説明

画像形成装置

【課題】電極等の破損のおそれがなく、耐久性のよい、用紙の分離性能の優れた画像形成装置を提供する。
【解決手段】紙除電装置123は、コロナ放電を行うための板状の除電極201、除電極201の長手方向の先端部の長さ以上の長さである一対の清掃ローラ203、一対の清掃ローラ203にて除電極201を挟持しながら除電極201と一対の清掃ローラ203とを相対的に摺動させて、除電極201によるコロナ放電を行うために除電極201の先端部を分離位置に向けて露出させる放電位置と、一対の清掃ローラ203によって除電極201の先端部が挟持される位置又は該位置よりも除電極201の先端部が分離位置よりも退避された位置である退避位置とに変換する除電極移動モータ、及び、退避位置から放電位置への変換において、一対の清掃ローラ203を除電極201の放電する方向にそれぞれ回転させるローラ回転駆動モータを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナー像が形成された感光体や転写ベルト等の像担持体から、トナー像を用紙に転写し定着することで、画像を用紙上に形成するようにした画像形成装置が知られている。トナー像が転写された用紙は、搬送ベルトによって定着装置に搬送され、定着装置によってトナー像が用紙に定着される。ここで、搬送ベルトによる用紙の搬送は、用紙をベルトに静電吸着させ、ベルトを周回させることにより実施される。搬送ベルトにより搬送された用紙は、搬送ベルトの端部に設けられた分離ローラによって曲率分離される。
【0003】
ところが、薄紙等、剛性(こし)の小さい用紙については、曲率分離によっては分離されない場合がある。
このような用紙の分離性を確保するために、搬送ベルトから分離する用紙に対してコロナ放電を行う除電極を設け、搬送ベルトに対する用紙の吸着力を弱めるようにしたものも知られている。
【0004】
一方で、転写直後にはトナーの飛び散りが発生する。これは、トナー像が転写される用紙や転写体が像担持体から分離する際に発生する剥離放電に起因するものである。これにより、用紙へのトナー像の転写が行われる転写部よりも下流側は、飛散したトナー等によって汚れることがある。従来の画像形成装置の除電極についても、転写部よりも下流側に配置されることから、同様にトナー等による汚れが発生してしまう。その結果、経時的に放電ムラ等が生じ、搬送ベルトからの用紙の分離性が悪化する。
【0005】
このような問題に鑑み、従来の画像形成装置において、針状電極と、この電極を両側から挟み込み、電極の長手方向に沿って移動させる清掃部材とを備えたものがある。この清掃部材は、回転可能に支持された一対のローラを備えており、清掃部材の移動とともにローラを回転させ、針状電極に付着したトナー等の付着物を掻き落として清掃する(例えば、特許文献1)。
【0006】
また、鋸歯状電極の突出方向に沿って移動し、鋸歯状電極の針状先端部を覆うことにより針状先端部に付着した放電生成物を除去する清掃部材を備えたものがある。この清掃部材は、鋸歯状電極を一対のスポンジ部材の間に挿入した状態で鋸歯状電極が突出する方向に沿って移動されるものである(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−43990号公報
【特許文献2】特開2008−275897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、清掃部材を電極の長手方向に沿って移動させながらローラを回転させるため、ローラの回転方向と針状電極の突出方向とが相対的に異なる。そのため、ローラに適用する材料がスポンジ等、軟質で表面の粗いものである場合には、ローラと針状電極の先端部分とが引っ掛かり、ローラはもちろん、針状電極の先端部分を破損させるおそれがある。よって、ローラに適用できる材料は硬質で表面性のよいものに限定されてしまうこととなるが、これでは清掃能力が不十分なものとなってしまう。
【0009】
また、上記特許文献2に記載の技術では、電極が清掃部材に収容された状態では、一対のスポンジ部材にて電極を挟持する状態となっているため、清掃部材を移動させて電極の針状先端部を露出させる際に、針状先端部が清掃部材に突き刺さる等して針状先端部や清掃部材を破損させるおそれがある。
【0010】
本発明の課題は、電極等の破損のおそれがなく、耐久性のよい、用紙の分離性能の優れた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置において、
トナー像が転写された用紙を静電吸着により搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトから用紙を分離させる分離位置に向けて放電し、用紙の除電を行う除電部と、
を備え、
前記除電部は、用紙の搬送方向とは垂直方向に延びた、コロナ放電を行うための板状の電極、前記電極の長手方向を軸方向として延設し、前記電極の長手方向の先端部の長さ以上の長さである一対の清掃ローラ、前記一対の清掃ローラにて前記電極を挟持しながら前記電極と前記一対の清掃ローラとを相対的に摺動させて、前記電極によるコロナ放電を行うために前記電極の先端部を前記分離位置に向けて露出させる放電位置と、前記一対の清掃ローラによって前記電極の先端部が挟持される位置又は該位置よりも前記電極の先端部が前記分離位置よりも退避された位置である退避位置とに変換する位置変換部、及び、前記退避位置から前記放電位置への変換において、前記一対の清掃ローラを前記電極の放電する方向にそれぞれ回転させる回転駆動部を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記回転駆動部は、前記退避位置から前記放電位置への変換において、前記一対の清掃ローラのそれぞれの回転時の周速度を、前記電極と前記一対の清掃ローラとの相対移動速度よりも大きくして前記一対の清掃ローラを回転させるようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記回転駆動部は、前記放電位置から前記退避位置への変換において、前記一対の清掃ローラをそれぞれ回転させることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記一対の清掃ローラは、前記退避位置において互いに圧接してニップ部を形成し、該ニップ部にて前記電極の先端部を被覆することを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記回転駆動部は、前記退避位置において、前記一対の清掃ローラを前記電極の放電する方向にそれぞれ回転させることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記位置変換部は、前記放電位置とした後、所定期間が経過する毎に、前記放電位置と前記退避位置とを往復させることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記搬送ベルトから分離させる用紙の種類に応じて放電を行うか否かを判定し、放電を行うと判定したときに、前記位置変換部によって前記退避位置から前記放電位置に変換させる制御部を備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載の画像形成装置において、
前記清掃ローラは、外周面を粗面としたことを特徴とする。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、
前記清掃ローラは、少なくとも外周面を発泡材料にて形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、電極等の破損のおそれがなく、耐久性のよい、用紙の分離性能の優れた画像形成装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】画像形成装置の概略構成を示す要部断面図である。
【図3】紙除電装置の詳細を示す部分拡大断面図である。
【図4】紙除電装置の要部構成を示す斜視図である。
【図5】紙除電装置の要部構成を示す側面図である。
【図6】除電極の移動速度と清掃ローラの回転速度との関係について説明する図である。
【図7】ベルト分離制御処理について説明するフローチャートである。
【図8】放電実施判定テーブルについて説明する図である。
【図9】本実施の形態による用紙の分離性の効果について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0023】
図1に、本実施の形態に係る画像形成装置100の機能的構成について説明する。
図1に示すように、画像形成装置100は、本体制御部150と、画像読取部110と、プリント部120と、操作表示部130と、プリンタコントローラ140とを備えて構成される。
【0024】
本体制御部150は、制御部151、不揮発メモリ152、RAM(Random Access Memory)153、画像メモリ154、画像処理部155等を備え、各部は制御部151によって制御されている。
【0025】
制御部151は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、不揮発メモリ152に格納されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラム、各種データの中から指定されたプログラムやデータを読み出してRAM153に展開する。制御部151は、RAM153に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行し、画像形成装置100の各部を集中制御する。制御部151は、例えば、操作表示部130やプリンタコントローラ140を介して接続された外部装置PCから入力される指示信号に従って、コピーモード、プリンタモード、スキャナモードを切り替え、複写、プリント、画像データの読取等の制御を行う。
【0026】
不揮発メモリ152は、画像形成に係る各種処理プログラムの他、本実施の形態に係るベルト分離制御処理を実行するためのベルト分離制御プログラム等を記憶する。また、不揮発メモリ152は、画像形成に係る各種データの他、後述する除電実施判定テーブル等を記憶する。
【0027】
RAM153は、制御部151により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係る各種データ等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0028】
画像メモリ154は、HDD(Hard Disk Drive)、DRAM(Dynamic RAM)等により構成され、画像データを読み書き可能に記憶する。画像メモリ154は、制御部151からの指示により、画像読取部110又はプリンタコントローラ140から入力された画像データを記憶して保存したり、画像メモリ154に記憶されている画像データを読み出して画像処理部155に出力したりする。
【0029】
画像処理部155は、画像読取部110、プリンタコントローラ140又は画像メモリ154から入力された画像データにスクリーン処理等の各種画像処理を施して制御部151又は画像メモリ154に出力する。画像処理部155は、例えば、画像読取部110から入力されたアナログの画像信号をデジタルの画像データに変換したり、デジタルの画像データを圧縮して画像メモリ154に出力したり、圧縮画像データを伸長して出力したりする。
【0030】
画像読取部110は、原稿自動送り部、読取部、画像読取制御部等から構成される。画像読取制御部は、原稿自動送り部、読取部等を制御して、原稿面の露光走査を実行させ、光の反射光をイメージセンサにより光電変換を行わせて画像を読み取る。画像読取部110は、読み取った画像を画像信号に変換し、画像処理部155に出力する。
【0031】
プリント部120は、画像形成ユニット121、転写ユニット122、紙除電装置123等のプリント出力に係る各部やプリント制御部を備えて構成される。プリント制御部は、制御部151からの指示に従ってプリント部120の各部の動作を制御し、画像処理部155から入力された画像データに基づいて画像形成を行わせる。紙除電装置123は、除電用高圧電源123a、ローラ回転駆動モータ123b及び除電極移動モータ123cを備えている。プリント部120の各部構成の詳細については後述する。
【0032】
操作表示部130は、LCD、タッチパネル、各種操作キー群、操作表示制御部を備えて構成される。操作表示制御部は、制御部151から入力される表示信号に従って、各種設定条件を入力するための各種画面や各種処理結果等をLCDに表示させる。また、操作表示制御部は、各種操作キー群又はタッチパネルから入力される操作信号を制御部151に出力する。
【0033】
プリンタコントローラ140は、画像形成装置100をネットワークプリンタとして使用する場合に、LAN(Local Area Network)等のネットワークNに接続されるパーソナルコンピュータ等の外部装置PCから画像形成装置100に送信されるジョブの管理及び制御を行う。プリンタコントローラ140は、外部装置PCからプリント対象のデータを受信し、当該データをジョブ情報として制御部151に出力する。
【0034】
次に、図2を参照して、プリント部120の各部構成について説明する。
プリント部120は、図2に示すように、上述した画像形成ユニット121、転写ユニット122、紙除電装置123の他、給紙カセット9、給紙搬送路90、転写搬送路5、定着装置8、ゲート91、両面搬送路92、反転搬送路93及び再給紙搬送路94を備えている。
【0035】
画像形成ユニット121は、像担持体としての感光体ドラム1、メインチャージャ2、LED(Light Emitting Diode)光源の画像書込み装置3、二成分現像方式の現像装置4及び感光体ドラム1を清掃するクリーニング装置7を備えている。感光体ドラム1は、負帯電のOPC(Organic Photo Conductor)感光体により構成されている。
【0036】
画像形成ユニット121は、先ず、感光体ドラム1を回転させ、メインチャージャ2によって感光体ドラム1を帯電させる。続いて、画像形成ユニット121は、画像書込み装置3によって感光体ドラム1の帯電部分に露光走査を行い、静電潜像を形成する。画像形成ユニット121は、現像装置4により、感光体ドラム1の潜像部分にトナー材を付着させてトナー像による現像を行う。すなわち、感光体ドラム1は、トナー像を担持する。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、感光体ドラム1の回転によって転写ユニット122に向けて搬送される。感光体ドラム1上のトナー像は、後述するように、転写ユニット122によって用紙に転写される。用紙に転写されずに感光体ドラム1上に残存したトナーは、クリーニング装置7によって除去される。
【0037】
転写ユニット122は、感光体ドラム1上に形成されたトナー像を用紙に転写するとともに、転写後の用紙を定着装置8に搬送するための転写ベルト6を備えている。
【0038】
転写ベルト6は、2つの支持ローラ61,62の間に張架され、支持ローラ61,62の間で、転写ベルト6の内周側に設けられる転写ローラ63により感光体ドラム1に圧接されている。この圧接部分によりニップ部が形成される。転写ベルト6は、半導電性のベルト基材と、表層として設けられた体積抵抗率が1×1011Ωcm以上の絶縁層の2層からなる構造であり、全体的には1×10Ωcmから1×1011Ωcmの体積抵抗値を有するものである。
【0039】
用紙Pは、給紙カセット9に収納されており、給紙搬送路90を通って転写搬送路5に供給される。用紙Pは、転写搬送路5から転写ベルト6に給送されると、感光体ドラム1と転写ローラ63とによって形成されたニップ部において、感光体ドラム1に形成されたトナー像が転写される。より具体的には、転写ローラ63に接続された転写バイアス電源により、転写ローラ63を介して用紙Pに転写バイアスが印加されることにより用紙Pが帯電される。帯電した用紙Pは、ニップ部において接触したトナー像を静電転写により吸着する。帯電した用紙Pは、感光体ドラム1による曲率分離、及び、転写ベルト6による静電吸着力によって感光体ドラム1から分離されるとともに、転写ベルト6に静電吸着されながら搬送される。転写ベルト6によって搬送された用紙Pは、支持ローラ62による曲率分離によって転写ベルト6から分離される。転写ベルト6の下流には定着装置8が設けられており、定着装置8は、用紙Pに転写されたトナー像を定着する。定着装置8の下流には、ゲート91が設けられている。ゲート91は、外部に用紙を排出する場合と両面印刷のための両面搬送路92に用紙を給送する場合とで位置の切り替えを行う。両面搬送路92に給送された用紙は、一旦、反転搬送路93に進み、ここで表裏反転されて再給紙搬送路94から転写搬送路5に合流し、転写位置に送られる。
【0040】
紙除電装置123は、支持ローラ62の上部に設けられている。
ここで、図3を参照して、紙除電装置123の各部構成について説明する。
【0041】
紙除電装置123は、図3に示すように、除電極201と、支持体202と、一対の清掃ローラ203と、一対のサイドプレート204とを備えており、転写ベルト6の上面に向けてコロナ放電が行われるように構成されている。
【0042】
除電極201は、奥行き方向、すなわち、用紙の搬送方向とは垂直方向に延びた板状の平板部の下端に、図示しない無数の針状突起が一体となって形成されている。除電極201は、例えば、0.1mm厚のSUS板をエッチング処理することにより、針状突起が一定間隔にて配置されるように形成される。除電極201に適用される材料は、これに限定されず、コロナ放電を行うことが可能なものであれば他の材料によっても適用可能である。針状突起の間隔は、例えば、1〜5mm程度とするが、適宜設定することができる。除電極201は、除電用高圧電源123aに接続されている。制御部151は、除電用高圧電源123aに制御信号を出力する。除電用高圧電源123aは、制御部151からの制御信号に応じて、除電極201に対して電源を印加する。除電極201は、除電用高圧電源123aにより電源が印加されると、転写ベルト6に向けて針状突起よりコロナ放電を行う。除電極201に印加される電源電圧は、転写ローラ63によって用紙に印加される転写バイアスとは逆極性の直流電圧あるいは同直流電圧に交流電圧を重畳した電圧である。これにより、転写ベルト6上を搬送する用紙に対して、コロナ放電が行われると、用紙の転写ベルト6への吸着力が弱まり、支持ローラ62による用紙の曲率分離が容易となる。
【0043】
支持体202は、平面の短辺が底面の短辺よりも大きい台形柱状に形成されている。すなわち、支持体202は、両側面が、上端から下端にかけて傾斜をなしている。支持体202は、除電極201の平板部の上端部を底面部にて固着し、除電極201を支持する。
【0044】
清掃ローラ203は、奥行き方向、すなわち、除電極201の長手方向に延びたローラ軸203aを備え、ローラ軸203aを回転軸として回転可能に構成されている。清掃ローラ203の軸方向の長さは、除電極201の平板部の長辺の長さ以上となっている。ローラ軸203aは、ローラ回転駆動モータ123bに接続されている。従って、清掃ローラ203は、ローラ回転駆動モータ123bの駆動により回転する。清掃ローラ203は、例えば、公知の方法により発泡処理が施された樹脂であり、本実施の形態では、発泡ポリウレタンを使用している。なお、清掃ローラ203に適用する材料は、上述したものに限定されず、発泡処理が施された金属やゴムであってもよい。また、清掃ローラ203の外周面にのみ発泡材料によって形成されたものであってもよい。このように、少なくとも発泡材料を外周面に露出させると、除電極201に付着した異物を効果的に掻き落とすことができ、清掃効果が高くなる。また、発泡処理が施された材料に限定されず、ソリッドなものであってもよい。この場合、除電極201に付着した異物の除去を容易にするため、外周面を粗面加工するのが好ましい。清掃ローラ203の外周面は、上述した発泡処理あるいは粗面加工により表面粗さが5μmよりも大きいことがより好ましい。
一対の清掃ローラ203は、例えば、ばね等の付勢部材により、互いに対向する方向に付勢されている。
【0045】
サイドプレート204は、除電極201の用紙の搬送方向の前後にそれぞれ所定間隔あけて配置され、除電極201による放電の安定化を行う。なお、サイドプレート204を備えない構成であってもよい。
【0046】
除電極201が固着された支持体202及びサイドプレート204は、所定のリンク機構を介して除電極移動モータ123cに接続されており、一体的に上下移動されるように構成されている。
【0047】
ここで、紙除電装置123の具体的動作について、図4及び図5を参照して説明する。
図4(A)は、用紙に対してコロナ放電を行う位置である放電位置を示している。図4(B)は、除電極201が転写ベルト6から退避された位置である退避位置を示している。これらの位置を側面から見た図を、それぞれ図5(A)及び図5(B)に示す。
【0048】
放電位置では、図4(A)及び図5(A)に示すように、一対の清掃ローラ203が付勢されて支持体202の側面の上端部近傍を押圧する。このとき、一対の清掃ローラ203は、回転駆動されず、停止状態である。除電極201は、その先端部分が転写ベルト6の上面に向けて露出される。除電極201は、この放電位置で、転写ベルト6上を搬送される用紙に対してコロナ放電を行う。なお、清掃ローラ203は、放電位置において回転していてもよい。
【0049】
一方、退避位置では、図4(B)及び図5(B)に示すように、除電極201及びサイドプレート204の位置が放電位置における位置よりも上方となる。このとき、一対の清掃ローラ203は、上述したように、互いに対向する方向に付勢されているため、除電極201の先端部分をそれぞれ圧接しながら挟持する。清掃ローラ203は、除電極201を圧接したときに、その圧接力によって圧接部分が弾性変形し、ニップ部NPを形成する。すなわち、除電極201は、一対の清掃ローラ203によって形成されたニップ部NPにより、その先端部が被覆される。これにより、例えば、感光体ドラム1や用紙等から飛散するトナー材等の異物の除電極201への付着が防止される。なお、除電極201は、退避位置において、ニップ部NPよりも上方に位置するようにしてもよい。
また、退避位置において、一対の清掃ローラ203は、回転駆動されず、停止状態である。なお、退避位置において、一対の清掃ローラ203を、ローラ回転駆動モータ123bの駆動によって、それぞれ矢印R方向に回転させるようにしてもよい。すなわち、一対の清掃ローラ203を、除電極201が放電する方向にそれぞれ回転させるようにしてもよい。これにより、清掃ローラ203に除電極201が突き刺さるのを防止することができる。さらに、外周面にて除電極201に付着した異物を容易に除去することができる。また、退避位置に変換されたときに、清掃ローラ203の回転を所定時間だけ行うようにしてもよい。また、退避位置において、清掃ローラ203の所定時間の回転を断続的に行うようにしてもよい。
【0050】
紙除電装置123は、放電位置と退避位置とを以下のようにして変換することができる。
【0051】
すなわち、紙除電装置123は、退避位置から放電位置に変換する場合には、除電極移動モータ123cを駆動して、除電極201を、図4(B)及び図5(B)に示す位置から矢印D1方向に沿って、図4(A)及び図5(A)に示す位置まで移動させる。サイドプレート204も、除電極201とともに、矢印D1方向に沿って移動する。
【0052】
また、紙除電装置123は、除電極201の下方への移動に伴い、ローラ回転駆動モータ123bを駆動して一対の清掃ローラ203を矢印R方向に回転させる。
【0053】
このとき、清掃ローラ203に除電極201が突き刺さるのを防止するために、清掃ローラ203の周速度が除電極201の移動速度よりも早くなるように、清掃ローラ203が回転制御される。ここで、清掃ローラ203の周速度Vr[mm/s]は下記式(1)によって表すことができる。下記式(1)において、rは清掃ローラ203の半径[mm]を表し、Rは清掃ローラ203の回転数[rpm]を表し、Δrは清掃ローラ203のつぶれ量[mm]を表す。
Vr=2π×(r−Δr)×R/60・・・(1)
清掃ローラ203のつぶれ量Δrは、図6に示すように、一対の清掃ローラ203が除電極201に対して押圧したときに形成されるニップ部NPにおけるつぶれ量を示す。なお、図6においては、清掃ローラ203につぶれ部分が形成されていない場合の状態を仮想的に鎖線にて示している。
清掃ローラ203の周速度Vrは、上述のようにして求められるため、除電極201の移動速度Vc[mm/s]は以下の式(2)によって表される。
Vc<Vr=2π×(r−Δr)×R/60・・・(2)
例えば、清掃ローラ203の半径rが8mm、清掃ローラ203のつぶれ量Δrが1mm、清掃ローラ203の回転数Rが30rpmである場合、清掃ローラ203の周速度Vrは、21.991149mm/sとなる。従って、除電極201の移動速度Vcは、21mm/s以下であるのが好ましい。
【0054】
また、一対の清掃ローラ203は、除電極201が矢印D1方向に沿って下方に移動し、支持体202に当接すると、支持体202の側面にガイドされながら矢印D2方向に沿って互いに離間する方向に移動される。
【0055】
紙除電装置123は、以上のように構成されているので、退避位置から放電位置に変換されたときには、清掃ローラ203によって除電極201の先端部分が清掃され、異物が除去された状態で用紙の除電を行うことができるので、放電ムラが発生しない状態を長期的に維持することができ、用紙の分離性能の耐久性を向上させることができる。
【0056】
一方、紙除電装置123は、放電位置から退避位置に変換する場合には、除電極移動モータ123cを駆動して、除電極201を、図4(A)及び図5(A)に示す位置から矢印D1方向に沿って、図4(B)及び図5(B)に示す位置まで移動させる。サイドプレート204も、除電極201とともに、矢印D1方向に沿って移動する。
【0057】
また、紙除電装置123は、除電極201の上方への移動に伴い、ローラ回転駆動モータ123bを駆動して一対の清掃ローラ203を矢印R方向に回転させる。なお、このとき、清掃ローラ203の回転方向を矢印R方向とは逆方向としてもよいが、清掃ローラ203に除電極201が突き刺さらないように、清掃ローラ203の周速度を除電極201の移動速度よりも遅くするのが好ましい。また、紙除電装置123は、放電位置から退避位置への変換において、清掃ローラ203を回転させないようにしてもよい。
【0058】
また、一対の清掃ローラ203は、除電極201が矢印D1方向に沿って上方に移動すると、支持体202の側面にガイドされながら矢印D2方向に沿って互いに近接する方向に移動される。
【0059】
以上のようにして構成された画像形成装置100において実行されるベルト分離制御処理について、図7を参照しながら説明する。このベルト分離制御処理は、例えば、プリンタコントローラ140から出力されたジョブ情報が制御部151に入力された場合や、操作表示部130によってコピージョブ開始指示の操作を受け付けたときに実行される処理である。
【0060】
先ず、制御部151は、プリントを実施する用紙の種類を判定する(ステップS101)。具体的には、制御部151は、給紙カセット9に収納された用紙Pの紙種及び坪量を示す情報をRAM153に予め記憶しておく。なお、用紙の紙種及び坪量を特定可能な用紙の銘柄を示す情報を予めRAM153に記憶するようにしてもよい。制御部151は、以上のようにしてRAM153に記憶されている用紙の紙種及び坪量を示す情報を読み出す。
【0061】
次に、制御部151は、読み出した紙種及び坪量を示す情報から、転写ベルト6からの用紙の分離の際に用紙の除電が必要か否かを判定する(ステップS102)。具体的には、制御部151は、不揮発メモリ152に記憶された、図8に示されるような、放電実施判定テーブルを参照する。本実施の形態では、紙種が塗工紙、追い刷り紙、上質紙、普通紙、書籍用紙、ラフ紙であって、坪量が40〜74g/mである場合には、除電を行うように判定され、75〜350g/mである場合には、除電を行わないように判定されるように放電実施判定テーブルが構成されている。なお、除電を行うと判定される紙種及び坪量については、用紙の性質や画像形成装置の特性等に応じて適宜設定することができる。また、ユーザによって除電を行うと判定される紙種及び坪量について、設定できるようにしてもよい。ここで、カールが大きい厚紙等の場合には、除電極201やサイドプレート204が用紙に干渉する可能性が高いため、除電を行うと判定されるように設定できないようにするのが好ましい。
【0062】
制御部151は、用紙の除電が必要と判定したときは(ステップS102:Y)、上述したように、紙除電装置123を制御して、清掃ローラ203を回転させながら、退避位置から放電位置に変換する(ステップS103)。
【0063】
制御部151は、転写ベルト6によって搬送された用紙が支持ローラ62の上部に到達するタイミング、すなわち、用紙を転写ベルト6から分離させる分離位置に到達するタイミングで除電極201によるコロナ放電を実施する(ステップS104)。
【0064】
次に、制御部151は、定期清掃を実施する時期となったか否かを判定する(ステップS105)。具体的には、制御部151は、前回の定期清掃の実施から、放電位置から退避位置に変換されることなく連続して5000回の放電が行われたか否かを判定する。なお、定期清掃を実施するタイミングは任意に設定することができる。
【0065】
制御部151は、定期清掃を実施する時期となったと判定したときは(ステップS105:Y)、実行中のジョブを中断し(ステップS106)、上述したように、紙除電装置123を制御して、清掃ローラ203を回転させながら、放電位置から退避位置に変換する(ステップS107)。
【0066】
その後、制御部151は、紙除電装置123を制御して、再度、清掃ローラ203を回転させながら、退避位置から放電位置に変換し(ステップS108)、ジョブを再開する(ステップS109)。
【0067】
一方、制御部151は、ステップS105において、定期清掃を実施する時期となったと判定しないときは(ステップS105:N)、ステップS106〜ステップS109の処理を実施することなく、ステップS110の処理を実行する。
【0068】
制御部151は、ステップS110において、プリントを行うためのジョブが終了したか否かを判定する(ステップS110)。すなわち、制御部151は、当該実行中のジョブにおいて、全てのページの出力が完了したか否かを判定する。
【0069】
制御部151は、ジョブが終了したと判定したときは(ステップS110:Y)、紙除電装置123を制御して、清掃ローラ203を回転させながら、放電位置から退避位置に変換し(ステップS111)、この処理を終了する。一方、制御部151は、ジョブが終了したと判定しないときは(ステップS110:N)、紙除電装置123を放電位置としたまま、次に搬送される用紙に対する除電を行うために、ステップS104の処理を実行する。
【0070】
また、制御部151は、ステップS102において、用紙の除電が必要と判定しないときは(ステップS102:N)、紙除電装置123を退避位置としたまま、ジョブを実施し(ステップS112)、この処理を終了する。
【0071】
このように、本実施の形態では、薄紙等の剛性の小さい紙を通紙する場合に、紙除電装置123を退避位置から放電位置に変換して用紙の除電を行うことで、用紙の転写ベルト6からの分離性を確保することができる。一方、厚紙等の剛性の大きい紙を通紙する場合には、紙除電装置123を退避位置にして、除電極201を転写ベルト6から退避させ、一対の清掃ローラ203によって形成されたニップ部NPによって被覆することにより、除電極201への飛散トナー等の異物の付着を防止することができる。
【0072】
また、定期的に除電極201を清掃することで、長期間の用紙に対する除電処理が行われた場合でも、異物の除電極201への付着による放電ムラの防止を維持することができ、耐久的な用紙の分離性を確保することができる。
【0073】
また、通紙を行う用紙に応じて紙除電装置123の位置を変換するので、紙除電装置123を効率よく動作させることができる。
【実施例1】
【0074】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0075】
[実施例1]
実施例1として、上述した本実施の形態における画像形成装置100にて、初期状態(例えば、工場出荷時)における転写ベルト6からの用紙の分離性について評価した。また、転写ベルト6からの分離性が良好でない薄紙と、転写ベルト6からの分離性の良好な用紙とを交互に通紙し、耐久後(例えば、100万回通紙後)における転写ベルト6からの用紙の分離性についても評価した。
【0076】
[比較例1]
比較例1として、上述した紙除電装置123を備えていない画像形成装置にて、実施例1と同様の条件にて、初期状態及び耐久後における転写ベルトからの用紙の分離性について評価した。
【0077】
[比較例2]
比較例2として、上述した紙除電装置123のうち、除電極のみが設けられ、除電極を清掃するための清掃装置や清掃制御を行う構成を備えていない画像形成装置にて、実施例1と同様の条件にて、初期状態及び耐久後における転写ベルトからの用紙の分離性について評価した。
【0078】
[結果]
実施例1、比較例1及び比較例2の各評価結果を図9に示す。
実施例1では、転写ベルト6によって転写される用紙に対する除電の実施に応じて、紙除電装置123が退避位置と放電位置とに変位し、これに伴って、除電極201が清掃ローラ203によって清掃されるため、初期状態はもちろん、耐久後においても除電極201からの放電ムラがほとんどなく、良好な用紙の分離性が得られることがわかった。
【0079】
一方、比較例1では、紙除電装置を備えていないため、用紙によっては、初期状態から良好な用紙の分離性を得ることができない。
また、比較例2では、初期状態においては、良好な用紙の分離性を得ることができるが、耐久後においては、除電極の先端部分にトナー材等の異物が付着することにより放電ムラが生じ、良好な用紙の分離性を得ることができなくなることがわかった。
【0080】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、転写ベルト6は、トナー像が転写された用紙を静電吸着により搬送する。紙除電装置123は、転写ベルト6から用紙を分離させる分離位置に向けて放電し、用紙の除電を行う。紙除電装置123は、用紙の搬送方向とは垂直方向に延びた、コロナ放電を行うための板状の除電極201を備える。紙除電装置123は、除電極201の長手方向を軸方向として延設し、除電極201の長手方向の先端部の長さ以上の長さである一対の清掃ローラ203を備える。紙除電装置123は、一対の清掃ローラ203にて除電極201を挟持しながら除電極201と一対の清掃ローラ203とを相対的に摺動させて、除電極201によるコロナ放電を行うために除電極201の先端部を分離位置に向けて露出させる放電位置と、一対の清掃ローラ203によって除電極201の先端部が挟持される位置又は該位置よりも除電極201の先端部が分離位置よりも退避された位置である退避位置とに変換する除電極移動モータ123cを備える。紙除電装置123は、退避位置から放電位置への変換において、一対の清掃ローラ203を除電極201の放電する方向にそれぞれ回転させるローラ回転駆動モータ123bを備える。その結果、転写ベルトからの分離が良好でない用紙に対して効果的に除電を行うことができるので、用紙の分離性能に優れる。また、清掃ローラにて除電極が挟持されながら摺動されることにより、清掃ローラにより除電極が清掃され、異物が除去された状態で用紙の除電を行うことができるので、放電ムラが発生しない状態を長期的に維持することができ、用紙の分離性能の耐久性を向上させることができる。また、退避位置から放電位置への変換において、清掃ローラを除電極の放電する方向に回転させるので、除電極と清掃ローラとの相対的移動時において除電極が清掃ローラに突き刺さることがなく、破損のおそれがない。
【0081】
また、本発明の実施の形態によれば、ローラ回転駆動モータ123bは、退避位置から放電位置への変換において、一対の清掃ローラ203のそれぞれの回転時の周速度を、除電極201と一対の清掃ローラ203との相対移動速度よりも大きくして一対の清掃ローラ203を回転させる。その結果、退避位置から放電位置に変換される際に、清掃ローラに除電極が突き刺さるのをより確実に防止することができる。
【0082】
また、本発明の実施の形態によれば、ローラ回転駆動モータ123bは、放電位置から退避位置への変換において、一対の清掃ローラ203をそれぞれ回転させる。その結果、除電極に付着した異物をより確実に除去することができるようになる。
【0083】
また、本発明の実施の形態によれば、一対の清掃ローラ203は、退避位置において互いに圧接してニップ部NPを形成する。一対の清掃ローラ203は、ニップ部NPにて除電極201の先端部を被覆する。その結果、退避位置において、除電極に飛散する異物の付着を防止することができ、異物の付着による放電ムラの発生を継続的に抑制することができる。
【0084】
また、本発明の実施の形態によれば、ローラ回転駆動モータ123bは、退避位置において、一対の清掃ローラ203を除電極201の放電する方向にそれぞれ回転させる。その結果、退避位置においても、除電極に付着した異物をより確実に除去することができるようになる。
【0085】
また、本発明の実施の形態によれば、除電極移動モータ123cは、放電位置とした後、所定期間が経過する毎に、放電位置と退避位置とを往復させる。その結果、定期的に除電極が清掃されるので、長期間の用紙に対する除電処理が行われた場合でも、異物の除電極への付着による放電ムラの防止を維持することができ、耐久的な用紙の分離性を確保することができる。
【0086】
また、本発明の実施の形態によれば、制御部151は、転写ベルト6から分離させる用紙の種類に応じて放電を行うか否かを判定する。制御部151は、放電を行うと判定したときに、除電極移動モータ123cによって退避位置から放電位置に変換させる。その結果、効率よく位置変換を行うことができるようになる。
【0087】
また、本発明の実施の形態によれば、清掃ローラ203は、外周面を粗面としたので、除電極に付着した異物をより確実に除去することができるようになる。
【0088】
また、本発明の実施の形態によれば、清掃ローラ203は、少なくとも外周面を発泡材料にて形成したので、清掃ローラの形成を容易に行うことができるようになる。
【0089】
なお、本発明の実施の形態における記述は、本発明に係る画像形成装置の一例であり、これに限定されるものではない。画像形成装置を構成する各機能部の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0090】
また、本発明の実施の形態では、退避位置と放電位置との変換において、清掃ローラを上下方向に移動させず、除電極を上下方向に移動させることで、清掃ローラと除電極とを相対的に移動させるようにしたが、除電極を移動させず、清掃ローラを移動させる構成としてもよい。また、除電極及び清掃ローラを移動させる構成としてもよい。
【0091】
また、本発明の実施の形態では、転写ベルトにて用紙を搬送しながら、像担持体から用紙にトナー像を転写するように構成したが、像担持体から用紙にトナー像を転写した後に、搬送ベルトによって用紙を搬送するように構成されたものであっても本発明を適用することができる。
【0092】
また、本発明の実施の形態では、単色の画像形成装置を例に説明したが、CMYKの4色のトナー材によって画像形成を行うカラー画像形成装置についても本発明を適用することができる。
【0093】
また、本発明の実施の形態では、定期清掃を実施する場合に、実行中のジョブを中断させるようにしたが、ジョブを中断することなく定期清掃を実施するようにしてもよい。
また、定期清掃を行わない構成としてもよい。
【0094】
また、本発明の実施の形態では、用紙の種類に応じて、用紙への除電を実施するか否かを判定するようにしたが、用紙の種類にかかわらず、用紙への除電を実施するようにしてもよい。
【0095】
また、本実施の形態では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリ等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も適用される。
【符号の説明】
【0096】
100 画像形成装置
6 転写ベルト
123 紙除電装置
123a 除電用高圧電源
123b ローラ回転駆動モータ
123c 除電極移動モータ
151 制御部
201 除電極
203 清掃ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が転写された用紙を静電吸着により搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトから用紙を分離させる分離位置に向けて放電し、用紙の除電を行う除電部と、
を備え、
前記除電部は、用紙の搬送方向とは垂直方向に延びた、コロナ放電を行うための板状の電極、前記電極の長手方向を軸方向として延設し、前記電極の長手方向の先端部の長さ以上の長さである一対の清掃ローラ、前記一対の清掃ローラにて前記電極を挟持しながら前記電極と前記一対の清掃ローラとを相対的に摺動させて、前記電極によるコロナ放電を行うために前記電極の先端部を前記分離位置に向けて露出させる放電位置と、前記一対の清掃ローラによって前記電極の先端部が挟持される位置又は該位置よりも前記電極の先端部が前記分離位置よりも退避された位置である退避位置とに変換する位置変換部、及び、前記退避位置から前記放電位置への変換において、前記一対の清掃ローラを前記電極の放電する方向にそれぞれ回転させる回転駆動部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記回転駆動部は、前記退避位置から前記放電位置への変換において、前記一対の清掃ローラのそれぞれの回転時の周速度を、前記電極と前記一対の清掃ローラとの相対移動速度よりも大きくして前記一対の清掃ローラを回転させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回転駆動部は、前記放電位置から前記退避位置への変換において、前記一対の清掃ローラをそれぞれ回転させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記一対の清掃ローラは、前記退避位置において互いに圧接してニップ部を形成し、該ニップ部にて前記電極の先端部を被覆することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回転駆動部は、前記退避位置において、前記一対の清掃ローラを前記電極の放電する方向にそれぞれ回転させることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記位置変換部は、前記放電位置とした後、所定期間が経過する毎に、前記放電位置と前記退避位置とを往復させることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送ベルトから分離させる用紙の種類に応じて放電を行うか否かを判定し、放電を行うと判定したときに、前記位置変換部によって前記退避位置から前記放電位置に変換させる制御部を備えたことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記清掃ローラは、外周面を粗面としたことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記清掃ローラは、少なくとも外周面を発泡材料にて形成したことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−203058(P2012−203058A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65195(P2011−65195)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】