説明

画像形成装置

【課題】正反射光による補正パターンの検知タイミングと乱反射光による補正パターンの検知タイミングの差(相互検知誤差)を特定する。
【解決手段】パターン検知センサ7は、正反射光用発光素子201、乱反射光用発光素子202および受光素子204を備えている。光源切替部111は、正反射光用発光素子201を発光させるときは乱反射光用発光素子202を消灯しておく。光源切替部111は、乱反射光用発光素子202を発光させるときは正反射光用発光素子201を消灯しておく。オフセット検知部107は、正反射光の検知タイミングと乱反射光の検知タイミングとの差をオフセット値(相互検知誤差)として検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラー画像形成を行う複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置における色ずれ補正パターンの検知方法に関する。特に中間転写体の表面のグロスが低下したときの複数の発光部間検知タイミングを補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から複数の基本色(例えばイエロー、マゼンダ、シアン、ブラック)を重ね合わせて多色印刷画像を形成する多色画像形成装置が普及しつつある。多色画像形成装置では、複数色を重畳して多色画像を形成するため、各色の画像形成位置が理想位置からずれると、画像の品質が低下する。画像形成位置のずれを小さくするには、各色の画像形成部によって色ずれ補正パターンを形成し、それを読み取って各色の色ずれ量を算出し、算出した色ずれ量に応じて画像形成位置を補正すればよい。
【0003】
この補正パターンは、中間転写体の近傍に配置した光学センサ等によって検知することができる。具体的には、発光素子により中間転写体上に光を照射し、中間転写体の表面からの反射光の光量と中間転写体上に形成された補正パターンからの反射光の光量との違いを検知することで、パターンが認識される。特許文献1によれば、反射光を検知する方式として正反射光検知方式が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−177578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像形成を繰り返すことで、中間転写体の表面状態が変化し、いわゆるグロスの低下が進行する。この原因は、中間転写体の表面に残留したトナーをクリーニングすること、中間転写体が中間転写機構(転写装置)と摺擦することによって、中間転写体の表面が磨耗するからである。中間転写体表面からの正反射光量が変化すると、中間転写体表面からの正反射光量と中間転写体上に転写された補正パターンからの正反射光量の違いが検知できなくなる。
【0006】
そこで、グロスの低下した中間転写体における補正パターンを検知する方式として、2つの光源より補正パターンに光を照射し、その正反射光および乱反射光を1つの受光部にて検知する方式が提案されている。しかし、この方式では、正反射発光部の光軸と乱反射発光部の光軸がそれぞれ所望の設計値からずれてしまうと、相互検知誤差が生じるという課題がある。相互検知誤差とは、正反射発光部から出射した光が受光部に到着する時間と、乱反射発光部から出射した光が受光部に到着する時間の差である。相互検知誤差は、補正パターンの検知結果を本来の検知結果から変化させしまうため、最終的には色ずれ補正の精度を低下させてしまう。色ずれ補正の精度が低下を抑制するためには、正反射光による補正パターンの検知タイミングと乱反射光による補正パターンの検知タイミングの差(相互検知誤差)を特定することが必要となる。
【0007】
そこで、本発明は、正反射光による補正パターンの検知タイミングと乱反射光による補正パターンの検知タイミングの差(相互検知誤差)を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
それぞれ色の異なる画像を形成する複数の画像形成手段と、
画像形成手段により形成された各色のパターン画像を検知する検知手段であって、
パターン画像に光を照射する第1発光部と、
第1発光部が消灯しているときにパターン画像に光を照射する第2発光部と、
第1発光部からの光がパターン画像で反射されて得られた正反射光と、第2発光部からの光がパターン画像で反射されて得られた乱反射光とを受光する受光部とを備えた、検知手段と、
検知手段が正反射光によるパターン画像を検知した検知タイミングと乱反射光によるパターン画像を検知した検知タイミングの差を特定する特定手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1発光部と第2発光部と択一的に点灯させることで、パターン画像からの正反射光を検知したタイミングと、パターン画像からの乱反射光を検知したタイミングとが取得される。これにより、正反射光による補正パターンの検知タイミングと乱反射光による補正パターンの検知タイミングの差(相互検知誤差)を特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】画像形成装置の構成を説明する概略図
【図2】正反射光発光素子、乱反射光発光素子および受光素子の光学的な関係を示す図
【図3】パターン画像の位置と受光素子の出力波形の関係を示す図
【図4】(a)は中間転写ベルト耐久前におけるYMCKのパターン画像に対する受光素子の出力レベルを示し、(b)は中間転写ベルト耐久後におけるYMCKのパターン画像に対する受光素子の出力レベルを示す図
【図5】光軸ずれのない出力波形と光軸ずれある出力波形とを示す図
【図6】制御部のブロック図
【図7】(a)は正反射光の2値化を示し、(b)は乱反射光の2値化を示す図
【図8】2つの発光素子間の検知タイミングのオフセット値を示す図
【図9A】色ずれ補正の一部を示すフローチャート
【図9B】色ずれ補正の残りの一部を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
図1において、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の順で画像形成手段として機能する画像形成ステーションが配置されている。露光装置15a、15b、15c、15dは、それぞれ一様に帯電した感光体ドラム1a、1b、1c、1dを露光することで潜像画像を形成する。各潜像画像は、現像器16a、16b、16c、16dによって現像され、トナー像になる。感光体ドラム1a、1b、1c、1dに形成されたトナー像は、中間転写ベルト5の表面に順次重ねて転写される。これにより、多色のトナー像6が形成される。トナー像6は、ベルト支持ローラ3と転写ローラ4の接合部(転写位置)で用紙上に転写される。用紙は、搬送ベルト12によって図示しない定着部に送られる。定着部は、用紙上にトナー像を定着させる。
【0013】
図1が示すように、パターン検知センサ7は中間転写ベルト5の表面の近傍に配置されている。パターン検知センサ7は、中間転写ベルト5の表面に形成された各色の色ずれ補正パターンや中間転写ベルト5の表面自体(すなわち下地)を読み取る。補正パターンの読取結果は、各色の画像形成位置の理想位置に対するずれ量を表しているため、このずれ量に応じて画像形成位置を調整することで、色ずれが緩和される。画像形成位置の調整は、露光装置15a、15b、15c、15dの画像書き出しタイミングを調節することで実行される。
【0014】
図2を用いてパターン検知センサ7の構成例について説明する。パターン検知センサ7は、画像形成ステーションにより形成された各色のパターン画像を検知する検知手段として機能する。正反射光用発光素子201は、パターン画像または中間転写体の下地に光を照射する第1発光部として機能する。乱反射光用発光素子202は、正反射光用発光素子201が消灯しているときにパターン画像または中間転写体の下地に光を照射する第2発光部として機能する。受光素子204は、正反射光用発光素子201からの光がパターン画像で反射されて得られた正反射光と、乱反射光用発光素子202からの光がパターン画像で反射されて得られた乱反射光とを受光する受光部として機能する。ASIC101は、光源切替部111と閾値制御部112を備えている。光源切替部111は、正反射光用発光素子201と乱反射光用発光素子202とを択一的に発光させる発光制御手段として機能する。閾値制御部112は、正反射光用発光素子201が発光するときに第1閾値を選択し、乱反射光用発光素子202が発光するときに第2閾値を選択して出力する閾値選択手段として機能する。コンパレータ203は、受光素子204が出力する信号のレベルと、閾値制御部112により選択された閾値とを比較し、比較結果である信号を発生する信号発生手段として機能する。
【0015】
図2が示すように、正反射光用発光素子201から出射された光は中間転写ベルト5の下地またはそこに形成されているトナー像により反射され、正反射光が受光素子204に入射する。すなわち、光の入射角と反射角が等しくなるように、正反射光用発光素子201と受光素子204とが配置されている。一方、乱反射光用発光素子202から出射された光のうち、中間転写ベルト5の下地またはそこに形成されているトナー像により反射された乱反射光が受光素子204に入射する。つまり、乱反射光用発光素子202から出射した光の中間転写ベルト5に対する入射角と反射角は等しくならないように、乱反射光用発光素子202が配置されている。
【0016】
正反射光用発光素子201の光軸と乱反射光が受光素子204の光軸は、パターン検知センサ7の組立ての際に、設計値にしたがって光軸調整がなされるが、機差でのばらつきが生じる。この光軸ずれに基づき、正反射光用発光素子201の検知タイミングと乱反射光が受光素子204の検知タイミングがずれてしまう。よって、色ずれ補正の精度が低下してしまう。
【0017】
図3を用いて中間転写ベルト5の表面に形成されたYMC補正パターンPt、受光素子204の検知領域301、および、パターン検知センサ7が出力する乱反射光の検出結果である出力信号302の関係について説明する。図3において、状態i、状態ii、状態iii、状態ivおよび状態vは時系列に並んでいる。図3における矢印Fは中間転写ベルト5の搬送方向を示している。
【0018】
図3が示すように、出力信号302のレベルは、受光素子204の検知領域301に対して補正パターンPtが重なっている面積に比例したレベルとなる。最初の状態iと最後状態vでは、この面積がゼロであるため、出力信号302のレベルも最小値となる。状態iiでは、この面積が時間に比例して増加する状態であるため、出力信号302のレベルも時間に比例して増加する。状態iiiでは、面積が最大となるため、出力信号302のレベルも最大値となる。状態ivでは、面積が時間に比例して減少する状態であるため、出力信号302のレベルも時間に比例して減少する。
図3では、YMC補正パターンと乱反射光の検出結果である出力信号の関係を説明したが、K補正パターンまたは正反射光の検出結果である出力信号でも、出力信号のレベルは面積に応じて変化する。
【0019】
図4(a)は中間転写ベルト5の表面のグロスが高い状態における正反射光に対する受光素子204の出力レベルRoutと、乱反射光に対する出力レベルIoutを示している。グロスが高い状態は、中間転写ベルト5の耐久が進んでいない状態である。
【0020】
本実施例では中間転写ベルト5として黒色の光沢があるポリイミドシートを用いたものを想定している。正反射光においては中間転写ベルト5の下地へ照射した光の反射光の正反射成分が多いため、出力レベルRoutは高くなる。中間転写ベルト5の表面にパターン画像等のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像がある場合は正反射成分が少なくなるため、出力レベルRoutは低くなる。
【0021】
一方、中間転写ベルト5が黒色であるため、中間転写ベルト5の下地へ照射した光の反射光における乱反射成分は少ないため、出力レベルIoutは低くなる。中間転写ベルト5の表面にパターン画像等のイエロー、マゼンタ、シアンのトナー像があると乱反射成分が多くなるため、出力レベルIoutは高くなる。なお、ブラックパターンからの反射光には乱反射成分が少ないため、出力レベルIoutは低くなる。つまり、ブラックパターンを読み取ったときの出力レベルIoutは、中間転写ベルト5の下地を読み取ったときの出力レベルIoutとほぼ同じとなる。
【0022】
このように、グロスが高い状態であれば、正反射光の出力レベルRoutからブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー像を検知でき、乱反射光の出力レベルIoutからイエロー、マゼンタ、シアンのトナー像を検知できる。
【0023】
図4(b)は中間転写ベルト5の表面のグロスが低い状態における正反射光に対する受光素子204の出力レベルRoutと、乱反射光に対する出力レベルIoutを示している。グロスが低い状態は、中間転写ベルト5の耐久が進んでしまった状態である。
【0024】
グロスが低下すると、中間転写ベルト5の下地へ照射した光に基づく反射光の正反射成分が減少する。よって、グロスが低い状態の出力レベルRoutは、グロスが高い状態の出力レベルRoutと比較して、低くなる。よって、図4(b)に示すように、中間転写ベルト5の下地の出力レベルRoutと、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー像の出力レベルRoutとがほぼ同等となってしまう。中間転写ベルト5のグロスが低下したとしても、ブラックパターン(ブラックトナー像)からの正反射光の出力レベルRoutは、中間転写ベルト5の下地から正反射光の出力レベルRoutより低くなる。
一方、中間転写ベルト5の下地およびイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像からの乱反射光の出力レベルIoutは、グロスの状態とグロスの低い状態とでそれほど変化しない。
【0025】
このように、グロスの状態にかかわらず正反射光の出力レベルRoutを用いることによりブラックのトナー像を検知でき、乱反射光の出力レベルIoutからイエロー、マゼンタ、シアンのトナー像を検知できる。つまり、正反射光と乱反射光とをそれぞれ検知すれば、グロスの状態に拘わらず、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー像をすべて検知できるようになる。
しかしながら、図2に示すパターン検知センサ7では、正反射光用発光素子201の検知タイミングと乱反射光が受光素子204の検知タイミングを合わせる必要がある。そして、この検知タイミングを合わせるためには、任意の一色について正反射光と乱反射光との双方でトナー像を検知できなければならない。
【0026】
図5を用いて、正反射光による補正パターンの検知タイミングと乱反射光による補正パターンの検知タイミングの差(相互検知誤差)について説明する。ここでは、補正パターンPtを検知したときの正反射光のアナログ出力レベルRoutとそのデジタル出力レベルRout_d、および、乱反射光のアナログ出力レベルIoutとそのデジタル出力レベルIout_dについて説明する。
【0027】
乱反射検出における光軸がずれていない場合、補正パターンPtを検知したときの乱反射光のアナログ出力レベルIoutには、波形歪みがない。乱反射光のアナログ出力レベルIoutを所定の閾値Th2によって2値化することで、デジタル出力レベルIout_dが得られる。
【0028】
一方、正反射検出における光軸がずれている場合、補正パターンPtを検知したときの正反射光のアナログ出力レベルRoutは、図5に示すように、歪んだ波形となる。正反射光のアナログ出力レベルRoutは、所定の閾値Th1によって2値化され、デジタル出力レベルRout_dが得られる。
【0029】
光軸ずれがなければ、補正パターンPtの中心と乱反射光のデジタル出力レベルIout_dのパルス波形の中心とは一致する。つまり、補正パターンPtの立ち上がりタイミングからその中心までの時間daと、乱反射光のデジタル出力レベルIout_dの立ち上がりタイミングからその中心までの時間dcが一致する。図5には示していないが、これは、正反射光のデジタル出力レベルRout_dのパルス波形の中心とも一致する。一方、光軸ずれが発生すると、補正パターンPtの中心と正反射光のデジタル出力レベルRout_dのパルス波形の中心とが一致しなくなってしまう。つまり、補正パターンPtの立ち上がりタイミングからその中心までの時間daと、乱反射光のデジタル出力レベルIout_dの立ち上がりタイミングからその中心までの時間deが一致しなくなる。このdcとdeとの差が検知タイミングずれに相当する。
【0030】
図6を用いて実施形態における制御システムの構成について説明する。CPU109は、制御システムの中枢であり、各種命令をコントロールしている。CPU109はROM110に格納されているプログラムを実行することで各種の手段として機能する。
【0031】
パターン検知センサ7の受光素子204は、中間転写ベルト5の表面(下地)またはそこに形成されたトナー像からの反射光の受光量に応じた電圧を出力する。正反射光を受光して受光素子204が出力した出力電圧信号は第1閾値Th1が設定されたコンパレータ203に入力される。乱反射光を受光して受光素子204が出力した出力電圧信号は第2閾値Th2が設定されたコンパレータ203に入力される。コンパレータ203では、第1の閾値Th1または第2の閾値Th2によって2値化したデジタル信号を出力する。一方で、受光素子204が出力したアナログの出力電圧信号はA/Dコンバータ205にも入力される。A/Dコンバータ205は、アナログの出力電圧信号をデジタルの出力信号へ変換し、CPU109に出力する。
【0032】
ASIC101はデジタル集積回路であり、各種の機能を備えている。パターン生成部102は、パターン画像のもととなる画像データを生成し、露光装置に出力する。読取制御部103は、コンパレータ203が出力するデジタルの出力信号を読み取り、一時的にデータを格納する。色ずれ算出部104は、読取制御部103が保持しているデータに基づいて各色のずれを算出する。一般に、基本色(例:ブラックパターン)の検知タイミングと、基本色以外の他色の検知タイミングとの時間差はそれぞれ固定値とならなければならない。なぜなら、図4が示すようにYMCKのパターン間の距離は一定だからである。よって、基本色(例:ブラックパターン)の検知タイミングと、基本色以外の他色の検知タイミングとの時間差と、設計上の固定値との差分が色ずれ量として算出される。
【0033】
色ずれ補正部105は、色ずれ算出部104が算出した色ずれ量に応じた時間だけ書き込みタイミングを調整する。表面状態算出部106は、中間転写ベルト5の表面からの反射光の受光量から中間転写ベルト5の表面光沢度(グロスレベル)を算出する。表面状態算出部106は、受光量と表面光沢度との関係を示す数式を使用してもよいし、これらの関係を表すテーブルを使用してもよい。CPU109は、表面状態算出部106が算出した表面光沢度と閾値とを比較し、表面光沢度が閾値を超えていれば中間転写ベルト5の交換を不要と判定し、表面光沢度が閾値を超えていなければ中間転写ベルト5の交換が必要と判定する。
【0034】
オフセット検知部107は、正反射光用発光素子201からの光に基づく正反射光を受光素子204が検知したタイミングと、乱反射光用発光素子202からの光に基づく乱反射光を受光素子204が検知したタイミングとの差を算出する。さらに、オフセット検知部107は、この差を検知タイミングのずれ(オフセット値)として保持する。オフセット検知部107は、受光素子204が正反射光を受光したときに出力する信号のレベルと第1閾値の比較に応じてコンパレータ203が発生した信号と、受光素子204が乱反射光を受光したときに出力する信号のレベルと第2閾値の比較に応じてコンパレータ203が発生した信号とから、正反射光によるパターン画像の検知タイミングと乱反射光によるパターン画像の検知タイミングの差を特定する特定手段として機能する。
【0035】
光源切替部111は、正反射光用発光素子201と乱反射光用発光素子202とを択一的に選択して点灯させたり、消灯させたりする。閾値制御部112は、正反射光用発光素子201が発光しているときは第1閾値Th1を選択してコンパレータ203に設定し、乱反射光用発光素子202が発光しているときは第2閾値Th2を選択してコンパレータ203に設定する。
【0036】
図7(a)を用いて、乱反射光を受光素子204が受光したときに出力する電圧信号の出力レベルIoutと、コンパレータ203が出力する出力信号の出力レベルIout_dとの関係を説明する。図3にて示したように、光軸がずれていない状態でのトナー像の乱反射の出力レベルIoutの波形は、三角となる。コンパレータ203は、出力レベルIoutが第2閾値Th2を上回ったときに“1”に相当する出力レベルIout_dを出力し、出力レベルIoutが第2閾値Th2を上回っていないときに“0”に相当する出力レベルIout_dを出力する。
【0037】
図7(b)を用いて、光軸がずれていない状態でトナー像からの正反射光を受光素子204が受光したときに出力する出力レベルRoutと、コンパレータ203が出力する出力信号の出力レベルRout_dとの関係を説明する。図7(b)が示すように、コンパレータ203は、出力レベルRoutが第1閾値Th1を下回ったときに“1”に相当する出力レベルRout_dを出力する。また、コンパレータ203は、出力レベルRoutが第1閾値Th1を下回っていないときに“0”に相当する出力レベルRout_dを出力する。
【0038】
図8を用いて、正反射光用発光素子201からの光に基づく正反射光を受光素子204が検知したタイミングと、乱反射光用発光素子202からの光に基づく乱反射光を受光素子204が検知したタイミングとのオフセットを算出する方法について説明する。正反射光でパターンを検知したタイミングと乱反射光でパターンを検知したタイミングとの相対量にて色ずれ補正を行う場合、図5に示したような光軸ずれが発生すると、色ずれの補正精度が低下する。これは、正確な色ずれ量を検知できなくなってしまうからである。そこで、光軸ずれなどによる正反射光による検知タイミングと乱反射光による検知タイミングのずれ量をオフセット値として保持し、相対量を算出するときにこれを加算して修正する。これにより相対量が正確な値に近づくため、色ずれ補正の精度が低下しにくくなる。
【0039】
図8が示すように、光源切替部111は、乱反射光用発光素子202に対して点灯信号dsを出力するとともに、オフセット検知部107がカウンタ(またはタイマー)をスタートさせる。オフセット検知部107は、読取制御部103に保持されたパターンの読取データから、出力レベルIout_dのパルスの中心を特定する。さらに、オフセット検知部107は、点灯信号dsがオンになったタイミングからパルスの中心までのカウント値C1をカウンタから取得する。
【0040】
同様に、光源切替部111は、乱反射光用発光素子202を消灯し、正反射光用発光素子201に点灯信号dsを出力する。オフセット検知部107は、点灯信号dsがオンになるとカウンタ(またはタイマー)をスタートさせる。オフセット検知部107は、読取制御部103に保持されたパターンの読取データから、出力レベルRout_dのパルスの中心を特定する。さらに、オフセット検知部107は、点灯信号dsがオンになったタイミングからパルスの中心までのカウント値C2をカウンタから取得する。最後に、オフセット検知部107は、C1とC2との差分をオフセット値osとして算出する。
【0041】
以下に本発明の本体動作時における一連のフローについて図9Aないし図9Bを用いて説明する。正反射光と乱反射光の光軸ずれ量が変化するタイミングは、パターン検知センサ7と中間転写ベルト5の相対的な位置関係が変化するタイミングである。たとえば、以下のタイミング(メンテナンス条件)が想定される。
1.画像形成装置の本体組立てたとき
2.画像形成装置の本体を居室に設置したとき
3.中間転写ベルト5を交換したとき
4.パターン検知センサ7を交換したとき
このような作業はオペレータやメンテナンス担当者が行う。オペレータやメンテナンス担当者は、操作部を操作してCPU109のメンテナンスモードにログインし、オフセット値を求めて色ずれ量を補正する。図8に示したように同一パターンに対する正反射光と乱反射光の検知タイミングのずれが測定される。そのため、中間転写ベルト5の表面光沢度は“正反射光においてパターンを正しく認識できるようにパターンと中間転写ベルト5の下地との出力レベルの差を確保できる”程度の値でなければならない。
【0042】
S900で、CPU109は、操作部から入力された情報がメンテナンス条件を満たしているかどうかを判定する。CPU109は、本体組立て後、本体設置時、中間転写ベルト交換時、または、センサ交換時であるかを問い合わせるメッセージを操作部の表示装置に表示する。CPU109は、メンテナンス条件を満たす入力が操作部において実行されると、S901に進む。一方、メンテナンス条件が満たされていなければ、S906に進む。
【0043】
S901で、CPU109は、メンテナンスモードにログインする。S902で、CPU109は、メンテナンスモードにしたがって表面状態算出部106を使用して、表面のグロスが所定の基準値を下回っているかどうかを判定する。表面状態算出部106が算出したグロスが基準値を超えていなければ、S903に進む。S903で、CPU109は、操作部の表示装置に中間転写ベルト5の交換を促すアラームメッセージを表示する。その後、S905に進む。一方、グロスが基準値を超えていれば、S904に進む。S904で、CPU109は、メンテナンスモードにしたがってオフセット値算出処理(図9B)を実行する。このように、オフセット検知部107およびCPU109は、S902でパターン画像が形成される中間転写体の表面のグロス値が基準値を超えていると判定すると、S904で検知タイミングの差を特定する。オフセット値の算出が終了するとS905に進む。S905で、CPU109は、メンテナンスモードをログアウトする。
【0044】
S906で、CPU109は、プリント待機状態に移行する。S907で、CPU109は、プリントジョブを受信したかどうかを判定する。CPU109は、プリントジョブを受信していなければS906に戻り、プリントジョブを受信していればS908に進む。
【0045】
図9BのS908で、CPU109は、プリント動作を開始する。S909で、CPU109は、プリント枚数のカウント値が所定の閾値を超えたか否かを判定する。この判定は、色ずれ補正が必要か否かを判定する処理である。一般にプリント枚数が増えると、色ずれも増える傾向にある。そのため、プリント枚数を色ずれ補正の開始条件としている。なお、CPU109は、プリント枚数をカウンタによりカウントし、EEPROMなどの不揮発性のメモリに記憶しておくものとする。プリント枚数が閾値を超えていれば、色ずれ補正を開始するために、S910に進む。一方、プリント枚数が閾値を超えていなければ、色ずれ量は十分に小さいと推定されるため、S911に進む。
【0046】
S911で、CPU109は、プリントジョブにより指定されたすべての画像形成が終了したか否かを判定する。プリントジョブが終了していなければS908に戻る。プリントジョブが終了したのであれば、S912に進む。S912で、CPU109は、画像形成装置の本体電源のオフにする指示が操作部の入力装置から入力されたかどうかを判定する。オフ指示が入力されていなければ、S906の待機状態に戻る。一方、オフ指示が入力されたのであれば、CPU109は、電源装置に電源オフを指示する。
【0047】
図9Bを用いてオフセット値の算出動作について詳細に説明する。S904のオフセット値算出処理を詳細に説明したものがS921ないしS927である。S921で、CPU109は、パターン生成部102を使用して、中間転写ベルト5にオフセット検知用のパターン(検知パターン)を形成する。この検知パターンは、正反射光と乱射反射光の両方によって検知できなければならない。図5(a)が示すように、検知パターンは、YMCのいずれかのトナー色で形成される。なお、YMCの検知パターンの形状や濃度などは、後述する色ずれ補正パターンの形状や濃度と同一であってもよいし、異なってもよい。ただし、両者を同一のパターンとすれば、パターン生成部102を簡素な構成にできる利点がある。
【0048】
S922で、検知パターンの形成を開始したタイミングから所定時間だけ経過したタイミングにて光源切替部111に正反射光用発光素子201を点灯するよう指示する。光源切替部111は、正反射光用発光素子201を選択して駆動信号を出力する。これにより、正反射光用発光素子201が点灯する。オフセット検知部107は、CPU109からの指示に従って、検知パターンの形成を開始したタイミングにカウンタをスタートする。受光素子204は、検知パターンからの正反射光を検知し、正反射光の光量に対応したアナログの出力信号を出力する。閾値制御部112は、CPU109から指示に従って第1閾値Th1をコンパレータ203に設定する。コンパレータ203は、アナログの出力信号を第1閾値Th1にて2値化してデジタルの出力信号を読取制御部103に出力する。
【0049】
S923で、CPU109は、オフセット検知部107を用いて、正反射光用発光素子201の点灯開始タイミングからパルスの中心位置までのカウント値C2をカウントする。まず、オフセット検知部107は、読取制御部103から出力信号を読み出して、出力信号のパルスの中心を決定する。次に、オフセット検知部107は、正反射光用発光素子201の点灯開始タイミングからパルスの中心位置までのカウント値C2をカウンタから求めて保存する。
【0050】
S924で、CPU109は、パターン生成部102を使用して、中間転写ベルト5に検知パターンを形成する。これは、乱反射光においても正反射光の場合と同一シーケンスにて検知パターンを検知するためである。
【0051】
S925で、CPU109は、検知パターンの形成を開始したタイミングから所定時間だけ経過したタイミングにて光源切替部111に乱反射光用発光素子202を点灯するよう指示する。光源切替部111は、乱反射光用発光素子202を選択して駆動信号を出力する。これにより、乱反射光用発光素子202が点灯する。オフセット検知部107は、CPU109からの指示に従って、検知パターンの形成を開始したタイミングにカウンタをスタートする。受光素子204は、検知パターンからの乱反射光を検知し、乱反射光の光量に対応したアナログの出力信号を出力する。コンパレータ203は、アナログの出力信号を第1閾値Th1にて2値化してデジタルの出力信号を読取制御部103に出力する。閾値制御部112は、CPU109から指示に従って第2閾値Th2をコンパレータ203に設定する。コンパレータ203は、アナログの出力信号を第2閾値Th2にて2値化してデジタルの出力信号を読取制御部103に出力する。
【0052】
S926で、CPU109は、オフセット検知部107を用いて、乱反射光用発光素子202の点灯開始タイミングからパルスの中心位置までのカウント値C1をカウントする。まず、オフセット検知部107は、読取制御部103から出力信号を読み出して、出力信号のパルスの中心を決定する。次に、オフセット検知部107は、乱反射光用発光素子202についての点灯開始タイミングからパルスの中心位置までのカウント値C1をカウンタから求めて保存する。
【0053】
S927で、CPU109は、オフセット検知部107を用いて、カウント値C2とカウント値C1との差分をオフセット値osとして算出し、オフセット検知部107に保存する。
【0054】
図9Bを用いて色ずれ補正処理について詳細に説明する。S910の色ずれ補正処理を詳細に説明したものがS931ないしS936である。
【0055】
S931で、CPU109は、パターン生成部102を使用して、中間転写ベルト5に色ずれ補正用のパターン(補正パターン)を形成する。補正パターンは、正反射光と乱射反射光のいずれか一方によっても検知できればよい。図5(a)が示すように、検知パターンは、YMCKのトナー色で形成される。ここでは、ブラックパターン、イエローパターン、マゼンタパターン、シアンパターンの順番で補正パターンが形成される。これは、ブラックパターンを基準として他色のパターンの色ずれ量を求めるためである。
【0056】
S932で、CPU109は、パターン検知を実行する。CPU109は、光源切替部111を用いて、正反射光用発光素子201を点灯させる。なお、CPU109は、乱反射光用発光素子202を消灯させておく。さらに、CPU109は、閾値制御部112を用いて第1閾値Th1をコンパレータ203に設定する。ブラックパターンの検知が終わると、CPU109は、光源切替部111を用いて、乱反射光用発光素子202を点灯させる。CPU109は、正反射光用発光素子201を消灯させておく。さらに、CPU109は、閾値制御部112を用いて第2閾値Th2をコンパレータ203に設定する。これにより、正反射光にて検知したブラックパターンに対応したアナログの出力信号は第1閾値Th1にてデジタルの出力信号に変換される。乱反射光にて検知したイエローパターン、マゼンタパターン、シアンパターンに対応したアナログの出力信号は第2閾値Th2にてデジタルの出力信号に変換される。デジタルの出力信号は読取制御部103に格納される。このように、光源切替部111は、パターン画像のうちブラックトナーにより形成されたブラックパターンを検知するときには正反射光用発光素子201を発光させて乱反射光用発光素子202を消灯する。また、光源切替部111は、パターン画像のうちブラックとは異なる色のトナーである他色トナーにより形成された他色パターンが検知するときには乱反射光用発光素子202を発光させて正反射光用発光素子201を消灯する。
【0057】
S933で、CPU109は、色ずれ算出部104を用いて、各色間の相対的な色ずれ量を算出する。ここでは、ブラックパターンに対応した出力信号のパルスの中心から、他の色のパターンに対応した出力信号のパルスの中心までの距離(時間)を算出する。この距離は、に対する他色パターンの相対的な色ずれ量に相当する。よって、色ずれ算出部104は、パターン検知センサ7によるブラックパターンの検知タイミングと、他色パターンの検知タイミングとの差分からブラックパターンに対する他色パターンの相対的な色ずれ量を算出する色ずれ量算出手段として機能する。
【0058】
S934で、CPU109は、色ずれ補正部105を用いて、算出した色ずれ量にオフセット値osを加算することで、色ずれ量を補正する。これにより、光軸ずれなどに起因した正反射光と乱反射光かんの検知タイミングのずれが補正される。このように、色ずれ補正部105は、色ずれ算出部104が算出した色ずれ量に対して、正反射光によるパターン画像の検知タイミングと乱反射光によるパターン画像の検知タイミングの差を加算することで、色ずれ量を修正する修正手段として機能する。
【0059】
S935で、CPU109は、色ずれ補正部105を用いて、この補正された色ずれ量を加算することでYMCの書き込みタイミングを補正する。書き込みタイミングの補正では、主走査方向と副走査方向でそれぞれ実行される。主走査方向については、主走査書同期信号を起点とした書き込みタイミングを補正する。一方、副走査方向については、副走査同期信号を起点とした書き込みタイミングを補正する。このように、色ずれ補正部105は、修正された色ずれ量を他色パターンの書き込みタイミングに加算して書き込みタイミングを補正する補正手段として機能する。S936で、CPU109は、プリント枚数のカウント値をゼロにクリアする。これは、プリント枚数が閾値を超えるたびに色ずれ補正を起動するためである。
【0060】
本実施形態によれば、正反射光用発光素子201と乱反射光用発光素子202とを切り替えかつ閾値も切り替えて使用することで、正反射光によるパターンの検知タイミングと乱反射光によるパターンの検知タイミングの差(オフセット値)を特定できる。なお、オフセット値が分かれば、その値により補正パターンの検知タイミング、つまり、色ずれ量を修正できる。よって、補正パターンに光を照射する複数の発光部の光軸が設計値からずれたとしても色ずれ補正の精度を低下しにくくすることが可能となる。
【0061】
本実施形態では中間転写ベルト5上にパターンを形成することを前提として説明した。しかし、連続紙にパターンを作成してもよいし、用紙搬送ベルトで搬送される用紙にパターンを作成してもよい。この場合、パターン検知センサ7の配置を、連続紙や用紙を検知可能な位置に変更すればよい。ただし、連続紙や用紙を使用するよりも、中間転写ベルト5を使用したほうが、ランニングコストの面で有利であろう。一方で、連続紙や用紙を使用すれば、中間転写ベルト5の表面のグロスの影響を受けない利点がある。
【0062】
本実施形態では電子写真プロセスを利用して印刷を行う画像形成装置を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばインクジェット方式の印刷装置にも適用できる。本発明の技術思想は、複数色の記録剤(トナーやインクなど)使用する画像形成方式であれば適用可能な技術思想だからである。
【0063】
本実施形態では正反射光用発光素子201および乱反射光用発光素子202を択一的に発光させ単一の受光素子によりパターンを検知することを主要な構成用としているが、このパターンの濃度を検知してもよい。つまり、イエロー、マゼンタ、シアンといった他色パターンの濃度は、乱反射光用発光素子202が出射した光に基づく乱反射光の光量により検知すればよい。一方、ブラックパターンの濃度は、正反射光用発光素子201が出射した光に基づく正反射光の光量により検知すればよい。
【0064】
本実施形態では図7(a)、図7(b)に示すように正反射光用発光素子201、乱反射光用発光素子202は択一的に発光させて単一の受光素子204により検知した光量に対応した信号波形をある閾値に基づいてコンパレートすることでパルス信号を発生させる。さらに、パルス信号の中心位置を算出することで色ずれ補正を行うことを前提として説明した。しかし、アナログの信号波形のピーク値を検知してパルス信号を発生させて、色ずれ補正を行ってもよい。つまり、オフセット値の算出処理や色ずれ補正処理において、ピーク値の位置が上述した中心位置に置き換わって使用されることになる。
【0065】
本実施形態では中間転写ベルト5の表面光沢度を正反射光用発光素子201で検知することを前提として説明した。しかし、中間転写ベルト5の耐久の程度を推定できる物理的なパラメータであれば、表面性の検知対象は光沢度以外のパラメータであってもよい。このようなパラメータとしては、たとえば、画像の形成枚数や中間転写ベルト5の使用時間などがある。正反射光用発光素子201に代えて、乱反射光用発光素子202や他の追加の発光素子と受光素子を採用してもよい。
【0066】
本実施形態では中間転写ベルト5の耐久によって表面光沢度が下がっていくものを対象とした。しかし、耐久によって表面光沢度が上がっていく中間転写ベルト5や、線形的な変化をしない中間転写ベルト5に本発明を適用してもよい。いずれの場合であっても、耐久の程度を測定して、中間転写ベルト5を交換すればよいかどうかを判定できるからである。
【0067】
本実施形態では2つの発光素子間の検知タイミングのずれを主に光軸ずれに起因するものとて説明した。しかし、発光素子の特性や回路特性などによって結果的に正反射光と乱反射光との検知タイミングにずれが生じるケースでも本実施形態は適用できる。つまり、本発明は、何らかの原因によって正反射光と乱反射光との検知タイミングが設計値からずれてしまったときにこのずれを特定できる発明だからである。
【0068】
なお、図7(a)および図7(b)が示すように、各閾値とデジタルの出力信号(パルス信号)の継続期間とは密接な関係がある。グロスが低下してくると、アナログの出力信号のレベルが低下するため、パルス信号の継続期間が変動してしまう。そこで、下地や所定濃度のトナーパターン画像を正反射光で読み取って、正反射光に対応したパルス信号の継続期間が一定となるように、閾値Th1をCPU109が調整してもよい。このように、CPU109は、正反射光用発光素子201が発光したときの受光素子204の検知結果に応じて第1閾値を調整する調整手段として機能する。同様に、下地や所定濃度のトナーパターン画像を正反射光で読み取って、乱反射光に対応したパルス信号の継続期間が一定となるように、閾値Th2をCPU109が調整してもよい。このように、CPU109は、乱反射光用発光素子202が発光したときの受光素子204の検知結果に応じて第2閾値を調整する調整手段として機能する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ色の異なる画像を形成する複数の画像形成手段と、
前記画像形成手段により形成された各色のパターン画像を検知する検知手段であって、
前記パターン画像に光を照射する第1発光部と、
前記第1発光部が消灯しているときに前記パターン画像に光を照射する第2発光部と、
前記第1発光部からの光が前記パターン画像で反射されて得られた正反射光と、前記第2発光部からの光が前記パターン画像で反射されて得られた乱反射光とを受光する受光部とを備えた、前記検知手段と、
前記第1発光部と前記第2発光部とを択一的に発光させる発光制御手段と、
前記検知手段が前記正反射光による前記パターン画像を検知した検知タイミングと前記乱反射光による前記パターン画像を検知した検知タイミングの差を特定する特定手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記発光制御手段は、前記パターン画像のうちブラックトナーにより形成されたブラックパターンを前記検知手段が検知するときには前記第1発光部を発光させて前記第2発光部を消灯し、前記パターン画像のうちブラックとは異なる色のトナーである他色トナーにより形成された他色パターンを前記検知手段が検知するときには前記第2発光部を発光させて前記第1発光部を消灯することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知手段による前記ブラックパターンの検知タイミングと、前記他色パターンの検知タイミングとの差分から前記ブラックパターンに対する前記他色パターンの相対的な色ずれ量を算出する色ずれ量算出手段と、
前記色ずれ量算出手段が算出した色ずれ量に対して、前記正反射光による前記パターン画像の検知タイミングと前記乱反射光による前記パターン画像の検知タイミングの差を加算することで、前記色ずれ量を修正する修正手段と、
前記修正手段により修正された色ずれ量を前記他色パターンの書き込みタイミングに加算して該書き込みタイミングを補正する補正手段と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1発光部が発光するときに第1閾値を選択し、前記第2発光部が発光するときに第2閾値を選択して出力する閾値選択手段と、
前記受光部が出力する信号のレベルと、前記閾値選択手段により選択された閾値とを比較し、比較結果である信号を発生する信号発生手段と
をさらに備え、
前記特定手段は、
前記受光部が前記正反射光を受光したときに出力する信号のレベルと前記第1閾値の比較に応じて前記信号発生手段が発生した信号と、前記受光部が前記乱反射光を受光したときに出力する信号のレベルと前記第2閾値の比較に応じて前記信号発生手段が発生した信号とから、前記正反射光による前記パターン画像の検知タイミングと前記乱反射光による前記パターン画像の検知タイミングの差を特定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1発光部が発光したときの前記受光部の検知結果に応じて前記第1閾値を調整する調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2発光部が発光したときの前記受光部の検知結果に応じて前記第2閾値を調整する調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記特定手段は前記パターン画像が形成される中間転写体の表面のグロス値が基準値を超えているときに、前記検知タイミングの差を特定することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2012−237867(P2012−237867A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106620(P2011−106620)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】