説明

画像形成装置

【課題】簡易な構成で、かつ短時間で精度よく中間転写ベルトの周長変化量を算出することで、画像不良のない良好な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】移動方向に沿って複数のマークが形成される無端状の中間転写ベルト8と、マークの通過を検知する光学センサ21と、中間転写ベルト8上の画像をシート材Pに転写する2次転写ローラ12と、2次転写部Mへシート材を搬送するレジストローラ20と、を備える画像形成装置において、複数のマークは、全てのマーク間隔が異なるように、かつ、マーク間隔の差が、中間転写ベルト8の周長変化に伴うマーク間隔の変化量の2倍よりも大きくなるように中間転写ベルト8上に配置されると共に、装置本体には、シート材の搬送タイミングを制御する制御部22を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いたカラー複写機、カラープリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式を用いるフルカラーの画像形成装置として、各トナー色に対応する感光ドラムを1列に複数配置し、各々のトナー像を像担持体ベルト上(中間転写ベルト)に順次重ね合わせて所望の画像を得るタンデム型の画像形成装置が提案されている。
【0003】
図9に従来例に係る画像形成装置の概略構成を示す。図9に示される画像形成装置には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー剤ごとに画像形成ユニット(1Y、1M、1C、1K)が設けられ、各画像形成ユニット1においてトナー像が中間転写ベルト18上に順次転写される。
【0004】
中間転写ベルト18上へのトナー像の転写は、各々の画像形成ユニット1に設けられる感光ドラム(2Y、2M、2C、2K)と1次転写ローラ(5Y、5M、5C、5K)のニップ部(1次転写部N)において行われる。
【0005】
具体的には、1次転写バイアス電源(不図示)から各々の1次転写ローラ5に転写バイアスが印加され、静電気力によって感光ドラム2の表面から中間転写ベルト18上にトナー像が転写される構成である。なお、感光ドラム2表面のトナー像は以下のプロセスにより形成される。
【0006】
まず感光ドラム2に接触して設けられる帯電ローラ(3Y、3M、3C、3K)によって、感光ドラム2の表面が一様に帯電される。そして画像情報に基づいて露光装置(7Y、7M、7C、7K)から変調されたレーザ光が射出され、感光ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
【0007】
各々の感光ドラム2の表面に形成された静電潜像に対して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー剤を収容する現像ユニット(4Y、4M、4C、4K)がトナー剤を供給し、静電潜像をトナー像として可視化する。そして1次転写部Nにおいてトナー像が中間転写ベルト18上に転写される。なお、中間転写ベルト18に転写されずに感光ドラム2の表面に残留したトナー剤は、クリーニングユニット(6Y、6M、6C、6K)においてクリーニングされる。
【0008】
このようにして中間転写ベルト18上に転写されたトナー像は、中間転写ベルト18の移動に伴い、2次転写部M(2次転写対向ローラ12と2次転写ローラ14のニップ部)まで搬送され、シート材P上に転写される。なお、中間転写ベルト18は、駆動ローラ11、2次転写対向ローラ12、テンションローラ13によって移動可能に張架され、駆動ローラ11が回転駆動することで図9中矢印方向に移動するように構成される。
【0009】
2次転写部Mにおいてシート材Pにトナー像を転写する際は、まず、不図示の給送部から1枚ずつ搬送されてきたシート材Pを、2次転写部Mの手前側に設けられるレジストローラ20において一旦待機させる。
【0010】
その後、2次転写部Mに対するトナー像の到着タイミングに合わせてレジストローラ20を回転させてシート材Pを2次転写部Mに送り込み、シート材Pの所望の位置にトナー
像を転写する。
【0011】
しかし、シート材Pを2次転写部Mに送り込むタイミングと中間転写ベルト18上のトナー像が2次転写部Mに搬送されるタイミングにずれが生じると、シート材Pの所望の位置にトナー像を転写することが困難になる。その結果、画像品質の低下を招くなどの不具合が生じてしまう。
【0012】
そこで従来例に係る画像形成装置においては、中間転写ベルトの周長やトナー像の搬送速度が一定であることを前提として、感光ドラムへの静電潜像の書き出しタイミングを基準にトナー像が2次転写部Mに到達するまでの時間を算出する構成が採用されている。
【0013】
すなわち、トナー像が2次転写部Mに到達するまでの時間を予め算出し、算出された時間を基にレジストローラがシート材Pを2次転写部に送り込むことで、トナー像の到着タイミングとシート材Pの搬送タイミングを合わせる構成を採用している。
【0014】
しかし従来では、中間転写ベルトの周長が一定であるという前提のもと、トナー像が2次転写部Mに到着するまでの時間を算出する構成であるので、温湿度等の環境変化や経時変化によって中間転写ベルトの伸び縮みが生じた場合に対応することが困難であった。
【0015】
すなわち、中間転写ベルトの周長が変化すると、中間転写ベルト上のトナー像が2次転写部に到着するまでの時間も変化してしまうので、トナー像の到着タイミングとシート材Pの搬送タイミングにずれが生じ、画像品質の低下を招いていた。
【0016】
特にタンデム型の画像形成装置は、各トナー剤に対応した感光ドラムを1列に複数配置するので、周長の長い中間転写ベルトが用いられることが多い。この場合は、特に周長変化量が大きくなりがちであり、トナー像の到着タイミングとシート材Pの搬送タイミングが大きくずれる可能性が高い。
【0017】
また、伸縮性の高い材質で構成される中間転写ベルトや、線膨張率の大きな材質で構成される中間転写ベルトを用いる場合も、周長変化量が大きくなり、トナー像の到着タイミングとシート材Pの搬送タイミングが大きくずれる可能性が高い。
【0018】
そこで、中間転写ベルトの周長変化に対応して、トナー像の到着タイミングとシート材Pの搬送タイミングのずれを補正する構成を備える画像形成装置が提案されている(特許文献1)。
【0019】
特許文献1には、中間転写ベルト上の1箇所に設けたマークと、該マークの通過を検知するセンサとを備え、センサによってマークの通過を検知することで中間転写ベルトの周長変化量を算出する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2001−215857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上記従来例に係る画像形成装置では以下に示す問題を生じる。
【0022】
中間転写ベルト上の1箇所に設けたマークの通過を検知することで中間転写ベルトの周長変化量を算出する場合は、マークの通過直後にマークの検知を開始すると、その後マー
クが2回通過するまでに中間転写ベルトがほぼ2周分移動することになる。
【0023】
すなわち、最初のマーク検知から次のマーク検知までに要する時間間隔から中間転写ベルトの周長変化量を算出するので、最初のマーク検知のタイミングによっては、中間転写ベルトの周長変化量を算出するまでに時間を要する。結果として、シート材へ画像形成を行うまでに時間を要することになる。
【0024】
一方で、中間転写ベルト上に複数個のマークを配置すると、最初のマーク検知のタイミングを短縮することができる。しかしながら、最初のマーク検知から次のマーク検知までには中間転写ベルトを1周させなければならないので、この場合もシート材へ画像形成を行うまでに時間を要することになる。
【0025】
また、中間転写ベルト上に複数個のマークを等間隔で配置し、少なくとも2個のマークの通過を検知して該マークの間隔を測定することで、中間転写ベルトの周長変化量を算出する構成も知られている。この構成によれば、任意のマーク間隔を検知すればよく、中間転写ベルトを1周させる必要がないので、より短時間で中間転写ベルトの周長変化量を算出することが可能になる。
【0026】
しかし、この場合は測定したマーク間隔が、中間転写ベルト上のどのマーク間隔であるのかを特定することが困難である(通常は、中間転写ベルトの回転/停止タイミングは任意であり、中間転写ベルト上のどのマークを検知するかは特定できない)。
【0027】
その結果、製造時のマークの貼り付け時のマーク間隔に誤差を含む場合、測定されたマーク間隔は誤差を含んだ値となる。そしてこの誤差が大きい場合には、実際に中間転写ベルトの周長が変化しない場合であっても誤って補正(シート材の到着タイミングの補正)を行ってしまう場合があり、画像形成のタイミングが合わないなど、画像品質を低下させる可能性がある。
【0028】
また、より短時間で精度よく周長変化量を算出するために、製造時に複数のマークを高精度で等間隔となるように形成することが考えられるが、製造上の精度の追求は、製造コストの面からも好ましくない。
【0029】
また上記従来例では、用いられる中間転写ベルトの材質が、温度変動による周長変化が小さな材質に限定されるなど、材料上の制約もあり、その結果製造コストの増加につながっていた。
【0030】
本発明は上記従来例に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、かつ短時間で精度よく中間転写ベルトの周長変化量を算出することで、画像不良のない良好な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記目的を達成するために本発明にあっては、複数のローラに移動可能に張架され、移動方向に沿って複数のマークが形成される無端状の像担持体ベルトと、前記マークの通過を検知するマーク検知手段と、前記像担持体ベルト上の画像をシート材に転写する転写手段と、前記画像の転写が行われる転写部へシート材を搬送する搬送手段と、を備える画像形成装置において、前記複数のマークは、全てのマーク間隔が異なるように、かつ、周長が変化する前の前記像担持体ベルトの周長をL、前記像担持体ベルトの線膨張率をa、前記像担持体ベルトの温度変化をT、前記像担持体ベルト上に形成されるマークの個数をnとしたときに、マーク間隔の差がS>2×L×a×T/n、となるように前記像担持体ベルト上に配置されると共に、装置本体には、前記マーク検知手段の検知結果から得られる
マーク間隔と、予め記憶されたマーク間隔を比較し、該比較結果に基づいて前記搬送手段の駆動を制御して前記転写部へのシート材の搬送タイミングを制御する制御部が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、簡易な構成で、かつ短時間で精度よく中間転写ベルトの周長変化量を算出することで、画像不良のない良好な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図
【図2】第1の実施の形態におけるマークの寸法を示す図
【図3】第1の実施の形態におけるマークの貼り付け位置を示す図
【図4】第1の実施の形態におけるマークの配置を示す図
【図5】第1の実施の形態における制御部の構成を示す図
【図6】第1の実施の形態における先端レジ補正制御のフローチャート図
【図7】第1の実施の形態において光学センサによってマークの通過を検知する際の検知光量を示す図
【図8】第1の実施の形態と比較例との比較結果
【図9】従来例に係る画像形成装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施の形態に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0035】
(第1の実施の形態)
図1〜図8を参照して本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
【0036】
[画像形成装置の全体構成]
図1は本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示すものである。なお、図9に示す従来例に係る画像形成装置と同一構成の部分には同一符号を付して説明を行うものとする。
【0037】
本実施の形態に係る画像形成装置は、各トナー色に対応する感光ドラムを1列に複数配置し、各々のトナー像を像担持体ベルトとしての中間転写ベルトに順次重ね合わせて所望の画像を得るタンデム型の画像形成装置である。
【0038】
画像形成装置本体には、各トナー色(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)に対応する画像形成部(1Y、1M、1C、1K)が備えられている。各画像形成部1には、像担持体としての感光ドラム(2Y、2M、2C、2K)が設けられる。本実施の形態における感光ドラム2は、アルミニウム等のドラム基体(不図示)上に感光層(不図示)が形成された有機感光体であり、駆動装置(不図示)によって所定のプロセススピードで図1中矢印方向に回転する。
【0039】
感光ドラム2の周囲には、その回転方向に対して順に、帯電ローラ(3Y、3M、3C、3K)、現像ユニット(4Y、4M、4C、4K)、1次転写ローラ(5Y、5M、5C、5K)、クリーニングユニット(6Y、6M、6C、6K)が設けられる。
【0040】
また、帯電ローラ3と現像ユニット4の上方には、画像情報に基づいて感光ドラム2の表面にレーザ光を射出して感光ドラム2の表面に静電潜像を形成する露光ユニット(7Y、7M、7C、7K)が設けられる。
【0041】
また、感光ドラム2と1次転写ローラ5は、1次転写部Nにおいて中間転写ベルト18(像担持体ベルト)を介して当接する。
【0042】
中間転写ベルト8は、駆動ローラ11、2次転写対向ローラ12、テンションローラ13等の複数のローラに移動可能に張架されており、駆動ローラ11によって図1中矢印方向に移動する。テンションローラ13は、ばね(不図示)によって図1中右方向に付勢支持されていて、これによって中間転写ベルト8に一定の張力をもたせている。
【0043】
中間転写ベルト8としては、体積抵抗率が1×10〜1×1012Ω・cm程度のものが好ましく、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリイミド樹脂のものや、シリコーンゴムやヒドリンゴム等の弾性材料が用いられる。また、これらの材料にカーボンや導電性粉体を分散させて抵抗調整を行ったもの等を用いることも可能である。
【0044】
本実施の形態においては、ポリイミドにカーボンを分散させて体積抵抗率を1×10Ω・cmに調整した、周長1000mm、厚み0.1mmの黒色の無端状ベルトを用いた。また、中間転写ベルト8のプロセス速度(画像形成速度)は190mm/sに設定した。
【0045】
さらに、本実施の形態では、中間転写ベルト8上の側縁部の任意の位置に、中間転写ベルト8の移動方向に沿って複数のマークを形成した。また、これらのマーク間隔は全てが異なる間隔となるようにした。マークの貼り付け位置に関しては後述する。
【0046】
そして、これらのマークの通過を検知する光学センサ21(マーク検知手段)をテンションローラ13の下流側に設けた。さらに光学センサ21の検知結果から中間転写ベルト18の周長変化量を算出し、トナー像の到着タイミングとシート材Pの搬送タイミングが合うように、シート材Pの搬送タイミングを補正する制御部22を設けた。なお、本実施の形態における光学センサ21は、発光部と受光部を備える反射型のものである。また、シート材の搬送タイミングの補正方法等に関しては後述する。
【0047】
2次転写対向ローラ12は、2次転写部Mにおいて中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ14に圧接する。なお、2次転写ローラ14は、2次転写対向ローラ12に対して接離可能に構成される。
【0048】
また、2次転写部Mに搬送されるシート材Pは、2次転写部Mよりも手前に設けられるレジストローラ20(シート材の搬送手段)に一旦停止させられる。そして中間転写ベルト8上に形成されたトナー像が2次転写部Mに到着するタイミングに合わせて、レジストローラ20によって2次転写部Mへ搬送される。
【0049】
また、中間転写ベルト18の2次転写部Mよりも下流側には、中間転写ベルト8上に残留したトナー剤を除去して回収するベルトクリーニング装置15が設けられる。
【0050】
また、シート材Pの搬送経路において、2次転写部Mよりも下流側には、2次転写部Mにおいてシート材P上に転写されたトナー像を定着させるための定着装置16が設けられる。定着装置16は定着ローラ16aと加圧ローラ16bを備え、これらのローラのニップ部にシート材Pを挟み込むことで、シート材P上に画像を永久定着させるものである。
【0051】
[画像形成プロセス]
上記で説明した構成によってシート材に画像を形成するまでのプロセスについて説明を行う。
【0052】
画像形成動作開始信号が入力されると、シート材Pは給送カセット(不図示)から順次送り出されてレジストローラ20まで搬送され、2次転写部Mの直前で一時待機する。
【0053】
一方、画像形成動作開始信号が発せられると、所定のプロセススピードで回転する感光ドラム2Y、2M、2C、2Kの表面が帯電ローラ3Y、3M、3C、3Kによって一様に負極性に帯電される。
【0054】
そして、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に基づいて露光装置7Y、7M、7C、7Kから変調されたレーザ光が射出され、一様に帯電された各感光ドラム2Y、2M、2C、2Kの表面を走査露光して静電潜像を形成する。
【0055】
その後、感光ドラム2Y上に形成された静電潜像に現像ユニット4Yがイエローのトナー剤を供給し、静電潜像をトナー像として可視像化する。このイエローのトナー像は、1次転写ローラ5Yに印加される1次転写バイアスによって、感光ドラム2Yの表面から中間転写ベルト8上に1次転写される。
【0056】
イエローのトナー像が転写された中間転写ベルト8は画像形成部1Mまで移動される。そして画像形成部1Mにおいても、感光ドラム2Mに形成されたマゼンタのトナー像が、1次転写ローラ5Mによって中間転写ベルト8上のイエローのトナー像上に重ね合わせて1次転写される。
【0057】
以下、同様にして中間転写ベルト8上に重畳転写されたイエロー、マゼンタのトナー像上に、画像形成部1C、1Kの感光ドラム2C、2Kで形成されたシアン、ブラックのトナー像が1次転写ローラ5C、5Kにより順次重ね合わせて1次転写される。その結果、中間転写ベルト8上には所望のフルカラー画像が形成される。
【0058】
中間転写ベルト8上に形成されたフルカラーのトナー像は、中間転写ローラ8の移動に伴って2次転写部Mまで搬送される。
【0059】
そして、中間転写ベルト8上のフルカラーのトナー像先端が2次転写部Mに到着するタイミングに合わせてレジストローラ20がシート材Pを2次転写部Mに搬送し、シート材Pの所定の位置に、フルカラーのトナー像が一括して2次転写される。
【0060】
本実施の形態では、中間転写ベルト8上に形成されたマークの通過を光学センサ21が検知し、その検知結果に基づいて制御部22が中間転写ベルトの周長変化量を算出する構成とした。さらに、算出された周長変化量に基づいて、制御部22がレジストローラ20の駆動を制御してシート材Pの搬送タイミングを補正する構成とした。
【0061】
フルカラーのトナー像が形成されたシート材Pは定着装置16に搬送され、定着ローラ16aと加圧ローラ16bの定着ニップで加熱、加圧されることで、シート材P上にトナー像が定着する。そしてトナー像が定着したシート材Pは外部に排出され、一連の画像形成動作が終了する。
【0062】
なお、1次転写時において、感光ドラム2Y、2M、2C、2K上に残留する残トナーは、それぞれクリーニングユニット6Y、6M、6C、6Kによって除去されて回収され
る。また、2次転写後に中間転写ベルト8上に残った残トナーは、ベルトクリーニング装置15によって除去されて回収される。
【0063】
[マークの貼り付け位置]
図2〜図4を参照して、本実施の形態における中間転写ベルト8に対する周長変化量算出用のマークの貼り付け位置について説明する。
【0064】
本実施の形態では、中間転写ベルト8の周長変化量を算出するために、中間転写ベルト8の側縁に中間転写ベルト8の移動方向に沿って4個のマークを貼り付けた。
【0065】
この周長変化量算出用のマークは、光学センサ21によってマークの通過が検知されやすいように中間転写ベルト8と区別がつきやすいものが好ましく、本実施の形態では8mm×8mmの白色PETからなるシール材をマークとして用いた。
【0066】
また、本実施の形態では、4つのマークのそれぞれの間隔が全て異なるようにマークを配置した。さらに、各々のマーク間隔の差が、少なくとも中間転写ベルト8の周長変化に伴う各々のマーク間隔の変化量の2倍より大きくなるようにマークを配置した(数式1)。
【0067】
ここで、マーク間隔の差をSとし、マーク間隔の差Sが満たす条件を以下の数式1に示す。
【0068】
(数1)
S>2×L×a×T/n
【0069】
上記数式1において、L:周長が変化する前の中間転写ベルトの周長、a:中間転写ベルトの線膨張率、T:中間転写ベルトの温度変化、n:中間転写ベルト上に形成されるマークの個数、である。
【0070】
本実施の形態では、少なくとも2つのマークの通過を検知し、通過時間(s)及び中間転写ベルト8の移動速度から得られるマーク間隔と、記憶手段Rに記憶されているマーク間隔とを比較することで、周長変化量を求める構成である。よって、記憶されているマーク間隔との比較を行うために、マークの通過を検知することで得られるマーク間隔が、中間転写ベルト8上のどのマーク間隔であるのかを特定する必要がある。
【0071】
そこで本実施の形態では、中間転写ベルト8上に形成される4つのマーク間隔を全て異なる間隔とすることで、マークの通過検知によって得られるマーク間隔が、中間転写ベルト8上のどのマーク間隔であるのかを特定できるようにした。
【0072】
しかし、マーク間隔を全て異なる間隔とするだけでは、マーク間隔の特定が困難となる場合も考えられる。この場合について、以下に例を挙げて説明する。
【0073】
例えば、中間転写ベルト上に、マーク間隔L1:10mm、マーク間隔L2:11mmが形成されているとする。これらのマーク間隔は、中間転写ベルトが周長変化を生じない状態におけるマーク間隔であって、画像形成装置内に設けられる記憶手段には、マーク間隔L1:10mm、マーク間隔L2:11mm、が記憶されているものとする。
【0074】
その後、中間転写ベルトの周長が変化し、マーク間隔L1、L2がそれぞれ2mmずつ伸び、L1がL1´になり、L2がL2´になったとする。すなわち、中間転写ベルトの周長変化によって、マーク間隔L1´:12mm、マーク間隔L2´:13mmが形成さ
れたとする。
【0075】
この場合、周長変化後のマーク間隔L1´:12mmは、周長変化前のマーク間隔L1:10mmよりも、マーク間隔L2:11mmに近い(L1´−L2の方がL1´−L1よりも小さい)。なお、マーク間隔の特定は、記憶手段に記憶されるマーク間隔のうち、最も周長変化後のマーク間隔に近いものに特定される構成である。よって、周長変化後のマーク間隔L1´が周長変化前のマーク間隔L2に相当するマーク間隔である、と誤って特定される場合が考えられる。
【0076】
このような問題を防ぐために、本実施の形態では、マーク間隔を全て異なるようにしつつ、マーク間隔の差が、少なくとも中間転写ベルト8の周長変化に伴うマーク間隔の変化量の2倍よりも大きくなるようにマークを配置した。上記数式1に表されるこの配置方法によれば、精度良くマーク間隔を特定することが可能になる。この根拠について以下説明する。
【0077】
まず、中間転写ベルトの周長変化後のマーク間隔L1´が、周長変化前のマーク間隔L1に相当すると特定されるためには、本実施の形態におけるマーク間隔の特定方法によれば、少なくともL1´が、L2よりもL1に近い数値であることが求められる。つまり、以下の数式2を満たす必要がある。
【0078】
(数2)
|L1´−L1|<|L1´−L2|
【0079】
そして上記数式2から以下の数式3が得られる。
【0080】
(数3)
2L1´<L1+L2
【0081】
一方、中間転写ベルトの周長変化に伴う各々のマーク間隔の変化量は、中間転写ベルトの周長変化量をマーク間隔の個数(=マークの個数)で除することで求められ、以下の式になる(数式4)。
【0082】
(数4)
マーク間隔の変化量=L×a×T/n
【0083】
上記数式4において、L:周長が変化する前の中間転写ベルトの周長、a:中間転写ベルトの線膨張率、T:中間転写ベルトの温度変化、n:中間転写ベルト上に形成されるマークの個数、である。
【0084】
そしてL1´は、L1にマーク間隔の変化量(数式4)を足したものであるので、上記数式3、数式4から以下の数式5が得られる。
【0085】
(数5)
L2−L1>2×L×a×T/n
【0086】
すなわち、上記数式5より、マーク間隔の差(L2−L1)は、マーク間隔の変化量(L×a×T/n)の2倍よりも大きな値とすれば、L1´はL2よりもL1に近い値となり、L1´がL1に相当する、と精度良く特定することが可能になる。
【0087】
上記で挙げた例で説明すると、マーク間隔L1とマーク間隔L2の差(L2−L1)を
、各々の間隔の変化量(2mm)の2倍よりも大きな値とする。つまり、L2−L1が4mmよりも大きな値となるようにマークを配置する。
【0088】
例えば、マーク間隔L1:10mm、マーク間隔L2:20mmとする。この場合は、マーク間隔の差(L2−L1)が10mmとなるので、マーク間隔の変化量の2倍(4mm)よりも大きい。すると、周長変化後にL1´:12mm、L2´:22mmとなった場合でも、マーク間隔L1´:12mmは、周長変化前のマーク間隔L2:20mmよりも、マーク間隔L1:10mmに近い。よって、周長変化後のマーク間隔L1´がマーク間隔L1に相当するマーク間隔と特定することが可能になる。
【0089】
このように本実施の形態では、マーク間隔の特定を精度良く行うために、4つのマーク間隔が全て異なるようにし、さらに、マーク間隔の差が、中間転写ベルトの周長変化に伴うマーク間隔の変化量の2倍以上となるようにマークを配置したことを特徴とする。
【0090】
具体的には、図4に示すように中間転写ベルトの周方向α、β、γ、δの位置に4個のマークを配置し、各間隔が、L1:308mm、L2:275mm、L3:231mm、L4:186mmのように、L1>L2>L3>L4となるようにマークを配置した。
【0091】
本実施の形態で用いる中間転写ベルト8の線膨張係数は3×10−5(/℃)であり、画像形成装置の使用環境下において想定される温度変動は、最大で60℃である。
【0092】
この場合の温度変動による中間転写ベルトの周長変化は、最大で1.8mmとなり、4個のマークを配置する場合には、各マーク間隔で0.45mm(=1.8÷4mm)の変化量が想定される。よってマーク間隔の差を、0.45mmの2倍(=0.9mm)よりも大きくなるようにマークを配置すれば、確実にどのマーク間隔かを特定することができる。
【0093】
本実施の形態では、|L1−L2|=33mm、|L2−L3|=44mm、|L3−L4|=45mm、|L4−L1|=122mmであり、マーク間隔の変化量の2倍(0.9mm)に対し十分なマージンを確保している。よって、確実にベルト間隔を特定することができる。
【0094】
[シート材の搬送タイミングの補正方法]
本実施の形態では、中間転写ベルト8上のマークの検知手段として設けられる光学センサ21による検知結果をもとに、制御部22が中間転写ベルト8の周長変化量を算出し、2次転写部Mへのシート材の搬送タイミングを補正する構成とした。
【0095】
図5に示すように、制御部22はCPU等で実現される時間検出部221と、演算部222と、モータ制御部223と、記憶手段Rと、から構成される。
【0096】
時間検出部221は、光学センサ21によってマークの通過を検知することでマークの通過時間を検出する。
【0097】
演算部222は、予め設定された各マーク間の間隔を記憶しておくEEPROMなどの記憶手段Rを有し、光学センサ21による検知結果と、記憶手段Rに格納されているマーク間隔の情報を比較する。記憶手段Rには、製造時(出荷検査時などの校正時)などに、ある所定の条件において測定した各マーク間隔がそれぞれ記憶されている。
【0098】
そして、光学センサ21がマークの通過を検知し、それによって得られるマーク間隔が中間転写ベルト8上のどの部分の間隔であるのかを特定するとともに、中間転写ベルト8
の周長変化量を演算する。
【0099】
さらに、算出されたベルト周長変化量から、トナー画像の到着タイミング(画像形成部から2次転写部Mに到着するタイミング)と、シート材Pの搬送タイミング(レジストローラ20から2次転写部Mに搬送するタイミング)のずれ量を演算する。
【0100】
そして演算によって得られるずれ量をもとにシート材の搬送タイミングを補正する。具体的には、モータ制御部223が上記演算部222による演算結果に基づいて、レジストローラ20の駆動を制御する。
【0101】
図6にシート材の搬送タイミングを補正するまでのフローチャートを示す。以下、図6を参照して、シート材Pの搬送タイミングを補正する先端レジ補正制御の手順について説明する。
【0102】
(start)
「先端レジ補正制御実行要求」により先端レジ補正制御が開始される。補正制御の実行のタイミングとしては、例えば、電源オンによる立ち上げ時や、プリント開始信号により画像形成が行われる前回転時、連続印字時、その他濃度補正制御実行時など、任意の時点が挙げられる。
【0103】
(Step1)
マークの通過タイミングを測定する。中間転写ベルト8の定常回転中にマークが検知手段である光学センサ21の位置を通過する際の通過時間をカウントし、マーク通過時間を測定する。
【0104】
図7は、4つのマーク(α、β、γ、δ)を計5回検知した場合の検知結果を示すものである。図7からわかるように、各マークが光学センサ21の位置を通過する際に光学センサの検知光量が上がることで、マークの通過を確認することができる。そしてマークの通過に要する時間(T1、T2、T3、T4)を測定する。
【0105】
(Step2)
マークの通過に要する時間からマークの間隔を求め、得られたマーク間隔と記憶手段Rに記憶されているマーク間隔と比較して、その差分から中間転写ベルト8の周長変化量を計算する。
【0106】
具体的には、記憶手段Rに記憶されている各マーク間の間隔(マークαとマークβの間隔:Tαβ、マークβとマークγの間隔:Tβγ、マークγとマークδの間隔:Tγδ、マークδとマークαの間隔:Tδα)を比較対象とする。そして、記憶手段Rに記憶されている各マーク間隔のうち、周長変化後のマーク間隔(T12とする)に最も近いもの(Tx)を特定する。その後、以下の数式6により、ベルトの周長変化量Tdifを計算する。
【0107】
(数6)
Tdif=(T12−Tx)×(Tαβ+Tβγ+Tγδ+Tδα)/Tx
【0108】
(Step3)
上記結果より、2次転写部Mに対するトナー画像の到着タイミングとシート材Pの到達タイミングのずれ量を計算し、レジストローラ20の回転開始タイミングを変更してシート材Pの搬送タイミングを補正する。
【0109】
なお、本実施の形態では、中間転写ベルト8に一定張力を持たせるべく、テンションローラ13を移動可能に付勢支持しているため、ベルトの周長変化量Tdifが、そのままトナー画像の到着タイミングのずれ量となる。したがって、このTdif分をレジストローラ20の回転開始タイミングとして考慮することで、シート材Pの搬送タイミングを補正できる。
【0110】
[比較例との比較結果]
本実施の形態における先端レジ補正制御の効果を確認すべく、比較例1、2を設け、本実施の形態との比較結果を図8に示す。ここでは、本実施の形態、比較例1、比較例2の各々の場合において、中間転写ベルトの周長変化量を算出するまでの時間、画像不具合の発生、の2点について確認した。
【0111】
比較例1は、中間転写ベルト上にマークを複数個設け、中間転写ベルトを1周させて同一のマークを2回検知することで中間転写ベルトの周長変化量を算出する構成である。
【0112】
比較例2は、中間転写ベルト上に等間隔に複数のマークを設け、そのうちの2つのマークを検知することで中間転写ベルトの周長変化量を算出する構成である。ただし、従来例においても説明したように、マーク間隔には製造時の誤差が含まれ、ここでは本実施の形態との差異をより明確にすべく、マーク間隔の誤差が最大の中間転写ベルトを用いた。
【0113】
また、本実施の形態、比較例1、比較例2ともに、中間転写ベルトの速度(Ref.速度)を190mm/sとして画像形成を行った。
【0114】
その結果、図8に示されるように、比較例1では得られる画像は問題ないレベルであるものの、中間転写ベルトの周長変化量の算出に時間を要してしまう。また、比較例2では、中間転写ベルトの周長変化量の算出時間を速くできるものの、色ずれ等の画像不具合が発生した。一方で、本実施の形態では、中間転写ベルトの周長変化量の算出時間を速くできるとともに、良好な画像を得ることができた。
【0115】
比較例1の構成によると、マークの通過を検知するには中間転写ベルトを1周させなければならないので、中間転写ベルトの周長変化量を検知するには少なくとも中間転写ベルトを1周させる分の時間を要することになる。よって本実施の形態のように、複数のマークのうちの少なくとも2つのマークの検知を行えばよい場合と比較すると、中間転写ベルトの周長変化量を算出するに要する時間が長くなってしまう。
【0116】
比較例2は、本実施の形態と同様に、複数のマークのうちの2つのマークの通過を検知する構成であるので、中間転写ベルトの周長変化量の算出時間を短縮することが可能になる。しかし上記でも説明したように、検知されるマーク間隔に製造時の誤差が含まれるため、制御部が誤って先端レジ補正制御を行う可能性がある。よって、本実施の形態と比較すると、精度良く中間転写ベルトの周長変化量を算出することが出来ない。
【0117】
これに対し、本実施の形態は、中間転写ベルト上のマーク間隔が全て異なるようにし、さらにマーク間隔の差が、少なくとも中間転写ベルトの周長変化に伴うマーク間隔の変化量の2倍よりも大きな値となるようにマークを配置した。
【0118】
その結果、中間転写ベルトを1周させることなく、短時間でかつ精度よく中間転写ベルトの周長変化量を算出し、画像不良のない良好な画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することが可能になる。
【0119】
なお、マーク間隔の差は、装置速度などのスペックにもよるが、中間転写ベルトの周長
ばらつき、マーク貼り付け位置のばらつきなどの製造上の誤差を考慮して、マージンをより多く(本実施の形態においては、20mm以上)持たせることが好ましい。
【0120】
このように構成することによって、製造上の誤差を吸収除去することができ、より確実に中間転写ベルト上のどの間隔を検知したのかを特定することができる。その結果、より安定した性能(検知精度)を確保することができ、より確実なレジ先端補正制御によって、安定した画像品質を提供することが可能となる。また、部品の寸法精度等を緩和できるため、部材などの低コスト化も図ることが可能となる。
【0121】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。なお、[画像形成装
置の全体構成]、[画像形成プロセス]、[シート材の搬送タイミングの補正方法]に関して
は、第1の実施の形態と何ら異なるものではないのでその説明は省略する。ここでは、本実施の形態の特徴である[マークの貼り付け位置]について説明する。
【0122】
第1の実施の形態では、α、β、γ、δの位置に4個のマークを配置し、各間隔を、L1:308mm、L2:275mm、L3:231mm、L4:186mmのように、L1>L2>L3>L4となるように構成した。
【0123】
これに対して本実施の形態では、L1:308mm、L2:186mm、L3:275mm、L4:231mmとし、L1>L3>L4>L2となるようにマークを配置した。
【0124】
このように本実施の形態では、各マーク間隔を中間転写ベルトの周回方向に対して大→小→大→小の順となるように、すなわち、隣り合うマーク間隔の大きさが小さくなる場合と、大きくなる場合とが交互に繰り返すようにマークを配置した。この構成によれば、より短時間で中間転写ベルトの周長変化量を算出することが可能となる。
【0125】
例えば、各マーク間隔を大きい順(あるいは小さい順)に順序よく並べて配置した場合などは、間隔の大きい部分が連続する。このため、中間転写ベルトの停止位置(検知開始時期)によっては、2個のマーク検知の際に連続した間隔の大きい部分を検知する場合があり、この場合の検知時間は、他の組み合わせの場合に比べ長くなる。
【0126】
これに対し、本実施の形態では、マーク間隔の大きな部分が連続しないよう、大小大小の順にバランスよくマーク間隔を配置しているため、2個のマーク検知の際は、必ず大と小の組み合わせとなる。このため、連続した間隔の大きい部分を検知する場合に比べ、検知時間をより短くすることが可能となる。
【0127】
また、本実施の形態においても、実際に先端レジ補正制御を行って効果を確認したところ、短時間で精度よくベルト周長変化量を算出でき、画像不具合のない良好な画像を得ることができた。
【0128】
(その他の実施の形態)
第1の実施の形態、第2の実施の形態においては、中間転写ベルトの材料として、比較的伸びにくく線膨張係数の小さなポリイミド(PI)を用いたが、中間転写ベルトの材料はこれに限られるものではなく、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いてもよい。PVDFは、PIと比較すると線膨張係数が大きな材料である。
【0129】
ここでは、導電剤を混合することにより体積抵抗率を1×10〜1×1011Ω・cmに調整した無端状のPVDFを中間転写ベルトに用いる場合について説明を行う。また、テンションローラ13の両端に加えられた付勢手段(付図示)に片側20N、総圧40
Nを加えることにより、所定のテンションを与えるものとした。なお、本実施の形態における中間転写ベルトの引張弾性率は700MPaである。
【0130】
また、本実施の形態では、第1の実施の形態と同じく、α、β、γ、δの位置に4個のマークを配置し、各間隔は、L1:308mm、L2:275mm、L3:231mm、L4:186mmのように、L1>L2>L3>L4となるように構成した。しかし、第2の実施の形態のように、隣り合うマーク間隔の大きさが小さくなる場合と、大きくなる場合とが交互に繰り返すようにマークを配置してもよい。
【0131】
また、第1の実施の形態、第2の実施の形態と同様に、2個のマーク検知により、短時間、かつ精度よく、中間転写ベルトの周長変化量を算出し、先端レジ補正制御を行うものとする。
【0132】
本実施の形態で用いられるPVDFの線膨張係数は10×10−5(/℃)である。そして、画像形成装置の使用環境下で想定される温度変動は最大で60℃であり、この温度変動による中間転写ベルトの周長の最大変化量は6mmである。
【0133】
すなわち各マーク間隔の差を、1.5mm(6mm÷4)の2倍よりも大きくなるようにマークを配置すればよい。本実施の形態では、|L1−L2|=33mm、|L2−L3|=44mm、|L3−L4|=45mm、|L4−L1|=122mmであり、上記した必要な差分に対し、十分なマージンを確保している。
【0134】
そしてこの構成で実際に中間転写ベルトの周長変化量を算出し、先端レジ補正制御を行った結果、画像不具合のない良好な画像を得ることができた。
【0135】
このように線膨張係数が大きな材料でも、マーク間隔が全て異なるようにし、マーク間隔の差が中間転写ベルトの周長変化に伴うマーク間隔の変化量の2倍よりも大きくなるようにマークを配置すれば、短時間で精度良くマーク間隔を特定することができる。
【0136】
よって、線膨張係数の大小に関わらず、中間転写ベルトを構成することが出来るので、材料選択の幅が広がり、製造コストの削減を達成することができる。なお、本実施の形態では、記憶手段Rに予めマーク間隔を記憶させていたが、装置本体の使用環境、通紙枚数などの使用状況に応じて、各マーク間隔のデータを逐次書き換える構成であってもよい。
【符号の説明】
【0137】
1 画像形成部
2 感光ドラム
3 帯電ローラ
4 現像ユニット
5 1次転写ローラ
6 クリーニングユニット
7 露光ユニット
8 中間転写ベルト
14 2次転写ローラ
16 定着装置
20 レジストローラ
21 光学センサ
22 制御部
M 2次転写部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラに移動可能に張架され、移動方向に沿って複数のマークが形成される無端状の像担持体ベルトと、
前記マークの通過を検知するマーク検知手段と、
前記像担持体ベルト上の画像をシート材に転写する転写手段と、
前記画像の転写が行われる転写部へシート材を搬送する搬送手段と、
を備える画像形成装置において、
前記複数のマークは、
全てのマーク間隔が異なるように、かつ、周長が変化する前の前記像担持体ベルトの周長をL、前記像担持体ベルトの線膨張率をa、前記像担持体ベルトの温度変化をT、前記像担持体ベルト上に形成されるマークの個数をnとしたときに、マーク間隔の差がS>2×L×a×T/n、となるように前記像担持体ベルト上に配置されると共に、
装置本体には、
前記マーク検知手段の検知結果から得られるマーク間隔と、予め記憶されたマーク間隔を比較し、該比較結果に基づいて前記搬送手段の駆動を制御して前記転写部へのシート材の搬送タイミングを制御する制御部が設けられることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数のマークは、
隣り合うマーク間隔の大きさが小さくなる場合と、大きくなる場合とが交互に繰り返すように配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−194594(P2012−194594A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−159001(P2012−159001)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【分割の表示】特願2007−225366(P2007−225366)の分割
【原出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】