説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において、記録媒体がカールして上向きに搬送され、プリントヘッドなどに触れることで画質が劣化することを防止する。
【解決手段】画像形成装置において、記録媒体Pがカールして上向きに搬送された時に、空気吹き出し口58から吹き出した気体によって前記記録媒体Pの記録面側を前記プラテン20側に押し下げることで、画質を損なうことを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載されているように、インクを吸収して排出ローラーから上向きにカールしつつ排出された記録媒体をスターホイールにより押し下げる構造を備えたインクジェットプリンターが知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−129910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェットプリンターでは、前記記録媒体の記録面にスターホイールが触れ、記録媒体の記録面に付着したインクを剥がしてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係る画像形成装置は、空気取り入れ口と、空気吹き出し口と、前記空気取り入れ口と前記空気吹き出し口とを接続する送風管と、を有する送風手段を供え、前記空気吹き出し口が前記空気吹き出し口から吹き出した気体によって前記記録媒体の記録面側から前記プラテン側に押し下げる向きに設置されていることを特徴とする。
【0007】
本適用例によれば、前記記録媒体の記録面を前記気体により押し下げるため、前記記録媒体の記録面に傷がつくことを防止することができる。従って、より高画質な画像形成装置を提供することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に記載の画像形成装置は、前記気体が前記記録媒体の搬送方向下流側に向くように前記空気吹き出し口が設置されていることが好ましい。
【0009】
本適用例によれば、プリントヘッドに前記気体が触れることを避けることができ、インク吐出の乱れを防止することが可能となり、これによって、より高画質な画像形成装置を提供することができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に記載の画像形成装置は、前記送風手段は、吸引管と、前記空気取り入れ口および前記吸引管から前記気体を取り入れるポンプを有しており、前記プラテンは、前記吸引管と接続された吸着口を有しており、前記ポンプによって前記吸着口から前記記録媒体を吸着することが好ましい。
【0011】
本適用例によれば、前記プラテンから前記記録媒体を吸着することで、前記記録媒体がカールしてプリントヘッドに触れることを避けることができ、画質の劣化を避けることが可能となる。また、前記吸着口からの吸引と、前記空気取り入れ口からの気体の取り込みを、前記送風手段の前記ポンプで兼ねることができるため、装置構成を簡略化するとともに装置コストを低減することが可能になる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に記載の画像形成装置は、前記送風手段は、前記送風管に設置された熱源をさらに有しており、前記気体は、前記空気吹き出し口から吹き出される前に、前記熱源により温められることが好ましい。
【0013】
本適用例によれば、前記気体が暖められた気体であるため、印字後のインクの乾燥を促進することができ、連続して印字した場合などで印字後に重ねた場合でも画質の劣化を防止することが可能となる。これによって、印字が終わる毎に印字物を取り除く必要がなく、より利便性の向上した画像形成装置を提供することができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例に記載の画像形成装置は、前記熱源が前記記録媒体を暖める熱源を兼ねることが好ましい。
【0015】
本適用例によれば、前記熱源は前記気体を温めるために新たに設置する必要はなく、前記記録媒体を温めるための熱源を兼ねることができる。これによって、小型の画像形成装置を提供する事ができる。
【0016】
[適用例6]上記適用例に記載の画像形成装置は、画像形成装置を駆動するための電気基板を有しており、前記空気取り入れ口が前記電気基板の近傍に設置されていることが好ましい。
【0017】
本適用例によれば、前記電気基板から放熱される熱を含んだ気体を前記空気取り入れ口から吸引することにより、前記電気基板からの放熱効率も上がるだけでなく、前記気体が含んだ熱を前記記録媒体の乾燥を促進させることに使うことによって、より利便性の向上した画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェットプリンターを上面側から観た斜視図。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェットプリンターを横から観た断面図。
【図3】本発明の実施形態2に係るインクジェットプリンターを横から観た断面図。
【図4】本発明の実施形態3に係るインクジェットプリンターを上面側から観た斜視図。
【図5】本発明の実施形態4に係るインクジェットプリンターを上面側から観た斜視図。
【図6】本発明の実施形態5に係るインクジェットプリンターを上面側から観た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
【0020】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るインクジェットプリンター100を上面側から観た斜視図である。図2は、実施形態1に係るインクジェットプリンター100を横から観た断面図である。
まず、実施形態1に係る画像形成装置としてのインクジェットプリンター100の概略構成について説明する。
【0021】
インクジェットプリンター100は、プリントヘッド10、プリントヘッド支持軸15、プラテン20、搬送機構25、送風機構30、フレーム60などから構成されている。
プリントヘッド10は、記録媒体Pの搬送方向Xと交差する方向Yにプリントヘッド支持軸15に沿って往復運動しながらインクを吐出する構造である。
プラテン20は、記録媒体Pが水平に搬送されるための支えである。
搬送機構25は、記録媒体Pを搬送方向に搬送するための構造である。
送風機構30は、空気取り入れ口50と、送風経路としての送風管55と、空気吹き出し口58と、図示しないポンプとを備えている。そして送風機構30は、ポンプを用いて空気取り入れ口50から取り入れた気体は送風管55を経由させて空気吹き出し口58から下向き(記録媒体Pに向かう方向)に吹き出す構造である。なお、空気吹き出し口58は、吹き出した空気が記録媒体PのY方向の略全体に当たるように複数設けられており、送風管55の延設方向に沿って送風管55に配設されている。
【0022】
以上述べたように、本実施形態に係るインクジェットプリンター100によれば、以下の効果を得ることができる。
記録媒体Pを空気吹き出し口58から吹き出した気体によってプラテン20に押さえつけることが可能であるため、スターホイールを用いることなく、インクを吸収し上向きにカールしつつ排出された記録媒体Pがプリントヘッド10やフレーム60に触れ、記録媒体Pに吐出されたインクを剥がしたり、記録媒体Pの記録面に傷をつけ、画質を劣化させたりすることを防止することができる。
【0023】
(実施形態2)
図3は、実施形態2に係るインクジェットプリンター200を横から観た断面図である。
本実施形態に係るインクジェットプリンター200について、この図を参照して説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を使用し、重複する説明は省略する。
【0024】
実施形態2では、空気吹き出し口58から吹き出された気体が記録媒体の搬送方向下流側へ流れるように、空気吹き出し口58を空気吹き出し口58と対向する位置に位置する時の記録媒体Pの法線から傾けて配置している点が実施形態1とは異なる。
【0025】
以上述べたように、本実施形態に係るインクジェットプリンター200によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
空気吹き出し口58から吹き出す気体が、プリントヘッド10のインク吐出口に当たり、プリントヘッド10のインク吐出口のインクを乾燥させ、目詰まりを起こすことを防止できる。更に、空気吹き出し口58から吹き出す気体が、プリントヘッド10のインク吐出口から吐出されるインクに当たることで、吐出されるインクの飛行方向が曲がりインクの着弾位置がずれてしまうことを防止することができる。
【0026】
(実施形態3)
図4は、実施形態3に係るインクジェットプリンター300を上面側から観た斜視図である。
本実施形態に係るインクジェットプリンター300について、この図を参照して説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を使用し、重複する説明は省略する。
【0027】
実施形態3では、プラテン20に吸着口70が設けられており、吸着口70を介して記録媒体を印字面の裏面側から吸引する点が実施形態1とは異なる。
ここで吸着口70は、送風機構30に設けられた吸引管80と、プラテン20の記録媒体Pが支持される面とは反対側の面において接続されており、送風機構30に設けられた図示しないポンプによって、空気取り入れ口50から気体を取り入れるのと同時に吸着口70から記録媒体を吸引する。
【0028】
以上述べたように、本実施形態に係るインクジェットプリンター300によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
記録媒体Pをプラテン20に吸い付けることで、空気吹き出し口58から吹き出す気体で記録媒体Pをプラテン20に押し付けることを補助することができ、インクを吸収し上向きにカールしつつ排出された記録媒体Pがプリントヘッド10やフレーム60に触れ、記録媒体Pに吐出されたインクを剥がしたり、記録媒体Pの記録面に傷をつけ、画質を劣化させたりすることを防止することができる。
【0029】
(実施形態4)
図5は、実施形態4に係るインクジェットプリンター400を上面側から観た斜視図である。
以下、実施形態4に係るインクジェットプリンター400について説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
【0030】
実施形態4では、送風管55の途中にヒーター35を配置している点が実施形態1とは異なる。
【0031】
実施形態4に係るインクジェットプリンター400によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。すなわち、空気吹き出し口58から吹き出す気体が、空気吹き出し口58から吹き出される前に送風管55に設けられたヒーター35により暖められ、記録媒体Pの記録面に向けて吹き付けられることにより、記録媒体Pに吐出されたインクの乾燥を促進させることができる。
【0032】
(実施形態5)
図6は実施形態5に係るインクジェットプリンター500を上面側から観た斜視図である。以下、実施形態5に係るインクジェットプリンター500について説明する。なお、実施形態1と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
【0033】
実施形態5では、空気吹き出し口58から吹き出すために吸引する空気取り入れ口が、インクジェットプリンター500を駆動するための電気基板40の近傍に配置されている点が実施形態4とは異なる。
本実施形態では、電気基板40の近傍に送風機構30と吸引管80によって連結された空気取入れ部90を設け、空気取入れ部90の電気基板40と対向する側に図示しない空気取り入れ口(前述までの実施形態における空気取り入れ口50に相当する。)が設けられている。
【0034】
実施形態5に係るインクジェットプリンター500によれば、実施形態1での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。すなわち、空気取り入れ口50によって電気基板40で発生した熱を吸引することで電気基板40の放熱を促進するとともに、空気取り入れ口50から吸引した熱を空気吹き出し口58から放出することで記録媒体Pに吐出されたインクの乾燥を促進させることができる。
【0035】
その他、上記実施形態では、記録媒体が単票紙で、記録媒体に対してプリントヘッドを移動する動作(主走査)と、記録媒体をプリントヘッドの移動方向と交差する方向に搬送する動作(副走査)とを繰り返すプリンターを採用したが、これに限られることなく、連続紙に印刷を行う、所謂ラージフォーマットプリンターや、記録媒体の幅方向に亘って複数のノズルが配列されたライン型プリントヘッドを備え、紙幅方向と交差する方向に記録媒体を搬送させつつ、ライン型プリントヘッドの下を通過する際に複数のノズルから記録媒体へインクを吐出することによって画像を形成する、所謂ラインプリンターなど、ドットによって印刷を行うプリンターに適用することが可能である
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、実施形態1乃至5を適宜組み合わせる等のように、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
10…プリントヘッド、7…スターホイール、15…プリントヘッド支持軸、20…プラテン、25…搬送機構、30…送風機構、35…ヒーター、40…電気基板、50…空気取り入れ口、55…送風管、58…空気吹き出し口、60…フレーム、70…吸着口、80…吸引管、90…空気取入れ部、P…記録媒体、X…記録媒体搬送方向、Y…プリントヘッド走査方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の搬送手段と、前記記録媒体を支持するプラテンと、前記記録媒体に画像を形成するプリントヘッドと、を有した画像形成装置において、
空気取り入れ口と、空気吹き出し口と、前記空気取り入れ口と前記空気吹き出し口とを接続する送風管と、を有する送風手段を供え、
前記空気吹き出し口は、前記記録媒体の搬送方向において前記プリントヘッドよりも下流側に配置されており、かつ、前記空気吹き出し口が前記空気吹き出し口から吹き出した気体によって前記記録媒体を該記録媒体の記録面側から前記プラテン側に押し下げる向きに設置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記気体が前記記録媒体の搬送方向下流側に向くように前記空気吹き出し口が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記送風手段は、吸引管と、前記空気取り入れ口および前記吸引管から前記気体を取り入れるポンプを有しており、
前記プラテンは、前記吸引管と接続された吸着口を有しており、前記ポンプによって前記吸着口から前記記録媒体を吸着することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記送風手段は、前記送風管に設置された熱源をさらに有しており、
前記気体は、前記空気吹き出し口から吹き出される前に、前記熱源により温められることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記熱源が前記記録媒体を暖める熱源を兼ねることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置を駆動するための電気基板を有しており、前記空気取り入れ口が前記電気基板の近傍に設置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−206368(P2012−206368A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73587(P2011−73587)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】