説明

画像形成装置

【課題】正面カバーに対して押圧部を取り付けられない場合であっても、簡易な構成で光学センサユニットの通過窓を清掃可能とする。
【解決手段】摺擦方向と異なる方向に開閉される開閉部26に固定されると共に開閉部26が閉じられた際に清掃部材を付勢手段による付勢方向と反対方向に押圧する押圧部300を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置においては、各種の光学センサユニットが搭載されている。
例えば、画像形成装置のなかには中間転写ベルトにトナー画像を形成してから記録紙(記録媒体)にトナー画像を転写する構成を採用するものがあり、このような画像形成装置は、中間転写ベルト上のトナー画像の色合いや形成位置を検出するための光学センサユニットが搭載されている。
【0003】
ところで、このような光学センサユニットは、検出光を通過する通過窓を有している。このような通過窓が汚れると、正確な検出ができなくなる。このため、通過窓は、定期的に清掃する必要がある。
例えば、特許文献1には、画像形成装置の正面に設けられた正面カバーの開閉動作に連動して清掃部材を移動させ、当該清掃部材で通過窓を摺擦することにより、簡易な構成で清掃する方法が開示されている。
【0004】
より詳細に特許文献1の構成を説明すると、清掃部材を光学センサユニットの通過窓に対して摺動可能に設置し、画像形成装置の奥側に設けられたバネによって清掃部材を光学センサユニットの延在方向に付勢する。そして、手前側の正面カバーに設けられた押圧部を付勢方向と反対方向に押し込むことによって清掃部材を通過窓に対して摺擦する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−38054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、画像形成装置では、内部のレイアウトやスペースの問題により、正面カバーに対して清掃部材を移動させるための機構を設置できない場合もある。
このような場合には、押圧部を異なる開閉部に対して設置する必要が生じるが、当該開閉部の開閉方向がバネの付勢方向に沿う方向以外である場合には、押圧部を清掃部材に当接して押し込む構成では、清掃部材をバネの復元力を利用して押し込む前の位置に戻すことが難しい。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、画像形成装置において、正面カバーに対して押圧部を取り付けられない場合であっても、簡易な構成で光学センサユニットの通過窓を清掃可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
第1の発明は、検出光を通過する通過窓を有する光学センサユニットと、摺擦することにより上記通過窓を清掃する清掃部材とを備える画像形成装置であって、摺擦方向に上記清掃部材を付勢する付勢手段と、上記摺擦方向と異なる方向に開閉される開閉部に固定されると共に当該開閉部が閉じられた際に上記清掃部材を上記付勢手段による付勢方向と反対方向に押圧する押圧部とを備えるという構成を採用する。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記押圧部が、上記開閉部の開閉方向に対して傾斜して上記清掃部材に対して摺動可能に当接する当接面を備えるという構成を採用する。
【0011】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記清掃部材が、上記押圧部の当接面を受けると共に当該当接面と平行な受面を備えるという構成を採用する。
【0012】
第4の発明は、上記第1〜第3いずれかの発明において、上記開閉部が、記録媒体の搬送を行う搬送ユニットであるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、押圧部が、清掃部材の摺擦方向と異なる方向に開閉される開閉部に固定され、開閉部が閉じられた際に清掃部材を付勢手段による付勢方向と反対方向に押圧する。このため、従来の画像形成装置のように、画像形成装置の正面カバーに押圧部を設置し、押圧部を付勢方向と反対方向に押し込むことなく、清掃部材を光学センサユニットの通過窓に摺擦することができる。
したがって、本発明によれば、画像形成装置において、正面カバーに対して押圧部を取り付けられない場合であっても、簡易な構成で光学センサユニットの通過窓を清掃することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態における複写機の正面図である。
【図2】本発明の一実施形態における複写機の印刷部の一部を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態における複写機の光学式ユニットを含む斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態における複写機の搬送ユニットの斜視図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】図5に清掃部材等を加えた斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態における複写機の清掃部材の動きを説明するための斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態における複写機の清掃部材の動きを説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像形成装置の実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。また、以下の説明においては、本発明の画像形成装置の一例として複写機を挙げて説明する。
【0016】
図1は、本実施形態における電子写真方式からなるカラー複写機Pの正面図である。
複写機Pは、原稿の画像を読み取る画像読取部1と、読み取った画像データに基づいて記録紙(記録媒体)に印刷を行う印刷部2とを備えている。
【0017】
画像読取部1は、原稿の画像に光を照射し、その反射光を受光することによって原稿の画像を画像データつぃて読み取るものであり、原稿に光を照射する光源装置や原稿からの戻り光を受光して画像データに変換する受光センサ等を備えている。
【0018】
印刷部2は、画像形成部(画像形成ユニット)、定着部及び給紙部を備えている。
画像形成部は、複写機Pがカラー複写機の場合、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色にそれぞれ対応した感光体(ドラム)を有し、各感光体には、静電潜像書き込み用のビーム光の出力を行うレーザ光出力装置、そのビーム光を感光体ドラムに導く偏向ミラー、ビーム光のfθ補正を行なうfθレンズ、ビーム光を感光体ドラムの軸方向に走査させるポリゴンミラー等の多くの光学系の機器類で構成されるレーザスキャニングユニット(光走査装置)がそれぞれ設けられていると共に、帯電器、クリーニング装置及び除電装置等がそれぞれ設けられている。
【0019】
定着部は、加熱ローラを含んで構成され、感光体上に形成されたトナー画像を転写ベルト等に転写し、その転写されたトナー画像を記録紙に定着させることができるように構成されている。
【0020】
給紙部は、給紙カセットと給紙トレイとを含んで構成されている。給紙カセットは、複写機本体に対して着脱自在のカセットに用紙を積層し、その積層されている用紙中から一枚ずつ定着部に供給できるように構成されている。また、給紙トレイは、複写機本体の側面の一部分に設けられている開閉トレイに用紙を収容し、その収容されている用紙中から一枚ずつ定着部に供給できるように構成されている。
【0021】
このような構成からなる複写機Pは、上述のように、画像読取部1において画像データが取得され、さらに印刷部2において当該画像データに基づいて記録紙に印刷が行なわれる。
【0022】
続いて、図2〜図7を参照して、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
図2は、本実施形態における複写機Pの印刷部2の一部を示す模式図である。この図に示すように、本実施形態の複写機Pの印刷部2は、ベルトユニット21と、画像形成ユニット22と、二次転写ローラ23と、押えローラ24と、光学センサユニット25と、搬送ユニット26とを備えている。
【0023】
ベルトユニット21は、画像形成ユニット22において形成されるトナー画像が転写され、この転写されたトナー画像を搬送するものであり、画像形成ユニット22からトナー画像が転写される中間転写ベルト21aと、中間転写ベルト21aを架設すると共に無端回送させる駆動ローラ21bと、従動ローラ21cと、テンションローラ21dとを備えている。
【0024】
中間転写ベルト21aは、駆動ローラ21b、従動ローラ21c及びテンションローラ21dに張架される構成となっている。
駆動ローラ21bは、モータ等の駆動源を有する駆動部に接続され、中間転写ベルト21aに対しグリップ力を付与しつつ回走させるものである。
従動ローラ21cは、駆動ローラ21bの回転駆動に従動して回転駆動するものである。
テンションローラ21dは、駆動ローラ21bの回転駆動に従動して回転駆動する従動ローラの一種であり、バネ機構を有して中間転写ベルト21aにテンションを与えるものである。
【0025】
画像形成ユニット22は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色にそれぞれ対応して設けられており、各色のトナー画像を形成するものである。そして、これらの画像形成ユニット22は、中間転写ベルト21aの回転駆動方向に沿って上流側から下流方向に向って順に配列されている。
【0026】
各画像形成ユニット22は、感光体22aと、一次転写ローラ22bとを備えている。また、不図示の帯電器、レーザスキャニングユニット、現像装置、クリーニング装置及び除電装置等を有する。
【0027】
感光体22aは、円柱に形状設定され、その周面に静電潜像及び当該静電潜像に基づくトナー画像が形成されるものである。
一次転写ローラ22bは、中間転写ベルト21aを挟んで感光体22aと対向配置され、感光体22aに現像されたトナー画像を中間転写ベルト21aに一次転写するものである。
【0028】
帯電器は、感光体22aに対して対向配置され、感光体22aの周面を帯電状態とするものである。レーザスキャニングユニットは、印刷形式の画像データに基づいて射出されるレーザ光を帯電状態の感光体22aの周面において走査するものである。現像装置は、感光体22aの周面に対してトナーを供給することによって感光体22aの周面上に静電潜像に基づくトナー画像を現像するものである。クリーニング装置は、一次転写の後に感光体22a上に残留したトナーを除去するものである。
【0029】
二次転写ローラ23は、中間転写ベルト21a上に形成されたトナー画像を記録紙に二次転写するものであって、中間転写ベルト21aを駆動させる駆動ローラ21bと、中間転写ベルト21aを挟んで対向配置されている。
【0030】
押えローラ24は、中間転写ベルト21aが振動しないように押えるものであり、光学センサユニット25に対して、中間転写ベルト21aを挟んで対向配置されている。
【0031】
光学センサユニット25は、中間転写ベルト21aに転写されたトナー画像の色合いや位置を検出するものである。
図3は、光学センサユニット25を含む斜視図である。光学センサユニット25は、中間転写ベルト21aの幅方向に延在されており、検出光を通過させるための通過窓25aが延在方向に2つ配置されている。そして、光学センサユニット25は、通過窓25aを介して中間転写ベルト21aに向けて検出光を射出すると共に通過窓25aを介して中間転写ベルト21aから戻り検出光を受光する。
【0032】
そして、図3に示すように、本実施形態の複写機Pは、清掃部材100と、バネ部材200(付勢手段)と、押圧部300とを備えている。
【0033】
清掃部材100は、光学センサユニット25の上面に摺動可能に設置され、摺擦することにより通過窓25a(図7参照)を清掃するものである。なお、本実施形態において清掃部材100は、光学センサユニット25の延在方向(図3に示す矢印aで示す方向)を摺擦方向としている。また、清掃部材100には、通過窓25aを露出するための開口101が設けられており、複写機Pの稼動時には、当該開口101から通過窓25aが露出された状態となる。
【0034】
バネ部材200は、摺擦方向のうち、一方向(図3に示す矢印bで示す方向)に清掃部材100を付勢するものである。
なお、図3は、清掃部材100がバネ部材200に付勢されて、開口101が通過窓25aから外れた位置まで移動された様子を示している。
【0035】
押圧部300は、搬送ユニット26に固定されると共に搬送ユニット26が閉じられた際に清掃部材100をバネ部材200の付勢方向(図3に示す矢印bで示す方向)と反対方向(図3に示す矢印cで示す方向)に押圧するものである。なお、本実施形態においては、押圧部300は、印刷部2が備えるフレームの一部から構成されているが、別部材として設置しても良い。
この押圧部300は、搬送ユニット26の開閉方向(図3に示す矢印d方向)に対して傾斜して清掃部材100に対して摺動可能に当接する当接面301を備えており、搬送ユニット26の開閉方向(図3に示す矢印d方向)のうち搬送ユニット26を閉じる方向(図3に示す矢印e方向)に移動された場合に清掃部材100をバネ部材200の付勢方向(図3に示す矢印bで示す方向)と反対方向(図3に示す矢印cで示す方向)に押圧する。
【0036】
なお、清掃部材100は、端部が押圧部300の当接面301を受けるための受面102とされている。この受面102は、当接面301と平行な面とされている。これによって、清掃部材100と押圧部300とが常に面接触されるため、清掃部材100を安定して移動させることが可能となる。
【0037】
図2に戻り、搬送ユニット26は、二次転写ローラ23を含むと共に、二次転写ローラ23の上流側及び下流側において記録紙の搬送を行うものである。
そして、図1に示すように、本実施形態の複写機Pにおいて搬送ユニット26は、複写機Pの側面側に設けられており、矢印dで示す方向に脱着可能(開閉可能)とされている。
【0038】
図4は、搬送ユニット26を内側から見た斜視図である。また、図5は、図4の要部拡大図である。また、図6は、図5に対して清掃部材100等を加えた斜視図である。図4に図に示すように、搬送ユニット26は、二次転写ローラ23等の記録紙を搬送するローラを複数備えている。そして、搬送ユニット26は、図5に示すように、ローラの側方に上述の押圧部300が固定されている。そして、図6に示すように、搬送ユニット26は、清掃部材100が設置された光学センサユニット25に対向配置される。このように搬送ユニット26が光学センサユニット25に対向配置されることにより、押圧部300が清掃部材100と当接される。
【0039】
このような構成を有する本実施形態の複写機Pにおいては、搬送ユニット26が閉じられている場合には、図7に示すように、押圧部300によって清掃部材100がバネ部材200の付勢方向と反対方向に押圧され、これによって清掃部材100の開口101から光学センサユニット25の通過窓25aが露出された状態とされる。
そして、搬送ユニット26が開けられると、図8に示すように、押圧部300が搬送ユニット26と共に移動し、清掃部材100がバネ部材200の付勢力(復元力)によって摺動し、これによって通過窓25aが摺擦されて清掃される。
【0040】
以上のような本実施形態の複写機Pによれば、押圧部300が、清掃部材100の摺擦方向と異なる方向に開閉される搬送ユニット26に固定され、搬送ユニット26が閉じられた際に清掃部材100をバネ部材200による付勢方向と反対方向に押圧する。このため、従来の複写機のように、複写機の正面カバーに押圧部を設置し、この押圧部を付勢方向と反対方向に押し込むことなく、清掃部材100を光学センサユニット25の通過窓25aに摺擦することができる。
したがって、本実施形態の複写機Pによれば、正面カバーに対して押圧部を取り付けられない場合であっても、簡易な構成で光学センサユニット25の通過窓25aを清掃することが可能となる。
【0041】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
また、上述の例では、画像形成装置を複写機としたが、プリンタ、ファクシミリ装置又はこれらの機能を備えた複合機とすることもできる。
また、上述の例では、本発明の開閉部が搬送ユニット26であり、搬送ユニット26に押圧部300が固定される構成について説明したが、清掃部材100の摺擦方向と異なる方向に開閉する他の開閉部に対して押圧部300を設置しても良い。
【符号の説明】
【0042】
P……複写機(画像形成装置)、25……光学センサユニット、25a……通過窓、26……搬送ユニット(開閉部)、100……清掃部材、102……受面、200……バネ部材(付勢手段)、300……押圧部、301……当接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出光を通過する通過窓を有する光学センサユニットと、摺擦することにより前記通過窓を清掃する清掃部材とを備える画像形成装置であって、
摺擦方向に前記清掃部材を付勢する付勢手段と、
前記摺擦方向と異なる方向に開閉される開閉部に固定されると共に当該開閉部が閉じられた際に前記清掃部材を前記付勢手段による付勢方向と反対方向に押圧する押圧部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記押圧部は、前記開閉部の開閉方向に対して傾斜して前記清掃部材に対して摺動可能に当接する当接面を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記清掃部材は、前記押圧部の当接面を受けると共に当該当接面と平行な受面を備えることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記開閉部は、記録媒体の搬送を行う搬送ユニットであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の画像形成装置。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−209610(P2011−209610A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78986(P2010−78986)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】