説明

画像形成装置

【課題】カバーの開閉に伴って配線が挟み込まれることを防止することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置1は、シートに対して所定の処理を行う装置本体30と、装置本体30に対して開閉可能なカバー34と、装置本体30に設けられた発光部51であって、光を発生する発光源511と、発光源511を制御して光を発生させる制御基板512と、制御基板512に電気的に接続された配線513とを有する発光部51と、カバー34に設けられた表示部材52であって、発光源511に対向配置され、光が入射する入射部521と、光を外部に出射する出射部522と、入射部521から出射部522まで光を導光する導光部523とを有する表示部材52とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、画像形成装置の状態情報を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、シート上に画像を形成する画像形成処理に伴って様々な状態情報を発生させる。状態情報は、例えば、トナー不足、ジャム発生、シート不足を知らせる情報を含む。表示装置は、そのような状態情報をユーザーに知らせる手段として、LED(発光ダイオード)を用いることが多い(例えば特許文献1)。
【0003】
表示装置は、一般的に、発光部と、表示部とを含む。発光部は、発光源としてのLEDと、画像形成装置の状態情報を検知する検知手段の検知に基づいてLEDを制御して、光を発生させる制御基板と、制御基板と検知手段とを接続する配線とを有する。表示部は、LEDの光で状態情報を知らせる表示領域を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−156874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置は、画像形成装置の装置本体の外装カバーや、自動原稿給紙装置の外装カバーに設けられることが多い。外装カバーは、ジャム処理等のために開閉可能に取り付けられている。そのため、ジャム処理等が完了した後に外装カバーが閉められるとき、制御基板と検知手段とを接続する配線が、外装カバーに挟み込まれる場合がある。配線の挟み込みが繰り返し発生すると、配線が損傷してしまい、LEDが適正に制御されなくなる。その結果、ユーザーは状態情報を認識することができない。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、カバーの開閉に伴って配線が挟み込まれることを防止することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、シートに対して所定の処理を行う装置本体と、前記装置本体に対して開閉可能なカバーと、前記装置本体に設けられた発光部であって、光を発生する発光源と、前記発光源を制御して前記光を発生させる制御基板と、前記制御基板に電気的に接続された配線とを有する発光部と、前記カバーに設けられた表示部材であって、前記発光源に対向配置され、前記光が入射する入射部と、前記光を外部に出射する出射部と、前記入射部から前記出射部まで前記光を導光する導光部とを有する表示部材とを含む。
【0008】
本発明に係る画像形成装置によれば、装置本体に発光部が設けられ、装置本体に対して開閉可能なカバーに表示部材が設けられている。つまり、発光部の制御基板は、装置本体に設けられている。そのため、制御基板に電気的に接続された配線が、装置本体とカバーとの間に配索されない構成が得られる。これにより、装置本体において問題が発生し、その問題解決のためにカバーが開閉されても、配線がカバーに挟み込まれること、ひいては配線の損傷が防止される。したがって、発光源は適正に制御され、発光源の光が外部に出射される。その結果、表示部材は、表示機能を果たすことができる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、画像形成装置は、さらに、前記装置本体に設けられ、前記発光源から発生する前記光を前記表示部材に向けて集光する集光部材を含む。
【0010】
この構成によれば、発光源から発生する光を表示部材に向けて集光する集光部材が設けられている。そのため、発光部が装置本体に設けられる一方、表示部材がカバーに設けられることにより、発光部と表示部材が若干離間している構成であっても、光は発光部から表示部材に向けて導かれる。これにより、表示部材が表示機能を果たすことが容易となる。
【0011】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記表示部材は、前記導光部によって導かれる前記光を、拡散させつつ前記出射部に導く拡散手段をさらに有する。
【0012】
この構成によれば、導光部によって導かれる光は、拡散手段により、拡散されつつ出射部に導かれる。そのため、出射部から出射される光が認識されやすくなる。これにより、表示部材の表示性能が向上する。
【0013】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記導光部は、前記出射部に沿って延びる導光路を形成し、前記光を前記導光路において第1方向に導き、前記拡散手段は、凹凸形状を有し、前記出射部に対向する凹凸面で構成されており、前記凹凸面の前記凹凸形状は、前記光を前記第1方向と略直交する第2方向に導いて、前記光を、前記出射部の略全体にわたって拡散させることが可能な形状に設定されている。
【0014】
この構成によれば、拡散手段である凹凸面は、その凹凸形状の特性により、光を第1方向と直交する第2方向に導いて拡散させるので、光が単に第1方向に進む構成と比較して、光をより効率的に拡散させることができる。
【0015】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記導光部は、前記出射部と対向する対向面を有し、前記導光路は、前記出射部と前記対向面との間に画定された光路であり、前記対向面が前記凹凸面である。
【0016】
この構成によれば、出射部に対向する対向面を凹凸面として形成するだけで、拡散手段を形成することができる。
【0017】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記凹凸面は、前記第1方向に沿って隣接する多数の溝部で構成されており、隣り合う一方の溝部と他方の溝部との間の凸部分は、10°〜75°の範囲の頂角を有する。
【0018】
この構成によれば、凹凸面の溝部間の凸部分の頂角を、10°〜75°とする簡単な構造で、光を容易にかつ効率的に拡散させることができる。
【0019】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記集光部材は、非球面形状を有するレンズであり、前記非球面形状は、前記光を前記表示部材に向けて集光することが可能に設定されている。
【0020】
この構成によれば、集光部材は、光を表示部材に向けて集光することが可能に設定された非球面形状を有しているので、発光部と表示部材が若干離間している構成であっても、光を発光部から表示部材に向けて導くことが容易である。
【0021】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記レンズは、前記光における所定の色をフィルターするフィルター機能を備えており、前記レンズは交換可能に設けられている。
【0022】
この構成によれば、レンズは色フィルター機能を備えているので、表示部材は特定の色、例えばユーザーに好まれる色を出射することができる。これにより、表示部材のデザイン性を向上させることができると共に、ユーザーが光を認識し易くすることができる。また、レンズは交換可能に設けられているので、他の色をフィルターするフィルター機能を有するレンズと容易に交換することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る画像形成装置によれば、制御基板に電気的に接続された配線が、装置本体とカバーとの間に配索されないため、カバーの開閉に伴って配線が挟み込まれることを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【図2】自動原稿給紙装置の外観を示す斜視図である。
【図3】自動原稿給紙装置の表示装置の構成を概念的に示す模式図である。
【図4】カバーの開状態を示すと共に、表示装置の集光部材が本体ハウジングに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、表示部材がカバーに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図6】表示部材を一方の側から見た斜視図である。
【図7】表示部材を他方から見た斜視図である。
【図8】図6のVI−VI線に沿って切断した断面図である。
【図9】図8の模式図であり、表示部材における光の進行方向を示す。
【図10】保持部材を、その第1保持面側から見た斜視図である。
【図11】保持部材を、その第2保持面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図、図2は、自動原稿給紙装置3の外観を示す斜視図、図3は、画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1として胴内排紙型の複写機を例示しているが、画像形成装置1は、プリンター、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
【0026】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有し、胴内空間(胴内排紙部24)と本体ハウジング30とを備えた装置本体2、および装置本体2の下側に組み付けられた増設給紙ユニット4を含む。
【0027】
装置本体2は、シートに対して画像形成処理を行う。装置本体2は、略直方体形状の下部筐体21と、下部筐体21の上方に配設される略直方体形状の上部筐体22と、下部筐体21と上部筐体22とを連結する連結筐体23とを含む。下部筐体21には画像形成のための各種機器が収容され、上部筐体22には原稿画像を光学的に読み取るための各種機器が収容されている。下部筐体21、上部筐体22及び連結筐体23で囲まれる胴内空間が、画像形成後のシートを収容可能な胴内排紙部24とされている。連結筐体23は、装置本体2の右側面の側に配置され、胴内排紙部24へシートを排出するための図略の排出口を有する。
【0028】
胴内排紙部24として利用される前記胴内空間は、装置本体2の前面及び左側面において外部に開放されている。ユーザーは、これらの開放部分から手を差し入れ、胴内排紙部24から画像形成後のシートを取り出すことが可能である。前記胴内空間の底面241は、下部筐体21の上面で区画され、排出されたシートが積載される。
【0029】
上部筐体22の前面には、操作パネルユニット25が突出して設けられている。操作パネルユニット25は、テンキー、スタートキーなどを含む操作キー251及びLCDタッチパネル252などを備え、ユーザーからの各種の操作指示の入力を受け付ける。ユーザーは、操作パネルユニット25を通じて、印刷されるシートの枚数等を入力したり、印刷濃度等を入力したりすることができる。
【0030】
下部筐体21には、画像形成処理が施される記録シートを収容する給紙カセット211が装着されている。増設給紙ユニット4もまた、画像形成処理が施される記録シートを収容する給紙カセット41、42を含む。これら給紙カセット211、41、42は、自動給紙用に設けられたカセットであり、大量の記録シートをサイズ別に収容することができる。また、給紙カセット211、41、42は、下部筐体21又は増設給紙ユニット4の前面から手前方向に引出可能である。なお、図3では、下部筐体21の給紙カセット211のみを描いている。
【0031】
装置本体2の右側面には、ユーザーに手差し給紙を行わせるための手差しトレイMが装着されている。手差しトレイMは、手差しの記録シートが載置される。ユーザーは、手差し給紙を行う場合、手差しトレイMを開き、その上に記録シートを載置する。
【0032】
自動原稿給紙装置3は、装置本体2の上面に、その後側において回動自在に取り付けられている。自動原稿給紙装置3は、装置本体2における所定の原稿読取位置(所謂コンタクトガラスが組み付けられた位置)に向けて、複写される原稿シートを自動給紙する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置に載置する場合は、自動原稿給紙装置3は上方に開けられる。
【0033】
続いて、装置本体2の内部構造を簡単に説明する。下部筐体21の内部には、トナーコンテナー、中間転写ベルト、画像形成部、露光ユニット、及び上述の給紙カセット211が収容されている。画像形成部は、フルカラーのトナー像を形成するために、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各トナー像を形成する4つの画像形成ユニットを備える。各画像形成ユニットは、感光体ドラムと、感光体ドラムの周囲に配置された、帯電器、現像装置、一次転写ローラー及びクリーニング装置とを含む。
【0034】
帯電器は、感光体ドラムの表面を均一に帯電する。露光ユニットは、帯電後の感光体ドラムの周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、前記周面上に静電潜像を形成する。現像装置は、感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラムの周面にトナーを供給する。一次転写ローラーは、中間転写ベルトを挟んで感光体ドラムとニップ部を形成し、感光体ドラム上のトナー像を中間転写ベルト上に一次転写する。クリーニング装置は、トナー像転写後の感光体ドラムの周面を清掃する。トナーコンテナーは、YMCK各色に対応する現像装置に各色のトナーを供給する。
【0035】
中間転写ベルト上に一次転写されたトナー像は、給紙カセット211から供給される記録シートに、二次転写ローラーによって二次転写される。そして、記録シート上のトナー像は、連結筐体23の内部の定着装置によって記録シート上に加熱定着処理され、胴内排紙部24に向けて排出される。
【0036】
図2を参照して、自動原稿給紙装置3は、(装置本体2の一部の)本体ハウジング30、原稿給紙トレイ31、原稿搬送部32および原稿排紙トレイ33を備える。本体ハウジング30は、自動原稿給紙装置3に備えられている各種の機構を収容する筐体であって、原稿搬送部32を収容する左側部分に、上方に隆起した前壁部301及び後壁部302を有すると共に、右側部分に、ほぼフラットな低層部分を備えている。
【0037】
原稿給紙トレイ31は、画像読取位置へ給送される原稿シートが載置されるトレイであって、本体ハウジング30の給送口30Hから延出するように、本体ハウジング30に付設されている。原稿給紙トレイ31には、載置された原稿シートの幅合わせを行うための一対のカーソル311が備えられている。
【0038】
原稿搬送部32は、原稿給紙トレイ31上の原稿シートを、画像読取位置を経由して原稿排紙トレイ33まで搬送する搬送路及び搬送機構を備える。原稿搬送部32は、カバー34によって覆われている。
【0039】
カバー34は、前壁部301および後壁部302の間で本体ハウジング30に対して開閉可能に設けられた部材であって、上側カバー部分341と、前側カバー部分342とを有する。上側カバー部分341は原稿搬送部32を上方から覆っている。前側カバー部分342は、原稿搬送部32を前方から覆う部分であって、カバー34の開閉に応じてハウジング30の前壁部301の上面に対して接離する。
【0040】
原稿排紙トレイ33は、原稿画像が光学的に読み取れた後の原稿シートが排出されるトレイである。本体ハウジング30の右側における前記低層部分の上面が、原稿排紙トレイ33とされている。
【0041】
自動原稿給紙装置3は、表示装置50をさらに含む。表示装置50は、自動原稿給紙装置3が原稿シートを画像読取位置に搬送するときの自動原稿給紙装置3の状態情報を表示する。図3は、表示装置50の構成を概念的に示す模式図である。
【0042】
表示装置50は、発光部51と、表示部材52と、集光部材53とを含む。発光部51および集光部材53は、本体ハウジング30に設けられている一方、表示部材52は、カバー34に設けられている。
【0043】
発光部51は、光を発生するLED等の発光源511と、発光源511が実装され、発光源511を制御する制御基板512と、制御基板512とセンサ54とを電気的に接続する配線513とを有する。センサ54は、自動原稿給紙装置3の状態情報を検知するセンサ54であって、例えば、原稿給紙トレイ31上に原稿シートがセットされたか否かを検出する。制御基板512は、センサ54によって状態情報が検知されたときに発光源511を制御して発光させる。配線513は、センサ54から制御基板512にセンサ信号を伝送する。なお、状態情報は、原稿シートのセットの有無に限定されず、原稿シートのジャム発生の有無をユーザーに知らせるものであってもよい。
【0044】
表示部材52は、発光源511からの光を外部に出射する。ユーザーは、出射された光を視認することで、状態情報を認識する。表示部材52の構造は後で詳述する。
【0045】
集光部材53は、発光源511の光Lを集光して、光Lを表示部材52に導くことが可能な形状に設定された透明または半透明のレンズである。上述したように、発光部51は本体ハウジング30に設けられている一方、表示部材52はカバー34に設けられているため、発光部51の発光源511と、表示部材52の後述する入射部521(図7参照)とが、光Lの進行方向において若干離間した構成となっているが、集光部材53によって光Lを表示部材52に向けて導くことができる。集光部材53は、好ましくは、非球面形状を有するレンズである。レンズを非球面形状に設定することで、光Lを表示部材52の入射部521に導くことが容易となる。
【0046】
また、集光部材53は、光Lにおける所定の色をフィルターするフィルター機能を備えたレンズであり、交換可能に設けられている。そのため、表示部材52は、後述する表示領域522(図6参照)から、特定の色、例えばユーザーに好まれる色を出射することができる。これにより、表示領域522のデザイン性を向上させることができると共に、ユーザーが光Lを認識し易くすることができる。さらに、レンズは交換可能に設けられているので、他の色をフィルターするフィルター機能を有するレンズと容易に交換することができる。
【0047】
図4は、カバー34 の開状態を示すと共に、集光部材53が本体ハウジング30に取り付けられた状態を示す斜視図である。カバー34は、本体ハウジング30の後壁部302とカバー34とを連結するヒンジ343によって原稿搬送部32に対して開閉可能である。カバー34が図4のように開放されると、原稿搬送部32を構成する搬送本体部320および搬送路321が外部に露出する。搬送本体部320は、図略のピックアップローラーおよび給紙ローラーを有し、原稿給紙トレイ31上に載置された原稿シートPは、ピックアップローラーおよび給紙ローラーによって給送口30Hから搬送路321に搬送される。搬送路321は、本体ハウジング30側の第1ガイド面321Aと、カバー34側の第2ガイド面321B(図5参照)との間に画定されている。第1ガイド面321Aには、原稿シートPの搬送を円滑に行うために、ガイドリブ322が形成されていると共に、搬送ローラー323が配設されている。
【0048】
集光部材53は、本体ハウジング30の前壁部301の上面から上方に突出する取付壁303に取り付けられている。取付壁303は、カバー34が開放されると、外部に露出する壁部であり、取付壁303と後壁部302との間に、搬送本体部320が配置されている。取付壁303の前面には、集光部材53の形状に対応する開口303aが形成されており、集光部材53は、開口303aに嵌め込まれたうえで、両側部を保持片532によって保持されている。発光部51の発光源511は、集光部材53に対向する位置で、取付壁303または搬送本体部320に設けられている。制御基板512も、取付壁303または搬送本体部320に設けられている。図4では図示を省略しているが、センサ54は搬送本体部320に設けられており、配線513(図3)は、取付壁303の背後でセンサ54と制御基板512との間で配索されている。したがって、配線513は、カバー34が開放されても、図4から明らかなように、外部に露出しない。
【0049】
図5は、カバー34の開状態を示すと共に、表示部材52がカバー34に取り付けられた状態を示す斜視図である。カバー34は、上述したように、上側カバー部分341と前側カバー部分342とを有する。上側カバー部分341の裏面は、搬送路321の第2ガイド面321Bとして構成されている。第2ガイド面321Bには、原稿シートを円滑に搬送するために、ガイドリブ324が形成されていると共に、搬送ローラー325が配設されている。
【0050】
表示部材52は、保持部材55によって前側カバー部分342の裏面に保持されている。保持部材55は、前側カバー部分342の裏面に対向する第1保持面552(図10参照)において表示部材52を保持しているため、表示部材52は、図5では視認できない状態となっている。保持部材55は、入射孔555を有する。入射孔555は、集光部材53を挟んで発光源511に対向する位置に形成されている。発光源511からの光は、集光部材53によって集光されて、入射孔555に入射する。入射孔555に入射した光は、表示部材52に進む。保持部材55の構造については後で詳述する。
【0051】
次に、図6〜図9を参照して表示部材52について説明する。図6は、表示部材52を一方の側から見た斜視図である。図7は、表示部材52を他方から見た斜視図である。図8は、図6のVI−VI線に沿って切断した断面図である。図9は、図8の模式図であり、表示部材52における光の進行方向を示す。
【0052】
表示部材52は、入射部521と、表示領域522と、導光部523とを有し、それらが一体に成形された樹脂レンズである。
【0053】
入射部521は、円柱型を呈しており、発光源511に対向する入射面521aを有する。入射部521の入射面521aおよび保持部材55の入射孔555は、発光源511からの光の光軸上に位置している。発光源511からの光は、入射孔555を通り、入射面521aに入射する。
【0054】
表示領域522は、入射面521aに入射した光を外部に出射する出射部である。表示領域522は、光の出射によって点灯し、ユーザーは、点灯を視認することで、状態情報を認識する。表示領域522は、光が入射面521aに入射する入射方向D0と略直交する面上に延在する細長の領域である。
【0055】
導光部523は、入射面521aから入射した光を表示領域522まで導光する細長の部分であって、偏向面524と、導光路LPとを有する。偏向面524は、光の入射方向D0から見て入射面521aに対向する位置に形成されている。偏向面524は、入射面521aから入射した光を、入射方向D0と略直交する方向(以下、第1方向D1という)に偏向させる。偏向面524の角度は、約45度である。導光路LPは、第1方向D1に沿って延びており、偏向面524によって偏向された光を第1方向D1に導光する。導光路LPは、表示領域522に対してほぼ平行に延びている。
【0056】
表示部材52は、さらに、拡散手段を有する。拡散手段は、導光路LPによって導かれる光を、拡散させつつ表示領域522に導く。導光部523は、表示領域522に対向する対向面525を有する。導光路LPは、表示領域522と対向面525との間に画定された光路である。本実施形態では、対向面525は、凹凸形状を有する凹凸面に形成されており、凹凸面525が拡散手段を構成する。
【0057】
凹凸面525は、第1方向D1に沿って隣接する多数の溝部526で構成されている。凹凸面525の凹凸形状、つまり、各溝部526の形状や溝部526の配列構成は、光を第1方向D1と略直交する第2方向D2に導いて、光を表示領域522の略全体にわたって拡散させることが可能なように設定されている。例えば、凹凸面525における隣り合う一方の溝部526と他方の溝部526との間の凸部分527は、10°〜75°の範囲の頂角αを有するように設定されている。凹凸面525は、光を第1方向D1から第2方向D2に導いて拡散させるので、光が単に第1方向D1に進む構成と比較して、光をより効率的に拡散させることができる。そして、溝部526間の凸部分527の頂角αを10°〜75°とする構造は容易に形成することができ、そのような角度設定により、光を容易にかつ効率的に第2方向D2に拡散させることができる。
【0058】
上記構成の表示部材52では、発光源511からの光は、まず、集光部材53によって集光されて保持部材55の入射孔555に導かれる。光は、保持部材55の入射孔555を通り入射部521の入射面521aに入射する。入射方向D0に進んでいる光は、導光部523の偏向面524により、入射方向D0と略直交する第1方向D1に偏向される。そして、第1方向D1に偏向された光は、拡散手段である凹凸面525により、第1方向D1から、該第1方向D1と略直交する第2方向D2に拡散されつつ偏向される。第2方向D2に偏向された光は、表示領域522の略全体にわたって拡散され、拡散された状態で表示領域522から外部に出射される。これにより、光が表示領域522から出射される光量が増大して、表示領域522から出射される光は、ユーザーにとって認識しやすいものとなる。このように、凹凸面525を用いることで、表示部材52の表示性能が向上する。また、光は集光部材53によって集光された状態で入射面521aに入射するので、所定の光量を備えた光が導光部523に導光される。これにより、表示部材52が表示機能を果たすことが容易となる。
【0059】
次に、図10および図11を参照して、表示部材52を保持する保持部材55について説明する。図10は、保持部材55を、その第1保持面552側から見た斜視図である。図11は、保持部材55を、その第2保持面553側から見た斜視図である。保持部材55は、上述したように、表示部材52をカバー34の前側カバー部分342の裏面に保持する部材であって、矩形の本体部551を有する。本体部551は、前記裏面に対向する第1保持面552と、第1保持面552とは反対側に位置し、カバー34が閉状態のときに取付壁303に対向する第2保持面553とを有する。なお、前側カバー部分342には、表示部材52の表示領域522の形状に対応する開口342a(図2参照)が形成されており、表示部材52が前側カバー部分342に保持された状態では表示領域522は、開口342aを通して外部に臨んでいる。
【0060】
第1保持面552には、収容溝554が形成されている。収容溝554は、本体部551の長手方向に延びる溝であって、表示部材52の入射部521および導光部523を収容することが可能な形状を有する。収容溝554の一方の端部には、上述の入射孔555が形成されている。導光部523は、対向面525が収容溝554の底部に接触した状態で収容溝554に収容される。収容溝554には、該収容溝554の延在方向と直交する方向かつ互いに対向する方向に突出する一対の位置決め片558が形成されている。収容溝554には、さらに、入射孔555が形成された端部とは反対側の端部において、位置決め突部559が形成されている。一方、導光部523は、長手方向に延びる両側壁のそれぞれに形成された第1凹部528と、偏向面524が形成された端部とは反対側の端部の底面に形成された第2凹部529とを有する。導光部523の第1凹部528に位置決め片558を嵌めると共に、第2凹部529に突部559を嵌めることで、導光部523および入射部521を位置決めした状態で収容溝554に収容することができる。
【0061】
本体部551は、長手方向に延びる側縁から、長手方向と略直交する方向に延びる係止片557と、収容溝554の近傍で長手方向に隣接する3つの係止孔556とを有する。カバー34の前側カバー部分342の裏面には、係止片557を係止することが可能な第1係止部342bと、係止孔556に嵌入可能な第2係止部342cとが形成されている。表示部材52の導光部523および入射部521が収容溝554に収容されたうえで、本体部551の係止片557を第1係止部342bに係止させると共に、係止孔556に第2係止部342cを嵌入させることで、表示部材52の表示領域522が開口342aに臨んだ状態で表示部材52が前側カバー部分342の裏面に保持される。
【0062】
以上説明した本実施形態に係る画像形成装置1の自動原稿給紙装置3では、本体ハウジング30に表示装置50の発光部51が設けられ、本体ハウジング30に対して開閉可能なカバー34に表示装置50の表示部材52が設けられている。つまり、発光部51の制御基板512は、本体ハウジング30側(実施形態では、取付壁303または搬送本体部320)に設けられている。そのため、制御基板512に電気的に接続された配線513が、本体ハウジング30とカバー34との間に配索されない構成が得られる。本実施形態では、配線513は、取付壁303の背後でセンサ54と制御基板512との間で配索されている。したがって、配線513は、カバー34が開放されても、図4から明らかなように、外部に露出しない。これにより、本体ハウジング30に設けられた原稿搬送部32においてジャム等の問題が発生し、その問題解決のためにカバー34が開閉されても、配線513がカバー34に挟み込まれること、ひいては配線513の損傷が防止される。したがって、発光源511は適正に制御され、発光源511の光が表示領域522から外部に出射される。その結果、表示部材52は、表示機能を果たすことができ、ユーザーは状態情報を認識することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置
3 自動原稿給紙装置
30 本体ハウジング(装置本体)
32 原稿搬送部
34 カバー
341 上側カバー部分
342 前側カバー部分
50 表示装置
51 発光部
511 発光源
512 制御基板
513 配線
52 表示部材
521 入射部
521a 入射面
522 表示領域(出射部)
523 導光部
524 偏向面
525 凹凸面(拡散手段)
526 溝部
527 凸部分
53 集光部材
55 保持部材
555 入射孔
D0 入射方向
D1 第1方向
D2 第2方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに対して所定の処理を行う装置本体と、
前記装置本体に対して開閉可能なカバーと、
前記装置本体に設けられた発光部であって、光を発生する発光源と、前記発光源を制御して前記光を発生させる制御基板と、前記制御基板に電気的に接続された配線とを有する発光部と、
前記カバーに設けられた表示部材であって、前記発光源に対向配置され、前記光が入射する入射部と、前記光を外部に出射する出射部と、前記入射部から前記出射部まで前記光を導光する導光部とを有する表示部材と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
さらに、前記装置本体に設けられ、前記発光源から発生する前記光を前記表示部材に向けて集光する集光部材を備えた画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記表示部材は、前記導光部によって導かれる前記光を、拡散させつつ前記出射部に導く拡散手段をさらに有する画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記導光部は、前記出射部に沿って延びる導光路を形成し、前記光を前記導光路において第1方向に導き、
前記拡散手段は、凹凸形状を有し、前記出射部に対向する凹凸面で構成されており、
前記凹凸面の前記凹凸形状は、前記光を前記第1方向と略直交する第2方向に導いて、前記光を、前記出射部の略全体にわたって拡散させることが可能な形状に設定されている画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記導光部は、前記出射部と対向する対向面を有し、
前記導光路は、前記出射部と前記対向面との間に画定された光路であり、
前記対向面が前記凹凸面である画像形成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記凹凸面は、前記第1方向に沿って隣接する多数の溝部で構成されており、
隣り合う一方の溝部と他方の溝部との間の凸部分は、10°〜75°の範囲の頂角を有する画像形成装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記集光部材は、非球面形状を有するレンズであり、
前記非球面形状は、前記光を前記表示部材に向けて集光することが可能に設定されている画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、
前記レンズは、前記光における所定の色をフィルターするフィルター機能を備えており、
前記レンズは交換可能に設けられている画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−168463(P2012−168463A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31104(P2011−31104)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】