説明

画像形成装置

【課題】吸引キャップ内を吸引した後大気開放を行うと、流入した空気によってキャップ内が圧縮されてインクが大気開放口から噴出す。
【解決手段】吸引キャップ92Aには、下部に吸引口160が設けられ、上部に大気開放口161が設けられて、吸引口160は吸引用流路162を介して吸引ポンプ96に接続され、大気開放口161には弾性変形可能なチューブからなる大気開放流路171が接続され、この大気開放流路171の開き量を調整可能に開閉する開閉手段98を設け、開閉手段98は回転角に応じて大気開放流路171を潰すことで、大気開放口161を、閉じた状態、第1の開き量で開いた状態、第2の開き量で開いた状態にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体、樹脂などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
ところで、液体吐出方式の画像形成装置において、記録ヘッドのノズルの吐出安定性を維持し、ノズル内のインク乾燥、ノズル内への埃混入防止のため、記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、記録ヘッドのノズル面を払拭して清浄化するワイパ部材(ワイパブレード、ワイピングブレード、ブレードなどとも称される。)などを含む維持回復機構を備え、例えばノズルから増粘インクをキャップ内に排出した後、ノズル面をワイパ部材で払拭してノズルメニスカスを形成する回復動作などを行なう。
【0005】
従来の維持回復機構として、垂直方向に配設された記録ヘッドのノズル面をキャッピングし、上端部に大気開放口が設けられ、下方側部に吸引口が設けられた吸引キャップを備え、吸引キャップの吸引口にチューブポンプを接続し、大気開放口を開閉する開閉手段を備えるものが知られている(特許文献1、特許文献2も参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4186557号公報
【特許文献2】特許第3589238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように記録ヘッドのノズル面を垂直に配設して、キャップでノズル面をキャッピングし、吸引手段による吸引動作を行うと、キャップ内において、液体は重力方向で下側から溜まることになり、この状態で、キャップをノズル面から離間させると、液体が垂れて装置内部を汚すことになる。そこで、キャップをノズル面から離間する前段階で、キャップに設けられた大気開放口を開閉手段にて開放し、吸引手段でキャップ内の液体を吸引してから、キャップを離間させる。
【0008】
しかしながら、この大気開放口と大気開放口を開閉させる開閉手段を設けたキャップにあっては、キャップに接続された吸引手段が、例えばチュービングポンプのように、流路を常に閉塞させる吸引ポンプである場合、大気開放口を開放すると、大気からキャップ内に流れ込んだ空気の抜け道がないため、キャップ内の圧力が瞬間的に上昇(圧力オーバーシュート)してしまい、その結果、キャップ内に残存した液体が内部のオーバーシュートにより、大気開放口を経由して開閉手段を通じてキャップ外に飛び出してしまうという課題がある。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、キャップ内を大気開放するときにキャップ内に排出された液体がキャップ外に飛び出すことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、
前記キャップの吸引口に接続された吸引手段と、
前記キャップの大気開放口を開閉する開閉手段と、を備え、
前記吸引手段及び前記開閉手段を駆動制御する制御手段と、を備え、
前記開閉手段は、前記大気開放口の開き量を、少なくとも、第1の開き量と、前記第1の開き量より大きい第2の開き量に調整可能であり、
前記制御手段は、前記吸引手段を駆動して前記記録ヘッドから前記吸引キャップ内に液体を吸引させ、前記吸引手段を内部の流路を閉塞した状態で停止させた後、前記開閉手段を第1の開き量で開かせ、所要量の空気が前記吸引キャップ内に流れ込んだ後、前記開閉手段を第2の開き量で開かせる制御をする
構成とした。
【0011】
ここで、前記開閉手段は、一端部が前記吸引キャップの大気開放口に接続され、他端部が大気に開放された弾性変形可能な大気開放経路と、前記大気開放経路を押圧量を可変するカム部材と、を有している構成とできる。
【0012】
また、前記開閉手段は、前記吸引キャップの大気開放口、又は、一端部が前記吸引キャップの大気開放口に接続され、他端部が大気に開放された大気開放経路の前記他端部の開口を開閉するニードル弁を有している構成とできる。
【0013】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、
前記キャップの吸引口に接続された吸引手段と、
前記キャップの大気開放口に接続された大気開放経路を開閉する開閉手段と、
前記大気開放経路に設けられた圧力室と、を備え、
前記圧力室は少なくとも一部が変形可能な可撓性部材で形成されている
構成とした。
【0014】
ここで、前記圧力室内には前記可撓性部材を前記圧力室内の容積を拡大する方向に付勢する付勢手段が設けられている構成とできる。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、
前記キャップの吸引口に接続された吸引手段と、
前記キャップの大気開放口又は前記大気開放口に接続された大気開放経路を開閉する開閉手段と、を備え、
前記キャップの一部に変形可能な可撓性部材で形成された部分を有している
構成とした。
【0016】
ここで、前記可撓性部材は前記キャップの前記大気開放口が設けられた側面部分に設けられている構成とできる。
【0017】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、
前記キャップの吸引口に接続された吸引手段と、
前記キャップの大気開放口又は前記大気開放口に接続された大気開放経路を開閉する開閉手段と、を備え、
前記吸引手段を迂回する迂回経路と、前記キャップの吸引口を前記吸引手段への経路と迂回経路との間で切替える切替手段と、を有している
構成とした。
【0018】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、
前記キャップの吸引口に接続された吸引手段と、
前記キャップの大気開放口又は前記大気開放口に接続された大気開放経路を開閉する開閉手段と、を備え、
前記吸引手段がチューブポンプであり、
前記開閉手段が前記大気開放口又は前記大気開放経路を開くときに、前記吸引手段を内部の流路が開いた状態に駆動制御する手段を有している
構成とした。
【0019】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、
前記キャップの吸引口に接続された吸引手段と、
前記キャップの大気開放口又は前記大気開放口に接続された大気開放経路を開閉する開閉手段と、を備え、
前記大気開放口又は前記大気開放経路には、大気から前記キャップに向かう方向のみの流れを許容する逆止弁が設けられている
構成とした。
【0020】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、
前記キャップの吸引口に接続された吸引手段と、
前記キャップの第1の大気開放口又は前記第1の大気開放口に接続された大気開放経路を開閉する開閉手段と、を備え、
前記キャップには前記第1の大気開放口とは別の第2の大気開放口が設けられている
構成とした。
【0021】
ここで、前記第2の大気開放口又は第2の大気開放口に接続された大気開放経路に、前記キャップ内から大気に向かう方向のみの流れを許容する逆止弁が設けられている構成とできる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る画像形成装置によれば、開閉手段は、大気開放口の開き量を、少なくとも、第1の開き量と、第1の開き量より大きい第2の開き量に調整可能であり、制御手段は、吸引手段を駆動して記録ヘッドから吸引キャップ内に液体を吸引させ、吸引手段を内部の流路を閉塞した状態で停止させた後、開閉手段を第1の開き量で開かせ、所要量の空気が吸引キャップ内に流れ込んだ後、開閉手段を第2の開き量で開かせる制御をする構成としたので、キャップ内の圧力が急激に上昇してキャップ内の液体がキャップ外に飛び出すことが防止される。
【0023】
本発明に係る画像形成装置によれば、大気開放経路に設けられた圧力室を備え、圧力室は少なくとも一部が変形可能な可撓性部材で形成されている構成としたので、キャップ内の圧力が急激に上昇してキャップ内の液体がキャップ外に飛び出すことが防止される。
【0024】
本発明に係る画像形成装置によれば、キャップの一部に変形可能な可撓性部材で形成された部分を有している構成としたので、キャップ内の圧力が急激に上昇してキャップ内の液体がキャップ外に飛び出すことが防止される。
【0025】
本発明に係る画像形成装置によれば、吸引手段を迂回する迂回経路と、キャップの吸引口を吸引手段への経路と迂回経路との間で切替える切替手段と、を有している構成としたので、キャップ内の圧力が急激に上昇してキャップ内の液体がキャップ外に飛び出すことが防止される。
【0026】
本発明に係る画像形成装置によれば、吸引手段がチューブポンプであり、開閉手段が大気開放口又は大気開放経路を開くときに、吸引手段を内部の流路が開いた状態に駆動制御する手段を有している構成としたので、キャップ内の圧力が急激に上昇してキャップ内の液体がキャップ外に飛び出すことが防止される。
【0027】
本発明に係る画像形成装置によれば、大気開放口又は大気開放経路には、大気からキャップに向かう方向のみの流れを許容する逆止弁が設けられている構成としたので、キャップ内の圧力が急激に上昇してキャップ内の液体がキャップ外に飛び出すことが防止される。
【0028】
本発明に係る画像形成装置によれば、キャップの第1の大気開放口又は第1の大気開放口に接続された大気開放経路を開閉する開閉手段を備え、キャップには第1の大気開放口とは別の第2の大気開放口が設けられている構成としたので、キャップ内の圧力が急激に上昇してキャップ内の液体がキャップ外に飛び出すことが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る画像形成装置の機構部の側面説明図である。
【図2】図1を矢示A方向から見た説明図である。
【図3】記録ヘッドの説明図である。
【図4】同装置の維持回復機構の説明図である。
【図5】制御部のブロック説明図である。
【図6】維持回復動作の説明に供するフロー図である。
【図7】比較例の維持回復機構の説明図である。
【図8】比較例の維持回復機構における圧力オーバーシュートの説明に供する説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態における維持回復機構の説明に供する説明図である。
【図10】同じくその動作説明に供する説明図である。
【図11】本発明の第3実施形態における維持回復機構の説明に供する説明図である。
【図12】同じくその動作説明に供する説明図である。
【図13】本発明の第4実施形態における維持回復機構の説明に供する説明図である。
【図14】本発明の第5実施形態における維持回復機構の説明に供する説明図である。
【図15】本発明の第6実施形態における維持回復機構の説明に供する説明図である。
【図16】本発明の第7実施形態における維持回復機構の説明に供する説明図である。
【図17】本発明の第8実施形態の説明に供する吸引ポンプの説明図である。
【図18】本発明の第9実施形態の説明に供する説明図である。
【図19】本発明の第10実施形態の説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の機構部の側面説明図、図2は図1を矢示A方向から見た説明図である。
【0031】
この画像形成装置は、シリアル型画像形成装置であり、装置本体の内部に画像形成部2、搬送機構部5等を有し、装置本体の下方側に被記録媒体である用紙10を積載可能な給紙トレイ(給紙カセットを含み、給紙部の意味で使用する。)4を備え、この給紙トレイ4から給紙される用紙10を取り込み、搬送機構5によって用紙10を垂直方向(鉛直方向に沿う方向)に間歇的に搬送しながら、画像形成部2によって水平方向に液滴を吐出させて所要の画像を記録した後、排紙部6を通じて画像が形成された用紙10を更に上方向に搬送して、装置本体の上方側に設けられた排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0032】
また、両面印刷を行うときには、一面(表面)印刷終了後、排紙部6から反転部8内に用紙10を取り込み、搬送機構部5によって用紙10を逆方向(下方向)に搬送しながら反転させて他面(裏面)を印刷可能面として再度搬送機構5に送り込み、他面(裏面)印刷終了後排紙トレイ7に用紙10を排紙する。
【0033】
ここで、画像形成部2は、左右の側板101L、101R間に横架した主ガイド部材21及び従ガイド部材22で、記録ヘッド24を搭載したキャリッジ23を摺動自在に保持し、主走査モータ25によって、駆動プーリ26と従動プーリ27間に渡したタイミングベルト28を介して主走査方向に移動走査する。
【0034】
キャリッジ23には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド24a、24b(区別しないときは上記のとおり「記録ヘッド24」という。)を、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、滴吐出方向を水平方向に向けて装着している。つまり、液滴を吐出するノズルが形成されたノズル面が垂直方向に配置され、水平方向に向けて液滴を吐出する記録ヘッド24を備える水平打ち方式を採用している。
【0035】
記録ヘッド24は、図3に示すように、それぞれ複数の液滴を吐出するノズル124bが列設された2つのノズル列Na、Nbを有し、記録ヘッド24aの一方のノズル列Naはイエロー(Y)の液滴を、他方のノズル列Nbはマゼンタ(Y)の液滴を、記録ヘッド24bの一方のノズル列Naはブラック(K)の液滴を、他方のノズル列Nbはシアン(C)の液滴を、それぞれ吐出する。
【0036】
なお、記録ヘッド24を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。また、キャリッジ23には、インクと反応することでインクの定着性を高める定着液を吐出する液体吐出ヘッドなども搭載できる。
【0037】
また、キャリッジ23には、記録ヘッド24の各ノズル列Na、Nbに対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク29が搭載され、このヘッドタンク29には、装置本体に着脱自在に装着される各色のインクカートリッジ(メインタンク)30から供給チューブ31を介してインクが供給される。
【0038】
また、キャリッジ23の主走査方向に沿って両側板101L、101R間に、所定のパターンを形成したエンコーダスケール121を張装し、キャリッジ23にはエンコーダスケール121のパターンを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ122を設け、これらのエンコーダスケール121とエンコーダセンサ122によってキャリッジ23の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)123を構成している。
【0039】
また、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド24のノズル124bの状態を維持し、回復するための維持回復機構9を配置している。この維持回復機構9には、記録ヘッド24の各ノズル面124(図3参照)をキャピングするための吸引キャップ92A及び保湿キャップ92B(区別しないときは「キャップ92」という。)と、ノズル面124を矢示方向に移動してワイピング(払拭)するワイパ部材(ワイパブレード)93が保持され、また増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる予備吐出(空吐出)を行うときの液滴を受ける空吐出受け94などを備えている。吸引キャップ92Aには吸引手段としての吸引ポンプ96が接続され、吸引ポンプ96は廃液タンク97に通じている。
【0040】
給紙トレイ4の用紙10は、給紙コロ(半月コロ)43と分離パッド44によって1枚ずつ分離されて装置本体内に給紙され、搬送ガイド部材45に沿って、搬送機構部5の搬送ベルト51と押えコロ48との間に送り込まれ、搬送ベルト51に吸着されて搬送される。
【0041】
搬送機構部5は、駆動ローラである搬送ローラ52と従動ローラ53との間に掛け渡した無端状の搬送ベルト51と、この搬送ベルト51を帯電させるための帯電ローラ54と、画像形成部2に対向する部分で搬送ベルト51の平面性を維持するプラテン部材55となどを有している。
【0042】
搬送ベルト51は、副走査モータ151によってタイミングベルト152及びタイミングプーリ153を介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって、ベルト搬送方向(副走査方向、用紙搬送方向)に周回移動する。この搬送ベルト51のうち、画像形成部2に対向して用紙10を吸着する搬送ローラ52から従動ローラ53までの領域を正搬送部分51aとし、従動ローラ53から搬送ローラ52までの領域を逆搬送部分51bという。
【0043】
また、搬送ローラ52の軸52aにはコードホイール154を取り付け、このコードホイール154に形成したパターンを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ155を設けて、これらのコードホイール154とエンコーダセンサ155によって搬送ベルト51の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)156を構成している。
【0044】
排紙部6は、排紙ガイド部材61と、排紙搬送ローラ62及び拍車63と、排紙ローラ64及び拍車65とが配置され、画像が形成された用紙10を排紙ローラ64及び拍車65間から排紙トレイ7上にフェイスダウンで排紙する。
【0045】
また、反転部8は、排紙トレイ7に一部を排出した用紙10をスイッチバック方式で反転して搬送ベルト51と押えコロ48との間に送り込むため、排紙経路と反転経路を切り替える切替爪81と、反転ガイド部材82と、反転ローラ83及び反転コロである拍車84と、従動ローラ53に対向する従動補助ローラ85と、搬送ベルト51の逆送部分51bと、搬送ベルト51の逆送部分51bから分離された用紙10を、帯電ローラ54を迂回させて、搬送ベルト51と押えコロ48との間に案内する迂回ガイド部材86などを備えている。
【0046】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ4から用紙10が1枚ずつ分離給紙され、帯電された搬送ベルト51に用紙10が静電吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙10が垂直方向に搬送される。そこで、キャリッジ23を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド24を駆動することにより、停止している用紙10にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行い、記録が終了した用紙10を排紙トレイ7に排紙する。
【0047】
そして、記録ヘッド24のノズルの維持回復を行うときには、キャリッジ23をホーム位置である維持回復機構9に対向する位置に移動して、吸引キャップ92aによるキャッピングを行ってノズル124bからの吸引排出を行うノズル吸引、画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出などの維持回復動作を行うことにより、安定した液滴吐出による画像形成を行うことができる。
【0048】
また、両面印刷を行う場合には、第1面印刷は上述したとおりの動作を行い、用紙10の後端が反転部分岐(切替爪81)を通過すると、排紙ローラ64が反転駆動されて用紙10がスイッチバックされ、反転ガイド部材82側に案内され、反転ローラ83と拍車84の間で搬送され、搬送ベルト51の逆搬送部分51bと搬送補助ローラ85との間へと用紙10が送り込まれる。
【0049】
これにより、用紙10は搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって搬送され、搬送ローラ52側で搬送ベルト51から分離されて、迂回ガイド部材86で案内され(迂回パスを経由し)、再度搬送ベルト51の正搬送部分51aと押圧コロ48との間に送り込まれて搬送ベルト51に吸着され、再度記録ヘッド24による画像形成領域に吸着搬送されることで第2面印刷が行われた後、排紙トレイ7に排紙される。
【0050】
ここで、帯電ローラ54は、反転時の迂回パスの内側(迂回ガイド部材86の内側)に配置されているため、用紙10は常に新規に帯電された状態の搬送ベルト51上に吸着されることになる。
【0051】
次に、本発明の第1実施形態における維持回復機構について図4を参照して説明する。なお、図4は同維持回復機構の説明に供する説明図である。
記録ヘッド24はサブタンク29と一体構成であり、ノズル面124は重力方向に対して略垂直(垂直を含む)に配置されている。吸引キャップ92Aは、ノズル面124に当接してキャッピングすることで、ノズル124bの保湿及び保護を行う。
【0052】
この吸引キャップ92Aは、キャップスライダ140内に保持されたキャップホルダ147に保持され、キャップホルダ147とスライダ140との間には吸引キャップ92Aのノズル面124に対する密着性を高めるために、吸引キャップ92Aをノズル面124側に向けて付勢する付勢ばね146が介装されている。キャップスライダ140は、ガイド部材158内に摺動可能に嵌め込まれ、キャップスライダ140のカムピン部材155がカム156のカム溝157に移動可能に係合され、カム156が回転することでキャップスライダ140が吸引キャップ92Aをノズル面124に対して当接又は離間する方向に移動させる。なお、キャップホルダ147はキャップスライダ140の係止部164にて係止されている。
【0053】
吸引キャップ92Aには、下部に吸引口160が設けられ、上部に大気開放口161が設けられている。この吸引口160は吸引用流路162を介してチューブポンプからなる吸引ポンプ96に接続され、吸引ポンプ96の下流側は排出流路163を通じて廃液タンク97に連通している。大気開放口161には弾性変形可能なチューブからなる大気開放流路(経路)171が接続され、この大気開放流路171の開き量を調整可能に開閉する開閉手段98を設けている。
【0054】
開閉手段98は、ベース部材172上を通過するように配置された大気開放流路171を押し潰す、回転可能に配設されたカム173を有している。このカム173を回転させることで大気開放流路171の押し潰し量を調整することができて、大気開放流路171を閉じた状態と、少なくとも第1の開き量で開いた状態及び第1の開き量よりも大きな第2の開き量で開いた状態(いずれも開状態)にすることができる。なお、ベース部材172には、カム173が大気開放流路171を確実に潰せるように、大気開放流路171を嵌め込む凹みが設けられていることが好ましい。また、カム173の駆動源は、カム156の駆動源と共通とすることもできるし、独立とすることもできる。
【0055】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図5のブロック説明図を参照して説明する。
この制御部500は、この装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501に本発明に係る制御(処理)を実行させるプログラムを含む各種プログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505などを備えている。
【0056】
また、記録ヘッド24を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ23側に設けた記録ヘッド24を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ23を移動走査する主走査モータ25、搬送ベルト51を周回移動させる副走査モータ151を駆動するためのモータ駆動部510、511と、帯電ローラ54にACバイアスを供給するACバイアス供給部512などを備えている。
【0057】
また、制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
【0058】
そして、制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0059】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0060】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0061】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド24の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド24の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド24を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など滴量の異なる液滴を吐出させて大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0062】
I/O部513は、主走査エンコーダ123、副走査エンコーダ156、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、511、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するためのキャリッジ23に設けられた光学センサ(用紙センサ)521や、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0063】
例えば、CPU501は、主走査エンコーダ123を構成するエンコーダセンサ122からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて主走査モータ25に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介して主走査モータ25を駆動する。同様に、副走査エンコーダ156を構成するエンコーダセンサ155からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて副走査モータ151対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部211を介して副走査モータ151を駆動する。
【0064】
また、制御部500は、維持回復駆動部534を介して、維持回復モータ530を駆動制御して、キャップ92を記録ヘッド24のノズル面124に対して進退移動させるキャップ移動機構531(前述したカム156を含む)を移動させ、吸引ポンプ96を駆動する。なお、維持回復モータ530の一方向の回転でキャップ移動機構531がキャップ92をノズル面に対して移動させ、維持回復モータ530の逆方向の回転で吸引ポンプ96が駆動される(吸引動作を行なう。)。また、維持回復駆動部534を介して、モータ533を駆動制御して、ワイパ部材94を移動させるワイパ移動機構532を駆動する。また、維持回復駆動部534を介して、モータ535を駆動制御して、開閉手段98のカム173を回転制御する(すなわち、制御部500は開閉手段を駆動制御する本発明における制御手段である。)。
【0065】
次に、この画像形成装置における維持回復動作について図6のフロー図を参照して説明する。
記録ヘッド24のノズル124bの目詰まりが発生した場合やヘッドタンク29の負圧が保たれずにノズル124bのメニスカスが破壊された場合、その他予め定めた所定のタイミングなどで維持回復動作を行なう。
【0066】
維持回復動作では、記録ヘッド24を吸引キャップ92Aに対向する主走査位置にしてキャップ移動機構531を駆動して吸引キャップ92Aを移動させ、キャップ92Aで記録ヘッド24のノズル面124をキャッピングする。このとき、開閉手段98は閉じられている。
【0067】
そして、吸引ポンプ96を駆動して吸引キャップ92A内空間を負圧にすることで、記録ヘッド24のノズル124bからインクを吸引キャップ92A内に吸引排出する吸引動作(ノズル吸引)を行う。
【0068】
この吸引動作の終了後、供給ポンプ13を正転駆動して、メインタンク11からヘッドタンク29にインクを供給し、ヘッドタンク29及び記録ヘッド24内の負圧レベルを低くする、又は正圧とする加圧動作を行う。
【0069】
この加圧動作終了後、開閉手段98を開く制御を行って、キャップ92A内の空間を大気に開放する大気開放動作を行う。そして、吸引ポンプ96を再駆動することで、吸引キャップ92Aに排出されて残留しているインクは排出経路162、163を通じて廃液タンク97に排出される(キャップ内排出動作)。
【0070】
この排出動作終了後、供給ポンプ13を逆転駆動して、ヘッドタンク29内のインクをメインタンク20側に戻すことにより、ヘッドタンク29及び記録ヘッド24側に所要の負圧を形成する(負圧形成動作)。
【0071】
そして、キャップ移動機構531を駆動してキャップ92Aを記録ヘッド24のノズル面から離間させる(デキャップ動作)。その後、記録ヘッド24のノズル面124をワイパ部材93によってワイピングして清浄化する。
【0072】
その後、空吐出受け94に向けて画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出動作を行なう。
【0073】
ここで、本発明の作用効果を明らかにするため、吸引キャップの大気開放口を単に開閉(ON/OFF)する開閉弁を備える比較例について図7及び図8を参照して説明する。
この比較例では、大気開放流路401の大気開放側に開閉弁400を設けて、単純に大気開放を閉じ、あるいは、開く動作を行なうようにしている。
【0074】
まず、この比較例でも、前述したように、吸引キャップ92Aでノズル面124をキャッピングして吸引ポンプ96でキャップ内密閉空間を吸引することで、キャップ内密閉空間が負圧になってノズル124bからインクが吸引排出される。ここで、吸引ポンプ96が、吸引キャップ92A内からのインクの吸引を停止すると、吸引キャップ92A内にあるインクは、重力方向、つまり吸引用流路162側に溜まるので、この状態で、吸引キャップ92Aをデキャップすると、吸引キャップ92Aからインクが垂れてしまうことになる。そこで、吸引キャップ92A内を大気に開放した後、吸引キャップ92A内に残留するインク(廃液)を吸引ポンプ96で吸引排出した後、デキャップを行う。
【0075】
ところが、吸引ポンプ96によって吸引キャップ92A内を減圧(負圧)にしてノズル吸引を行った状態で、吸引キャップ92Aの大気開放口161を急激に開放すると、吸引キャップ92A内部の廃液が大気開放口161と大気開放流路401を昇り、外部に吹き出てしまうという現象が発生する。
【0076】
この現象について、図8を参照して説明すると、吸引ポンプ96を駆動することで吸引キャップ92A内部の圧力が低下し続ける。したがって、吸引ポンプ96を駆動することで、吸引キャップ92A内の負圧と大気圧の相対的な圧力差が大きくなる。吸引ポンプ96の駆動を停止すると、吸引キャップ92A内部の圧力は、負圧のまま維持されている。このとき、大気開放口161が開放されて大気から吸引キャップ92A内に空気が一気に流れ込むと、空気は圧縮性を持つため、吸引キャップ92A内に流入した空気に逃げ道がない場合、一時的に圧縮されて吸引キャップ92A内が正圧になり、オーバーシュートを生じる。
【0077】
このオーバーシュートによって、吸引キャップ92A内に残留している廃液は、逃げ場が大気開放口161のみであるために、大気開放流路401から開閉弁400を通じて外部に飛び出してしまうことになる。
【0078】
これに対し、本実施形態では、前述した図4に示すように、吸引キャップ92Aの大気開放口161に接続される大気開放流路171は弾性変形可能なチューブとし、大気開放流路171を押し潰すカム173を設けている。大気開放流路171が弾性部材からなるため、カム173が押しつぶしても、カム173の位置によって復元することができる。つまり、カム173の回転制御を行うことで、大気開放流路171の潰し量(大気開放口161の開き量)を制御することが可能となり、吸引キャップ92Aと大気との間の開度(開き量)を所望の値に調整することができる。
【0079】
そこで、本実施形態において、吸引キャップ92A内を吸引ポンプ96で吸引するときは、大気開放口161を閉じる必要があるため、カム173によって大気開放流路171を完全に潰しきって閉じる。そして、吸引ポンプ96の駆動を停止させた後に、カム173を小さく回転させ、大気開放口161の開き量を小さい状態(第1の開き量)にする。大気開放口161の開き量が小さいと、吸引キャップ92Aと大気との圧力差によって大気から吸引キャップ92A内に流れ込む空気を絞ることができる。そして、吸引キャップ92A内に流れ込む空気の流量を制限することで、吸引キャップ92A内における空気の圧縮量も減るため、前述したオーバーシュートを起こすことがない。その結果、吸引キャップ92A内に残存した廃液が外部に飛び出すことを防止できる。
【0080】
このように、開閉手段は、大気開放口の開き量を、少なくとも、第1の開き量と、第1の開き量より大きい第2の開き量に調整可能であり、制御手段は、吸引手段を駆動して記録ヘッドから吸引キャップ内に液体を吸引させ、吸引手段を内部の流路を閉塞した状態で停止させた後、開閉手段を第1の開き量で開かせ、所要量の空気が吸引キャップ内に流れ込んだ後、開閉手段を第2の開き量で開かせる制御をする構成とすることで、吸引キャップの大気開放時にキャップ内の圧力が急激に上昇してキャップ内の液体がキャップ外に飛び出すことが防止される。
【0081】
次に、本発明の第2実施形態について図9及び図10を参照して説明する。なお、図9は同実施形態における維持回復機構の説明に供する説明図、図10は同じくその動作説明に供する説明図である。
本実施形態では、吸引キャップ92Aの大気開放口161に一端部を接続した大気開放流路(経路)201の他端部に開口量を調整可能な大気開放弁202を設けている。大気開放弁202は、図10に示すように、大気開放流路201の他端部に設けた弁座203の開口に対して進退可能に配設したニードル形状の弁体(ニードル弁)204を有している。ノードル弁204には軸部205が一体に設けられ、軸部205はガイド部材206に移動可能に挿通され、軸部205の後端部には押圧受け部207が一体に設けられて、ガイド部206と押圧受け部207との間にニードル弁204を開く方向に付勢する付勢部材209が介装されている。さらに、押圧受け部209には回転可能に配設されて図示しない駆動手段にて回転されるカム210が当接している。なお、ガイド部206は、汎用的なリニアブッシュのように、内部に設けられた穴に、摩擦抵抗を低減するために、複数の小球を配置した構成のものなどを用いることができる。
【0082】
なお、カム210とカム156の駆動源は、共通であっても良いし、独立した構成でも良い。また、ニードル弁204は、弁座203に対する密着性(シール性)を高めるために、弾性部材で構成されていることが好ましく、弾性部材は、透気性・透湿性の低い部材であることが好ましい。
【0083】
このように構成したので、図10(a)に示すように、カム210を回転させて大径部を押圧受け部207に当接させることで、押圧受け部207が付勢部材209の付勢力に抗してガイド部206側に押し込まれ、ニードル弁204が弁座203の開口内に進入して開口を閉じることによって、吸引キャップ92Aの大気開放口161(大気開放流路201)が閉じられる。また、図10(b)に示すように、カム210を回転させて小径部を押圧受け部207に当接させることで、押圧受け部207が付勢部材209の付勢力によってガイド部206から離間する側に押し出され、ニードル弁204が弁座203の開口内から後退して開口を開くことによって、吸引キャップ92Aの大気開放口161(大気開放流路201)が開かれる(大気開放状態になる)。
【0084】
ここで、ニードル弁204は、先端が細くなる形状であるので、弁座203の開口からの移動量によって開き量が決まり、その開き量はカム210の回転角で決定される。つまり、カム210の回転を制御することで、吸引キャップ92Aの大気開放口161(大気開放流路201)の開き量、即ち大気開放弁202の開き量を調整することができる。
【0085】
そこで、ニードル弁204の移動量が小さくなるように、カム210の回転を制御する(例えば図10(a)と(b)との間の角度にする)ことで、大気開放弁202の開き量を小さくできる。
【0086】
したがって、前述のように、吸引キャップ92A内にノズルから吸引した後に、大気開放弁202の開き量を小さく調整して開弁すれば、吸引キャップ92A内に流入する空気量を抑えることができ、大気開放口161から、インクが噴出することを防ぐことができる。
【0087】
次に、本発明の第3実施形態について図11及び図12を参照して説明する。なお、図11は同実施形態における維持回復機構の説明に供する説明図、図12は同じくその動作説明に供する説明図である。
本実施形態では、吸引キャップ92Aの大気開放口161に一端部を接続した大気開放流路(経路)211の他端部に開閉弁としての弁座及び弁体からなる大気開放弁212を設け、大気開放流路211の途中に圧力室(圧力バッファ室)213を設けている。この圧力バッファ室213は、図12に示すように、1つの側面が弾性変形可能な可撓性膜(可撓性部材)214で封止されたものである。なお、大気開放流路211のうちの圧力バッファ室213と大気開放弁212との間の流路を圧力バッファ室流路211aという。
【0088】
なお、可撓性部材214は、微圧の変化に応じて容易に変形する膜厚、材質であることが好ましく、更には、透気性及び透湿性の低い材質であることが好ましい。また、圧力バッファ室213の容積は、吸引キャップ92A内でオーバーシュートする圧力値に応じて、適切な容積に設定される。また、圧力バッファ室213に形成された可撓性膜90は、1側面のみに形成されるように限定されない。
【0089】
このように構成したので、図12(a)に示すように、大気開放弁212を閉じて、吸引ポンプ96にて吸引キャップ92A内にノズルからインクを吸引するとき、吸引ポンプ96が駆動されると、吸引キャップ92Aの内部と、これに連通している大気開放流路211、圧力バッファ室213、圧力バッファ室流路211aの内部も減圧され、負圧になる。これにより、大気圧により、圧力バッファ室213の可撓性部材214が内側に撓むことになる。
【0090】
ここで、吸引ポンプ96を停止させ内部の流路を常に閉じた状態にし、図12(b)に示すように、大気開放弁212を開放すると、大気から吸引キャップ92A内に空気が流入する。このとき、空気の逃げ道がなく、吸引キャップ92A内部で圧力が上昇すると、圧力バッファ室213の可撓性部材214が大気方向に膨らむ。つまり、吸引キャップ92Aを含めた閉空間の体積が増えるため、吸引キャップ92A内部の圧力上昇を緩和することができる。これにより、吸引キャップ92A内の圧力が上昇して、大気開放弁212からインクが噴き出すことを防ぐことができる。
【0091】
このように、大気開放経路に設けられた圧力室を備え、圧力室は少なくとも一部が変形可能な可撓性部材で形成されている構成とすることで、吸引キャップの大気開放時にキャップ内の圧力が急激に上昇してキャップ内の液体がキャップ外に飛び出すことが防止される。
【0092】
次に、本発明の第4実施形態について図13を参照して説明する。なお、図13は同実施形態における維持回復機構の説明に供する説明図である。
本実施形態では、前記第3実施形態における圧力バッファ室212内に可撓性部材214を外方に向けて付勢する付勢部材215を設けている。
【0093】
すなわち、前記第3実施形態において、可撓性部材214が吸引キャップ92A内の圧力オーバーシュートに追従して膨らまないと、内部の圧力を緩和することができない。そこで、圧力バッファ室213の内部に大気方向に付勢する付勢ばね215を内蔵している。
【0094】
このように構成したので、図13(a)に示すように、大気開放弁212を閉じて、吸引ポンプ96にて吸引キャップ92A内にノズルからインクを吸引するとき、吸引ポンプ96が駆動されると、吸引キャップ92Aの内部と、これに連通している大気開放流路211、圧力バッファ室213及び圧力バッファ室流路211aの閉空間が減圧されて負圧になり、可撓性部材214は付勢手段215の付勢力に抗して内側に撓むことになる。
【0095】
ここで、吸引ポンプ96を停止させ内部の流路を常に閉じた状態にし、図13(b)に示すように、大気開放弁212を開放すると、大気から吸引キャップ92A内に空気が流入する。このとき、空気の逃げ道がなく、吸引キャップ92A内部で圧力が上昇すると、圧力バッファ室213の可撓性部材214が矢示B方向(大気方向)に膨らむ。このとき、付勢手段215の付勢力によって可撓性部材214は確実に矢示B方向に膨らむことができ、しかも、可撓性部材214は大気開放弁212の開放動作に対して、高い応答性で、膨らむことができる。つまり、大気開放弁212の開放動作から可撓性部材214が膨らむまでの時間差を短くすることができる。
【0096】
これにより、第3実施形態と比較すると、可撓性部材214が吸引キャップ92A内に生じる圧力オーバーシュートに高い応答性で追従でき、内部の圧力を緩和できる。したがって、大気開放弁212からのインクの噴き出しを、高い信頼性で、防止することができる。
【0097】
なお、付勢手段215の付勢力は、吸引ポンプ96の駆動による吸引キャップ92A内の負圧によって、可撓性部材214が圧力バッファ室213の内部に撓むことが可能な値に設定される必要がある。
【0098】
次に、本発明の第5実施形態について図14を参照して説明する。なお、図14は同実施形態における維持回復機構の説明に供する説明図である。
本実施形態では、吸引キャップ92Aの一部であるノズル面に対向する側壁部に、可撓性を有する可撓性膜(可撓性部材)220を設けている。なお、可撓性部材220はインク(液体)と接触するため、インクと経時的に触れても、耐性のある材質で形成されていることが好ましい。
【0099】
このように構成したので、図14(a)に示すように、大気開放弁212を閉じて、吸引ポンプ96にて吸引キャップ92A内にノズルからインクを吸引するとき、吸引ポンプ96が駆動されると、吸引キャップ92Aの内部が減圧され、負圧になる。これにより、大気圧により、吸引キャップ92Aの可撓性部材220が内側に撓むことになる。
【0100】
ここで、吸引ポンプ96を停止させ内部の流路を常に閉じた状態にし、図14(b)に示すように、大気開放弁212を開放すると、大気から吸引キャップ92A内に空気が流入する。このとき、空気の逃げ道がなく、吸引キャップ92A内部で圧力が上昇すると、可撓性部材220が大気方向に膨らむ。つまり、吸引キャップ92A内の閉空間の体積が増えるため、吸引キャップ92A内部の圧力上昇を緩和することができる。これにより、吸引キャップ92A内の圧力が上昇して、大気開放弁212からインクが噴き出すことを防ぐことができる。
【0101】
このようにすれば、前記第3、第4実施形態のように圧力バッファ室を大気開放弁と大気開放口の間に設ける場合よりも、部品点数の増加を招くことがなく、維持回復機構の小型化を図ることができる。また、吸引キャップのノズル面と対向する壁部に可撓性部材を設けることで、可撓性部材が膨らんだときに、外部に干渉するものがなく、付勢手段146の間のデッドスペースを有効に活用できる。
【0102】
このように、キャップの一部に変形可能な可撓性部材で形成された部分を有している構成とすることで、吸引キャップの大気開放時にキャップ内の圧力が急激に上昇してキャップ内の液体がキャップ外に飛び出すことが防止される。
【0103】
次に、本発明の第6実施形態について図15を参照して説明する。なお、図15は同実施形態における維持回復機構の説明に供する説明図である。
本実施形態では、吸引キャップ92Aの一部である大気開放口161を設ける上部壁部に可撓性部材220を設けている。なお、可撓性部材92Aは、吸引キャップ92Aの複数箇所に設けてもよく、これにより、圧力緩和作用をより高めることができる。
【0104】
すなわち、可撓性部材220が吸引キャップ92Aの壁面の一部を形成している構成にでは、可撓性部材220が破損した場合に吸引キャップ92Aから装置内へインクが漏れ出すおそれがある。また、可撓性部材220の経時的劣化による耐久性の低下のおそれもあある。
【0105】
そこで、吸引キャップ92Aの上部壁部に可撓性部材220を設けることで、吸引キャップ92A内に排出されたインクは下方に溜まるので、可撓性部材220とインクが接触することが低減され、可撓性部材220が破損しても装置内までインクが洩れて、装置内を汚すことを防止できる。
【0106】
次に、本発明の第7実施形態について図16を参照して説明する。なお、図16は同実施形態における維持回復機構の説明に供する説明図である。
本実施形態では、吸引キャップ92Aに接続した吸引用流路162から排出流路163に至るまで吸引ポンプ96を迂回する迂回流路230を設けている。この迂回流路230には切替弁23131を設けている。この切替弁231は、弁の開閉動作によって、吸引キャップ92Aから廃液タンク67方向への流れを、吸引ポンプ96を経由にするか、吸引ポンプ96を迂回させるか(迂回流路230を使用するか)を切替える。具体的には、切替弁231が閉じているときには、吸引キャップ92Aからの流れは吸引ポンプ96側を、切替弁231が開いているときには、吸引ポンプ96は常に内部流路を閉じているため、迂回流路230側を経由して流れる。
【0107】
このように構成したので、図16(a)に示すように、大気開放弁212と切替弁231を閉じた状態で、吸引ポンプ96を駆動することで、吸引キャップ92A内を減圧してノズル吸引を行う。このとき、切替弁231が閉じていることで、吸引キャップ92A内に排出される廃液は吸引ポンプ96から排出流路163を通じて廃液タンク67に排出される。
【0108】
その後、吸引ポンプ96を停止させ、図16(b)に示すように、大気開放弁212を開放すると同時に切替弁231を開くことで、矢印Cで示すように、大気から吸引キャップ92A内に流入した空気は、吸引ポンプ96を迂回し、廃液タンク97側に流れる。つまり、吸引キャップ92A、大気開放口161、大気開放流路211が閉空間にならず、流入した空気の逃げ道が確立される。したがって、吸引キャップ92A内で空気が圧縮され、圧力オーバーシュートが起きることがなく、大気開放弁212からインクが噴出すことを防止することができる。
【0109】
このように、吸引手段を迂回する迂回経路と、キャップの吸引口を吸引手段への経路と迂回経路との間で切替える切替手段とを有している構成とすることで、吸引キャップの大気開放時にキャップ内の圧力が急激に上昇してキャップ内の液体がキャップ外に飛び出すことが防止される。
【0110】
なお、本実施形態では、廃液タンク97の少なくとも一部が大気開放される必要がある。あるいは、廃液タンク97に可撓性部材を設けて、流入してきた空気の圧力変化を緩和する構成とすることもできる。また、廃液タンク97にスペースが確保できれば、大気開放弁212から廃液タンク97内の閉空間の容積を増やすことができるので、圧力オーバーシュートの影響を小さくすることができる。そのため、廃液タンクに容積を確保できれば、廃液タンクを大気開放したり、可撓性膜を設けたりしなくても、本実施形態は実現可能である。また、切替弁231は、吸引用流路162と迂回流路230との接続部分に設ける構成とすることもできる。
【0111】
次に、本発明の第8実施形態について図17を参照して説明する。なお、図17は同実施形態の説明に供する吸引ポンプの説明図である。
本実施形態では、吸引ポンプ96はチューブポンプである。チューブポンプは、内部にある弾性チューブ237を回転部材236に設けられたコロ235A、235Bで押しつぶしながら回転することで、流量を得る構成である。チューブポンプの場合、図17(a)に示すように、複数のコロ235A、235Bによって、順次弾性チューブ237を押し潰しながら駆動する。そのため、コロ235A、235Bが弾性チューブ237を常に押し潰し、閉塞している。また、図17(b)に示すように、コロ235A、235Bが弾性チューブ237を押し潰さない位置にしたときには、弾性チューブ237は開放状態になる。
【0112】
ここで、吸引キャップ92A内を吸引するときは、例えばステッピングモータなどの回転角度を制御できる駆動源によって回転部材236を回転させてコロ235を回転させることにより、図17(a)と(b)の状態を繰り返しながら、吸引キャップ92A内にノズルからインクを吸引する。
【0113】
そして、大気開放弁212を開く前に、駆動源の回転角、即ち回転部材236の回転角を制御して、図17(b)に示すようにチューブ237が開放された状態にする。この状態で大気開放弁212を開放すると、吸引キャップ92A内に流入した空気は、矢印Dで示すように、そのまま吸引ポンプ96を通過して廃液タンク97に流れる。そのため、大気から吸引キャップ92A内に流入した空気が、吸引キャップ92Aに滞らず、廃液タンク97に流れる。したがって、吸引キャップ92A内で圧力オーバーシュートが生じず、大気開放弁212からのインクの噴出しを防止することができる。
【0114】
このように、吸引手段がチューブポンプであり、開閉手段が大気開放口又は大気開放経路を開くときに、吸引手段を内部の流路が開いた状態に駆動制御する手段を有している構成とすることで、吸引キャップの大気開放時にキャップ内の圧力が急激に上昇してキャップ内の液体がキャップ外に飛び出すことが防止される。
【0115】
次に、本発明の第9実施形態について図18を参照して説明する。なお、図18は同実施形態の説明に供する説明図である。
本実施形態では、吸引キャップ92Aの大気開放口161と大気開放弁212との間の大気開放流路211に逆止弁240を設けている。この逆止弁240は、大気開放弁212から吸引キャップ92A内への流れのみを許容する弁である。
【0116】
このように構成したので、図18(a)に示すように、大気開放弁212を閉じて、吸引ポンプ96を駆動し、吸引キャップ92A内を減圧した状態から吸引ポンプ96を停止し、図18(b)に示すように、大気開放弁212を開放することで、大気から吸引キャップ92A内に空気が流れる。このとき、吸引キャップ92A内に圧力オーバーシュートが生じても、逆止弁240により、矢印E方向に流れが生じない。そのため、インクが大気開放口161を伝って、外部に噴出することを防ぐことができる。
【0117】
このように、大気開放口又は大気開放経路には、大気からキャップに向かう方向のみの流れを許容する逆止弁が設けられている構成とすることで、吸引キャップの大気開放時にキャップ内の圧力が急激に上昇してキャップ内の液体がキャップ外に飛び出すことが防止される。
【0118】
なお、本実施例の場合、流入した空気が吸引キャップ92A内部に残り抜け出せないため、吸引キャップ92A内の圧力が高い状態のまま保持されることになる。しかし、この状態から吸引ポンプ96を駆動させることで、吸引キャップ92A内を大気圧にすることができる。したがって、吸引キャップ92A内に残った圧力の影響を取り除くことができる。ただし、吸引キャップ92A内に残った圧力の影響を軽減するため、大気開放弁52を開放後は、直ぐに吸引ポンプ96の駆動を開始すべきである。また、逆止弁は一方向のみの流れを許容できれば、どのようなものでも良いが、大気開放弁の開放動作に伴って流入する空気を確実に通す弁であることが好ましい。
【0119】
次に、本発明の第10実施形態について図19を参照して説明する。なお、図19は同実施形態の説明に供する説明図である。
本実施形態では、吸引キャップ92Aに、大気開放口(これを「第1の大気開放口」とする)161と、第2の大気開放口261を設けている。そして、第1の大気開放口161には、前記第9実施形態と同様に、大気開放流路(これを「第1の大気開放流路」とする。)211の一端部を接続し、第1の大気開放流路211の他端部に大気開放弁212を設けて、第1の大気開放流路211に逆止弁240を設けている。この逆止弁240は、大気開放弁212から吸引キャップ92A内への流れのみを許容する弁である。
【0120】
また、第2の大気開放口261には第2の大気開放流路262を接続し、この第2の大気開放流路262には逆止弁263を設けている。この逆止弁263は、吸引キャップ92Aから大気方向のみの流れを許容する。
【0121】
このように構成したので、図19(a)に示すように、大気開放弁212を閉じて、吸引ポンプ96を駆動し、吸引キャップ92A内を減圧した状態から吸引ポンプ96を停止し、図19(b)に示すように、大気開放弁212を開放することで、大気から吸引キャップ92A内に空気が流れる。このとき、吸引キャップ92A内に流れ込んだ空気は、矢印Fで示すように、第2の大気開放口261から第2の大気開放流路262及び逆止弁263を通じて大気に流れ出る。したがって、大気から流入した空気は滞ることなく、外部に排出することができ、吸引キャップ92A内で圧力オーバーシュートを発生しない。そのため、インクが外部に漏れ出すことを防ぐことができる。
【0122】
この場合、第2の大気開放口261がインクと接触する位置にあると、大気開放弁212から流入した空気の流れにより、吸引キャップ92A内のインクが噴き出るおそれがある。そのため、第2の大気開放口261は、第1の大気開放口161と同様に、吸引キャップ92Aの上部部分に設けることが好ましい。
【0123】
このように、キャップの第1の大気開放口又は第1の大気開放口に接続された大気開放経路を開閉する開閉手段を備え、キャップには第1の大気開放口とは別の第2の大気開放口が設けられている構成とすることで、キャップ内の圧力が急激に上昇してキャップ内の液体がキャップ外に飛び出すことが防止される。
【0124】
なお、上記実施形態では、用紙を鉛直方向に沿う方向(垂直方向)に搬送し、液滴を水平方向に吐出する例で説明しているが、用紙を鉛直方向に沿う方向(垂直方向)に対して傾斜した方向に搬送し、液滴を水平方向に対して傾斜した方向に吐出する構成であっても、本発明を同様に適用することができる。また、上記実施形態ではシリアル型画像形成装置で説明しているが、ライン型画像形成装置にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0125】
2 画像形成部
4 給紙部
5 搬送機構
6 排紙部
7 排紙トレイ
8 反転部
9 維持回復機構
10 用紙(被記録媒体)
11 メインタンク
12 供給経路
13 供給ポンプ
23 キャリッジ
24 記録ヘッド
29 ヘッドタンク
51 搬送ベルト
92a 吸引キャップ
93 ワイパ部材
96 吸引ポンプ
98 開閉手段
160 吸引口
161 大気開放口
201 大気開放流路
202 大気開放弁
211 大気開放流路
212 大気開放弁
213 圧力バッファ室
220 可撓性部材
230 迂回流路
231 切替弁
240 逆止弁
261 第2の大気開放口
262 第2の大気開放流路
263 逆止弁
500 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、
前記キャップの吸引口に接続された吸引手段と、
前記キャップの大気開放口を開閉する開閉手段と、を備え、
前記吸引手段及び前記開閉手段を駆動制御する制御手段と、を備え、
前記開閉手段は、前記大気開放口の開き量を、少なくとも、第1の開き量と、前記第1の開き量より大きい第2の開き量に調整可能であり、
前記制御手段は、前記吸引手段を駆動して前記記録ヘッドから前記吸引キャップ内に液体を吸引させ、前記吸引手段を内部の流路を閉塞した状態で停止させた後、前記開閉手段を第1の開き量で開かせ、所要量の空気が前記吸引キャップ内に流れ込んだ後、前記開閉手段を第2の開き量で開かせる制御をする
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記開閉手段は、一端部が前記吸引キャップの大気開放口に接続され、他端部が大気に開放された弾性変形可能な大気開放経路と、前記大気開放経路を押圧量を可変するカム部材と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記開閉手段は、前記吸引キャップの大気開放口、又は、一端部が前記吸引キャップの大気開放口に接続され、他端部が大気に開放された大気開放経路の前記他端部の開口を開閉するニードル弁を有していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、
前記キャップの吸引口に接続された吸引手段と、
前記キャップの大気開放口に接続された大気開放経路を開閉する開閉手段と、
前記大気開放経路に設けられた圧力室と、を備え、
前記圧力室は少なくとも一部が変形可能な可撓性部材で形成されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記圧力室内には前記可撓性部材を前記圧力室内の容積を拡大する方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、
前記キャップの吸引口に接続された吸引手段と、
前記キャップの大気開放口又は前記大気開放口に接続された大気開放経路を開閉する開閉手段と、を備え、
前記キャップの一部に変形可能な可撓性部材で形成された部分を有している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記可撓性部材は前記キャップの前記大気開放口が設けられた側面部分に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、
前記キャップの吸引口に接続された吸引手段と、
前記キャップの大気開放口又は前記大気開放口に接続された大気開放経路を開閉する開閉手段と、を備え、
前記吸引手段を迂回する迂回経路と、前記キャップの吸引口を前記吸引手段への経路と迂回経路との間で切替える切替手段と、を有している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、
前記キャップの吸引口に接続された吸引手段と、
前記キャップの大気開放口又は前記大気開放口に接続された大気開放経路を開閉する開閉手段と、を備え、
前記吸引手段がチューブポンプであり、
前記開閉手段が前記大気開放口又は前記大気開放経路を開くときに、前記吸引手段を内部の流路が開いた状態に駆動制御する手段を有している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、
前記キャップの吸引口に接続された吸引手段と、
前記キャップの大気開放口又は前記大気開放口に接続された大気開放経路を開閉する開閉手段と、を備え、
前記大気開放口又は前記大気開放経路には、大気から前記キャップに向かう方向のみの流れを許容する逆止弁が設けられている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドのノズル面をキャッピングするキャップと、
前記キャップの吸引口に接続された吸引手段と、
前記キャップの第1の大気開放口又は前記第1の大気開放口に接続された大気開放経路を開閉する開閉手段と、を備え、
前記キャップには前記第1の大気開放口とは別の第2の大気開放口が設けられている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記第2の大気開放口又は第2の大気開放口に接続された大気開放経路に、前記キャップ内から大気に向かう方向のみの流れを許容する逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−111159(P2012−111159A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262972(P2010−262972)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】