説明

画像形成装置

【課題】利用者が補正レベルを選択することなく、裏透けを低減する。
【解決手段】片面印刷、又は両面印刷の印刷設定を有する印刷ジョブに含まれる画像データに基づいて印刷を実行する印刷部30と、印刷設定が両面印刷である場合に、画像データに基づいて印刷したときの印刷媒体の裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定する裏透け判定部73と、裏透け判定部73により裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合、印刷部30に色剤転移量を低減して印刷を実行させる印刷制御部74とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏抜けを低減する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、印刷用紙の片面のみを印刷する片面印刷、又は印刷用紙の両面を印刷する両面印刷が可能な画像形成装置がよく知られている。
【0003】
具体的には、用紙反転経路を含む循環搬送路を有し、片面印刷が選択された場合に、印刷用紙の一方の面に印刷した後、用紙反転経路を用いることなく印刷された印刷用紙を排紙することにより片面印刷を実行し、両面印刷が選択された場合に、印刷用紙の一方の面に印刷すると共に、この一方の面に印刷された印刷用紙を、循環搬送路を搬送することで表裏反転し、他方の面に印刷を行うことにより両面印刷を実行する画像形成装置がある。
【0004】
このような両面印刷が可能な画像形成装置では、表面の画像が裏面に透けてしまういわゆる裏透けが発生する場合があった。
【0005】
特許文献1には、多段階の裏写り補正レベルの画像を表示し、利用者に任意の補正レベルを選択させ、裏写り(裏透け)除去を多段階に行う機能を有する画像形成装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−214884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の画像形成装置では、多段階の裏写り補正レベルの画像を表示し、利用者に任意の補正レベルを選択させ、裏写り除去を多段階に行うので、利用者はその都度、補正レベルを選択する必要があり、利用者にとって煩わしかった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、利用者が補正レベルを選択することなく、裏透けを低減する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置の第1の特徴は、片面印刷又は両面印刷の印刷設定に基づいて画像データの印刷を実行する画像形成手段と、前記印刷設定が両面印刷である場合に、前記画像データに基づいて印刷したときの印刷媒体の裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定する裏透け判定手段と、前記裏透け判定手段により裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合、前記画像形成手段に記録剤転移量を低減して印刷を実行させる制御手段と、を備えることにある。
【0010】
本発明に係る画像形成装置の第2の特徴は、前記裏透け判定手段は、前記画像データの1頁毎に、所定濃度以上である画素数、前記印刷媒体の反対面に印刷する画像データとの平均濃度差、又は印刷媒体の透過性のうちいずれか1つに基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定することにある。
【0011】
本発明に係る画像形成装置の第3の特徴は、前記裏透け判定手段は、前記画像データの画素毎に、前記印刷媒体の表面及び裏面の画像の種類、又は前記印刷媒体の色と前記印刷媒体に転移させる記録剤との補色度合いに基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定することにある。
【0012】
本発明に係る画像形成装置の第4の特徴は、印刷を実行する画像形成手段と、画像データを受信する受信手段と、前記受信手段が受信した画像データに対し記録剤転移量を低減させる画像処理を実行した補正画像データを生成する補正画像データ生成手段と、前記受信手段が受信した画像データ及び前記補正画像データ生成手段が生成した補正画像データを記憶する画像記憶手段と、両面の再印刷が要求された場合には、前記画像記憶手段に記憶された補正画像データに基づいて前記画像形成手段に印刷を実行させ、片面の再印刷が要求された場合には、前記画像記憶手段に記憶された画像データに基づいて前記画像形成手段に印刷を実行させる制御手段とを備えることにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る画像形成装置の第1の特徴によれば、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合、画像データに基づいて、インクの吐出量を低減して印刷を実行するので、利用者が補正レベルを選択することなく、裏透けを低減することができる。
【0014】
本発明に係る画像形成装置の第2の特徴によれば、画像データの1頁毎に、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定するので、素早く印刷を実行することができる。
【0015】
本発明に係る画像形成装置の第3の特徴によれば、画像データの画素毎に、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定するので、写真画像と文字画像が混在している画像データに基づいて印刷を実行する場合においても、適切に裏透けを低減することができる。
【0016】
本発明に係る画像形成装置の第4の特徴によれば、両面の再印刷が要求された場合には、画像記憶手段に記憶された補正画像データに基づいて画像形成手段に印刷を実行させるので、再印刷の際、補正画像データが選択された場合には、画像処理を実行する必要がなく、より素早く印刷を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置の機能構成を示した機能構成図である。
【図2】本発明の実施例1に係る画像形成装置における印刷処理を示したフローチャートである。
【図3】本発明の実施例2に係る画像形成装置における印刷処理を示したフローチャートである。
【図4】本発明の実施例3に係る画像形成装置における印刷処理を示したフローチャートである。
【図5】本発明の実施例3に係る画像形成装置において、画素の画像種が異なるか否かの判定を説明した図である。(a)は、表面の画像データの一例を示しており、(b)は、裏面の画像データの一例を示している。
【図6】本発明の実施例4に係る画像形成装置における印刷処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1では、ネットワークを介して接続された端末からの要求に応じて印刷を行うインクジェット式の画像形成装置を例に挙げて説明する。
【0020】
<画像形成装置の機能構成>
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置1の機能構成を示した機能構成図である。
【0021】
図1に示すように、本発明の実施例1に係る画像形成装置1は、ネットワーク9を介して端末100と接続されている。
【0022】
端末100は、ソフトウェアを実行することにより、画像データを生成し、生成した画像データと、両面印刷又は片面印刷を指定する設定情報とを印刷ジョブ情報としてネットワーク9を介して画像形成装置1へ送信する。
【0023】
画像形成装置1は、画像読み取り部2と、画像形成部3と、ファックス受信部4とを備えている。
【0024】
画像読み取り部2は、画像形成部3の上部に設けられ、図示しないが、原稿を載置するコンタクトガラス、このコンタクトガラスに対して接離自在に設けられたカバー、コンタクトガラス上に載置された原稿を走査する走査ユニット、走査された画像を集束するレンズ、及び集束された画像を処理する画像処理部を備えている。
【0025】
そして、走査ユニットがコンタクトガラス上に載置された原稿を1ライン毎に走査し、画像処理部が走査された画像を処理することにより、画像形成部3が印刷するための画像データを読み取る。
【0026】
ファックス受信部4は、ファクシミリ通信可能なデバイスであり、ファクシミリ受信した画像データを画像形成部3へ供給する。
【0027】
画像形成部3は、給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50と、操作部60と、制御部70と、ネットワークインタフェース部81と、外部インタフェース部82と、画像記憶部90とを備えている。
【0028】
給紙部20は、印刷用紙が積層される給紙台を備え、この給紙台から印刷用紙を1枚づつ印刷部30へ向かって搬送経路上を搬送させる。
【0029】
印刷部30は、複数の印字ヘッドが組み込まれたC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色のヘッドユニットを備え、印刷条件により定められる速度で印刷用紙を搬送しながら、ヘッドユニットからインクを吐出することにより、ライン単位で印刷用紙に印刷する。
【0030】
排紙部40は、印刷部30により印刷された印刷用紙を排紙する。
【0031】
反転部50は、印刷部30により印刷された印刷用紙の表裏を反転し、再度、搬送経路に搬送させることにより、印刷部30に印刷用紙の両面を印刷させる。
【0032】
操作部60は、画像形成装置1の上部に設けられ、表示/入力パネル61と、読み取りや印刷等を開始させるためのスタートキー、読み取りや印刷等を停止させるためのストップキー、印刷枚数等を入力するためのテンキー(いずれも図示せず)等の各種操作キーとを備え、利用者操作に基づく操作信号を制御部70に供給する。
【0033】
操作部60の表示/入力パネル61は、前面に配置された感圧式あるいは静電式の透明なタッチパネルと、このタッチパネルの裏面に配置された液晶表示パネル(いずれも図示せず)とを有している。利用者は、液晶表示パネルの表示画面を見ながら、タッチパネルの表面を指などで直接触れることで、再印刷を開始させるための操作、及び片面印刷モード/両面印刷モード設定や、給紙台の印刷用紙の種類及び用紙色の設定等各種の設定入力操作等を行うことができる。
【0034】
ネットワークインタフェース部81は、ネットワークカードなどの通信インタフェースであり、このネットワークインタフェース部81により画像形成装置1をネットワーク9に接続することによって、ネットワーク9に接続された端末100から画像データを受信したり、各種信号を送受信したりする。
【0035】
外部インタフェース部82は、画像読み取り部2との接続インタフェースであり、画像読み取り部2により読み取られた画像データ、及びファックス受信部4からファクシミリ受信した画像データを制御部70へ供給する。
【0036】
画像記憶部90は、受信部71が画像データを受信すると、この受信された画像データを記憶する。
【0037】
制御部70は、画像形成装置1の中枢的制御を行う。また、制御部70は、その機能上、受信部71と、印刷設定部72と、裏抜け判定部73と、印刷制御部74とを備える。
【0038】
受信部71は、ネットワークインタフェース部81を介して端末100から送信された印刷ジョブ情報を受信する。また、受信部71は、外部インタフェース部82を介して画像読み取り部2から送信された画像データや、ファックス受信部4からファクシミリ受信した画像データを受信する。
【0039】
印刷設定部72は、利用者による操作部60の表示/入力パネル61の操作、又は受信部71が受信した印刷ジョブ情報に含まれる設定情報に基づいて、片面印刷又は両面印刷を設定する。
【0040】
裏抜け判定部73は、印刷設定部72により両面印刷が設定された場合に、受信した印刷ジョブ情報に含まれる画像データの1頁毎に、所定濃度以上である画素数、印刷用紙の反対面に印刷する画像データとの平均濃度差、印刷媒体表裏の所定領域ごとの濃度差又は印刷用紙の透過性のうちいずれか1つに基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定する。
【0041】
印刷制御部74は、画像処理部74aと、吐出量設定部74bと、機器制御部74cとを備える。
【0042】
画像処理部74aは、裏抜け判定部73により裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合、受信した印刷ジョブ情報に含まれる画像データに基づいて、インクの吐出量を低減するように、裏透け画像処理を実行する。
【0043】
吐出量設定部74bは、印刷部30に備えられたヘッドユニットから吐出するインク量を減ずるように、画像データに基づいて吐出量を設定する。
【0044】
機器制御部74cは、給紙部20、印刷部30、排紙部40、及び反転部50を制御することにより、給紙部20から給紙した印刷用紙の片面又は両面に印刷を行う。
【0045】
<画像形成装置の作用>
次に、本発明の実施例1に係る画像形成装置1における作用について説明する。
【0046】
図2は、本発明の実施例1に係る画像形成装置1における印刷処理を示したフローチャートである。
【0047】
図2に示すように、制御部70の受信部71が、端末100からネットワーク9を介して送信された印刷ジョブ情報を受信すると(ステップS101)、制御部70は、カウンタiの値に“1”を代入すると共に、受信した印刷ジョブ情報に含まれる総頁数をCに代入する(ステップS103)。
【0048】
次に、制御部70の印刷設定部72は、受信した印刷ジョブ情報に含まれる設定情報に基づいて、片面印刷又は両面印刷を判定する(ステップS105)。具体的には、印刷設定部72は、受信した印刷ジョブ情報に含まれる利用者が設定した設定情報に基づいて、片面印刷が要求されているか、又は両面印刷が要求されているかを判定する。
【0049】
ステップS105において、片面印刷であると判定された場合(NOの場合)、印刷制御部74の画像処理部74aは、通常の画像処理を行う(ステップS107)。具体的には、画像処理部74aは、受信した印刷ジョブ情報に含まれる画像データをRGBからCMYKへ変換するCMYK変換処理や、画像のエッジを強調するエッジ強調処理等を実行する。
【0050】
そして、機器制御部74cは、ステップS107において通常の画像処理が実行された画像データに基づいて、給紙部20、印刷部30、排紙部40、及び反転部50を制御することにより、給紙部20から給紙した印刷用紙に印刷を行う。
【0051】
一方、ステップS105において、両面印刷であると判定された場合(YESの場合)、裏抜け判定部73は、受信した印刷ジョブ情報に含まれる画像データに基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定する(ステップS109)。具体的には、裏抜け判定部73は、受信した第i頁目の画像データの全画素について、画素の濃度をx軸としたヒストグラムを生成し、このヒストグラムにおいて、所定の濃度X1以上の度数が閾値Y1以上であるか否かを判定する。そして、裏抜け判定部73は、所定の濃度X1以上の度数がY1以上である場合に、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定する。ここで、濃度X1の値及び閾値Y1の値は、高すぎると裏透けが発生する場合があり、低すぎると印刷の仕上がりが薄くなりすぎる場合がある。そのため、予め実測に基づいた適正な値を予め算出し、予め適正な値を設定しておく必要がある。
【0052】
ステップS109において、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合(YESの場合)、印刷制御部74の画像処理部74aは、裏透け画像処理を行う(ステップS111)。具体的には、画像処理部74aは、受信した印刷ジョブ情報に含まれる画像データをRGBからCMYKへ変換するCMYK変換処理や、画像のエッジを強調するエッジ強調処理等の画像補正処理を実行すると共に、黒ベタ画素の画像領域について、1画素おきに間引き処理を実行する。ここで、黒ベタ画素とは、黒色一色の画素のことである。
【0053】
なお、上述の間引き処理は、黒ベタ画像に限らず、視認性の低いイエロー(Y)以外のシアン(C)、マゼンタ(M)のベタ画像に対して実行しても良い。
【0054】
次に、印刷制御部74の機器制御部74cは、給紙部20、印刷部30、排紙部40、及び反転部50を制御することにより、給紙部20から給紙した印刷用紙の片面又は両面に印刷を行う(ステップS113)。具体的には、機器制御部74cは、ステップS111において裏透け画像処理が実行された画像データ(補正画像データ)に基づいて、給紙部20、印刷部30、排紙部40、及び反転部50を制御することにより、給紙部20から給紙した印刷用紙の両面に印刷を行う。
【0055】
次に、制御部70は、カウンタiの値に“1”を加算した後(ステップS115)、カウンタiの値が総頁数Cを越えたか否かを判定する(ステップS117)。
【0056】
ステップS117において、カウンタiの値が総頁数Cを越えたと判定された場合(YESの場合)、制御部70は、処理を終了し、カウンタiの値が総頁数C以下であると判定された場合(NOの場合)、制御部70は、処理をステップS105へ移行する。
【0057】
以上のように、本発明の実施例1に係る画像形成装置1によれば、両面印刷が設定された場合に、受信した印刷ジョブ情報に基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定し、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合、受信した印刷ジョブ情報に基づいて、インクの吐出量を低減して印刷するので、利用者が補正レベルを選択することなく、裏透けを低減することができる。
【0058】
なお、本発明の実施例1に係る画像形成装置1では、第i頁目の画像データについて、画素の濃度をx軸としたヒストグラムを生成し、このヒストグラムにおいて、所定の濃度X1以上の度数が閾値Y1以上であるか否かを判定し、所定の濃度X1以上の度数がY1以上である場合に、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定したが、これに限らない。
【0059】
例えば、第i頁目の画像データと、この第i頁目の画像データと裏表に印刷される画像データ、即ち同じ印刷用紙に印刷される画像データとの平均濃度差X2が所定の閾値Y2を越えたか否かを判定し、平均濃度差X2が閾値Y2を越えた場合に、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定するようにしてもよい。
【0060】
また、主走査方向、副走査方向に所定の大きさを持つように受信した画像データを分割し、この分割された領域内の印刷媒体表裏の画素数を算出し、これらの差分が所定の閾値以上か否かを判定し、当該差分が所定の閾値を超えた場合に裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定するようにしてもよい。
【0061】
また、操作部6から利用者の操作により設定された印刷用紙の種類に基づいて、印刷用紙の透過性が高い場合には、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定するようにしてもよい。例えば、印刷用紙の種類として、紙厚の薄い方から、薄紙、普通紙、厚紙、IJ専用用紙の種類の印刷用紙が用いられるとすると、給紙台に積置された印刷用紙として厚紙又はIJ専用用紙が設定されている場合、裏透けの度合いが所定の閾値以下であると判定し、薄紙又は普通紙が設定されている場合、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定するようにしてもよい。
【0062】
また、本発明の実施例1では、受信した印刷ジョブ情報に基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定し、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合、受信した印刷ジョブ情報に基づいて、インクの吐出量を低減して印刷する画像形成装置1を例に挙げて説明したがこれに限らない。例えば、受信した印刷ジョブ情報に含まれる画像データを画像記憶部90に記憶し、利用者の操作により再印刷が要求された場合に、画像記憶部90に記憶された画像データに基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定し、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合、画像記憶部に記憶された画像データに基づいて、インクの吐出量を低減して印刷するようにしてもよい。
【0063】
これにより、再印刷の場合においても、利用者が補正レベルを選択することなく、裏透けを低減することができる。
【実施例2】
【0064】
本発明の実施例1では、画像データの1頁毎に、所定濃度以上である画素数X1、表面及び裏面の平均濃度差X2、又は印刷用紙の透過性のうちいずれか1つに基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定する画像形成装置1を例に挙げて説明した。
【0065】
本発明の実施例2では、画像データの画素毎に、印刷用紙の色と吐出するインクのインク色との補色度合いに基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定する画像形成装置1Aを例に挙げて説明する。
【0066】
なお、本発明の実施例2に係る画像形成装置1Aは、図1に示した本発明の実施例1に係る画像形成装置1の機能構成と同一の機能構成を備えるので、説明を省略する。
【0067】
図3は、本発明の実施例2に係る画像形成装置1Aにおける印刷処理を示したフローチャートである。
【0068】
図3に示すように、制御部70の受信部71が、端末100からネットワーク9を介して送信された印刷ジョブ情報を受信すると(ステップS201)、制御部70は、カウンタiの値に“1”を代入し、受信した印刷ジョブ情報に含まれる総頁数をCに代入し、受信した印刷ジョブ情報に含まれる画像データの1頁の画素数をDに代入する(ステップS203)。
【0069】
次に、制御部70の印刷設定部72は、受信した印刷ジョブ情報に含まれる設定情報に基づいて、片面印刷又は両面印刷を判定する(ステップS205)。
【0070】
ステップS205において、片面印刷であると判定された場合(NOの場合)、印刷制御部74の画像処理部74aは、通常の画像処理を行う(ステップS207)。
【0071】
一方、ステップS205において、両面印刷であると判定された場合(YESの場合)、制御部70が、カウンタkの値に“1”を代入した後(ステップS209)、制御部70の裏抜け判定部73は、受信した印刷ジョブ情報に含まれる画像データに基づいて、第i番目の画像データにおける第k番目の画素の色が印刷用紙の色と補色の関係にあるか否かを判定する(ステップS211)。ここで、補色の関係とは、色相環 (color circle)上で対向する関係になることをいい、例えば、赤色の印刷用紙に対しての緑色の画素、黄色の印刷用紙に対しての紫色の画素、青色の印刷用紙に対しての橙色の画素などのように、色相環 (color circle)上で、印刷用紙の色と画素の色との距離が所定の距離を超えた場合に、補色の関係にあるとする。
【0072】
ステップS211において、第i番目の画像データにおける第k番目の画素の色が印刷用紙の色と補色の関係にないと判定された場合(NOの場合)、印刷制御部74の画像処理部74aは、通常の画像処理を行う(ステップS212)。
【0073】
一方、ステップS211において、第i番目の画像データにおける第k番目の画素の色が印刷用紙の色と補色の関係にあると判定された場合(YESの場合)、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定し、印刷制御部74の画像処理部74aは、裏透け画像処理を行う(ステップS213)。具体的には、画像処理部74aは、受信した印刷ジョブ情報に含まれる画像データをRGBからCMYKへ変換するCMYK変換処理や、画像のエッジを強調するエッジ強調処理等の画像補正処理を実行すると共に、例えば、(k−1)番目の画素との関係に基づいて、1画素おきに間引き処理を実行する。
【0074】
次に、制御部70は、カウンタkの値に“1”を加算した後(ステップS215)、カウンタkの値が総頁数Dを越えたか否かを判定する(ステップS217)。
【0075】
ステップS217において、カウンタkの値が総頁数Dを越えたと判定された場合(YESの場合)、印刷制御部74の機器制御部74cは、給紙部20、印刷部30、排紙部40、及び反転部50を制御することにより、給紙部20から給紙した印刷用紙の片面又は両面に印刷を行う(ステップS219)。具体的には、機器制御部74cは、ステップS207において通常の画像処理が実行された画像データ、ステップS212において通常の画像処理が実行された画像データ、又はステップS213において裏透け画像処理が実行された画像データ(補正画像データ)に基づいて、給紙部20、印刷部30、排紙部40、及び反転部50を制御することにより、給紙部20から給紙した印刷用紙の両面に印刷を行う。
【0076】
次に、制御部70は、カウンタiの値に“1”を加算した後(ステップS221)、カウンタiの値が総頁数Cを越えたか否かを判定する(ステップS223)。
【0077】
ステップS223において、カウンタiの値が総頁数Cを越えたと判定された場合(YESの場合)、制御部70は、処理を終了し、カウンタiの値が総頁数C以下であると判定された場合(NOの場合)、制御部70は、処理をステップS205へ移行する。
【0078】
以上のように、本発明の実施例2に係る画像形成装置1Aによれば、画像データの画素毎に、印刷用紙の色と吐出するインクのインク色との補色度合いに基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定し、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合、受信した印刷ジョブ情報に基づいて、インクの吐出量を低減して印刷するので、白色以外の印刷用紙を用いて印刷する場合においても、利用者が補正レベルを選択することなく、裏透けを低減することができる。
【実施例3】
【0079】
本発明の実施例2では、画像データの画素毎に、印刷用紙の色と吐出するインクのインク色との補色度合いに基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定する画像形成装置1Aを例に挙げて説明した。
【0080】
本発明の実施例3では、画像データの画素毎に、表面及び裏面の画像の種類に基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定する画像形成装置1Bを例に挙げて説明する。
【0081】
なお、本発明の実施例3に係る画像形成装置1Bは、図1に示した本発明の実施例1に係る画像形成装置1の機能構成と同一の機能構成を備えるので、説明を省略する。
【0082】
図4は、本発明の実施例3に係る画像形成装置1Bにおける印刷処理を示したフローチャートである。
【0083】
図4に示すように、制御部70の受信部71が、端末100からネットワーク9を介して送信された印刷ジョブ情報を受信すると(ステップS301)、制御部70は、カウンタiの値に“1”を代入し、受信した印刷ジョブ情報に含まれる総頁数をCに代入し、受信した印刷ジョブ情報に含まれる画像データの1頁の画素数をDに代入する(ステップS303)。
【0084】
次に、制御部70の印刷設定部72は、受信した印刷ジョブ情報に含まれる設定情報に基づいて、片面印刷又は両面印刷を判定する(ステップS305)。
【0085】
ステップS305において、片面印刷であると判定された場合(NOの場合)、印刷制御部74の画像処理部74aは、通常の画像処理を行う(ステップS307)。
【0086】
一方、ステップS305において、両面印刷であると判定された場合(YESの場合)、印刷制御部74の画像処理部74aは、第i番目の画像を認識する(ステップS309)。具体的には、画像処理部74aは、受信した印刷ジョブ情報に含まれる画像データに基づいて、この画像データに含まれている文字データ及び写真データと、それぞれの座標データとを抽出する。
【0087】
次に、画像処理部74aは、第i番目の画像データが第(i―1)番目の画像データと表裏の関係にあるか否かを判定する(ステップS311)。
【0088】
ステップS311において、第i番目の画像データが第(i―1)番目の画像データと表裏の関係にあるとは判定された場合(YESの場合)、画像処理部74aは、カウンタkの値に“1”を代入した後(ステップS313)、ステップS309において認識した文字データ及び写真データと、それぞれの座標データとに基づいて、第i番目の画像データと、第(i―1)番目の画像データとの間において、第k番目の画素の画像の種類(以下、「画像種」という)が異なるか否かを判定する(ステップS315)。
【0089】
図5は、本発明の実施例3に係る画像形成装置1Bにおいて、画素の画像種が異なるか否かの判定を説明した図である。(a)は、表面の画像データ(ここでは、第(i―1)番目の画像データ)を示しており、(b)は、裏面の画像データ(ここでは、第i番目の画像データ)を示している。なお、ここでは、長辺綴じが設定されているとする。
【0090】
図5(a)に示すように、表面の画像データ(ここでは、第(i―1)番目の画像データ)において、第k番目の画素の座標が(x1,y1)であるとすると、この座標に対応する画像は「お」であるので、画像種は、文字データとなる。そして、図5(b)に示すように、裏面の画像データ(ここでは、第i番目の画像データ)において、この座標(x1,y1)に対応する画像、即ち表面の画像データにおける第k番目の画素の座標(x1,y1)と重なり合う座標の画像は、「ら」であるので、画像種は、文字データとなる。そこで、画像処理部74aは、第i番目の画像データと、第(i―1)番目の画像データとの間において、第k番目の画素の画像種は同じであると判定する。
【0091】
一方、図5(a)に示すように、表面の画像データ(ここでは、第(i―1)番目の画像データ)において、第k番目の画素の座標が(x2,y2)であるとすると、この座標に対応する画像は写真であるので、画像種は、写真データとなる。そして、図5(b)に示すように、裏面の画像データ(ここでは、第i番目の画像データ)において、この座標(x2,y2)に対応する画像、即ち表面の画像データにおける第k番目の画素の座標(x2,y2)と重なり合う座標の画像は、「ら」であるので、画像種は、文字データとなる。そこで、画像処理部74aは、第i番目の画像データと、第(i―1)番目の画像データとの間において、第k番目の画素の画像種は異なると判定する。
【0092】
ステップS315において、第k番目の画素の画像種が同一であると判定された場合(NOの場合)、印刷制御部74の画像処理部74aは、第i番目の画像データに基づいて、通常の画像処理を行う(ステップS316)。
【0093】
一方、ステップS315において、第k番目の画素の画像種が異なると判定された場合(YESの場合)、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定し、印刷制御部74の画像処理部74aは、第i番目の画像データと、第(i―1)番目の画像データとにおける写真データである画素について、裏透け画像処理を行う(ステップS317)。具体的には、画像処理部74aは、受信した印刷ジョブ情報に含まれる画像データをRGBからCMYKへ変換するCMYK変換処理や、画像のエッジを強調するエッジ強調処理等の画像補正処理を実行すると共に、例えば、(k−1)番目の画素の関係に基づいて、1画素おきに間引き処理を実行する。
【0094】
図5(a)に示した図では、表面の画像データ(ここでは、第(i―1)番目の画像データ)における座標が(x2,y2)の画素について裏透け画像処理を行うことになる。
【0095】
次に、制御部70は、カウンタkの値に“1”を加算した後(ステップS319)、カウンタkの値が画素数Dを越えたか否かを判定する(ステップS321)。
【0096】
ステップS321において、カウンタkの値が画素数Dを越えたと判定された場合(YESの場合)、印刷制御部74の機器制御部74cは、給紙部20、印刷部30、排紙部40、及び反転部50を制御することにより、給紙部20から給紙した印刷用紙の片面又は両面に印刷を行う(ステップS323)。具体的には、片面印刷が設定されている場合には、機器制御部74cは、ステップS307において通常の画像処理が実行されたi番目の画像データに基づいて、給紙部20、印刷部30、及び排紙部40を制御することにより、給紙部20から給紙した印刷用紙の片面に印刷を行う。一方、両面印刷が設定されている場合には、機器制御部74cは、第(i―1)番目及び第i番目の画像データ(補正画像データ)に基づいて、給紙部20、印刷部30、排紙部40、及び反転部50を制御することにより、給紙部20から給紙した印刷用紙の両面に印刷を行う。
【0097】
次に、制御部70は、カウンタiの値に“1”を加算した後(ステップS325)、カウンタiの値が総頁数Cを越えたか否かを判定する(ステップS327)。
【0098】
ステップS327において、カウンタiの値が総頁数Cを越えたと判定された場合(YESの場合)、制御部70は、処理を終了し、カウンタiの値が総頁数C以下であると判定された場合(NOの場合)、制御部70は、処理をステップS305へ移行する。
【0099】
以上のように、本発明の実施例3に係る画像形成装置1Bによれば、表面及び裏面の画像の種類に基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定し、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合、受信した印刷ジョブ情報に基づいて、インクの吐出量を低減して印刷するので、写真画像と文字画像が混在している画像データに基づいて印刷する場合においても、利用者が補正レベルを選択することなく、裏透けを低減することができる。
【実施例4】
【0100】
本発明の実施例4では、利用者の操作により再印刷が要求された場合に、画像記憶部に記憶された画像データに基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定し、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合、画像記憶部に記憶された画像データ又は補正画像データに基づいて、インクの吐出量を低減して印刷する画像形成装置1Cを例に挙げて説明する。
【0101】
なお、本発明の実施例4に係る画像形成装置1Cは、図1に示した本発明の実施例1に係る画像形成装置1と同様に、画像読み取り部2と、画像形成部3Cと、ファックス受信部4とを備えている。
【0102】
画像形成部3Cは、給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50と、操作部60と、制御部70と、ネットワークインタフェース部81と、外部インタフェース部82とを備えると共に、画像記憶部90の代わりに画像記憶部90Cを備えている。ここで、画像記憶部90C以外の構成については、図1に示した本発明の実施例1に係る画像形成装置1が備えるそれぞれ同一符号を有する構成と同一であるので、説明を省略する。
【0103】
画像記憶部90Cは、受信部71により印刷ジョブ情報に含まれる受信された画像データに基づいて、印刷制御部74の画像処理部74aによって通常の画像処理が実行されることにより生成された画像データを記憶すると共に、受信部71により受信された印刷ジョブ情報に含まれる画像データに基づいて、印刷制御部74の画像処理部74aによって裏透け画像処理が実行されることにより生成された補正画像データを記憶する。
【0104】
図6は、本発明の実施例4に係る画像形成装置1Cにおける印刷処理を示したフローチャートである。ここで、図6に示すフローチャートのうち、ステップS103〜S105と、ステップS115〜S117については、図2に示したフローチャートの同一ステップ番号の処理と同一であるので、説明を省略する。
【0105】
図6に示すように、操作部60の操作により、再印刷を要求する操作信号が供給されると、処理をステップS103へ移行する(ステップS501)。
【0106】
そして、ステップS105において、片面印刷であると判定された場合(NOの場合)、印刷制御部74の機器制御部74cは、画像記憶部90Cに記憶された画像データに基づいて、給紙部20、印刷部30、及び排紙部40を制御することにより、給紙部20から給紙した印刷用紙に印刷を行う(ステップS505)。
【0107】
一方、ステップS105において、両面印刷であると判定された場合(YESの場合)、裏抜け判定部73は、画像記憶部90Cに記憶された画像データに基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定する(ステップS507)。
【0108】
ステップS507において、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合(YESの場合)、印刷制御部74の機器制御部74cは、画像記憶部90Cに記憶された補正画像データに基づいて、給紙部20、印刷部30、排紙部40、及び反転部50を制御することにより、給紙部20から給紙した印刷用紙の両面に印刷を行う(ステップS509)。
【0109】
以上のように、本発明の実施例4に係る画像形成装置1Cによれば、利用者の操作により再印刷が要求された場合に、画像記憶部に記憶された画像データに基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定し、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合、画像記憶部に記憶された補正画像データに基づいて、インクの吐出量を低減して印刷するので、再印刷の場合においても、利用者が補正レベルを選択することなく、裏透けを低減することができる。
【0110】
本発明の実施例4に係る印刷装置1Cでは、画像記憶部90Cに記憶された画像データ又は補正画像データのうちの1つを選択して印刷を実行するようにした。しかし、更に受信部71から受信した印刷ジョブ情報を制御部70により展開し、すぐに印刷実行が可能である印刷データ(展開後の画像データ)を画像記憶部90Cに記憶しておき、制御部70がこれらの3つデータのうちから1つのデータを選択し、画像形成部3Cに画像形成を実行させるようにしても良い。
【0111】
こうすることで、印刷データ又は補正画像データが選択された場合にはその後の印刷実行までの時間が省略できる。
【0112】
また、本発明の実施例4に係る印刷装置1Cでは、ステップS507において、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合(YESの場合)、機器制御部74cが、画像記憶部90Cに記憶された補正画像データに基づいて印刷を行ったが、これに限らず、ステップS507の処理を省略し、両面印刷が要求された場合、画像記憶部90Cに記憶された補正画像データに基づいて画像形成部3Cが印刷を実行するようにしてもよい。
【0113】
また、印刷時に、印刷した印刷用紙の色を記憶しておき、再印刷が要求された場合に、利用者の操作による設定に基づき、今回の印刷用紙の色が前回の印刷用紙の色と異なるか否かを判定し、前回の印刷用紙の色と異なると判定した場合、ステップS507の処理を実行し、前回の印刷用紙の色と同一であると判定した場合、ステップS507の処理を実行することなく、ステップS509の処理を実行するようにしてもよい。
【0114】
なお、本発明の実施例1〜4に係る画像形成装置1〜1Cでは、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合、画像データをRGBからCMYKへ変換するCMYK変換処理や、画像のエッジを強調するエッジ強調処理等の画像補正処理を実行すると共に、黒ベタ画素の画像領域について、1画素おきに間引き処理を実行することにより裏透け処理を実行したが、これに限らない。
【0115】
例えば、文字又は写真の認識処理を実行し、所定の濃度を超えた色の文字が含まれる領域について線を細くしたり、所定の濃度を超えた色の所定の線幅以上の文字が含まれる領域について誤差拡散処理を実行したり、所定の濃度を超えた写真画像が含まれる領域について濃度を薄くするようにしてもよい。
【0116】
また、本発明の実施例1〜4に係る画像形成装置1〜1Cでは、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合、裏透け画像処理を行う代わりに、印刷部30に備えられたヘッドユニットから吐出するインク量を直接的に減ずるようにしてもよい。具体的には、印刷制御部74の吐出量設定部74bが、C、M、Y、Kの全ての色の吐出量を90(%)に設定したり、Yのインクの吐出量を100(%)に設定すると共に、C、M、Kの色の吐出量を80(%)に設定したり、Kのインクの吐出量のみを70(%)に設定したりしてもよい。そして、機器制御部74cが、吐出量設定部74bにより設定された吐出量に基づいて、ヘッドユニットからインクを吐出させる。
【0117】
また、吐出量設定部74bが、画像記憶部90Cに記憶された画像データに基づいて、インクの吐出量を低減するようにインクジェットヘッドのヘッドユニットから吐出するインクのドロップ数を設定し、機器制御部74cが、吐出量設定部74bにより設定されたドロップ数に基づいて、ヘッドユニットからインクを吐出させるようにしてもよい。
【0118】
さらに、本発明の実施例1〜4に係る画像形成装置1〜1Cでは、印刷設定部72が、受信した印刷ジョブ情報に含まれる利用者が設定した設定情報に基づいて、片面印刷が要求されているか、又は両面印刷が要求されているかを判定したが、これに限らず、操作部60の表示/入力パネル61から利用者が設定した設定情報に基づいて、片面印刷が要求されているか、又は両面印刷が要求されているかを判定するようにしてもよい。
【0119】
なお、本発明の実施例1〜4に係る画像形成装置1〜1Cでは、ネットワーク9に接続された端末100から受信した印刷ジョブ情報に含まれる画像データに基づいて印刷を実行したがこれに限らない。例えば、画像読み取り部2により読み取られた画像データ、又はファックス受信部4からファクシミリ受信した画像データに基づいて、印刷を実行するようにしてもよい。
【0120】
また、本発明の実施例1〜4に係る画像形成装置1〜1Cでは、ライン単位で印刷を行うインクジェット方式のラインカラープリンタを例に挙げて説明したが、これに限らず、シリアルインクジェット方式、レーザ方式、又は孔版印刷方式等の画像形成装置であってもよい。
【0121】
また、本説明中では記録剤としてインクを例に挙げているが、記録剤にはトナー等も含まれる。
【符号の説明】
【0122】
1,1A,1B,1C…画像形成装置
2…画像読み取り部
3,3C…画像形成部
4…ファックス受信部
6…操作部
9…ネットワーク
20…給紙部
30…印刷部(画像形成手段)
40…排紙部
50…反転部
60…操作部
61…表示/入力パネル
70…制御部
71…受信部
72…印刷設定部
73…判定部
74…印刷制御部(制御部)
74a…画像処理部
74b…吐出量設定部
74c…機器制御部
81…ネットワークインタフェース部
82…外部インタフェース部
90,90C…画像記憶部
100…端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面印刷又は両面印刷の印刷設定に基づいて画像データの印刷を実行する画像形成手段と、
前記印刷設定が両面印刷である場合に、前記画像データに基づいて印刷したときの印刷媒体の裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定する裏透け判定手段と、
前記裏透け判定手段により裏透けの度合いが所定の閾値を越えたと判定された場合、前記画像形成手段に記録剤転移量を低減して印刷を実行させる制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記裏透け判定手段は、
前記画像データの1頁毎に、所定濃度以上である画素数、前記印刷媒体の反対面に印刷する画像データとの平均濃度差、又は印刷媒体の透過性のうちいずれか1つに基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記裏透け判定手段は、
前記画像データの画素毎に、前記印刷媒体の表面及び裏面の画像の種類、又は前記印刷媒体の色と前記印刷媒体に転移させる記録剤との補色度合いに基づいて、裏透けの度合いが所定の閾値を越えたか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
印刷を実行する画像形成手段と、
画像データを受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した画像データに対し記録剤転移量を低減させる画像処理を実行した補正画像データを生成する補正画像データ生成手段と、
前記受信手段が受信した画像データ及び前記補正画像データ生成手段が生成した補正画像データを記憶する画像記憶手段と、
両面の再印刷が要求された場合には、前記画像記憶手段に記憶された補正画像データに基づいて前記画像形成手段に印刷を実行させ、片面の再印刷が要求された場合には、前記画像記憶手段に記憶された画像データに基づいて前記画像形成手段に印刷を実行させる制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−218738(P2011−218738A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92828(P2010−92828)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】