画像形成装置
【課題】用紙検出手段が搬送中の用紙の先端を検出した時点で、用紙を搬送する用紙搬送ローラの回転速度が安定していない場合でも、用紙とトナー像の位置合わせを適切に行うことができるようにする。
【解決手段】CPU31は、レジストセンサ18がオンしたときにステッピングモータ34が一定速度で駆動されている場合には、レジストセンサ18がオンしてから副走査画像ゲート信号36をコントローラ37に出力するまでの時間として一定の副走査画像ゲート信号タイマ値Tmを用い、レジストセンサ18がオンしたときのステッピングモータ34の動作状態がスルーアップ途中であるときには、そのスルーアップ動作の状況に合わせて、副走査画像ゲート信号タイマ値Tmを補正する。
【解決手段】CPU31は、レジストセンサ18がオンしたときにステッピングモータ34が一定速度で駆動されている場合には、レジストセンサ18がオンしてから副走査画像ゲート信号36をコントローラ37に出力するまでの時間として一定の副走査画像ゲート信号タイマ値Tmを用い、レジストセンサ18がオンしたときのステッピングモータ34の動作状態がスルーアップ途中であるときには、そのスルーアップ動作の状況に合わせて、副走査画像ゲート信号タイマ値Tmを補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出手段が搬送手段により搬送されるシートの先端を検出してから所定時間後に、上記シート上に転写すべき画像の形成動作を開始させる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成プロセスを用いて画像を形成する画像形成装置においては、搬送中の用紙(シート)がレジストセンサをオンしたところでタイマを起動させ、そのタイマの計時が終了した時点で用紙に転写すべきトナー像の形成プロセスを開始して、用紙を像担持体(感光体)に形成したトナー像と位置合わせする位置合わせ技術を用いたものが実用されている。
【0003】
このような位置合わせ技術では、搬送中の用紙がレジストセンサをオンした時に、用紙を搬送する用紙搬送ローラの回転速度が安定している(用紙の搬送速度が一定になっている)ことを前提としている為、タイマに設定する計時値(タイマ値)を、固定値に設定していた。
【0004】
しかしながら、搬送中の用紙がレジストセンサをオンした時点で、用紙搬送ローラを駆動するモータが所定の回転速度にまで加速中の状態であり、用紙の搬送速度が一定になっていない場合、上記のように用紙搬送ローラの回転速度が安定していることを前提とした固定のタイマ値で制御すると、搬送中の用紙がレジストセンサをオンしてから用紙搬送ローラの回転速度が安定するまでの時間分、感光体上のトナー像と用紙との位置がずれるという問題があった。
【0005】
このような問題を解消するためには、例えば、用紙搬送ローラの回転速度が安定した状態で、搬送中の用紙がレジストセンサをオンするように搬送手段を構築したり、短時間でモータ速度が安定するような出力特性を備えたモータを使用することが考えられるが、画像形成装置が大きくなったり、モータのコストアップになるなどの問題があった。
【0006】
特許文献1には、像担持体の露光開始位置に用紙の転写開始位置を正確に一致させて印刷処理を高速で行うことを目的とし、搬送部と転写位置との間に配置された用紙検知センサが用紙の先端を検知したら、画像と用紙が転写位置でそれぞれの位置が合うように用紙搬送部の搬送速度を変更するようにしたものが開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、用紙検知センサの先端を検知した時に補正を実施して画像と用紙の位置を合わせる目的で、複数の用紙検知センサの通過状態を検知したタイミングに基づいてレジストローラ(用紙搬送部)の速度を制御するようにしたものが開示されている。
【0008】
また、特許文献3には、用紙の先端が位置する基準位置から用紙検知センサが用紙先端を検知するまでの距離を算出することで、経年変化等による位置ずれ等の原因により意図したタイミングで用紙が検知されない場合であっても、正確な搬送制御やジャム検知を行えるようにしたものが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1、2に開示された技術では、用紙搬送部に用いるモータとして、画像形成プロセスに必要な搬送速度よりも高速で用紙を搬送できる能力を備えたものを用いる必要があり、モータのコストアップになるという問題がある。
【0010】
また、特許文献3に開示された技術では、用紙の先端が位置する基準位置から用紙検知センサが用紙先端を検知するまでの距離を算出する際、用紙搬送ローラの速度が一定になっている必要があり、上記したように、画像形成装置が大きくなると言う問題がある。
【0011】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、検出手段が搬送中のシートの先端を検出した時点で、シートを搬送する搬送ローラの回転速度が安定していない場合でも、シートとトナー像の位置合わせを適切に行うことができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の画像形成装置は、検出手段が搬送手段により搬送されるシートの先端を検出してから所定時間後に、上記シート上に転写すべき画像の形成動作を開始させる画像形成装置において、上記用紙検出手段が上記シートの先端を検出した時点で、上記搬送手段の駆動源であるモータの速度が所定速度に達していない場合には、その時点での上記モータの加速状態に応じて、上記所定時間を規定値よりも大きくする方向に補正する補正手段を備えたものである。
【0013】
上記補正手段は、上記用紙検出手段が上記シートの先端を検出してから上記モータが所定速度に達するまでの時間とその時間において上記シートが移動する移動距離とを用いて上記所定時間の補正量を算出するとよい。
【0014】
上記所定速度に達するまでの時間と上記移動距離は、上記モータの加速状態の段階に応じて、対応する値を保持する補正テーブル手段に保存するとよい。
【0015】
上記モータの加速状態の段階と、その加速状態の段階に応じて上記搬送手段に設定する速度情報とを保存する速度テーブル手段をさらに備え、上記補正テーブル手段に保存されたデータと、上記速度テーブル手段に保存されたデータとが、上記モータの加速状態の段階に対応して1対1に対比可能に構成されているとよい。
【0016】
ユーザがトレイにシートをセットすると上記トレイにセットされたシートを1枚ずつ上記搬送手段に送り出す一枚手差し給紙手段を更に備えるとよい。
【0017】
上記補正テーブル手段は、上記時間と上記移動距離との値の組み合わせからなるデータセットを、シートの種類に応じて複数保存するとよい。
【発明の効果】
【0018】
以上のようなこの発明の画像形成装置によれば、検出手段が搬送中のシートの先端を検出した時点で、シートを搬送する搬送ローラの回転速度が安定していない場合でも、シートとトナー像の位置合わせを適切に行うことができるという効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す概略構成図である。
【図2】図1に示した画像形成装置におけるハードウェア構成について説明するブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
【図4】CPU31がステッピングモータ34を駆動する際に参照する普通紙用補正値テーブルの一例を示す図である。
【図5】搬送ローラ3の速度と、レジストセンサ18がオンするタイミングに応じて、レジストセンサ18がオンしてから副走査画像ゲート信号をオンするまでの時間Tmとの関係を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】本実施例の画像形成装置が行う印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】図6のステップS100におけるレジストセンサ18の出力に応じた画像形成タイミングの調整のための処理のフローチャートである。
【図8】CPU31が実行するステッピングモータ34の駆動制御処理のフローチャートである。
【図9】CPU31がステッピングモータ34を駆動する際に参照する厚紙用補正値テーブルの一例を示している。
【図10】用紙4の紙種を選択できるようにした場合の、図7と対応する処理を示したフローチャートである(図11に続く)。
【図11】用紙4の紙種を選択できるようにした場合の、図7と対応する処理を示したフローチャートである(図10の続き)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、この発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔実施例〕
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す概略構成図である。この画像形成装置は、搬送ベルト(無端状移動手段)に沿って各色の画像形成部が並べられた構成を備えるものであり、所謂、タンデムタイプといわれるものである。
【0021】
図1において、給紙トレイ1から給紙ローラ2により給紙される用紙(シート)4を搬送する搬送ローラ3があり、この搬送ローラ3の搬送方向の下流には、用紙4を搬送する搬送ベルト5が設けられている。
【0022】
また、この搬送ベルト5の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)6Bk、6M、6C、6Yが配列されている。これら複数の画像形成部6Bk、6M、6C、6Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部6Bkはブラックの画像を、画像形成部6Mはマゼンタの画像を、画像形成部6Cはシアンの画像を、画像形成部6Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。
【0023】
よって、以下の説明では、画像形成部6Bkについて具体的に説明するが、他の画像形成部6M、6C、6Yの構成は画像形成部6Bkと同様であるので、その画像形成部6M、6C、6Yの各構成要素については、画像形成装置6Bkの各構成要素に付したBkに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0024】
搬送ベルト5は、回転駆動される駆動ローラ7と従動ローラ8とに巻回されたエンドレスのベルトである。この駆動ローラ7は、駆動モータ(図示略)により回転駆動されるものであり、この駆動モータと、駆動ローラ7と、従動ローラ8とが、無端状移動手段である搬送ベルト5を移動させる駆動手段として機能する。
【0025】
画像形成に際して、給紙トレイ1に収納された用紙4は最も上のものから順に送り出され、搬送ローラ3により搬送ベルト5へ搬送され、静電吸着作用により搬送ベルト5に吸着されて回転駆動される搬送ベルト5により最初の画像形成部6Bkに搬送され、ここで、ブラックのトナー画像が転写される。
【0026】
画像形成部6Bkは、感光体としての感光体ドラム9Bk、この感光体ドラム9Bkの周囲に配置された帯電器10Bk、露光器11、現像器12Bk、感光体クリーナ(図示略)等から構成されている。露光器11は、各画像形成部6Bk、6M、6C、6Yが形成する画像色に対応する露光光であるレーザ光14Bk、14M、14C、14Yを照射するように構成されている。
【0027】
画像形成に際し、感光体ドラム9Bkの外周面は、暗中にて帯電器10Bkにより一様に帯電された後、露光器11からのブラック画像に対応したレーザ光14Bkにより露光され、静電潜像を形成される。現像器12Bkは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム9Bk上にブラックのトナー画像が形成される。
【0028】
このトナー画像は、感光体ドラム9Bkと搬送ベルト5上の用紙4とが接する位置(転写位置)で、転写器15Bkの働きにより用紙4上に転写される。この転写により、用紙4上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム9Bkは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより除去された後、次の画像形成のために待機する。
【0029】
以上のようにして、画像形成部6Bkでブラックのトナー画像を転写された用紙4は、搬送ベルト5によって次の画像形成部6Mに搬送される。画像形成部6Mでは、画像形成部6Bkでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム9M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が用紙4上に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
【0030】
用紙4は、さらに次の画像形成部6C、6Yに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム9C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム9Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、用紙4上に重畳されて転写される。こうして、用紙4上にフルカラーの画像が形成される。このフルカラーの重ね画像が形成された用紙4は、搬送ベルト5から剥離されて定着器16にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
【0031】
また、画像形成装置には、手差しトレイ(図示略)に載置された用紙4を検出するための用紙センサ17及び、用紙4がレジスト位置の近傍に位置することを検出するためのレジストセンサ18も設けているが、これらのセンサの用途については後述する。
【0032】
図2は、図1に示した画像形成装置におけるハードウェア構成について説明するブロック図である。
図2において、CPU(中央処理装置)31は、ROM(リード・オンリ・メモリ)32に記憶されたプログラムに従い、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)33に記憶されたデータを読み書きして画像形成装置を構成する各部を制御するものである。
【0033】
ステッピングモータ34は、搬送ローラ3を駆動するものであり、CPU31から出力されるステッピングモータクロック信号35により所定の回転速度で回転/停止駆動される。ステッピングモータクロック信号35は一般的なA相、B相、A’相(A相の逆相)、B’相(B相の逆相)の4本で構成され、CPU31により2相励磁または1−2相励磁の駆動制御がなされる。また、搬送ローラ3は、ステッピングモータ34の駆動力を図示しないギア等の伝達機構を通じて伝達されて回転/停止駆動される。
【0034】
レジストセンサ18はフォトインタラプタ等の適宜な紙センサで構成され、用紙4がレジストセンサ18を通過している間、CPU31に対してHiレベルの信号を出力する。
【0035】
コントローラ37は、CPU31からの副走査画像ゲート信号36を受けて、図1に示す露光器11を介して露光光であるレーザ光14Bk、14M、14C、14Yを照射するように構成されている。ここで、副走査画像ゲート信号36は4本で構成され、Bk、M、C、Yのそれぞれに対して割り当てられている。
【0036】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能ブロックについて説明するためのブロック図である。
図3において、制御部40は、画像形成装置の一連の動作を制御するものであり、コンピュータインタフェース部41は、画像形成装置に印刷要求を行う端末との間で各種のデータを通信するためのものであり、作像プロセス部42は、画像メモリ部43に格納されている画像データに基づいて各色成分の画像データをコントローラへ出力すると共に、電子写真方式により画像形成部6Bk,6M,6C,6Yを制御してトナー画像を作成し、レジストセンサ18の出力信号に基づいて搬送ローラ3を駆動し、トナー画像を用紙4に転写するためのプロセス制御を行うものである。また、この作像プロセス部42は、印刷時に位置ずれなどを検知をした場合は、その補正を行う。
【0037】
画像メモリ部43は、画像形成装置に印刷要求を行う端末から送信された画像データを格納するためのものであり、操作部44は、画像形成装置の状態を表示したり、画像形成装置への操作入力を受け付けるためのものである。
【0038】
プリントジョブ管理部45は、画像形成装置に要求された印刷ジョブについて、印刷を行う順番を管理するためのものであり、定着部46は、作像プロセス部42によりトナー画像を転写した用紙4に、定着器16にて熱と圧力を加えてトナー画像を用紙に定着する。
【0039】
読取部47は、読取原稿上の画像情報(印字情報)を電気信号に変換するためのものであり、記憶部48は、ある時点において画像形成装置の状態を記憶するためのものである。
【0040】
さて、本実施例では、搬送ローラ3を駆動するステッピングモータ34は、停止状態から所定の回転速度に達するまでスルーアップ駆動されており、このステッピングモータ34の駆動について次に説明する。
【0041】
図4は、CPU31がステッピングモータ34を駆動する際に参照される普通紙用補正値テーブルの一例を示している。この普通紙用補正値テーブルは、用紙4として普通紙と呼ばれる紙種を用いる際に参照されるものであり、左の欄から順に、ステッピングモータ34の駆動状態を表すステップNo(ステップ番号)、ステップNoが継続する時間を表す設定値、及び後述する補正演算に使用される距離と時間が保存されている。
【0042】
ステッピングモータ34の駆動を開始する際は、CPU31は、図示しないタイマ機能に対して、ステップNoが「1」の設定値に記載された値(800)を設定する。タイマを設定すると、ステッピングモータ34を1ステップ分駆動する為の信号を、設定値の値(800)に対応する時間、ステッピングモータクロック信号35として出力する(例えば、4.75[ミリ秒])。
【0043】
タイマに設定した時間が経過すると、CPU31は次のステップNo(すなわち、「2」)の設定値に記載された値(850)を再度タイマ機能に設定し、タイマを設定すると、ステッピングモータ34を更に1ステップ分駆動する為の信号を、設定値の値(850)に対応する時間、ステッピングモータクロック信号35として出力する(例えば、4.65[ミリ秒])。
【0044】
以降、CPU31は、同様にしてステップNoを「20」までステップ番号を1ずつ昇順に増やしながら、普通紙用補正値テーブルの値を参照し、タイマに時間を設定し、そのタイマに設定した時間、1ステップ分駆動するための信号をステッピングモータクロック信号35として出力し、ステッピングモータ34を1ステップ駆動することで、ステッピングモータ34を所定の速度に到達するようスルーアップ駆動している。
【0045】
ここで、ステップNoの「20」でタイマに設定した時間が経過するとステップNoの「21」に移行する。このときのステップNoの「21」に保存されている設定値は「0」であるが、この値は設計上の取り決めでスルーアップ駆動を完了を示すための値として用いている。
【0046】
そして、設定値が「0」の場合は、CPU31はそれ以降、ステッピングモータ34を停止するまで1つ前のステップであるステップNoの「20」における設定値の値(1750)をタイマ機能に設定して、一定速度でステッピングモータ34を駆動する。
【0047】
なお、図4の普通紙用補正値テーブルにおける距離の欄及び時間の欄はステップNoがn(n=1〜20)の時、すなわち、ステッピングモータ34がスルーアップ中に、レジストセンサ18がオンした時から、ステッピングモータ34の回転速度が一定速度に到達するまでに用紙4が進む距離(補正距離)とそれにかかる時間(補正時間)を示す。例えば、ステップNoが「12」の時にレジストセンサ18がオンした場合、補正距離は4.95[mm]、補正時間は29.25[ミリ秒]となる。
【0048】
次に、搬送ローラ3で用紙4を搬送してレジストセンサ18が用紙4を検出した場合の動作について説明する。
図5は、搬送ローラ3の速度(ステッピングモータ34の速度)と、レジストセンサ18がオンするタイミングに応じて、レジストセンサ18がオンしてから副走査画像ゲート信号をオンするまでの時間(副走査画像ゲートタイマ値)Tmとの関係を説明するためのタイミングチャートを示している。
【0049】
CPU31がステッピングモータ34の駆動を開始して搬送ローラ3が回転を回転した後に、搬送ローラの回転速度がV[mm/秒]で安定駆動の状態に達した後の時刻t2でレジストセンサ18がオンした場合、CPU31が副走査画像ゲート信号36をオンすべき位置までの距離(すなわち、レジストセンサ18から転写部15Bkまでの距離から、感光体ドラム9Bkに対するレーザ光14Bkの露光から転写部15Bkまでの距離を引いた値)をLとすると、レジストセンサ18がオンしてから副走査画像ゲート信号36をオンするまでの時間(副走査画像ゲートタイマ値)Tmは、次の式(I)で表すことができる。
Tm[秒]=L÷V (I)
【0050】
この場合、レジストセンサ18がオンしてから、上記の式(I)を用いて算出した副走査画像ゲートタイマ値Tmの時間を経過した後に、副走査画像ゲート信号36をオンすることで、画像と用紙4の位置が合うことになる。
【0051】
しかしながら、搬送ローラ3の回転速度がV[mm/秒]に到達するまでのスルーアップ途中の時刻t1でレジストセンサ18がオンした場合は、上記の式(I)を用いて副走査画像ゲートタイマ値Tmを算出すると、搬送ローラ3の速度が一定速に到達していないので、Tm秒では用紙が距離Lだけ進まず、画像と用紙の位置がずれることになる。
【0052】
そこで、本実施例では、搬送ローラ3の回転速度がV[mm/秒]に到達するまでのスルーアップ途中の時刻t1でレジストセンサ18がオンした場合は、図4の普通紙用補正値テーブルの補正距離と補正時間を用いて、次のように、副走査画像ゲートタイマ値Tmを補正して算出する。
【0053】
すなわち、搬送ローラ3の回転速度がV[mm/秒]に到達するまでのスルーアップ途中の時刻t1でレジストセンサ18がオンした場合には、普通紙用補正値テーブルの距離(補正距離)をL1[mm]、時間(補正時間)をT1[秒]とすると、搬送ローラ3の回転速度がV[mm/秒]に到達するまでのスルーアップ間にレジストセンサ18がオンした場合の画像と用紙の位置を合わせる為の副走査画像ゲートタイマ値Tmは、次の式(II)で表すことができる。
Tm[秒]=(L−L1)÷V+T1 (II)
【0054】
この場合、式(II)の右辺の「(L−L1)÷V」の部分は速度Vで用紙4が進む距離が補正距離L1の分だけ短くなっていることを表している。そして、補正距離L1だけ用紙4が進む間に要する時間である補正時間T1を加えている。それにより、式(II)で表されるTmは、レジストセンサ18がオンしてから、搬送ローラ3のスルーアップを経て、最終的に速度Vで目的位置まで移動する時間に相当する。
したがって、この場合、上記の式(II)を用いて算出した副走査画像ゲートタイマ値Tmの時間を経過した後に、副走査画像ゲート信号36をオンすることで、画像と用紙の位置が合うことになる。
【0055】
次に、本実施例の画像形成装置が行う印刷処理動作について説明する。
図6は、本実施例の画像形成装置が行う印刷処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、図示しないCPU31のタイマ機能及びタスク切り替え機能等を用いて1ミリ秒周期で、ステップS100,S101,S102の処理を繰り返し順次実行するというものである。
【0056】
図6において、ステップS100は、レジストセンサ18の状態を検出する処理である。ステップS101は、印刷中の用紙搬送処理を実施する処理である。また、ステップS102は、印刷中の画像形成に関する処理を実施する処理である。
【0057】
次に、図7に、図6のステップS100におけるレジストセンサ18の出力に応じた画像形成タイミングの調整のための処理のフローチャートを示す。この処理では、駆動手段であるステッピングモータ34の駆動を開始し、レジストセンサ18が用紙4の検出によりオンになってから、副走査画像ゲート信号36をオンするまでの処理を実施する。CPU31は、用紙4を給紙する場合に図7の処理を開始する。
【0058】
図7の処理において、CPU31は、まず、ステッピングモータ34の駆動状態を保存するためのステップNoを1に初期化し(S200)、ステッピングモータ34の駆動を開始する(S201)。このステップS201では、ステッピングモータ34の駆動を開始するためのCPU31の設定及びステッピングモータ34を駆動するためのステッピングモータクロック信号35の初期設定値のセットを行っている。このとき、同時に前記CPU31のタイマ機能にステップNoの「1」に対応した設定値の値をセットすると同時にタイマ機能のタイマを起動する。
【0059】
なお、ここで駆動開始したステッピングモータ34の以降の駆動制御は、図示しないCPU31のタイマ機能とタイマ割り込み機能を使用して実現している。このステッピングモータ34の駆動制御の詳細については図8で説明する。ここで、CPU31は、複数の独立したタイマ機能とタイマ割り込み機能を備え、例えば、図6に示した印刷処理の処理のために用いるタイマ機能とは独立したタイマ機能をこのステッピングモータ34の駆動制御やその他の処理のために用いる。
【0060】
ステップS201の後CPU31は、レジストセンサ18がオンになるのを待つ(S202のNOループ)。レジストセンサ18がオンになったことを検出すると(S202の結果がYES)、ステップNoの値が「21」かどうかを確認する(S203)。ステップNoの値が「21」未満ならステッピングモータ34(すなわち、搬送ローラ3)はスルーアップ中、ステップNoが「21」以上であれば一定速度で回転中であることがわかる。
【0061】
ステップS203の結果がNOになる場合、ステッピングモータ34はスルーアップ中である。そこで、レジストセンサ18がオンした時点のステップNoに対応した距離及び時間を上記した普通紙用補正値テーブルを参照して取得し、取得した距離及び時間の値を、それぞれL1及びT1に代入し、副走査画像ゲートタイマ値Tmの値を、上記した式(II)を用いて算出する(S205)。
【0062】
一方、ステップS203の結果がYESになる場合、ステッピングモータ34は一定速度で回転中である。そこで、上記した式(I)に基づいて、副走査画像ゲートタイマ値Tmの値を算出する(S206)。
【0063】
次に、ステップS205あるいはステップS206で算出した副走査ゲートタイマ値Tmの計時を開始し(S207)、副走査ゲートタイマ値Tmの計時を終了するまで待つ(S208のNOループ)。
【0064】
そして、副走査画像ゲートタイマ値Tmの計時を終了して、ステップS208の結果がYESになると、CPU31は、副走査画像ゲート信号36の出力を開始する(S209)。
【0065】
以上のように、レジストセンサ18が用紙4を検出したときのステッピングモータ34の動作状態に応じて、副走査画像ゲートタイマTmを適切に算出することにより、用紙4と画像と位置合わせが可能となる。特に1枚手差しトレイ(図示略)のように、搬送ローラ3に用紙4が噛み込む長さが不定量である場合、レジストセンサ18がステッピングモータ34のスルーアップ途中にオンする可能性が高くなるため、この実施例により、誤差の少ない画像と位置合わせが可能になる。
【0066】
次に、上記したステッピングモータ34の駆動の具体例について説明する。
図8は、ステッピングモータ34の駆動制御の一例を示すフローチャートである。この処理は、始めは図7のステップS201により開始されるもので、その後、ステッピングモータ34の1ステップの駆動毎に、普通紙用補正値テーブルに保存した設定値をCPU31のタイマ機能に設定してスタートし、そのタイマ機能のタイマが終了したらCPU31のタイマ割り込み機能により実行されるものである。
【0067】
図8の処理において、CPU31は、まず、ステップNoの値が最終ステップの「21」かどうかを確認する(S300)。ステップS300の結果がNoの場合、ステップNoの値を1つ増やし(S301)、ステップS301の結果、ステップNoの値が最終ステップの「21」かどうかを確認する(S302)。
【0068】
ここで、ステップN0の値が「21」未満の場合で、ステップS302の結果がNOになるときには、普通紙用補正値テーブルを参照し、そのときのステップNoの値に対応した設定値の値を取得して、その取得した値をCPU31のタイマ機能にセットすると同時にタイマ機能のタイマを起動する(S303)。
【0069】
また、ステップS302の結果がYESになる場合、及び、ステップS300の結果がYESになる場合、既にステッピングモータ34はスルーアップが終わって一定速になっているので、その回転速度を継続させる。すなわち、普通紙用補正値テーブルのステップNoの値「20」に対応した設定値の値を取得して、その取得した値をCPU31のタイマ機能にセットすると同時にタイマ機能のタイマを起動する(S304)。
【0070】
次に、ステッピングモータクロック信号35のA相、B相、A’相、B’相に対して、次ステップのパルスを出力する(S305)。ここで、A相、B相、A’相、B’相の各相に出力するパルスは、ステッピングモータ34を1ステップずつ所定方向に動かす為に必要な状態(Hiレベル又はLoレベル)を設定する。その設定する状態としては、一般的な2相励磁や1−2相励磁で設定するパルス出力方法に対応したものを適用することができる。
【0071】
以上の処理により、CPU31が、普通紙用補正値テーブルを参照してステッピングモータ34を1ステップずつ駆動することで、ステッピングモータ34は、停止状態からスルーアップして定常速度にまで加速された後、一定速度で駆動されることとなる。
【0072】
ところで、ここまでは、普通紙を用紙4として用いる場合について説明したが、普通紙よりも厚さのある厚紙を用紙4として用いる場合もある。厚紙を用紙4として用いる場合、普通紙とは紙のコシや滑りやすさなどが異なるので、図4に示した普通紙用補正テーブルに代えて図9に示すような厚紙用補正テーブルを用いることが考えられる。この厚紙用補正テーブルは、図4に示した普通紙用補正テーブルと比べて、距離(補正距離)及び時間(補正時間)が厚紙のコシやスリップを考慮して長く設定されている。
【0073】
図10及び図11は、用紙4の紙種(普通紙及び厚紙)を選択できるようにした場合の、図7と対応する処理を示したフローチャートである。この処理では、駆動手段であるステッピングモータ34の駆動を開始し、レジストセンサ18をオンしてから、副走査画像ゲート信号36をオンするまでの処理を実施する。
【0074】
なお、この場合、普通紙又は厚紙の何れを使用するかの判定を行う際、ユーザが予め指定した紙種の情報を参照して判定を行うことができるが、例えば、紙の厚さ寸法を測定するセンサなどの用紙4の紙種を検出するためのセンサを用いて、用紙が普通紙であるか厚紙であるかを判定することもできる。
【0075】
図10の処理において、CPU31は、まず、ステッピングモータ34の駆動状態を保存するためのステップNoを1に初期化し(S400)、ステッピングモータ34の駆動を開始する(S401)。このステップS401では、ステッピングモータ34の駆動を開始するためのCPU31の設定及びステッピングモータ34を駆動するためのステッピングモータクロック信号35の初期設定値のセットを行っている。このとき、同時にCPU31のタイマ機能にステップNoの「1」に対応した設定値の値をセットすると同時にタイマ機能のタイマを起動する。
【0076】
そして、レジストセンサ18がオンするのを待つ(S402のNOループ)。レジストセンサ18がオンしたことを検出すると(S402の結果がYES)、ステップNoの値が「21」かどうかを確認する(S403)。ステップNoの値が「21」未満ならステッピングモータ34(すなわち、搬送ローラ3)はスルーアップ中、ステップNoが「21」以上であれば一定速度で回転中であることがわかる。
【0077】
ステップS403の結果がNOになる場合、ステッピングモータ34はスルーアップ中である。そこで、まず、用紙4の紙種が厚紙であるか普通紙であるかを判定する(S404)。S404において用紙4の紙種が普通紙であることが判定された場合(S404でNO)、レジストセンサ18がオンした時点のステップNoに対応した距離及び時間を上記した普通紙用補正値テーブルを参照して取得し、取得した距離及び時間の値を、それぞれL1及びT1に代入する(S405)。
【0078】
一方、ステップS404において用紙4の紙種が厚紙であることが判定された場合(S404でYES)、レジストセンサ18がオンした時点のステップNoに対応した距離及び時間を上記した厚紙用補正値テーブルを参照して取得し、取得した距離及び時間の値を、それぞれL1及びT1に代入する(S406)。
次に、ステップS405,S406で値を代入したL1及びL1を用いて、副走査画像ゲートタイマ値Tmの値を、上記した式(II)を用いて算出する(ステップS407)。
【0079】
一方、ステップS403の結果がYESになる場合、ステッピングモータ34は一定速度で回転中である。そこで、上記した式(I)に基づいて、副走査画像ゲートタイマ値Tmの値を算出する(S408)。
【0080】
次に、ステップS407あるいはステップS408で算出した副走査ゲートタイマ値Tmの計時を開始し(S409)、副走査ゲートタイマ値Tmの計時を終了するまで待つ(S410のNOループ)。
【0081】
そして、副走査画像ゲートタイマ値Tmの計時を終了して、ステップS410の結果がYESになると、CPU31は、副走査画像ゲート信号36の出力を開始する(S411)。
【0082】
以上のように、紙種と、レジストセンサ18が用紙4を検出したときのステッピングモータ34の動作状態に応じて、副走査画像ゲートタイマTmを適切に算出することにより、用紙4と画像と位置合わせが可能となる。
【0083】
なお、上述した実施例では、用紙の種類として普通紙または厚紙を用いているが、それ以外のシート、例えば、OHPシートなどを用いることもでき、その場合には、各々の紙種に応じて補正用テーブルを作成し、使用する紙種に合わせた補正用テーブルを使用すればよい。
【0084】
ところで、上述した実施例では、図1に示したタンデムタイプのフルカラー画像形成装置について適用した場合について説明したが、モノクロ印刷が可能なモノクロ画像形成装置についても、本発明を同様にして適用することができる。
【0085】
また、CPU31が実行する上記した各種制御処理の手順を実現するためのプログラムは、はじめからコンピュータに備えるROM,HDDあるいはSSD等の記憶手段に格納しておいてもよいが、記録媒体であるCD−ROMあるいはフレキシブルディスク,MO,CD−R,CD−RW,DVD+R,DVD+RW,DVD−R,DVD−RW,又はDVD−RAMや、SRAM,NOV−RAM,EEPROM,メモリカード等の不揮発性記録媒体(メモリ)に記録して提供することもできる。そのメモリに記録されたプログラムをコンピュータにインストールしてCPUに実行させるか、CPUにそのメモリからこのプログラムを読み出して実行させることにより、上述した各手順を実行させることができる。
【0086】
さらに、ネットワークに接続され、プログラムを記録した記録媒体を備える外部機器あるいはプログラムを記憶手段に記憶した外部機器からダウンロードして実行させることも可能である。
【0087】
また、以上述べてきた各実施形態の構成及び変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置であれば、電子写真プロセス以外の作像プロセスを用いる画像形成装置についても適用することができる。また、複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置、及び、これらの装置の機能を複合して備えるいわゆる複合機についても本発明を同様にして適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
3:搬送ローラ、18:レジストセンサ、31:CPU(中央処理装置)、32:ROM(リード・オンリ・メモリ)、33:RAM(ランダム・アクセス・メモリ)、34:ステッピングモータ、35:ステッピングモータクロック信号、36:副走査画像ゲート信号、37:コントローラ、40:制御部、41:コンピュータインタフェース部、42:作像プロセス部、43:画像メモリ部、44:操作部、45:プリントジョブ管理部、46:定着部、47:読取部、48:記憶部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特開2005−352448
【特許文献2】特開2005−320093
【特許文献3】特開2008−174358
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出手段が搬送手段により搬送されるシートの先端を検出してから所定時間後に、上記シート上に転写すべき画像の形成動作を開始させる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成プロセスを用いて画像を形成する画像形成装置においては、搬送中の用紙(シート)がレジストセンサをオンしたところでタイマを起動させ、そのタイマの計時が終了した時点で用紙に転写すべきトナー像の形成プロセスを開始して、用紙を像担持体(感光体)に形成したトナー像と位置合わせする位置合わせ技術を用いたものが実用されている。
【0003】
このような位置合わせ技術では、搬送中の用紙がレジストセンサをオンした時に、用紙を搬送する用紙搬送ローラの回転速度が安定している(用紙の搬送速度が一定になっている)ことを前提としている為、タイマに設定する計時値(タイマ値)を、固定値に設定していた。
【0004】
しかしながら、搬送中の用紙がレジストセンサをオンした時点で、用紙搬送ローラを駆動するモータが所定の回転速度にまで加速中の状態であり、用紙の搬送速度が一定になっていない場合、上記のように用紙搬送ローラの回転速度が安定していることを前提とした固定のタイマ値で制御すると、搬送中の用紙がレジストセンサをオンしてから用紙搬送ローラの回転速度が安定するまでの時間分、感光体上のトナー像と用紙との位置がずれるという問題があった。
【0005】
このような問題を解消するためには、例えば、用紙搬送ローラの回転速度が安定した状態で、搬送中の用紙がレジストセンサをオンするように搬送手段を構築したり、短時間でモータ速度が安定するような出力特性を備えたモータを使用することが考えられるが、画像形成装置が大きくなったり、モータのコストアップになるなどの問題があった。
【0006】
特許文献1には、像担持体の露光開始位置に用紙の転写開始位置を正確に一致させて印刷処理を高速で行うことを目的とし、搬送部と転写位置との間に配置された用紙検知センサが用紙の先端を検知したら、画像と用紙が転写位置でそれぞれの位置が合うように用紙搬送部の搬送速度を変更するようにしたものが開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、用紙検知センサの先端を検知した時に補正を実施して画像と用紙の位置を合わせる目的で、複数の用紙検知センサの通過状態を検知したタイミングに基づいてレジストローラ(用紙搬送部)の速度を制御するようにしたものが開示されている。
【0008】
また、特許文献3には、用紙の先端が位置する基準位置から用紙検知センサが用紙先端を検知するまでの距離を算出することで、経年変化等による位置ずれ等の原因により意図したタイミングで用紙が検知されない場合であっても、正確な搬送制御やジャム検知を行えるようにしたものが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1、2に開示された技術では、用紙搬送部に用いるモータとして、画像形成プロセスに必要な搬送速度よりも高速で用紙を搬送できる能力を備えたものを用いる必要があり、モータのコストアップになるという問題がある。
【0010】
また、特許文献3に開示された技術では、用紙の先端が位置する基準位置から用紙検知センサが用紙先端を検知するまでの距離を算出する際、用紙搬送ローラの速度が一定になっている必要があり、上記したように、画像形成装置が大きくなると言う問題がある。
【0011】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、検出手段が搬送中のシートの先端を検出した時点で、シートを搬送する搬送ローラの回転速度が安定していない場合でも、シートとトナー像の位置合わせを適切に行うことができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の画像形成装置は、検出手段が搬送手段により搬送されるシートの先端を検出してから所定時間後に、上記シート上に転写すべき画像の形成動作を開始させる画像形成装置において、上記用紙検出手段が上記シートの先端を検出した時点で、上記搬送手段の駆動源であるモータの速度が所定速度に達していない場合には、その時点での上記モータの加速状態に応じて、上記所定時間を規定値よりも大きくする方向に補正する補正手段を備えたものである。
【0013】
上記補正手段は、上記用紙検出手段が上記シートの先端を検出してから上記モータが所定速度に達するまでの時間とその時間において上記シートが移動する移動距離とを用いて上記所定時間の補正量を算出するとよい。
【0014】
上記所定速度に達するまでの時間と上記移動距離は、上記モータの加速状態の段階に応じて、対応する値を保持する補正テーブル手段に保存するとよい。
【0015】
上記モータの加速状態の段階と、その加速状態の段階に応じて上記搬送手段に設定する速度情報とを保存する速度テーブル手段をさらに備え、上記補正テーブル手段に保存されたデータと、上記速度テーブル手段に保存されたデータとが、上記モータの加速状態の段階に対応して1対1に対比可能に構成されているとよい。
【0016】
ユーザがトレイにシートをセットすると上記トレイにセットされたシートを1枚ずつ上記搬送手段に送り出す一枚手差し給紙手段を更に備えるとよい。
【0017】
上記補正テーブル手段は、上記時間と上記移動距離との値の組み合わせからなるデータセットを、シートの種類に応じて複数保存するとよい。
【発明の効果】
【0018】
以上のようなこの発明の画像形成装置によれば、検出手段が搬送中のシートの先端を検出した時点で、シートを搬送する搬送ローラの回転速度が安定していない場合でも、シートとトナー像の位置合わせを適切に行うことができるという効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す概略構成図である。
【図2】図1に示した画像形成装置におけるハードウェア構成について説明するブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能ブロック図である。
【図4】CPU31がステッピングモータ34を駆動する際に参照する普通紙用補正値テーブルの一例を示す図である。
【図5】搬送ローラ3の速度と、レジストセンサ18がオンするタイミングに応じて、レジストセンサ18がオンしてから副走査画像ゲート信号をオンするまでの時間Tmとの関係を説明するためのタイミングチャートである。
【図6】本実施例の画像形成装置が行う印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】図6のステップS100におけるレジストセンサ18の出力に応じた画像形成タイミングの調整のための処理のフローチャートである。
【図8】CPU31が実行するステッピングモータ34の駆動制御処理のフローチャートである。
【図9】CPU31がステッピングモータ34を駆動する際に参照する厚紙用補正値テーブルの一例を示している。
【図10】用紙4の紙種を選択できるようにした場合の、図7と対応する処理を示したフローチャートである(図11に続く)。
【図11】用紙4の紙種を選択できるようにした場合の、図7と対応する処理を示したフローチャートである(図10の続き)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、この発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔実施例〕
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略構成を示す概略構成図である。この画像形成装置は、搬送ベルト(無端状移動手段)に沿って各色の画像形成部が並べられた構成を備えるものであり、所謂、タンデムタイプといわれるものである。
【0021】
図1において、給紙トレイ1から給紙ローラ2により給紙される用紙(シート)4を搬送する搬送ローラ3があり、この搬送ローラ3の搬送方向の下流には、用紙4を搬送する搬送ベルト5が設けられている。
【0022】
また、この搬送ベルト5の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)6Bk、6M、6C、6Yが配列されている。これら複数の画像形成部6Bk、6M、6C、6Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部6Bkはブラックの画像を、画像形成部6Mはマゼンタの画像を、画像形成部6Cはシアンの画像を、画像形成部6Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。
【0023】
よって、以下の説明では、画像形成部6Bkについて具体的に説明するが、他の画像形成部6M、6C、6Yの構成は画像形成部6Bkと同様であるので、その画像形成部6M、6C、6Yの各構成要素については、画像形成装置6Bkの各構成要素に付したBkに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0024】
搬送ベルト5は、回転駆動される駆動ローラ7と従動ローラ8とに巻回されたエンドレスのベルトである。この駆動ローラ7は、駆動モータ(図示略)により回転駆動されるものであり、この駆動モータと、駆動ローラ7と、従動ローラ8とが、無端状移動手段である搬送ベルト5を移動させる駆動手段として機能する。
【0025】
画像形成に際して、給紙トレイ1に収納された用紙4は最も上のものから順に送り出され、搬送ローラ3により搬送ベルト5へ搬送され、静電吸着作用により搬送ベルト5に吸着されて回転駆動される搬送ベルト5により最初の画像形成部6Bkに搬送され、ここで、ブラックのトナー画像が転写される。
【0026】
画像形成部6Bkは、感光体としての感光体ドラム9Bk、この感光体ドラム9Bkの周囲に配置された帯電器10Bk、露光器11、現像器12Bk、感光体クリーナ(図示略)等から構成されている。露光器11は、各画像形成部6Bk、6M、6C、6Yが形成する画像色に対応する露光光であるレーザ光14Bk、14M、14C、14Yを照射するように構成されている。
【0027】
画像形成に際し、感光体ドラム9Bkの外周面は、暗中にて帯電器10Bkにより一様に帯電された後、露光器11からのブラック画像に対応したレーザ光14Bkにより露光され、静電潜像を形成される。現像器12Bkは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム9Bk上にブラックのトナー画像が形成される。
【0028】
このトナー画像は、感光体ドラム9Bkと搬送ベルト5上の用紙4とが接する位置(転写位置)で、転写器15Bkの働きにより用紙4上に転写される。この転写により、用紙4上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム9Bkは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより除去された後、次の画像形成のために待機する。
【0029】
以上のようにして、画像形成部6Bkでブラックのトナー画像を転写された用紙4は、搬送ベルト5によって次の画像形成部6Mに搬送される。画像形成部6Mでは、画像形成部6Bkでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム9M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が用紙4上に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
【0030】
用紙4は、さらに次の画像形成部6C、6Yに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム9C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム9Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、用紙4上に重畳されて転写される。こうして、用紙4上にフルカラーの画像が形成される。このフルカラーの重ね画像が形成された用紙4は、搬送ベルト5から剥離されて定着器16にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
【0031】
また、画像形成装置には、手差しトレイ(図示略)に載置された用紙4を検出するための用紙センサ17及び、用紙4がレジスト位置の近傍に位置することを検出するためのレジストセンサ18も設けているが、これらのセンサの用途については後述する。
【0032】
図2は、図1に示した画像形成装置におけるハードウェア構成について説明するブロック図である。
図2において、CPU(中央処理装置)31は、ROM(リード・オンリ・メモリ)32に記憶されたプログラムに従い、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)33に記憶されたデータを読み書きして画像形成装置を構成する各部を制御するものである。
【0033】
ステッピングモータ34は、搬送ローラ3を駆動するものであり、CPU31から出力されるステッピングモータクロック信号35により所定の回転速度で回転/停止駆動される。ステッピングモータクロック信号35は一般的なA相、B相、A’相(A相の逆相)、B’相(B相の逆相)の4本で構成され、CPU31により2相励磁または1−2相励磁の駆動制御がなされる。また、搬送ローラ3は、ステッピングモータ34の駆動力を図示しないギア等の伝達機構を通じて伝達されて回転/停止駆動される。
【0034】
レジストセンサ18はフォトインタラプタ等の適宜な紙センサで構成され、用紙4がレジストセンサ18を通過している間、CPU31に対してHiレベルの信号を出力する。
【0035】
コントローラ37は、CPU31からの副走査画像ゲート信号36を受けて、図1に示す露光器11を介して露光光であるレーザ光14Bk、14M、14C、14Yを照射するように構成されている。ここで、副走査画像ゲート信号36は4本で構成され、Bk、M、C、Yのそれぞれに対して割り当てられている。
【0036】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能ブロックについて説明するためのブロック図である。
図3において、制御部40は、画像形成装置の一連の動作を制御するものであり、コンピュータインタフェース部41は、画像形成装置に印刷要求を行う端末との間で各種のデータを通信するためのものであり、作像プロセス部42は、画像メモリ部43に格納されている画像データに基づいて各色成分の画像データをコントローラへ出力すると共に、電子写真方式により画像形成部6Bk,6M,6C,6Yを制御してトナー画像を作成し、レジストセンサ18の出力信号に基づいて搬送ローラ3を駆動し、トナー画像を用紙4に転写するためのプロセス制御を行うものである。また、この作像プロセス部42は、印刷時に位置ずれなどを検知をした場合は、その補正を行う。
【0037】
画像メモリ部43は、画像形成装置に印刷要求を行う端末から送信された画像データを格納するためのものであり、操作部44は、画像形成装置の状態を表示したり、画像形成装置への操作入力を受け付けるためのものである。
【0038】
プリントジョブ管理部45は、画像形成装置に要求された印刷ジョブについて、印刷を行う順番を管理するためのものであり、定着部46は、作像プロセス部42によりトナー画像を転写した用紙4に、定着器16にて熱と圧力を加えてトナー画像を用紙に定着する。
【0039】
読取部47は、読取原稿上の画像情報(印字情報)を電気信号に変換するためのものであり、記憶部48は、ある時点において画像形成装置の状態を記憶するためのものである。
【0040】
さて、本実施例では、搬送ローラ3を駆動するステッピングモータ34は、停止状態から所定の回転速度に達するまでスルーアップ駆動されており、このステッピングモータ34の駆動について次に説明する。
【0041】
図4は、CPU31がステッピングモータ34を駆動する際に参照される普通紙用補正値テーブルの一例を示している。この普通紙用補正値テーブルは、用紙4として普通紙と呼ばれる紙種を用いる際に参照されるものであり、左の欄から順に、ステッピングモータ34の駆動状態を表すステップNo(ステップ番号)、ステップNoが継続する時間を表す設定値、及び後述する補正演算に使用される距離と時間が保存されている。
【0042】
ステッピングモータ34の駆動を開始する際は、CPU31は、図示しないタイマ機能に対して、ステップNoが「1」の設定値に記載された値(800)を設定する。タイマを設定すると、ステッピングモータ34を1ステップ分駆動する為の信号を、設定値の値(800)に対応する時間、ステッピングモータクロック信号35として出力する(例えば、4.75[ミリ秒])。
【0043】
タイマに設定した時間が経過すると、CPU31は次のステップNo(すなわち、「2」)の設定値に記載された値(850)を再度タイマ機能に設定し、タイマを設定すると、ステッピングモータ34を更に1ステップ分駆動する為の信号を、設定値の値(850)に対応する時間、ステッピングモータクロック信号35として出力する(例えば、4.65[ミリ秒])。
【0044】
以降、CPU31は、同様にしてステップNoを「20」までステップ番号を1ずつ昇順に増やしながら、普通紙用補正値テーブルの値を参照し、タイマに時間を設定し、そのタイマに設定した時間、1ステップ分駆動するための信号をステッピングモータクロック信号35として出力し、ステッピングモータ34を1ステップ駆動することで、ステッピングモータ34を所定の速度に到達するようスルーアップ駆動している。
【0045】
ここで、ステップNoの「20」でタイマに設定した時間が経過するとステップNoの「21」に移行する。このときのステップNoの「21」に保存されている設定値は「0」であるが、この値は設計上の取り決めでスルーアップ駆動を完了を示すための値として用いている。
【0046】
そして、設定値が「0」の場合は、CPU31はそれ以降、ステッピングモータ34を停止するまで1つ前のステップであるステップNoの「20」における設定値の値(1750)をタイマ機能に設定して、一定速度でステッピングモータ34を駆動する。
【0047】
なお、図4の普通紙用補正値テーブルにおける距離の欄及び時間の欄はステップNoがn(n=1〜20)の時、すなわち、ステッピングモータ34がスルーアップ中に、レジストセンサ18がオンした時から、ステッピングモータ34の回転速度が一定速度に到達するまでに用紙4が進む距離(補正距離)とそれにかかる時間(補正時間)を示す。例えば、ステップNoが「12」の時にレジストセンサ18がオンした場合、補正距離は4.95[mm]、補正時間は29.25[ミリ秒]となる。
【0048】
次に、搬送ローラ3で用紙4を搬送してレジストセンサ18が用紙4を検出した場合の動作について説明する。
図5は、搬送ローラ3の速度(ステッピングモータ34の速度)と、レジストセンサ18がオンするタイミングに応じて、レジストセンサ18がオンしてから副走査画像ゲート信号をオンするまでの時間(副走査画像ゲートタイマ値)Tmとの関係を説明するためのタイミングチャートを示している。
【0049】
CPU31がステッピングモータ34の駆動を開始して搬送ローラ3が回転を回転した後に、搬送ローラの回転速度がV[mm/秒]で安定駆動の状態に達した後の時刻t2でレジストセンサ18がオンした場合、CPU31が副走査画像ゲート信号36をオンすべき位置までの距離(すなわち、レジストセンサ18から転写部15Bkまでの距離から、感光体ドラム9Bkに対するレーザ光14Bkの露光から転写部15Bkまでの距離を引いた値)をLとすると、レジストセンサ18がオンしてから副走査画像ゲート信号36をオンするまでの時間(副走査画像ゲートタイマ値)Tmは、次の式(I)で表すことができる。
Tm[秒]=L÷V (I)
【0050】
この場合、レジストセンサ18がオンしてから、上記の式(I)を用いて算出した副走査画像ゲートタイマ値Tmの時間を経過した後に、副走査画像ゲート信号36をオンすることで、画像と用紙4の位置が合うことになる。
【0051】
しかしながら、搬送ローラ3の回転速度がV[mm/秒]に到達するまでのスルーアップ途中の時刻t1でレジストセンサ18がオンした場合は、上記の式(I)を用いて副走査画像ゲートタイマ値Tmを算出すると、搬送ローラ3の速度が一定速に到達していないので、Tm秒では用紙が距離Lだけ進まず、画像と用紙の位置がずれることになる。
【0052】
そこで、本実施例では、搬送ローラ3の回転速度がV[mm/秒]に到達するまでのスルーアップ途中の時刻t1でレジストセンサ18がオンした場合は、図4の普通紙用補正値テーブルの補正距離と補正時間を用いて、次のように、副走査画像ゲートタイマ値Tmを補正して算出する。
【0053】
すなわち、搬送ローラ3の回転速度がV[mm/秒]に到達するまでのスルーアップ途中の時刻t1でレジストセンサ18がオンした場合には、普通紙用補正値テーブルの距離(補正距離)をL1[mm]、時間(補正時間)をT1[秒]とすると、搬送ローラ3の回転速度がV[mm/秒]に到達するまでのスルーアップ間にレジストセンサ18がオンした場合の画像と用紙の位置を合わせる為の副走査画像ゲートタイマ値Tmは、次の式(II)で表すことができる。
Tm[秒]=(L−L1)÷V+T1 (II)
【0054】
この場合、式(II)の右辺の「(L−L1)÷V」の部分は速度Vで用紙4が進む距離が補正距離L1の分だけ短くなっていることを表している。そして、補正距離L1だけ用紙4が進む間に要する時間である補正時間T1を加えている。それにより、式(II)で表されるTmは、レジストセンサ18がオンしてから、搬送ローラ3のスルーアップを経て、最終的に速度Vで目的位置まで移動する時間に相当する。
したがって、この場合、上記の式(II)を用いて算出した副走査画像ゲートタイマ値Tmの時間を経過した後に、副走査画像ゲート信号36をオンすることで、画像と用紙の位置が合うことになる。
【0055】
次に、本実施例の画像形成装置が行う印刷処理動作について説明する。
図6は、本実施例の画像形成装置が行う印刷処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、図示しないCPU31のタイマ機能及びタスク切り替え機能等を用いて1ミリ秒周期で、ステップS100,S101,S102の処理を繰り返し順次実行するというものである。
【0056】
図6において、ステップS100は、レジストセンサ18の状態を検出する処理である。ステップS101は、印刷中の用紙搬送処理を実施する処理である。また、ステップS102は、印刷中の画像形成に関する処理を実施する処理である。
【0057】
次に、図7に、図6のステップS100におけるレジストセンサ18の出力に応じた画像形成タイミングの調整のための処理のフローチャートを示す。この処理では、駆動手段であるステッピングモータ34の駆動を開始し、レジストセンサ18が用紙4の検出によりオンになってから、副走査画像ゲート信号36をオンするまでの処理を実施する。CPU31は、用紙4を給紙する場合に図7の処理を開始する。
【0058】
図7の処理において、CPU31は、まず、ステッピングモータ34の駆動状態を保存するためのステップNoを1に初期化し(S200)、ステッピングモータ34の駆動を開始する(S201)。このステップS201では、ステッピングモータ34の駆動を開始するためのCPU31の設定及びステッピングモータ34を駆動するためのステッピングモータクロック信号35の初期設定値のセットを行っている。このとき、同時に前記CPU31のタイマ機能にステップNoの「1」に対応した設定値の値をセットすると同時にタイマ機能のタイマを起動する。
【0059】
なお、ここで駆動開始したステッピングモータ34の以降の駆動制御は、図示しないCPU31のタイマ機能とタイマ割り込み機能を使用して実現している。このステッピングモータ34の駆動制御の詳細については図8で説明する。ここで、CPU31は、複数の独立したタイマ機能とタイマ割り込み機能を備え、例えば、図6に示した印刷処理の処理のために用いるタイマ機能とは独立したタイマ機能をこのステッピングモータ34の駆動制御やその他の処理のために用いる。
【0060】
ステップS201の後CPU31は、レジストセンサ18がオンになるのを待つ(S202のNOループ)。レジストセンサ18がオンになったことを検出すると(S202の結果がYES)、ステップNoの値が「21」かどうかを確認する(S203)。ステップNoの値が「21」未満ならステッピングモータ34(すなわち、搬送ローラ3)はスルーアップ中、ステップNoが「21」以上であれば一定速度で回転中であることがわかる。
【0061】
ステップS203の結果がNOになる場合、ステッピングモータ34はスルーアップ中である。そこで、レジストセンサ18がオンした時点のステップNoに対応した距離及び時間を上記した普通紙用補正値テーブルを参照して取得し、取得した距離及び時間の値を、それぞれL1及びT1に代入し、副走査画像ゲートタイマ値Tmの値を、上記した式(II)を用いて算出する(S205)。
【0062】
一方、ステップS203の結果がYESになる場合、ステッピングモータ34は一定速度で回転中である。そこで、上記した式(I)に基づいて、副走査画像ゲートタイマ値Tmの値を算出する(S206)。
【0063】
次に、ステップS205あるいはステップS206で算出した副走査ゲートタイマ値Tmの計時を開始し(S207)、副走査ゲートタイマ値Tmの計時を終了するまで待つ(S208のNOループ)。
【0064】
そして、副走査画像ゲートタイマ値Tmの計時を終了して、ステップS208の結果がYESになると、CPU31は、副走査画像ゲート信号36の出力を開始する(S209)。
【0065】
以上のように、レジストセンサ18が用紙4を検出したときのステッピングモータ34の動作状態に応じて、副走査画像ゲートタイマTmを適切に算出することにより、用紙4と画像と位置合わせが可能となる。特に1枚手差しトレイ(図示略)のように、搬送ローラ3に用紙4が噛み込む長さが不定量である場合、レジストセンサ18がステッピングモータ34のスルーアップ途中にオンする可能性が高くなるため、この実施例により、誤差の少ない画像と位置合わせが可能になる。
【0066】
次に、上記したステッピングモータ34の駆動の具体例について説明する。
図8は、ステッピングモータ34の駆動制御の一例を示すフローチャートである。この処理は、始めは図7のステップS201により開始されるもので、その後、ステッピングモータ34の1ステップの駆動毎に、普通紙用補正値テーブルに保存した設定値をCPU31のタイマ機能に設定してスタートし、そのタイマ機能のタイマが終了したらCPU31のタイマ割り込み機能により実行されるものである。
【0067】
図8の処理において、CPU31は、まず、ステップNoの値が最終ステップの「21」かどうかを確認する(S300)。ステップS300の結果がNoの場合、ステップNoの値を1つ増やし(S301)、ステップS301の結果、ステップNoの値が最終ステップの「21」かどうかを確認する(S302)。
【0068】
ここで、ステップN0の値が「21」未満の場合で、ステップS302の結果がNOになるときには、普通紙用補正値テーブルを参照し、そのときのステップNoの値に対応した設定値の値を取得して、その取得した値をCPU31のタイマ機能にセットすると同時にタイマ機能のタイマを起動する(S303)。
【0069】
また、ステップS302の結果がYESになる場合、及び、ステップS300の結果がYESになる場合、既にステッピングモータ34はスルーアップが終わって一定速になっているので、その回転速度を継続させる。すなわち、普通紙用補正値テーブルのステップNoの値「20」に対応した設定値の値を取得して、その取得した値をCPU31のタイマ機能にセットすると同時にタイマ機能のタイマを起動する(S304)。
【0070】
次に、ステッピングモータクロック信号35のA相、B相、A’相、B’相に対して、次ステップのパルスを出力する(S305)。ここで、A相、B相、A’相、B’相の各相に出力するパルスは、ステッピングモータ34を1ステップずつ所定方向に動かす為に必要な状態(Hiレベル又はLoレベル)を設定する。その設定する状態としては、一般的な2相励磁や1−2相励磁で設定するパルス出力方法に対応したものを適用することができる。
【0071】
以上の処理により、CPU31が、普通紙用補正値テーブルを参照してステッピングモータ34を1ステップずつ駆動することで、ステッピングモータ34は、停止状態からスルーアップして定常速度にまで加速された後、一定速度で駆動されることとなる。
【0072】
ところで、ここまでは、普通紙を用紙4として用いる場合について説明したが、普通紙よりも厚さのある厚紙を用紙4として用いる場合もある。厚紙を用紙4として用いる場合、普通紙とは紙のコシや滑りやすさなどが異なるので、図4に示した普通紙用補正テーブルに代えて図9に示すような厚紙用補正テーブルを用いることが考えられる。この厚紙用補正テーブルは、図4に示した普通紙用補正テーブルと比べて、距離(補正距離)及び時間(補正時間)が厚紙のコシやスリップを考慮して長く設定されている。
【0073】
図10及び図11は、用紙4の紙種(普通紙及び厚紙)を選択できるようにした場合の、図7と対応する処理を示したフローチャートである。この処理では、駆動手段であるステッピングモータ34の駆動を開始し、レジストセンサ18をオンしてから、副走査画像ゲート信号36をオンするまでの処理を実施する。
【0074】
なお、この場合、普通紙又は厚紙の何れを使用するかの判定を行う際、ユーザが予め指定した紙種の情報を参照して判定を行うことができるが、例えば、紙の厚さ寸法を測定するセンサなどの用紙4の紙種を検出するためのセンサを用いて、用紙が普通紙であるか厚紙であるかを判定することもできる。
【0075】
図10の処理において、CPU31は、まず、ステッピングモータ34の駆動状態を保存するためのステップNoを1に初期化し(S400)、ステッピングモータ34の駆動を開始する(S401)。このステップS401では、ステッピングモータ34の駆動を開始するためのCPU31の設定及びステッピングモータ34を駆動するためのステッピングモータクロック信号35の初期設定値のセットを行っている。このとき、同時にCPU31のタイマ機能にステップNoの「1」に対応した設定値の値をセットすると同時にタイマ機能のタイマを起動する。
【0076】
そして、レジストセンサ18がオンするのを待つ(S402のNOループ)。レジストセンサ18がオンしたことを検出すると(S402の結果がYES)、ステップNoの値が「21」かどうかを確認する(S403)。ステップNoの値が「21」未満ならステッピングモータ34(すなわち、搬送ローラ3)はスルーアップ中、ステップNoが「21」以上であれば一定速度で回転中であることがわかる。
【0077】
ステップS403の結果がNOになる場合、ステッピングモータ34はスルーアップ中である。そこで、まず、用紙4の紙種が厚紙であるか普通紙であるかを判定する(S404)。S404において用紙4の紙種が普通紙であることが判定された場合(S404でNO)、レジストセンサ18がオンした時点のステップNoに対応した距離及び時間を上記した普通紙用補正値テーブルを参照して取得し、取得した距離及び時間の値を、それぞれL1及びT1に代入する(S405)。
【0078】
一方、ステップS404において用紙4の紙種が厚紙であることが判定された場合(S404でYES)、レジストセンサ18がオンした時点のステップNoに対応した距離及び時間を上記した厚紙用補正値テーブルを参照して取得し、取得した距離及び時間の値を、それぞれL1及びT1に代入する(S406)。
次に、ステップS405,S406で値を代入したL1及びL1を用いて、副走査画像ゲートタイマ値Tmの値を、上記した式(II)を用いて算出する(ステップS407)。
【0079】
一方、ステップS403の結果がYESになる場合、ステッピングモータ34は一定速度で回転中である。そこで、上記した式(I)に基づいて、副走査画像ゲートタイマ値Tmの値を算出する(S408)。
【0080】
次に、ステップS407あるいはステップS408で算出した副走査ゲートタイマ値Tmの計時を開始し(S409)、副走査ゲートタイマ値Tmの計時を終了するまで待つ(S410のNOループ)。
【0081】
そして、副走査画像ゲートタイマ値Tmの計時を終了して、ステップS410の結果がYESになると、CPU31は、副走査画像ゲート信号36の出力を開始する(S411)。
【0082】
以上のように、紙種と、レジストセンサ18が用紙4を検出したときのステッピングモータ34の動作状態に応じて、副走査画像ゲートタイマTmを適切に算出することにより、用紙4と画像と位置合わせが可能となる。
【0083】
なお、上述した実施例では、用紙の種類として普通紙または厚紙を用いているが、それ以外のシート、例えば、OHPシートなどを用いることもでき、その場合には、各々の紙種に応じて補正用テーブルを作成し、使用する紙種に合わせた補正用テーブルを使用すればよい。
【0084】
ところで、上述した実施例では、図1に示したタンデムタイプのフルカラー画像形成装置について適用した場合について説明したが、モノクロ印刷が可能なモノクロ画像形成装置についても、本発明を同様にして適用することができる。
【0085】
また、CPU31が実行する上記した各種制御処理の手順を実現するためのプログラムは、はじめからコンピュータに備えるROM,HDDあるいはSSD等の記憶手段に格納しておいてもよいが、記録媒体であるCD−ROMあるいはフレキシブルディスク,MO,CD−R,CD−RW,DVD+R,DVD+RW,DVD−R,DVD−RW,又はDVD−RAMや、SRAM,NOV−RAM,EEPROM,メモリカード等の不揮発性記録媒体(メモリ)に記録して提供することもできる。そのメモリに記録されたプログラムをコンピュータにインストールしてCPUに実行させるか、CPUにそのメモリからこのプログラムを読み出して実行させることにより、上述した各手順を実行させることができる。
【0086】
さらに、ネットワークに接続され、プログラムを記録した記録媒体を備える外部機器あるいはプログラムを記憶手段に記憶した外部機器からダウンロードして実行させることも可能である。
【0087】
また、以上述べてきた各実施形態の構成及び変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置であれば、電子写真プロセス以外の作像プロセスを用いる画像形成装置についても適用することができる。また、複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置、及び、これらの装置の機能を複合して備えるいわゆる複合機についても本発明を同様にして適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
3:搬送ローラ、18:レジストセンサ、31:CPU(中央処理装置)、32:ROM(リード・オンリ・メモリ)、33:RAM(ランダム・アクセス・メモリ)、34:ステッピングモータ、35:ステッピングモータクロック信号、36:副走査画像ゲート信号、37:コントローラ、40:制御部、41:コンピュータインタフェース部、42:作像プロセス部、43:画像メモリ部、44:操作部、45:プリントジョブ管理部、46:定着部、47:読取部、48:記憶部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特開2005−352448
【特許文献2】特開2005−320093
【特許文献3】特開2008−174358
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出手段が搬送手段により搬送されるシートの先端を検出してから所定時間後に、前記シート上に転写すべき画像の形成動作を開始させる画像形成装置において、
前記用紙検出手段が前記シートの先端を検出した時点で、前記搬送手段の駆動源であるモータの速度が所定速度に達していない場合には、その時点での前記モータの加速状態に応じて、前記所定時間を規定値よりも大きくする方向に補正する補正手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記補正手段は、前記用紙検出手段が前記シートの先端を検出してから前記モータが所定速度に達するまでの時間とその時間において前記シートが移動する移動距離とを用いて前記所定時間の補正量を算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記所定速度に達するまでの時間と前記移動距離は、前記モータの加速状態の段階に応じて、対応する値を保持する補正テーブル手段に保存されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記モータの加速状態の段階と、その加速状態の段階に応じて前記搬送手段に設定する速度情報とを保存する速度テーブル手段をさらに備え、
前記補正テーブル手段に保存されたデータと、前記速度テーブル手段に保存されたデータとが、前記モータの加速状態の段階に対応して1対1に対比可能に構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の画像形成装置であって、
ユーザがトレイにシートをセットすると前記トレイにセットされたシートを1枚ずつ前記搬送手段に送り出す一枚手差し給紙手段を更に備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の画像形成装置であって、
前記補正テーブル手段は、前記時間と前記移動距離との値の組み合わせからなるデータセットを、シートの種類に応じて複数保存していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
検出手段が搬送手段により搬送されるシートの先端を検出してから所定時間後に、前記シート上に転写すべき画像の形成動作を開始させる画像形成装置において、
前記用紙検出手段が前記シートの先端を検出した時点で、前記搬送手段の駆動源であるモータの速度が所定速度に達していない場合には、その時点での前記モータの加速状態に応じて、前記所定時間を規定値よりも大きくする方向に補正する補正手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記補正手段は、前記用紙検出手段が前記シートの先端を検出してから前記モータが所定速度に達するまでの時間とその時間において前記シートが移動する移動距離とを用いて前記所定時間の補正量を算出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記所定速度に達するまでの時間と前記移動距離は、前記モータの加速状態の段階に応じて、対応する値を保持する補正テーブル手段に保存されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記モータの加速状態の段階と、その加速状態の段階に応じて前記搬送手段に設定する速度情報とを保存する速度テーブル手段をさらに備え、
前記補正テーブル手段に保存されたデータと、前記速度テーブル手段に保存されたデータとが、前記モータの加速状態の段階に対応して1対1に対比可能に構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の画像形成装置であって、
ユーザがトレイにシートをセットすると前記トレイにセットされたシートを1枚ずつ前記搬送手段に送り出す一枚手差し給紙手段を更に備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3又は4に記載の画像形成装置であって、
前記補正テーブル手段は、前記時間と前記移動距離との値の組み合わせからなるデータセットを、シートの種類に応じて複数保存していることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−197047(P2011−197047A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60532(P2010−60532)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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