説明

画像形成装置

【課題】 初期準備動作のトナー撹拌シーケンスを実施する必要があるカートリッジがプリント動作に用いられない場合も、トナー撹拌シーケンスが完了してからプリント動作を開始すると、生産性が低下してしまっていた。
【解決手段】 初期準備動作においてトナー撹拌シーケンスを実施中にプリント動作を指示された場合においても、トナー撹拌シーケンスを中断することで、トナーの撹拌を行うことにより発生する生産性の低下を抑制することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やレーザビームプリンタやファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において、トナーを収容する現像部を一体のカートリッジ化して、このカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能とする方式が採用されている。この方式によれば、画像形成装置のメンテナンスをサービスマンによらずユーザが行うことができるので、利便性を向上させることができる。しかし、この方式では、長期間カートリッジを使用せず、一定の姿勢を保ったままにしておくと収容部に収容されたトナーが一方に偏って固まってしまう、いわゆるタッピングと呼ばれる現象が発生してしまう可能性がある。
【0003】
このようなタッピング状態を解消するために、特許文献1にはカートリッジを保持しているロータリを回転させ、トナーを撹拌するような方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−184200
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような方法では、トナーの撹拌が必要な場合、トナーの撹拌が終わった後に画像形成を開始するためトナーの撹拌にかかる時間がダウンタイムとなり生産性が低下してしまう可能性があった。
【0006】
本出願にかかる発明は、以上のような状況を鑑みてなされたものであり、トナーの撹拌を行うことにより発生する生産性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、1つの像担持体と、前記像担持体に画像を形成するための複数の現像器と、前記複数の現像器の各々を前記像担持体に画像形成するための画像形成位置に移動可能な現像ロータリと、を有し、前記現像ロータリによって、前記現像器を前記画像形成位置に移動させて、前記現像器によって前記像担持体に画像を形成する画像形成動作と、前記現像器によって前記像担持体に画像を形成することなく、前記現像ロータリを移動又は停止させることによって、前記現像器に収容された現像剤を撹拌する撹拌動作と、を行う画像形成装置であって、前記撹拌動作中に、前記画像形成動作の命令を受け取ると、前記撹拌動作を中断して前記画像形成動作を行う制御手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、トナーの撹拌を行うことにより発生する生産性の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像形成装置の概略構成図
【図2】画像形成装置のシステム構成の一例を説明するためのブロック図
【図3】現像ロータリ23を1周回転駆動させる時のトナー撹拌シーケンスを示したフローチャート
【図4】現像ロータリ23をブラック現像当接位置まで回転駆動させる時のトナー撹拌シーケンスを示したフローチャート
【図5】ホームポジション、イエロー現像当接位置、マゼンタ現像当接位置、シアン現像当接位置、ブラック現像当接位置に移動した時の現像ロータリ23の状態を表した図
【図6】初期準備動作で実施するトナー撹拌シーケンスの動作について説明するためのフローチャート
【図7】プリント動作で実施するトナー撹拌シーケンスの動作について説明するためのフローチャート
【図8】トナー撹拌シーケンスを実施した周回数と、残りのトナー撹拌シーケンスを実施する回数との関係を示したグラフ
【図9】次の画像の形成が開始されるまでの期間の方がトナー撹拌シーケンスを行うために最低限必要な時間よりも短い場合に、次の画像の形成の開始を遅らせてトナー撹拌シーケンスを行うフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、画像形成装置の概略構成図である。まず各部の詳しい構成について動作に従って説明する。
【0012】
(帯電部)
ドラムユニット13はドラム形状の像担持体である感光ドラム15と、感光ドラム15のホルダを兼ねるクリーニング装置のクリーニング容器14とを一体的に構成したものである。このドラムユニット13は画像形成装置本体に対して着脱自在であり、寿命に合わせてユニット交換が可能であるように構成されている。感光ドラム15の周上には、クリーナブレード16、一次帯電手段である帯電ローラ17が配置されている。不図示の駆動ローラの駆動力により、感光ドラム15は画像形成動作に応じて矢印方向に回転するようになっている。帯電ローラ17を感光ドラム15に当接させ、帯電ローラ17に電圧を印加することによって感光ドラム15の表面を一様に帯電させる。
【0013】
(露光部)
帯電部により一様に帯電された感光ドラム15に潜像を形成するためにスキャナ部30により露光が行われる。不図示のコントローラから画像展開された画像情報を受け取ると、スキャナ部30の不図示のレーザは画像情報に対応するレーザ光をミラー31へ照射する。ミラー31はスキャナモータ31aによって高速回転し、ミラー31で反射したレーザ光が結像レンズ32及び反射ミラー33を介して、一定速度で回転する感光ドラム15の表面を選択的に露光するように構成される。
【0014】
(現像部)
感光ドラム15上にトナー像を形成する現像部は、露光部により感光ドラム15上に形成された潜像をトナーにより現像する。現像部は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の現像剤としてのトナーを収容し、着脱可能な、イエロー現像器20Y、マゼンタ現像器20M、シアン現像器20C、ブラック現像器20Bkから構成される。これら各現像器は、現像器移動手段としての現像ロータリ23にそれぞれ着脱可能に保持され、トナー像を形成する際には各現像器が現像ロータリ23に保持された状態で軸22を中心に回転移動する。
【0015】
そして、現像を行う色の現像器の現像ローラが感光ドラム15に対しトナー像を形成するための画像形成位置である現像当接位置に停止した後、感光ドラム15にトナー像を形成する。カラー画像形成時には、中間転写体9の1回転毎に現像ロータリ23が回転し、イエロー現像器20Y、マゼンタ現像器20M、シアン現像器20C、ブラック現像器20Bkの順に現像器が画像形成位置に移動可能となりトナー像の形成がなされる。中間転写体9が4回転してイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのそれぞれのトナー像を多重転写し、その結果、カラー画像を中間転写体9上に形成する。なお、ここでは現像器移動手段として現像ロータリ23を説明したがそれに限られるものではない。例えば現像器移動手段として現像器を左右にスライドさせて画像形成位置に移動させるようなホルダを用いることも可能である。
【0016】
図1は、イエロー現像器20Yがドラムユニット13に対応した現像当接位置に停止している状態を示している。イエロー現像器20Yは容器内のトナーを送出する機構によって塗布ローラ20YRにトナーを送り込む。そして、塗布ローラ20YR及び現像ローラ20YSの外周に圧接されたブレード20YBによって、現像ローラ20YSの外周にトナーを薄層塗布し且つトナーへの電荷を付与(摩擦帯電)する。この状態で、潜像が形成された感光ドラム15と対向した現像ローラ20YSに現像バイアスを印加することにより、感光ドラム15上に形成された潜像をトナーにより現像する。マゼンタ現像器20M、シアン現像器20C、ブラック現像器20Bkについても同様なメカニズムでトナーにより現像が行われる。また、各色の現像器の各現像ローラは、各色の現像器が現像当接位置に移動された時、画像形成装置に設けられた各色の現像用高圧電源や駆動源と接続される。そして、各色の現像毎に順次選択的に電圧が印加され、駆動される。
【0017】
(一次転写部)
現像部で感光ドラム15上に形成されたトナー像を中間転写体9上に多重転写する。中間転写体9は図示された矢印方向に回転している。図では、中間転写体9がベルトであるときの構成を示しているが、ベルトに限ったものではなく、例えば中間転写ドラムや転写材担持体などを使用しても良い。中間転写体9を4回転させることで、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に各色のトナー像を多重転写して、中間転写体9上にカラー画像を形成する。この中間転写体9の外周の非画像領域には、各色の画像形成を開始するタイミングの基準とするための基準点であるホームポジションマーク(以下、HPマーク)9bと、HPマーク9bを検知するための光学センサ9aが設けられている。
【0018】
(中間転写体クリーニング手段)
ロータリ式の画像形成装置には、中間転写体9上のトナー像を取り除くためのクリーニング手段としてのICLローラ39が備えられており、中間転写体9のクリーニングを行う。ICLローラ39は中間転写体9に当接又は離間が可能であり、ICLローラ39が当接することで中間転写体9のクリーニングを行う。
【0019】
次に、画像形成装置によってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色を中間転写体9上に一次転写を行う一連の動作について説明する。画像形成を行うために、感光ドラム15を帯電ローラ17により表面を均一に帯電する。帯電された感光ドラム15上をスキャナ部30により露光し、まずイエロー画像の潜像を形成する。潜像を形成すると同時にイエロー現像器20Yを駆動し、感光ドラム15上の潜像にイエロートナーが付着するように感光ドラム15の帯電と同極性の電圧を印加して現像を行う。感光ドラム15上に形成されたトナー像を中間転写体9に一次転写するために、一次転写ローラ40に感光ドラム15上に形成されたトナー像と異極性の電圧を印加して感光ドラム15のトナー像を中間転写体9上に一次転写する。
【0020】
イエローのトナー像を中間転写体9へ一次転写すると、現像ロータリ23が回転し、次に画像形成を行うマゼンタ現像器20Mが回転移動し、感光ドラム15に画像形成を行うための現像当接位置に停止する。感光ドラム15を帯電し、露光して形成された潜像に、イエローと同様にしてマゼンタのトナー像が形成される。感光ドラム15に形成されたトナー像は、イエローと同様に中間転写体9に一次転写される。次いでシアン、ブラックの潜像形成及び現像及び中間転写体9への一次転写を行い、中間転写体9の表面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを多重転写したカラー画像を形成する。
【0021】
図2は画像形成装置のシステム構成の一例を説明するためのブロック図である。まず、ビデオコントローラ202の説明を行なう。204は、ビデオコントローラ全体の制御を司るCPUである。205は、CPU204が実行する各種制御コードを格納する不揮発性記憶部であり、ROM、EEPROM、ハードディスク等に相当する。206は、CPU204の主メモリ、ワークエリア等として機能する一時記憶用RAMである。207は、ホストコンピュータ等の外部機器201との印刷データ、制御データの入出力部であるホストI/F部である。ホストI/F部207により受信した印字データは圧縮データとしてRAM206に格納される。
【0022】
208は、圧縮データを伸張するためのデータ伸張部である。RAM206に格納された任意の圧縮データを、ライン単位に画像データに伸張する。また、伸張された画像データはRAM206に格納される。209は、DMA制御部であり、CPU204からの指示によりRAM206内の画像データをエンジンI/F部211に転送する。又はRAM206の任意の圧縮データをデータ伸張部208に転送する。又はデータ伸張部208から出力される画像データをRAM206に転送する。210は、ユーザからの諸設定、指示をプリンタ本体に設けられたパネル部から受け取るパネルI/F部である。211は、プリンタエンジン203との信号の入出力部であるエンジンI/F部であり、不図示の出力バッファレジスタからデータ信号送出を行うとともにプリンタエンジンとの通信制御を行なう。212は、アドレスバス及びデータバスを持つシステムバスである。上述の各構成要素は、システムバス212に接続され、互いにアクセス可能となっている。
【0023】
次にプリンタエンジン203の説明を行なう。プリンタエンジン203は、大きく分けて、エンジン制御部220とエンジン機構部230から構成される。エンジン機構部230はエンジン制御部220からの各種指示により動作する部分である。最初にエンジン機構部230の詳細を説明し、その後にエンジン制御部220の詳細を説明する。レーザ/スキャナ系231は、レーザ発光素子、レーザドライバ回路、スキャナモータ、回転多面鏡、スキャナドライバ等を含む。ビデオコントローラ202から送られてくる画像データに従い感光ドラムをレーザ光にて露光走査することにより感光ドラム上に潜像を形成する部位である。作像系232は、感光ドラム上に形成された潜像に基づくトナー像を記録材上に形成させる部位である。カートリッジ、中間転写ベルト、定着器等のプロセス要素、および、作像を行なう上での各種バイアス(高電圧)を生成する高圧電源回路で構成される。カートリッジには、現像ローラと現像器が含まれる。また、カートリッジには、不揮発性のメモリタグが備えられており、CPU221或いはASIC222は、当該メモリタグに各種情報の読み書きを行なう。給紙・搬送系233は、記録材の給紙、搬送を司る部分であり、各種搬送系モータ、給排紙トレイ、各種搬送ローラ等で構成される。なお、ここでは一例として現像ローラと現像器を有するカートリッジを説明したが、例えば帯電ローラや感光ドラム等も有したプロセスカートリッジとすることも可能である。
【0024】
センサ系234は、レーザ/スキャナ系、作像系、給紙・搬送系を、後述するCPU221、ASIC222が制御する上で、必要な情報を収集する為のセンサ群である。このセンサ群には、定着器の温度センサ、トナー残量検知センサ、画像の濃度を検知する濃度センサ、用紙サイズセンサ、紙先端検知センサ、紙搬送検知センサなど、少なくとも既に周知の各種センサが含まれる。これら各種センサで検知された情報はCPU221により取得され、プリントシーケンス制御に反映される。尚、図中のセンサ系について、レーザ/スキャナ系231、作像系232、給紙・搬送系233と分けて記載したが、何れかの機構に含めるように考えても良い。
【0025】
次にエンジン制御部220の説明を行なう。221はCPUであり、RAM223を主メモリ、ワークエリアとして利用し、不揮発性記憶部224に格納される各種制御プログラムに従い、上述したエンジン機構部230を制御する。より具体的に、CPU221は、ビデオコントローラ202からエンジンインターフェース211、コントローラインターフェース225を介して入力されたプリント制御コマンドおよび画像データに基づき、レーザ/スキャナ系231を駆動する。また、CPU221は、作像系232、給紙・搬送系233を制御することで、各種プリントシーケンスを制御する。また、CPU221はセンサ系234を駆動することで、作像系232、給紙・搬送系233を制御する上で必要な情報を取得する。一方、ASIC222は、CPU221の指示のもと、上述した各種プリントシーケンスを実行する上での各モータの制御、現像バイアス等の高圧電源制御を行なう。なお、CPU221の機能の一部或いは全てをASIC222に行わせても良く、逆に、ASIC222の機能の一部或いは全てをCPU221に代わりに行なわせても良い。また、CPU221やASIC222の機能の一部を別途の専用ハードウェアを設け、その専用ハードウェアに行なわせるようにしても良い。
【0026】
図3乃至図5を用いて画像形成装置によって、現像部に収容された現像剤としてのトナーを撹拌するための一連の撹拌動作(以降、トナー撹拌シーケンスと呼ぶ)について説明する。図3は、現像ロータリ23を1周回転駆動させる時のトナー撹拌シーケンスを示したフローチャートである。図4は、現像ロータリ23をブラック現像当接位置まで回転駆動させる時のトナー撹拌シーケンスを示したフローチャートである。図5は、ホームポジション(図5(a))、ブラック現像当接位置(図5(b))、イエロー現像当接位置(図5(c))、マゼンタ現像当接位置(図5(d))、シアン現像当接位置(図5(e))に順次移動した時の現像ロータリ23の状態を示した図である。
【0027】
図3のフローチャートと、図5の現像ロータリ23の状態を示した図を用いて、現像ロータリ23を1周回転駆動させる時のトナー撹拌シーケンスについて説明する。図5(a)は、プリント動作を実施していない時の現像ロータリ23のポジション(以降、ホームポジションと呼ぶ)である。現像ロータリ23の回転方向上流側にシアン現像器が位置し、下流側にブラック現像器が位置しており、現像ローラと感光ドラム15は当接していない。現像ロータリ23がホームポジションに位置している場合は、ユーザはカートリッジにアクセスするためのドアを開くことで、ブラックカートリッジにアクセスすることが可能となる。S101において、CPU221は現像ロータリ23をホームポジションからブラックの現像当接位置へ移動を開始させる。S102において、CPU221は現像ロータリ23がブラックの現像当接位置へ移動が完了したか否かをチェックする。S103において、CPU221は現像ロータリ23をブラックの現像当接位置に所定時間停止させる。この時の現像ロータリ23の状態は図5(b)となる。各現像器はトナーが収納されており、ぞれぞれの内部には空間がある。現像ロータリ23の回転移動と共に各現像器の姿勢も変わり、トナーが内部を流動する。所定時間が経過すると、S104において、CPU221は現像ロータリ23をイエローの現像当接位置へ移動を開始させる。S105において、CPU221は現像ロータリ23がイエローの現像当接位置へ移動が完了したか否かをチェックする。S106において、CPU221は現像ロータリ23をイエローの現像当接位置に所定時間停止させる。この時の現像ロータリ23の状態は図5(c)となる。所定時間が経過すると、S107において、CPU221は現像ロータリ23をマゼンタの現像当接位置へ移動を開始させる。S108において、CPU221は現像ロータリ23がマゼンタの現像当接位置へ移動が完了したか否かをチェックする。S109において、CPU221は現像ロータリ23をマゼンタの現像当接位置に所定時間停止させる。この時の現像ロータリ23の状態は図5(d)となる。所定時間が経過すると、S110において、CPU221は現像ロータリ23をシアンの現像当接位置へ移動を開始させる。S111において、CPU221は現像ロータリ23がシアンの現像当接位置へ移動が完了したか否かをチェックする。S112において、CPU221は現像ロータリ23をシアンの現像当接位置に所定時間停止させる。この時の現像ロータリ23の状態は図5(e)となる。シアンの現像当接位置で所定時間停止すると、S113において、CPU221は現像ロータリ23をホームポジションへ移動を開始させる。S114において、CPU221は現像ロータリ23がホームポジションへ移動すると、トナー撹拌シーケンスを終了する。
【0028】
次に、図4のフローチャートと、図5の現像ロータリ23の状態を示した図を用いて、現像ロータリ23をブラックの現像当接位置まで回転駆動させる時のトナー撹拌シーケンスについて説明する。S201において、CPU221は現像ロータリ23をホームポジションからブラックの現像当接位置へ移動を開始させる。S202において、CPU221は現像ロータリ23がブラックの現像当接位置へ移動が完了したか否かをチェックする。S203において、CPU221は現像ロータリ23をブラックの現像当接位置に所定時間停止させる。所定時間が経過すると、S204においてCPU221は現像ロータリ23をホームポジションへ移動を開始させる。S205において、CPU221は現像ロータリ23がホームポジションへ移動すると、トナー撹拌シーケンスを終了する。
【0029】
このように、現像ロータリ23の回転移動と停止を繰り返すことにより、各現像器のトナーが流動し、トナーを撹拌することができる。図3で説明した現像ロータリ23を1周回転駆動させる場合は、4色すべての現像当接位置に移動しているのに対して、図4で説明したブラックの現像当接位置まで回転駆動させる場合は、ブラックの現像当接位置にしか移動していない。その結果、現像ロータリ23を1周回転駆動させる場合に対して、ブラックの現像当接位置まで回転駆動させる場合は、トナー撹拌シーケンスの実行時間が短くなる。しかし、現像ロータリ23を1周だけ回転駆動させる場合に対して、ブラックの現像当接位置まで回転駆動させる場合は、現像ロータリ23が回転駆動する時間が約1/4となるので、トナーの攪拌の効果も約1/4となる。なお、一例として現像ロータリ23を1周回転駆動させる時のトナー撹拌シーケンスと、現像ロータリ23をブラックの現像当接位置に移動させる時のトナー撹拌シーケンスについて説明した。しかし、現像ロータリ23の回転数は1周に限られるものではなく、十分にトナーを撹拌できるまで、複数周現像ロータリ23を回転させてもよい。なお、ここでは現像ロータリ23を回転させることによるトナー撹拌シーケンスを説明したが、トナー撹拌シーケンスはこれに限られるものではない。例えば、現像器内部の撹拌棒等を回転させることによってトナーを撹拌してもよい。このような場合には、ロータリの回転数ではなく撹拌時間をカウントする等でトナーを十分に撹拌するまでの状態を制御することが可能である。
【0030】
図6乃至図8を用いて、第1の画像を形成した後から、第2の画像の形成が開始されるまでの期間でトナー撹拌シーケンスを実施する動作について説明する。図6は、初期準備動作で実施するトナー撹拌シーケンスの動作について説明するためのフローチャートである。図7は、プリント動作で実施するトナー撹拌シーケンスの動作について説明するためのフローチャートである。なお、ここで言う初期準備動作とは、プリンタエンジン203がプリント動作を行うために必要な、カートリッジのメモリタグの読み出しやトナー撹拌シーケンスなどの複数の準備動作を実施するシーケンスである。図8は、トナー撹拌シーケンスを実施した周回数と、残りのトナー撹拌シーケンスを実施する回数との関係を示したグラフである。
【0031】
まず、図6のフローチャートを用いて、カートリッジ交換後の初期準備動作で実施するトナー撹拌シーケンスを中断する動作について説明する。S301において、CPU221はトナー撹拌シーケンスを実施する必要があるか否かを判断するトナー均しシーケンスを実施する必要がある条件の例として、カートリッジが交換された場合やプリンタエンジン203が長時間停止していた場合などがある。CPU221は、カートリッジのメモリタグの読み出しを実施する。トナー撹拌シーケンスを実施する必要があるか否かを判断するよりも前に、メモリタグの読み出しを実施し、読み出したメモリタグの情報と不揮発性記憶部224に保持してあるメモリタグの情報を比較し、異なる場合はカートリッジが交換されたと判断する。トナー撹拌シーケンスを実施する必要がない場合は初期準備動作で実施するべき次の動作に移行する。
【0032】
S302において、CPU221はトナー撹拌シーケンスを実施する必要がある場合は、トナー撹拌シーケンスを開始する。S303において、CPU221はトナー撹拌シーケンスを実施中にビデオコントローラ202からプリント命令が来るか否かをチェックする。S303において、プリント命令が来ていなければ、S304において、CPU221はトナー撹拌シーケンスが完了したか否かをチェックする。トナー撹拌シーケンスが完了すると、初期準備動作で実施するべき次の動作に移行する。
【0033】
S303において、ビデオコントローラ202からプリント命令が来ると、S305において、CPU221はトナー撹拌シーケンスを中断するか否かをチェックする。トナー撹拌シーケンスを中断する条件は、例えばトナー撹拌シーケンスが必要なカートリッジが、ビデオコントローラ202から指示されたプリント動作で用いられない場合である。S305において、トナー撹拌シーケンスを中断する条件が成立しない場合は、S304に移行する。S305において、トナー撹拌シーケンスを中断する条件が成立する場合は、S306において、CPU221はトナー撹拌シーケンスを中断する。S307において、CPU221はトナー撹拌シーケンスを実施した周回数をRAM223又は不揮発性記憶部224に記憶し、初期準備動作で実施するべき次の動作に移行する。初期準備動作で実施するトナー撹拌シーケンスを開始する時の現像ロータリ23のポジションはホームポジションであり、終了又は中断する時のポジションもホームポジションとなる。従って、トナー撹拌シーケンスを中断した場合において、RAM223又は不揮発性記憶部224に記憶するトナー撹拌シーケンスを実施した周回数は1周単位となる。
【0034】
このように、初期準備動作においてトナー撹拌シーケンスを実施中、つまり撹拌動作中にプリント動作を指示された場合においても、トナー撹拌シーケンスを中断することで、トナーの撹拌を行うことにより発生する生産性の低下を抑制することが可能となる。しかし、初期準備動作におけるトナー撹拌シーケンスを中断してしまうと、トナーの攪拌が不充分なままのカートリッジが残ってしまう。図6はトナー撹拌シーケンスを中断した場合において、中断する前に実施した周回数と、中断後に実施する必要がある周回数(以降、残周回数と呼ぶ)の関係を示した図である。図6で示したように、初期準備動作におけるトナー撹拌シーケンスを中断した場合は、中断する前に実施した周回数に応じて、プリント動作の後にトナー撹拌シーケンスを残周回数だけ実施する必要がある。トナー撹拌シーケンスにおいて実施しなければならない周回数をX、初期準備動作で中断する前に実施した周回数をY、残周回数をZとすると、Z=X−Yとなる。
【0035】
図7のフローチャートを用いて、中断後に残周回数だけ実施する必要があるトナー撹拌シーケンスを、プリント動作における画像形成と画像形成の間で行う動作について説明する。なお、画像形成と画像形成の間とは先の画像の現像が終了してから次の画像の現像を開始するまでの期間とする。ここで、トナー撹拌シーケンスの実施時間をT(msec)とし、最も短い実施時間をT、2番目に短い実施時間をT、i番目に短い実施時間をTとする。また、トナー撹拌シーケンスの実施量をV(周)とし、最も少ない実施量をV、2番目に少ない実施量をV、i番目に少ない実施量をVとする。実施量Vの実施時間はTである。
【0036】
S401において、CPU221は画像形成を行うための前処理(以降、前回転シーケンスと呼ぶ)を実施する。S402において、CPU221は1枚分の画像を形成する。S403において、CPU221は次のプリント指示があるか否かをチェックする。次のプリント指示がない場合は、S406において、CPU221はトナー撹拌シーケンスを実施する必要があるか否かをチェックする。トナー撹拌シーケンスを実施する必要がある条件の例として、初期準備動作でトナー撹拌シーケンスを中断した場合や、プリンタエンジン203が長時間停止していた場合などがある。S406でトナー撹拌シーケンスを実施する必要がないと判断すると、S408において、CPU221は画像形成動作の後処理(以降、後回転シーケンスと呼ぶ)を実施する。S406でトナー撹拌シーケンスを実施する必要があると判断すると、S407において、CPU221は残周回数だけトナー撹拌シーケンスを実施してからS408において、後回転シーケンスを実施する。
【0037】
S403において、次のプリント指示がある場合は、S404において、CPU221はトナー撹拌シーケンスを実施する必要があるか否かをチェックする。トナー撹拌シーケンスを実施する必要がないと判断すると、S415において、CPU221は次の1枚分の画像を形成する。トナー撹拌シーケンスを実施する必要があると判断すると、S405において、CPU221はトナー撹拌シーケンスを画像形成と画像形成の間で実施することができるか否かを判断するために、トナー撹拌シーケンスを実施する必要があるカートリッジが次の画像形成に用いられるか否かをチェックする。例えば、トナー撹拌シーケンスを実施する必要があるカートリッジがイエローのカートリッジで次の画像形成がモノクプリントの場合は、イエローのカートリッジはモノクロプリントでは用いられないので画像形成と画像形成の間でトナー撹拌シーケンスを実施する。
【0038】
トナー撹拌シーケンスを実施する必要があるカートリッジが次の画像形成に用いられない場合は、S409において、CPU221はi=1とし、S410において、実施時間Tと次の画像の形成の開始までの期間を比較する。実施時間Tが次の画像の形成の開始までの期間より長い場合は、S415において、CPU221は次の1枚分の画像を形成する。実施時間Tが次の画像の形成の開始までの期間より短い場合は、S411において、CPU221はi=i+1とし、S412において、実施時間Tと次の画像の形成の開始までの期間を比較する。実施時間Tの方が次の画像の形成の開始までの期間より短い、又は同じ場合は、S412において、CPU221は実施時間Tと対応する実施量Vと残周回数を比較する。実施量Vが残周回数よりも小さい場合は、実施時間Tにおいて同様の処理を行う。
【0039】
実施時間Tが次の画像の形成の開始までの期間より長い場合は、S416において、CPU221は実施時間Ti−1と対応する実施量Vi−1のトナー撹拌シーケンスを実施し、S415において、次の1枚分の画像を形成する。S413において、CPU221は実施量Vが残周回数よりも大きい、又は同じ場合は、S414において、実施時間Tと対応する実施量Vのトナー撹拌シーケンスを実施し、次の1枚分の画像を形成する。以降、プリント動作の指示がなくなるまで、同様のフローを繰り返す。
【0040】
残周回数をA(周)、次の画像の形成が開始されるまでの期間で実施するトナー撹拌シーケンスの周回数をB(周)とすると、A≦Bならば、次の画像の形成が完了した後にトナー撹拌シーケンスを実施する必要はない。A>Bならば、次の画像の形成が完了した後に、さらにその次以降の画像形成と画像形成の間でトナー撹拌シーケンスを実施する必要がある。周回数B(周)のトナー撹拌シーケンスを実施する回数をC(回)とすると、A≦B×Cとなるまで画像形成と画像形成の間でトナー撹拌シーケンスを実施する必要がある。
【0041】
このように、初期準備動作においてトナー撹拌シーケンスを中断した場合においても、画像形成と画像形成の間でトナー撹拌シーケンスを実施することで、トナーの撹拌を行うことにより発生する生産性の低下を抑制することが可能となる。
【0042】
図9のフローチャートを用いて、次の画像の形成が開始されるまでの期間の方がトナー撹拌シーケンスを行うために最低限必要な時間よりも短い場合に、次の画像の形成の開始を遅らせてトナー撹拌シーケンスを行う方法について説明する。なお、先の図7のフローチャートで説明したものと同様の動作については、同様の符号を付与し、ここでの説明は省略する。
【0043】
S410において、CPU221は実施時間Tと次の画像の形成の開始までの期間を比較する。次の画像の形成が開始されるまでの期間の方が実施時間Tよりも短い場合は、S501において、CPU221は次の画像の形成が開始されるまでの期間の方が実施時間Tよりも長く、又は同じになるように、次の画像の形成の開始を遅らせる。次の画像の形成が開始されるまでの期間をL(msec)、次の画像の形成の開始を遅らせる時間をM(msec)、とすると、L+M≧Tとなるまで次の画像の形成の開始を遅らせる。次の画像の形成の開始を遅らせたら、実施時間Tと対応する実施量Vのトナー撹拌シーケンスを実施し、次の1枚分の画像を形成する。
【0044】
次の画像の形成の開始までの期間をL(msec)、次の画像の形成の開始を遅らせる時間をM(msec)、次の画像の形成が開始されるまでの期間で実施するトナー撹拌シーケンスの周回数をB(周)、周回数B(周)のトナー撹拌シーケンスを実施した回数をC(回)とする。すると、トナー撹拌シーケンスの実施時間の総和は、(L+M)×C(msec)となる。この時間は残周回数Z(周)のトナー撹拌シーケンスの実施時間Tに相当する。トナー撹拌シーケンスの実施時間の総和は、(L+M)×C(msec)となるが、画像形成の開始を遅らせた時間の総和は、M×C(msec)となる。これにより、画像形成の開始の遅れをM×C(msec)に抑えつつ、残周回数Z(周)の(実施時間T=(L+M)×Cの)トナー撹拌シーケンスを実施することができる。
【0045】
このように、次の画像の形成を開始するまでの期間の方がトナー撹拌シーケンスを行うために最低限必要な時間よりも短い場合においても、次の画像の形成の開始を遅らせ、画像形成と画像形成の間でトナー撹拌シーケンスを実施する。これにより、トナーの撹拌を行うことにより発生する生産性の低下を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
20Y イエロー現像器
20M マゼンタ現像器
20C シアン現像器
20B ブラック現像器
23 現像ロータリ
202 ビデオコントローラ
220 エンジン制御部
221 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの像担持体と、
前記像担持体に画像を形成するための複数の現像器と、
前記複数の現像器の各々を前記像担持体に画像形成するための画像形成位置に移動可能な現像器移動手段と、を有し、
前記現像器移動手段によって、前記現像器を前記画像形成位置に移動させて、前記現像器によって前記像担持体に画像を形成する画像形成動作と、前記現像器によって前記像担持体に画像を形成することなく、前記現像器に収容された現像剤を撹拌する撹拌動作と、を行う画像形成装置であって、
前記撹拌動作中に前記画像形成動作の命令を受け取ったときに、前記撹拌動作によって撹拌が終わる前の現像器が画像形成に必要であれば前記撹拌動作を続け、前記撹拌動作によって撹拌が終わる前の現像器が前記画像形成動作に必要でなければ前記撹拌動作を中断して画像形成を行う制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像器移動手段は現像ロータリであり、前記制御手段は、前記撹拌動作として前記現像ロータリを移動及び停止させることを繰り返すことにより前記現像器に収容された現像剤を撹拌することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記撹拌動作として前記現像ロータリにより前記現像器を画像形成位置に移動させ、画像形成を行うことなく所定時間、前記現像ロータリを停止させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記撹拌動作を中断して前記画像形成動作を行った後、次の画像形成動作を開始する前に前記撹拌動作を再び行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記撹拌動作を中断して前記画像形成動作を行った後、次の画像形成動作を開始する前に前記撹拌動作を再び行うだけの時間がない場合は、少なくとも前記撹拌動作を行うことができる時間、前記次の画像形成動作を開始するタイミングを遅らせることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−123276(P2012−123276A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275142(P2010−275142)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】