説明

画像形成装置

【課題】生産性や画質の低下を招くことなく、シートの貼り付きに防ぐことのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像が形成された後、排出されるシートを排紙トレイ65に積載する。そして、シートの片面に画像を形成する片面モード及びシートの両面に画像を形成する両面モードに応じて1つのジョブの際の、排紙トレイ65の最大シート積載量を制御する制御部は、両面モードの際の最大シート積載量を、片面モードの際の最大シート積載量に比べて少なくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に排紙トレイ上に排出されるシートの貼り付きを防止する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を利用して画像形成を行う複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、トナー像をシートに転写した後、シートを定着装置に搬送してトナー像を定着させることによりシート上に画像を形成するようにしている。さらに、このような画像形成装置には、画像が形成されたシートを、反転部により反転させた後、再搬送部により再度、画像形成部に搬送し、シートの表裏両面に画像形成を行う両面画像形成モードを備えているものがある。
【0003】
ところで、このような従来の画像形成装置において、トナー像が定着された後、シートを排紙トレイ上に排出するが、この際、シートが十分に冷却されていない場合がある。この場合には、排紙トレイ上に排出されたシートが、既に排紙トレイ上に排出されているシートと、融解したトナーにより貼り付く現象(以下、ブロッキング現象という)が発生することがある。特に、シート(記録媒体)の両面に画像を形成する場合には、排紙トレイ上にてトナー同士が直接接触するため、ブロッキング現象の発生は一般的に強まる傾向にある。
【0004】
このようなシートの貼り付きの対策として、例えばシートの積載方向に沿ってシートを冷却用空気と接触させる冷却部を設け、排紙トレイ上に排出されるシートの温度を下げるようにしたものがある(特許文献1参照)。また、排紙トレイ上に排出されるシートの温度を検知する温度検知手段を有し、温度検知手段が検知した温度結果に基づき、紙間又は定着温度を変化させるように制御するものがある(特許文献2参照)。そして、このような制御を行う画像形成装置においては、排紙トレイ上に排出されるシートの温度がブロッキング現象を引き起こす温度であれば、紙間を広げることや、定着温度を下げることで、積載トレイ上に排出されるシートの温度を下げることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−219399号公報
【特許文献2】特開2008−242335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年の急速なカラー化に伴い、例えばPOD市場、GA市場などにおいては、シートに形成する画像は非常に高画質なものが要求されている。また、高画質なシートを高速に生産する要望も同時に高まっている。ここで、非常に高画質な画像をシートに形成する場合、シート上に形成される画像のトナー量が従来よりも多くなる。
【0007】
しかし、このようにトナー量が多くなると、従来の画像形成装置の場合、シート一枚あたりの重みが増し、積載トレイへの積載されるシートの重みにより下部側のシート同士が貼り付いてブロッキング現象が発生する場合がある。さらに、シートの両面に高画質な画像を形成する場合には、積載トレイ上に積載されたシートのトナー同士が直接接触するため、ブロッキング現象を引き起こす可能性が高まる。高画質なシートを高速に生産する場合、シートの貼り付きの発生を防ぐため、例えば紙間を広げた場合には生産性の低下を招き、定着温度を下げるようにした場合には画質の低下を招く。
【0008】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、生産性や画質の低下を招くことなく、シートの貼り付きを防ぐことのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、トナーにより片面に画像を形成されたシートと、トナーにより両面に画像を形成されたシートと、を選択的に排出可能な画像形成装置において、シートにトナー画像を定着させる定着部と、トナー画像が定着されたシートが積載されるシート積載部と、前記シート積載部に積載するシートの最大シート積載量を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、両面にトナー画像を形成されたシートを積載する際の最大シート積載量を、片面にトナー画像を形成されたシートを積載する際の最大シート積載量に比べて少なくすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、両面モードの際の最大シート積載量を、片面モードの際の最大シート積載量に比べて少なくすることにより、生産性や画質の低下を招くことなく、シートの貼り付きに防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタの概略構成を示す図。
【図2】上記カラーレーザプリンタの制御ブロック図。
【図3】上記カラーレーザプリンタの積載制限制御を示すフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の積載制限制御を示すフローチャート。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置の積載制限制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラーレーザプリンタの概略構成を示す図である。図1において、1はカラーレーザプリンタ、1Aはカラーレーザプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。このプリンタ本体1AにはシートSに画像を形成する画像形成部1Bと、中間転写部1Cと、定着装置5と、画像形成部1BにシートSを給送するシート給送装置1Dが設けられている。なお、このカラーレーザプリンタ1は、シートの裏面に画像を形成することができるようになっており、このため表面(一面)に画像が形成されたシートSを反転させて再度、画像形成部1Bに搬送する再搬送部1Eが設けられている。
【0013】
画像形成部1Bは、略水平方向に配置され、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色のトナー画像を形成する4つのプロセスステーション2(2Y,2M,2C,2K)を備えている。このプロセスステーション2は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー像を担持すると共に不図示のステッピングモータにより駆動される像担持体である感光体ドラム11(11Y,11M,12C,11K)を備えている。
【0014】
また、感光体ドラム表面を一様に帯電する帯電装置12(12Y,12M,12C,12K)を備えている。さらに、画像情報に基づいてレーザビームを照射して一定速度で回転する感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光装置13(13Y,13M,13C,13K)を備えている。また、感光体ドラム上に形成された静電潜像にイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナーを付着させてトナー像として顕像化する現像装置14(14Y,14M,14C,14K)を備えている。そして、これら帯電装置12、露光装置13、現像装置14等は感光体ドラム11の周囲に回転方向に沿ってそれぞれ配されている。
【0015】
シート給送装置1Dは、プリンタ本体下部に設けられ、シートSを収納するシート収納部である給紙カセット61〜64と、給紙カセット61〜64に積載収納されたシートSを送り出すピックアップローラ71〜74とを備えている。そして、画像形成動作が開始されると、ピックアップローラ71〜74によりシートSは給紙カセット61〜64から一枚ずつ分離給送され、この後、搬送縦パス81を通過し、レジストローラ76に搬送される。
【0016】
ここで、このレジストローラ76は、シートSが突き当られてループを作成することにより、シートSの先端を倣わせ斜行を修正する機能を有している。また、シートSへの画像形成のタイミング、即ち、後述する中間転写ベルト上に担持されたトナー像に合わせて、所定のタイミングにてシートSを二次転写部へ搬送する機能を有している。なお、シートSが搬送される際、レジストローラ76は停止しており、このような停止状態のレジストローラ76にシートSを突き当てることにより、シートに撓みが形成される。そして、この後、シートSの剛性により、シート先端がレジストローラ76のニップに揃うようになることにより、シートSの斜行が補正される。また、この後、シートSの斜行が補正されるレジストローラ76は後述するように中間転写ベルト31に形成されたトナー像とシートSの先端とが一致するタイミングで駆動される。
【0017】
中間転写部1Cは、感光体ドラム11の外周速度と同期して矢印に示す各プロセスステーション2の配列方向に沿って回転駆動される中間転写ベルト31を備えている。ここで、この中間転写ベルト31は、駆動ローラ33、中間転写ベルト31を挟んで二次転写領域を形成する従動ローラ32及び不図示のばねの付勢力によって中間転写ベルト31に適度な張力を与えるテンションローラ34に張架されている。
【0018】
この中間転写ベルト31は、内側には4個の、それぞれ感光体ドラム11と共に中間転写ベルト31を挟持し、一次転写部を構成する一次転写ローラ35(35Y,35M,35C,35K)が配されている。なお、これら一次転写ローラ35は不図示の転写バイアス用電源に接続されている。そして、この一次転写ローラ35から中間転写ベルト31に転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の各色トナー像が順次中間転写ベルト31に多重転写され、中間転写ベルト31上にフルカラー画像が形成される。
【0019】
また、従動ローラ32に対向するように二次転写ローラ41が配置されており、この二次転写ローラ41は中間転写ベルト31の最下方の表面に当接すると共に、レジストローラ76により搬送されたシートSを中間転写ベルト31と共に挟持搬送する。そして、二次転写ローラ41と中間転写ベルト31のニップ部をシートSが通過する際、この二次転写ローラ41にバイアスを印加することにより、シートSに中間転写ベルト上のトナー画像が二次転写される。定着部を構成する定着装置5は中間転写ベルト31を介してシート上に形成されたトナー画像をシートSに定着させるものであり、トナー像を保持したシートSは、この定着装置5を通過する際に熱及び圧力が加えられることによりトナー像が定着される。
【0020】
次に、このように構成されたカラーレーザプリンタ1の画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まず中間転写ベルト31の回転方向において一番上流にあるプロセスステーション2Yにおいて、感光体ドラム11Yに対し、露光装置13Yによりレーザ照射を行い、感光体ドラム上にイエローの潜像を形成する。この後、現像装置14Yにより、この潜像をイエローのトナーにより現像してイエローのトナー像を形成する。次に、このようにして感光体ドラム11Y上に形成されたイエローのトナー像が、高電圧が印加された転写ローラ35Yにより、一次転写領域において中間転写ベルト31に一次転写される。
【0021】
次に、トナー像は中間転写ベルト31と共に、プロセスステーション2Yよりもトナー像が搬送される時間だけ遅延して画像が形成される次のプロセスステーション2Mの感光体ドラム11Mと転写ローラ35Mとにより構成される一次転写領域に搬送される。そして、中間転写ベルト上のイエロートナー像上に画像先端を合わせて次のマゼンタトナー像が転写される。以下、同様の工程が繰り返され、この結果、4色のトナー像が中間転写ベルト31上において一次転写され、中間転写ベルト上にフルカラー画像が形成される。なお、感光体ドラム上に僅かに残った転写残トナーは感光体クリーナ15(15Y,15M,15C,15K)により回収され、再び次の画像形成に備える。
【0022】
また、このトナー画像形成動作に並行して、例えば給紙カセット61〜64に収容されたシートSは、ピックアップローラ71〜74により一枚ずつ分離給送された後、レジストローラ76まで搬送される。この時、レジストローラ76は停止しており、停止状態のレジストローラ76にシートSを突き当てることにより、シートSの斜行が補正される。また、斜行が補正された後、シートSは、シート先端と中間転写ベルト31に形成されたトナー像とが一致するタイミングで回転を開始するレジストローラ76により、二次転写ローラ41と中間転写ベルト31とのニップ部に搬送される。そして、二次転写ローラ41と中間転写ベルト31により挟持搬送されると共に、二次転写ローラ41と中間転写ベルト31のニップ部を通過する際、二次転写ローラ41に印加されるバイアスにより、シートSに中間転写ベルト上のトナー画像が二次転写される。
【0023】
次に、トナー像が二次転写されたシートSは、定着前搬送装置42により定着装置5へと搬送される。そして、定着装置5は、対向するローラ、もしくはベルト等による所定の加圧力と、一般的にはヒータ等の熱源による加熱効果を加えてシートS上にトナー像を溶融固着させる。ここで、本カラーレーザプリンタ1は、シートSの片面に画像形成する片面モードと、少なくとも1枚のシートの表裏両面に画像形成を行う両面モードを有している。そして、片面モードの場合には定着画像を有するシートSを排紙搬送パス82に、両面モードの場合には定着画像を有するシートSを反転誘導パス83に搬送されるべく不図示の切換部材による経路選択が行われる。
【0024】
ここで、片面モードの場合には、定着画像を有するシートSは排出通路である排紙搬送パス82を経て、排出部材である排紙ローラ77により、シート積載部である排紙トレイ65に排出される。また、両面モードの場合は、シートSは反転誘導パス83を経て第1反転ローラ対78及び第2反転ローラ対79によりスイッチバックパス84へと引き込まれる。この後、シートSは、第2反転ローラ対79の正逆転によるスイッチバック動作により、先後端が反転した状態で両面搬送パス85へと搬送される。さらにこの後、シートSはピックアップローラ71〜74により搬送されてくる後続ジョブのシートSとのタイミングを合わせて再合流し、同様にレジストローラ76を経て二次転写部へと送られる。なお、この後の裏面(2面目)に対する画像形成プロセスに関しては、既述した表面(1面目)の場合と同様である。
【0025】
図2は、片面に画像を形成されたシートと、トナーにより両面に画像を形成されたシートと、を選択的に排出可能なカラーレーザプリンタ1の制御ブロック図である。プリンタ本体1Aの所定位置に設けられたCPU(制御部)89には、例えばプリンタ本体1Aの上面に配置された操作部100と、給紙枚数(画像形成枚数)をカウントする給紙カウンタ101が接続されている。また、画像信号を出力する外部PC200と、片面モード及び両面モードの場合の積載量制限値を記憶しているメモリMが接続されている。
【0026】
ここで、既述したように積載枚数が増えると、排紙トレイに排紙積載されるシートの重みにより、シートの貼り付きであるブロッキング現象が発生する。また、同じ枚数でも、両面モードの場合、シートの両面にトナー画像が形成されている分だけ、シート一枚あたりの重みが増し、積載枚数が増えるとブロッキング現象が発生しやすい。また、両面モードの場合、排紙トレイ上に積載されたシートのトナー同士が直接接触するため、ブロッキング現象が発生しやすくなる。
【0027】
このため、本実施の形態においては、ブロッキング現象の発生を防ぐように、CPU89は、モード設定部である操作部100により設定されたモードに応じて排紙トレイ65への最大シート積載量を制限するようにしている。なお、本実施の形態においては、操作部100により片面モードが設定された時の排紙トレイ65への最大シート積載量、すなわち積載量制限値αを250枚、両面モードが設定された時の排紙トレイ65への積載量制限値αを150枚としている。
【0028】
次に、本実施の形態に係るモードに応じた積載制限制御を図3に示すフローチャートを用いて説明する。まず、シートの給紙を開始すると共に、排出されるシートの数を検知する積載枚数検知部である給紙カウンタにより枚数情報である給紙枚数をカウントする(S10)。次に、画像データを検出し(S11)、この後、既述したY,M,C,Kの画像形成プロセスを実行し(S12)、シートの片面に画像を形成する。次に、設定されたモードが、片面モードか両面モードかを判断する(S13)。
【0029】
ここで、片面モード時の場合は(S13のY)、次にジョブが終了しているかを判断する(S14)。そして、ジョブが終了していない場合は(S14のN)、メモリMから片面モードの場合の積載量制限値α(250枚)を読み出す(S15)。この後、この積載量制限値αと、給紙カウンタでカウントされた給紙枚数とを比較する(S16)。そして、比較の結果、カウントされた給紙枚数nが積載量制限値αである250枚に達していない場合は(S16のN)、S10〜S15を繰り返し、給紙枚数nが250枚に達した場合は(S16のY)、ジョブ終了が終了していなくても画像形成動作を停止する。
【0030】
一方、片面モード時でない場合(S13のN)、すなわち両面モードの場合は、メモリMから両面モードの場合の積載量制限値α(150枚)を読み出す(S17)。この後、シートの裏面(第2面)に形成する画像の画像データを検出し(S18)、この後、シートの裏面に対して既述したY,M,C,Kの画像形成プロセスを実行する(S19)。次に、ジョブが終了しているかを判断する(S20)。そして、ジョブが終了していない場合は(S20のN)、積載量制限値αと、給紙カウンタでカウントされた給紙枚数とを比較する(S16)。そして、比較の結果、カウントされた給紙枚数nが150枚に達していない場合は(S16のN)、S10〜S13、S17〜S19を繰り返し、給紙枚数nが150枚に達した場合は(S16のY)、ジョブ終了が終了していなくても、画像形成動作を停止する。
【0031】
ここで、このように片面モード時の排紙トレイ65への積載量制限値αよりも、両面モード時の積載量制限値αの方を少なくすることにより、紙間を広げる、または定着温度を下げることなくシートの貼り付きに防ぐことができる。つまり、本実施の形態のように、両面モードの際の積載量制限値を、片面モードの際の積載量制限値に比べて少なくすることにより、生産性や画質の低下を招くことなく、シートの貼り付きに防ぐことができる。
【0032】
なお、ジョブが終了していなくても画像形成動作を停止する場合がある。この場合には、所定時間経過後、排紙トレイ65上に積載されたシートの温度が下がってから再度、画像形成動作を開始して、再度シートの積載を開始する。この場合、装置の最大積載量である片面モード時の排紙トレイ65への積載量制限値α(250枚)までの残り積載枚数b1だけ排紙トレイ65へ積載可能である。また、排紙トレイ上のシートの有無を検知する不図示のシート有無検知センサが設けられ、シート有無検知センサによって排紙トレイ上にシートが無いことが確認された場合は、両面モードの場合の積載量制限値α(150枚)に達するまで積載可能である。
【0033】
ところで、これまでの説明においては、ブロッキング現象を効率的に防止することができるように排紙トレイ65への積載量をモードに応じて制限するようにしたが、本発明は、これに限らない。例えば、片面モードの場合であっても、シート上の画像を形成するトナーの量が多いほどシートが重くなると共にシートが貼り付きやすくなる。したがって、シートに形成される画像を構成するトナーの量に応じて排紙トレイ65への最大シート積載量を制限するようにしても良い。
【0034】
次に、このようにシートに形成される画像を構成するトナーの量に応じて排紙トレイ65への最大シート積載量を制限するようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は、本実施の形態に係るシートに載せるトナー量により積載制限を行う制御を示すフローチャートである。
【0035】
ここで、トナー量は、ビデオカウント値Aで判断する。なお、このビデオカウント値は、例えば外部PC200からの画像データをトナーで現像されるデータ(1)の部分と現像されないデータ(0)の部分とで表わした場合の1の部分の合計である。ここで、本実施の形態においては、既述した図2に示すように画像データ中のトナーが付着するドットの数をビデオカウント値としてカウントするビデオカウンタ102をCPU89に接続している。そして、CPU89は、このトナー量検知部であるビデオカウンタ102からのトナー量情報であるビデオカウント値により画像形成された画像のトナー量を求めるようにしている。
【0036】
本実施の形態において、シートSを排紙トレイ65に積載する際の最大シート積載量を250枚とする。この場合、連続通紙する一つのジョブにおいて、全てのシートのビデオカウント値Aが所定の基準値a1以下の場合には、全体の積載量制限値αは250枚となる。一方、給紙枚数n枚目のシートのビデオカウント値Aが連続通紙する一つのジョブの中で初めて基準値a1を超えた場合には、積載量制限値αは、(b1+n)枚(ただし、αは250以下、b1は0から100までの整数)となる。b1は残り積載枚数であり、この残り積載枚数b1は、ビデオカウント値Aが基準値a1を超えたシートSの上に何枚まで積載するかを設定する値であり、ブロッキング現象の度合いに応じて任意に設定してよい。
【0037】
基準値a1を超えたシートの上に積載されるシートを最大100枚とし、最大積載量250枚を上限として残り積載枚数b1が設定される。例えば、10枚目のシート(n=10)のビデオカウント値Aが連続通紙する一つのジョブの中で初めて基準値a1を超えた場合、残り積載枚数b1を100とすると、積載量制限値αは110枚となる。なお、この残り積載枚数b1の値は、装置の最大積載量250枚が上限となるため一つのジョブの中でビデオカウント値Aが初めて基準値a1を超えるようになったシートの枚数nが多くなるほど、小さくなる。ここで、このように基準値a1を超えたシートの上に積載されるシートの積載量を少なくすることにより、トナー量大シートの上に積載されるシートの重みによりトナー量大シートが貼り付いてブロッキング現象が発生するのを防止することができる。
【0038】
つまり、最初のトナー量大シートが発生したときのシート積載枚数が少ないほど、トナー量大シートよりも後に排紙トレイ65に積載されるシートの積載量を少なくすることにより、ブロッキング現象が発生するのを防止することができる。さらに、例えば、200枚目のシート(n=200)のビデオカウント値Aが一つのジョブの中で初めて基準値a1を超えた場合、この後、このシートの上にシートが積載されてもブロッキング現象は起きない場合には、このときの積載量制限値αは250枚となる。また、連続通紙する一つのジョブの中で、一度、ビデオカウント値Aが基準値a1を超えると、この後、同一ジョブの中でビデオカウント値Aが基準値a1を超えても、積載量制限値αを変更することはない。
【0039】
なお、本実施の形態において、初めて基準値a1を超えたときのシートの枚数nと残り積載枚数b1との関係を示すテーブルと、基準値a1と、積載量制限値αとが既述した図2に示すメモリMに記憶されている。そして、次に説明する本実施の形態に係る積載制限制御の際には、CPU89は、積載量制限値α、基準値a1及び残り積載枚数b1をメモリMから読み出すようにしている。
【0040】
積載制限制御を行う場合、まず、シートの給紙を開始すると共に、給紙枚数を給紙カウンタによりカウントする(S30)。次に、画像データを検出し(S31)、この後、既述したY,M,C,Kの画像形成プロセスを実行し(S32)、シートに画像を形成する。次に、ジョブが終了しているかを判断する(S33)。そして、ジョブが終了していない場合は(S33のN)、ビデオカウンタ102のビデオカウント値Aを読み出す(S34)。この後、このビデオカウント値Aと、予め設定した基準値a1とを比較する(S35)。
【0041】
そして、比較の結果、ビデオカウント値Aが基準値a1を超えていない場合は(S35のN)、メモリMから積載量制限値α(250枚)を読み出す(S36)。この後、この積載量制限値αと、給紙カウンタでカウントされた給紙枚数とを比較する(S37)。そして、比較の結果、カウントされた給紙枚数nが積載量制限値αである250枚に達していない場合は(S37のN)、S30〜S36を繰り返し、給紙枚数nが250枚に達した場合は(S37のY)、ジョブ終了が終了していなくても画像形成動作を停止する。また、給紙枚数nが250枚に達しなくとも(S37のN)、ジョブが終了した場合は(S33のY)、直ちに画像形成動作を停止する。
【0042】
一方、ビデオカウント値Aが基準値a1を超えている場合は(S35のY)、ビデオカウント値Aが基準値a1を超えているトナー量大シートであるn番目のシートが基準値a1を超えたのが最初の1枚目のシートかを判断する(S38)。そして、1枚目の場合には(S38のY)、メモリMに記憶されているテーブルからn番目のシートに対応する残り積載枚数b1を読み出して積載量制限値(α)を(b1+n)により演算して求める(S39)。この後、この演算された積載量制限値αと、給紙カウンタでカウントされた給紙枚数とを比較する(S37)。なお、この比較の結果、カウントされた給紙枚数nが、演算した積載量制限値αに達していない場合は(S37のN)、S30〜S35、S38を繰り返す。そして、給紙枚数nが新たに演算した積載量制限値αに達した場合は(S37のY)、ジョブ終了が終了していなくても画像形成動作を停止する。
【0043】
このように、本実施の形態では、n番目のシートのビデオカウント値Aが、ブロッキング現象が発生する基準値a1を超えた場合は、このシートよりも後に積載されるシートの積載量を、トナー量大シートが無い場合よりも少なくしている。これにより、シートの貼り付きに防ぐことができる。つまり、画像を形成するトナーの量を、トナーにより現像される画像データをカウントすることにより求め、所定量以上のトナーにより画像が形成されたシートが有る場合には、最大シート積載量を少なくすることにより、シートの貼り付きに防ぐことができる。また、シートに載せるトナー量に応じてシート積載制限を行うことにより、トナー量が比較的少ない場合に、積載量を必要以上に減少させる必要がなくなる。
【0044】
なお、本実施の形態では、通紙モード(片面モード、両面モード)の限定はしていないが、シートの両面にトナーにより画像が形成されることから、ビデオカウント値Aが基準値a1を超える両面モードのみに限定しても良い。また、ビデオカウント値Aが1つのジョブの中で基準値a1を超えた場合、既述したようにジョブ終了が終了していなくても画像形成動作を所定時間停止する場合がある。
【0045】
この場合、所定時間経過後、再度、画像形成動作を開始して、再度シートの積載を開始する。ここで、この所定時間、すなわちジョブを再開するタイミングは、トナー量検知部としてのビデオカウンタ102からのビデオカウント値Aの大きさ、すなわちトナー量大シート上のトナー量に応じて変更される。例えば、ビデオカウント値Aが大きい場合には、早めに再開すると、シートが貼り付きやすくなるので、この場合には、ジョブを再開するまでの時間を長くする。また、排紙トレイ上のシートの有無を検知する不図示のシート有無検知センサが設けられ、シート有無検知センサによって排紙トレイ上にシートが無いことが確認された場合は、ジョブ再開まで時間を短くしてもよい。
【0046】
なお、積載されるシート一枚ごとのビデオカウント値を比較して、連続通紙する一つのジョブにおいて画像を形成するトナー量が所定のトナー量を超えるシートの後に積載されるシートの積載量を制限する制御について説明したが、これに限らない。同一ジョブの中でビデオカウント値Aが基準値a1を超えたことを認識するたびに、積載量制限値αを変更していくようにしても良い。また、トナー量検知部からのトナー量情報に基づき、連続通紙する一つのジョブの中に画像を形成するトナー量が所定のトナー量を超えるシートが含まれると判断した場合に、ジョブ全体のシートの積載量を制限するようにしても良い。
【0047】
ところで、これまでの説明においては、ブロッキング現象を効率的に防止することができるようにトナーの量に応じて排紙トレイ65への積載量を制限するようにしたが、本発明は、これに限らない。例えば、排紙トレイ上に排出されたシートの表面温度に応じて排紙トレイ65へのシートの積載を停止するようにしても良い。
【0048】
次に、このように排紙トレイ上に排出されたシートの表面温度に応じて排紙トレイ65へのシートの積載を停止するようにした本発明の第3の実施の形態について説明する。図5は、本実施の形態に係る画像形成装置の積載制限制御を示すフローチャートである。なお、本実施の形態においては、既述した図2に示すように排紙トレイ65上に排出されたシートSの表面温度を検知する温度検知部である温度検知センサ103をCPU89に接続している。
【0049】
この温度検知センサ103は、排紙トレイ65近傍に設置されるものであり、接触式であっても、非接触式であっても良い。そして、この温度検知センサ103の温度情報に基づいてCPU89は、排紙トレイ65上に積載する積載量を制限(停止)する。例えば、連続通紙する1つのジョブの中で、排紙トレイ65上に排出されたシートSの表面温度が所定温度である90℃を超えた場合、ジョブを終了する。また、排出されたシートSの表面温度が連続通紙する一つのジョブの中で90℃を超えた場合、すなわちシートSの表面温度が所定温度以上であれば次のジョブ開始までの最小時間を制限する(長くする)ことも可能である。
【0050】
本実施の形態において、積載制限制御を行う場合は、まず、シートの給紙を開始すると共に、給紙枚数を給紙カウンタによりカウントする(S41)。次に、画像データを検出し(S42)、この後、既述したY,M,C,Kの画像形成プロセスを実行し(S43)、シートに画像を形成する。次に、ジョブが終了しているかを判断する(S44)。そして、ジョブが終了していない場合は(S44のN)、ビデオカウンタ102のビデオカウント値A(トナー載り量A)を検出する(S45)。この後、このビデオカウント値A(トナー載り量A)と、予め設定した基準値a1とを比較する(S46)。そして、比較の結果、ビデオカウント値Aが基準値a1を超えていない場合は(S46のN)、積載量制限値α(250枚)を読み出す(S47)。
【0051】
次に、温度検知センサ103により排紙トレイ65上に排出されたシートのシート温度(T)を検知し(S48)、シート温度(T)が90℃を超えているかを検知する(S49)。シート温度(T)が90℃を超えていなければ(S48のN)、この後、この積載量制限値αと、給紙カウンタでカウントされた給紙枚数とを比較する(S50)。そして、比較の結果、カウントされた給紙枚数nが積載量制限値αである250枚に達していない場合は(S50のN)、S41〜S49を繰り返し、給紙枚数nが250枚に達した場合は(S50のY)、ジョブ終了が終了していなくても画像形成動作を停止する。また、給紙枚数nが250枚に達しなくとも(S50のN)、ジョブが終了した場合は(S44のY)、直ちに画像形成動作を停止する。
【0052】
一方、ビデオカウント値A(トナー載り量A)が基準値a1を超えている場合は(S46のY)、ビデオカウント値A(トナー載り量A)が基準値a1を超えているn番目のシートが基準値a1を超えたのが最初の1枚目のシートかを判断する(S51)。そして、1枚目の場合には(S51のY)、メモリMに記憶されているテーブルからn番目のシートに対応するb1を読み出して積載量制限値(α)を(b1+n)により演算して求める(S52)。
【0053】
次に、温度検知センサ103により排紙トレイ65上に排出されたシートのシート温度(T)を検知し(S48)、シート温度(T)が90℃を超えているかを検知する(S49)。シート温度(T)が90℃を超えていなければ(S49のN)、この後、この積載量制限値αと、給紙カウンタでカウントされた給紙枚数とを比較する(S50)。なお、この比較の結果、カウントされた給紙枚数nが、演算した積載量制限値αに達していない場合は(S50のN)、S41〜S46、S51、S52、S48、S49を繰り返す。そして、給紙枚数nが新たに演算した積載量制限値αに達した場合は(S50のY)、ジョブ終了が終了していなくても画像形成動作を停止する。一方、シート温度(T)が90℃を超えている場合は(S49のN)、ジョブ終了が終了していなくても画像形成動作を停止する。
【0054】
このように、本実施の形態では、シート温度(T)が、ブロッキング現象が発生する90℃を超えている場合、画像形成動作を停止し、90℃を超えていない場合は排紙トレイ65への積載量を最大限にすることにより、効率的にブロッキング現象を防止できる。また、シート温度(T)が、90℃を超えている場合、ジョブ終了が終了していなくても画像形成動作を停止した場合、再度、ジョブを開始するが、ジョブを再開するタイミングは、シート温度(T)が高くなる程長くなる。つまり、シート温度(T)が高い場合には、早めに再開すると、シートが貼り付きやすくなるので、この場合には、ジョブを再開するまでの時間を長くする。また、排紙トレイ上のシートの有無を検知する不図示のシート有無検知センサが設けられ、シート有無検知センサによって排紙トレイ上にシートが無いことが確認された場合は、ジョブ再開まで時間を短くしてもよい。
【0055】
なお、本実施の形態に係る発明は、上述した第1、第2の実施の形態において適用しても有効である。つまり、第1、第2の実施の形態に基づいてシートの貼り付きの発生を抑えるようにしている場合であっても、外気温等の影響で排紙トレイ上に排出されたシートの表面温度が上昇する可能性がある。本実施の形態に係る発明を併用することで、より確実にブロッキング現象を防止することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…カラーレーザプリンタ、1A…カラーレーザプリンタ本体、1B…画像形成部、65…排紙トレイ、89…CPU(制御部)、100…操作部、101…給紙カウンタ、102…ビデオカウンタ、103…温度検知センサ、200…外部PC、M…メモリ、S…シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーにより片面に画像を形成されたシートと、トナーにより両面に画像を形成されたシートと、を選択的に排出可能な画像形成装置において、
シートにトナー画像を定着させる定着部と、
トナー画像が定着されたシートが積載されるシート積載部と、
前記シート積載部に積載するシートの最大シート積載量を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、両面にトナー画像を形成されたシートを積載する際の最大シート積載量を、片面にトナー画像を形成されたシートを積載する際の最大シート積載量に比べて少なくすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記両面にトナー画像を形成されたシートを積載する際の最大シート積載量を少なくすることにより1つのジョブが終了しない場合には、前記両面にトナー画像を形成されたシートを積載する際の最大シート積載量のシートを積載した後、シートの積載を所定時間停止して再度シートの積載を開始することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像を形成するトナーの量を求めるトナー量検知部を有し、
前記制御部は、前記トナー量検知部からのトナー量情報に基づき、前記所定時間を変更することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シート積載部に積載されたシートの温度を検知する温度検知部を備え、
前記制御部は、前記温度検知部からの温度情報に基づき、前記シート積載部に積載されたシートの温度が所定温度以上になった場合には、前記シート積載部へのシートの積載を停止することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、停止したシートの積載を再開する時間を、前記シート積載部に積載されたシートの温度に応じて長くすることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−34064(P2011−34064A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150934(P2010−150934)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】