説明

画像形成装置

【課題】本発明は、画像が形成された記録材が、装置内部から飛散したトナー等によって汚れることを抑制可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、トナーカートリッジ18M、18C、18Kと、開閉可能に設けられ、トナーカートリッジ18M、18C、18Kの少なくとも一部を覆う下方カバー部材90と、画像が形成された用紙が排出される胴内積載部60と、開閉可能に設けられ、胴内積載部60を少なくとも一方向から覆う上方カバー部材80と、下方カバー部材90が開放されている際には上方カバー部材80の開放を規制し、上方カバー部材80が開放されている際には下方カバー部材90の開放を規制するカバーロック部70とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、画像形成装置において、排紙トレイ上に排出された用紙の内容露見及び用紙の持ち出しを必要に応じて防止することを目的として、装置筐体内に形成された排紙部の前面に開閉可能なドアを設け、そのドアに鍵を設ける。そして、ドアを閉めてキーにより鍵を掛けることで、排紙トレイに排出された用紙が他人に持ち出されることを防ぐ画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−339102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、画像が形成された記録材が、装置内部から飛散したトナー等によって汚れることを抑制可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、トナーによって記録材に画像を形成する画像形成部と、開閉可能に設けられ、前記画像形成部の少なくとも一部を覆う第1の覆い部材と、前記画像形成部により画像が形成された記録材が排出される排出部と、開閉可能に設けられ、前記排出部を少なくとも一方向から覆う第2の覆い部材と、前記第1の覆い部材が開放されている際には前記第2の覆い部材の開放を規制し、当該第2の覆い部材が開放されている際には当該第1の覆い部材の開放を規制する規制機構とを含む画像形成装置である。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記規制機構は、回転可能に設けられる回転部を有し、当該回転部が第1の位置まで回転された場合には前記第1の覆い部材を開放するとともに前記第2の覆い部材の開放を規制し、かつ当該回転部が第2の位置まで回転された場合には当該第2の覆い部材を開放するとともに当該第1の覆い部材の開放を規制することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3記載の発明は、前記規制機構は、鍵が挿入される挿入部を有し、当該鍵により当該挿入部が回転された場合に、前記第1の覆い部材が開放されている際には前記第2の覆い部材の開放を規制する態様と、当該第2の覆い部材が開放されている際には当該第1の覆い部材の開放を規制する態様とが切り替わることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置である。
請求項4記載の発明は、前記第1の覆い部材は、内部にトナーを保持するトナー容器を少なくとも一方から覆うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項5記載の発明は、原稿上の画像を読み取って画像データを生成する画像読取部と、前記画像読取部の下方に設けられ、トナーによって記録材に画像を形成する画像形成部と、前記画像読取部の下方であって前記画像形成部の上方あるいは側方に設けられ、かつ前記画像形成部により画像が形成された記録材が排出される排出部と、開閉可能に設けられ、前記画像形成部の少なくとも一部を覆う第1の覆い部材と、前記第1の覆い部材の上方に開閉可能に設けられ、前記排出部を少なくとも一方向から覆う第2の覆い部材と、前記第1の覆い部材が開放されている際には前記第2の覆い部材の開放を規制し、当該第2の覆い部材が開放されている際には当該第1の覆い部材の開放を規制する規制機構とを含む画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、画像が形成された記録材が装置内部から飛散したトナー等によって汚れることを抑制可能な画像形成装置を提供することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、より簡易な操作によって、画像が形成された記録材が装置内部から飛散したトナー等によって汚れることを抑制することができる。
請求項3記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、鍵が挿入されない場合には、覆い部材が覆う領域へのアクセスが規制される画像形成装置を提供することができる。
【0009】
請求項4記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、トナー容器の内部に保持された画像形成材料によって画像が形成された記録材が汚れることを抑制することができる。
請求項5記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、画像が形成された記録材が装置内部から飛散したトナー等によって汚れることを抑制可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態が適用される画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態が適用される画像形成装置を示す斜視図である。
【図3】カバーロック部周辺の構成を説明するための図である。
【図4】カバーロック部の動作を説明するための図である。
【図5】カバーロック部周辺の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成装置100>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置100を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置100は、所謂タンデム型のカラープリンタである。この画像形成装置100は、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成部10と、画像形成装置100全体の動作を制御する制御部20とを備えている。また、画像形成装置100は、画像形成装置100の上方側に設けられ、原稿の画像を読み取るスキャナにより構成される画像読取装置30(画像読取部)を備えている。さらに、画像形成装置100は、画像形成部10に用紙Sを供給する用紙供給部40を備えている。
ここで、画像形成装置100の各構成部材は、筺体50の内部に収容されている。また、画像読取装置30の下方であって筺体50の上部の面には、画像形成部10によって画像が形成された用紙Sが積載される積載面をもつ胴内積載部(排出部)60が設けられている。
【0012】
また、画像形成装置100には、開閉可能に設けられ胴内積載部60と画像読取装置30との間に形成される空間の前面(操作面側、画像形成装置100のフロント側)を覆う上方カバー部材80が設けられている。さらにまた、画像形成装置100には、開閉可能に設けられ、胴内積載部60の下方でトナーカートリッジ18Y、18M、18C、18K(後述)が挿入される空間の前面(操作面側、画像形成装置100のフロント側)を覆う下方カバー部材90が設けられている。
【0013】
さらに、画像形成装置100は、上方カバー部材80及び下方カバー部材90を閉じた状態でロック(固定)するカバーロック部70を有する。また、画像形成装置100は、閉じられた上方カバー部材80と対向する位置に、上方カバー部材80が閉じられていることを検知する上方カバーセンサ(図示せず)を有する。さらにまた、画像形成装置100は、閉じられた下方カバー部材90と対向する位置に、下方カバー部材90が閉じられていることを検知する下方カバーセンサ(図示せず)を有する。
【0014】
<画像形成部10>
画像形成部10には、一定の間隔をおいて並列的に配置される4つの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kが備えられている。各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、静電潜像を形成してトナー像を保持する感光体ドラム12を備えており、いわゆる電子写真方式によってトナー像を形成する。ここで、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、現像装置に収納されるトナーを除いて、同様に構成される。そして、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。このようなことから、以下の説明においては、画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの各構成についてはそれぞれ「Y」、「M」、「C」、「K」という符号を付して区別するが、区別する必要のないときは、これらの符号は付さない。
【0015】
さらに、画像形成部10は、各画像形成ユニット1の感光体ドラム12上に形成された各色トナー像が転写される中間転写ベルト13を備えている。また、画像形成部10は、各画像形成ユニット1にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト13に順次転写(一次転写)する一次転写ロール17を備えている。さらに、画像形成部10は、中間転写ベルト13上に重畳して形成された各色トナー像を記録材(記録紙)である用紙Sに一括転写(二次転写)する二次転写部19と、二次転写された各色トナー像を用紙Sに定着させる定着装置21とを備えている。
さらにまた、画像形成部10は、定着装置21によってトナー像が定着された用紙Sの通過を検知するエグジットセンサ22を備える。さらにまた、このエグジットセンサ22を通過した用紙Sを胴内積載部60に排出する胴内排出ロール23を備える。
【0016】
さらにまた、画像形成部10は、中間転写ベルト13を挟んだ各画像形成ユニット1の上部側に、4本のトナーカートリッジ18Y、18M、18C、18Kを備える。各トナーカートリッジ18Y、18M、18C、18Kは、画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kに設けられた現像器に対応する色のトナーを供給する。なお、各トナーカートリッジ(トナー容器)18は、筺体50に形成されたた4つの挿入孔18a(図2参照)に画像形成装置100の前面(操作面側)からそれぞれ挿入される(図2の矢印B参照)。
ここで、各トナーカートリッジ18Y、18M、18C、18Kは、収納されるトナーを除いて、同様に構成される。以下の説明においては、トナーカートリッジ18Y、18M、18C、18Kの各構成についてはそれぞれ「Y」、「M」、「C」、「K」という符号を付して区別するが、区別する必要のないときは、これらの符号は付さない。
【0017】
用紙供給部40は、用紙収容部41と、繰り出しロール43と、捌きロール45とレジロール47とを備える。用紙収容部41は、用紙Sを収容する。繰り出しロール43は、用紙収容部41の上部に配置され、用紙収容部41に収容される用紙Sの束のうち、最上位の用紙Sを繰り出す。捌きロール45は、繰り出しロール43にて繰り出された用紙Sを1枚ずつに捌いて搬送する。また、レジロール47は、捌きロール45によって捌いて搬送された用紙Sを一旦停止させ、タイミングを合わせて回転を再開することにより二次転写部19に対して用紙Sを供給する。
【0018】
<上方カバー部材80>
次に、図1及び図2を参照しながら、上方カバー部材80について説明をする。ここで、図2は、本実施の形態が適用される画像形成装置100を示す斜視図である。
第2の覆い部材の一例である上方カバー部材80は、図2に示すように、画像形成装置100の前面(操作面側)に開閉可能に設けられている(矢印A1参照)。また、上方カバー部材80は、板状の部分であるカバー面80aと、カバー面80aの一方の端部(上端部)に設けられたヒンジ81とを有する。さらに、上方カバー部材80は、ヒンジ81が設けられた一方の端部とは反対側の端部(下端部)に設けられ、画像形成装置100の本体部側により拘束される上方被拘束部80L(図2参照)を有する。
【0019】
ここで、図1に示すように、カバー面80aは、上方カバー部材80が閉じられている状態において、画像読取装置30の下部から胴内積載部60の下方までを覆う寸法で構成されている。
本実施の形態では、上方カバー部材80が閉じられることによって、胴内積載部60に排出された用紙Sの取り出しが制限されるようになる。また、胴内積載部60側に露出する胴内排出ロール23へのユーザのアクセスが制限されるようになる。
【0020】
<下方カバー部材90>
次に、図1及び図2を参照しながら、下方カバー部材90について説明をする。
第1の覆い部材の一例である下方カバー部材90は、図2に示すように、画像形成装置100の前面(操作面側)に開閉可能に設けられている(矢印A2参照)。また、下方カバー部材90は、板状の部分であるカバー面90aと、カバー面90aの一方の端部(下端部)に設けられたヒンジ91とを有する。さらに、下方カバー部材90は、ヒンジ91が設けられた一方の端部とは反対側の端部(上端部)に設けられ、画像形成装置100の本体部側により拘束される下方被拘束部90L(図2参照)を有する。
【0021】
ここで、図1に示すように、カバー面90aは、下方カバー部材90が閉じられている状態において、胴内積載部60の下方に挿入されたトナーカートリッジ18の前面を覆う寸法で構成されている。
本実施の形態では、下方カバー部材90が閉じられることによって、下方カバー部材90が覆うトナーカートリッジ18の取り出しが制限されるようになる。
なお、本実施の形態においては、下方カバー部材90が、トナーカートリッジ18が挿入される領域の前面を覆う構成として説明するが、これに限定されない。例えば、画像形成ユニット1等、画像形成装置100を構成する他の部材の前面を下方カバー部材90が覆う構成であってもよい。
【0022】
<カバーロック部70>
次に、図2及び図3を参照しながら、カバーロック部70について説明をする。ここで、図3はカバーロック部70周辺の構成を説明するための図である。
【0023】
規制機構の一例であるカバーロック部70は、胴内積載部60の下方であって、筺体50の前面50b(操作面側、画像形成装置100のフロント側)に設けられる。より具体的に説明すると、上方カバー部材80及び下方カバー部材90が各々閉じられた状態において、カバーロック部70は、上方カバー部材80の上方被拘束部80Lと下方カバー部材90の下方被拘束部90Lとの間に配置される。
【0024】
また、カバーロック部70は、図3に示すように、キー(鍵、図示せず)が挿入されるキー孔71aが形成され、このキー孔71aに挿入されたキーによって回転されるシリンダー部(回転部、挿入部)71(図4参照)を有する。なお本実施形態では、シリンダー部71のキー孔71aにキーが挿入されてない状態では、シリンダー部71の回転ができないようになっている。また、図3に示すように、カバーロック部70は、シリンダー部71に接続され、上方カバー部材80の上方被拘束部80L、及び下方カバー部材90の下方被拘束部90Lの各々と掛かり合うフック72を有する。
【0025】
ここで、シリンダー部71は、上述のようにキー孔71aにキーを挿入することによって回転される(矢印C参照)が、この回転により、シリンダー部71は3つの状態をとれるように構成されている(詳細は後述)。
フック72は、図3に示すように、扇形の板状部材であり、扇形の中心側がシリンダー部71に接続されている。このフック72は、シリンダー部71とともに回転するように構成されている。また、図3に示すように、フック72は、扇形の一方の端部(図3における上側の端部)である第1端部72bと、扇形の他方の端部(図3における下側の端部)である第2端部72cとを結ぶ円弧72aを有する。
【0026】
<上方被拘束部80L及び下方被拘束部90L>
次に、カバーロック部70のフック72と掛かり合う、上方カバー部材80の上方被拘束部80L、及び下方カバー部材90の下方被拘束部90Lについて説明する。
上方カバー部材80の上方被拘束部80Lは、上方被拘束部80Lの前面(画像形成装置100のフロント側)に設けられた前面部80Laと、この前面部80Laとの間に間隙を有して配置され前面部80Laよりもリア側に設けられた後面部80Lbとを有する。そして、図3に示すように、上方被拘束部80Lは、この前面部80Laと後面部80Lbとの間に、フック72が通過する空間を有する。
【0027】
ここで、フック72が前面部80Laと後面部80Lbとによって形成されている空間内に位置している状態においては、上方カバー部材80がロックされた状態となる。具体的には、上方カバー部材80を開放するべく、上方カバー部材80を図3の紙面手前側に移動させようとすると、フック72が上方被拘束部80Lの後面部80Lbに掛かる。よって、上方カバー部材80は閉じられた状態を維持する。
【0028】
次に、下方カバー部材90の下方被拘束部90Lは、下方被拘束部90Lの前面(画像形成装置100のフロント側)に設けられた前面部90Laと、この前面部90Laとの間に間隙を有して配置され前面部90Laよりもリア側に設けられた後面部90Lbとを有する。そして、図3に示すように、下方被拘束部90Lは、この前面部90Laと後面部90Lbとの間に、フック72が通過する空間を有する。
【0029】
ここで、フック72が前面部90Laと後面部90Lbとによって形成されている空間内に位置している状態においては、下方カバー部材90がロックされた状態となる。具体的には、下方カバー部材90を開放するべく、下方カバー部材90を図3の紙面手前側に移動させようとすると、フック72が下方被拘束部90Lの後面部90Lbに掛かる。よって、下方カバー部材90は閉じられた状態を維持する。
<ロックの動作>
【0030】
次に、図4を参照しカバーロック部70が、上方カバー部材80及び下方カバー部材90をロックする際の動作について説明する。ここで、図4はカバーロック部70の動作を説明するための図である。
【0031】
図4(A)は、カバーロック部70が、上方カバー部材80及び下方カバー部材90をロックしている状態を示している。この状態では、フック72が、上方カバー部材80の上方被拘束部80Lの内部の空間内に進入した状態に配置される。したがって、上方カバー部材80はロックされた状態となる。また、フック72は、下方カバー部材90の下方被拘束部90Lの内部の空間内にも進入した状態に配置される。これにより、下方カバー部材90もロックされた状態となる。
【0032】
図4(B)は、上方カバー部材80が解放され、下方カバー部材90がカバーロック部70によりロックされた状態(第2の位置)を示している。この状態では、フック72は、上方カバー部材80の上方被拘束部80Lの外に配置される。したがって、上方カバー部材80は解放される状態となる。一方、図4(B)に示す状態において、フック72は、下方カバー部材90の下方被拘束部90Lの内部の空間内に進入した状態に配置される。したがって、下方カバー部材90はロックされた状態となる。
【0033】
図4(C)は、カバーロック部70が上方カバー部材80をロックしている一方で、下方カバー部材90が解放された状態(第1の位置)を示している。この状態では、フック72は、上方カバー部材80の上方被拘束部80Lの内部の空間内に進入した状態に配置される。したがって、上方カバー部材80はロックされた状態となる。一方、図4(C)に示す状態において、フック72は、下方カバー部材90の下方被拘束部90Lの外に配置される。したがって、下方カバー部材90は解放された状態となる。
【0034】
<画像形成装置100の動作>
ここで、画像形成装置100の動作について説明をする。
【0035】
画像形成装置100が画像形成動作を開始すると、画像読取装置30等から入力された画像データは、予め定められた画像処理が施された後、各画像形成ユニット1に送られる。そして、例えば黒(K)色トナー像を形成する画像形成ユニット1Kでは、感光体ドラム12が回転しながら、予め定められた電位で一様に帯電された後に走査露光される。それにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は現像され、感光体ドラム12上には黒(K)トナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット1Y,1M,1Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像が形成される。
【0036】
各画像形成ユニット1で形成された各色のトナー像は、回転駆動される中間転写ベルト13上に、一次転写ロール17により順次静電吸引される。これにより中間転写ベルト13には各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。そして、中間転写ベルト13上の重畳トナー像は、中間転写ベルト13の移動に伴って二次転写部19に搬送される。
一方で、用紙収容部41に積載された用紙Sは、繰り出しロール43によって繰り出され、捌きロール45によって捌かれて搬送される。さらに、捌かれた用紙Sはレジロール47によって二次転写部19へと供給される。
そして、重畳トナー像は、二次転写部19が形成する転写電界の作用により、レジロール47を経て供給される用紙S上に一括して静電転写される。
【0037】
その後、重畳トナー像が静電転写された用紙Sは、中間転写ベルト13から剥離され、定着装置21まで搬送される。定着装置21に搬送された用紙S上のトナー像は、定着装置21によって熱及び圧力による定着処理を受けて用紙S上に定着される。そして、定着画像が形成された用紙Sは、エグジットセンサ22によって検知された後、胴内排出ロール23によって胴内積載部60に排出され積載される。このようにして、画像形成装置100での画像形成がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返される。
【0038】
ここで、胴内積載部60に排出され積載された用紙Sが取り出される際には、ユーザによってカバーロック部70のシリンダー部71にキー(図示せず)が挿入され、シリンダー部71が図4における時計方向に回転される。この回転により、図4(B)に示すように、上方カバー部材80の上方被拘束部80Lの空間外にフック72が配置され、上方カバー部材80が開放可能な状態となる。そして、ユーザによって上方カバー部材80が開放され、胴内積載部60に積載された用紙Sが取り出される。なお、図4(B)に示す状態では、下方カバー部材90はカバーロック部70によってロックされている状態である。
【0039】
なお、上記では詳細な説明は省略したが、トナーカートリッジ18の取り出しがユーザにより行われる際には、ユーザによってカバーロック部70のシリンダー部71にキー(図示せず)が挿入され、シリンダー部71が図4における反時計方向に回転される。この回転により、図4(C)に示すように、下方カバー部材90の下方被拘束部90Lの空間外にフック72が配置され、下方カバー部材90の開放が可能な状態となる。そして、ユーザによって下方カバー部材90が開放され、胴内積載部60の下方に挿入されているトナーカートリッジ18が、挿入孔18aから抜き出される(図2の矢印B参照)。なお、図4(C)に示す状態では、上方カバー部材80はカバーロック部70によってロックされている状態である。
【0040】
上述のように、本実施の形態においては、上方カバー部材80と下方カバー部材90とは、いずれか一方のみが開放される。いわば上方カバー部材80と下方カバー部材90とが排他的に開放される構成である。
ここで、トナーカートリッジ18の交換作業に伴い、トナーカートリッジ18に付着しているトナーが飛散することがある。このようにトナーが飛散した場合であっても、本実施の形態では、胴内積載部60内に浮遊トナーが進入することが抑制される。これは、トナーカートリッジ18への作業を行う際、上方カバー部材80は閉鎖されロックされているためである。したがって本実施の形態では、トナーカートリッジ18の交換作業に伴い、胴内積載部60内の用紙Sが汚れることが抑制される。
【0041】
また、本実施の形態では、用紙Sを取り出す際には、下方カバー部材90は閉鎖されロックされている。ここで、筺体50に挿入された状態のトナーカートリッジ18に付着しているトナーが、画像形成部10の画像形成動作等にともなって、飛散することがある。このようにトナーが飛散する場合であっても、下方カバー部材90が閉鎖されロックされていることによって、筺体50の外部に浮遊トナーが放出されることが抑制される。したがって、本実施の形態では、用紙Sを取り出す作業に伴い、用紙Sが汚れることが抑制される。
【0042】
次に、図5を参照して、カバーロック部70の変形例について説明する。ここで、図5は、カバーロック部70周辺の構成を説明するための図である。
図5に示すように、本実施の形態におけるカバーロック部70は、シリンダー部71と、扇形の板状部材であるフック72と、シリンダー部71を挟んでフック72と反対側に設けられる第2フック73とを有する。この第2フック73は、円柱状部材であり、一方の端部がシリンダー部71に接続され、他方の端部がシリンダー部71が設けられている側とは反対側に位置している。
【0043】
さらに、カバーロック部70は、第2フック73の移動経路から外れた位置に設けられた第1ソレノイドS1を有する。また、カバーロック部70は、第1ソレノイドS1により駆動され第2フック73の移動経路に対して進退する(図5の矢印D参照)第1ピンP1を有する。
さらにまた、カバーロック部70は、第2フック73の移動経路から外れた位置であって、第1ソレノイドS1よりも下方カバー部材90側に設けられた第2ソレノイドS2を有する。また、カバーロック部70は、第2ソレノイドS2により駆動され第2フック73の移動経路に対して進退する(図5の矢印D参照)とともに、第1ピンP1よりも下方カバー部材90側に設けられた第2ピンP2を有する。この第2ピンP2は、第1ピンP1に沿って設けられている。
【0044】
次に、本実施の形態におけるカバーロック部70の動作を説明する。まず、第1ソレノイドS1及び第2ソレノイドS2が駆動しない状態においては、第1ピンP1及び第2ピンP2はそれぞれ第2フック73の移動経路外に配置されている。
そして、本実施の形態においては、カバーロック部70が上方カバー部材80を解放し且つ下方カバー部材90をロックする状態(図4(B)参照)となった際に、このカバーロック部70の動作を不図示のセンサが検知する。このセンサが検知したことにより、第2ソレノイドS2が駆動される。この第2ソレノイドS2の駆動により、第2ピンP2が第2フック73の移動経路内(図4(B)の領域A参照)に配置される。この第2ピンP2は、図4(B)に示すシリンダー部71が図中反時計方向に回転することを規制する。これにより、フック72の移動も制限され、下方カバー部材90が開放可能となることが防止される。
【0045】
また、本実施の形態においては、カバーロック部70が上方カバー部材80をロックし且つ下方カバー部材90を開放する状態(図4(C)参照)となった際に、このカバーロック部70の動作を不図示のセンサが検知する。このセンサが検知したことにより、第1ソレノイドS1が駆動される。この第1ソレノイドS1の駆動により、第1ピンP1が第2フック73の移動経路内(図4(C)の領域B参照)に配置される。この第1ピンP1は、図4(C)に示すシリンダー部71が図中時計方向に回転することを規制する。これにより、フック72の移動も制限され、上方カバー部材80が開放可能となることが防止される。
【0046】
ここで、図1〜図4に示した構成では、例えば、上方カバー部材80を解放した後に、カバーロック部70を図4に示す反時計方向に回転させることによって、下方カバー部材90を解放させることが可能となってしまう恐れがある。つまり、上方カバー部材80及び下方カバー部材90の両方の開放が可能となり得る。このように上方カバー部材80及び下方カバー部材90の両方が同時に開放された場合には、用紙Sが汚れることもあり得る。
そこで、図5に示した構成にすることで、上方カバー部材80及び下方カバー部材90の両方が同時に開放されることは防止される。
【符号の説明】
【0047】
1Y,1M,1C,1K…画像形成ユニット、18…トナーカートリッジ、19…二次転写部、21…定着装置、23…胴内排出ロール、50…筺体、60…胴内積載部、70…カバーロック部、71…シリンダー部、72…フック、80…上方カバー部材、80L…上方被拘束部、90…下方カバー部材、90L…下方被拘束部、100…画像形成装置、S…用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーによって記録材に画像を形成する画像形成部と、
開閉可能に設けられ、前記画像形成部の少なくとも一部を覆う第1の覆い部材と、
前記画像形成部により画像が形成された記録材が排出される排出部と、
開閉可能に設けられ、前記排出部を少なくとも一方向から覆う第2の覆い部材と、
前記第1の覆い部材が開放されている際には前記第2の覆い部材の開放を規制し、当該第2の覆い部材が開放されている際には当該第1の覆い部材の開放を規制する規制機構と
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記規制機構は、回転可能に設けられる回転部を有し、当該回転部が第1の位置まで回転された場合には前記第1の覆い部材を開放するとともに前記第2の覆い部材の開放を規制し、かつ当該回転部が第2の位置まで回転された場合には当該第2の覆い部材を開放するとともに当該第1の覆い部材の開放を規制することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記規制機構は、鍵が挿入される挿入部を有し、当該鍵により当該挿入部が回転された場合に、前記第1の覆い部材が開放されている際には前記第2の覆い部材の開放を規制する態様と、当該第2の覆い部材が開放されている際には当該第1の覆い部材の開放を規制する態様とが切り替わることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の覆い部材は、内部にトナーを保持するトナー容器を少なくとも一方から覆うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
原稿上の画像を読み取って画像データを生成する画像読取部と、
前記画像読取部の下方に設けられ、トナーによって記録材に画像を形成する画像形成部と、
前記画像読取部の下方であって前記画像形成部の上方あるいは側方に設けられ、かつ前記画像形成部により画像が形成された記録材が排出される排出部と、
開閉可能に設けられ、前記画像形成部の少なくとも一部を覆う第1の覆い部材と、
前記第1の覆い部材の上方に開閉可能に設けられ、前記排出部を少なくとも一方向から覆う第2の覆い部材と、
前記第1の覆い部材が開放されている際には前記第2の覆い部材の開放を規制し、当該第2の覆い部材が開放されている際には当該第1の覆い部材の開放を規制する規制機構と
を含む画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−118427(P2012−118427A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269975(P2010−269975)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】