説明

画像形成装置

【課題】片面印刷時における結露の発生を有効に防止することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー像を熱定着する定着装置5と、片面印刷時に、熱定着後の記録シートを機外へ排出する排出ローラ73と、両面印刷時に、片面のみ熱定着された記録シートの搬送方向を切替える反転ローラ71と、定着装置の下流側で、排出ローラ73及び反転ローラ71の上流側に設けられ、姿勢変更により、定着装置5から搬送された記録シートと定着装置5から発生する熱流とを、排出ローラ方向と、反転ローラ方向の何れかの方向に導く切替ガイド部材74とを備え、切替ガイド部材74の姿勢を制御し、片面印刷終了後に、反転ローラ方向に所定時間、前記熱流を導くように切替ガイド部材74の姿勢制御をする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機等の画像形成装置に関し、特に、記録シートの熱定着時に生ずる水蒸気に起因して発生する、画像形成装置内部の結露を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタ、複写機等の画像形成装置としては、片面印刷機能と両面印刷機能を有する画像形成装置が広く利用されている。これらの画像形成装置においては、例えば、特許文献1に開示されているように、定着装置の下流側において、切替ガイド部材によって搬送路が2つに分岐されるように構成されている。
分岐される第1の搬送路は、両面印刷時において、片面のみにトナー像が熱定着された記録シートを、当該記録シートの搬送方向を逆方向に切替える反転ローラに導く搬送路である。そして、分岐される第2の搬送路は、両面印刷時において、両面にトナー像が熱定着された記録シートを、当該記録シートを機外へ排出する排出ローラに導く搬送路である。
【0003】
又、第2の搬送路は、片面印刷時においても、トナー像が熱定着された記録シートを排出ローラに導く。
切替ガイド部材は、所定角度範囲で回動可能なように構成され、当該切替ガイド部材が回動することにより、記録シートの搬送路を、第1又は第2の何れかに切り替えることができる。
【0004】
これにより、片面印刷時や両面印刷時における、記録シートの搬送路の切替を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−197105号公報
【特許文献2】特開2000−231293号公報
【特許文献3】特開平7−160179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、片面印刷を連続して行った場合に、熱定着時に記録シートが加熱されることにより、記録シートに含有されている水分が蒸発して水蒸気が発生し、その一部が、第1の搬送路側に流れ込んで、当該搬送路内に留まりやすくなる。
そして、機外から第1の搬送路に進入してくる冷気により、当該搬送路内に留まっている水蒸気が冷やされ、結露が生じやすい。
【0007】
一方、片面印刷時に熱定着後の高温の記録シートが連続して搬送される第2の搬送路側では、当該記録シートが搬送されることにより当該搬送路内の温度が上昇し、高温の記録シートとともに水蒸気が機外に運び出されるので、結露が生じにくい。
このため、片面印刷を連続して行った後に、両面印刷を開始すると、第1の搬送路側に結露が生じている状態で、片面のみ熱定着された記録シートが、第1の搬送路側に搬送されることになり、結露による水滴が搬送された記録シートに付着し、ジャムが発生しやすくなったり、当該記録シートの画像品質が劣化したりするという問題が生じる。
【0008】
特許文献2及び3に開示されているように、記録シートへの水滴の付着を防止するため、機内に水分吸収剤を設けたり、水蒸気を排気するためのファン等を設けたりすることも可能であるが、その分、製造コストが高くなったり、スペース効率が悪くなったりしてしまうという問題が生じる。
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、結露による水滴の付着を防止するための特別な部材や装置を設けることなく、片面印刷時における結露の発生を有効に防止することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る画像形成装置は、片面印刷機能と両面印刷機能とを備えた画像形成装置であって、記録シートにトナー像を熱定着する定着装置と、前記定着装置の下流側に設けられ、片面印刷時に、熱定着後の記録シートを機外へ排出する排出ローラと、前記定着装置の下流側に設けられ、両面印刷時に、片面のみ熱定着された記録シートが搬送されると、当該記録シートを搬送方向と逆方向に搬送する反転ローラと、前記定着装置の下流側で、前記排出ローラ及び前記反転ローラの上流側に設けられ、姿勢を変更することにより、前記定着装置から搬送された記録シートと前記定着装置から発生する熱流とを、前記排出ローラ方向と、前記反転ローラ方向の何れかの方向に導く切替ガイド部材と、前記切替ガイド部材の姿勢を制御し、片面印刷終了後に、前記反転ローラ方向に前記熱流を、所定時間導くように前記切替ガイド部材の姿勢制御をする姿勢制御手段と、を備える。
【0010】
又、本発明の別の一形態に係る画像形成装置は、片面印刷機能と両面印刷機能とを備えた画像形成装置であって、記録シートにトナー像を熱定着する定着装置と、前記定着装置の下流側に設けられ、片面印刷時に、熱定着後の記録シートを機外へ排出する排出ローラと、前記定着装置の下流側に設けられ、両面印刷時に、片面のみが熱定着された記録シートが搬送されると、当該記録シートを搬送方向と逆方向に搬送する反転ローラと、前記定着装置の下流側で、前記排出ローラ及び前記反転ローラの上流側に設けられ、姿勢を変更することにより、前記定着装置から搬送された記録シートと前記定着装置から発生する熱流とを、前記排出ローラ方向と、前記反転ローラ方向の何れかの方向に導く切替ガイド部材と、前記切替ガイド部材の姿勢を制御し、片面印刷時において、印刷開始後、前記排出ローラから排出される記録シートの枚数が所定数に達するまで、前記排出ローラ方向に記録シートを導くように前記切替ガイド部材の姿勢を制御し、当該記録シートの枚数が所定数に達すると、所定数に達してから次の記録シートが、前記切替ガイド部材に達するまでの間の所定期間、前記反転ローラ方向に前記熱流を導くように、前記切替ガイド部材の姿勢を制御する姿勢制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
上記構成を備えることにより、片面印刷終了後、又は、片面印刷の途中で、定着装置から発生する熱流が反転ローラ方向に導かれるように、切替ガイド部材の姿勢が制御されるので、片面印刷により熱定着された記録シートから発生する水蒸気が、反転ローラ方向に流れ込んだ場合においても、当該熱流により水蒸気が温められ、水蒸気が冷やされて結露が生じるのを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】プリンタ1の構成を示す図である。
【図2】排出部7周辺の詳細な構成を示す図である。
【図3】制御部60の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】実施の形態1における反転経路乾燥制御処理の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態2における反転経路乾燥制御処理の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態3における反転経路乾燥制御処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1における反転経路乾燥制御処理の動作の変形例を示すフローチャートである。
【図8】図7に示す変形例における下降位置セット時間(t0)の補正処理の動作を示すフローチャートである。
【図9】図8に示す下降位置セット時間(t0)の補正処理の動作の変形例を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態2における反転経路乾燥制御処理の動作の変形例を示すフローチャートである。
【図11】閾値Aの補正処理の動作を示すフローチャートである。
【図12】図11に示す閾値Aの補正処理の動作の変形例を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態3における反転経路乾燥制御処理の動作の変形例を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態3における反転経路乾燥制御処理の動作の別の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、本発明に係る一形態の画像形成装置の実施の形態を、片面印刷機能と両面印刷機能を備えたタンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した場合を例にして説明する。
[1]プリンタの構成
先ず、本実施の形態に係るプリンタ1の構成について説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係るプリンタ1の構成を示す図である。
同図に示すように、このプリンタ1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、排出部7、反転部8および制御部60を備えている。
プリンタ1は、ネットワーク(例えばLAN)に接続され、外部の端末装置(非図示)や後述する操作パネル9からのプリントジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を形成し、これらを多重転写してフルカラーの画像を形成することにより、記録シートへの印刷処理を実行する。
【0015】
以下、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色をY、M、C、Kと表し、各再現色に関連する構成要素の番号にこのY、M、C、Kを添字として付加する。
画像プロセス部3は、作像部3Y、3M、3C、3K、露光部10、中間転写ベルト11などを有している。
作像部3Y、3M、3C、3Kの構成は、いずれも同様のものであるため、以下、主として作像部3Yについて説明する。
【0016】
作像部3Yは、感光体ドラム31Yと、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、一次転写ローラ34Y、および感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナ35Yなどを有しており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。
現像器33Yは、感光体ドラム31Yに対向し、感光体ドラム31Yに帯電トナーを搬送する。
【0017】
中間転写ベルト11は、無端状のベルトであり、駆動ローラ12と従動ローラ13に張架されて矢印C方向に周回駆動される。
露光部10は、レーザダイオードなどの発光素子を備え、制御部60からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のためのレーザ光Lを発し、作像部3Y、3M、3C、3Kの各感光体ドラムを露光走査する。
【0018】
この露光走査により、帯電器32Yにより帯電された感光体ドラム31Y上に静電潜像が形成される。作像部3M、3C、3Kの各感光体ドラム上にも同様にして静電潜像が形成される。
各感光体ドラム上に形成された静電潜像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの各現像器により現像されて各感光体ドラム上に対応する色のトナー像が形成された後、当該トナー像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの各一次転写ローラにより、中間転写ベルト11上の同じ位置に重ね合わされるように、中間転写ベルト11上にタイミングをずらして順次転写される。
【0019】
給紙部4は、記録シート(以下、「記録シートS」という。)を収容する給紙カセット41と、給紙カセット41内の記録シートSを搬送路43上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラ42と、繰り出された記録シートSを二次転写位置46に送り出すタイミングをとるためのタイミングローラ44などを備えている。
記録シートSとしては、厚さの異なる用紙(普通紙、厚紙)やOHPシートなどのフィルムシートを利用できる。
【0020】
記録シートSは、中間転写ベルト11上のトナー像の移動タイミングに合わせて給紙部4から二次転写位置46に搬送され、二次転写ローラ45による静電力の作用により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シートS上に二次転写される。
トナー像が二次転写された記録シートSは、さらに定着装置5に搬送され、記録シートS上のトナー像(未定着画像)が、定着装置5において加熱及び加圧されて記録シートSに熱定着された後、排出部7に搬送される。
【0021】
定着装置5は、定着ローラと加圧ローラを有し、両ローラ間に形成される定着ニップ部に、トナー像が二次転写された記録シートSを挿入して記録シートSを加圧状態で加熱して、当該トナー像を記録シートSに熱定着させる。定着ローラには、ハロゲンヒータ等の発熱体が内包され、この発熱体のオンオフを制御部60により、制御することで、定着装置5の温度制御が行われる。なお、定着装置の加熱方式は、上記のような熱ローラ方式に限定されず、例えば、電磁誘導加熱方式であってもよい。
【0022】
又、定着ローラは、駆動モータ等の駆動力により回転し、定着ローラの回転に伴って加圧ローラが従動回転する。この回転の制御は、制御部60により行われる。さらに、定着装置5の上流側には、記録シートSの通過を検出する通紙センサ47が配されている。
図2は、排出部7周辺の詳細な構成を示す図である。
排出部7は、反転ローラ71と、排紙トレイ72と、排出ローラ73と、切替ガイド部材74と、温湿度センサ75を備え、排出ローラ73の上流側には、記録シートSの通過を検出する通紙センサ48が配されている。
【0023】
反転ローラ71は、両面印刷時に、定着装置5により片面のみにトナー像が熱定着された記録シートSが搬送されると、当該記録シートSの搬送方向を、反転させ、符号77で示す搬送ガイドに沿って当該記録シートSの搬送方向と逆方向に搬送し、反転部8(図1参照)に送出する。
排出ローラ73は、片面印刷時に、定着装置5によりトナー像が熱定着された記録シートSが搬送されると、当該記録シートSを排紙トレイ72へ排出する。又、排出ローラ73は、両面印刷時に、定着装置5により両面にトナー像が熱定着された記録シートSが搬送されると、当該記録シートSを排紙トレイ72へ排出する。
【0024】
切替ガイド部材74は、定着装置5から反転ローラ71に向かう搬送路と、定着装置5から排出ローラ73に向かう搬送路との分岐点70に配され、図2の矢印Aで示す角度範囲で回動可能な部材で構成される。切替ガイド部材74は、固定部材に回動可能な状態で固定されており、回動することにより、記録シートSの搬送路を反転ローラ71側と排出ローラ73側の何れか一方に切替えるものである。
【0025】
又、切替ガイド部材74の回動により、定着装置が発生する熱流を分岐する何れかの搬送路に導くことが可能である。
切替ガイド部材74の回動は、例えば、駆動モータにより行わる。制御部60により、駆動モータの駆動が制御されることにより、切替ガイド部材74の回動が制御される。制御部60によって切替ガイド部材74が上方向に回動されて、図2に示すように、矢印Aの上方向の先端位置(以下、「上昇位置」という。)に達すると、定着装置5から搬送された熱定着後の記録シートSは、切替ガイド部材74の下面に沿って排出ローラ73に向かう搬送路(以下、「排出ローラ側搬送路」という。)へ導かれる。
【0026】
一方、制御部60によって切替ガイド部材74が下方向に回動されて矢印Aの下方向の先端位置(以下、「下降位置」という。)に達すると、定着装置5から搬送された熱定着後の記録シートSは、切替ガイド部材74の上面に沿って反転ローラ71に向かう搬送路(以下、「反転ローラ側搬送路」という。)へ導かれる。この状態のとき、定着装置5から発生する熱流は反転ローラ71側に導かれる。
【0027】
温湿度センサ75は、機内における、反転ローラ側搬送路周辺の温度及び湿度を測定する。
図1の説明に戻って、反転部8は、搬送ローラ81、82、83、84を備え、反転ローラ71から送出された記録シートSを、搬送ローラ81を用いて反転搬送経路80に導き、さらに搬送ローラ82、83、84を用いて記録シートSを反転搬送経路80に沿って搬送し、タイミングローラ44に導く。
【0028】
これにより、記録シート面が反転されて、トナー像が二次転写されていない方の面に、トナー像を二次転写することが可能となる。
その後、当該記録シートSは、タイミングローラ44を介して再び二次転写位置46に搬送され、記録シートSのトナー像が熱定着されていない方の面に、トナー像が二次転写された後、定着装置5で熱定着されて、排出ローラ73を介して排紙トレイ72へ排出される。
【0029】
これにより、記録シートSの両面にトナー像が熱定着され、当該記録シートSについて両面印刷が完了する。
[2]制御部60の構成
次に、制御部60の構成について説明する。図3は、制御部60の構成を示す機能ブロック図である。制御部60は、所謂コンピュータであって、同図に示されるように、CPU(Central Processing Unit)601、通信インターフェース(I/F)部602、ROM(Read Only Memory)603、RAM(Random Access Memory)604、印刷枚数カウンタ605、閾値記憶部606、タイマ607などを備える。
【0030】
通信I/F部602は、LANカード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースである。
ROM603には、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、切替ガイド74の回動、反転ローラ71、排出ローラ73の駆動等を制御するために必要なプログラムのほか、後述する反転経路乾燥制御処理の動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。
【0031】
RAM604は、CPU601のプログラム実行時のワークエリアとして用いられる。
印刷枚数カウンタ605は、排出ローラ73から排出された記録シートSの排出枚数をカウントする。具体的には、通紙センサ48により、記録シートSの通過が検出される毎に、カウントアップして排出枚数をカウントする。
閾値記憶部606は、反転経路乾燥制御処理において用いられる各種の閾値を記憶している。
【0032】
タイマ607は、後述する反転経路乾燥制御処理において、切替ガイド74を下降位置にセットする所定時間を計測する。
CPU601は、ROM603から必要な制御プログラムを読出し、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、ユーザからの各種の指示を受付ける操作パネル9、
切替ガイド74の回動、反転ローラ71、排出ローラ73の駆動等を制御し、片面印刷及び両面印刷を円滑に実行させるとともに、後述する反転経路乾燥制御処理の動作の実行を制御する。
[3]反転経路乾燥制御処理の動作
次に反転経路乾燥制御処理の動作について説明する。図4は、上記動作を示すフローチャートである。
【0033】
制御部60は、I/F部602又は操作パネル9を介して片面印刷ジョブの開始指示を受け付けると、当該片面印刷ジョブを開始し(ステップS401)、切替ガイド部材74を回動させて、切替ガイド部材74を上昇位置にセットし、記録シートSの搬送路を排出ローラ側搬送路に切り替える(ステップS402)。
次に制御部60は、当該片面印刷ジョブが終了すると(ステップS403)、次の印刷ジョブが入力されているか否かを判定する(ステップS404)。次の印刷ジョブが入力されていたら(ステップS404:YES)、制御部60は、当該印刷ジョブが両面印刷ジョブであるか、片面印刷ジョブであるかを判定する(ステップS405)。
【0034】
ステップS405において次の印刷ジョブが両面印刷ジョブでない場合(片面印刷ジョブである場合)には(ステップS404:YES、ステップS405:NO)、当該印刷ジョブの実行を開始する(ステップS409)。
ステップS404において、次の印刷ジョブがない場合(ステップS404:NO)、又は、ステップS405において、次の印刷ジョブが両面印刷ジョブである場合(ステップS405:YES)、制御部60は、切替ガイド部材74を回動させて、切替ガイド部材74を下降位置にセットし、記録シートSの搬送路を反転ローラ側搬送路に切替え、定着装置5から発生する熱流を反転ローラ側搬送路へ導き、当該搬送路を乾燥させる(ステップS406)。
【0035】
この際、次の両面印刷ジョブがある場合にはその実行は待機状態となり、待機している間、当該両面印刷ジョブの実行が抑止される。
切替ガイド部材74を下降位置にセット後、所定時間が経過すると(ステップS407:YES)、制御部60は、実行を抑止している印刷ジョブ(ここでは、両面印刷ジョブ)がある場合に(ステップS408:YES)、当該印刷ジョブの実行を開始する(ステップS409)。
【0036】
所定時間としては、片面印刷を実行中に反転ローラ側搬送路に生じた結露による水滴を、熱流により乾燥させるのに必要な時間に相当する時間が、予め実験的に定められている。例えば、60秒を所定時間として用いることができる。

(実施の形態2)
実施の形態1においては、片面印刷ジョブの終了後に、反転ローラ側搬送路の乾燥処理を行うこととしたが、本実施の形態においては、片面印刷ジョブを実行しながら、反転ローラ側搬送路の乾燥処理を行う点において実施の形態1と相違する。
【0037】
以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。本実施の形態に係るプリンタの構成は、プリンタ1と同様であり、各構成要素には、実施の形態1の場合と同一の番号を付与するものとする。
図5は、反転経路乾燥制御処理の動作を示すフローチャートを示す。以下、同図を参照して上記動作について説明する。
【0038】
制御部60は、I/F部602又は操作パネル9を介して印刷ジョブの開始指示を受け付けると、当該印刷ジョブを開始する(ステップS501)。さらに、制御部60は、総印刷枚数のカウント値を示す変数tp、及び反転ローラ側搬送路を乾燥させる前又は、当該乾燥後の連続して印刷した印刷枚数のカウント値を示す変数pをそれぞれ0に初期化する(ステップS502)。
【0039】
次に、制御部60は、開始指示された印刷ジョブが、片面印刷ジョブであるか、両面印刷ジョブであるかを判定し(ステップS503)、片面印刷であれば(ステップS503:YES)、切替ガイド部材74を回動させて、切替ガイド部材74を上昇位置にセットし、記録シートSの搬送路を排出ローラ側搬送路に切り替える(ステップS504)。
次に、制御部60は、変数tp及びpを、それぞれ、1だけカウントアップし(ステップS505)、変数pが、閾値記憶部606に記憶されている閾値を超えたか否かを判定する(ステップS506)。
【0040】
閾値としては、片面印刷を実行中に、反転ローラ側搬送路に結露による水滴が付着するのを防止するのに十分な印刷枚数の間隔に相当する値が、予め実験的に定められている。例えば、閾値として5を用いることができる。
変数pが閾値を超えている場合には(ステップS506:YES)、制御部60は、切替ガイド部材74を回動させて、切替ガイド部材74を下降位置にセットし、記録シートSの搬送路を反転ローラ側搬送路に切り替え、定着装置5から発生する熱流を反転ローラ側搬送路へ導き、当該搬送路を乾燥させる(ステップS507)。
【0041】
その後、制御部60は、tpページ目の印刷処理を開始し(ステップS508)、通紙センサ47により記録シートSが、定着装置5の手前を通過したことが検出されると(ステップS510:YES)、記録シートSが定着装置5に到達したと推定し、変数pを0に初期化するとともに、切替ガイド部材74を回動させて、切替ガイド部材74を上昇位置にセットし、記録シートSの搬送路を排出ローラ側搬送路に切り替える(ステップS511)。
【0042】
一方、ステップS506において、変数pが閾値を超えていない場合には(ステップS506:NO)、制御部60は、切替ガイド部材74を、tpページ目の記録シートSの印刷処理の開始時から上昇位置にセットした状態で、印刷処理を実行する(ステップS509)。
制御部60は、ステップS505〜511の処理を、当該片面印刷ジョブが終了する(ステップS512:YES)まで繰り返す。
【0043】

(実施の形態3)
実施の形態1においては、片面印刷ジョブの終了後に、反転ローラ側搬送路の乾燥処理を行うこととしたが、本実施の形態においては、片面印刷ジョブを実行中に、印刷ジョブの実行を一時的に中断して反転ローラ側搬送路の乾燥処理を行う点において実施の形態1と相違する。
【0044】
以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。本実施の形態に係るプリンタの構成は、プリンタ1と同様であり、各構成要素には、実施の形態1の場合と同一の番号を付与するものとする。
図6は、反転経路乾燥制御処理の動作を示すフローチャートを示す。同図において、ステップS601〜ステップS606までの処理は、実施の形態2におけるステップS501〜ステップS506と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
以下、ステップS607以降のステップについて説明する。ステップ606の処理において、変数pが閾値を超えている場合には(ステップS606:YES)、制御部60は、片面印刷の印刷処理を中断し(ステップS607)、切替ガイド部材74を下降位置にセットし、記録シートSの搬送路を反転ローラ側搬送路に切り替え、定着装置5から発生する熱流を反転ローラ側搬送路へ導き、当該搬送路を乾燥させる(ステップS608)。
【0046】
切替ガイド部材74を下降位置にセット後、所定時間が経過すると(ステップS609:YES)、制御部60は、変数pを0に初期化するとともに、切替ガイド部材74を回動させて、切替ガイド部材74を上昇位置にセットし、記録シートSの搬送路を排出ローラ側搬送路に切り替える(ステップS610)。
所定時間としては、片面印刷を実行中に反転ローラ側搬送路に生じた結露による水滴を、熱流により乾燥させるのに必要な時間に相当する時間が、予め実験的に定められている。所定時間としては、例えば、60秒を用いることができる。
【0047】
その後、制御部60は、片面印刷の印刷処理の中断を解除してtpページ目の
印刷処理を実行する(ステップS611)。
制御部60は、ステップS605〜611の処理を、当該片面印刷ジョブが終了する(ステップS612:YES)まで繰り返す。
[4]変形例
以上、本発明を実施の形態1〜3に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(1)実施の形態1においては、片面印刷ジョブ終了後、当該片面印刷ジョブにおける記録シートへの総印刷枚数のカウント値(tp)に係らず所定の一定時間、反転ローラ側搬送路の乾燥処理を行うこととしたが、熱定着時に記録シートから発生する水蒸気の量は、総印刷枚数に応じて増加するため、当該枚数に応じて、所定時間の長さを変更することとしてもよい。
【0048】
具体的には、図7及び図8に示す処理を行い、片面印刷ジョブにおける総印刷枚数のカウント値(tp)に応じて、所定時間t0の長さを決定することとしてもよい。図7は、図4に示す反転経路乾燥制御処理の動作の変形例を示す。同図において、図4に示す処理と同一の処理については、同一のステップ番号を付している。
以下、相違する処理について説明すると、制御部60は、ステップS406の処理を実行した後、下降位置セット時間(t0)の補正処理を行い(ステップS701)、当該補正処理において決定した下降位置セット時間(t0)が経過すると(ステップS702:YES)、ステップS408の処理に移行する。
【0049】
図8は、下降位置セット時間(t0)の補正処理の動作を示すフローチャートである。制御部60は、印刷枚数カウンタ605を介して終了した片面印刷ジョブにおける記録シートSの排出枚数を、当該片面印刷ジョブにおける総印刷枚数のカウント値(tp)として取得し(ステップS801)、tpが閾値(ここでは、例えば、100とする。)を超えている場合には(ステップS802:YES)、t0を60秒と決定し(ステップS803)、超えていない場合には(ステップS802:NO)、t0を、INT(tp/2)と決定する(ステップS804)。
【0050】
ここで、「INT(tp/2)」は、カッコ内の数値の整数値を示す。例えば、tpが99の場合には、INT(tp/2)の値は、49となる。
t0の決定方法は、図8に示す場合に限定されず、tpの増加に応じて、t0が長くなるように決定する方法であれば、他の方法であってもよい。例えば、INT(tp/2)を用いる代わりに、総印刷枚数の範囲に応じて段階的にt0を定めることとしてもよい。
【0051】
又、実施の形態3における所定時間の長さについても、上記と同様の処理を行うことにより、所定時間を総印刷枚数のカウント値(tp)に応じて変更することとしてもよい。具体的には、図6に示す反転経路乾燥制御処理の動作を、図14に示すように、変形することとしてもよい。
図14において、図6に示す処理と同一の処理については、同一のステップ番号を付している。
【0052】
以下、相違する処理について説明すると、制御部60は、ステップS608の処理を実行した後、下降位置セット時間(t0)の補正処理を行い(ステップS1401)、当該補正処理において決定した下降位置セット時間(t0)が経過すると(ステップS1402:YES)、ステップS610の処理に移行する。なお、下降位置セット時間(t0)の補正処理の動作は、図8に示す動作と同様である。
【0053】
なお、ステップS1401の処理において、下降位置セット時間(t0)を決定するための判定基準となる総印刷枚数tpは、実行中の印刷ジョブにおける総印刷枚数であってもよいし、当該実行中の印刷ジョブにおける実行済みの総印刷枚数であってもよいし、前者又は後者の総印刷枚数に、既に実行済みの他の印刷ジョブにおける総印刷枚数を加算した印刷枚数であってもよい。
【0054】
上記変形例により、記録シートへの印刷枚数が増加し、熱定着時に記録シートから発生した水蒸気量が増加した場合においても、水蒸気量の増加に応じて、反転ローラ側搬送路を乾燥させる時間を長くすることができるので、記録シートから発生する水蒸気量に応じて反転ローラ側搬送路を乾燥させる時間を最適化することができる。
(2)実施の形態1においては、片面印刷ジョブ終了後、機内の温度又は湿度に係らず所定の一定時間、反転ローラ側搬送路の乾燥処理を行うこととしたが、結露の発生しやすさは、反転ローラ側搬送路周辺の機内の温度又は湿度によって影響されるため、機内の温度又は湿度に応じて、所定時間の長さを変更することとしてもよい。
【0055】
具体的には、図4に示す反転経路乾燥制御処理の動作を、図7及び図9に示すように、変形することとしてもよい。図7については、(1)において説明済みであるので、以下、図9に示す下降位置セット時間(t0)の補正処理の動作について説明する。
制御部60は、温湿度センサ75から、機内の温度(te)及び湿度(mo)を取得し(ステップS901)、teが20℃以下であれば(ステップS902)、所定時間(t0)を10秒延長した時間(t0+10)に変更する(ステップS903)。
【0056】
例えば、所定時間が60秒であるとき、teが20℃以下の場合には、所定時間を70秒に延長する。さらに、moが60%以上であれば(ステップS904:YES)所定時間(t0)を10秒延長した時間(t0+10)に変更する(ステップS905)。
例えば、teが20℃以下で(ステップS902:YES)、かつ、moが60%以上であれば(ステップS904:YES)、所定時間(t0)が、それぞれ、10秒ずつ延長される。具体的には所定時間が60秒であるときは、所定時間が80秒に延長される。
【0057】
一方、両者の何れかのみが、20℃以下(ステップS902:YES)又は60%以上である場合には(ステップS904:YES)、所定時間(t0)が10秒だけ延長される。
本変形例においては、te、moの閾値をそれぞれ、20℃、60%としたが、閾値は、この値に限定されず、プリンタが設置される部屋の環境条件やプリンタの機種により、適宜変更することができる。所定時間の延長時間についても同様である。
【0058】
実施の形態3における所定時間の長さについても、上記と同様の処理を行うことにより、機内の温度又は湿度に応じて、所定時間の長さを変更することとしてもよい。
具体的には、図6に示す反転経路乾燥制御処理の動作を、図14に示すように、変形し、図14における下降位置セット時間(t0)の補正処理(ステップS1401)の動作を、図9に示す処理と同様に行うこととしてもよい。
【0059】
上記変形例により、機内の温度が低下又は湿度が上昇することにより、機内に結露が発生しやすい状況になると、それに応じて反転ローラ側搬送路を乾燥させる時間を長くすることができるので、機内における温度又は湿度に応じて反転ローラ側搬送路を乾燥させる時間を最適化することができる。
(3)実施の形態2においては、片面印刷ジョブにおける記録シートへの総印刷枚数のカウント値(tp)に係らず、閾値によって規定される一定の印刷枚数の印刷が連続して実行される毎に、反転ローラ側搬送路を乾燥させる処理を行うこととしたが、熱定着時に記録シートから発生する水蒸気の量は、総印刷枚数の増加に伴い増加するため、当該総印刷枚数のカウント値(tp)に応じて、閾値の値を変更し、上記乾燥させる処理を行う連続印刷枚数を変更することとしてもよい。
【0060】
なお、閾値の値の変更基準となる総印刷枚数tpは、実行中の印刷ジョブにおける総印刷枚数であってもよいし、当該実行中の印刷ジョブにおける実行済みの総印刷枚数であってもよいし、前者又は後者の総印刷枚数に、既に実行済みの他の印刷ジョブにおける総印刷枚数を加算した印刷枚数であってもよい。
具体的には、図10及び図11に示す処理を行い、片面印刷ジョブにおける総印刷枚数のカウント値(tp)に応じて、閾値を決定することとしてもよい。図10は、図5に示す反転経路乾燥制御処理の動作の変形例を示す。同図において、図5に示す処理と同一の処理については、同一のステップ番号を付している。
【0061】
以下、相違する処理について説明すると、制御部60は、ステップ505の処理を実行した後、閾値Aの補正処理を行い(ステップS1001)、当該補正処理において変数pが、決定した閾値Aを超えると(ステップS1002)、ステップS507の処理に移行する。
図11は、閾値Aの補正処理の動作を示すフローチャートである。制御部60は、印刷枚数カウンタ605を介して当該片面印刷ジョブにおいて、現時点までに排出ローラ73から排出された記録シートSの排出枚数を、当該片面印刷ジョブにおける総印刷枚数のカウント値(tp)として取得し、tpが閾値(ここでは、例えば、100とする。)を超えていれば(ステップS1101:YES)、閾値Aを2と決定し(ステップS1102)、tpが閾値を超えていなければ(ステップS1101:NO)、閾値Aを5と決定する。
【0062】
閾値Aの決定方法は、図11に示す場合に限定されず、tpの増加に応じて、閾値が小さくなるように決定する方法であれば、他の方法であってもよい。
又、実施の形態3における閾値の値についても、上記と同様の処理を行うことにより、閾値を総印刷枚数のカウント値(tp)に応じて変更することとしてもよい。具体的には、図6に示す反転経路乾燥制御処理の動作を、図13に示すように、変形することとしてもよい。
【0063】
図13において、図6に示す処理と同一の処理については、同一のステップ番号を付している。
以下、相違する処理について説明すると、制御部60は、ステップS605の処理を実行した後、閾値Bの補正処理を行い(ステップS1301)、変数pが、当該補正処理において決定した閾値Bを超えると(ステップS1302:YES)、ステップS607の処理に移行する。なお、閾値Bの補正処理の動作は、図11に示す閾値Aの補正処理の動作と同様である。
【0064】
上記変形例により、記録シートへの印刷枚数が増加し、熱定着時に記録シートから発生した水蒸気量が増加した場合においても、水蒸気量の増加に応じて、片面印刷中に反転ローラ側搬送路を乾燥させる乾燥処理を行う頻度を増加させることができるので、記録シートから発生する水蒸気量に応じて当該乾燥処理を行う頻度を最適化することができる。
(4)実施の形態2においては、機内の温度又は湿度に係らず、閾値によって規定される一定の印刷枚数の印刷が連続して実行される毎に、反転ローラ側搬送路の乾燥処理を行うこととしたが、結露の発生しやすさは、反転ローラ側搬送路周辺の機内の温度又は湿度によって影響されるため、機内の温度又は湿度に応じて、上記乾燥させる処理を行う連続印刷枚数を変更することとしてもよい。
【0065】
具体的には、図5に示す反転経路乾燥制御処理の動作を、図10及び図12に示すように、変形することとしてもよい。図10については、(3)において説明済みであるので、以下、図12に示す閾値Aの補正処理の動作について説明する。
制御部60は、温湿度センサ75から、機内の温度(te)及び湿度(mo)を取得し(ステップS1201)、teが20℃以下であれば(ステップS1202)、閾値Aの値Aを、1だけ小さい値(A−1)に変更する(ステップS1203)。
【0066】
例えば、閾値Aが2であるとき、teが20℃以下の場合には、閾値Aを1に変更する。さらに、moが60%以上であれば(ステップS1204:YES)閾値Aの値Aを1だけ小さい値(A−1)に変更する(ステップS1205)。
例えば、teが20℃以下で(ステップS1202:YES)、かつ、moが60%以上であれば(ステップS1204:YES)、閾値Aが、それぞれ、1ずつ減らされる。具体的には閾値Aが2であるときは、閾値Aが0に変更される。
【0067】
一方、両者の何れかのみが、20℃以下(ステップS1202:YES)又は60%以上である場合には(ステップS1204:YES)、閾値Aが、1だけ減らされる。
本変形例においては、te、moの閾値をそれぞれ、20℃、60%としたが、閾値は、この値に限定されず、プリンタが設置される部屋の環境条件やプリンタの機種により、適宜変更することができる。閾値Aの減少量についても同様である。
【0068】
又、実施の形態3における閾値の値についても、上記と同様の処理を行うことにより、機内の温度又は湿度に応じて、閾値の値を変更することとしてもよい。具体的には、図6に示す反転経路乾燥制御処理の動作を、図13に示すように、変形し、図13における閾値Bの補正処理(ステップS1301)の動作を、図12に示す閾値Aの補正処理と同様に行うこととしてもよい。
【0069】
上記変形例により、機内の温度が低下又は湿度が上昇することにより、機内に結露が発生しやすい状況になると、それに応じて片面印刷中に反転ローラ側搬送路を乾燥させる乾燥処理を行う頻度を増加させることができるので、機内における温度又は湿度に応じて当該乾燥処理を行う頻度を最適化することができる。
(5)実施の形態1及び3において、変形例(1)及び(2)の処理を組み合わせることにより、所定時間の長さを決定することとしてもよい。
(6)実施の形態2及び3において、変形例(3)及び(4)の処理を組み合わせることにより、閾値の値を変更することとしてもよい。
(7)実施の形態2においては、反転ローラ側搬送路を乾燥させる期間を、変数pが閾値を超えてから(図5のステップS506:YES)、記録シートSが、定着装置5の手前を通過したことが検出されるまで(ステップS510:YES)としている。
【0070】
しかし、当該期間は、この場合に限定されず、当該閾値を超えてから、記録シートSが切替ガイド部材74の位置に達するまでの間の所定期間であればよい。例えば、反転ローラ側搬送路を乾燥させる期間をより長くとるために、定着装置5と切替ガイド部材74との間に通紙センサを設け、変数pが閾値を超えてから、記録シートSが当該通紙センサを通過するまでの期間、反転ローラ側搬送路を乾燥させることとしてもよい。
(8)実施の形態1〜3及び変形例(1)〜(4)において、切替ガイド部材74を下降位置にセットし、記録シートSの搬送路を反転ローラ側搬送路に切替え、定着装置5から発生する熱流を反転ローラ側搬送路へ導き、当該搬送路を乾燥させる際に、定着装置5の定着ローラを回転させ、定着装置5の温度を、切替ガイド部材74を下降位置にセットする前よりも上昇させることとしてもよい。
【0071】
或いは、定着装置5の温度のみを、切替ガイド部材74を下降位置にセットする前よりも上昇させることとしてもよい。
これにより、反転ローラ側搬送路の乾燥処理時において、当該搬送路により高温の熱流を導くことができ、当該搬送路の乾燥効果を高めることができる。
(9)実施の形態1の反転経路乾燥制御処理に実施の形態2或いは実施の形態3の反転経路乾燥制御処理を組み合わせることにより、反転経路乾燥制御処理を行うこととしてもよい。上記において説明した実施の形態1〜3のそれぞれに対応する各変形例についても同様に組み合わせることにより、反転経路乾燥制御処理を行うこととしてもよい。
【0072】
このように、各実施の形態に係る反転経路乾燥制御処理を組み合わせて実行することにより、反転ローラ側搬送路の乾燥処理に伴う印刷待ち時間や印刷中断回数等を減らすことができ、印刷処理の生産性を高めることができる。
(10)実施の形態1においては、図4に示す反転経路乾燥制御処理において、次の印刷ジョブが両面印刷である場合に限り(ステップS404:YES)、当該次の印刷ジョブの開始を遅らせることとしたが、次の印刷ジョブが、両面印刷であるか、片面印刷であるかにかかわらず、当該次の印刷ジョブの開始を遅らせることとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
プリンタ、複写機等の画像形成装置に関し、特に、記録シートの熱定着時に生ずる水蒸気に起因して発生する、画像形成装置内部の結露を防止する技術として利用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 プリンタ
3 画像プロセス部
3Y〜3K 作像部
4 給紙部
5 定着装置
7 排出部
8 反転部
9 操作パネル
10 露光部
11 中間転写ベルト
12 駆動ローラ
13 従動ローラ
31Y 感光体ドラム
32Y 帯電器
33Y 現像器
34Y 一次転写ローラ
41 給紙カセット
42 繰り出しローラ
43 搬送路
44 タイミングローラ対
45 二次転写ローラ
46 二次転写位置
47,48 通紙センサ
60 制御部
70 分岐点
71 反転ローラ
72 排紙トレイ
73 排出ローラ
74 切替ガイド部材
75 温湿度センサ
80 反転搬送経路
81、82、83、84 搬送ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面印刷機能と両面印刷機能とを備えた画像形成装置であって、
記録シートにトナー像を熱定着する定着装置と、
前記定着装置の下流側に設けられ、片面印刷時に、熱定着後の記録シートを機外へ排出する排出ローラと、
前記定着装置の下流側に設けられ、両面印刷時に、片面のみ熱定着された記録シートが搬送されると、当該記録シートを搬送方向と逆方向に搬送する反転ローラと、
前記定着装置の下流側で、前記排出ローラ及び前記反転ローラの上流側に設けられ、姿勢を変更することにより、前記定着装置から搬送された記録シートと前記定着装置から発生する熱流とを、前記排出ローラ方向と、前記反転ローラ方向の何れかの方向に導く切替ガイド部材と、
前記切替ガイド部材の姿勢を制御し、片面印刷終了後に、前記反転ローラ方向に前記熱流を、所定時間導くように前記切替ガイド部材の姿勢制御をする姿勢制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記姿勢制御がされた状態で、前記所定時間が経過するまで、次の印刷の実行を遅延させる遅延手段
を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記遅延手段は、次の印刷が両面印刷である場合に、次の印刷の実行を遅延させる
ことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
直前に終了した片面印刷において、前記排出ローラから排出された記録シートが多い程、時間が長くなるように前記所定時間を決定する決定手段を
備えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
自装置内の温度又は湿度を測定する測定手段と、
自装置内における温度が低い程又は湿度が高い程、時間が長くなるように前記所定時間を決定する決定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
片面印刷機能と両面印刷機能とを備えた画像形成装置であって、
記録シートにトナー像を熱定着する定着装置と、
前記定着装置の下流側に設けられ、片面印刷時に、熱定着後の記録シートを機外へ排出する排出ローラと、
前記定着装置の下流側に設けられ、両面印刷時に、片面のみが熱定着された記録シートが搬送されると、当該記録シートを搬送方向と逆方向に搬送する反転ローラと、
前記定着装置の下流側で、前記排出ローラ及び前記反転ローラの上流側に設けられ、姿勢を変更することにより、前記定着装置から搬送された記録シートと前記定着装置から発生する熱流とを、前記排出ローラ方向と、前記反転ローラ方向の何れかの方向に導く切替ガイド部材と、
前記切替ガイド部材の姿勢を制御し、片面印刷時において、印刷開始後、前記排出ローラから排出される記録シートの枚数が所定数に達するまで、前記排出ローラ方向に記録シートを導くように前記切替ガイド部材の姿勢を制御し、当該記録シートの枚数が所定数に達すると、所定数に達してから次の記録シートが、前記切替ガイド部材に達するまでの間の所定期間、前記反転ローラ方向に前記熱流を導くように、前記切替ガイド部材の姿勢を制御する姿勢制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記姿勢制御手段は、前記印刷開始後、前記排出ローラから排出される記録シートの枚数が前記所定数に達する毎に、前記反転ローラ方向に前記熱流を導くように前記切替ガイド部材の姿勢の制御を開始し、当該制御を開始してから前記所定期間が経過すると、前記排出ローラ方向に記録シートを導くように前記切替ガイド部材の姿勢を制御する
ことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成装置は、前記印刷開始後、当該印刷ジョブを中断することなく前記排出ローラから排出された記録シートの枚数が前記所定数に達すると、当該印刷ジョブを所定時間、中断させる印刷ジョブ制御手段を備え、
前記姿勢制御手段は、前記所定時間、前記反転ローラ方向に前記熱流を導くように、前記切替ガイド部材の姿勢を制御する
ことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記片面印刷時において、前記排出ローラから排出された記録シートの総数が多い程、小さくなるように前記所定数を決定する決定手段を
備えることを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
自装置内の温度又は湿度を測定する測定手段と、
自装置内における温度が低い程又は湿度が高い程、小さくなるように前記所定数を決定する決定手段と、
備えることを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記片面印刷時において、前記排出ローラから排出された記録シートの総数が多い程、時間が長くなるように前記所定時間を決定する決定手段を
備えることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項12】
自装置内の温度又は湿度を測定する測定手段と、
自装置内における温度が低い程又は湿度が高い程、時間が長くなるように前記所定時間を決定する決定手段と、
を備えることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記姿勢制御手段により、前記反転ローラ方向に前記熱流が導かれるように、前記切替ガイド部材の制御がなされる際に、前記定着装置の温度が、当該制御が行われる前よりも上昇するように温度制御を行う温度制御手段を
備えることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記定着装置は、定着ローラを有し、
前記温度制御手段は、前記温度制御を行う際に、前記定着ローラを回転させる
ことを特徴とする請求項13記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−8071(P2011−8071A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152124(P2009−152124)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】