説明

画像形成装置

【課題】 省エネ性能を従来より向上することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 通常状態と、通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有するMFP20は、ホストPC90から印刷データを受信する通信部26と、印刷データを蓄積するHDD27と、HDD27に電力を供給するメイン電源28と、HDD27への電力の供給元を切り替えるスイッチ29と、通常状態から省エネ状態に移行する場合にメイン電源28からUSBのバスパワーにHDD27の電力の供給元をスイッチ29に切り替えさせる切替装置制御手段26cと、省エネ状態である場合に通信部26によって受信された印刷データをHDD27に蓄積させる蓄積制御手段26dとを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態に移行することができる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、省エネ状態に移行することができる画像形成装置として、電源ユニットと、電源ユニットを制御するパワーコントロール部とを備えている印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このパワーコントロール部は、パーソナルコンピューターからUSB(Universal Serial Bus)を介して電力が供給されており、通常状態である場合に印刷作業が終了してから所定の時間が経過したときに、通常状態から省エネ状態に移行するように電源ユニットを制御し、省エネ状態である場合にパーソナルコンピューターからUSBを介してプリンター言語を受信したときに、省エネ状態から通常状態に復帰するように電源ユニットを制御する。
【0003】
また、省エネ状態に移行することができる画像形成装置として、メイン電源と、メイン電源を制御する省エネスタンバイ時電圧制御部とを備えている画像処理装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。この省エネスタンバイ時電圧制御部は、パーソナルコンピューターからUSBを介して電力が供給されており、通常状態である場合に省エネスタンバイ移行条件を満たしたときに、通常状態から省エネ状態に移行するようにメイン電源を制御し、省エネ状態である場合にパーソナルコンピューターからUSBを介してプリントジョブを受信したときに、省エネ状態から通常状態に復帰するようにメイン電源を制御する。
【0004】
なお、画像形成装置の近年の機能として、任意の時期に印刷することを可能にするために印刷データを記憶装置に蓄積しておく機能が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−118204号公報
【特許文献2】特開2005−278110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載された画像形成装置は、省エネ状態である場合にパーソナルコンピューターからUSBを介して印刷データを受信したときに通常状態に復帰するので、省エネ状態である場合にパーソナルコンピューターからUSBを介して受信した印刷データを単に記憶装置に蓄積しておくだけでも、通常状態に復帰してしまい、省エネの効率が下がるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、省エネ性能を従来より向上することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有する画像形成装置であって、外部の装置から印刷データを受信するインターフェースと、前記印刷データを蓄積する記憶装置と、前記記憶装置に電力を供給する電力供給装置と、前記記憶装置への電力の供給元を切り替える供給元切替装置と、前記通常状態から前記省エネ状態に移行する場合に前記電力供給装置から前記インターフェースのバスパワーに前記供給元を前記供給元切替装置に切り替えさせる切替装置制御手段と、前記省エネ状態である場合に前記インターフェースによって受信された前記印刷データを前記記憶装置に蓄積させる蓄積制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
この構成により、本発明の画像形成装置は、省エネ状態である場合にインターフェースのバスパワーを記憶装置に供給するので、電力供給装置による記憶装置への電力の供給を停止させた状態で、インターフェースを介して受信した印刷データを記憶装置に蓄積することができる。つまり、本発明の画像形成装置は、省エネ状態である場合に外部の装置からインターフェースを介して受信した印刷データを記憶装置に蓄積するとき、通常状態に復帰する必要がない。したがって、本発明の画像形成装置は、省エネ性能を従来より向上することができる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置の前記蓄積制御手段は、前記インターフェースのバスパワーによって動作しても良い。
【0011】
この構成により、本発明の画像形成装置は、外部の装置がインターフェースに接続されていない場合に蓄積制御手段が電力を消費しないので、蓄積制御手段が電力供給装置からの電力によって動作する構成と比較して、省エネ性能を向上することができる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置の前記供給元切替装置は、前記電力供給装置からの電力が供給されない場合に前記供給元を前記インターフェースのバスパワーにしても良い。
【0013】
この構成により、本発明の画像形成装置は、省エネ状態でない場合に電力供給装置からの電力が供給元切替装置に供給されないときであっても、記憶装置がインターフェースのバスパワーによって動作するので、インターフェースによって外部の装置から受信された印刷データを記憶装置に蓄積することができる。
【0014】
また、本発明の画像形成装置は、前記省エネ状態である場合に前記電力供給装置を停止させる供給装置停止手段を備えていても良い。
【0015】
この構成により、本発明の画像形成装置は、省エネ状態である場合であっても電力供給装置を停止させない構成と比較して、省エネ性能を向上することができる。
【0016】
また、本発明の画像形成装置用プログラムは、外部の装置から印刷データを受信するインターフェースと、前記印刷データを蓄積する記憶装置と、前記記憶装置に電力を供給する電力供給装置と、前記記憶装置への電力の供給元を切り替える供給元切替装置とを備えており、通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有する画像形成装置を、前記通常状態から前記省エネ状態に移行する場合に前記電力供給装置から前記インターフェースのバスパワーに前記供給元を前記供給元切替装置に切り替えさせる切替装置制御手段、および、前記省エネ状態である場合に前記インターフェースによって受信された前記印刷データを前記記憶装置に蓄積させる蓄積制御手段として機能させることを特徴とする。
【0017】
この構成により、本発明の画像形成装置用プログラムを実行する画像形成装置は、省エネ状態である場合にインターフェースのバスパワーを記憶装置に供給するので、電力供給装置による記憶装置への電力の供給を停止させた状態で、インターフェースを介して受信した印刷データを記憶装置に蓄積することができる。つまり、本発明の画像形成装置用プログラムを実行する画像形成装置は、省エネ状態である場合に外部の装置からインターフェースを介して受信した印刷データを記憶装置に蓄積するとき、通常状態に復帰する必要がない。したがって、本発明の画像形成装置用プログラムを実行する画像形成装置は、省エネ性能を従来より向上することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の画像形成装置は、省エネ性能を従来より向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成システムのブロック図である。
【図2】通常状態から省エネ状態に移行するときの図1に示すMFPの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
まず、本実施の形態に係る画像形成システムの構成について説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る画像形成システム10のブロック図である。
【0023】
図1に示すように、画像形成システム10は、本発明の画像形成装置としてのMFP(Multifunction Peripheral)20と、MFP20の外部の装置であるホストPC(Personal Computer)90とを備えている。MFP20およびホストPC90は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル11経由で互いに接続されることが可能である。
【0024】
MFP20は、通常状態と、通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有している。
【0025】
MFP20は、MFP20を制御する制御部21と、制御部21に接続されていて利用者によって種々の操作が入力される操作部22と、制御部21に接続されていて種々の情報を表示するディスプレイ23と、制御部21に接続されていて用紙などの記録媒体に印刷を実行するプリンター24と、制御部21に接続されていて原稿を読み込んで画像データを生成する読込デバイスであるスキャナー25と、制御部21に接続されていてホストPC90との通信を制御する本発明のインターフェースとしての通信部26と、印刷データを蓄積する本発明の記憶装置としてのHDD(Hard Disk Drive)27と、制御部21、操作部22、ディスプレイ23、プリンター24、スキャナー25およびHDD27に電力を供給する本発明の電力供給装置としてのメイン電源28と、HDD27への電力の供給元を切り替える本発明の供給元切替装置としてのスイッチ29とを備えている。
【0026】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行する演算処理装置である。RAMは、CPUによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶するようになっている。
【0027】
操作部22は、ディスプレイ23とともにタッチパネルを形成するボタンなどの入力デバイスである。
【0028】
ディスプレイ23は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである。
【0029】
プリンター24は、例えば、スキャナー25によって生成された画像データや、ホストPC90から通信部26を介して受信された印刷データなどの各種のデータを印刷する印刷デバイスである。
【0030】
通信部26は、制御部21のCPU、ROMおよびRAMとは異なるCPU、ROMおよびRAMを備えており、ホストPC90との接続応答などの各種の通信処理を実行する。通信部26は、ホストPC90から供給されるUSBのバスパワーによって動作させられる。通信部26と、HDD27との間には、印刷データなどの各種のデータの通信を行うための信号用線26aが配置されている。通信部26と、スイッチ29との間には、USBのバスパワーの供給を行うための電力用線26bが配置されている。
【0031】
通信部26は、CPUがROMに記憶されている本発明の画像形成装置用プログラムを実行することによって、通常状態から省エネ状態に移行する場合にメイン電源28から通信部26のバスパワー、すなわち、USBのバスパワーにHDD27の電力の供給元をスイッチ29に切り替えさせる切替装置制御手段26c、省エネ状態である場合に通信部26によって受信された印刷データをHDD27に蓄積させる蓄積制御手段26d、および、省エネ状態である場合にメイン電源28を停止させる供給装置停止手段26eとして機能する。
【0032】
スイッチ29は、メイン電源28からの電力が供給されない場合に、通信部26と、HDD27とを接続して、HDD27の電力の供給元をUSBのバスパワーにするようになっている。
【0033】
次に、画像形成システム10の動作について説明する。
【0034】
図2は、通常状態から省エネ状態に移行するときのMFP20の動作のフローチャートである。
【0035】
MFP20は、通常状態である場合、利用者からの操作が所定の時間無かったなど、所定の条件が満たされたとき、図2に示す動作を実行することによって通常状態から省エネ状態に移行する。
【0036】
図2に示すように、通信部26の切替装置制御手段26cは、通常状態から省エネ状態に移行することが制御部21から通知されると、メイン電源28からUSBのバスパワーにHDD27の電力の供給元をスイッチ29に切り替えさせる(S101)。したがって、HDD27には、メイン電源28からの電力ではなく、電力用線26bを介して通信部26からUSBのバスパワーが供給される。
【0037】
そして、通信部26の供給装置停止手段26eは、メイン電源28を停止させて(S102)、図2に示す動作を終了する。
【0038】
MFP20が省エネ状態である場合、通信部26の蓄積制御手段26dは、通信部26によって受信された印刷データをHDD27に蓄積させる。つまり、通信部26は、ホストPC90から印刷データを受信した場合、ホストPC90から受信した印刷データを信号用線26aを介してHDD27に蓄積する。
【0039】
したがって、MFP20が省エネ状態から通常状態に復帰した場合、制御部21は、省エネ状態中にHDD27に蓄積された印刷データに基づいてプリンター24によって印刷を実行することができる。
【0040】
以上に説明したように、MFP20は、省エネ状態である場合にUSBのバスパワーをHDD27に供給するので、メイン電源28によるHDD27への電力の供給を停止させた状態で、通信部26を介して受信した印刷データをHDD27に蓄積することができる。つまり、MFP20は、省エネ状態である場合にホストPC90から通信部26を介して受信した印刷データをHDD27に蓄積するとき、通常状態に復帰する必要がない。したがって、MFP20は、省エネ性能を従来より向上することができる。
【0041】
また、MFP20は、省エネ状態である場合に、USBケーブル11によってホストPC90と接続されているときのみ、HDD27に電力を供給するので、省エネ性能を従来より向上することができる。
【0042】
また、MFP20は、蓄積制御手段26dがUSBのバスパワーによって動作するので、ホストPC90が通信部26に接続されていない場合に通信部26が電力を消費しない。したがって、MFP20は、蓄積制御手段26dがメイン電源28からの電力によって動作する構成と比較して、省エネ性能を向上することができる。なお、MFP20は、省エネ状態である場合にメイン電源28を停止させずに、蓄積制御手段26dがメイン電源28からの電力によって動作する構成であっても良い。
【0043】
また、MFP20は、スイッチ29にメイン電源28からの電力が供給されない場合に、スイッチ29が通信部26と、HDD27とを接続するので、HDD27がUSBのバスパワーによって動作することができる。したがって、MFP20は、例えば電源ケーブルが接続されていないときなど、省エネ状態でない場合にメイン電源28からの電力がスイッチ29に供給されないときであっても、通信部26によってホストPC90から受信された印刷データをHDD27に蓄積することができる。なお、MFP20は、メイン電源28からの電力がスイッチ29に供給されない場合に、スイッチ29が通信部26と、HDD27とを接続するようになっていなくても良い。
【0044】
また、MFP20は、省エネ状態である場合にメイン電源28を停止させるので、省エネ状態である場合であってもメイン電源28を停止させない構成と比較して、省エネ性能を向上することができる。なお、MFP20は、省エネ状態である場合であってもメイン電源28を停止させずに、メイン電源28から制御部21などの所定の装置への電力の供給を停止させる構成であっても良い。
【0045】
切替装置制御手段26cおよび供給装置停止手段26eは、本実施の形態において通信部26によって実現されているが、制御部21によって実現されても良い。
【0046】
通信部26によるホストPC90との通信は、本実施の形態においてUSBによる通信であるが、情報の通信と、電力の供給とが実現できる通信であれば、例えばIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)1394など、USBによる通信以外の通信であっても良い。
【0047】
本発明の記憶装置は、本実施の形態においてHDDであるが、HDD以外の装置であっても良い。
【0048】
MFP20の外部の装置は、本実施の形態においてホストPCであるが、ホストPC以外の装置であっても良い。
【0049】
本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPであるが、コピー機、プリンターなど、MFP以外の画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0050】
20 MFP(画像形成装置)
26 通信部(インターフェース)
26c 切替装置制御手段
26d 蓄積制御手段
26e 供給装置停止手段
27 HDD(記憶装置)
28 メイン電源(電力供給装置)
29 スイッチ(供給元切替装置)
90 ホストPC(外部の装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有する画像形成装置であって、
外部の装置から印刷データを受信するインターフェースと、前記印刷データを蓄積する記憶装置と、前記記憶装置に電力を供給する電力供給装置と、前記記憶装置への電力の供給元を切り替える供給元切替装置と、前記通常状態から前記省エネ状態に移行する場合に前記電力供給装置から前記インターフェースのバスパワーに前記供給元を前記供給元切替装置に切り替えさせる切替装置制御手段と、前記省エネ状態である場合に前記インターフェースによって受信された前記印刷データを前記記憶装置に蓄積させる蓄積制御手段とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記蓄積制御手段は、前記インターフェースのバスパワーによって動作することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記供給元切替装置は、前記電力供給装置からの電力が供給されない場合に前記供給元を前記インターフェースのバスパワーにすることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記省エネ状態である場合に前記電力供給装置を停止させる供給装置停止手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
外部の装置から印刷データを受信するインターフェースと、前記印刷データを蓄積する記憶装置と、前記記憶装置に電力を供給する電力供給装置と、前記記憶装置への電力の供給元を切り替える供給元切替装置とを備えており、通常状態と、前記通常状態よりエネルギーの消費が少ない省エネ状態との少なくとも2つの状態を有する画像形成装置を、前記通常状態から前記省エネ状態に移行する場合に前記電力供給装置から前記インターフェースのバスパワーに前記供給元を前記供給元切替装置に切り替えさせる切替装置制御手段、および、前記省エネ状態である場合に前記インターフェースによって受信された前記印刷データを前記記憶装置に蓄積させる蓄積制御手段として機能させることを特徴とする画像形成装置用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−153094(P2012−153094A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16329(P2011−16329)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】