説明

画像形成装置

【課題】AC放電電流量を可及的に小さくした場合であっても、砂地状の画像不良などの異常放電による画像不良の発生を抑制することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1の電源S1A及び第2の電源S1Bを制御する制御手段14が、画像形成時に、第2の帯電部材2Bによる感光体1の表面の帯電処理部に到達する感光体1の表面電位を可及的に所定の帯電電位Vdにする直流電圧を第1の帯電部材2Aに印加するように第1の電源S1Aを制御すると共に、所定の帯電電位Vdに相当する直流電圧と、感光体1と第2の帯電部材2Bとの間で放電を発生させる交流電圧とを重畳した振動電圧を第2の帯電部材2Bに印加するように第2の電源S1Bを制御する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、レーザビームプリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、電子写真感光体(感光体)を帯電処理する帯電手段としては一般にスコロトロン帯電器のようなコロナ放電現象を利用した非接触式の帯電方式(以下、「コロナ放電方式」という。)が多用されてきた。又、帯電手段として、帯電部材を感光体に直接接触させるか或いは近接させて、その帯電部材に帯電電圧を印加する帯電方式(以下、「接触帯電方式」という。)が利用されている。
【0003】
接触帯電方式では、例えば、導電性ゴムのローラで形成されたローラ型の帯電部材(帯電ローラ)を、例えばドラム型の感光体(感光ドラム)の表面に接触させ、感光ドラムの回転と共に従動回転させて、帯電ローラの軸となる芯金に電圧を供給する。そして、帯電ローラと感光ドラムとの間に形成されている微小ギャップで生じる放電により、感光ドラムの外周面が一様に帯電処理される。
【0004】
このような接触帯電方式の場合、コロナ放電方式に比べて、放電間隔が狭いためオゾンの発生がほとんどなく、又印加電圧もコロナ放電方式に比べ小さくてすむという利点がある。
【0005】
尚、上述のような接触帯電方式では、高速に回転している感光ドラムに対しては、帯電ローラと感光ドラムとの当接部が不安定となりがちで、そのために帯電ムラが生じ易くなる。そのため、接触帯電方式は、例えば高信頼性が要求され、且つ、コピーボリュームの大きい高速複写機などの高級機種の画像形成装置に採用することが難しい場合があった。
【0006】
これに対して、特許文献1及び2は、感光体の表面の移動方向において上流側と下流側に2個の帯電部材を設けた構成を開示する。具体的には、感光体の移動方向において上流側の帯電部材に直流電圧を印加し、下流側の帯電部材に直流電圧と交流電圧とを重畳した電圧を印加することで、感光体の帯電電位の安定化を図る。
【0007】
ここで、帯電ローラに印加する帯電電圧(帯電バイアス)の違いによる、DC帯電方式とAC帯電方式との2つの帯電方式について説明する。DC帯電方式では、放電開始電圧Vthに、必要とされる感光ドラムの帯電電位(以下、「目標電位」ともいう。)Vdを足した直流(DC)電圧を帯電ローラに印加する。これにより、感光ドラムの表面の帯電処理を行う。例えば、OPC(有機光導電体)感光体に対して帯電ローラを加圧当接させた場合の放電開始電圧Vthの一例は約600Vである。一方、AC帯電方式では、必要とされる感光ドラムの帯電電位(目標電位)Vdに相当する直流(DC)電圧に、放電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧を持つ交流(AC)電圧を重畳した振動電圧を帯電ローラに印加する。これにより、感光ドラムの表面の帯電処理を行う。このように、AC帯電方式で印加する振動電圧は、交流成分と、直流成分(目標電位Vdに相当する電圧)との重畳電圧であり、交流成分の波形としては正弦波・矩形波・三角波などが適宜用いられる。又、この振動電圧は、直流電源を周期的にオン・オフすることによって形成された矩形波電圧であってもよい。AC帯電方式は、環境・耐久変動による電位の変動を改善することを可能とする。
【0008】
DC帯電方式は、AC帯電方式に比べて、一般的に消費電力が少量で、安価であり、装置も小型で省スペース化を図ることができるという利点がある。しかしながら、DC帯電方式は、AC帯電方式に比べて、放電領域(帯電ローラと感光ドラムとの間の放電が生じる領域の面積)が狭く、AC放電電流の均し効果がないために、帯電ローラの微小な電気抵抗値ムラに起因したスジ状の帯電不良が発生し易い。又、DC帯電方式は、AC帯電方式に比べて、感光ドラムの帯電電位Vdの安定性が低くなり易く、環境、材料製造時の電気抵抗の振れ、耐久変動などによって、所望の帯電電位Vdにするために帯電ローラに印加することが必要な電圧が変わる。そのため、狙いの帯電電位Vdに制御することが難しくなることがある。これに対して、感光ドラムの表面電位を常に測定する電位センサを感光ドラムの近傍に設置し、測定した電位に基づいて帯電ローラに印加する帯電電圧を設定する方法が知られている。しかし、この方法では、電位センサを設置するスペースが必要であり、コストも高くなり易い。
【0009】
一方、AC帯電方式は、均一な帯電(除電)処理をすることが可能であり、高画質化に対して有効である(特許文献3)。又、帯電ローラに印加する帯電電圧の交流成分が放電する条件(放電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧)であれば、帯電処理後の感光ドラムの表面電位が、帯電ローラに印加する帯電電圧の直流成分と同電位に収束するという特性がある。そのため、AC帯電方式では、上述のような電位センサが不要となる。しかしながら、AC帯電方式は、DC帯電方式に比べて、放電電流量が多くなり、感光ドラムの劣化を促進すると共に、放電生成物に起因する「画像流れ」といわれる画像不良が発生し易い。この「画像流れ」を改善するためには、帯電ローラに印加する帯電電圧の交流成分のピーク間電圧を必要最小限とすることにより、AC放電の発生を最小限とすることが有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−272194号公報
【特許文献2】特開2001−312125号公報
【特許文献3】特開昭63−149669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、AC帯電方式では、帯電電圧の交流成分のピーク間電圧を必要最小限とすることによって、「画像流れ」を改善することが可能となる。
【0012】
しかしながら、帯電電圧の交流成分のピーク間電圧を小さくすると、帯電ローラと感光ドラムとの間に流れるAC放電電流量は減るが、放電が不安定となり易くなる。そのため、局所的に過剰に放電(異常放電)することに起因する、「砂地」といわれる画像不良が発生し易くなる。異常放電によって、感光ドラムが局所的に異常な高電位となり、その部分にはトナーが付着しなくなるため、画像を出力した際に砂地状の画像不良となる。
【0013】
従って、本発明の目的は、AC放電電流量を可及的に小さくした場合であっても、砂地状の画像不良などの異常放電による画像不良の発生を抑制することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、静電像が形成される感光体と、移動する前記感光体の表面の帯電処理を行う第1の帯電部材と、前記感光体の表面の移動方向において前記第1の帯電部材による前記感光体の帯電処理部よりも下流側において前記感光体の表面の帯電処理を行う第2の帯電部材と、所定の帯電電位に帯電した前記感光体を露光して前記感光体に静電潜を形成する露光手段と、前記第1の帯電部材に直流電圧を印加する第1の電源と、前記第2の帯電部材に直流電圧と交流電圧とを重畳した振動電圧を印加する第2の電源と、前記第1の電源及び前記第2の電源を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、画像形成時に、前記第2の帯電部材による前記感光体の表面の帯電処理部に到達する前記感光体の表面電位を可及的に前記所定の帯電電位にする直流電圧を前記第1の帯電部材に印加するように前記第1の電源を制御すると共に、前記所定の帯電電位に相当する直流電圧と、前記感光体と前記第2の帯電部材との間で放電を発生させる交流電圧とを重畳した振動電圧を前記第2の帯電部材に印加するように前記第2の電源を制御することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、AC放電電流量を可及的に小さくした場合であっても、砂地状の画像不良などの異常放電による画像不良の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の模式的な断面図である。
【図2】本発明の一実施例に係る画像形成装置の第1、第2の帯電ローラの模式図である。
【図3】本発明の一実施例に係る画像形成装置の動作シーケンス図である。
【図4】本発明の一実施例に係る画像形成装置の第1、第2の帯電ローラに対する帯電電圧印加系のブロック回路図である。
【図5】本発明の一実施例に係る画像形成装置における目標値設定制御時の感光ドラムの各位置における表面電位を示す模式図である。
【図6】帯電ローラに印加した帯電DCバイアスと感光ドラムの表面電位との関係を示すグラフ図である。
【図7】帯電ローラに印加した帯電ACバイアスのピーク間電圧と感光ドラムの表面電位との関係を示すグラフ図である。
【図8】帯電ローラに印加した帯電ACバイアスのピーク間電圧と直流電流値との関係を示すグラフ図である。
【図9】本発明の一実施例に係る画像形成装置における画像形成時の感光ドラムの各位置における表面電位を示す模式図である。
【図10】本発明の一実施例に係る画像形成装置における目標値設定制御の実行制御のフローチャート図である。
【図11】本発明の一実施例に係る画像形成装置における目標値設定制御のフローチャート図である。
【図12】本発明の他の実施例に係る画像形成装置における目標値設定制御の実行制御のフローチャート図である。
【図13】本発明の他の実施例に係る画像形成装置における目標値設定制御のフローチャート図である。
【図14】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置における目標値設定制御時の感光ドラムの各位置における表面電位を示す模式図である。
【図15】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置における画像形成時の感光ドラムの各位置における表面電位を示す模式図である。
【図16】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置の第1、第2の帯電ローラに対する帯電電圧印加系のブロック回路図である。
【図17】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置における帯電DCバイアス制御時の感光ドラムの各位置における表面電位を示す模式図である。
【図18】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置における帯電DCバイアス制御のフローチャート図である。
【図19】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置における帯電DCバイアス制御のフローチャート図である。
【図20】本発明の更に他の実施例に係る画像形成装置における帯電DCバイアス制御時の感光ドラムの各位置における表面電位を示す模式図である。
【図21】砂地が発生する際のメカニズムを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0018】
実施例1
1.画像形成装置の基本的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の模式的な断面図である。本実施例では、画像形成装置100は、接触帯電方式を採用した電子写真方式のレーザビームプリンタである。
【0019】
画像形成装置100は、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(感光体)即ち、感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、図示矢印R1方向(反時計回り)に回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、その回転方向に沿って順に、次の各手段が配置されている。先ず、帯電手段としてのローラ型の帯電部材である第1の帯電ローラ(第1の帯電部材)2Aと第2の帯電ローラ(第2の帯電部材)2Bである。次に、露光手段としての露光装置(レーザスキャナ)3である。次に、現像手段としての現像装置4である。次に、転写手段としてのローラ型の転写部材である転写ローラ5である。次に、クリーニング手段としてのクリーニング装置7である。
【0020】
感光ドラム1は、導電性のドラム基体上に、帯電特性が負帯電性の有機光導電体(OPC)の層を有する。又、本実施例では、感光ドラム1は、外径が30mmであり、中心支軸を中心に130mm/secのプロセススピード(周速度)で図示矢印R1方向(反時計回り)に回転駆動される。感光ドラム1は、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)の表面に、光電荷発生層と、電荷輸送層(厚さ約20μm)とを下から順に塗り重ねた構成をしている。
【0021】
第1、第2の帯電ローラ2A、2Bは、感光ドラム1の表面を一様に帯電処理する接触式の帯電手段である。第1の帯電ローラ2Aは感光ドラム1の表面の移動方向において第2の帯電ローラ2Bよりも上流側に配置されており、第2の帯電ローラ2Bは感光ドラム1の表面の移動方向において第1の帯電ローラ2Aよりも下流側に配置されている。第1、第2の帯電ローラ2A、2Bは、感光ドラム1との間の微小ギャップにて生じる放電現象を利用して、感光ドラム1の表面を所定の極性・電位に帯電処理する。
【0022】
第1、第2の帯電ローラ2A、2Bの構成について、第1の帯電ローラ2Aを例に更に説明する。本実施例では、第1、第2の帯電ローラ2A、2Bとしては、実質的に同一の寸法、材質のものを用いた。別段の記載が無い限り、第2の帯電ローラ2Bにおいても実質的に同一の構成である。図中、第1、第2の帯電ローラ2A、2Bが共通して有する要素には、符号にA、Bの添え字を付してそれぞれ第1、第2の帯電ローラ2A、2Bに属する要素であることを表している。
【0023】
図2に示すように、第1の帯電ローラ2Aは、芯金(支持部材)21Aの長手方向(回転軸線方向)の両端部が、それぞれ軸受け部材25Aにより回転自在に保持されると共に、それぞれ押圧ばね26Aによって感光ドラム1に向かって付勢されている。これにより、第1の帯電ローラ2Aは、感光ドラム1の表面に対して、所定の押圧力をもって圧接されている。そして、第1の帯電ローラ2Aは、感光ドラム1の回転に従動して図示矢印R2方向(時計回り)に回転する。感光ドラム1と第1の帯電ローラ2Aとの圧接部(ニップ部)が帯電ニップaAである。感光ドラム1の表面の移動方向において帯電ニップaAの上流側及び下流側に形成される第1の帯電ローラ2Aと感光ドラム1の表面との間の微少な空隙(帯電ギャップ)で放電が行われる。この放電によって感光ドラム1の帯電処理が行われる部分が帯電部(帯電処理部)である。
【0024】
第1の帯電ローラ2Aは、次のような構成の導電性・弾性ローラとすることができる。即ち、芯金と、この芯金の外周に同心一体にローラ状に形成した、SBR等に導電性カーボンを分岐した導電性弾性層と、その外周面に形成した、帯電不良防止のための高抵抗被覆層と、を有していてよい。更に、その外周面に形成した、感光ドラムに対する帯電ローラの固着を防止するための保護被覆層を有していてよい。
【0025】
より具体的には、本実施例では、第1の帯電ローラ2Aは、長手方向(回転軸線方向)の長さが320mm、直径が14mmである。又、第1の帯電ローラ2Aは、芯金21Aの外回りに、下層22Aと、中間層23Aと、表層24Aとを下から順次に積層した3層構成である。芯金21Aは、直径6mmのステンレス丸棒である。下層22Aは、カーボンを分散した発泡EPDMで形成され、比重は0.5g/cm3、体積抵抗値は102〜109Ωcm、層厚は約3.5mmである。中間層23Aは、カーボンを分散したNBRゴムで形成され、体積抵抗値は102〜105Ωcm、層厚は約500μmである。表層24Aは、フッ素化合物のトレジン樹脂に酸化錫、カーボンを分散したもので形成され、体積抵抗値は107〜1010Ωcm、表面粗さ(JIS規格10点平均表面粗さRz)は1.5μm、層厚は約5μmである。
【0026】
尚、本実施例では、第1、第2の帯電ローラ2A、2Bとして実質的に同一の寸法、材質のものを用いたが、第1、第2の帯電ローラ2A、2Bの寸法、材質は異なっていてもよい。又、帯電部材の構成は本実施例のものに何ら限定されるものではない。
【0027】
第1、第2の帯電ローラ2A、2Bのそれぞれの芯金21A、21Bには、それぞれ帯電電圧印加手段としての第1、第2の帯電電源S1A、S1Bより所定の条件の帯電電圧(帯電バイアス)が印加される。
【0028】
本実施例では、第1の帯電電源(第1の電源)S1Aは、直流電源を有し、交流電源は有しておらず、第1の帯電ローラ2Aに対して直流電圧を出力する。一方、第2の帯電電源(第2の電源)S1Bは、直流電源と、交流電源とを有しており、第2の帯電ローラ2Bに対して直流電圧(直流成分)と交流電圧(交流成分)とを重畳した振動電圧を出力する。
【0029】
本実施例では、回転する感光ドラム1の表面は、第1、第2の帯電ローラ2A、2Bを用いて、−500Vに一様に帯電処理される。具体的な帯電電圧の制御については、後述して詳しく説明する。
【0030】
露光装置3は、帯電処理された感光ドラム1の面に静電潜像を形成する情報書き込み手段としての露光手段である。本実施例において、露光装置3は半導体レーザを用いたレーザビームスキャナである。画像形成装置100に接続された画像読み取り装置(図示せず)などのホスト処理装置から画像形成装置100に画像信号が送られる。露光装置3は、この画像信号に対応して変調されたレーザ光Lを出力して、一様に帯電処理されて回転する感光ドラム1の表面を、露光部(露光位置)bにおいて走査露光(イメージ露光)する。これにより、感光ドラム1の表面のレーザ光Lで照射された部分の電位の絶対値が低下し、回転する感光ドラム1の表面には、画像情報に対応した静電潜像(静電潜像)が形成される。
【0031】
現像装置4は、感光ドラム1上の静電潜像にトナーを供給し、静電潜像をトナー像(現像剤像)として反転現像する現像手段である。本実施例では、現像装置4は、二成分現像剤による磁気ブラシを、感光ドラム1に接触させながら現像を行う、二成分接触現像方式を採用した現像装置である。
【0032】
現像装置4は、現像容器41と、現像剤担持体としての非磁性の現像スリーブ42と、を備えている。現像スリーブ42は、その外周面の一部を現像容器41の外部に露出させて、現像容器41内に回転可能に配置されている。現像スリーブ42内には、現像容器41に対して回転しないように固定されたマグネットローラ43が設けられている。現像スリーブ42に対向して、現像ブレード44が設けられている。現像容器41は、二成分現像剤(現像剤)45を収容しており、現像容器41内の底部側には、現像剤攪拌部材46が設けられている。又、補給用トナーがトナーホッパー(図示せず)に収容されている。
【0033】
現像容器41内の二成分現像剤45は、主にトナー(非磁性トナー粒子)とキャリア(磁性キャリア粒子)との混合物であり、現像剤攪拌部材46により攪拌される。本実施例では、キャリアの体積抵抗値は約1013Ωcm、粒径(体積平均粒径)は約40μmである。ここで、レーザ回折式粒度分布測定装置HEROS(日本電子製)を用いて、0.5〜350μmの範囲を32対数分割して測定し、体積50%メジアン径をもって、上記体積平均粒径とする。本実施例では、トナーは、キャリアとの摺擦により負極性に摩擦帯電される。
【0034】
現像スリーブ42は、感光ドラム1との最近接距離(S−Dgap)を350μmに保持して、感光ドラム1に対向して配置されている。この感光ドラム1と現像スリーブ42との対向部が現像部cである。現像スリーブ42は、現像部cにおいてその表面の移動方向が感光ドラム1の表面の移動方向とは逆方向となるように回転駆動される。現像スリーブ42内のマグネットローラ43の磁気力により、現像容器41内の二成分現像剤45の一部が現像スリーブ42の外周面に磁気ブラシ層として吸着保持される。この磁気ブラシ層は、現像スリーブ42の回転に伴い搬送され、現像ブレード44により所定の厚さに整層される。この現像剤の薄層(磁気ブラシ層)は、現像部cにおいて感光ドラム1の表面に接触して、感光ドラム1の表面を適度に摺擦する。
【0035】
現像スリーブ42には、現像電圧印加手段としての現像電源S2から所定の現像電圧(現像バイアス)が印加される。本実施例では、現像スリーブ42に印加する現像電圧は、直流電圧(以下、「現像DCバイアス」ともいう。)と交流電圧(以下、「現像ACバイアス」ともいう。)とを重畳した振動電圧である。より具体的には、本実施例では、現像電圧は、−350Vの直流電圧と、周波数8.0kHz、ピーク間電圧1.8kV、矩形波の交流電圧とを重畳した振動電圧である。
【0036】
回転する現像スリーブ42の表面に薄層としてコーティングされ、現像部cに搬送された二成分現像剤45中のトナーが、現像電圧による電界によって、静電潜像に対応して感光ドラム1の表面に選択的に付着する。これにより、感光ドラム1上の静電潜像がトナー像として現像される。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光された感光ドラム1の表面の露光部(明部)に、感光ドラム1の帯電極性(本実施例では負極性)と同極性に帯電したトナーが付着して、静電潜像が反転現像される。このとき、感光ドラム1上に転移したトナーの帯電量は、温度23℃、絶対水分量10.6g/m3の環境下では、凡そ−25μC/gである。
【0037】
現像部cを通過した現像スリーブ42上の二成分現像剤25の薄層は、引き続く現像スリーブ42の回転に伴い現像容器41内の現像剤溜り部に戻される。
【0038】
尚、現像容器41内の二成分現像剤45のトナー濃度(二成分現像剤のトナーとキャリアとの総質量に対するトナー質量の割合)を、略一定の範囲内に維持するために、トナーホッパー(図示せず)から現像容器41内への補給用トナーの補給が行われる。即ち、例えば、光学式トナー濃度センサによって、現像容器41内の二成分現像剤45のトナー濃度が検知され、その検知情報に応じてトナーホッパーの駆動が制御されて、トナーホッパー内の補給用トナーが現像容器41内に補給される。二成分現像剤45に補給されたトナーは、現像剤攪拌部材46により攪拌される。
【0039】
転写ローラ5は、感光ドラム1に所定の押圧力をもって圧接されている。その転写ローラ5と感光ドラム1との圧接部(ニップ部)が転写部dである。この転写部dに、転写材供給機構部(図示せず)から所定の制御タイミングにて記録用紙などの転写材Pが給送される。転写部dに給送された転写材Pは、回転する感光ドラム1と転写ローラ5との間に挟持されて搬送される。その間、転写ローラ5には、転写電圧印加手段としての転写電源S3から、トナーの正規の帯電極性(本実施例では負極性)とは逆極性(本実施例では正極性)の転写電圧(転写バイアス)が印加される。より具体的には、本実施例では、転写電圧として+600Vの直流電圧が印加される。これにより、転写部dを挟持搬送されていく転写材Pの表面に感光ドラム1の表面側のトナー像が静電的に転写される。
【0040】
転写部dを通ってトナー像の転写を受けた転写材Pは、感光ドラム1の表面から分離されて、定着手段としての定着装置6へ搬送される。本実施例では、定着装置6は、熱源を有する定着ローラ61と、この定着ローラ61に圧接する加圧ローラ62とを有する熱ローラ定着装置である。そして、定着装置6は、定着ローラ61と加圧ローラ62との圧接部(ニップ部)において転写材Pを加熱及び加圧することにより、トナー像を転写材Pに定着させる。定着処理を受けた転写材Pは、画像形成物(プリント、コピー)として画像形成装置100から出力(プリントアウト)される。
【0041】
又、転写部dにおいて転写材Pにトナー像を転写した後に感光ドラム1の表面に若干量残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニング部eにおいて、クリーニング装置7によって感光ドラム1の表面から除去されて回収される。
【0042】
図3は、上記画像形成装置100の動作シーケンス図である。
【0043】
(1)前多回転工程(初期回転動作)
画像形成装置100の起動時の始動動作期間(起動動作期間、ウォーミング期間)である。電源スイッチ−オンにより、感光ドラム1を回転駆動させ、又定着装置6の所定温度への立ち上げなど、所定のプロセス機器の準備動作を実行させる。
【0044】
(2)前回転工程(印字準備回転動作)
画像形成開始信号が入力されてから実際に画像形成工程動作がなされるまでの間の画像形成前の準備回転動作期間である。この前回転工程は、前多回転工程中に画像形成開始信号が入力されたときには前多回転工程に引き続いて実行される。画像形成開始信号の入力がないときには、前多回転工程の終了後にメインモータの駆動が一旦停止されて、感光ドラム1の回転駆動が停止され、画像形成装置100は画像形成開始信号が入力されるまでスタンバイ(待機)状態に保たれる。画像形成開始信号が入力されると前回転工程が実行される。
【0045】
本実施例では、この前回転工程において、画像形成工程の帯電工程における帯電電圧(特に、第1の帯電ローラ2Aに流す直流電流値及び対応する帯電DCバイアス)の値の演算・決定プログラムが実行される。これについては詳しくは後述する。
【0046】
(3)画像形成工程(印字工程、作像工程)
所定の前回転工程が終了すると、引き続いて感光ドラム1に対する作像プロセスが実行され、感光ドラム1の表面に形成されたトナー像の転写材Pへの転写、定着装置6によるトナー像の定着処理がなされて、画像形成物が出力される。連続画像形成モードの場合は、上記の画像形成工程が所定の画像形成枚数n枚分繰り返して実行される。
【0047】
(4)紙間工程
連続画像形成モードにおいて、一の転写材Pの後端部が転写部dを通過した後、次の転写材の先端部が転写部dに到達するまでの間の、転写部dにおける転写材Pの非通紙状態期間である。
【0048】
(5)後回転工程
最後の転写材Pの画像形成工程が終了した後もしばらくの間メインモータの駆動を継続させて感光ドラム1を回転駆動させ、所定の後処理動作を実行させる期間である。
【0049】
(6)スタンバイ
所定の後回転工程が終了すると、メインモータの駆動が停止されて感光ドラム1の回転駆動が停止され、画像形成装置100は次の画像形成開始信号が入力されるまでスタンバイ状態に保たれる。1枚だけの画像形成の場合は、その画像形成終了後、画像形成装置100は後回転工程を経てスタンバイ状態になる。スタンバイ状態において、画像形成開始信号が入力されると、画像形成装置100は前回転工程に移行する。
【0050】
上記(3)の画像形成工程の期間が画像形成時であり、上記(1)の前多回転工程、上記(2)の前回転工程、上記(4)の紙間工程、上記(5)の後回転工程の各期間が非画像形成時である。
【0051】
2.制御態様
図4(a)、(b)は、それぞれ第1の帯電ローラ2A及び第2の帯電ローラ2Bに対する帯電電圧印加系のブロック回路図である。
【0052】
図4(a)に示すように、第1の帯電ローラ2Aには、帯電電圧印加手段としての第1の帯電電源S1Aが接続されている。この第1の帯電電源S1Aは、直流電源(DC電源)11Aを有している。第1の帯電電源S1Aから、直流電圧(以下、「帯電DCバイアス」ともいう。)が、芯金21Aを介して第1の帯電ローラ2Aに印加される。これにより、回転する感光ドラム1の周面が所定の電位に帯電処理される。又、第1の帯電電源S1Aには、直流電流値検知手段(第1の検知手段)としての第1の直流電流値測定回路(以下、単に「第1の測定回路」ともいう。)13Aが接続されている。第1の測定回路13Aは、第1の帯電電源S1Aから第1の帯電ローラ2Aに対して直流電圧を出力することによって、感光ドラム1を介して第1の帯電ローラ2Aに流れる直流電流値を検知する。この第1の測定回路13Aから、制御手段としての制御回路14に、測定された直流電流値の情報が入力される。
【0053】
一方、図4(b)に示すように、第2の帯電ローラ2Bには、帯電電圧印加手段としての第2の帯電電源S1Bが接続されている。この第2の帯電電源S1Bは、直流電源(DC電源)11Bと交流電源(AC電源)12Bとを有している。第2の帯電電源S1Bから、直流電圧(帯電DCバイアス)と所定の周波数の交流電圧(以下、「帯電ACバイアス」ともいう。)とを重畳した所定の振動電圧が、芯金21Bを介して第2の帯電ローラ2Bに印加される。これにより、回転する感光ドラム1の周面が所定の電位に帯電処理される。又、第2の帯電電源S1Bには、直流電流値検知手段(第2の検知手段)としての第2の直流電流値測定回路(以下、単に「第2の測定回路」ともいう。)13Bが接続されている。第2の測定回路13Bは、第2の帯電電源S1Bから第2の帯電ローラ2Bに対して振動電圧を出力することによって、感光ドラム1を介して第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値を検知する。この第2の測定回路13Bから、上記制御回路14に、測定された直流電流値の情報が入力される。
【0054】
制御手段としての制御回路14は、画像形成装置100の動作を統括的に制御する。特に、本実施例との関係において、制御回路14は、第1の帯電電源S1Aの直流電源11Aから第1の帯電ローラ2Aに印加する直流電圧値を制御する機能を有する。又、制御回路14は、第2の帯電電源S1Bの直流電源11Bから第2の帯電ローラ2Bに印加する直流電圧値を制御する機能を有する。又、制御回路14は、第2の帯電電源S1Bの交流電源12Bから第2の帯電ローラ2Bに印加する交流電圧のピーク間電圧値若しくは交流電流値を制御する機能を有する。そして、制御回路14は、第1の測定回路13A及び/又は第2の測定回路13Bから入力された直流電流値情報から、画像形成工程の帯電工程における第1の帯電ローラ2A及び/又は第2の帯電ローラ2Bに対して印加する帯電DCバイアスの演算・決定プログラムを実行する機能を有する。
【0055】
3.砂地の発生
前述のように、AC帯電方式において、帯電電圧の交流成分のピーク間電圧を小さくすると、「砂地」といわれる画像不良が発生し易くなる。これは、帯電ローラと感光ドラムとの間に流れるAC放電電流は減るが、放電が不安定となり易くなるために、局所的に過剰に放電(異常放電)することに起因する。異常放電によって、感光ドラムが局所的に異常な高電位となり、その部分にはトナーが付着しなくなるため、画像を出力した際に砂地状の画像不良となる。
【0056】
図21は、砂地が発生する際のメカニズムを説明するための図である。ここでは、感光ドラムを帯電ローラで一様に負極性に帯電させ、露光装置によって除電された部分に、負極性に帯電したトナーを付着させる、反転現像系の画像形成装置をモデルとしている。
【0057】
図21(a)は、AC帯電方式による帯電処理前の感光ドラムの表面電位と、AC帯電方式における帯電DCバイアスの電位とが同じときの電位の関係を示す。この状態が、最も負極性側の最大電位差が小さい状態であり、この状態のときには、電位差に応じた異常放電が最も発生しにくい。従って、それに起因する砂地の発生が最も低減される。即ち、AC帯電方式による帯電処理前の感光ドラムの表面電位と、AC帯電方式における帯電DCバイアスとが同電位であれば、AC帯電方式用いても、砂地の発生を最小限に抑えることが可能になる。
【0058】
しかしながら、一般的には、図21(b)に示すように、AC帯電方式による帯電処理前の感光ドラムの表面電位の絶対値が、AC帯電方式における帯電DCバイアスの絶対値よりも小さい電位の関係となる。尚、図21(b)において、帯電ACバイアスは、図21(a)の場合と同等のものである。このときには、AC帯電方式による帯電処理前の感光ドラムの表面電位と、AC帯電方式で帯電ローラに印加する電圧の極大値との電位差が大きく、異常放電が発生し易い状態になっている。従って、図21(a)の場合と比較すると、砂地が発生し易い状態になっている。
【0059】
4.帯電電圧の制御
次に、第1、第2の帯電ローラ2A、2Bに印加する帯電電圧の制御方法について詳しく説明する。尚、本実施例の制御は、温度23℃、湿度(相対湿度)50%の環境で行われるものとする。
【0060】
前述のように、AC帯電方式による帯電処理前の感光ドラムの表面電位と、AC帯電方式における帯電DCバイアスの電位とが同じとき、異常放電が最も発生しにくく、砂地の発生が最も低減される。
【0061】
そこで、本実施例では、先ず、画像形成を行う前に、次のような帯電電流目標値設定制御(以下、単に「目標値設定制御」という。)を行う。即ち、本実施例では、目標値設定制御では、AC帯電方式による帯電処理前の感光ドラム1の表面電位を目標電位Vdとする(目標電位Vdまで表面電位の絶対値を上昇させる)ために必要な、DC帯電方式による帯電処理において流れる直流電流値を求める。又、本実施例では、特に、目標値設定制御において、上記の直流電流値から、次の値を求める。即ち、AC帯電方式による帯電処理前の感光ドラム1の表面電位を目標電位Vdとする(目標電位Vdまで表面電位の絶対値を上昇させる)ために必要な、DC帯電方式による帯電処理において印加する帯電DCバイアス(目標電圧値)を求める。以下、更に詳しく説明する。
【0062】
本実施例では、目標値設定制御時の各種バイアス設定は、次の通りである。第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスをOFFとする。又、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電DCバイアスを−500V、帯電ACバイアスのピーク間電圧を1500V(以下、単に「1500Vpp」などと表記する。)とする。又、現像DCバイアスを−350Vとする。又、転写バイアスを+600Vとする。そして、これらのバイアス設定を一定として、画像を作成せずに画像形成装置100を動作させる。このとき、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアス及び第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアス以外は、各種バイアス設定などの画像形成装置100の各部の動作の設定は画像形成時の設定と同一である。
【0063】
図5は、本実施例における目標値設定制御中の感光ドラム1の各位置における表面電位を示す図である。
【0064】
第1の帯電ローラ2Aによる帯電部の直前における感光ドラム1の表面電位は0Vである(図5の位置A)。そして、目標値設定制御時には、第1の帯電ローラ2Aへの帯電DCバイアスの印加はOFFとされている。そのため、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過しても感光ドラム1の表面電位は変わらない(図5の位置B)。
【0065】
尚、本実施例では、目標値設定制御において第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスをOFFとしたが、感光ドラム1の表面電位が第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過する前後で変化しないような設定であればよい。即ち、第1の帯電ローラ2Aに流れる直流電流値を可及的にゼロに近くできればよい。
【0066】
又、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスは、DC帯電方式における放電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧(Vpp)であればよい。このような条件のとき、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位は、第2の帯電ローラ2Bに印加した帯電DCバイアスと同電位に収束する。
【0067】
図6は、温度23℃、湿度50%の環境における、DC帯電方式で帯電処理する場合の、第2の帯電ローラ2Bに印加した帯電DCバイアスと感光ドラム1の表面電位との関係を示すグラフである。図6に示すように、本実施例では、放電開始電圧Vthは約600Vである。このことから、本実施例では、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスのピーク間電圧は、Vthの2倍である1200Vpp以上であればよい。
【0068】
上述のように、本実施例では、目標値設定制御において第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスのピーク間電圧は1500Vppである。そのため、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位は−500Vとなる(図5の位置C)。
【0069】
その後、感光ドラム1の表面電位が−500Vのまま、感光ドラム1の回転にともなって現像部cに到達する。感光ドラム1の表面電位(−500V)と現像DCバイアス(−350V)との電位差が小さいために、現像部cを通過した後でも感光ドラム1の表面電位は変化せず、−500Vである(図5の位置D)。
【0070】
その後、感光ドラム1の表面電位が−500Vのまま、感光ドラム1の回転にともなって転写部dに到達する。感光ドラム1の表面電位(−500V)と転写バイアス(+600V)との電位差による放電で感光ドラム1の表面電位が0Vとなり(図5の位置E)、再び第1の帯電ローラ2Aによる帯電部に到達する。
【0071】
ここで、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過する前後における、第2の帯電ローラ2Bと感光ドラム1との間に流れる直流電流値と、感光ドラム1の表面電位との関係について説明する。
【0072】
図7は、上記の目標値設定制御の条件(帯電ACバイアスを除く。)における、第2の帯電ローラ2Bに印加した帯電ACバイアスのピーク間電圧と、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位との関係を示すグラフである。帯電ACバイアスのピーク間電圧が1200Vpp以上であると、感光ドラム1の表面電位が帯電DCバイアスと同電位の−500Vで一定となることがわかる。
【0073】
図8は、上記の目標値設定制御の条件(帯電ACバイアスを除く。)における、第2の帯電ローラ2Bに印加した帯電ACバイアスのピーク間電圧と、第2の帯電ローラ2Bと感光ドラム1との間に流れる直流電流値との関係を示すグラフである。帯電ACバイアスのピーク間電圧が1200Vpp以上であると、第2の帯電ローラ2Bと感光ドラム1との間に流れる直流電流値は一定となることがわかる。
【0074】
即ち、目標値設定制御において、帯電ACバイアスのピーク間電圧が1200Vpp以上であるときに第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値は、次の値となる。即ち、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部に到達する直前の感光ドラム1の表面電位(0V)を、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電DCバイアスと同電位(目標電位Vd)の−500Vとするために必要な直流電流値となる。従って、この直流電流値が、AC帯電方式による帯電処理前の感光ドラム1の表面電位を目標電位Vdとする(目標電位Vdまで表面電位の絶対値を上昇させる)ために必要な、DC帯電方式による帯電処理において流れる直流電流値の目標直流電流値Idcとなる。本実施例では、実際に上記の目標値設定制御の条件で第2の測定回路13Bによって測定された目標直流電流値Idcは−35μAであった。
【0075】
本実施例では、制御回路14は、画像形成を行う前に、目標値設定制御において、第2の測定回路13Bで第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値を測定し、これを目標直流電流値Idcとして制御回路14に内蔵された記憶手段としてのメモリ14aに記憶する。
【0076】
更に、本実施例では、制御回路14は、画像形成を行う前に、目標値設定制御において、上記の記憶された目標直流電流値Idc(本実施例では、−35μA)を得るために必要な、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを決定する。本実施例では、制御回路14によって、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを変更しながら、第1の帯電ローラ2Aに流れる直流電流値を第1の測定回路13Aで測定する。そして、目標直流電流値Idcを得るために必要な、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを決定する。制御回路14は、これを目標電圧値としてメモリ14aに記憶する。本実施例では、目標直流電流値Idcを得るために必要な、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスは、−1100Vと算出された。
【0077】
次に、画像形成時における帯電電圧の制御について説明する。画像形成時には、第1の帯電ローラ2Aには、上記の目標値設定制御で求められた帯電DCバイアスを印加する。以下、更に詳しく説明する。
【0078】
本実施例では、画像形成時の各種バイアス設定は、次の通りである。第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを−1100Vとする。又、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電DCバイアスを−500V、帯電ACバイアスのピーク間電圧を1250Vppとする。又、現像DCバイアスを−350Vとする。又、転写バイアスを+600Vとする。画像形成中は、これらのバイアス設定は一定とする。ここで、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスのピーク間電圧は、放電開始電圧である1200Vppより僅かに大きい値となっており、AC放電電流量は約10μAである。
【0079】
尚、目標値設定制御では、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスのピーク間電圧は1500Vppとしている。これにより、目標値設定制御において異常放電が発生するのを防止して、より正確に目標直流電流値Idcを求めることができる。即ち、本実施例では、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスのピーク間電圧は、画像形成時よりも目標値設定制御時の方が大きい。
【0080】
図9は、本実施例における画像形成中の感光ドラム1の各位置における表面電位を示す図である。
【0081】
第1の帯電ローラ2Aによる帯電部の直前における感光ドラム1の表面電位は、目標値設定制御時と同様に、0Vである(図9の位置A)。そして、画像形成時には、第1の帯電ローラ2Aには、上記の目標値設定制御において決定された帯電DCバイアス(本実施例では−1100V)が印加されている。従って、第1の帯電ローラ2Aには、AC帯電方式による帯電処理前の感光ドラム1の表面電位を目標電位Vdとするために必要な直流電流値(目標直流電流値Idc)が流れている。そのため、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位は−500Vとなる(図9の位置B)。
【0082】
又、第2の帯電ローラ2Bには−500Vの帯電DCバイアスが印加されており、又ピーク間電圧が1200Vpp以上の帯電ACバイアスが印加されている。そのため、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位は−500Vに収束する(図9の位置C)。即ち、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過する前後における感光ドラム1の表面電位は変わらない。
【0083】
その後、位置D、位置Eにおける感光ドラム1の表面電位の変化については、上記の目標値設定制御時(図5)と実質的に同一である。
【0084】
5.フローチャート
図10は、目標値設定制御の実行制御の一例を示すフローチャートである。上述のように、本実施例では、目標値設定制御は前回転工程において実行される。目標値設定制御は、毎回の前回転工程に実行してもよいし、例えば所定枚数の画像形成が行われるなど所定期間毎に実行してもよい。例えば、図10に示すように、制御回路14は、画像形成開始信号が入力されると(S101)、目標値設定制御を実行するタイミングであるか否かを判断する(S102)。制御回路14は、S102で目標値設定タイミングであると判断した場合は、前回転工程で目標値設定制御を実行させ(S103)、その後画像形成工程を実行させる(S104)。この画像形成工程では、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスは、直前の目標値設定制御において決定され、メモリ14aに記憶された値に制御される。一方、制御回路14は、S102で目標値設定タイミングではないと判断した場合は、目標値設定制御を実行しない前回転工程を実行させ(S105)、その後画像形成工程を実行させる(S104)。この画像形成工程では、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスは、最近の目標値設定制御において決定され、メモリ14aに記憶された値に制御される。
【0085】
図11は、本実施例における目標値設定制御のフローチャートである。制御回路14は、目標値設定制御を開始すると、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスをOFFにする。又、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電DCバイアスを目標電位Vd、帯電ACバイアスを放電が発生する条件とする。そして、画像を作成せずに画像形成装置100を動作させる(S201)。次に、制御回路14は、上記のバイアス設定で画像形成装置100が動作しているときに第2の測定回路13Bで測定された、第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値を、目標直流電流値Idcとしてメモリ14aに記憶させる(S202)。次に、制御回路14は、目標直流電流値Idcを得るために必要な、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを決定し、メモリ14aに記憶させる(S203)。画像形成時には、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスは、この帯電DCバイアスの値で定電圧制御される。
【0086】
尚、本実施例では、非画像形成時として前回転工程において目標値設定制御を行った。しかし、これに限定されるものではなく、他の非画像形成時、例えば、前多回転工程、紙間工程、又は後回転工程において目標値設定制御を行うこともできる。又、例えば、前多回転工程、前回転工程、紙間工程、後回転工程といった非画像形成時の期間のうち複数の非画像形成時の期間に目標値設定制御を実行してもよい。又、目標値設定制御は、ジョブ(一の画像形成開始信号による単数又は複数の転写材に対する一連の画像形成動作)の間に、例えば所定枚数の画像形成を行う毎などの所定期間毎に割り込み制御として行うことができる。
【0087】
このように、本実施例の画像形成装置100は、静電像が形成される感光体1を有する。又、画像形成装置100は、移動する感光体1の表面の帯電処理を行う第1の帯電部材2Aと、感光体1の表面の移動方向において第1の帯電部材2Aによる感光体1の帯電処理部よりも下流側において感光体1の表面の帯電処理を行う第2の帯電部材2Bとを有する。又、画像形成装置100は、所定の帯電電位に帯電した感光体1を露光して感光体1に静電潜を形成する露光手段3を有する。又、画像形成装置100は、第1の帯電部材2Aに直流電圧を印加する第1の電源S1Aと、第2の帯電部材2Bに直流電圧と交流電圧とを重畳した振動電圧を印加する第2の電源S1Bとを有する。又、画像形成装置100は、第1の電源S1A及び第2の電源S1Bを制御する制御手段14を有する。そして、制御手段14は、画像形成時に、第2の帯電部材2Bによる感光体1の表面の帯電処理部に到達する感光体1の表面電位を可及的に上記所定の帯電電位にする直流電圧を第1の帯電部材2Aに印加するように第1の電源S1Aを制御する。それと共に、制御手段14は、画像形成時に、上記所定の帯電電位に相当する直流電圧と、感光体1と第2の帯電部材2Bとの間で放電を発生させる交流電圧とを重畳した振動電圧を第2の帯電部材2Bに印加するように第2の電源S1Bを制御する。
【0088】
特に、本実施例では、画像形成装置100は、第1の電源S1Aから第1の帯電部材2Aに直流電圧を印加しているときに第1の帯電部材2Aに流れる直流電流値を検知する第1の検知手段13Aを有する。又、本実施例では、画像形成装置100は、第2の電源S1Bから第2の帯電部材2Bに振動電圧を印加しているときに第2の帯電部材2Bに流れる直流電流値を検知する第2の検知手段13Bを有する。そして、制御手段14は、画像形成前に、次のような目標値設定制御を行う。即ち、目標値設定制御では、制御手段14は、第1の帯電部材2Aに流れる直流電流値を可及的にゼロにするように第1の電源S1Aを制御する。それと共に、上記所定の帯電電位に相当する直流電圧と、感光体1と第2の帯電部材2Bとの間で放電を発生させる交流電圧とを重畳した振動電圧を第2の帯電部材2Bに印加するように第2の電源S1Bを制御する。そして、そのときに第2の帯電部材2Bに流れる直流電流値を第2の検知手段13Bによって検知する。それと共に、この検知された直流電流値に相当する直流電流値が第1の検知手段13Aによって検知されるように第1の電源S1Aから第1の帯電部材2Aに直流電圧を印加したときの第1の電源S1Aの出力電圧値を目標電圧値として求める。そして、画像形成時に、制御手段14は第1の電源S1Aから第1の帯電部材2Aに印加する直流電圧を、上記目標電圧値になるように制御する。
【0089】
6.効果
本実施例の目標値設定制御、及び画像形成時における第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスの制御を行うことにより、次のような効果が得られる。
【0090】
画像形成時に、第1の帯電ローラ2Aは、DC帯電方式で感光ドラム1の帯電処理を行う。そのため、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過する前後で感光ドラム1の表面電位が変わっても、砂地は発生しない。しかし、DC帯電方式では、AC放電電流の均し効果がないために、第1の帯電ローラ2Aの微小な電気抵抗値ムラに起因したスジ状の帯電不良が発生し易い。一方、画像形成時に、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過する前後で感光ドラム1の表面電位は変わらない。そのため、前述のように、砂地が最も発生しにくい条件である。従って、AC放電電流量を最小限に抑えても、砂地が発生しない。AC放電電流量を最小限に抑える方法としては、既知の放電電流制御などを採用することができる。本実施例では、AC放電電流量が10μAになるように、第2の帯電ローラ2Bに印加するAC帯電バイアスのピーク間電圧を1250Vppとして、画像形成を行った。AC放電電流量を最小限に抑えることによって、感光ドラム1の劣化や画像流れの発生を大幅に軽減させることができる。又、AC放電電流による均し効果が得られるため、均一な帯電(除電)処理をすることが可能であり、高画質化を達成することができる。又、本実施例では、感光ドラム1の移動方向において上流側の第1の帯電ローラ2Aに直流電圧を印加し、下流側の第2の帯電ローラ2Bに直流電圧と交流電圧とを重畳した振動電圧を印加して感光ドラム1の表面を帯電処理する。斯かる構成によれば、画像形成装置100が高速化して比較的感光ドラム1の表面の移動速度が速い場合でも、感光ドラム1の帯電電位Vdの安定化を図ることができる。
【0091】
尚、本実施例では、画像形成時に第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過する前後で感光ドラム1の表面電位が変わらず、第2の帯電ローラ2Bに直流電流が流れない条件とした。砂地をより良好に防止するためには、画像形成時に第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値は可及的にゼロに近いことが好ましい。しかし、画像形成時に第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値はゼロであることに限定されるものではない。帯電ACバイアス(即ち、AC放電電流量)の設定や要求される砂地の防止効果に応じて、画像形成時に第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値を、画像形成時に第1の帯電ローラ2Aに流れる直流電流値よりも小さくすることができる。例えば、画像形成時に第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値が、画像形成時に第1の帯電ローラ2Aに流れる直流電流値の80%〜100%程度であれば、所望に応じて砂地を防止する効果を得ることができる。即ち、例えば、画像形成時に第1の帯電ローラ2Aによって、目標電位Vdの80%〜100%まで感光ドラム1の表面の電位の絶対値を上昇させることができれば、所望に応じて第2の帯電ローラ2Bにおける異常放電による砂地を防止する効果を得ることができる。
【0092】
以上説明したように、本実施例によれば、画像形成時に、目標値設定制御で求めた目標直流電流値Idcに基づく帯電DCバイアスを第1の帯電ローラ2Aに印加して、感光ドラム1の表面電位の絶対値を目標電位Vdまで上昇させる。そして、第2の帯電ローラ2Bに帯電DCバイアスと帯電ACバイアスとを重畳した振動電圧を印加する。これによって、高画質化を達成しつつ、砂地の発生を抑えることができる。即ち、砂地が発生しにくいため、AC放電電流量を最小限とすることができ、感光ドラム1の劣化や画像流れを抑えることができる。このように、本実施例によれば、AC放電電流量を可及的に小さくした場合であっても、砂地状の画像不良などの異常放電による画像不良の発生を抑制することができる。
【0093】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一の機能、構成を有する要素には同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0094】
本実施例では、画像形成時に第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスは、第1の測定回路13Aによって測定される第1の帯電ローラ2Aに流れる直流電流値が目標直流電流値Idcと同じになるように、所謂、定電流制御で出力される。本実施例では、第1の帯電電源S1Aは、定電圧制御で電圧を出力できると共に、第1の測定回路13Aにより測定される直流電流値が所定値となるように出力電圧値を変化させて、ソフトウェア的に定電流制御された電圧を出力できる。
【0095】
図12は、本実施例における目標値設定制御の実行制御の一例を示すフローチャートである。本実施例における目標値設定制御の実行制御(S301〜S305)は、図10を参照して説明した実施例1のもの(S101〜S105)と同様とすることができる。但し、画像形成工程では、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスは、第1の帯電ローラ2Aに流れる電流値が、直前又は最近の目標値設定制御において決定され、メモリ14aに記憶された目標直流電流値Idcとなるように定電流制御される。
【0096】
図13は、本実施例における目標値設定制御のフローチャートである。本実施例の目標値設定制御は、実施例1の目標値設定制御における目標直流電流値Idcを求めて記憶するまでの制御と同じである。制御回路14は、目標値設定制御を開始すると、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスをOFFにする。又、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電DCバイアスを目標電位Vd、帯電ACバイアスを放電が発生する条件とする。そして、画像を作成せずに画像形成装置100を動作させる(S401)。次に、制御回路14は、上記のバイアス設定で画像形成装置100が動作しているときに第2の測定回路13Bで測定された、第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値を、目標直流電流値Idcとしてメモリ14aに記憶させる(S402)。画像形成時には、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスは、第1の測定回路13Aにより測定される第1の帯電ローラ2Aに流れる直流電流値が目標直流電流値Idcとなるように、定電流制御される。
【0097】
又、画像形成時の帯電電圧制御は、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを第1の帯電ローラ2Aに流れる電流値が目標直流電流値Idcとなるように定電流制御されることを除いて、実施例1と同じである。
【0098】
このように、本実施例では、画像形成装置100は、第1の電源S1Aから第1の帯電部材2Aに直流電圧を印加しているときに第1の帯電部材2Aに流れる直流電流値を検知する第1の検知手段13Aを有する。又、本実施例では、画像形成装置100は、第2の電源S1Bから第2の帯電部材2Bに振動電圧を印加しているときに第2の帯電部材2Bに流れる直流電流値を検知する第2の検知手段13Bを有する。そして、制御手段14は、画像形成前に、次のような目標値設定制御を行う。即ち、目標値設定制御において、制御手段14は、第1の帯電部材2Aに流れる直流電流値を可及的にゼロにするように第1の電源S1Aを制御する。それと共に、感光体1の所定の帯電電位に相当する直流電圧と、感光体1と第2の帯電部材2Bとの間で放電を発生させる交流電圧とを重畳した振動電圧を第2の帯電部材2Bに印加するように第2の電源S1Bを制御する。そして、そのときに第2の帯電部材2Bに流れる直流電流値を目標直流電流値として第2の検知手段13Bによって検知する。そして、画像形成時に、制御手段14は、第1の電源S1Aから第1の帯電部材2Aに印加する直流電圧を、第1の検知手段13Aによって検知される直流電圧値が上記目標直流電流値になるように制御する。
【0099】
本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0100】
実施例3
次に、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一の機能、構成を有する要素には同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0101】
実施例1では、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部に到達する直前の感光ドラム1の表面電位(残電位)が0Vである場合について説明した。しかし、画像形成装置100の各高圧電源のバイアス設定や、使用環境、使用履歴、使用される現像剤の種類などによって、様々な残電位となることがある。
【0102】
そこで、本実施例では、残電位が0Vでない場合について説明する。尚、本実施例の制御は、温度23℃、湿度(相対湿度)50%の環境で行われるものとする。
【0103】
先ず、実施例1と同様に、画像形成を行う前に、次のような目標値設定制御を行い、目標直流電流値Idcを求める。
【0104】
本実施例では、目標値設定制御時の各種バイアス設定は、次の通りである。第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを−200Vとする。又、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電DCバイアスを−500V、帯電ACバイアスのピーク間電圧を1500Vppとする。又、現像DCバイアスを−350Vとする。又、転写バイアスを+400Vとする。そして、これらのバイアス設定を一定として、画像を作成せずに画像形成装置100を動作させる。このとき、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアス及び第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアス以外は、各種バイアス設定などの画像形成装置100の各部の動作の設定は画像形成時の設定と同一である。
【0105】
図14は、本実施例における目標値設定制御中の感光ドラム1の各位置における表面電位を示す図である。
【0106】
第1の帯電ローラ2Aによる帯電部の直前における感光ドラム1の表面電位(残電位)は−200Vである(図14の位置A)。そして、目標値設定制御時には、第1の帯電ローラ2Aには−200Vの帯電DCバイアスが印加されている。そのため、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過しても感光ドラム1の表面電位は変わらない(図14の位置B)。
【0107】
尚、本実施例では、目標値設定制御において第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを−200Vとしたが、感光ドラム1の表面電位が第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過する前後で変化しないような設定であればよい。即ち、第1の帯電ローラ2Aに流れる直流電流値を可及的にゼロに近くできればよい。
【0108】
又、目標値設定制御において第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスは、DC帯電方式における放電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧(Vpp)であればよい。即ち、実施例1と同様、Vthの2倍である1200Vpp以上であればよい。このような条件のとき、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位は、第2の帯電ローラ2Bに印加した帯電DCバイアスと同電位に収束する。
【0109】
上述のように、本実施例では、目標値設定制御において第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスのピーク間電圧は1500Vppである。そのため、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位は−500Vとなる(図14の位置C)。
【0110】
その後、感光ドラム1の表面電位が−500Vのまま、感光ドラム1の回転にともなって現像部cに到達する。感光ドラム1の表面電位(−500V)と現像DCバイアス(−350V)との電位差が小さいために、現像部cを通過した後でも感光ドラム1の表面電位は変化せず、−500Vである(図14の位置D)。
【0111】
その後、感光ドラム1の表面電位が−500Vのまま、感光ドラム1の回転にともなって転写部dに到達する。感光ドラム1の表面電位(−500V)と転写バイアス(+400V)との電位差による放電で、感光ドラム1の表面電位が−200Vとなり(図14の位置E)、再び第1の帯電ローラ2Aによる帯電部に到達する。
【0112】
実施例1と同様、帯電ACバイアスのピーク間電圧が1200Vpp以上であるときに第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値は、次の値となる。即ち、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部に到達する直前の感光ドラム1の表面電位(−200V)を、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電DCバイアスと同電位(目標電位Vd)の−500Vとするために必要な直流電流値となる。従って、この直流電流値が、AC帯電方式による帯電処理前の感光ドラム1の表面電位を目標電位Vdとする(目標電位Vdまで表面電位の絶対値を上昇させる)ために必要な、DC帯電方式による帯電処理において流れる直流電流値の目標直流電流値Idcとなる。本実施例では、実際に上記の目標値設定制御の条件で第2の測定回路13Bによって測定された目標直流電流値Idcは−21μAであった。
【0113】
本実施例では、制御回路14は、画像形成を行う前に、目標値設定制御において、第2の測定回路13Bで第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値を測定し、これを目標直流電流値Idcとして制御回路14に内蔵された記憶手段としてのメモリ14aに記憶する。
【0114】
更に、本実施例では、制御回路14は、画像形成を行う前に、目標値設定制御において、上記の記憶された目標直流電流値Idc(本実施例では、−21μA)を得るために必要な、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを決定する。本実施例では、制御回路14によって、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを変更しながら、第1の帯電ローラ2Aに流れる直流電流値を第1の測定回路13Aで測定する。そして、目標直流電流値Idcを得るために必要な、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを決定する。本実施例では、目標直流電流値Idcを得るために必要な、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスは、−1100Vと算出された。
【0115】
次に、画像形成時における帯電電圧の制御について説明する。画像形成時には、第1の帯電ローラ2Aには、上記の目標値設定制御で求められた帯電DCバイアスを印加する。以下、更に詳しく説明する。
【0116】
本実施例では、画像形成時の各種バイアス設定は、次の通りである。第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを−1100Vとする。又、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電DCバイアスを−500V、帯電ACバイアスのピーク間電圧を1250Vppとする。又、現像DCバイアスを−350Vとする。又、転写バイアスを+400Vとする。画像形成中は、これらのバイアス設定は一定とした。ここで、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスのピーク間電圧は、放電開始電圧である1200Vppより僅かに大きい値となっており、AC放電電流量は約10μAである。
【0117】
図15は、本実施例における画像形成中の感光ドラム1の各位置における表面電位を示す図である。
【0118】
第1の帯電ローラ2Aによる帯電部の直前における感光ドラム1の表面電位は、目標値設定制御時と同様に、−200Vである(図15の位置A)。そして、画像形成時には、第1の帯電ローラ2Aには、上記の目標値設定制御において決定された帯電DCバイアス(本実施例では−1100V)が印加されている。従って、第1の帯電ローラ2Aには、AC帯電方式による帯電処理前の感光ドラム1の表面電位を目標電位Vdとするために必要な直流電流値(目標直流電流値Idc)が流れている。そのため、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位は−500Vとなる(図15の位置B)。
【0119】
又、第2の帯電ローラ2Bには−500Vの帯電DCバイアスが印加されており、又ピーク間電圧が1200Vpp以上の帯電ACバイアスが印加されている。そのため、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位は−500Vに収束する(図15の位置C)。即ち、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過する前後における感光ドラム1の表面電位は変わらない。
【0120】
その後、位置D、位置Eにおける感光ドラム1の表面電位の変化については、上記の目標値設定制御時(図14)と実質的に同一である。
【0121】
本実施例によれば、残電位が0Vではない場合であっても、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0122】
尚、本実施例では、実施例1と同様、目標値設定制御において、目標直流電流値Idcを求め、その目標直流電流値Idcが流れるような第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを求めた。しかし、実施例2と同様にしてもよい。即ち、帯電DCバイアスを算出せずに、第1の測定回路13Aによって測定される第1の帯電ローラ2Aに流れる直流電流値が目標直流電流値Idcと同じになるように、所謂、定電流制御で第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを出力してもよい。この場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0123】
実施例4
次に、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置において、実施例1のものと同一の機能、構成を有する要素には同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0124】
1.画像形成装置の基本的な構成及び動作
本実施例の画像形成装置100の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同様である。但し、本実施例では、後述するように、実施例1の画像形成装置100における第1の測定回路13Aは設けられていない。又、本実施例では、実施例1のように前回転工程などに目標値設定動作が行われることはない。
【0125】
2.制御態様
図16(a)、(b)は、それぞれ本実施例における第1の帯電ローラ2A及び第2の帯電ローラ2Bに対する帯電電圧印加系のブロック回路図である。
【0126】
図16(a)に示すように、第1の帯電ローラ2Aには、帯電電圧印加手段としての第1の帯電電源S1Aが接続されている。この第1の帯電電源S1Aは、直流電源11Aを有している。第1の帯電電源S1Aから、帯電DCバイアスが、芯金21Aを介して第1の帯電ローラ2Aに印加される。これにより、回転する感光ドラム1の周面が所定の電位に帯電処理される。尚、本実施例では、実施例1において設けられていた、第1の測定回路13A(図4(a))は設けられていない。
【0127】
一方、図16(b)に示すように、第2の帯電ローラ2Bには、帯電電圧印加手段としての第2の帯電電源S1Bが接続されている。この第2の帯電電源S1Bは、直流電源11Bと交流電源12Bとを有している。第2の帯電電源S1Bから、帯電DCバイアスと所定の周波数の帯電ACバイアスとを重畳した所定の振動電圧が、芯金21Bを介して第2の帯電ローラ2Bに印加される。これにより、回転する感光ドラム1の周面が所定の電位に帯電処理される。又、第2の帯電電源S1Bには、直流電流値検知手段(検知手段)としての直流電流値測定回路(以下、単に「測定回路」ともいう。)13が接続されている。測定回路13は、第2の帯電電源S1Bから第2の帯電ローラ2Bに対して振動電圧を出力することによって、感光ドラム1を介して第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値を検知する。この測定回路13から、上記制御回路14に、測定された直流電流値の情報が入力される。
【0128】
制御手段としての制御回路14は、画像形成装置100の動作を統括的に制御する。特に、本実施例との関係において、制御回路14は、第1の帯電電源S1Aの直流電源11Aから第1の帯電ローラ2Aに印加する直流電圧値を制御する機能を有する。又、制御回路14は、第2の帯電電源S1Bの直流電源11Bから第2の帯電ローラ2Bに印加する直流電圧値を制御する機能を有する。又、制御回路14は、第2の帯電電源S1Bの交流電源12Bから第2の帯電ローラ2Bに印加する交流電圧のピーク間電圧値若しくは交流電流値を制御する機能を有する。そして、制御回路14は、測定回路13から入力された直流電流値情報から、画像形成工程の帯電工程における第1の帯電ローラ2A及び/又は第2の帯電ローラ2Bに対して印加する帯電DCバイアスの演算・決定プログラムを実行する機能を有する。
【0129】
3.帯電電圧の制御
次に、画像形成時に第1、第2の帯電ローラ2A、2Bに印加する帯電電圧の制御方法について詳しく説明する。尚、本実施例の制御は、温度23℃、湿度(相対湿度)50%の環境で行われるものとする。
【0130】
前述のように、AC帯電方式による帯電処理前の感光ドラムの表面電位と、AC帯電方式における帯電DCバイアスとが同じとき、異常放電が最も発生しにくく、砂地の発生が最も低減される。
【0131】
そこで、本実施例では、画像形成中に測定回路13によって第2の帯電ローラ2Bを流れる直流電流値を測定する。そして、測定した直流電流値が所定値(本実施例ではゼロ)となるように、画像形成中に第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを制御制御する。これにより、画像形成中に第1の帯電ローラ2Aに流れる直流電流値を、次の値とする。即ち、AC帯電方式による帯電処理前の感光ドラム1の表面電位を目標電位Vdとする(目標電位Vdまで表面電位の絶対値を上昇させる)ために必要な、DC帯電方式による帯電処理において流れる直流電流値とする。以下、更に詳しく説明する。
【0132】
先ず、本実施例の制御の原理を説明するために、非画像形成時に次のような各種バイアス設定で画像形成装置100を動作させた場合について説明する。即ち、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電DCバイアスを−500V、帯電ACバイアスのピーク間電圧を1500Vppとする。又、現像DCバイアスを−350Vとする。又、転写バイアスを+600Vとする。そして、これらのバイアス設定を一定として、画像を作成せずに画像形成装置100を動作させる。そして、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスは、測定回路13によって測定される第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値が0μAとなるように、所謂、定電流制御で出力される。本実施例では、第1の帯電電源S1Aは、定電圧制御で電圧を出力できると共に、測定回路13により測定される直流電流値が所定値となるように出力電圧値を変化させて、ソフトウェア的に定電流制御された電圧を出力できる。第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアス及び第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアス以外は、上記動作における各種バイアス設定などの画像形成装置100の各部の動作の設定は画像形成時の設定と同一である。
【0133】
図17は、上記のバイアス設定で画像形成装置100を動作させた際の感光ドラム1の各位置における表面電位を示す図である。
【0134】
第1の帯電ローラ2Aによる帯電部の直前における感光ドラム1の表面電位は0Vである(図17の位置A)。そして、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスは、測定回路13によって測定される第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値が0μAとなるように定電流制御で出力される。そのため、後述するように、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位は−500Vとなる(図17の位置B)。
【0135】
又、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスは、DC帯電方式における放電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧(Vpp)であればよい。このような条件のとき、第2の帯電ローラ2Bを通過した感光ドラム1の表面電位は、第2の帯電ローラ2Bに印加した帯電DCバイアスと同電位に収束する。
【0136】
実施例1の場合と同様、本実施例では、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスのピーク間電圧は、Vthの2倍である1200Vpp以上であればよい(図6〜図8)。
【0137】
上述のように、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスのピーク間電圧が1500Vppである場合、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位は−500Vとなる(図17の位置C)。
【0138】
ここで、測定回路13によって測定される第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値が0μAとなるということは、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過する前後の感光ドラム1の表面電位が変化していないということである。このことから、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位は−500Vであることがわかる(図17の位置B)。即ち、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過した感光ドラム1の表面電位は、第1の帯電ローラ2Aに印加された帯電DCバイアスによって、0V(図17の位置A)から−500V(図17の位置B)に変化していることがわかる。
【0139】
その後、感光ドラム1の表面電位が−500Vのまま、感光ドラム1の回転にともなって現像部cに到達する。感光ドラム1の表面電位(−500V)と現像DCバイアス(−350V)との電位差が小さいために、現像部cを通過した後でもドラム電位は変化せず、−500Vである(図17の位置D)。
【0140】
その後、感光ドラム表面電位が−500Vのまま、感光ドラム1の回転にともなって転写部dに到達する。感光ドラム1の表面電位(−500V)と転写バイアス(+600V)との電位差による放電で、感光ドラム1の表面電位が0Vとなり(図17の位置E)、再び第1の帯電ローラ2Aによる帯電部に到達する。
【0141】
上述のような制御を行いながら第1の帯電ローラ2Aに帯電DCバイアスを印加することにより、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位を目標電位Vdとすることができる。
【0142】
本実施例の原理を説明するために、上述の制御は画像を作成せずに画像形成装置100を動作させて行った。実際には、本実施例では、上述のような制御(以下、単に「帯電DCバイアス制御」ともいう。)を、画像形成工程における画像形成中に行う。
【0143】
本実施例では、実際に上述のような帯電DCバイアス制御を画像形成時に行う場合、各種バイアス設定は、次の通りとする。第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電DCバイアスを−500V、帯電ACバイアスのピーク間電圧を1250Vppとする。又、現像DCバイアスを−350Vとする。又、転写バイアスを+600Vとする。画像形成中は、これらのバイアス設定は一定とする。そして、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスは、測定回路13によって測定される第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値が0μAとなるように、所謂、定電流制御で出力される。ここで、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスのピーク間電圧は、放電開始電圧である1200Vppより僅かに大きい値となっており、AC放電電流量は約10μAである。
【0144】
このような帯電DCバイアス制御を画像形成中に行った場合の感光ドラム1の各位置における表面電位は、図17に示したものと同じになる。即ち、上述の本実施例の原理を説明する際に用いた例とは、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスが異なっているが、ピーク間電圧が1200Vpp以上の帯電ACバイアスを印加してAC放電を行っているという点は変わらない。そのため、画像形成中における感光ドラム1の各位置における表面電位は図17に示したものと同じになる。
【0145】
4.フローチャート
図18は、本実施例における画像形成時に行う帯電DCバイアス制御のフローチャートである。
【0146】
制御回路14は、画像形成時に、帯電電圧の印加タイミングであると判断すると(S501)、帯電処理動作を開始する。即ち、第1の帯電ローラ2Aに帯電DCバイアスを印加し、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電DCバイアスを目標電位Vd、帯電ACバイアスを放電が発生する条件とする(S502)。このとき、帯電DCバイアスは、例えば予め設定された初期値とされる。次に、制御回路14は、上記の条件で第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値Idcを測定回路13で測定する(S503)。制御回路14は、測定される直流電流値Idcが0μAでないときには第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを変動させて、測定される直流電流値Idcが0μAになるように調整する。この帯電DCバイアスの調整が画像形成時の帯電電圧の印加期間中継続される(S505、S506)。
【0147】
このように、本実施例では、画像形成装置100は、第2の電源S1Bから第2の帯電部材2Bに振動電圧を印加しているときに第2の帯電部材2Bに流れる直流電流値を検知する検知手段13を有する。そして、制御手段14は、画像形成時に、第1の電源S1Aから第1の帯電部材2Aに印加する直流電圧を、検知手段13によって検知される直流電流値を可及的にゼロにするように制御する。
【0148】
5.効果
本実施例の画像形成時における第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスの制御を行うことにより、次のような効果が得られる。
【0149】
画像形成時に、第1の帯電ローラ2Aは、DC帯電方式で感光ドラム1の帯電処理を行う。そのため、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過する前後で感光ドラム1の表面電位が変わっても、砂地は発生しない。しかし、DC帯電方式では、AC放電電流の均し効果がないために、第1の帯電ローラ2Aの微小な電気抵抗値ムラに起因したスジ状の帯電不良が発生し易い。一方、画像形成時に、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過する前後で感光ドラム1の表面電位は変わらない。そのため、前述のように、砂地が最も発生しにくい条件である。従って、AC放電電流量を最小限に抑えても、砂地が発生しない。AC放電電流量を最小限に抑える方法としては、既知の放電電流制御などを採用することができる。本実施例では、AC放電電流量が10μAになるように、第2の帯電ローラ2Bに印加するAC帯電バイアスのピーク間電圧を1250Vppとして、画像形成を行った。AC放電電流量を最小限に抑えることによって、感光ドラム1の劣化や画像流れの発生を大幅に軽減させることができる。又、AC放電電流による均し効果が得られるため、均一な帯電(除電)処理をすることが可能であり、高画質化を達成することができる。又、本実施例では、感光ドラム1の移動方向において上流側の第1の帯電ローラ2Aに直流電圧を印加し、下流側の第2の帯電ローラ2Bに直流電圧と交流電圧とを重畳した振動電圧を印加して感光ドラム1の表面を帯電処理する。斯かる構成によれば、画像形成装置100が高速化して比較的感光ドラム1の表面の移動速度が速い場合でも、感光ドラム1の帯電電位Vdの安定化を図ることができる。又、本実施例では、画像形成中に、測定回路13の測定結果に応じて、適宜、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを調整することができる。そのため、例えば、前回転工程などにおいて目標値を設定する制御のための時間が不要となるため、画像生産性の点でより有利である。
【0150】
尚、本実施例では、画像形成時に第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過する前後で感光ドラム1の表面電位が変わらず、第2の帯電ローラ2Bに直流電流が流れない条件とした。砂地をより良好に防止するためには、画像形成時に第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値は可及的にゼロに近いことが好ましい。しかし、画像形成時に第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値はゼロであることに限定されるものではない。帯電ACバイアス(即ち、AC放電電流量)の設定や要求される砂地の防止効果に応じて、画像形成時に第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値を、画像形成時に第1の帯電ローラ2Aに流れる直流電流値よりも小さくすることができる。例えば、画像形成時に第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値が、画像形成時に第1の帯電ローラ2Aに流れる直流電流値の80%〜100%程度であれば、所望に応じて砂地を防止する効果を得ることができる。即ち、例えば、画像形成時に第1の帯電ローラ2Aによって、目標電位Vdの80%〜100%まで感光ドラム1の表面の電位の絶対値を上昇させることができれば、所望に応じて第2の帯電ローラ2Bにおける異常放電による砂地を防止する効果を得ることができる。
【0151】
以上説明したように、本実施例によれば、画像形成時に、第2の帯電ローラ2Bに帯電DCバイアスと帯電ACバイアスとを重畳した振動電圧を印加しながら、第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値を測定する。そして、測定した直流電流値が0μAになるように第1の帯電ローラ2Aに帯電DCバイアスを印加して、感光ドラム1の表面電位の絶対値を目標電位Vdまで上昇させる。これによって、高画質化を達成しつつ、砂地の発生を抑えることができる。砂地が発生しにくいため、AC放電電流量を最小限とすることができ、感光ドラム1の劣化や画像流れを抑えることができる。又、本実施例によれば、画像形成中に第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを調整することによって、例えば前回転工程などにおいて制御目標値を決定する制御のための時間が不要となる。そのため、画像生産性の点でより有利である。このように、本実施例によれば、AC放電電流量を可及的に小さくした場合であっても、砂地状の画像不良などの異常放電による画像不良の発生を抑制することができる。
【0152】
実施例5
次に、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例は、実施例4の変形例である。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一の機能、構成を有する要素には同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0153】
実施例4では、画像形成中に第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを調整した。これに対して、実施例4と同様の制御を、非画像形成時に行うこともできる。
【0154】
実施例4において図17を参照して説明したものと同様の制御を、実施例1の場合と同様に目標値設定制御として、次のようなタイミングで行うことができる。即ち、例えばジョブ(一の画像形成開始信号による単数又は複数の転写材に対する一連の画像形成動作)の間に、例えば所定枚数の画像形成を行う毎などの所定期間毎に割り込み制御として行うことができる。
【0155】
図19は、実施例4と同様の制御を目標値設定制御として行う場合のフローチャートである。ここで、この目標値設定制御は、ジョブの間にN枚の画像形成を行う毎に割り込み制御として行われるものとする。
【0156】
制御回路14は、ジョブ中のN枚目の画像形成が終了した際に、目標値設定制御を開始すると、帯電処理動作を開始する。即ち、第1の帯電ローラ2Aの帯電DCバイアスを印加し、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電DCバイアスを目標電位Vd、帯電ACバイアスを放電が発生する条件とする(S601)。このとき、帯電DCバイアスは、例えば予め設定された初期値とされる。次に、制御回路14は、上記の条件で第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値Idcを測定回路13で測定する(S602)。制御回路14は、測定される直流電流値Idcが0μAでないときには第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを変動させて、測定される直流電流値Idcが0μAになるように調整する。そして、制御回路14は、測定される直流電流値Idcが0μAとなる第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスを、画像形成時の制御目標値として、制御回路14が内蔵する記憶手段としてのメモリ14aに記憶する(S603)。その後、制御回路14は、決定された帯電DCバイアスを用いてN+1枚目の画像形成を行う。
【0157】
尚、本実施例では、非画像形成時としてジョブの間に割り込み制御で目標値設定制御を行った。しかし、これに限定されるものではなく、他の非画像形成時、例えば、前多回転工程、前回転工程、紙間工程、又は後回転工程において目標値設定制御を行うこともできる。又、例えば、前多回転工程、前回転工程、紙間工程、後回転工程といった非画像形成時の期間のうち複数の非画像形成時の期間に目標値設定制御を実行してもよい。
【0158】
本実施例では、目標値設定制御時には、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスのピーク間電圧を1500Vppとする。又、画像形成時には、AC放電電流量が10μAになるように、第2の帯電ローラ2Bに印加するAC帯電バイアスのピーク間電圧を1250Vppとする。
【0159】
このように、本実施例では、第2の電源S1Bから第2の帯電部材2Bに振動電圧を印加しているときに第2の帯電部材2Bに流れる直流電流値を検知する検知手段13を有する。そして、制御手段14は、画像形成前に、次のような目標値設定制御を行う。即ち、目標値設定制御では、制御手段14は、検知手段13によって検知される直流電流値を可及的にゼロにするように第1の電源S1Aから第1の帯電部材2Aに印加する直流電圧を制御する。それと共に、感光体1の所定の帯電電位に相当する直流電圧と、感光体1と第2の帯電部材2Bとの間で放電を発生させる交流電圧とを重畳した振動電圧を第2の帯電部材2Bに印加するように第2の電源S1Bを制御する。そして、そのときの第1の電源S1Aの出力電圧値を目標電圧値として求める。そして、画像形成時に、制御手段14は、第1の電源S1Aから第1の帯電部材2Aに印加する直流電圧を、上記目標電圧値になるように制御する。
【0160】
本実施例のように、非画像形成時に目標値設定制御として実施例4と同様の制御を行うこともできる。
【0161】
実施例6
次に、本発明の更に他の実施例について説明する。本実施例は、実施例4の変形例である。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一の機能、構成を有する要素には同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0162】
実施例4では、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部に到達する直前の感光ドラム1の表面電位(残電位)が0Vである場合について説明した。しかし、画像形成装置100の各高圧電源のバイアス設定や、使用環境、使用履歴、使用される現像剤の種類などによって、様々な残電位となることがある。
【0163】
そこで、本実施例では、残電位が0Vでない場合について説明する。尚、本実施例の制御は、温度23℃、湿度50%の環境で行われるものとする。
【0164】
先ず、本実施例の制御の原理を説明するために、非画像形成時に次のような各種バイアス設定で画像形成装置100を動作させた場合について説明する。即ち、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電DCバイアスを−500V、帯電ACバイアスのピーク間電圧を1500Vppとする。又、現像DCバイアスを−350Vとする。又、転写バイアスを+400Vとする。そして、これらのバイアス設定を一定として、画像を作成せずに画像形成装置100を動作させる。そして、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスは、測定回路13によって測定される第2の帯電ローラ2B流れる直流電流値が0μAとなるように、所謂、定電流制御で出力される。本実施例では、第1の帯電電源S1Aは、定電圧制御で電圧を出力できると共に、測定回路13により測定される直流電流値が所定値となるように出力電圧値を変化させて、ソフトウェア的に定電流制御された電圧を出力できる。第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアス及び第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアス以外は、上記動作における各種バイアス設定などの画像形成装置100の各部の動作の設定は画像形成時の設定と同一である。
【0165】
図20は、上記のバイアス設定で画像形成装置100を動作させた際の感光ドラム1の各位置における表面電位を示す図である。
【0166】
第1の帯電ローラ2Aによる帯電部の直前における感光ドラム1の表面電位は−200Vである(図20の位置A)。そして、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスは、測定回路13によって測定される第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値が0μAとなるように定電流制御で出力される。そのため、後述するように、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位は−500Vとなる(図20の位置B)。
【0167】
又、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスは、DC帯電方式における放電開始電圧Vthの2倍以上のピーク間電圧(Vpp)であればよい。即ち、実施例4と同様、Vthの2倍である1200Vpp以上であればよい。このような条件のとき、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過した感光ドラム1の表面電位は、第2の帯電ローラ2Bに印加した帯電DCバイアスと同電位に収束する。
【0168】
上述のように、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスのピーク間電圧が1500Vppである場合、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位は−500Vとなる(図20の位置C)。
【0169】
ここで、測定回路13によって測定される第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値が0μAとなるということは、第2の帯電ローラ2Bによる帯電部を通過する前後の感光ドラム1の表面電位が変化していないということである。このことから、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位は−500Vであることがわかる(図20の位置B)。即ち、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過した感光ドラム1の表面電位は、第1の帯電ローラ2Aに印加された帯電DCバイアスによって、0V(図20の位置A)から−500V(図20の位置B)に変化していることがわかる。
【0170】
その後、感光ドラム1の表面電位が−500Vのまま、感光ドラム1の回転にともなって現像部cに到達する。感光ドラム1の表面電位(−500V)と現像DCバイアス(−350V)との電位差が小さいために、現像部cを通過した後でも感光ドラム1の表面電位は変化せず、−500Vである(図20の位置D)。
【0171】
その後、感光ドラム1の表面電位が−500Vのまま、感光ドラム1の回転にともなって転写部dに到達する。感光ドラム1の表面電位(−500V)と転写バイアス(+400V)との電位差による放電で、感光ドラム1の表面電位が−200Vとなり(図20の位置E)、再び第1の帯電ローラ2Aによる帯電部に到達する。
【0172】
上述のような制御を行いながら第1の帯電ローラ2Aに帯電DCバイアスを印加することにより、第1の帯電ローラ2Aによる帯電部を通過した後の感光ドラム1の表面電位を目標電位Vdとすることができる。
【0173】
本実施例の原理を説明するために、上述の制御は画像を作成せずに画像形成装置100を動作させて行った。実際には、本実施例では、上述のような制御(帯電DCバイアス制御)を、画像形成工程における画像形成中に行う。
【0174】
本実施例では、実際に上述のような帯電DCバイアス制御を画像形成時に行う場合、各種バイアス設定は、次の通りとする。第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電DCバイアスを−500V、帯電ACバイアスのピーク間電圧を1250Vppとする。又、現像DCバイアスを−350Vとする。又、転写バイアスを+600Vとする。画像形成中は、これらのバイアス設定は一定とする。そして、第1の帯電ローラ2Aに印加する帯電DCバイアスは、測定回路13によって測定される第2の帯電ローラ2Bに流れる直流電流値が0μAとなるように、所謂、定電流制御で出力される。ここで、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスのピーク間電圧は、放電開始電圧である1200Vppより僅かに大きい値となっており、AC放電電流量は約10μAである。
【0175】
このような帯電DCバイアス制御を画像形成中に行った場合の感光ドラム1の各位置における表面電位は、図20に示したものと同じになる。即ち、上述の本実施例の原理を説明する際に用いた例とは、第2の帯電ローラ2Bに印加する帯電ACバイアスが異なっているが、ピーク間電圧が1200Vpp以上の帯電ACバイアスを印加してAC放電を行っているという点は変わらない。そのため、画像形成中における感光ドラム1の各位置における表面電位は図20に示したものと同じになる。
【0176】
本実施例によれば、残電位が0Vでない場合であっても、実施例4と同様の効果を得ることができる。
【0177】
(その他)
上述の各実施例では、転写後の残電位に対して特に処置を行わず、その電位がそのまま第1の帯電ローラによる帯電部に到達する構成であった。しかし、感光ドラムの表面の移動方向において転写部と第1の帯電ローラによる帯電部との間に、除電手段として、例えば前露光装置を設け、残電位をキャンセルして0Vにしもよい。斯かる構成によれば、残電位を均一にコントロールすることができるため、上述の各実施例の制御を安定的に行う上で有効である。又、感光ドラム上の画像形成部と非画像形成部において、残存する電荷量の違いによるゴーストの発生を抑えることができる。
【0178】
又、上述の各実施例では、転写残トナーの除去手段としてクリーニング装置を用いる画像形成装置の例を挙げた。これに対して、転写残トナーの電荷適正化手段を有し、現像装置にて現像同時回収するクリーナレス方式の画像形成装置が知られている。本発明は、このようなクリーナレス方式の画像形成装置にも適用可能である。
【0179】
又、上述の各実施例では、画像形成装置は、感光ドラムから転写材にトナー像を直接転写する構成のものであった。これに対して、感光ドラムからトナー像を一時的に保持し搬送する中間転写体に転写し、中間転写体から転写材に転写する中間転写方式の画像形成装置が知られている。本発明は、このような中間転写方式の画像形成装置にも適用可能である。
【0180】
又、感光ドラムは、その表面抵抗が109〜1014Ωの電荷注入層を設けた直接注入帯電性のものであってもよい。電荷注入層を用いていない場合でも、例えば電荷輸送層が上記の抵抗範囲にある場合も同等の効果がえられる。更に、上記した各実施の形態における感光ドラムとして、表層の体積抵抗が約1013Ω・cmであるアモルファスシリコン感光体を用いてもよい。
【0181】
又、上述の各実施例では、可撓性の接触帯電部材として帯電ローラを用いた構成であったが、これ以外にも、例えばファーブラシ、フェルト、布などの形状・材質のものも使用可能である。更に、各種材質のものを組み合わせることによって、より適切な弾性、導電性、表面性、耐久性のものを得ることができる。
【符号の説明】
【0182】
1 感光ドラム
2A 第1の帯電ローラ
2B 第2の帯電ローラ
13 直流電流値測定回路
13A 第1の直流電流値測定回路
13B 第2の直流電流値測定回路
14 制御回路
S1A 第1の帯電電源
S1B 第2の帯電電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電像が形成される感光体と、移動する前記感光体の表面の帯電処理を行う第1の帯電部材と、前記感光体の表面の移動方向において前記第1の帯電部材による前記感光体の帯電処理部よりも下流側において前記感光体の表面の帯電処理を行う第2の帯電部材と、所定の帯電電位に帯電した前記感光体を露光して前記感光体に静電潜を形成する露光手段と、前記第1の帯電部材に直流電圧を印加する第1の電源と、前記第2の帯電部材に直流電圧と交流電圧とを重畳した振動電圧を印加する第2の電源と、前記第1の電源及び前記第2の電源を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、画像形成時に、前記第2の帯電部材による前記感光体の表面の帯電処理部に到達する前記感光体の表面電位を可及的に前記所定の帯電電位にする直流電圧を前記第1の帯電部材に印加するように前記第1の電源を制御すると共に、前記所定の帯電電位に相当する直流電圧と、前記感光体と前記第2の帯電部材との間で放電を発生させる交流電圧とを重畳した振動電圧を前記第2の帯電部材に印加するように前記第2の電源を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の電源から前記第1の帯電部材に直流電圧を印加しているときに前記第1の帯電部材に流れる直流電流値を検知する第1の検知手段と、前記第2の電源から前記第2の帯電部材に振動電圧を印加しているときに前記第2の帯電部材に流れる直流電流値を検知する第2の検知手段と、を有し、
前記制御手段は、画像形成前に、前記第1の帯電部材に流れる直流電流値を可及的にゼロにするように前記第1の電源を制御すると共に、前記所定の帯電電位に相当する直流電圧と、前記感光体と前記第2の帯電部材との間で放電を発生させる交流電圧とを重畳した振動電圧を前記第2の帯電部材に印加するように前記第2の電源を制御して、そのときに前記第2の帯電部材に流れる直流電流値を前記第2の検知手段によって検知すると共に、この検知された直流電流値に相当する直流電流値が前記第1の検知手段によって検知されるように前記第1の電源から前記第1の帯電部材に直流電圧を印加したときの前記第1の電源の出力電圧値を目標電圧値として求めて、画像形成時に、前記第1の電源から前記第1の帯電部材に印加する直流電圧を、前記目標電圧値になるように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の電源から前記第1の帯電部材に直流電圧を印加しているときに前記第1の帯電部材に流れる直流電流値を検知する第1の検知手段と、前記第2の電源から前記第2の帯電部材に振動電圧を印加しているときに前記第2の帯電部材に流れる直流電流値を検知する第2の検知手段と、を有し、
前記制御手段は、画像形成前に、前記第1の帯電部材に流れる直流電流値を可及的にゼロにするように前記第1の電源を制御すると共に、前記所定の帯電電位に相当する直流電圧と、前記感光体と前記第2の帯電部材との間で放電を発生させる交流電圧とを重畳した振動電圧を前記第2の帯電部材に印加するように前記第2の電源を制御して、そのときに前記第2の帯電部材に流れる直流電流値を目標直流電流値として前記第2の検知手段によって検知して、画像形成時に、前記第1の電源から前記第1の帯電部材に印加する直流電圧を、前記第1の検知手段によって検知される直流電圧値が前記目標直流電流値になるように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の電源から前記第2の帯電部材に振動電圧を印加しているときに前記第2の帯電部材に流れる直流電流値を検知する検知手段を有し、
前記制御手段は、画像形成時に、前記第1の電源から前記第1の帯電部材に印加する直流電圧を、前記検知手段によって検知される直流電流値を可及的にゼロにするように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2の電源から前記第2の帯電部材に振動電圧を印加しているときに前記第2の帯電部材に流れる直流電流値を検知する検知手段を有し、
前記制御手段は、画像形成前に、前記検知手段によって検知される直流電流値を可及的にゼロにするように前記第1の電源から前記第1の帯電部材に印加する直流電圧を制御すると共に、前記所定の帯電電位に相当する直流電圧と、前記感光体と前記第2の帯電部材との間で放電を発生させる交流電圧とを重畳した振動電圧を前記第2の帯電部材に印加するように前記第2の電源を制御して、そのときの前記第1の電源の出力電圧値を目標電圧値として求めて、画像形成時に、前記第1の電源から前記第1の帯電部材に印加する直流電圧を、前記目標電圧値になるように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−230139(P2012−230139A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96577(P2011−96577)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】