説明

画像形成装置

【課題】搬送ベルト上でレーザー光を用いた滴吐出状態検出を行うときに搬送ベルトの振動や撓みでレーザー光が遮断させて検出精度が低下する。
【解決手段】LDユニット202のユニットケース212には、搬送ベルト43の用紙搬送方向と直交する方向の一端部に当接して、搬送ベルト43を押圧する押圧部材222を備え、PDユニット204のユニットケース214には、搬送ベルト43の用紙搬送方向と直交する方向の他端部に当接して、搬送ベルト43を押圧する押圧部材224を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、特に搬送ベルトと滴吐出状態検出手段を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、樹脂、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。また、また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
このような画像形成装置(以下、単に「インクジェット記録装置」ともいう。)においては、記録ヘッドは、インクをノズルから用紙に吐出させて記録を行なう関係上、ノズルからの溶媒の蒸発に起因するインク粘度の上昇や、インクの固化、塵埃の付着、さらには気泡の混入などにより吐出不良が発生すると、画像品質が低下することになる。
【0005】
そこで、ヘッドからの滴吐出状態を検出する滴吐出状態検出装置として、従来から、ヘッドのノズル列の一方側からノズル列に沿ってレーザー光を射出し、他方側にレーザー光を直接受ける受光手段を配置して滴吐出の有無を検出する直接光方式のもの(特許文献1)と、ヘッドのノズル列の一方側からノズル列に沿ってレーザー光を射出し、他方側にレーザー光の光軸からずれた位置に液滴で反射される散乱光(拡散光)を受光する受光手段を配置して滴吐出の有無を検出する前方散乱光方式のもの(特許文献2、3)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−118264号公報
【特許文献2】特開2009−132025号公報
【特許文献3】特開2009−113225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、例えばライン型画像形成装置としては、被記録媒体を搬送する搬送手段として吸引ベルトや静電ベルトなどの搬送ベルトを使用しているとき、記録ヘッドを搬送ベルトと対向した位置で昇降可能として配設し、記録ヘッドの維持回復を行うメンテナンス装置側を移動させる構成のもの、あるいは、メンテナンス装置を搬送ベルトの下流側に配設して記録ヘッドをメンテナンス装置側まで移動可能とする構成のものなどがある。
【0008】
前者の構成の画像形成装置では、記録ヘッドの滴吐出状態検出は常に搬送ベルトと対向した状態で滴吐出状態の検出を行うことになる。また、後者の構成の画像形成装置では記録ヘッドをメンテナンス装置側まで移動した状態で滴吐出状態の検出を行うことができるが、メンテナンス装置側で滴吐出状態の検出を行った後に記録ヘッドを印字位置へ移動するので印刷開始までの立上り時間がかかることになるので、記録ヘッドを印字位置まで移動させた後に滴吐出状態の検出を行うことが好ましい。
【0009】
ところが、搬送ベルトに記録ヘッドが対向した位置で記録ヘッドの滴吐出状態を検出しようとすると、搬送ベルトの撓みや動作時の振動などによって、搬送ベルトがレーザー光路内に侵入してレーザー光や散乱光が遮られ、正確な検出を行うことができないという課題がある。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、搬送ベルト上で滴吐出状態を検出するときの搬送ベルトの撓みや振動による検出精度の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
被記録媒体を搬送する搬送ベルトと、
前記被記録媒体で搬送される前記被記録媒体に液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記搬送ベルトに前記記録ヘッドが対向した位置で、前記記録ヘッドの滴吐出状態を検出する滴吐出状態検出手段と、を備え、
前記滴吐出状態検出手段は、前記記録ヘッドからの吐出される液滴にレーザー光を射出する発光部と、前記液滴によって生じる散乱光を受光する受光部とを有し、
前記発光部及び前記受光部には、前記搬送ベルトに当接して前記搬送ベルトを押圧する押圧部材を有している
構成とした。
【0012】
ここで、前記滴吐出状態検出手段の発光部及び受光部は前記記録ヘッドと共に移動可能である構成とできる。
【0013】
また、前記押圧部材は表面がつや消し処理された黒色である構成とできる。
【0014】
また、前記押圧部材は被記録媒体搬送方向上流側に前記搬送ベルトの移動を案内するガイド部が設けられている構成とできる。
【0015】
また、前記搬送ベルトは複数の吸引孔が形成され、前記滴吐出状態検出手段が滴吐出状態の検出を行うときに前記吸引孔に向けて液滴を吐出させる構成とできる。
【0016】
また、前記滴吐出状態検出手段から前記吸引孔に向けて吐出された液滴を受ける廃液受けを備えている構成とできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る画像形成装置によれば、滴吐出状態検出手段は、前記記録ヘッドからの吐出される液滴にレーザー光を射出する発光部と、前記液滴によって生じる散乱光を受光する受光部とを有し、前記発光部及び前記受光部には、前記搬送ベルトに当接して前記搬送ベルトを押圧する押圧部材を有している構成としたので、搬送ベルト上で滴吐出状態を検出するときの搬送ベルトの撓みや振動による検出精度の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例の全体構成を説明する概略構成図である。
【図2】同装置の模式的平面説明図である。
【図3】本発明の一実施形態の説明に供する要部正面説明図である。
【図4】同じく要部平面説明図である。
【図5】同じく側面説明図である。
【図6】滴吐出状態検出装置のLDユニットの説明図である。
【図7】同じくPDユニットの説明図である。
【図8】同画像形成装置の制御部の説明に供するブロック説明図である。
【図9】直接光方式の滴吐出状態の検出について説明する説明図である。
【図10】拡散光方式の滴吐出状態の検出について説明する説明図である。
【図11】同じく発光部の駆動波形と受光部の検出出力の説明に供する説明図である。
【図12】滴吐出状態検出処理の説明に供するフロー図である。
【図13】搬送ベルトの端部の撓みなどによる滴吐出状態検出への影響の説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を説明する概略構成図、図2は同装置の模式的平面説明図である。
【0020】
この画像形成装置はライン型画像形成装置であり、装置本体1と、用紙Pを積載し給紙する給紙トレイ2と、印刷された用紙Pを排紙積載する排紙トレイ3と、用紙Pを給紙トレイ2から排紙トレイ3まで搬送する搬送部4と、搬送部4によって搬送される用紙Pに液滴を吐出し印字する記録ヘッドを構成するヘッド部5と、印刷終了後又は所要のタイミングでヘッド部5の各記録ヘッドの維持回復を行う維持回復機構であるヘッドメンテナンス装置6とを備えている。
【0021】
装置本体1は、図示しない前後側板及びステーなどで構成されており、給紙トレイ2上に積載されている用紙Pは、分離ローラ21及び給紙ローラ22によって1枚ずつ搬送部4に給紙される。
【0022】
搬送部4は、搬送駆動ローラ41Aと搬送従動ローラ41Bと、これらのローラ41A、41B間に掛け回された無端状の搬送ベルト43とを備えている。この搬送ベルト43の表面には複数の図示しない吸引孔が形成されており、搬送ベルト43の下部には用紙Pを吸引する吸引ファン44が配置されている。また、搬送駆動ローラ41A、搬送従動ローラ41B上部には、それぞれ搬送ガイドローラ42A、42Bが図示しないガイドに保持されて、自重にてベルト43に当接している。
【0023】
搬送ベルト43は、搬送駆動ローラ41Aが図示しないモータにより回転されることで周回移動し、用紙Pは搬送ベルト43上に吸引ファン44により吸い付けられ、搬送ベルト43の周回移動によって搬送される。なお、搬送従動ローラ41B、搬送ガイドローラ42A、42Bは搬送ベルト43に従動して回転する。また、搬送ベルト43の内部には吸引孔に向けて吐出される画像形成に寄与しない液滴(空吐出滴)を受ける廃液受け部材48が配置されている。
【0024】
搬送ユニット4の上部には用紙Pに印字する液滴を吐出するヘッドアレイユニット(印字ヘッドユニット又は記録ヘッドユニットともいう。)50などで構成されるヘッド部5が移動可能(ここでは昇降可能)に配置されている。ヘッドアレイユニット50は、維持回復動作時(メンテナンス時)には矢示A方向にメンテナンス装置6の上方まで移動する。なお、メンテナンス時にはメンテナンス装置6の上方を覆い搬送面を形成するガイド部材71が矢示C方向に回動してメンテナンス装置6の上方を開放する。
【0025】
ヘッド部5は、ベース部材52に一列に配列した複数(この例では3個)のヘッド101で構成される8つのヘッド列51A〜51H(区別しないときは「ヘッド列51」という。)を有するヘッドアレイユニット50を備えている。ヘッド101は、液滴を吐出する複数のノズルがノズル面に2列配列されている。そして、ヘッド列51A、51Bの各ヘッド101でブラック(K)の液滴を吐出し、ヘッド列51C、51Dの各ヘッド101でマゼンタ(M)の液滴を、ヘッド列51E、51Fの各ヘッド101でシアン(C)の液滴、ヘッド列51G、51Hの各ヘッド101でイエロー(Y)の液滴を吐出する。つまり、2つのヘッド列51で用紙幅相当の1列分のノズル列が構成されている構成としている。
【0026】
なお、各色のライン構成は、上記に限るものではなく、各色の配置は特に限定はない。また、ヘッド部の構成も、この例に限るものではない。
【0027】
また、ヘッド部5には、ヘッドアレイユニット50の各ヘッド101にインクをそれぞれ供給する図示しない分岐部材が各色ごとに配列され、分岐部材上流側にはサブタンクが配置され、サブタンクとヘッドとの水頭差によって、ヘッド101のノズルのメニスカスを保持するのに適切な負圧が形成される。さらに、サブタンク上流側にはインクを貯蔵する交換可能なメインタンクが配置されている。
【0028】
搬送部4の下流側には用紙Pを排紙トレイ3に排紙する搬送ガイド部45が配置されている。搬送ガイド45にて搬送された用紙Pは排紙トレイ3に排紙される。排紙トレイ3は、用紙Pの幅方向を規制する対のサイドフェンス31と用紙Pの先端を規制するエンドフェンス32を備えている。
【0029】
搬送部4の上方でヘッド部5の側方には、ヘッド101をメンテナンスするメンテナンス装置6が配置されている。メンテナンス装置6は、ヘッド列51A〜51Hの各ヘッド101に対応してノズル面をキャッピングするキャップ61と、各ヘッド101に対応してノズル面をワイピングするブレード状のワイパ部材(ワイパブレード)と、1列分のキャップ61内を吸引する吸引手段63などを有している。このメンテナンス装置6は、キャップ61にてヘッド101のノズル面を密閉した状態で吸引手段63によって吸引することでノズルから増粘したインクを排出させてヘッド101の吐出性能を回復させる。
【0030】
なお、メンテナンス装置6の吸引手段63やキャップ61と吸引手段63をつなぐ流路、その他圧力室等は、装置本体1の後側板の外側に配置し、チューブ等の経路を使用して接続することもできる。また、維持回復時に吸引に代えて、あるいは吸引とともにヘッド101の上流側から加圧手段によってヘッド101内を加圧する構成とすることもできる。
【0031】
次に、この画像形成装置における滴吐出状態検出装置を含む実施形態について図3ないし図7を参照して説明する。なお、図3は同実施形態の要部正面説明図、図4は同じく要部平面説明図、図5は同じく側面説明図、図6は滴吐出状態検出装置のLDユニットの説明図、図7は同じくPDユニットの説明図である。
【0032】
ヘッドアレイユニット50は、図4にも示すように、ベース部材52に8個のヘッド列51A〜51Hを配置し、互いに隣り合うヘッド列をノズル配列方向に位置をずらして千鳥状に配置している。
【0033】
そして、各ヘッド列51毎に、搬送ベルト43にヘッドアレイユニット50が対向した位置で、ヘッド101の滴吐出状態を検出する滴吐出状態検出装置(手段)を構成する発光部であるLDユニット202と受光部であるPDユニット204を備えている。
【0034】
LDユニット202は、ノズル配列方向に沿ってレーザー光200を射出するレーザーダイオード(以下「LD」という。)201を含み、ユニットケース212にはレーザー光200の出射口(アパーチャ)212aが形成されている。PDユニット204は、液滴によって生じるレーザー光200の散乱光を受光するフォトダイオード(以下「PD」という。)203を含み、ユニットケース214にはレーザー光200の入射口214aが形成されている。これらのLDユニット202、PDユニット204はベース部材52に取り付けて配置されている。なお、LDユニット202、PDユニット204には、それぞれ1つのヘッド列の2つのノズル列に対応して2つのLD201、PD203を備えている。
【0035】
また、LDユニット202のユニットケース212には、図6に示すように、搬送ベルト43の用紙搬送方向と直交する方向の一端部に当接して、搬送ベルト43を押圧する押圧部材222を備えている。この押圧部材222は、用紙搬送方向上流側及び下流側に搬送ベルト43をガイドするガイド部222aが一体に設けられている。
【0036】
同様に、PDユニット204のユニットケース214には、図7に示すように、搬送ベルト43の用紙搬送方向と直交する方向の他端部に当接して、搬送ベルト43を押圧する押圧部材224を備えている。この押圧部材224は、用紙搬送方向上流側及び下流側に搬送ベルト43をガイドするガイド部224aが一体に設けられている。
【0037】
これらの押圧部材222、224は、表面が艶消しされた黒色部材であることが好ましい。これにより、反射光や外乱光の影響を低減することができる。また、押圧部材222、224の厚みは、ヘッドと用紙間のギャップが1mm程度であることから0.1〜0.2mm程度であることが好ましい。また、ガイド部222a、224bとしては単なるアール形状とすることもできる。
【0038】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図18を参照して説明する。なお、図8は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部300は、装置全体の制御を司るCPU301と、CPU301が実行するプログラム、滴吐出状態検出に使用する閾値、駆動波形データ、その他の固定データを格納するROM302と、画像データ等を一時格納するRAM303と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)304と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC305とを備えている。
【0039】
また、この制御部300は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F306と、ヘッドアレイユニット50の各ヘッド101の駆動制御及び滴吐出状態の検出制御を行うヘッド制御部207と、搬送ベルト43を周回移動させる搬送モータ309を駆動するための搬送モータ駆動部308と、ヘッドアレイユニット50を移動(昇降)させるヘッドユニット移動モータ311を駆動するためのヘッドユニット移動モータ駆動部310と、メンテナンス装置6を移動させる維持ユニット移動モータ313を駆動するための維持ユニット移動モータ駆動制御部312と、吸引ファン44を回転駆動するファン駆動モータ314を駆動するための吸引ファン駆動制御部314と、搬送ベルト43の移動量及び移動速度に応じた検知信号を出力するエンコーダや、環境温度及び環境湿度(いずれか一方でも良い)を検出する各種センサ323からの検知信号など図示しない各種センサからの検知信号を入力するためのI/O322などを備えている。この制御部300には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行なうための操作/表示部2324が接続されている。
【0040】
制御部300は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの印刷データ等をケーブル或いはネットを介してI/F306で受信する。
【0041】
そして、CPU301は、I/F306に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC305にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、記録ヘッド154のヘッド幅の1ページ分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)を、クロック信号に同期して、ヘッド駆動制御部307に送出する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM302にフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをラスターデータに展開してこの装置に転送するようにしても良い。
【0042】
ヘッド制御部307は、ヘッドアレイユニット50の各ヘッド101に圧力発生手段を駆動制御するための駆動波形を生成するとともに、ヘッド駆動情報(印刷データ)をヘッド駆動制御部321に転送し、ヘッド駆動制御部321はページ単位で入力されるヘッドアレイユニット50の1ページ分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて選択的にヘッドアレイユニット50の各ヘッド101の圧力発生手段に印加して、ヘッドアレイユニット50の各ヘッド101を駆動する。
【0043】
また、ヘッド制御部307は、CPU301より発された液滴検出の命令を液滴検出制御部320に転送し、液滴検出制御部320は命令のタイミングに従って滴吐出状態検出手段である液滴検出装置324を制御する。
【0044】
液滴検出装置324は、発光部であるLD201、受光部であるPD203、ヘッドアレイユニット50の各ヘッド101からの液滴の吐出状態を検出し、検出結果に基づいて得られる検出データを、液滴検出制御部320を介してCPU301へ転送する。
【0045】
次に、液滴検出装置324による液滴検出方式の異なる例について図9及び図10を参照して説明する。
図9は直接光方式の例であり、LD202からレンズ205及びアパーチャ212aを介して出射されるレーザー光200の光路上に、レーザー光200を受光可能な位置にPD204を配置し、レーザー光200が液滴400によって遮られたか否かによって変化するPD204の出力変化から当該ノズルから液滴が正常に吐出されたか否かを検出する。
図10は間接光(散乱光)方式の例であり、LD202からレンズ205及びアパーチャ212aを介して出射されるレーザー光200の光路上からずれた位置であって、レーザー光200が液滴400に当たることによって生じる散乱光を受光可能な位置にPD204を配置し、レーザー光200が液滴400に当たるか否かによって変化するPD204の出力変化から当該ノズルから液滴が正常に吐出されたか否かを検出する。
【0046】
直接光を検知する場合は、受光側のPD204の波形は液滴を検知した時に電圧レベルが下がることにより検出される。これに対し、間接光で検知する場合は、受光側のPD204の出力波形は液滴を検知した時に電圧レベルが上がることにより検出される。
【0047】
例えば、図11(a)に示すようなヘッド101の圧力発生手段(例えば圧電素子)を駆動する(液滴を吐出させる)駆動波形でLD202を発光駆動することで、間接光方式であれば、同図(b)に示すように、滴吐出状態が正常な場合には駆動波形に対応してPD出力の電圧レベルが高くなるので、このPD出力を所要の閾値と比較することで、滴吐出状態(ノズル欠損)を検出することができる。
【0048】
次に、制御部による滴吐出状態検出処理について図12のフロー図を参照して説明する。
まず、ヘッドアレイユニット50を印字位置へ移動する。この画像形成装置では、メンテナンス装置6を搬送ベルト43の下流側に配置して、ヘッドアレイユニット50が待機中はメンテナンス装置6によるキャッピング位置に退避する構成とした場合には、印刷動作を行うときには、ヘッドアレイユニット50を印字位置まで搬送方向に沿う方向(矢示A方向と逆方向)に移動させ、ヘッドアレイユニット50を搬送ベルト43と所定(1mm程度)のギャップが確保される位置まで下降させる。なお、ヘッドアレイユニット50を昇降可能とし、メンテナンス装置6が搬送方向に移動する構成とした場合、ヘッドアレイユニット50を上昇させてメンテナンス装置6を退避させた後、ヘッドアレイユニット50を搬送ベルト43と所定(1mm程度)のギャップが確保される位置まで下降させる。
【0049】
その後、搬送ベルト43を周回移動させて、ヘッドアレイユニット50の各ヘッド101の各ノズルから順次液滴を吐出させ、滴吐出検出制御部320によって、各ノズルの滴吐出状態(ノズル欠損)を検出する。すべてのヘッドのすべてのノズルについて滴吐出状態の検出が終了したときには、すべてのノズルの滴吐出状態が正常である(ノズル欠損がない)か否かを判別し、ノズル欠損が生じていなければ印刷処理に移行し、ノズル欠損が生じているときには、メンテナンス装置6によるヘッドの維持回復(メンテナンス)を行った後、再度滴吐出状態の検出処理に戻る。
【0050】
ここで、滴吐出状態の検出のためにヘッド101から吐出させる液滴は、周回移動している搬送ベルト43の吸引孔に向けて行うようにしている。これにより、搬送ベルト43にヘッドアレイユニット50が対向した状態でも液滴吐出状態の検出を行うことができる。なお、吸引孔に向けて吐出された液滴は廃液受け部材48にて受けられる。また、搬送ベルト43の吸引孔位置の検出は、例えば搬送ベルト43に設けた基準位置マークからの搬送ベルト43の送り量によって検出することができる。
【0051】
このようにヘッドアレイユニット50が対向した状態でも液滴吐出状態の検出を行う場合、搬送ベルト43が周回移動していることで、図13に示すように、搬送ベルト43の振動や用紙搬送方向直交する方向の両端部43aの撓み等が発生すると、LD202からのレーザー光200が遮られてしまい、液滴との交差時に発生する前方散乱光をPD204側で正確に受光検知することができなくなる。
【0052】
そこで、上記実施形態のように、LDユニット202のユニットケース212及びPDユニット204のユニットケース214に、搬送ベルト43の用紙搬送方向と直交する方向の一端部に当接して、搬送ベルト43を押圧する押圧部材222、224を備えることで、図5に示すように搬送ベルト43の両端部が押えられてレーザー光200を遮ることが防止される。
【0053】
これにより、ヘッドアレイユニット50が対向した状態でも液滴吐出状態の検出を行う場合でも正確な検出を行うことができる。
【0054】
また、押圧部材222,224に、用紙搬送方向上流側及び下流側に搬送ベルト43をガイドするガイド部222a,224aが一体に設けられていることで、搬送ベルト43の移動がスムーズになって、押圧部材222,224が振動することが防止される。
【符号の説明】
【0055】
1 装置本体
2 給紙トレイ
3 排紙トレイ
4 搬送部
5 ヘッド部
6 メンテナンス装置
7 クリーナ装置
50 ヘッドアレイユニット
51、51A〜51F ヘッド列
52 ベース部材
61 キャップ
62 ワイパブレード
101 ヘッド
102 ノズル
104 ノズル面
200 レーザー光
201 LD
202 LDユニット
203 PD
204 PDユニット
222、224 押圧部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体を搬送する搬送ベルトと、
前記被記録媒体で搬送される前記被記録媒体に液滴を吐出する記録ヘッドと、
前記搬送ベルトに前記記録ヘッドが対向した位置で、前記記録ヘッドの滴吐出状態を検出する滴吐出状態検出手段と、を備え、
前記滴吐出状態検出手段は、前記記録ヘッドからの吐出される液滴にレーザー光を射出する発光部と、前記液滴によって生じる散乱光を受光する受光部とを有し、
前記発光部及び前記受光部には、前記搬送ベルトに当接して前記搬送ベルトを押圧する押圧部材を有している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記滴吐出状態検出手段の発光部及び受光部は前記記録ヘッドと共に移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記押圧部材は表面がつや消し処理された黒色であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記押圧部材は被記録媒体搬送方向上流側に前記搬送ベルトの移動を案内するガイド部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送ベルトは複数の吸引孔が形成され、前記滴吐出状態検出手段が滴吐出状態の検出を行うときに前記吸引孔に向けて液滴を吐出させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記滴吐出状態検出手段から前記吸引孔に向けて吐出された液滴を受ける廃液受けを備えていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−187877(P2012−187877A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54867(P2011−54867)
【出願日】平成23年3月12日(2011.3.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】