説明

画像形成装置

【課題】複数の媒体に連続して画像を形成するジョブにおいて、画像の形成位置を精度良く定め、かつ、ジョブに要する時間を短くする画像形成装置を提供すること。
【解決手段】主走査方向において、インクを吐出するキャリッジと同一の速度及び方向で走査され、副走査方向における媒体の先端位置を検出する検出手段と、第1の媒体への画像形成が終了した時の、前記検出手段の、主走査方向における終了位置を取得する位置取得手段と、前記検出手段が、前記終了位置から主走査方向の所定の位置に移動するのに要する時間に係る量である検出手段移動量と、前記第1の媒体に続いて画像形成される第2の媒体の先端が、副走査方向において、前記所定の位置に移動するのに要する媒体移動時間に係る量である媒体移動量と、に基づいて、前記検出手段が前記第2の媒体の先端を検出する際の主走査方向における先端検出位置を制御する制御手段を有する画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置において、画像を形成するジョブが指示されてから終了するまでの時間を短くする技術がある。ところで、画像を形成する際には、副走査方向に移動する媒体に対して、主走査方向に移動するキャリッジの位置を正確に定める必要がある。そこで、キャリッジに設けられるセンサにより、媒体の先端位置を検出した後に、キャリッジを印刷開始位置に移動させる。
【0003】
先端位置の検出から印刷開始位置に移動するまでの間は、画像を形成することができない。そこで、ジョブの時間を短くするために、例えば、特開2008−6793号公報(特許文献1)には、搬送精度がよいと判断できる場合には、先端検出を実施しないインクジェット記録装置の発明が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示の発明では、複数の媒体に連続して画像を形成する際に、媒体の先端位置を精度良く定めたい場合には、一枚の媒体毎に、媒体の先端位置を検出した後に印刷を開始するため、ジョブが開始されてから終了するまでの時間が長くなる。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みて、これらの問題を解消するために発明されたものであり、複数の媒体に連続して画像を形成するジョブにおいて、画像の形成位置を精度良く定め、かつ、ジョブに要する時間を短くする画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は次の如き構成を採用した。本発明の画像形成装置は、主走査方向において、インクを吐出するキャリッジと同一の速度及び方向で走査され、副走査方向における媒体の先端位置を検出する検出手段と、第1の媒体への画像形成が終了した時の、前記検出手段の、主走査方向における終了位置を取得する位置取得手段と、前記検出手段が、前記終了位置から主走査方向の所定の位置に移動するのに要する時間に係る量である検出手段移動量と、前記第1の媒体に続いて画像形成される第2の媒体の先端が、副走査方向において、前記所定の位置に移動するのに要する媒体移動時間に係る量である媒体移動量と、に基づいて、前記検出手段が前記第2の媒体の先端を検出する際の主走査方向における先端検出位置を制御する制御手段を有する構成とすることができる。
【0007】
これにより、複数の媒体に連続して画像を形成するジョブにおいて、画像の形成位置を精度良く定め、かつ、ジョブに要する時間を短くする画像形成装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置によれば、複数の媒体に連続して画像を形成するジョブにおいて、画像の形成位置を精度良く定め、かつ、ジョブに要する時間を短くする画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、インクジェット画像形成装置1の上面図である。
【図2】図2は、インクジェット画像形成装置1の前方図である。
【図3】図3は、インクジェット画像形成装置1の制御部の構成を示す図である。
【図4】図4は、後続紙の用紙先端を検出する際の、キャリッジ100と記録用紙108との位置関係(その1)を説明する図である。
【図5】図5は、後続紙の用紙先端を検出する際の、キャリッジ100と記録用紙108との位置関係(その2)を説明する図である。
【図6】図6は、後続紙の用紙先端を検出する際の、キャリッジ100と記録用紙108との位置関係(その3)を説明する図である。
【図7】図7は、後続紙の用紙先端を検出する際の、キャリッジ100と記録用紙108との位置関係(その4)を説明する図である。
【図8】図8は、キャリッジ100が検出位置200に移動するのに要する時間Xと、記録用紙108bの先端が、検出位置200に達するまでの時間Yとの関係を説明する図である。
【図9】図9は、検出位置を制御する処理(その1)を説明するフロー図である。
【図10】図10は、検出位置を制御する処理(その2)を説明するフロー図である。
【図11】図11は、キャリッジ100の移動可能距離を説明する図である。
【図12】図12は、検出位置を制御する処理(その3)を説明するフロー図である。
【図13】図13は、検出位置を制御する処理(その4)を説明するフロー図である。
【図14】図14は、検出位置を制御する処理(その5)を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態を図面に基づき説明する。
【0011】
〔本実施の形態〕
図1及び図2は、本実施形態に係るインクジェット画像形成装置1の機構部の概略を説明する図である。図1は、インクジェット画像形成装置1の上面図である。図2は、インクジェット画像形成装置1の前方図である。
【0012】
インクジェット画像形成装置1は、記録用紙108に画像を形成して出力する。記録用紙108は、図1の上方から下方に向かって搬送される。この方向が副走査方向である。また、副走査方向に直交する方向が主走査方向である。キャリッジ100は、図1の右方から左方に向かって最初の主走査を行う。すなわち、記録用紙108に形成される画像の上方が図1の下方の場合には、最初の主走査は、形成される画像の上方の左から右へ向かう走査となる。
【0013】
インクジェット画像形成装置1は、キャリッジ100、用紙検出センサ111、搬送ベルト101、タイミングベルト102、エンコーダスケール103、ガイドロット104、主走査モータ105、駆動プーリ106、従動プーリ107、搬送ローラ109、及び、テンションローラ110を有する。
【0014】
キャリッジ100は、図示しない左右の側板に横架したガイドロット104により保持され、主走査モータ105により、駆動プーリ106と従動プーリ107間に渡したタイミングベルト102を介して、主走査方向に移動走査する。
【0015】
キャリッジ100は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する4個の記録ヘッドを有する。1つ1つの記録ヘッドは、複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク吐出口を下方に向けている。
【0016】
なお、記録ヘッドは、色毎に独立していなくてもよく、1の記録ヘッドが、複数の記録液のインク液を吐出する複数のインク吐出口を有してもよい。
【0017】
インクジェット画像形成装置の記録ヘッドにおいて、液滴を吐出するための圧力を発生する手段として、例えば、圧電アクチュエータ、サーマルアクチュエータ、形状記憶合金アクチュエータ、及び、静電アクチュエータ等を用いる。
【0018】
エンコーダスケール103は、スリットを有し、主走査方向に向かって設けられている。キャリッジ100に、エンコーダスケール103のスリットを検出するフォトセンサ(エンコーダセンサ)を設けることにより、リニアエンコーダとして、主走査方向の位置を検知する。
【0019】
用紙検出センサ111は、キャリッジ100に設けられ、キャリッジ100の走査時に、用紙の左右端を検出する。これにより、用紙の幅を取得することができる。用紙検出センサ111は、また、用紙の先端を検出する。これにより、画像を形成する際に、キャリッジ100の画像形成を開始する位置を精度よく定めることができる。
【0020】
搬送ベルト101は、記録用紙108を静電吸着し、キャリッジ100が有する記録ヘッドに対向する位置で搬送させる。搬送ベルト101は、無端状ベルトであり、搬送ローラ109及びテンションローラ110との間に掛け渡される。これにより、副走査方向に周回し、帯電ローラ113により帯電される。
【0021】
搬送ベルト101は、1層構造、又は、複層構造のベルトである。搬送ベルト101が1層構造の場合には、記録用紙108や帯電ローラ113に接触するため、層全体を絶縁材料で構成する。搬送ベルト101が複層構造の場合には、記録用紙108や帯電ローラ113に接する側を絶縁層とし、記録用紙108や帯電ローラ113に接しない場合には、導電層で形成するとよい。
【0022】
図3は、インクジェット画像形成装置1の制御部の構成を示す図である。図3の制御部は、主制御部301、通信回路29、用紙検出センサ111、キャリッジ位置検出回路305、主走査モータ駆動回路303、搬送量検出回路306、副走査モータ駆動回路304、給紙コロ駆動回路307、維持回復機構駆動用モータ駆動回路308、インク供給モータ駆動回路311、サブタンク満タンセンサ312、カートリッジカバーセンサ313、EEPROM315、カートリッジ通信回路314、KカートリッジEEPROM115k、CカートリッジEEPROM115c、MカートリッジEEPROM115m、及び、YカートリッジEEPROM115yを有する。
【0023】
なお、以下の説明で、KカートリッジEEPROM115k、CカートリッジEEPROM115c、MカートリッジEEPROM115m、及び、YカートリッジEEPROM115yを「カートリッジEEPROM115」という。
【0024】
通信回路29は、外部から受信する印刷処理の情報を主制御部301に入力する。キャリッジ位置検出回路305は、キャリッジ100の主走査方向の位置を検出する。キャリッジ位置検出回路305は、エンコーダスケール103のスリット数を、フォトセンサで読み取って計数することにより、キャリッジ100の位置を検出する。
【0025】
主走査モータ駆動回路303は、キャリッジ位置検出回路305で検出されるキャリッジ100の位置に基づく主制御部301の指示により、主走査モータ105を回転駆動させ、キャリッジ100を移動させる。
【0026】
搬送量検出回路306は、例えば、搬送ローラ109に設けられる回転エンコーダシートのスリット数を、フォトセンサで読み取って計数することにより、記録用紙108の搬送量を検出する。副走査モータ駆動回路304は、記録用紙108の搬送量に基づく主制御部301の指示により、搬送ローラ109を回転駆動させ、搬送ベルト101を所定の速度で移動させる。
【0027】
給紙コロ駆動回路307は、図示しない給紙コロを一回転させることにより、記録用紙108を、給紙トレイから搬送ベルト101の搬送路上に導く。維持回復機構駆動用モータ駆動回路308は、図示しないワイパーブレード等の昇降を制御し、クリーニング処理を行う。
【0028】
インク供給モータ駆動回路311は、図示しないインク供給モータを駆動させる。インク供給モータは、キャリッジ100に載置されたインクカートリッジから、記録ヘッドにインクを供給するヘッドタンクにインクを供給させる。
【0029】
サブタンク満タンセンサ312は、キャリッジ100が有するヘッドタンクが満タンか否かを検知する。カートリッジカバーセンサ313は、キャリッジ100が有する、カートリッジが載置される図示しないカートリッジ装填部のカバーの開閉を検知する。
【0030】
EEPROM315は、主制御部301が処理する情報を格納する。主制御部301が処理する情報は、例えば、カートリッジEEPROM115に格納されている情報を処理して得られる。これらの情報は、カートリッジに充填されているインクの残量等の情報である。
【0031】
カートリッジ通信回路314は、カートリッジEEPROM115と、主制御部301との通信を介する。
【0032】
主制御部301は、通信回路29から入力される印刷処理の情報に基づいて、記録用紙108に画像を形成するために、各部の制御を行う。
【0033】
主制御部301は、キャリッジ位置検出回路305からの入力に基づいて、一枚の記録用紙に対する画像形成が終了した時の、キャリッジ100の終了位置を取得する。主制御部301は、キャリッジ100の終了位置に基づいて、用紙検出センサ111が記録用紙の先端を検出する際の検出位置を決定し、さらに、記録用紙の搬送を開始するタイミングを制御する。
【0034】
主制御部301は、用紙検出センサ111からの入力に基づいて、記録用紙の先端位置を検出する。主制御部301は、記録用紙の先端位置に基づいて、キャリッジ100が画像の形成を開始する位置を決定し、主走査モータ駆動回路303、及び、副走査モータ駆動回路304等を制御する。
【0035】
主制御部301は、主走査モータ駆動回路303、及び、副走査モータ駆動回路304に対して、モータの駆動指示を出力する。主制御部301は、また、印刷制御部302に対して、印刷用データを出力する。
【0036】
主制御部301は、給紙コロ駆動回路307に対し、給紙コロを駆動させる指示を出力する。主制御部301は、維持回復機構駆動用モータ駆動回路308に対し、クリーニング処理のためのモータを駆動させる指示を出力する。
【0037】
主制御部301は、インク供給モータ駆動回路311に対し、図示しないインク供給モータを駆動させる指示を出力する。主制御部301は、サブタンク満タンセンサ312が検知する情報により、インク供給モータの駆動を停止させる指示を出力する。
【0038】
主制御部301は、カートリッジEEPROM115に格納されている情報を、カートリッジ通信回路314により取得して、インクの残量等を取得し、EEPROM315に格納させる。
【0039】
印刷制御部302は、主制御部301から入力される印刷用データに基づいて、ヘッド駆動回路310に対し、記録ヘッドを駆動する指示を出力する。この指示は、インク液滴を吐出させる圧力の指示を含む。この指示は、また、キャリッジ位置検出回路305及び搬送量検出回路306の出力により得られるキャリッジ100の位置の情報を含む。
【0040】
ヘッド駆動回路310は、キャリッジ100が有する記録ヘッドを駆動し、記録用紙108に対してインク滴を吐出させる。ヘッド駆動回路310は、例えば、ピエゾ型ヘッダの場合には、圧電素子を圧力発生手段として有し、記録ヘッドのノズルからインク液滴を吐出する。
【0041】
図4ないし図7は、先行用紙の最終印字が終了した後、後続紙の用紙先端を検出する際の、キャリッジ100と記録用紙108との位置関係を説明する図である。なお、図4ないし図7は、図1で説明した各部のうち、キャリッジ100、搬送ベルト101、用紙検出センサ111、搬送ローラ109、テンションローラ110、及び、記録用紙108を示し、残りの各部は省略する。
【0042】
図4は、先行用紙の最終印字が終了した時のキャリッジ100と先行用紙である記録用紙108aとの位置関係を示す図である。図4では、主走査方向において、記録用紙108aの幅の中に、キャリッジ100が位置する。
【0043】
図5は、キャリッジ100を、後続紙である記録用紙108bの用紙先端を検出するための位置(以下、「検出位置200」という。)に移動した例を示す図である。検出位置200は、記録用紙の中央から図5の右側に、所定の距離の位置である。
【0044】
所定の距離は、ここでは、40mmである。この値は、インクジェット画像形成装置1が画像を形成することのできる記録用紙の最小幅の半分より小さい値である。また、記録用紙108bの印字を開始する位置は、図5の右方である。検出位置200は、記録用紙の中央よりなるべく図の右側、かつ、記録用紙の最小幅に含まれる位置が好ましい。
【0045】
図5では、記録用紙の最小幅を100mmとし、所定の距離を40mmとしている。これにより、検出位置200を、主走査方向において、記録用紙の最小幅の範囲に含まれる位置とすることができる。
【0046】
図6は、記録用紙108aが搬出され、記録用紙108bが、検出位置200まで搬送された例を示す図である。図6の位置関係により、用紙検出センサ111が、記録用紙108bの先端を検出することができる。
【0047】
図7は、図6の位置関係の後、キャリッジ100が、最初の主走査を行う位置に移動した際の位置関係を示す図である。図7では、記録用紙108bが、副走査方向において、画像を書き出す位置まで搬送されている。
【0048】
図4ないし図7において、キャリッジ100の移動、及び、記録用紙108bの搬送は、以下の順に行われる。
(1) キャリッジ100が、検出位置200への移動を開始する。
(2) 記録用紙108bの搬送を開始する(1.と同時、又は、先行してもよい)。
(3) キャリッジ100が、用紙検出センサ111が検出位置200となる位置に停止する。
(4) 記録用紙108bが、キャリッジ100の下を通過する。この時、用紙検出センサ111が、記録用紙108bの先端を検出する。
(5) 記録用紙108bが、画像形成の開始位置に停止する。
(6) 画像形成の開始時における、記録用紙108bに対するキャリッジ100の相対位置を決定する。
(7) 6.の位置に、キャリッジ100が移動する。
【0049】
上記(1)ないし(7)の動作によれば、キャリッジ100は、記録用紙108aへの画像形成を終了した後、検出位置200へ移動して記録用紙10bの先端を検出し、さらに、画像形成を開始する位置へ移動する。したがって、キャリッジ100は、2度の移動開始、及び、2度の移動停止を行う。すなわち、移動の開始に伴う加速と、移動の停止に伴う減速が2回ある。そこで、所定の条件において、移動を1度にすることにより、ジョブを高速にすることができる。より詳細には、記録用紙108bの先端を検出する位置を、検出位置200に限らず、所定の範囲とするとよい。
【0050】
所定の範囲は、例えば、図4ないし図7に示す、記録用紙108bの先端の中央から、左又は右に40mm以内の距離に含まれる範囲である。この範囲は、画像形成装置が画像を形成することのできる記録用紙の主走査方向における最小幅以下であり、記録用紙の先端を必ず検出することができる範囲である。この範囲を「先端検出範囲」という。
【0051】
図8は、先行する記録用紙108aへの画像形成が終了した後、キャリッジ100が検出位置200に移動するのに要する時間Xと、記録用紙108bの先端が、検出位置200に達するまでの時間Yとの関係を説明する図である。
【0052】
図8において、記録用紙108aへの画像形成が終了した時のキャリッジ100の位置は、位置201である。ここで、X>Yの場合には、キャリッジ100と記録用紙108bとの移動を同時に開始させると、用紙検出センサ111が、検出位置200に達するより前に、記録用紙108bの先端が、検出位置200に達してしまう。そこで、X>Yの場合には、記録用紙108bの搬送を、キャリッジ100の移動開始から、(X−Y)時間以上待った後に開始する。これにより、用紙検出センサ111が検出位置200に達した後に、記録用紙108bの先端が、用紙検出センサ111の下を通過する。
【0053】
しかしながら、(X−Y)時間以上待った後に、記録用紙108bの搬送を開始すると、ジョブに要する時間が長くなる。そこで、検出位置200に関わらず、記録用紙108bの主走査方向の幅の中央から所定の距離に用紙検出センサ111が位置する場合には、キャリッジ100を移動させず、記録用紙108bの先端を検出する。これにより、キャリッジ100が、検出位置200への移動開始、移動、及び、検出位置200への停止の動作(上記の(1)及び(3))を行わないため、ジョブに要する時間を短くすることができる。
【0054】
図9は、先行する記録用紙108aへの画像形成が終了した時の、キャリッジ100の位置に基づく、検出位置を制御する処理を説明するフロー図である。なお、「画像形成が終了した時」とは、キャリッジ100の「最終スキャン完了時」である。
【0055】
図9のステップS101では、主制御部301が、先行する記録用紙108aへの最終スキャン完了時における、用紙検出センサ111の位置が、記録用紙の主走査方向の中央から左又は右に40mm以内か否かを判断する。この判断は、キャリッジ位置検出回路305からの入力に基づく。40mm以内の場合は、ステップS105に進み、40mm以内では無い場合には、ステップS102に進む。
【0056】
ステップS101に続くステップS102では、主制御部301が、主走査モータ駆動回路303に指示を出力することにより、用紙検出センサ111が検出位置200となる位置へ、キャリッジ100が移動を開始する。
【0057】
ステップS102に続いてステップS103に進み、主制御部301が、キャリッジ100の移動時間Xと、記録用紙108bが検出位置200に到達するまでの時間Yとを比較する。Xms>Ymsの場合には、ステップS104に進み、そうではない場合には、ステップS105に進む。
【0058】
ステップS103に続くステップS104では、主制御部301が、(X−Y)ms、待つ。ステップS101、ステップS103、又は、ステップS104に続くステップS105では、主制御部301が、副走査モータ駆動回路304に指示を出力することにより、記録用紙108bの搬送を開始する。
【0059】
図9の処理により、X>Yの場合であっても、用紙検出センサ111が、先端検出範囲にある場合には、記録用紙108bの搬送開始を待たせることがないため、ジョブが終了するまでの時間を短縮する場合を増やすことができる。また、検出位置200に対するキャリッジ100の移動及び停止がないため、移動による騒音及び電力消費を押さえることができる。
【0060】
図10は、先行する記録用紙108aへの画像形成が終了した時の、キャリッジ100の位置に基づく、検出位置を制御する処理を説明するフロー図であって、記録用紙108bの先端を検出する位置を、なるべく、画像形成を開始する位置に近づける処理を説明するフロー図である。
【0061】
図10において、ステップS201ないしステップS204の処理は、図9のステップS101ないしステップS104の処理とほぼ同様である。
【0062】
図10のステップS201では、主制御部301が、先行する記録用紙108aへの最終スキャン完了時における、用紙検出センサ111の位置が、記録用紙の主走査方向の中央から左又は右に40mm以内か否かを判断する。この判断は、キャリッジ位置検出回路305からの入力に基づく。40mm以内の場合は、ステップS205に進み、40mm以内では無い場合には、ステップS202に進む。
【0063】
ステップS201に続くステップS202では、主制御部301が、主走査モータ駆動回路303に指示を出力することにより、用紙検出センサ111が検出位置200となる位置へ、キャリッジ100が移動を開始する。
【0064】
ステップS202に続いてステップS203に進み、主制御部301が、キャリッジ100の移動時間Xと、記録用紙108bが検出位置200に到達するまでの時間Yとを比較する。Xms>Ymsの場合には、ステップS204に進み、そうではない場合には、ステップS207に進む。
【0065】
ステップS203に続くステップS204では、主制御部301が、(X−Y)ms、待つ。
【0066】
一方、ステップS201に続くステップS205では、主制御部301が、キャリッジ100の移動時間Xと、記録用紙108bが検出位置200に到達するまでの時間Yとを比較する。Xms<Ymsの場合には、ステップS206に進み、そうではない場合には、ステップS207に進む。
【0067】
ステップS205に続くステップS206では、主制御部301が主走査モータ駆動回路303に指示を出力することにより、用紙検出センサ111が検出位置200となる位置へ、キャリッジ100が移動を開始する。
【0068】
ステップS201、ステップS204、又は、ステップS206に続くステップS207では、主制御部301が、副走査モータ駆動回路304に指示を出力することにより、記録用紙108bの搬送を開始する。
【0069】
図10の処理により、図9の処理による効果に加えて、画像形成を終了した時の、用紙検出センサ111が先端検出範囲に含まれ、かつ、X<Yの場合に、用紙検出センサ111が検出位置200となる位置まで、キャリッジ100が移動する。これにより、図9に加えて、さらに、ジョブが終了するまでの時間を短縮する場合を増やすことができる。
【0070】
図11は、キャリッジ100の移動可能距離を説明する図である。移動可能距離は、記録用紙108bの搬送が開始されてから、検出位置200に記録用紙108bの先端が達するまでの時間Yにおいて、キャリッジ100が移動することができる距離である。時間Yの間に、キャリッジ100が移動を開始し、検出位置200に停止していれば、記録用紙108bの搬送を待たせる必要がない。
【0071】
図11において、時間Y〔ms〕は、先行する記録用紙108aへの画像形成が終了した時の、記録用紙108bの位置から、検出位置200まで移動するのに要する時間である。この時間Y〔ms〕における移動可能距離D〔mm〕は、式(1)により表される。
【0072】
D=2b+(Y−2a)×S ・・・(1)
但し、aは、主走査モータ105の加減速時間〔ms〕
bは、主走査モータ105が加減速を行う距離〔mm〕
Sは、キャリッジ100が、等速移動をする際の速度〔mm/ms〕
である。
【0073】
図12はないし図14、移動可能距離の算出を含む、キャリッジ100の用紙先端位置を制御する処理を説明するフロー図である。図12ないし図14は、記録用紙108aへの最終スキャンが完了した時点の、用紙検出センサの位置がそれぞれ異なる。
【0074】
図12は、記録用紙108aへの最終スキャンが完了した時に、用紙検出センサ111の位置が、先端検出範囲に含まれる場合の例を説明するフロー図である。
【0075】
図12のステップS301では、主制御部301が、式(1)により、キャリッジ100の移動可能距離Dを算出する。ここで、キャリッジ100の現在位置は、キャリッジ位置検出回路305からの入力に基づく。
【0076】
ステップS301に続いてステップS302に進み、主制御部301が、ステップS301で算出したキャリッジ100の移動可能距離Dが、キャリッジ100の現在位置から検出位置200までの距離より長いか否かを判断する。移動可能距離Dが、検出位置200までの距離より長い場合には、ステップS303に進み、そうではない場合には、ステップS304に進む。
【0077】
ステップS302に続くステップS303では、主制御部301が、キャリッジ100の移動距離を、検出位置200までの距離として、キャリッジ100の移動を開始させる。より詳細には、例えば、主走査モータ駆動回路303に対して、移動距離を含む指示を出力する。
【0078】
一方、ステップS302に続くステップS304では、主制御部301が、キャリッジ100の移動距離を移動可能距離として、画像形成を開始する位置に近くなる方向への移動を開始させる。より詳細には、例えば、主走査モータ駆動回路303に対して、移動距離を含む指示を出力する。
【0079】
ステップS303又はステップS304に続くステップS305では、主制御部301が、副走査モータ駆動回路304に指示を出力することにより、記録用紙108bの搬送を開始させる。
【0080】
図12の処理により、記録用紙108bの搬送開始を待たせることなく、かつ、記録用紙108bの先端を検出してから、画像形成を開始する位置までキャリッジ100が移動する距離を短くすることができる。
【0081】
図13は、記録用紙108aへの最終スキャンが完了した時に、用紙検出センサ111の位置が、先端検出範囲に対し画像形成を開始する位置の反対側に含まれる場合の例を説明するフロー図である。なお、本実施の形態では、画像形成を開始する位置の反対側は、左側である。
【0082】
図13のステップS401では、主制御部301が、式(1)により、キャリッジ100の移動可能距離Dを算出する。ここで、キャリッジ100の現在位置は、キャリッジ位置検出回路305からの入力に基づく。
【0083】
ステップS401に続いてステップS402に進み、主制御部301が、ステップS401で算出したキャリッジ100の移動可能距離Dが、キャリッジ100の現在位置から検出位置200までの距離より長いか否かを判断する。移動可能距離Dが、検出位置200までの距離より長い場合には、ステップS404に進み、そうではない場合には、ステップS403に進む。
【0084】
ステップS402に続くステップS403では、主制御部301が、キャリッジ100の移動可能距離が、先端検出範囲の左端までの距離より長いか否かを判断する。長い場合には、ステップS405に進み、そうではない場合には、ステップS406に進む。
【0085】
ステップS402に続くステップS404では、主制御部301が、キャリッジ100の移動距離を、検出位置200までの距離とする。
【0086】
一方、ステップS403に続くステップS405では、主制御部301が、キャリッジ100の移動距離を、移動可能距離Dとする。また、ステップS403に続くステップS406では、キャリッジの移動距離を、先端検出範囲の左端までの距離とする。
【0087】
ステップS404、又は、ステップS405に続いてステップS407に進み、主制御部301が、主走査モータ駆動回路303に指示を出力することにより、キャリッジ100の移動を開始する。この指示には、ステップS404又はステップS405で決定した、キャリッジ100の移動距離の情報を含んでもよい。
【0088】
一方、ステップS406に続くステップ408では、主制御部301が、主走査モータ駆動回路303に指示を出力することにより、キャリッジ100の移動を開始する。この指示には、ステップS406で決定した、キャリッジ100の移動距離の情報を含んでもよい。
【0089】
ステップS408に続いてステップS409に進み、主制御部301が、(キャリッジの移動時間−記録用紙108bが検出位置200に達するのに要する搬送時間)以上待つ。
【0090】
ステップS407又はステップS409に続いてステップS410に進み、主制御部301が、副走査モータ駆動回路304に指示を出力することにより、記録用紙108bの搬送を開始する。
【0091】
図13の処理により、キャリッジ100が、記録用紙108bの先端が検出位置200に達するまでの時間内で、なるべく右方に移動することができる。また、記録用紙108bの先端が検出位置200に達するまでの時間に、キャリッジ100が先端検出範囲に達することができない場合には、先端検出範囲の左端にキャリッジ100が達するのに要する時間を考慮して、記録用紙108bの搬送を開始させることにより、記録用紙108bの先端を検出するまでの、キャリッジ100の移動量を最小限にすることができる。
【0092】
図14は、記録用紙108aへの最終スキャンが完了した時に、用紙検出センサ111の位置が、先端検出範囲に対し画像形成を開始する位置の側に含まれる場合の例を説明するフロー図である。なお、本実施の形態では、画像形成を開始する位置の側は、右側である。
【0093】
図14のステップS501では、主制御部301が、式(1)により、キャリッジ100の移動可能距離Dを算出する。ここで、キャリッジ100の現在位置は、キャリッジ位置検出回路305からの入力に基づく。
【0094】
ステップS501に続いてステップS502に進み、主制御部301が、ステップS501で算出したキャリッジ100の移動可能距離Dが、キャリッジ100の現在位置から検出位置200までの距離より長いか否かを判断する。移動可能距離Dが、検出位置200までの距離より長い場合には、ステップS503に進み、そうではない場合には、ステップS505に進む。
【0095】
ステップS502に続くステップS503では、主制御部301が、キャリッジ100の移動距離を、現在位置から検出位置200までの距離とする。ステップS503に続くステップS504では、主制御部301が、主走査モータ駆動回路303に指示することにより、キャリッジ100の移動を開始する。この指示には、ステップS503で得られた移動距離の情報を含むとよい。
【0096】
一方、ステップS502に続くステップS505では、主制御部301が、キャリッジ100の移動距離を、現在位置から検出位置200までの距離とする。ステップS505に続くステップS506では、主制御部301が、主走査モータ駆動回路303に指示することにより、キャリッジ100の移動を開始する。この指示には、ステップS503で得られた移動距離の情報を含むとよい。
【0097】
ステップS506に続いてステップS507に進み、主制御部301が、(キャリッジの移動時間−記録用紙108bが検出位置200に達するのに要する搬送時間)以上待つ。
【0098】
ステップS504又はステップS507に続いてステップS508に進み、主制御部301が、副走査モータ駆動回路304に指示を出力することにより、記録用紙108bの搬送を開始する。
【0099】
図14の処理により、キャリッジ100が、先端検出範囲の右端に移動した後に、記録用紙108bの先端を検出することができる。先端検出範囲の右端は、先端検出範囲の中で、画像形成を開始する位置に最も近いため、ジョブに要する時間を短縮することができる。
【0100】
(コンピュータ等による実現)
なお、本発明の実施の形態に係る画像形成装置は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等で実現されてもよい。また、本発明の実施形態に係る画像形成方法は、例えば、CPUがROMやハードディスク装置等に記憶されたプログラムに従い、RAM等のメインメモリをワークエリアとして使用し、実行される。
【0101】
以上、発明を実施するための最良の形態について説明を行ったが、本発明は、この最良の形態で述べた実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上のように、本発明にかかる画像形成装置は、複数の媒体への連続印刷の高速化に有用であり、特に、インクジェットプリンタに適している。
【符号の説明】
【0103】
1 インクジェット画像形成装置
29 通信回路
100 キャリッジ
101 搬送ベルト
102 タイミングベルト
103 エンコーダスケール
104 ガイドロット
105 主走査モータ
106 駆動プーリ
107 従動プーリ
108、108a、108b 記録用紙
109 搬送ローラ
110 テンションローラ
111 用紙検出センサ
113 帯電ローラ
200 検出位置
301 主制御部
302 印刷制御部
303 主走査モータ駆動回路
304 副走査モータ駆動回路
305 キャリッジ位置検出回路
306 搬送量検出回路
307 給紙コロ駆動回路
308 維持回復機構駆動用モータ駆動回路
310 ヘッド駆動回路
311 インク供給モータ駆動回路
312 サブタンク満タンセンサ
313 カートリッジカバーセンサ
314 カートリッジ通信回路
D 移動可能距離
115 カートリッジEEPROM
115c CカートリッジEEPROM
115k KカートリッジEEPROM
115m MカートリッジEEPROM
115y YカートリッジEEPROM
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開2008−6793号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向において、インクを吐出するキャリッジと同一の速度及び方向で走査され、副走査方向における媒体の先端位置を検出する検出手段と、
第1の媒体への画像形成が終了した時の、前記検出手段の、主走査方向における終了位置を取得する位置取得手段と、
前記検出手段が、前記終了位置から主走査方向の所定の位置に移動するのに要する時間に係る量である検出手段移動量と、前記第1の媒体に続いて画像形成される第2の媒体の先端が、副走査方向において、前記所定の位置に移動するのに要する媒体移動時間に係る量である媒体移動量と、に基づいて、前記検出手段が前記第2の媒体の先端を検出する際の主走査方向における先端検出位置を制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所定の位置は、主走査方向における当の画像形成装置が画像を形成する媒体の最小幅の範囲、又は、前記最小幅に含まれる所定の範囲、である先端検出範囲に含まれることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記終了位置が、前記先端検出範囲に含まれる場合に、該終了位置を、前記先端検出位置とすることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記終了位置が、前記先端検出範囲に含まれ、かつ、前記検出手段移動量が、前記媒体移動量以上の場合に、前記終了位置を前記先端検出位置とすることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記先端検出範囲に含まれ、かつ、前記終了位置から、前記媒体移動時間に前記検出手段が移動することのできる距離の範囲にある位置を、前記先端検出位置とすることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記先端検出範囲に含まれ、かつ、前記終了位置から、前記媒体移動時間に前記検出手段が移動することのできる距離の範囲、の中で、前記第2の媒体に対する画像形成を開始する位置に最も近い位置を、前記先端検出位置とすることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−189712(P2011−189712A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59989(P2010−59989)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】