矢印A1、B1のようにスライドする。この際、手動によってスライドさせても、自動によってスライドさせてもよい。電動によってスライドさせる場合、モータ等の駆動機構を必要とし、例えば、ユニット体Uの有無を検出し、この検出に基づいて屋根部材45を駆動させるように設定することができる。
【0052】
このように、本発明の異物付着防止手段Gは屋根部材45にて構成され、屋根部材45は、ユニット体Uの装置本体100への装着状態では受熱部44上部44aに配置され、装置本体100からのユニット体の取出状態では受熱部44上部44aから延びて受熱部44表面44aの上部を覆う。このため、ユニット体Uの装置本体100からの取出状態において、装置本体100の上部に積もっているトナー等の異物が、冷却装置31の受熱部44表面44aに付着するのを防止できる。すなわち、要冷却体である現像ユニット41等のユニット体Uを装置本体100から取り出している間、受熱部44表面44aに異物が付着するのを防止することによって、受熱部44と要冷却体壁面(現像ユニット壁面)間に異物が侵入するのを防止でき、冷却装置31による冷却効率の低下を防止できる。また、受熱部44と現像ユニット(ユニット体U)との間に熱伝導シートを使用している場合、異物侵入防止によって、この熱伝導シートの劣化を防止できる。
【0053】
次に、図6は異物付着防止手段Gが受熱部44表面44aを覆うシャッタ部材46にて構成されている。このシャッタ部材(シャッタ機構)46は、ユニット体Uの装置本体100への装着状態では収納状態となり、装置本体100からのユニット体Uの取出状態では展開状態となって受熱部44表面44aを覆うものである。シャッタ部材46は、公知・公用のスライド式、回転式、じゃばら式等の既存の種々のタイプのシャッタ機構を用いることができる。
【0054】
シャッタ手段46では、受熱部44表面44aを覆うことになって、付着防止精度の向上を図ることができる。これによって、異物付着防止手段Gが屋根部材45であるものと同様、冷却装置31による冷却機能を低下させないとともに、伝導シートを使用している場合には、熱伝導シートの劣化を防止できる。
【0055】
図7のシャッタ部材は、受熱部44表面44aに沿って配設される複数の分離体47a、47b、47c、47d、47e、47f、47g、47h、47i、47jを備えたものである。各分離体47aはそれぞれユニット体Uの装置本体100への装着状態では収納状態となる。そして、装置本体100からのユニット体Uの取出動作に連動して各分離体47aが順次展開状態となる。
【0056】
すなわち、ユニット体Uが装置本体100に装着(収納)されている状態から、図7の矢印A方向に引き出される場合、引き出し方向下流側から順に、受熱部44表面44aがオープン状態となる。このため、これに対応して、引き出し方向下流側の分離体47aから順に展開状態、つまり、矢印Bのように、各分離体47が閉まっていくことになる。なお、各分離体47には、公知・公用のスライド式、回転式、じゃばら式等の既存の種々のタイプのシャッタ機構を用いることができる。
【0057】
このように、ユニット体Uである現像ユニット41の引き出し動作に連動して順次展開状態となっていくことになるものでは、受熱部44表面44aが機内に晒される時間を少なくすることができ、より確実に受熱部44表面44aへの異物の付着を防止できる。
【0058】
次に、図8のシャッタ部材46は、ユニット体U(現像ユニット41)の着脱方向と平行に、現像ユニット41の着脱動作と連動して開閉するものである。すなわち、ユニット体Uが矢印C方向に沿って引き出されると、シャッタ部材46は順次矢印C方向と同一方向の矢印D方向に沿って展開状態となっていく。この場合のシャッタ部材46としては、公知・公用のスライド式、回転式、じゃばら式等の既存の種々のタイプのシャッタ機構を用いることができる。
【0059】
なお、シャッタ部材46を用いる場合においても、これらのシャッタ部材46の開閉を手動で行うようにしても自動で行うようにしてもよい。自動で行う場合は、例えば、ユニット体Uの有無を検出し、この検出に基づいてシャッタ部材46を駆動させるように設定することができる。また、図8の場合において、例えば、じゃばら式のシャッタ機構を用いた場合、現像ユニット41側に係止部(フック部)を設けるとともに、シャッタ部材46側にこのフック部に形成する係止部を設けるように設定できる。このような構成とすれば、現像ユニット41の引き出しと同時に、シャッタ部材46は引き出されることになる。また、現像ユニット41が引き出された状態から現像ユニット41を収納する場合、現像ユニット41の収納動作と連動してシャッタ部材46が収納状態となる。
【0060】
このように、異物付着防止手段Gにシャッタ部材46を用いても受熱部44表面44aが装置本体100内において晒されることがほとんどなくなり、トナー等の異物の受熱部44表面44aへの付着を安定して防止できる。
【0061】
次に、図9に示す異物付着防止手段Gはエアカーテン機構50にて構成している。エアカーテン機構は、ユニット体Uの装置本体100への装着状態では非エア吹き出し状態であり、装置本体100からのユニット体Uの取出状態ではエア吹き出し状態となる。すなわち、ユニット体Uの取出状態では、エアカーテン機構50のエア吹き出し口50aからエアが吹き出され、図9の矢印Eのような受熱部44表面44a上に空気の流れ52を形成する。
【0062】
このように、異物付着防止手段Gがエアカーテン機構50にて構成されるものでは、受熱部表面に一旦異物が付着しても吹き飛ばすことができ、冷却装置の冷却効率の低下や熱伝導部材(熱伝導シート)の劣化を防止できる。
【0063】
ところで、異物付着防止手段Gがエアカーテン機構50にて構成されたものでは、図10に示すように、吹き出されたエアを装置外へ排出する排出路51を設けるのが好ましい。吹き出されたエアを矢印Fのように、装置外へ排出する排出路51を備えたものでは、吹き飛ばされた異物を撒き散らすことがなく、受熱部表面への異物付着防止が安定する。
【0064】
異物付着防止手段Gとして、図11に示すように、受熱部を回動させる回動機構60から構成されていてもよい。回動機構は、ユニット体Uの装置本体100への装着状態では受熱部44の表面44aがユニット体Uに相対面する状態を維持させ、装置本体100からのユニット体Uの取出状態では受熱部44の表面44aを下方に向けるようにしている。
【0065】
回動機構60は、例えば、モータ等の駆動源と、この駆動源からの駆動力を受熱部44に伝達するギア機構等の伝達機構等で構成することができる。ユニット体Uの装置本体100への装着状態では受熱部44の表面44aが、図11の実線で示すように、感光体40に相対面するように、鉛直面とされている。ユニット体Uの取出状態では、図11の仮想線で示すように、受熱部44が、その下部を中心に矢印Hの方向、所定角度だけ回動する。表面44aが水平面に対して、例えば、50°〜60°程度に傾斜する。すなわち、表面44aが下方を向くことになる。ユニット体Uを装着状態とする場合、この仮想線で示す状態から、受熱部44を矢印Hと反対方向に回動させて、実線で示す状態に戻すことになる。
【0066】
このように、受熱部44の表面44aが下方を向くものでは、下方を向くことによって、受熱部44の表面44aへの異物付着を防止でき、冷却装置31による冷却効率の低下や熱伝導部材(熱伝導シート)の劣化を防止できる。
【0067】
次に、図12では、受熱部44を、その表面44aが例えば50°〜60°程度に傾斜するように配置する。すなわち、この場合の異物付着防止手段Gとして、受熱部44の表面44aが下方を向くように傾斜した状態に配置させる機構をもって構成する。
【0068】
この場合であっても、図11に示すように回動機構を備えたものと同様、受熱部44の表面44aが下方を向くことによって、受熱部44の表面44aへの異物付着を防止でき、冷却装置による冷却効率の低下や熱伝導部材(受熱部)の劣化を防止できる。しかも、受熱部44の表面44aが常時下方を向くので、受熱部44の角度を変更するための揺動機構(回動機構)等を必要とせず、装置全体の簡素化を図ることができる。
【0069】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明に係る画像形成装置は、電子写真複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ装置等がある。前記実施例では、発熱部や昇温部を有するのもとして現像ユニット41としていたが、他のユニット体(書込ユニットや定着ユニット等)であってもよい。また、前記実施例における冷却媒体は、プロピレングリコール系不凍液等の冷却液を用いたが、冷却媒体としては空気などの気体である媒体を用いてもよい。
【0070】
図7に示すように、シャッタ部材を複数の分離体47にて構成する場合、その数の増減は任意である。エアカーテン機構50を用いる場合のエアの風量としては、受熱部44の表面44aにトナー等の異物を付着させず、また、付着した場合には付着した異物を表面44aから吹き飛ばすことができるものであればよい。図11や図12に示すように、受熱部44の表面44aが下方を向く場合、その傾斜角度としては、トナー等の異物を付着しにくいものであればよく、前記実施例のように、50°〜60°に限るものではない。
【符号の説明】
【0071】
31 冷却装置
33 循環径路
38 放熱部
41 現像ユニット
44 受熱部
44a 表面
45 屋根部材
46 シャッタ部材
47 分離体
48 シャッタ部材
50 エアカーテン機構
51 排出路
100 画像形成装置本体
G 異物付着防止手段
U ユニット体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2005−164927号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複合機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関し、特に、装置内の現像装置(現像ユニット)等を冷却する冷却装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらを備えた複合機等の電子写真方式の画像形成装置は、内部に書き込み装置、現像装置などの画像形成動作時に発熱を伴う複数のユニットを有している。すなわち、画像形成装置においては、書込ユニット、定着ユニット、及び現像ユニット等が発熱を伴うユニットとなる。
【0003】
例えば、現像ユニットにおいては、現像ユニット内の現像剤を攪拌搬送する現像剤攪拌搬送部材を駆動した際に、現像剤攪拌搬送部材と現像剤との摺擦による摩擦熱や、現像剤同士の摺擦による摩擦熱により装置内を温度上昇させる。また、現像剤を現像領域に搬送する前に現像剤担持体上に担持されている現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材と現像剤との摺擦による摩擦熱や、現像剤規制部材による規制の際の現像剤同士の摺擦による摩擦熱により装置内を温度上昇させる。
【0004】
装置内の温度が上昇すると、トナーの帯電量が低下してトナー付着量が増加し、所定の画像濃度が得られなくなる。また、温度上昇によりトナーが溶融して現像剤規制部材や現像剤担持体、像担持体などに固着し、画像にスジ状の異常画像などが生じるおそれがある。特に、近年、定着エネルギーを小さくするために溶融温度の低いトナーを用いた場合は、トナーの固着による異常画像などが生じやすい。
【0005】
そのため、従来において空冷ファンで取り込んだ外気をダクトで現像ユニットの周辺に搬送し、気流を発生させ現像ユニットを空冷して、現像ユニットの温度が過度に上昇するのを抑制している。しかし、近年、画像形成装置の小型化のため、装置内が高密度化して現像ユニットの周囲に空間的余裕がなくなってきている。このため、現像ユニット周辺に空冷ファンの気流を搬送するためのダクトを設置するスペースの確保が難しくなっており、現像ユニットを強制空冷することが困難となっている。
【0006】
また、従来には、液体を循環させて発熱ユニットたる現像ユニットを冷却する液冷方式を用いた画像形成装置が記載されている(特許文献1)。この場合の液冷装置は、発熱ユニットたる現像ユニット壁面に接触して冷却液が現像ユニットの熱を受ける受熱部と、冷却液の熱を放熱するための放熱手段たるラジエータと、冷却液が受熱部とラジエータとを循環するように配管された循環パイプと、循環パイプ内の冷却液を受熱部へ搬送するための搬送手段たる搬送ポンプとを備えている。
【0007】
液冷装置は、空冷装置よりも効率良く冷却できるため、現像ユニットを効率よく冷却することができる。また、冷却液を循環させるための循環パイプは、ダクトよりも小さいため、現像ユニットの周囲の空間が狭くても、現像ユニットの周囲に循環パイプを配置することができる。よって、装置内が高密度化しても現像ユニットを冷却することができる。また、現像ユニットは、単体で装置本体から着脱可能に構成されていたり、プロセスカートリッジとして潜像担持体と一体で装置本体から着脱可能に構成されていたりする。また、現像ユニットを着脱する際は、受熱部を現像ユニットから離間させ、現像ユニットが装置本体に装着されると、受熱部が付勢手段によって現像ユニット側へ付勢され、受熱部が現像ユニットに密着する接離機構を備えている。このように構成することで、現像ユニットの着脱を容易に行うことができる。また、現像ユニット装着時には、受熱部が現像ユニットに密着するので、効率よく現像ユニットを冷却することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、機内にはトナー等の異物が舞っていることが多く、この異物が受熱部表面に付着すると、受熱部と現像ユニットとの密着度合いが減少し、冷却効率に悪影響を与えることになる。さらに、受熱部と現像ユニットとの間に熱伝導シートを使用している装置においては、挿入した異物によりシートの劣化を促進するおそれもある。またこれらのことは、現像のみでなく、機内の要冷却体とそれに接触して冷却する受熱部についても同様なことが言える。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑み、簡易な構成にて被冷却体(ユニット体)と受熱部との間の異物の侵入を防止し、冷却効率に影響を与えない画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置は、発熱部もしくはこの発熱部により昇温する昇温部を有するユニット体と、ユニット体から熱を受ける受熱部と、熱を外部へ放熱する放熱部と、冷却液が循環可能なように受熱部と放熱部とを連結する冷却液循環路とを有する冷却装置を備え、前記ユニット体が画像形成装置本体に対して着脱自在に配置された画像形成装置であって、前記ユニット体の画像形成装置本体からの取出状態において、前記冷却装置の受熱部表面に異物付着を防止する異物付着防止手段を備えたものである。ここで、異物とはトナー、ごみ、埃等である。
【0011】
本発明の画像形成装置によれば、異物付着防止手段にて、ユニット体の画像形成装置本体からの取出状態において、冷却装置の受熱部表面に異物が付着するのを防止できる。すなわち、要冷却体である現像ユニット等のユニット体を画像形成装置本体から取り出している間、受熱部表面に異物が付着するのを防止することによって、受熱部と要冷却体壁面(現像ユニット壁面)間に異物が侵入するのを防止できる。
【0012】
異物付着防止手段は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では受熱部上部に配置され、画像形成装置本体からのユニット体の取出状態では受熱部上部から延びて受熱部表面の上部を覆う屋根部材にて構成される場合がある。
【0013】
このように、異物付着防止手段が屋根部材にて構成されるものでは、ユニット体の取出状態では、屋根部材が受熱部表面の上部を覆うことになって、受熱部表面への異物の付着を防止することができる。
【0014】
異物付着防止手段は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では収納状態となり、画像形成装置本体からのユニット体の取出状態では展開状態となって受熱部表面を覆うシャッタ部材にて構成されるものであってもよい。
【0015】
このように、異物付着防止手段がシャッタ部材にて構成されるものでは、ユニット体の取出状態では展開状態となって受熱部表面を覆うことになって、受熱部表面への異物の付着を防止することができる。
【0016】
シャッタ部材は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では収納状態となり、画像形成装置本体からのユニット体の取出動作に連動して、取出動作方向に沿って順次展開状態となるものであってもよい。
【0017】
シャッタ部材は、受熱部表面に沿って配設される複数の分離体を備え、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では各分離体が収納状態となり、画像形成装置本体からのユニット体の取出動作に連動して各分離体が順次展開状態となるものであってもよい。この場合、ユニット体の引き出し動作に連動して順次展開状態となっていくことになる。
【0018】
異物付着防止手段は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では非エア吹き出し状態であり、画像形成装置本体からのユニット体の取出状態ではエア吹き出し状態となって、受熱部表面上に空気の流れを形成するエアカーテン機構にて構成してもよい。
【0019】
エアカーテン機構は、吹き出されたエアを装置外へ排出する排出路を備えたものであってもよい。
【0020】
異物付着防止手段は受熱部を回動させる回動機構から構成され、回動機構は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では受熱部の表面がユニット体に相対面する状態を維持させ、画像形成装置本体からのユニット体の取出状態では受熱部の表面を下方に向けるようにしてもよい。
【0021】
異物付着防止手段は受熱部の表面が下方を向くように傾斜した状態に配置させる機構をもって構成してもよい。
【0022】
受熱部の表面が下方に向くものであれば、この表面への異物の付着を防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、要冷却体である現像ユニット等のユニット体を画像形成装置本体から取り出している間、受熱部表面に異物が付着するのを防止することによって、受熱部と要冷却体壁面(現像ユニット壁面)間に異物が侵入するのを防止でき、冷却装置による冷却効率の低下を防止できる。また、受熱部と現像ユニット(ユニット体)との間に熱伝導シートを使用している場合、異物侵入防止によって、この熱伝導シートの劣化を防止できる。
【0024】
異物付着防止手段が屋根部材であってもシャッタ手段であっても、受熱部表面への異物の付着を防止でき、しかも、ユニット体が画像形成装置本体に装着されている状態では、屋根部材は受熱部の上部に位置し、シャッタ手段は収納状となっている。このため、これらの異物付着防止手段ではユニット体の装着状態では、冷却装置による冷却機能を低下させない。特に、シャッタ手段では、受熱部表面を覆うことになって、付着防止精度の向上を図ることができる。
【0025】
ユニット体の引き出し動作に連動して順次展開状態となっていくことになるものでは、受熱部表面が機内に晒される時間を少なくすることができ、より確実に受熱部表面への異物の付着を防止できる。
【0026】
異物付着防止手段がエアカーテンにて構成されるものでは、受熱部表面に一旦異物が付着しても吹き飛ばすことができ、冷却装置の冷却効率の低下や熱伝導部材(熱伝導シート)の劣化を防止できる。また、吹き出されたエアを装置外へ排出する排出路を備えたものでは、吹き飛ばされた異物を撒き散らすことがなく、受熱部表面への異物付着防止が安定する。
【0027】
受熱部の表面が下方を向くものでは、下方を向くことによって、受熱部の表面への異物付着を防止でき、冷却装置による冷却効率の低下や熱伝導部材(熱伝導シート)の劣化を防止できる。特に、受熱部の表面が常時下方を向くものでは、受熱部の角度を変更するための揺動機構等を必要とせず、装置全体の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の画像形成装置の全体簡略図である。
【図2】本発明の画像形成装置の冷却装置の簡略斜視図である。
【図3】前記画像形成装置のユニット体と第1の異物付着防止手段とを示す簡略図である。
【図4】前記画像形成装置のユニット体の着脱方向を示す簡略図である。
【図5】前記図3に示す異物付着防止手段の動作を示す簡略図である。
【図6】第2の異物付着防止手段を示す簡略図である。
【図7】第3の異物付着防止手段を示す簡略図である。
【図8】第4の異物付着防止手段を示す簡略図である。
【図9】第5の異物付着防止手段を示す簡略図である。
【図10】前記図9に示す異物付着防止手段の変形例を示す簡略図である。
【図11】第6の異物付着防止手段を示す簡略図である。
【図12】第7の異物付着防止手段を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図に示す実施例による本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例】
【0030】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。この画像形成装置は、タンデム型間接転写方式を採用してフルカラー画像を形成可能なカラー複写装置である。この画像形成装置は、画像形成装置本体100内に、像担持体としての感光体18Y,18M,18C,18Kを並列に配置し、それぞれ個別に現像装置(現像ユニット)19Y,19M,19C,19Kを備え、作像部1を形成している。作像部1の上方には、潜像形成手段としての露光装置(書込ユニット)9が設けられている。
【0031】
また、装置上部には、コンタクトガラス上に載置された原稿を走査して読み取る読取装置(読取ユニット)10が設けられている。作像部1の下方には、中間転写体としての中間転写ベルト15を備えた転写ユニット2が設けられている。中間転写ベルト15は、複数の支持ローラに掛け渡されており、図中時計回り方向に回転移動する。中間転写ベルト15を挟んで作像部1の反対側には2次転写装置4が設けられている。
【0032】
2次転写装置4は、2次転写ローラ17を備えており、2次転写ローラ17は、中間転写ベルト15における転写対向ローラ16に対する掛け回し箇所にベルトおもて面から当接して2次転写ニップを形成している。また、中間転写ベルト15の回転方向における2次転写装置4よりも下流側には、中間転写ベルト15上に残留する残留トナーを除去するベルトクリーニング装置が設けられている。
【0033】
2次転写装置4の図中左方には、シート上に転写されたトナー像を定着するために、内部に発熱体を備えた加熱ローラを有する定着装置(定着ユニット)7が設けられている。また、2次転写装置4と定着装置7との間には、トナー像転写後のシートを定着装置7へと搬送する搬送ベルト6が設けられている。また、装置下方には、図示しない給紙収容部から1枚ずつ分離して給送されたシートを2次転写装置4へ給紙する給紙ユニット3が設けられている。また、定着装置7を通過したシートを機外または両面ユニット5へ搬送する排紙ユニット8が設けられている。
【0034】
次に図1に示す画像成形装置の画像形成動作について簡単に説明する。読取ユニット10は従来周知なものと同様の構成であり、コンタクトガラス上に載置された原稿画像を読み取る。その読み取られた画像情報又は本装置をプリンタとして用いる場合は外部から供給された画像情報に基づいて、書込ユニット9が駆動される。作像部1においては、感光体ドラム18が図示しない駆動手段によって回転駆動され、その感光体表面が帯電手段によって所定の極性に一様に帯電される。
【0035】
帯電された感光体表面には、書込ユニット9からのレーザ光が照射され、これによって感光体ドラム18表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラム18に露光される画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー,マゼンタ,シアン及び黒の色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成された静電潜像に現像装置19から各色トナーが付与され、トナー像として可視化される。
【0036】
また、中間転写ベルト15が図中時計回りに走行駆動され、一次転写手段の作用により感光体ドラム18から中間転写ベルト15に各色トナー像が順次重ね転写される。このようにして中間転写ベルト15はその表面にフルカラーのトナー像を担持する。なお、いずれか1つの感光体を使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つの感光体により2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。モノクロプリントの場合は、4個の感光体ドラム18のうち、黒色トナーを用いる図の一番右側の感光体ドラムを用いて画像形成を行う。
【0037】
そして、トナー像を転写した後の感光体ドラム表面に付着する残留トナーは、クリーニング手段によって感光体ドラム表面から除去され、次いでその表面が除電器の作用を受けて表面電位が初期化されて次の画像形成に備える。一方、図示しない給紙カセットから用紙が給送され、レジストローラ対14によって、中間転写ベルト15上に担持されたトナー像とのタイミングを取って2次転写部に向けて送出される。2次転写ローラ17によって中間転写ベルト表面のトナー像が用紙上に一括して転写される。トナー像を転写された用紙は搬送ベルト6により定着装置7へと搬送され、定着装置7を通過するとき、熱と圧力によってトナー像が用紙に熔融定着される。定着された用紙は、排紙ユニット8により装置側面の図示しない排紙トレイに排出される。
【0038】
用紙両面にプリントを行う場合は、用紙片面にトナー像を定着した用紙を排紙ユニット8部で反転させ、両面ユニット5を介して用紙をレジストローラ14へと再給紙する。再給紙された用紙裏面に中間転写ベルト15からトナー像が転写され、その裏面画像を定着装置7で定着することにより、表裏両面に画像を担持する用紙を、排紙トレイに排出することで、両面コピー・両面プリントが完成する。
【0039】
ところで、本例のカラー複写機では、装置内における発熱源である定着装置7からの熱の影響を作像部1及び中間転写ユニット2に与えないように、定着装置7と作像部1及び中間転写ユニット2との間に断熱装置20を設けている。断熱装置20は、ダクトによる気流から成る場合も多いが、ここではヒートパイプを使った断熱装置について説明する。
【0040】
断熱装置20は、受熱板21と、ヒートパイプ22と、放熱板23と、ダクト24及び図示しない排気ファンとで構成される。受熱部材である受熱板21は熱を吸収しやすい材料で形成され、発熱源である定着装置7と、その熱の影響から保護したい保護対象部である作像部1及び中間転写ユニット2との間に配置されている。
【0041】
伝熱手段(熱輸送手段)としてのヒートパイプ22は、受熱板21の下面に装着され、その一端部(下端部)側が受熱部となっている。ヒートパイプ22の他端側は放熱部であり、受熱部よりも高い位置で放熱板23に装着されている。放熱部材である放熱板23は、熱を放出しやすい材料で形成され、必要に応じてヒートシンクを設けても良い。ダクト24は本例では装置本体100の前面から背面に延設され、そのダクト内部に放熱板23が位置するように設けられる。ダクト24の装置前面側端部には空気流入口が設けられ、背面側端部には排気口が有り、その排気口部には図示しない排気ファンが設けられている。
【0042】
このように構成された断熱装置20は、発熱部(本例では定着装置7)からの熱を受熱板21で受け、その熱が伝熱手段であるヒートパイプ22によって放熱部(放熱板23)まで輸送される。そして、ダクト24内にある放熱板23から熱が放出され、放出された熱は図示しない排気ファンにより機外に排出される。なお、排気ファンを設けず、自然冷却とすることも可能である。このように、定着熱の影響を遮断し、保護対象である作像部1及び中間転写ユニット2を効果的に保護することにより、中間転写ベルト15の変形による色ズレ等の不具合や、トナー固化等による不具合の発生を未然に防止する。
【0043】
次に、発熱の大きい箇所、もしくは強制空冷用のダクトスペースを設けることができない箇所における冷却手段として有効となる液冷却方式に冷却装置31について説明する。
【0044】
この冷却装置31は、図2に示すように、受熱部44としての受熱板32と、冷却媒体が循環する循環径路33と、ポンプ34と、ラジエータ35aおよび冷却ファン35bからなる放熱部38としての冷却部35と、リザーブタンク36を備えている。
【0045】
受熱板32は、熱伝導性の高い部材で形成されており、冷却される被冷却体Sから熱を奪う冷却媒体(冷却液)が流動する流路が貼り付けまたは埋め込みにより形成されている。また、受熱板32自体が流路を形成する構成としても良い。受熱板32は、発熱源からの熱を受け、効率よく流路内の冷却媒体に伝達する。循環径路33は、熱を奪った冷却媒体を受熱板32から冷却部35へ移動させて冷却した後に再び受熱板32へ戻して、冷却媒体を受熱板32と冷却部35との間で循環させる管である。その使用場所により、適宜アルミ管、ゴムチューブ等を使用している。冷却部35では、循環経路33からの冷却媒体を内包する収容部(熱伝導率が高いアルミ等で構成)を介して冷却媒体を伝熱・放熱する放熱手段であるラジエータ35aを備え、放熱量に応じて冷却ファン35bによる強制空冷、または自然空冷がとられる。ポンプ34は冷却媒体を受熱板32と冷却部35とで循環させる駆動源であり、冷却媒体は図2中矢印のように循環させる。また、リザーブタンク36は冷却媒体保管用のタンクである。冷却媒体は、受熱板32で受けた熱をラジエータ35aまで輸送する熱輸送媒体であり、プロピレングリコール系不凍液等が用いられている。なお、このような冷却装置31においてリザーブタンク36を有さないものであってもよい。
【0046】
ところで、前記書込ユニット9、定着ユニット7、及び現像ユニット19等は、発熱部もしくはこの発熱部により昇温する昇温部を有するユニット体Uであり、装置内の温度を上昇させる。そこで、本発明では、これらのユニット体Uを前記冷却装置でもって冷却するものである。
【0047】
図3は装置本体100に対して着脱自在に配置されたユニット体Uとしての現像ユニット41を示している。現像ユニット41の近傍には、感光体40が配置されている。現像ユニット41として、現像ローラ42、トナー搬送スクリュ43等を備える。
【0048】
そして、現像ユニット41を介して感光体40と反対側に冷却装置31の受熱部44が配置される。また、現像ユニット41は、図4に示す矢印41A、41B方向に沿ってスライドさせることができる。すなわち、現像ユニット41を矢印41Aに沿ってスライドさせることによって、装置本体100に装着できる。また、装着された状態から矢印41B方向に沿ってスライドさせることによって、装置本体100から取り外すことができる。
【0049】
受熱部44に、その表面44aへの異物(トナー、ごみ、埃等)が付着するのを防止する異物付着防止手段Gが付設されている。この場合の異物付着防止手段Gは、図3に示すように、現像ユニット41がこの装置本体に収納(装着)された状態で、受熱部44の上部を被覆する屋根部材45を備える。
【0050】
現像ユニット41を取り外した時には、屋根部材45は図5の矢印のように感光体40側へスライドする(延びる)。このように、屋根部材45が感光体40側へスライドした状態では、受熱部44の表面44aを上方から覆うことになる。また、ユニット体Uをこの取り外し状態から収納状態する場合、屋根部材45は矢印方向と逆方向(反対方向)にスライドして、図3に示す状態となる。
【0051】
屋根部材45は、例えば、ラック・アンド・ピニオン機構等の機構を介して矢印A1、B1のようにスライドする。この際、手動によってスライドさせても、自動によってスライドさせてもよい。電動によってスライドさせる場合、モータ等の駆動機構を必要とし、例えば、ユニット体Uの有無を検出し、この検出に基づいて屋根部材45を駆動させるように設定することができる。
【0052】
このように、本発明の異物付着防止手段Gは屋根部材45にて構成され、屋根部材45は、ユニット体Uの装置本体100への装着状態では受熱部44上部44aに配置され、装置本体100からのユニット体の取出状態では受熱部44上部44aから延びて受熱部44表面44aの上部を覆う。このため、ユニット体Uの装置本体100からの取出状態において、装置本体100の上部に積もっているトナー等の異物が、冷却装置31の受熱部44表面44aに付着するのを防止できる。すなわち、要冷却体である現像ユニット41等のユニット体Uを装置本体100から取り出している間、受熱部44表面44aに異物が付着するのを防止することによって、受熱部44と要冷却体壁面(現像ユニット壁面)間に異物が侵入するのを防止でき、冷却装置31による冷却効率の低下を防止できる。また、受熱部44と現像ユニット(ユニット体U)との間に熱伝導シートを使用している場合、異物侵入防止によって、この熱伝導シートの劣化を防止できる。
【0053】
次に、図6は異物付着防止手段Gが受熱部44表面44aを覆うシャッタ部材46にて構成されている。このシャッタ部材(シャッタ機構)46は、ユニット体Uの装置本体100への装着状態では収納状態となり、装置本体100からのユニット体Uの取出状態では展開状態となって受熱部44表面44aを覆うものである。シャッタ部材46は、公知・公用のスライド式、回転式、じゃばら式等の既存の種々のタイプのシャッタ機構を用いることができる。
【0054】
シャッタ手段46では、受熱部44表面44aを覆うことになって、付着防止精度の向上を図ることができる。これによって、異物付着防止手段Gが屋根部材45であるものと同様、冷却装置31による冷却機能を低下させないとともに、伝導シートを使用している場合には、熱伝導シートの劣化を防止できる。
【0055】
図7のシャッタ部材は、受熱部44表面44aに沿って配設される複数の分離体47a、47b、47c、47d、47e、47f、47g、47h、47i、47jを備えたものである。各分離体47aはそれぞれユニット体Uの装置本体100への装着状態では収納状態となる。そして、装置本体100からのユニット体Uの取出動作に連動して各分離体47aが順次展開状態となる。
【0056】
すなわち、ユニット体Uが装置本体100に装着(収納)されている状態から、図7の矢印A方向に引き出される場合、引き出し方向下流側から順に、受熱部44表面44aがオープン状態となる。このため、これに対応して、引き出し方向下流側の分離体47aから順に展開状態、つまり、矢印Bのように、各分離体47が閉まっていくことになる。なお、各分離体47には、公知・公用のスライド式、回転式、じゃばら式等の既存の種々のタイプのシャッタ機構を用いることができる。
【0057】
このように、ユニット体Uである現像ユニット41の引き出し動作に連動して順次展開状態となっていくことになるものでは、受熱部44表面44aが機内に晒される時間を少なくすることができ、より確実に受熱部44表面44aへの異物の付着を防止できる。
【0058】
次に、図8のシャッタ部材46は、ユニット体U(現像ユニット41)の着脱方向と平行に、現像ユニット41の着脱動作と連動して開閉するものである。すなわち、ユニット体Uが矢印C方向に沿って引き出されると、シャッタ部材46は順次矢印C方向と同一方向の矢印D方向に沿って展開状態となっていく。この場合のシャッタ部材46としては、公知・公用のスライド式、回転式、じゃばら式等の既存の種々のタイプのシャッタ機構を用いることができる。
【0059】
なお、シャッタ部材46を用いる場合においても、これらのシャッタ部材46の開閉を手動で行うようにしても自動で行うようにしてもよい。自動で行う場合は、例えば、ユニット体Uの有無を検出し、この検出に基づいてシャッタ部材46を駆動させるように設定することができる。また、図8の場合において、例えば、じゃばら式のシャッタ機構を用いた場合、現像ユニット41側に係止部(フック部)を設けるとともに、シャッタ部材46側にこのフック部に形成する係止部を設けるように設定できる。このような構成とすれば、現像ユニット41の引き出しと同時に、シャッタ部材46は引き出されることになる。また、現像ユニット41が引き出された状態から現像ユニット41を収納する場合、現像ユニット41の収納動作と連動してシャッタ部材46が収納状態となる。
【0060】
このように、異物付着防止手段Gにシャッタ部材46を用いても受熱部44表面44aが装置本体100内において晒されることがほとんどなくなり、トナー等の異物の受熱部44表面44aへの付着を安定して防止できる。
【0061】
次に、図9に示す異物付着防止手段Gはエアカーテン機構50にて構成している。エアカーテン機構は、ユニット体Uの装置本体100への装着状態では非エア吹き出し状態であり、装置本体100からのユニット体Uの取出状態ではエア吹き出し状態となる。すなわち、ユニット体Uの取出状態では、エアカーテン機構50のエア吹き出し口50aからエアが吹き出され、図9の矢印Eのような受熱部44表面44a上に空気の流れ52を形成する。
【0062】
このように、異物付着防止手段Gがエアカーテン機構50にて構成されるものでは、受熱部表面に一旦異物が付着しても吹き飛ばすことができ、冷却装置の冷却効率の低下や熱伝導部材(熱伝導シート)の劣化を防止できる。
【0063】
ところで、異物付着防止手段Gがエアカーテン機構50にて構成されたものでは、図10に示すように、吹き出されたエアを装置外へ排出する排出路51を設けるのが好ましい。吹き出されたエアを矢印Fのように、装置外へ排出する排出路51を備えたものでは、吹き飛ばされた異物を撒き散らすことがなく、受熱部表面への異物付着防止が安定する。
【0064】
異物付着防止手段Gとして、図11に示すように、受熱部を回動させる回動機構60から構成されていてもよい。回動機構は、ユニット体Uの装置本体100への装着状態では受熱部44の表面44aがユニット体Uに相対面する状態を維持させ、装置本体100からのユニット体Uの取出状態では受熱部44の表面44aを下方に向けるようにしている。
【0065】
回動機構60は、例えば、モータ等の駆動源と、この駆動源からの駆動力を受熱部44に伝達するギア機構等の伝達機構等で構成することができる。ユニット体Uの装置本体100への装着状態では受熱部44の表面44aが、図11の実線で示すように、感光体40に相対面するように、鉛直面とされている。ユニット体Uの取出状態では、図11の仮想線で示すように、受熱部44が、その下部を中心に矢印Hの方向、所定角度だけ回動する。表面44aが水平面に対して、例えば、50°〜60°程度に傾斜する。すなわち、表面44aが下方を向くことになる。ユニット体Uを装着状態とする場合、この仮想線で示す状態から、受熱部44を矢印Hと反対方向に回動させて、実線で示す状態に戻すことになる。
【0066】
このように、受熱部44の表面44aが下方を向くものでは、下方を向くことによって、受熱部44の表面44aへの異物付着を防止でき、冷却装置31による冷却効率の低下や熱伝導部材(熱伝導シート)の劣化を防止できる。
【0067】
次に、図12では、受熱部44を、その表面44aが例えば50°〜60°程度に傾斜するように配置する。すなわち、この場合の異物付着防止手段Gとして、受熱部44の表面44aが下方を向くように傾斜した状態に配置させる機構をもって構成する。
【0068】
この場合であっても、図11に示すように回動機構を備えたものと同様、受熱部44の表面44aが下方を向くことによって、受熱部44の表面44aへの異物付着を防止でき、冷却装置による冷却効率の低下や熱伝導部材(受熱部)の劣化を防止できる。しかも、受熱部44の表面44aが常時下方を向くので、受熱部44の角度を変更するための揺動機構(回動機構)等を必要とせず、装置全体の簡素化を図ることができる。
【0069】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明に係る画像形成装置は、電子写真複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ装置等がある。前記実施例では、発熱部や昇温部を有するのもとして現像ユニット41としていたが、他のユニット体(書込ユニットや定着ユニット等)であってもよい。また、前記実施例における冷却媒体は、プロピレングリコール系不凍液等の冷却液を用いたが、冷却媒体としては空気などの気体である媒体を用いてもよい。
【0070】
図7に示すように、シャッタ部材を複数の分離体47にて構成する場合、その数の増減は任意である。エアカーテン機構50を用いる場合のエアの風量としては、受熱部44の表面44aにトナー等の異物を付着させず、また、付着した場合には付着した異物を表面44aから吹き飛ばすことができるものであればよい。図11や図12に示すように、受熱部44の表面44aが下方を向く場合、その傾斜角度としては、トナー等の異物を付着しにくいものであればよく、前記実施例のように、50°〜60°に限るものではない。
【符号の説明】
【0071】
31 冷却装置
33 循環径路
38 放熱部
41 現像ユニット
44 受熱部
44a 表面
45 屋根部材
46 シャッタ部材
47 分離体
48 シャッタ部材
50 エアカーテン機構
51 排出路
100 画像形成装置本体
G 異物付着防止手段
U ユニット体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2005−164927号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部もしくはこの発熱部により昇温する昇温部を有するユニット体と、ユニット体から熱を受ける受熱部と、熱を外部へ放熱する放熱部と、冷却媒体が循環可能なように受熱部と放熱部とを連結する冷却液循環路とを有する冷却装置を備え、前記ユニット体が画像形成装置本体に対して着脱自在に配置された画像形成装置であって、
前記ユニット体の画像形成装置本体からの取出状態において、前記冷却装置の受熱部表面への異物付着を防止する異物付着防止手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
異物付着防止手段は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では受熱部上部に配置され、画像形成装置本体からのユニット体の取出状態では受熱部上部から延びて受熱部表面の上部を覆う屋根部材にて構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
異物付着防止手段は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では収納状態となり、
画像形成装置本体からのユニット体の取出状態では展開状態となって受熱部表面を覆うシャッタ部材にて構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
シャッタ部材は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では収納状態となり、画像形成装置本体からのユニット体の取出動作に連動して、取出動作方向に沿って順次展開状態となることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
シャッタ部材は、受熱部表面に沿って配設される複数の分離体を備え、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では各分離体が収納状態となり、画像形成装置本体からのユニット体の取出動作に連動して各分離体が順次展開状態となることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
異物付着防止手段は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では非エア吹き出し状態であり、画像形成装置本体からのユニット体の取出状態ではエア吹き出し状態となって、受熱部表面上に空気の流れを形成するエアカーテン機構にて構成したことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
エアカーテン機構は、吹き出されたエアを装置外へ排出する排出路を備えたことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
異物付着防止手段は受熱部を回動させる回動機構から構成され、回動機構は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では受熱部の表面がユニット体に相対面する状態を維持させ、画像形成装置本体からのユニット体の取出状態では受熱部の表面を下方に向けることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
異物付着防止手段は受熱部の表面が下方を向くように傾斜した状態に配置させる機構をもって構成したことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
発熱部もしくはこの発熱部により昇温する昇温部を有するユニット体と、ユニット体から熱を受ける受熱部と、熱を外部へ放熱する放熱部と、冷却媒体が循環可能なように受熱部と放熱部とを連結する冷却液循環路とを有する冷却装置を備え、前記ユニット体が画像形成装置本体に対して着脱自在に配置された画像形成装置であって、
前記ユニット体の画像形成装置本体からの取出状態において、前記冷却装置の受熱部表面への異物付着を防止する異物付着防止手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
異物付着防止手段は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では受熱部上部に配置され、画像形成装置本体からのユニット体の取出状態では受熱部上部から延びて受熱部表面の上部を覆う屋根部材にて構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
異物付着防止手段は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では収納状態となり、
画像形成装置本体からのユニット体の取出状態では展開状態となって受熱部表面を覆うシャッタ部材にて構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
シャッタ部材は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では収納状態となり、画像形成装置本体からのユニット体の取出動作に連動して、取出動作方向に沿って順次展開状態となることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
シャッタ部材は、受熱部表面に沿って配設される複数の分離体を備え、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では各分離体が収納状態となり、画像形成装置本体からのユニット体の取出動作に連動して各分離体が順次展開状態となることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
異物付着防止手段は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では非エア吹き出し状態であり、画像形成装置本体からのユニット体の取出状態ではエア吹き出し状態となって、受熱部表面上に空気の流れを形成するエアカーテン機構にて構成したことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
エアカーテン機構は、吹き出されたエアを装置外へ排出する排出路を備えたことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
異物付着防止手段は受熱部を回動させる回動機構から構成され、回動機構は、ユニット体の画像形成装置本体への装着状態では受熱部の表面がユニット体に相対面する状態を維持させ、画像形成装置本体からのユニット体の取出状態では受熱部の表面を下方に向けることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
異物付着防止手段は受熱部の表面が下方を向くように傾斜した状態に配置させる機構をもって構成したことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−186314(P2011−186314A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53239(P2010−53239)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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