説明

画像形成装置

【課題】インクの影響を受けず、高精度なキャリッジの移動制御を行うことが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、インクを吐出するヘッド6を搭載したキャリッジ3と、キャリッジ3の移動に応じて回動されるとともに、同心円上に所定のパターンが形成されたスケール41と、スケール41の所定のパターンを検出するセンサユニット42と、キャリッジ3に設けられ、スケール41およびセンサユニット42を収容し、該収容したスケール41およびセンサユニット42に対してヘッド6で吐出されたインクが付着するのを阻止するハウジング(収容部)3Aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録ヘッドを搭載したキャリッジを主走査方向で往復移動させ、記録ヘッドによりインクを吐出することで記録媒体に画像を形成するインクジェット式の画像形成装置が知られている。
【0003】
この種の画像形成装置では、キャリッジの位置を検出するエンコーダとして、所定のパターンが形成されたリニア型またはロータリー型のエンコーダスケールと、エンコーダスケールに形成された所定のパターンを検出するエンコーダセンサとを備えている。
【0004】
そして、前記エンコーダスケールとしては、所定のピッチで明暗パターンが形成されたものと、所定のピッチでスリット孔が形成されたものとが知られている。
【0005】
ところが、明暗パターンが形成されたエンコーダスケールを実装した画像形成装置では、加工技術的に明暗パターンのピッチを高精細化してエンコーダの分解能を高精細化することが可能であるものの、インクの付着により明暗パターンの検出性能が劣化するなどの不都合がある。
【0006】
一方、スリット孔が形成されたエンコーダスケールを実装した画像形成装置では、インクの付着によりスリット孔の検出性能が劣化する虞は無いものの、加工技術的にスリット孔のピッチを高精細化することが困難であるため、エンコーダの分解能を高精細化できないなどの不都合がある。
【0007】
また、近年の画像形成装置では、高精度化に伴って使用されるインクが小液滴化されることにより、記録媒体に着弾せずに筐体内を舞う微小なインク(以下、単に「インクミスト」という場合がある。)がエンコーダスケールに付着し易くなっており、従来に比べ、エンコーダスケールがより汚れ易くなっている。
【0008】
このような問題を解決する従来技術として、例えば、エンコーダセンサと、そのエンコーダセンサに近接するエンコーダスケールの一部を覆うカバーや吸着部材を有する画像形成装置(特許文献1参照)や、エンコーダスケールを清掃する清掃手段を有する画像形成装置(特許文献2参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−113772号公報
【特許文献2】特開2002−361901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の画像形成装置では、カバーや吸着部材によりエンコーダセンサに対するインクミストの付着をある程度は軽減することができるものの、カバーがエンコーダスケールの全部を覆っていないため、エンコーダスケールおよびエンコーダセンサへのインクミストの付着を完全に防止することができないなどの不都合がある。
【0011】
しかしながら、特許文献2の画像形成装置では、清掃手段のウレタン樹脂が汚れていない初期の段階では、エンコーダスケールに付着したインクミストを精度良く取り除くことができるものの、使用するに連れてウレタン樹脂に汚れが溜まっていくため、インクミストの汚れを取り除くという効果は経時的に低下する可能性が高いなどの不都合がある。
【0012】
また、特許文献2の画像形成装置では、清掃手段のウレタン樹脂によりエンコーダスケールに付着したインクミストを完全に拭き取ることができなかった場合には、かえってエンコーダスケールの汚れを拡げてしまうなどの不都合がある。
【0013】
即ち、従来の画像形成装置では、前記した不都合によって高精度なキャリッジの移動制御を行うことができず、画像形成の品質が低いなどの課題がある。
【0014】
そこで、本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、インクの影響を受けず、高精度なキャリッジの移動制御を行うことが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、インクを吐出するヘッドを搭載したキャリッジと、前記キャリッジの移動に応じて回動されるとともに、同心円上に所定のパターンが形成されたスケールと、前記スケールの前記所定のパターンを検出するセンサと、前記キャリッジに設けられ、前記スケールおよび前記センサを収容し、該収容した前記スケールおよび前記センサに対して前記ヘッドで吐出されたインクが付着するのを阻止する収容部とを備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、インクの影響を受けず、高精度なキャリッジの移動制御を行うことができ、画像形成の品質が高い画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置の筐体内の概略的な構成を示す正面図である。
【図2】図2は、図1に示すX−X線より矢印方向に視た場合のキャリッジの拡大断面図である。
【図3】図3は、図2に示す矢印B方向に視た場合の平面図である。
【図4】図4は、図3に示すY−Y線より矢印方向に視た場合の断面図である。
【図5】図5は、画像形成装置のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【図6】図6は、画像形成装置における全体的な処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0019】
なお、以下では、本実施形態の画像形成装置として、ヘッドを搭載したキャリッジが記録媒体上を走査移動しながらインクを吐き出すことにより、記録媒体に画像を形成するインクジェット型のプリンタの場合について説明する。
【0020】
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置の筐体内の概略的な構成を示す正面図であり、図2は、図1に示すX−X線より矢印方向に視た場合のキャリッジの拡大断面図であり、図3は、図2に示す矢印B方向に視た場合の平面図であり、エンコーダスケールの駆動機構を説明するための図である。なお、図3では、一部の図示を省略している。
【0021】
図1に示すように、この画像形成装置1は、筐体2内に、キャリッジ3と、エンコーダ部4とを備えている。
【0022】
キャリッジ3は、インクを吐出するインクジェット式の記録ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)6を搭載しており、そのヘッド6を主走査方向(移動方向)Aに搬送するものである。
【0023】
キャリッジ3には、筐体2の左右の側壁に平行に掛け渡されたガイド軸7が当該キャリッジ3に対して摺動可能に貫通されているとともに、筐体2内に設けられた駆動プーリ8および従動プーリ9に掛け回された無端状のタイミングベルト10の一部が取り付けられている。なお、タイミングベルト10は、ガイド軸7と略平行となるように設けられている。
【0024】
即ち、キャリッジ3は、駆動モータ11により駆動プーリ8および従動プーリ9が回動駆動されてタイミングベルト10が走行されることにより、ガイド軸7に沿って摺動されながら主走査方向Aで移動可能となっている。
【0025】
また、キャリッジ3は、ハウジング(収容部)3Aを有しており、このハウジング3A内には、ヘッド6にインクを供給するための着脱可能なインクカートリッジ31が装着されている。なお、例えば、本実施形態のインクカートリッジ31は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のインクをそれぞれ個別に供給する4つのインクカートリッジ(不図示)から構成されている。
【0026】
キャリッジ3に搭載されるヘッド6は、前記した4色のインクカートリッジから供給されるインクをそれぞれ個別に吐出するための4つのインクジェットヘッド(不図示)から構成されている。なお、それら4つのインクジェットヘッドは、主走査方向Aに並列に配置されており、各インクジェットヘッドは、下向きのノズル面に複数のノズルを直線状に並べたノズル列を有している。
【0027】
エンコーダ部4は、図2および図3に示すように、キャリッジ3の移動量や位置を検出するエンコーダであり、エンコーダスケール(以下、単に「スケール」という。)41とエンコーダセンサユニット(以下、単に「センサユニット」という。)42とを主体に構成される。なお、スケール41は、同心円上に所定のパターンが形成され、キャリッジの移動に応じて回動されるロータリー型のスケールである。また、センサユニット42は、スケール41を基準としてキャリッジ3の移動量を検出するものであり、スケール41に形成された所定のパターンを検出して所定の信号を出力するものである。
【0028】
なお、本実施形態の画像形成装置1では、所定の駆動機構により回動される円板状のスケール41が、ヘッド6、特に、インクを吐出するノズル部分が外部に配置されるハウジング3A内で回動可能に支持されているとともに、センサユニット42が、ハウジング3A内のスケール41に形成された所定のパターンPを検出可能な位置に固設されている。
【0029】
また、本実施形態のスケール41は、樹脂などで構成される透明な円板状の部材であり、スケール41には、外周縁に沿って、前記所定のパターンPとしての明暗パターンが形成されたものである。
【0030】
そして、スケール41を回動させる駆動機構は、筐体2の左右の側壁に平行に掛け渡されたガイド軸12と、そのガイド軸12に固設されたラック13と、ラック13のラック歯13aと係合するギア14Aと、ギア14Aおよびスケール41が固定される軸部材14Bと、軸部材14Bを回動可能に支持するための2つの軸受け部材32A、32Bとから構成されている。なお、2つの軸受け部材32A、32Bは、ハウジング3Aに形成された2つの孔3a、3bにそれぞれ嵌合される。
【0031】
また、ハウジング3Aは、2つの孔3a、3b以外には、孔などの開口する部分が形成されておらず、2つの軸受け部材32A、32Bに軸部材14Bが回動可能に軸支されることで、ハウジング3Aは、外部から閉ざされ、略密閉された状態となっている。
【0032】
また、図2に示すように、ガイド軸12、ラック13およびギア14Aと、軸部材14Bの一部とが、ハウジング3Aの外部に配置されるようになっている。即ち、ハウジング3Aには、ギア14Aの回動を許容可能なスペースを形成する凹部33が形成されており、この凹部33を構成する2つの側面にそれぞれ孔3a、3bが形成されている。
【0033】
なお、図2および図3の例では、動力伝達部材間のガタツキによるキャリッジ3の移動制御の精度の低下を防止または抑制する目的で、ギア14Aとスケール41とを同一の軸部材14Bに固定するように構成しているが、これに限定されず、ギア14Aとスケール41との間に、キャリッジ3の移動に伴って駆動されるギア14Aの駆動力を、スケール41に伝達するための他のギアや軸部材を介在させることも可能である。
【0034】
図4は、図3に示すY−Y線より矢印方向に視た場合の断面図であり、センサユニット42の構成を説明するための図である。
【0035】
図4に示すように、センサユニット42は、光源としての発光部421と、光を受光する受光部422とを備えた一つの透過型のセンサ42Aを有している。なお、発光部421と受光部422とは、スケール41を挟むように対向配置されている。
【0036】
より具体的には、ハウジング3Aの内側面(天井面)には、スケール41を挟むスペースを形成するように所定距離隔てて、発光部421および受光部422をそれぞれ保持するための直方体状の2つのホルダ部材420A、420Bが設けられている。
【0037】
即ち、センサユニット42は、キャリッジ3と共に移動する場合に、受光面422が、発光面421から発せられた光を、スケール41に形成された所定の明暗パターンPを介して受光する光に応じて所定の信号(不図示)を後述のセンサコントローラ42Cに出力するものである。
【0038】
具体的には、受光面422は、受光面422aが明暗パターンPのうち明るいパターン部分を介して光を受光した場合にONとなり、他方、明暗パターンPのうち暗いパターン部分を介して光を受光した場合にOFFとなるようなON/OFF信号を出力する。
【0039】
なお、図2および図3の例では、センサユニット42は、ハウジング3Aの内側面に直接固定されているが、これに限定されず、他の支持部材を介してハウジング3Aの内側面に固定されるようにしても良い。
【0040】
即ち、本実施形態の画像形成装置1では、スケール41およびセンサユニット42が、常に、略密閉された状態のハウジング3A内で支持されているため、スケール41(特に、所定のパターンP)およびセンサユニット42(特に、発光面421および受光面422)に、記録ヘッドから吐出されたインクや、筐体内で浮遊するインクミストなどが付着するのを防止または抑制することが可能である。
【0041】
また、画像形成装置1は、筐体2内に、主制御基板5を備えている。この主制御基板5は、画像形成装置1の処理動作を制御するためのCPU(Central Processing Unit)51(図5参照)などの各種電子部品を搭載した基板であり、例えば、後述の駆動コントローラ32と協働してセンサユニット42から出力される信号に基づいてキャリッジ3の移動を制御するものである。
【0042】
更に、画像形成装置1は、筐体2内に、用紙搬送部14を更に備えている。この用紙搬送部14は、駆動モータ15により搬送ローラ16を回動駆動することにより、不図示の給紙トレイから記録媒体としての記録用紙MPを搬送方向C(図1を視る側に向う方向)に搬送するものである。
【0043】
図5は、画像形成装置1のハードウェア構成を説明するためのブロック図であり、特に、主制御基板5の回路構成と、その主制御基板5以外のその他の回路構成を示している。
【0044】
図5に示すように、この画像形成装置1は、筐体2内に、主制御基板5を有しており、具体的には、CPU51と、このCPU51とバスラインBLを介して接続されるROM(Read Only Memory)52と、RAM(Random Access Memory)53と、不揮発性メモリ54と、センサユニット42と、ヘッド駆動部60と、キャリッジ駆動部30と、用紙搬送部14と、通信I/F部55とを備えるとともに、それら各構成部に電力を供給する電力供給部56を備えている。
【0045】
ここで、CPU51は、ROM52に格納されたプログラムをRAM53に展開して実行することにより、この画像形成装置1の全体を制御する。
【0046】
ROM52は、後述のフローチャートにおける処理手順を実行するためのプログラムなどの各種のプログラムや、それら各種のプログラムの処理で用いられる各種のデータなどのファイルを記憶する。RAM53は、作業中のデータを一時記憶する。不揮発性メモリ54は、通信I/F部57を介して不図示のホストコンピュータから受信したPDL形式の印刷データやその印刷データを解析して得られた画像データなどを記憶する。
【0047】
センサユニット42は、センサ42Aと、それと電気的に接続され、センサ42Aをコントロールするセンサコントローラ42Cとを備えている。例えば、センサコントローラ42Cは、キャリッジ3のハウジング30内の一端面寄りに設けられる。
【0048】
そして、センサコントローラ42Cは、CPU51の制御のもと、センサ42Aの発光部421の発光を制御したり、センサ42Aの受光部422からの出力信号の入力処理を制御したりして、キャリッジ3の位置検出処理を制御する。
【0049】
ヘッド駆動部60は、ヘッド6と、そのヘッド6と電気的に接続され、ヘッド6をコントロールするヘッドコントローラ61とを備えている。例えば、ヘッドコントローラ61は、キャリッジ3のハウジング3A内に設けられる。
【0050】
そして、ヘッドコントローラ61は、CPU51の制御のもと、ヘッド6からインクを吐出するタイミングや、ヘッド6から吐出されるインクの吐出量などを制御する。
【0051】
キャリッジ駆動部30は、駆動モータ11と、その駆動モータ11と電気的に接続され、駆動モータ11をコントロールする駆動コントローラ32とを備えている。例えば、駆動コントローラ32は、主制御基板5に搭載される。
【0052】
そして、駆動コントローラ32は、CPU51の制御のもと、駆動モータ11の回動量を制御してキャリッジ3の移動を制御する。
【0053】
用紙搬送部14は、駆動モータ15と、その駆動モータ15と電気的に接続され、駆動モータ15をコントロールする駆動コントローラ17とを備えている。例えば、駆動コントローラ17は、主制御基板5に搭載される。
【0054】
そして、駆動コントローラ17は、CPU51の制御のもと、駆動モータ15の回動量を制御して記録用紙MPの搬送を制御する。
【0055】
通信I/F部55は、不図示の通信ケーブルなどを介して接続されるホストコンピュータとの間で各種データの送受信を行うインタフェースであり、ホストコンピュータから印刷データを受信する。
【0056】
電力供給部56は、商用電源などからの電力を各構成部に必要な電力に変換して供給する。
【0057】
なお、前記したプログラムは、ROM52などに予め組み込んで提供される以外にも、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されたり、ネットワーク経由で提供されたりすることが可能である。
【0058】
次に、画像形成装置1の処理動作について説明する。
【0059】
図6は、画像形成装置1における全体的な処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【0060】
図6に示すように、画像形成装置1は、まず、ステップS1において、CPU51の制御のもと、通信I/F部55を介してホストコンピュータからPDL形式の印刷データを受信すると、RAM53や不揮発性メモリ54に受信した印刷データを記憶する。
【0061】
続いて、画像形成装置1は、CPU51の制御のもと、ステップS1で受信した印刷データに基づく全ての画像形成が終了するまで、ステップS2およびステップS3の処理を繰り返し実行する。
【0062】
具体的には、ステップS2の処理では、画像形成装置1は、CPU51の制御のもと、RAM53に記憶したPDL形式の印刷データのデータ解析を行って、例えば、ページ単位の画像データを生成する。
【0063】
ステップS3の処理では、画像形成装置1は、ステップS2で生成したページ単位の画像データに基づいて、記録用紙MPに画像を形成するための画像形成処理を実行する。
【0064】
具体的には、ステップS3の画像形成処理では、画像形成装置1は、CPU51の制御のもと、センサユニット42のセンサコントローラ42Cが、センサ42Aの駆動を制御する処理や、キャリッジ駆動部30の駆動コントローラ32が、キャリッジ3の移動を制御する処理や、ヘッド駆動部60のヘッドセンサコントローラ61がヘッド6の駆動を制御する処理や、用紙搬送部14の駆動コントローラ17が、記録用紙MPの搬送を制御する処理などを実行する。
【0065】
そして、ステップS1で受信した印刷データに基づく全ての画像形成が終了した場合に、ここでの処理を終了する。
【0066】
なお、前記したステップS3の各種処理のうちのキャリッジ3の移動制御に係る処理としては、画像形成装置1では、ページ単位の画像形成が終了するまで、CPU51の制御のもと、センサコントローラ42Cが、センサ42Aから出力される信号を入力する。そして、センサコントローラ42Cが、入力した信号の「ON」/「OFF」に基づいて、キャリッジ3の位置情報を算出し、該算出した位置情報をCPU51に受け渡す。そして、CPU51が、受け取った位置情報と、ページ単位の画像データとに基づいて、キャリッジ駆動部30の駆動コントローラ32に対してキャリッジ3の移動量を示す制御信号を出力する。すると、駆動コントローラ32が、入力した制御信号に基づいて駆動モータ11の回動量を制御してキャリッジ3の移動を制御する。
【0067】
即ち、以上説明した実施形態によれば、インクの影響を受けず、高精度(高分解能)なキャリッジの移動制御を行うことが可能であり、それにより、画像形成の品質(即ち、印刷品質)が高い画像形成装置を提供することができる。
【0068】
より具体的には、本実施形態によれば、スケールおよびセンサの双方が、略密閉された状態のハウジング内に収容されて支持されているため、インク(即ち、記録ヘッドから吐出されたインクや、筐体内で浮遊するインクミストなど)が付着するのを防止または抑制することができるため、高精度(高分解能)なキャリッジの移動制御を行うことができ、画像形成の品質の高い画像形成装置を提供することができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、キャリッジをガイドするガイド部材などの強度性の高い部材にラックを固定するようにしているため、ラックの強度性を高めることができ、ラックの撓みなどによるラックとギアとのガタツキを防止または抑制することができる。
【0070】
以上、例示的な実施形態に基づいて説明したが、本実施形態は、前記した実施形態により限定されるものではない。
【0071】
例えば、前記した実施形態では、スケール41およびセンサユニット42を収容する収容部として、インクカートリッジ31も収容可能なスペースを有するキャリッジ3のハウジング3Aの場合について説明したが、これに限定されず、スケール41およびセンサユニット42を収容する収容部としては、インクカートリッジ31を収容するハウジングに取り付けられ、スケール41およびセンサユニット42のみを収容可能なスペースを有する収容部とすることも可能である。
【0072】
また、前記した実施形態では、ロータリー型のスケール41として、所定の明暗パターンが形成された透明な円板状の部材で構成される場合について説明したが、これに限定されず、同心円上に所定の間隔を隔てて複数のスリット孔が形成される円板状の部材で構成されるスケールとすることも可能である。
【0073】
また、前記した実施形態では、キャリッジ3を主走査方向Aに案内するためのガイド部材として、2つのガイド軸7、12を備えた場合について説明したが、これ以外にも、例えば、ガイド軸7を省略した形態や、2つのガイド軸7、12以外の他のガイド軸を更に設けるような形態とすることも可能である。
【0074】
例えば、前記した実施形態では、プリンタ機能(画像形成機能)のみを有するインクジェット式の画像形成装置の場合について説明したが、これ以外にも、例えば、プリンタ機能に加えて、ファクシミリ機能や、スキャナ機能などのその他の機能を有する複合機タイプの画像形成装置とすることも可能である。
【0075】
その他、前記した実施形態における画像形成装置のハードウェア構成や、スケールやセンサユニットなどの各種構成要素のレイアウトや、記録媒体およびインクの種別などは、単なる例として記載したものであり、本実施形態は、それらにより限定されない。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置
2 筐体
3 キャリッジ
4 エンコーダ部
5 主制御基板(制御手段)
6 記録ヘッド(ヘッド)
7、12 ガイド軸
8 駆動プーリ
9 従動プーリ
10 タイミングベルト
11 駆動モータ
13 ラック
13a ラック歯
14A ギア
14B 軸部材
15 駆動モータ
16 搬送ローラ
3A ハウジング
31 インクカートリッジ
41 エンコーダスケール
42 センサユニット
42A センサ
42C センサコントローラ(制御手段)
421 発光部
422 受光部
420A、420B ホルダ部材
51 CPU
52 ROM
53 RAM
54 不揮発性メモリ
55 通信I/F部
56 電力供給部
BL バスライン
60 ヘッド駆動部
61 ヘッドコントローラ
30 キャリッジ駆動部
32 駆動コントローラ
17 駆動コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するヘッドを搭載したキャリッジと、
前記キャリッジの移動に応じて回動されるとともに、同心円上に所定のパターンが形成されたスケールと、
前記スケールの前記所定のパターンを検出するセンサと、
前記キャリッジに設けられ、前記スケールおよび前記センサを収容し、該収容した前記スケールおよび前記センサに対して前記ヘッドで吐出されたインクが付着するのを阻止する収容部とを備える画像形成装置。
【請求項2】
前記ハウジングに形成された孔に嵌合される軸受け部材と、
前記軸受け部材で軸支される軸部材と、
前記軸部材に動力を伝達するギアと、
前記ギアと係合される歯を有し、前記キャリッジの移動方向に沿って配置されるラックと、
を更に備え、
前記スケールは、前記キャリッジの移動に伴って前記ギアおよび前記軸部材が駆動されることにより、前記軸受け部材および前記軸部材により密閉された前記収容部内で回動される、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記キャリッジを前記移動方向に案内するガイド軸部材、
を更に備え、
前記ラックが、前記ガイド軸部材に設けられている、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定のパターンは、明暗パターンまたは複数のスリット孔で構成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−125982(P2012−125982A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278442(P2010−278442)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】