画像形成装置
【課題】画像出力動作中の帯電部材近傍の環境が変動しても適正なピーク間電圧値に設定できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】交流電圧と直流電圧とを重畳して振動電圧を生成し、振動電圧を帯電部材60に印加する振動電圧生成部61と、交流電圧のピーク間電圧値Vppを制御する電圧制御部62と、像担持体2と帯電部材60との間の直流電流値Idcを検知する電流検知部63と、画像出力動作の開始時に電圧制御部62で制御される適正ピーク間電圧値Vpp(O)を印加したときに電流検知部63により検知される直流電流値Idc(O1)と、画像出力動作中に電流検知部63により検知される直流電流値Idc(O2)との差分△Idcの絶対値が電流閾値を上回るか否かを判定する判定部64と、を備え、電圧制御部62は、差分△Idcの絶対値が電流閾値を上回ると判定された場合に、画像出力動作を中断してピーク間電圧値Vppの制御を再度実行する。
【解決手段】交流電圧と直流電圧とを重畳して振動電圧を生成し、振動電圧を帯電部材60に印加する振動電圧生成部61と、交流電圧のピーク間電圧値Vppを制御する電圧制御部62と、像担持体2と帯電部材60との間の直流電流値Idcを検知する電流検知部63と、画像出力動作の開始時に電圧制御部62で制御される適正ピーク間電圧値Vpp(O)を印加したときに電流検知部63により検知される直流電流値Idc(O1)と、画像出力動作中に電流検知部63により検知される直流電流値Idc(O2)との差分△Idcの絶対値が電流閾値を上回るか否かを判定する判定部64と、を備え、電圧制御部62は、差分△Idcの絶対値が電流閾値を上回ると判定された場合に、画像出力動作を中断してピーク間電圧値Vppの制御を再度実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンター、複写機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する画像形成装置においては、像担持体の表面に帯電部材を接触配置又は近接配置し、帯電部材に交流電圧と直流電圧とが重畳された振動電圧を印加することにより、像担持体の表面を所定の電位に帯電させる接触帯電方式が採用される。
【0003】
このような接触帯電方式において、放電現象によって窒素酸化物やオゾン等の放電生成物が生成され、放電生成物が像担持体の表面へ付着しやすい場合がある。像担持体の表面に付着した放電生成物は、水分と反応することにより導電性の物質に変化し、その結果、像担持体の表面の電気抵抗が低下して、像担持体の表面の電位を静電潜像の形成に必要な電位に保持できなくなる場合がある。
この状態で現像が行なわれると、得られるトナー画像に滲みやボケ等を含む画像流れ現象が発生し、著しい画質の劣化が生じる場合がある。特に、空気中の水分が多い高温高湿環境下では、上述の画像流れ現象が発生しやすい。
【0004】
画像流れ現象は、環境条件が高温高湿の場合に発生するとは限らず、例えば、常温常湿の環境条件であっても、環境条件が低温状態から急激に常温常湿に変動した場合、像担持体の表面が結露状態となって、画像流れ現象が発生する場合がある。
また、画像流れ現象は、環境条件(温度、湿度)の変動だけでなく、像担持体や帯電部材等の特性の経年変化によっても発生する場合がある。
【0005】
そこで、環境条件の変動及び像担持体や帯電部材等の性能の経年変化にかかわらず、交流電圧の適正ピーク間電圧を精度よく設定可能な電圧制御部を備えた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1に開示されている電圧制御部は、図3に示すように、交流電圧のピーク間電圧値Vppと、帯電部材と像担持体との間の直流電流値Idcとの関係を表わす二次元座標上の想定特性曲線に対して、ピーク間電圧Vppを昇圧したときに現れる変曲点Pの電圧値よりも低圧側と想定される2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)を印加した時に電流検知部により検知される2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)に基づいて得られる座標A{Vpp(A),Idc(A)}、B{Vpp(B),Idc(B)}を通る直線L1と、変曲点Pの電圧値よりも高圧側と想定される高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を印加した時に電流検知部により検知される直流電流値Idc(C)に基づいて得られる座標C{Vpp(V),Idc(C)}を通り、ピーク間電圧Vppを表わす座標軸に平行な直線L2との交点P1に対応するピーク間電圧Vppを、前記適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−199094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された電圧制御部による電圧制御方法は、ある時点で精度の良い交流電圧の適正ピーク間電圧値Vppを設定することができる。しかし、画像出力動作中の画像形成装置の内部の環境条件は、外気の吸気や、例えば定着部の発熱等により時々刻々と変動し、それに伴って帯電部材の特性も変化する。そのために、印加される適正ピーク間電圧値Vpp(O)にずれが生じやすい。
【0009】
図10に示すように、ピーク間電圧値Vppを低レベルから次第に増加させると、直流電流値Idcはほぼ一定の傾きで増加し、その後、この一定の傾きよりも低い傾き、あるいは、傾きゼロの状態で推移することが知られている。このような直流電流値Idcの傾きの変わるポイントを変曲点Pとすると、適正なピーク間電圧Vppを、変曲点Pよりも若干高圧側に設定するのが一般的である。しかし、変曲点Pは、帯電部材近傍の温湿度によって変化する。具体的には、低温低湿側において、変曲点Pは高圧側へシフトし、高温高湿側において、変曲点Pは低圧側にシフトする。
【0010】
図11に示すように、帯電部材近傍の温湿度が低温低湿側に変化すると、ピーク間電圧Vppが不足して、像担持体の表面電位の均一性が悪くなる。また、帯電部材近傍の温湿度が高温高湿側に変化すると、ピーク間電圧Vppが過剰となって、放電生成物の増加による画像流れや像担持体の表面摩擦力の上昇が起こるという問題があった。
【0011】
本発明は、画像出力動作中の帯電部材近傍の環境条件に変動があっても、より確実に適正なピーク間電圧値に設定することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、像担持体と、前記像担持体に対向して配置され、前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、交流電圧と直流電圧とを重畳して振動電圧を生成すると共に、前記振動電圧を前記帯電部材に印加する振動電圧生成部と、前記振動電圧生成部において重畳される前記交流電圧のピーク間電圧値Vppを制御する電圧制御部と、前記像担持体と前記帯電部材との間の直流電流値Idcを検知する電流検知部と、画像出力動作の開始時に前記電圧制御部により制御される適正ピーク間電圧値Vpp(O)を印加したときに、前記電流検知部により検知される直流電流値Idc(O1)と、画像出力動作中に前記電流検知部により検知される直流電流値Idc(O2)との差分△Idcの絶対値が所定の電流閾値を上回るか否かを判定する判定部と、を備え、前記電圧制御部は、前記判定部において前記差分△Idcの絶対値が前記電流閾値を上回ると判定された場合に、画像出力動作を中断して、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行する画像形成装置に関する。
【0013】
また、前記電圧制御部は、前記ピーク間電圧値Vppと、前記帯電部材と前記像担持体との間の直流電流値Idcとの関係を表す二次元座標上の想定特性曲線に対して、前記ピーク間電圧値Vppを昇圧したときに現れる変曲点の電圧値よりも低圧側と想定される2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)を印加したときに前記電流検知部により検知される2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)に基づいて得られる座標A{Vpp(A),Idc(A)}、B{Vpp(B),Idc(B)}を通る直線L1と、前記変曲点の電圧値よりも高圧側と想定される高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を印加したときに前記電流検知部により検知される直流電流値Idc(C)に基づいて得られる座標C{Vpp(V),Idc(C)}を通り、前記ピーク間電圧値Vppを表す座標軸に平行な直線L2との交点に対応するピーク間電圧値Vppを前記適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択することが好ましい。
【0014】
また、前記帯電部材の帯電特性の変動要因に基づいて、前記低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び前記高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)が予め設定されたテーブルデータを備え、前記電圧制御部は、前記テーブルデータに従って前記低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び前記高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を選択することが好ましい。
【0015】
また、前記電圧制御部は、以前に所定枚数以上連続する画像出力動作が行われた場合、及び/又は、以降に所定枚数以上連続する画像出力動作が行われる場合、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行し、その他の場合には、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行しないことが好ましい。
【0016】
また、前記電圧制御部は、以前に所定時間以上連続する画像出力動作が行われた場合、及び/又は、以降に所定時間以上連続する画像出力動作が行われる場合、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行し、その他の場合には、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行しないことが好ましい。
【0017】
また、前記帯電部材は、芯金の外周部に導電性を有する弾性材料層を被覆した帯電ローラーにより構成されていることが好ましい。
【0018】
また、前記像担持体は、アルミニウム製シリンダーの表面にアモルファスシリコン層を蒸着してなる感光体ドラムであることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画像出力動作中の帯電部材近傍の環境条件に変動があっても、より確実に適正なピーク間電圧値に設定することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】プリンター1の各構成要素の配置を説明するための図である。
【図2】帯電装置10の周辺の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】交流電圧のピーク間電圧値Vppと、帯電部材(帯電ローラー60)と像担持体(感光体ドラム2)との間の直流電流値Idcとの関係を表す2次元座標上の想定特性曲線を示す図である。
【図4】本発明により求める直線L1、L2と、座標A、B、Cと、適正ピーク間電圧値Vpp(O)との関係を説明するグラフである。
【図5】テーブルデータ73の一例を示すグラフである。
【図6】ピーク間電圧値Vppの制御を含むプリンター1の動作フローを示すフローチャートである。
【図7】帯電ローラー60の近傍の環境(温度)における帯電ローラー60と感光体ドラム2との間の直流電流値Idcの変化の一例(印加するピーク間電圧値Vpp=1.1KVに設定したときの例)を表すグラフである。
【図8】帯電ローラー60の近傍の環境条件(温度及び湿度)と適正ピーク間電圧値Vpp(O)との関係を表すグラフである。
【図9】プリンター1が実際の画像出力動作を実行するフローを示すフローチャートである。
【図10】直流電圧値Vdc=400[V]における交流電圧のピーク間電圧値Vppと、帯電部材(帯電ローラー60)と像担持体(感光体ドラム2)との間の直流電流値Idcとの関係を示すグラフである。
【図11】直流電圧値Vdc=400[V]における交流電圧のピーク間電圧値Vppと、像担持体(感光体ドラム2)の表面電位との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1により、本実施形態における画像形成装置としてのプリンター1における全体構造を説明する。図1は、プリンター1の各構成要素の配置を説明するための図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のプリンター1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tに所定のトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHと、を有する。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
【0023】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2と、帯電装置10と、レーザースキャナーユニット4と、現像器16と、トナーカートリッジ5と、トナー供給部6と、ドラムクリーニング部11と、除電器12と、転写ローラー8と、定着部9とを備える。
【0024】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部164と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラー対80と、排紙部50とを備える。
【0025】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2の表面に沿って順に、上流側から下流側に順に、帯電装置10による帯電、レーザースキャナーユニット4による露光、現像器16による現像、転写ローラー8による転写、除電器12による除電、及びドラムクリーニング部11によるクリーニングが行われる。
【0026】
感光体ドラム2は、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2は、アルミニウム製シリンダーの表面に正帯電性光導電体であるアモルファスシリコン層が蒸着されてなる。感光体ドラム2は、搬送路Lにおける用紙Tの搬送方向に対して直交する方向に延びる回転軸を中心に、矢印の方向に定速回転可能に配置される。感光体ドラム2の表面には、静電潜像が形成され得る。
【0027】
帯電装置10は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。帯電装置10は、感光体ドラム2の表面を一様に正(プラス極性)に帯電させる。
帯電装置10の詳細については後述する。
【0028】
レーザースキャナーユニット4は、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2の表面から離間して配置される。レーザースキャナーユニット4は、不図示のレーザー光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モーター等を有して構成される。
レーザースキャナーユニット4は、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光する。レーザースキャナーユニット4により走査露光されることで、感光体ドラム2の表面における露光された部分の電荷は除去される。これにより、感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
【0029】
現像器16は、感光体ドラム2に対応して設けられ、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。現像器16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像に単色(通常はブラック)のトナーを付着させて、単色のトナー画像を感光体ドラム2の表面に形成する。現像器16は、感光体ドラム2の表面に対向配置された現像ローラー17、トナー攪拌用の攪拌ローラー18等を有して構成される。
【0030】
トナーカートリッジ5は、現像器16に対応して設けられており、現像器16に対して供給されるトナーを収容する。
【0031】
トナー供給部6は、トナーカートリッジ5及び現像器16に対応して設けられており、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを現像器16に対して供給する。トナー供給部6と現像器16とは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
【0032】
転写ローラー8は、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を、用紙Tに転写させる。転写ローラー8には、不図示の転写バイアス印加部により、感光体ドラム2に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させるための転写バイアスが印加される。転写ローラー8は、感光体ドラム2に対して当接した状態で回転可能に構成される。
【0033】
感光体ドラム2と転写ローラー8との間で、搬送路Lを搬送される用紙Tが挟み込まれる。挟み込まれた用紙Tは、感光体ドラム2の表面に押し当てられる。感光体ドラム2と転写ローラー8との間で、転写ニップNが形成される。転写ニップNにおいて、感光体ドラム2に現像されたトナー画像は用紙Tに転写される。
【0034】
除電器12は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。除電器12は、感光体ドラム2の表面に光を照射することにより、転写が行われた後の感光体ドラム2の表面を除電する(電荷を除去する)。
【0035】
ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に残存したトナーや付着物(水分を含む)を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0036】
定着部9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを、溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒーターにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟み込まれた状態で用紙Tが搬送されることで、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧され、用紙Tに定着される。
【0037】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する1個の給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの右側(図1における右側)から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板160が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板160の上に積層された状態で収容される。載置板160に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されるカセット給紙部51により、搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板160上の用紙Tを取り出すための前送りコロ161と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラー対163とからなる重送防止機構を備える。
【0038】
装置本体Mの右側(図1において右側)には、手差し給紙部164が設けられる。手差し給紙部164は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部164は、閉状態において装置本体Mの前面の一部を構成する手差しトレイ165と、給紙コロ166とを備える。手差しトレイ165は、その下端において給紙コロ166の近傍の装置本体Mに回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ165には、用紙Tが載置される。給紙コロ166は、開状態の手差しトレイ165に載置された用紙Tを、手差し搬送路Laに給紙する。
【0039】
装置本体Mにおける上方側には、排紙部50が設けられる。排紙部50は、第3ローラー対53により、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50の詳細については後述する。
【0040】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から転写ニップNまでの第1搬送路L1と、転写ニップNから定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部164から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbと、を備える。
【0041】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻り搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部であり、第1ローラー対54a及び第2ローラー対54bを有する。第1ローラー対54aの一方のローラーと第2ローラー対54bの一方のローラーとは、兼用される。
【0042】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と転写ローラー8との間)には、用紙Tを検出するためのセンサー(図示せず)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成と用紙Tの搬送とのタイミングを合わせるためのレジストローラー対80と、が配置される。センサーは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラー対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラー対80は、センサーからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして、用紙Tを搬送する。
【0043】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を感光体ドラム2に対向させるために設けられる搬送路である。
戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から第1ローラー対54aにより排紙部50側に搬送された用紙Tを、表裏反転させて第2ローラー対54bにより第1搬送路L1に戻して、転写ローラー8の上流側に配置されたレジストローラー対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tにおける未印刷面には、転写ニップNにおいて、所定のトナー画像が転写される。
【0044】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの右側(図1において右側、手差し給紙部164側)に向けて開口している。排紙部50は、第3搬送路L3を搬送される用紙Tを、第3ローラー対53により装置本体Mの外部に排紙する。
【0045】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され且つ排紙部50から排紙された用紙Tが、積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサーが配置される。
【0046】
次に、図1を参照して、第1実施形態のプリンター1の動作について、簡単に説明する。
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ161及び給紙ローラー対163によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介してレジストローラー対80に搬送される。
レジストローラー対80においては、用紙Tのスキュー補正や、トナー画像とのタイミング調整が行われる。
【0047】
レジストローラー対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して感光体ドラム2と転写ローラー8との間(転写ニップN)に導入される。そして、用紙Tには、感光体ドラム2と転写ローラー8との間において、トナー画像が転写される。
その後、用紙Tは、感光体ドラム2と転写ローラー8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーが溶融し、トナーは用紙Tに定着される。
【0048】
次いで、用紙Tは、第1ローラー対54aにより第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、第3ローラー対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0049】
手差しトレイ165に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ165に載置された用紙Tは、給紙コロ166によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラー対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0050】
次に、図2から図5により、帯電装置10、及び帯電装置10に電圧を印加する構成について説明する。図2は、帯電装置10の周辺の構成を示す機能ブロック図である。図3は、交流電圧のピーク間電圧値Vppと、帯電部材(帯電ローラー60)と像担持体(感光体ドラム2)との間の直流電流値Idcとの関係を表す2次元座標上の想定特性曲線を示す図である。図4は、本発明により求める直線L1、L2と、座標A、B、Cと、適正ピーク間電圧値Vpp(O)との関係を説明するグラフである。図5は、テーブルデータ73の一例を示すグラフである。
【0051】
図2に示すように、プリンター1は、帯電装置10と、振動電圧生成部61と、電圧制御部62と、電流検知部63と、判定部64と、環境測定部65と、記憶部66とを備える。
【0052】
図2に示すように、帯電装置10は、感光体ドラム2に対向して配置される。帯電装置10は、帯電ローラー60と、ブラシロール67とを有する。
帯電ローラー60は、感光体ドラム2の表面を帯電する帯電部材である。帯電ローラー60は、芯金601と、芯金601の表面を被覆するエピクロヒドリンゴム層602とを有して構成される。エピクロヒドリンゴム層602は、導電性を有する弾性材料層からなる。
ブラシロール67は、帯電ローラー60の上方に(感光体ドラム2の表面から離れた位置に)配置される。ブラシロール67は、帯電ローラー60の表面に接触して回転することにより、帯電ローラー60の表面に付着した付着物を除去する。
【0053】
振動電圧生成部61は、交流電圧と直流電圧とを重畳して振動電圧を生成すると共に、生成した振動電圧を帯電装置10の帯電ローラー60に印加する。
具体的には、振動電圧生成部61は、交流定電圧電源68と、直流定電圧電源69と、を備える。
【0054】
交流定電圧電源68は、昇圧トランス(図示せず)を用いてパルス状に変調された低圧直流電圧から、所定の正弦波の交流電圧を発生させる。直流定電圧電源69は、昇圧トランス(図示せず)を用いてパルス状に変調された低圧直流電圧から、所定の正弦波の交流電圧を発生させ、発生させた交流電圧を整流器(図示せず)により整流して、所定の直流電圧を発生させる。
【0055】
電流検知部63は、感光体ドラム2と帯電ローラー60との間の直流電流値Idcを検知する。電流検知部63は、検知した直流電流値Idcに関する情報を判定部64に出力する。
【0056】
電圧制御部62は、振動電圧生成部61において重畳される交流電圧のピーク間電圧値Vppを制御する。電圧制御部62は、交流定電圧電源68を制御して、振動電圧生成部61において重畳される交流電圧のピーク間電圧値Vppを制御する。
電圧制御部62は、交流電圧のピーク間電圧値Vppを、2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)及び第2ピーク間電圧値Vpp(B)、並びに、高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)に変更させる。2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)及び第2ピーク間電圧値Vpp(B)は、後述する変曲点Pにおけるピーク間電圧値Vppよりも低圧側と想定されるピーク間電圧値である。高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)は、変曲点Pにおけるピーク間電圧値Vppよりも高圧側と想定されるピーク間電圧値である。
【0057】
詳細には、電圧制御部62は、図3及び図4に示すように、ピーク間電圧値Vppと、感光体ドラム2と帯電ローラー60との間の直流電流値Idcとの関係を表す二次元座標上の想定特性曲線に対して、直線L1と直線L2との交点P1に対応するピーク間電圧値Vppを、適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択する。直線L1は、2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)に基づいて得られる座標A{Vpp(A),Idc(A)}、座標B{Vpp(B),Idc(B)}を通る直線である。2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)は、2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、第2ピーク間電圧値Vpp(B)を印加したときに電流検知部63により検知される。直線L2は、直流電流値Idc(C)に基づいて得られる座標C{Vpp(C),Idc(C)}を通り、ピーク間電圧値Vppを表す座標軸に平行な直線である。直流電流値Idc(C)は、高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を印加したときに電流検知部63により検知される。
【0058】
2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)に関する情報は、記憶部66に記憶されるテーブルデータ73より、取得される。詳細には、電圧制御部62は、2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク電圧値Vpp(C)に関する情報を、後述する環境測定部65から取得する環境条件情報に基づいて、記憶部66のテーブルデータ73より取得する。
【0059】
環境測定部65は、環境条件を測定する。環境測定部65は、例えば、環境条件として環境温度や環境湿度を測定する。
環境測定部65は、プリンター1に設置される温度センサー70及び湿度センサー71を有する。環境測定部65(温度センサー70、湿度センサー71)は、取得した環境条件情報(環境温度情報、環境湿度情報)を電圧制御部62に出力する。
【0060】
2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)は、帯電ローラー60の帯電特性の変動要因に関連付けられて、テーブルデータ73に予め設定される。テーブルデータ73は、記憶部66に記憶される。
帯電ローラー60の帯電特性における大きな変動要因は、環境温度及び環境湿度である。
【0061】
本実施形態においては、テーブルデータ73には、より大きな変動要因となる機内(環境)温度及び機内(環境)相対湿度に関連付けられて、2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)が設定されている。
【0062】
具体例として、図5に示すように、機内温度(℃)及び機内相対湿度(%)に関連付けられて、ピーク間電圧値Vpp(V)としての2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)が設定されたテーブルデータ73を、例示する。図5に示すテーブルデータ73は、機内相対湿度が35%未満の場合、機内相対湿度が35〜65%未満の場合、及び、機内相対湿度が65%以上である場合における機内温度とピーク間電圧値Vpp(V)との関係をテーブル化したものである。
【0063】
テーブルデータ73は、電圧制御部62が振動電圧生成部61から帯電ローラー60へ印加する2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を決定するときに、参照される。
【0064】
判定部64は、適正ピーク間電圧値Vpp(O)を印加したときに、電流検知部63により検知された直流電流値Idc(O1)と、その後の画像出力動作中に電流検知部63により検知された直流電流値Idc(O2)との差分(値)△Idcの絶対値が、所定の閾値Xを上回るか否かを判定する。適正ピーク間電圧値Vpp(O)は、プリンター1の画像出力動作の開始時に電圧制御部62により制御されるピーク間電圧値Vppである。
【0065】
本実施形態において、判定部64は、差分(値)△Idc{Idc(O1)−Idc(O2)}を求めると共に、差分△Idcの絶対値|△Idc|と、予め記憶部66に記憶(設定)されている所定の閾値Xとを比較し、差分△Idcの絶対値|△Idc|が閾値Xを上回るか否かを判定する。差分△Idcの絶対値|△Idc|が閾値Xを上回る場合には、判定部64は、帯電ローラー60の近傍の環境条件が変化したと判断して、その判定結果を電圧制御部62に出力する。
【0066】
そして、判定部64において、差分△Idcの絶対値|△Idc|が閾値Xを上回ると判定された場合には、電圧制御部62は、画像出力動作を中断して、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行する。また、差分△Idcの絶対値|△Idc|が閾値Xを上回らないと判定された場合には、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行しないで、画像出力動作を続行する。
【0067】
次に、帯電装置10へ印加する振動電圧の適正ピーク間電圧値Vpp(O)の選択制御を含むプリンター1の動作について、簡単に説明する。図6は、ピーク間電圧値Vppの制御を含むプリンター1の動作フローを示すフローチャートである。
まず、ステップST1において、プリンター1の電源がオンとされる。
【0068】
次に、ステップST2において、環境測定部65の温度センサー70が環境温度を測定すると共に、湿度センサー71が環境湿度を測定する。測定された環境温度及び環境湿度の情報は、電圧制御部62に入力される。
続けて、ステップST3において、電圧制御部62は、入力された環境温度の情報に基づいて、環境温度に関連づけられて記憶部66のテーブルデータ73に設定されている2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を選択する。
【0069】
続けて、ステップST4において、振動電圧生成部61は、交流電圧値と直流電圧とが重畳された振動電圧を生成すると共に、生成した振動電圧を帯電ローラー60に印加する。振動電圧生成部61は、電圧制御部62にピーク間電圧値Vppが制御されて、ピーク間電圧値Vppが2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)である場合の振動電圧を生成すると共に、生成した振動電圧を帯電ローラー60に印加する。
【0070】
続けて、ステップST5において、電流検知部63は、ピーク間電圧値Vppが2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)であるときの直流電流値Idc(A)、Idc(B)と、ピーク間電圧値Vppが高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)であるときの直流電流値Idc(C)とを検知する。
【0071】
続けて、ステップST6において、電圧制御部62は、電流検知部63により検知された2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)に基づいて得られる座標A{Vpp(A),Idc(A)}、座標B{Vpp(B),Idc(B)}を通る直線L1と、電流検知部63により検知される直流電流値Idc(C)に基づいて得られる座標C{Vpp(C),Idc(C)}を通り、ピーク間電圧値Vppを表す座標軸に平行な直線L2との交点P1に対応するピーク間電圧値Vppを、適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択する。
そして、ステップST7において、プリンター1は、画像出力準備動作に移行する。
【0072】
以上のように、プリンター1の画像出力準備動作において、帯電ローラー60に印加する振動電圧の適正ピーク間電圧値Vpp(O)の選択制御が行われる。しかし、それ以降におけるプリンター1の画像出力動作中に環境条件(温度、湿度)が変化すると、帯電ローラー60の特性が変化し、印加される適正ピーク間電圧Vpp(O)にずれが生じることがある。
【0073】
図7は、帯電ローラー60の近傍の環境(温度)における帯電ローラー60と感光体ドラム2との間の直流電流値Idcの変化の一例(印加するピーク間電圧値Vpp=1.1KVに設定したときの例)を表すグラフである。この図7に示すグラフから明らかなように、帯電ローラー60と感光体ドラム2との間の直流電流値Idcは、帯電ローラー60の近傍の環境(温度)依存性を有する。
【0074】
また、図8は、帯電ローラー60の近傍の環境条件(温度及び湿度)と適正ピーク間電圧値Vpp(O)との関係を表すグラフである。この図8に示すグラフから明らかなように、適正ピーク間電圧Vpp(O)は、帯電ローラー60の近傍の環境条件(温度及び湿度)によって変動する環境条件依存性を有する。
【0075】
本実施形態においては、プリンター1が上述した画像出力準備動作後に実際の画像出力動作に移行されたときに、図7に示す直流電流値Idcの帯電ローラー60の近傍の環境(温度)依存性、及び、図8に示す適正ピーク間電圧値Vpp(O)の帯電ローラー60の近傍の環境条件(温度及び湿度)依存性を利用して、常に適正ピーク間電圧値Vpp(O)の設定を可能とするように動作する。
次に、プリンター1による実際の画像出力動作動作について、簡単に説明する。図9は、プリンター1が実際の画像出力動作を実行するフローを示すフローチャートである。
【0076】
まず、ステップST11において、プリンター1による画像出力動作が開始される。
次に、ステップST12において、画像出力動作の開始時に電圧制御部62により選択された適正ピーク間電圧値Vpp(O)を帯電ローラー60に印加する。
【0077】
続いて、ステップST13において、電流検知部63は、適正ピーク間電圧値Vpp(O)を帯電ローラー60に印加したときの直流電流値Idc(O1)と、それ以降の画像出力動作中の直流電流値Idc(O2)と、を検知すると共に、それら直流電流値Idc(O1)、Idc(O2)を判定部64に出力する。
【0078】
続いて、ステップST14において、判定部64は、直流電流値Idc(O1)とIdc(O2)との差分(値)△Idc{Idc(O1)−Idc(O2)}を求めると共に、差分△Idcの絶対値|△Idc|と、予め記憶部66に記憶(設定)されている所定の閾値Xとを比較し、差分△Idcの絶対値|△Idc|が閾値Xを上回るか否かを判定する。
【0079】
判定の結果、差分△Idcの絶対値|△Idc|が閾値Xを上回ると判定された場合(ステップST14、YES)には、帯電ローラー60の近傍の環境が変化したと判断されて、処理はステップST15に進む。
また、差分△Idcの絶対値|△Idc|が閾値Xを上回らないと判定された場合(ステップST14、NO)には、帯電ローラー60の近傍の環境が変化していない、あるいは、変化はごく僅かであると判断されて、処理はステップST16に進む。
【0080】
ステップST15において、プリンター1による画像出力動作が中断して、電圧制御部62は、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行する。すなわち、電圧制御部62は、図6に示す動作フローにおけるステップST2からステップST6までの動作を再度実行して、帯電ローラー60の近傍の環境条件に対応する適正ピーク間電圧値Vpp(O)を選択(再設定)する。
【0081】
ステップST16において、プリンター1は、適正ピーク間電圧値Vpp(O)を帯電ローラー60に印加する状態で、画像出力動作を復帰(継続)する。
【0082】
なお、記憶部66に記憶されている所定の閾値Xを小さい値に設定すると、電圧制御部62によるピーク間電圧値Vppの制御の再実行の頻度が増え、その分、適正ピーク間電圧値Vpp(O)の設定精度を上げることが可能である。しかし、その反面、画像出力動作の中断回数も増えて、画像出力の能率が低下することになる。そのため、閾値Xは、プリンター1の仕様(出力速度、容量等)に対応させて最適な値に設定することが望ましい。
【0083】
本実施形態によれば、例えば、次の効果が奏される。
本実施形態のプリンター1は、画像出力動作の開始時に電圧制御部62により制御される適正ピーク間電圧値Vpp(O)を印加したときに、電流検知部63により検知される直流電流値Idc(O1)と、画像出力動作中に電流検知部63により検知される直流電流値Idc(O2)との差分△Idcの絶対値が所定の電流閾値Xを上回るか否かを判定する判定部64を備え、電圧制御部62は、判定部64において差分△Idcの絶対値が電流閾値Xを上回ると判定された場合に、画像出力動作を中断して、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行する。
【0084】
そのため、本実施形態によれば、画像出力動作の開始時点において環境条件が変動し、これに伴い、帯電ローラー60の特性が変化したとしても、その時点における帯電ローラー60と感光体ドラム2との間の直流電流値Idcを検知することにより、帯電ローラー60の近傍の環境及び帯電ローラー60の特性変化を適確に捉えて、より確実に適正なピーク間電圧値Vppの設定を行うことができる。
これにより、ピーク間電圧値Vppの不足による感光体ドラム2の表面電位の均一性の悪化や、ピーク間電圧値Vppの過剰による放電生成物の増加による画像流れや像担持体の表面摩擦力の上昇を抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態のプリンター1において、電圧制御部62は、ピーク間電圧値Vppと、帯電ローラー60と感光体ドラム2との間の直流電流値Idcとの関係を表す二次元座標上の想定特性曲線に対して、ピーク間電圧値Vppを昇圧したときに現れる変曲点Pの電圧値よりも低圧側と想定される2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)を印加したときに電流検知部63により検知される2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)に基づいて得られる座標A{Vpp(A),Idc(A)}、B{Vpp(B),Idc(B)}を通る直線L1と、変曲点Pの電圧値よりも高圧側と想定される高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を印加したときに電流検知部63により検知される直流電流値Idc(C)に基づいて得られる座標C{Vpp(V),Idc(C)}を通り、ピーク間電圧値Vppを表す座標軸に平行な直線L2との交点P1に対応するピーク間電圧値Vppを、適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択する。
【0086】
そのため、適正ピーク間電極値Vpp(O)を求めるにあたって、変曲点Pよりも高圧側のサンプリング点(高圧側ピーク間電圧値Vpp(C))は一点で足りる。従って、変曲点Pよりも高圧側の複数点をサンプリングして近似直線を求める場合に比べて、適正ピーク電圧値Vpp(O)を迅速に求めることができる。また、印加するピーク間電圧値Vppとして、想定特性曲線の変曲点Pよりもやや高い値を選択することが可能となる。従って、過剰な電圧印加による放電生成物の生成等に伴う感光体ドラム2及び帯電ローラー60の劣化を、抑制することができる。
【0087】
また、本実施形態のプリンター1においては、帯電ローラー60の帯電特性の変動要因に基づいて、低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)が予め設定されたテーブルデータ73を備え、電圧制御部62は、テーブルデータ73に従って低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を選択する。
そのため、想定特性曲線上の変曲点Pの位置が環境変化等の種々の要因により変動することがあっても、それに対応して予めテーブルデータ73に設定された低圧側ピーク電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク電圧値Vpp(C)に基づいてサンプリング電圧を選択することにより、適切に適正ピーク間電圧値Vpp(O)を求めることができる。
【0088】
次に、別の実施形態について説明する。
上述の実施形態においては、電圧制御部62は、画像出力動作を中断して、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行するか否かの判断条件として、画像出力動作の開始時に電流検知部63により検知される直流電流値Idc(O1)と、画像出力動作中に電流検知部63により検知される直流電流値Idc(O2)と、の差分△Idcの絶対値が所定の電流閾値Xを上回るか否かの判定結果のみを用いているが、これに制限されない。この判定結果に加えて、現在の画像出力動作以前に所定枚数以上連続して画像出力動作が行われたか否か、及び/又は、現在の画像出力動作以降に所定枚数以上連続して画像出力動作が行われるか否かの判定結果についても、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行するか否かの判断条件としてもよい。
【0089】
また、差分△Idcの絶対値が所定の電流閾値Xを上回るか否かの判定結果に加えて、現在の画像出力動作以前に所定時間以上連続して画像出力動作が行われたか否か、及び/又は、現在の画像出力動作以降に所定時間以上連続して画像出力動作が行われるか否かの判定結果についても、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行するか否かの判断条件としてもよい。
【0090】
上記のように、画像出力動作が所定枚数以上連続するか否かや、所定時間以上連続するか否かを、画像出力動作を中断して、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行するか否かの判断条件とする場合には、以下の効果が奏される。すなわち、少ない枚数の画像出力動作時や、短時間の画像出力動作時のように、環境条件の変動が非常に少ないときにおける画像出力動作の中断や、ピーク間電圧値Vppの制御の再実行といった無駄な時間ロスを抑制し、画像出力動作の効率化、能率化、省エネルギー化などを図ることが可能となる。
【0091】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定することなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前述の実施形態では、ピーク間電圧値Vppと、帯電ローラー60と感光体ドラム2との間の直流電流値Idcとの関係を表す二次元座標上の想定特性曲線に対して、2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)を印加したときに電流検知部63により検知される2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)に基づいて得られる座標A{Vpp(A),Idc(A)}、B{Vpp(B),Idc(B)}を通る直線L1と、高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を印加したときに電流検知部63により検知される直流電流値Idc(C)に基づいて得られる座標C{Vpp(V),Idc(C)}を通り、ピーク間電圧値Vppを表す座標軸に平行な直線L2との交点P1に対応するピーク間電圧値Vppを適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択しているが、これに制限されない。直線L1と直線L2との交点P1に対応するピーク間電圧値Vppに誤差を補正する係数を乗じたものを、適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択してもよい。
また、上述の実施形態における2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)は、任意に設定できる。
【0092】
また、本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、コピー機、プリンター、ファクシミリ、又はこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
1……プリンター(画像形成装置)、2……感光体ドラム(像担持体)、10……帯電装置、11……クリーニング部、60……帯電ローラー(帯電部材)、61……振動電圧生成部、62……電圧制御部、63……電流検知部、64……判定部、65……環境測定部、66……記憶部、68……交流定電圧電源、69……直流定電圧電源、73……テーブルデータ、601……芯金、602……エピクロヒドリンゴム層(弾性材料層)、P……変曲点、Vpp……交流電圧のピーク間電圧値、Vpp(A)、Vpp(B)……低圧側ピーク間電圧値、Vpp(C)……高圧側ピーク間電圧値、Idc,Idc(O1),Idc(O2)……直流電流値
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンター、複写機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する画像形成装置においては、像担持体の表面に帯電部材を接触配置又は近接配置し、帯電部材に交流電圧と直流電圧とが重畳された振動電圧を印加することにより、像担持体の表面を所定の電位に帯電させる接触帯電方式が採用される。
【0003】
このような接触帯電方式において、放電現象によって窒素酸化物やオゾン等の放電生成物が生成され、放電生成物が像担持体の表面へ付着しやすい場合がある。像担持体の表面に付着した放電生成物は、水分と反応することにより導電性の物質に変化し、その結果、像担持体の表面の電気抵抗が低下して、像担持体の表面の電位を静電潜像の形成に必要な電位に保持できなくなる場合がある。
この状態で現像が行なわれると、得られるトナー画像に滲みやボケ等を含む画像流れ現象が発生し、著しい画質の劣化が生じる場合がある。特に、空気中の水分が多い高温高湿環境下では、上述の画像流れ現象が発生しやすい。
【0004】
画像流れ現象は、環境条件が高温高湿の場合に発生するとは限らず、例えば、常温常湿の環境条件であっても、環境条件が低温状態から急激に常温常湿に変動した場合、像担持体の表面が結露状態となって、画像流れ現象が発生する場合がある。
また、画像流れ現象は、環境条件(温度、湿度)の変動だけでなく、像担持体や帯電部材等の特性の経年変化によっても発生する場合がある。
【0005】
そこで、環境条件の変動及び像担持体や帯電部材等の性能の経年変化にかかわらず、交流電圧の適正ピーク間電圧を精度よく設定可能な電圧制御部を備えた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1に開示されている電圧制御部は、図3に示すように、交流電圧のピーク間電圧値Vppと、帯電部材と像担持体との間の直流電流値Idcとの関係を表わす二次元座標上の想定特性曲線に対して、ピーク間電圧Vppを昇圧したときに現れる変曲点Pの電圧値よりも低圧側と想定される2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)を印加した時に電流検知部により検知される2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)に基づいて得られる座標A{Vpp(A),Idc(A)}、B{Vpp(B),Idc(B)}を通る直線L1と、変曲点Pの電圧値よりも高圧側と想定される高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を印加した時に電流検知部により検知される直流電流値Idc(C)に基づいて得られる座標C{Vpp(V),Idc(C)}を通り、ピーク間電圧Vppを表わす座標軸に平行な直線L2との交点P1に対応するピーク間電圧Vppを、前記適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−199094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された電圧制御部による電圧制御方法は、ある時点で精度の良い交流電圧の適正ピーク間電圧値Vppを設定することができる。しかし、画像出力動作中の画像形成装置の内部の環境条件は、外気の吸気や、例えば定着部の発熱等により時々刻々と変動し、それに伴って帯電部材の特性も変化する。そのために、印加される適正ピーク間電圧値Vpp(O)にずれが生じやすい。
【0009】
図10に示すように、ピーク間電圧値Vppを低レベルから次第に増加させると、直流電流値Idcはほぼ一定の傾きで増加し、その後、この一定の傾きよりも低い傾き、あるいは、傾きゼロの状態で推移することが知られている。このような直流電流値Idcの傾きの変わるポイントを変曲点Pとすると、適正なピーク間電圧Vppを、変曲点Pよりも若干高圧側に設定するのが一般的である。しかし、変曲点Pは、帯電部材近傍の温湿度によって変化する。具体的には、低温低湿側において、変曲点Pは高圧側へシフトし、高温高湿側において、変曲点Pは低圧側にシフトする。
【0010】
図11に示すように、帯電部材近傍の温湿度が低温低湿側に変化すると、ピーク間電圧Vppが不足して、像担持体の表面電位の均一性が悪くなる。また、帯電部材近傍の温湿度が高温高湿側に変化すると、ピーク間電圧Vppが過剰となって、放電生成物の増加による画像流れや像担持体の表面摩擦力の上昇が起こるという問題があった。
【0011】
本発明は、画像出力動作中の帯電部材近傍の環境条件に変動があっても、より確実に適正なピーク間電圧値に設定することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、像担持体と、前記像担持体に対向して配置され、前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、交流電圧と直流電圧とを重畳して振動電圧を生成すると共に、前記振動電圧を前記帯電部材に印加する振動電圧生成部と、前記振動電圧生成部において重畳される前記交流電圧のピーク間電圧値Vppを制御する電圧制御部と、前記像担持体と前記帯電部材との間の直流電流値Idcを検知する電流検知部と、画像出力動作の開始時に前記電圧制御部により制御される適正ピーク間電圧値Vpp(O)を印加したときに、前記電流検知部により検知される直流電流値Idc(O1)と、画像出力動作中に前記電流検知部により検知される直流電流値Idc(O2)との差分△Idcの絶対値が所定の電流閾値を上回るか否かを判定する判定部と、を備え、前記電圧制御部は、前記判定部において前記差分△Idcの絶対値が前記電流閾値を上回ると判定された場合に、画像出力動作を中断して、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行する画像形成装置に関する。
【0013】
また、前記電圧制御部は、前記ピーク間電圧値Vppと、前記帯電部材と前記像担持体との間の直流電流値Idcとの関係を表す二次元座標上の想定特性曲線に対して、前記ピーク間電圧値Vppを昇圧したときに現れる変曲点の電圧値よりも低圧側と想定される2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)を印加したときに前記電流検知部により検知される2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)に基づいて得られる座標A{Vpp(A),Idc(A)}、B{Vpp(B),Idc(B)}を通る直線L1と、前記変曲点の電圧値よりも高圧側と想定される高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を印加したときに前記電流検知部により検知される直流電流値Idc(C)に基づいて得られる座標C{Vpp(V),Idc(C)}を通り、前記ピーク間電圧値Vppを表す座標軸に平行な直線L2との交点に対応するピーク間電圧値Vppを前記適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択することが好ましい。
【0014】
また、前記帯電部材の帯電特性の変動要因に基づいて、前記低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び前記高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)が予め設定されたテーブルデータを備え、前記電圧制御部は、前記テーブルデータに従って前記低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び前記高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を選択することが好ましい。
【0015】
また、前記電圧制御部は、以前に所定枚数以上連続する画像出力動作が行われた場合、及び/又は、以降に所定枚数以上連続する画像出力動作が行われる場合、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行し、その他の場合には、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行しないことが好ましい。
【0016】
また、前記電圧制御部は、以前に所定時間以上連続する画像出力動作が行われた場合、及び/又は、以降に所定時間以上連続する画像出力動作が行われる場合、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行し、その他の場合には、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行しないことが好ましい。
【0017】
また、前記帯電部材は、芯金の外周部に導電性を有する弾性材料層を被覆した帯電ローラーにより構成されていることが好ましい。
【0018】
また、前記像担持体は、アルミニウム製シリンダーの表面にアモルファスシリコン層を蒸着してなる感光体ドラムであることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画像出力動作中の帯電部材近傍の環境条件に変動があっても、より確実に適正なピーク間電圧値に設定することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】プリンター1の各構成要素の配置を説明するための図である。
【図2】帯電装置10の周辺の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】交流電圧のピーク間電圧値Vppと、帯電部材(帯電ローラー60)と像担持体(感光体ドラム2)との間の直流電流値Idcとの関係を表す2次元座標上の想定特性曲線を示す図である。
【図4】本発明により求める直線L1、L2と、座標A、B、Cと、適正ピーク間電圧値Vpp(O)との関係を説明するグラフである。
【図5】テーブルデータ73の一例を示すグラフである。
【図6】ピーク間電圧値Vppの制御を含むプリンター1の動作フローを示すフローチャートである。
【図7】帯電ローラー60の近傍の環境(温度)における帯電ローラー60と感光体ドラム2との間の直流電流値Idcの変化の一例(印加するピーク間電圧値Vpp=1.1KVに設定したときの例)を表すグラフである。
【図8】帯電ローラー60の近傍の環境条件(温度及び湿度)と適正ピーク間電圧値Vpp(O)との関係を表すグラフである。
【図9】プリンター1が実際の画像出力動作を実行するフローを示すフローチャートである。
【図10】直流電圧値Vdc=400[V]における交流電圧のピーク間電圧値Vppと、帯電部材(帯電ローラー60)と像担持体(感光体ドラム2)との間の直流電流値Idcとの関係を示すグラフである。
【図11】直流電圧値Vdc=400[V]における交流電圧のピーク間電圧値Vppと、像担持体(感光体ドラム2)の表面電位との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1により、本実施形態における画像形成装置としてのプリンター1における全体構造を説明する。図1は、プリンター1の各構成要素の配置を説明するための図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のプリンター1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tに所定のトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHと、を有する。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
【0023】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2と、帯電装置10と、レーザースキャナーユニット4と、現像器16と、トナーカートリッジ5と、トナー供給部6と、ドラムクリーニング部11と、除電器12と、転写ローラー8と、定着部9とを備える。
【0024】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部164と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラー対80と、排紙部50とを備える。
【0025】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2の表面に沿って順に、上流側から下流側に順に、帯電装置10による帯電、レーザースキャナーユニット4による露光、現像器16による現像、転写ローラー8による転写、除電器12による除電、及びドラムクリーニング部11によるクリーニングが行われる。
【0026】
感光体ドラム2は、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2は、アルミニウム製シリンダーの表面に正帯電性光導電体であるアモルファスシリコン層が蒸着されてなる。感光体ドラム2は、搬送路Lにおける用紙Tの搬送方向に対して直交する方向に延びる回転軸を中心に、矢印の方向に定速回転可能に配置される。感光体ドラム2の表面には、静電潜像が形成され得る。
【0027】
帯電装置10は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。帯電装置10は、感光体ドラム2の表面を一様に正(プラス極性)に帯電させる。
帯電装置10の詳細については後述する。
【0028】
レーザースキャナーユニット4は、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2の表面から離間して配置される。レーザースキャナーユニット4は、不図示のレーザー光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モーター等を有して構成される。
レーザースキャナーユニット4は、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光する。レーザースキャナーユニット4により走査露光されることで、感光体ドラム2の表面における露光された部分の電荷は除去される。これにより、感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
【0029】
現像器16は、感光体ドラム2に対応して設けられ、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。現像器16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像に単色(通常はブラック)のトナーを付着させて、単色のトナー画像を感光体ドラム2の表面に形成する。現像器16は、感光体ドラム2の表面に対向配置された現像ローラー17、トナー攪拌用の攪拌ローラー18等を有して構成される。
【0030】
トナーカートリッジ5は、現像器16に対応して設けられており、現像器16に対して供給されるトナーを収容する。
【0031】
トナー供給部6は、トナーカートリッジ5及び現像器16に対応して設けられており、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを現像器16に対して供給する。トナー供給部6と現像器16とは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
【0032】
転写ローラー8は、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を、用紙Tに転写させる。転写ローラー8には、不図示の転写バイアス印加部により、感光体ドラム2に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させるための転写バイアスが印加される。転写ローラー8は、感光体ドラム2に対して当接した状態で回転可能に構成される。
【0033】
感光体ドラム2と転写ローラー8との間で、搬送路Lを搬送される用紙Tが挟み込まれる。挟み込まれた用紙Tは、感光体ドラム2の表面に押し当てられる。感光体ドラム2と転写ローラー8との間で、転写ニップNが形成される。転写ニップNにおいて、感光体ドラム2に現像されたトナー画像は用紙Tに転写される。
【0034】
除電器12は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。除電器12は、感光体ドラム2の表面に光を照射することにより、転写が行われた後の感光体ドラム2の表面を除電する(電荷を除去する)。
【0035】
ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に残存したトナーや付着物(水分を含む)を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0036】
定着部9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを、溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒーターにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟み込まれた状態で用紙Tが搬送されることで、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧され、用紙Tに定着される。
【0037】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する1個の給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの右側(図1における右側)から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板160が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板160の上に積層された状態で収容される。載置板160に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されるカセット給紙部51により、搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板160上の用紙Tを取り出すための前送りコロ161と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラー対163とからなる重送防止機構を備える。
【0038】
装置本体Mの右側(図1において右側)には、手差し給紙部164が設けられる。手差し給紙部164は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部164は、閉状態において装置本体Mの前面の一部を構成する手差しトレイ165と、給紙コロ166とを備える。手差しトレイ165は、その下端において給紙コロ166の近傍の装置本体Mに回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ165には、用紙Tが載置される。給紙コロ166は、開状態の手差しトレイ165に載置された用紙Tを、手差し搬送路Laに給紙する。
【0039】
装置本体Mにおける上方側には、排紙部50が設けられる。排紙部50は、第3ローラー対53により、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50の詳細については後述する。
【0040】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から転写ニップNまでの第1搬送路L1と、転写ニップNから定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部164から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbと、を備える。
【0041】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻り搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部であり、第1ローラー対54a及び第2ローラー対54bを有する。第1ローラー対54aの一方のローラーと第2ローラー対54bの一方のローラーとは、兼用される。
【0042】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と転写ローラー8との間)には、用紙Tを検出するためのセンサー(図示せず)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成と用紙Tの搬送とのタイミングを合わせるためのレジストローラー対80と、が配置される。センサーは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラー対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラー対80は、センサーからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして、用紙Tを搬送する。
【0043】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を感光体ドラム2に対向させるために設けられる搬送路である。
戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から第1ローラー対54aにより排紙部50側に搬送された用紙Tを、表裏反転させて第2ローラー対54bにより第1搬送路L1に戻して、転写ローラー8の上流側に配置されたレジストローラー対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tにおける未印刷面には、転写ニップNにおいて、所定のトナー画像が転写される。
【0044】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの右側(図1において右側、手差し給紙部164側)に向けて開口している。排紙部50は、第3搬送路L3を搬送される用紙Tを、第3ローラー対53により装置本体Mの外部に排紙する。
【0045】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され且つ排紙部50から排紙された用紙Tが、積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサーが配置される。
【0046】
次に、図1を参照して、第1実施形態のプリンター1の動作について、簡単に説明する。
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ161及び給紙ローラー対163によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介してレジストローラー対80に搬送される。
レジストローラー対80においては、用紙Tのスキュー補正や、トナー画像とのタイミング調整が行われる。
【0047】
レジストローラー対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して感光体ドラム2と転写ローラー8との間(転写ニップN)に導入される。そして、用紙Tには、感光体ドラム2と転写ローラー8との間において、トナー画像が転写される。
その後、用紙Tは、感光体ドラム2と転写ローラー8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーが溶融し、トナーは用紙Tに定着される。
【0048】
次いで、用紙Tは、第1ローラー対54aにより第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、第3ローラー対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0049】
手差しトレイ165に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ165に載置された用紙Tは、給紙コロ166によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラー対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0050】
次に、図2から図5により、帯電装置10、及び帯電装置10に電圧を印加する構成について説明する。図2は、帯電装置10の周辺の構成を示す機能ブロック図である。図3は、交流電圧のピーク間電圧値Vppと、帯電部材(帯電ローラー60)と像担持体(感光体ドラム2)との間の直流電流値Idcとの関係を表す2次元座標上の想定特性曲線を示す図である。図4は、本発明により求める直線L1、L2と、座標A、B、Cと、適正ピーク間電圧値Vpp(O)との関係を説明するグラフである。図5は、テーブルデータ73の一例を示すグラフである。
【0051】
図2に示すように、プリンター1は、帯電装置10と、振動電圧生成部61と、電圧制御部62と、電流検知部63と、判定部64と、環境測定部65と、記憶部66とを備える。
【0052】
図2に示すように、帯電装置10は、感光体ドラム2に対向して配置される。帯電装置10は、帯電ローラー60と、ブラシロール67とを有する。
帯電ローラー60は、感光体ドラム2の表面を帯電する帯電部材である。帯電ローラー60は、芯金601と、芯金601の表面を被覆するエピクロヒドリンゴム層602とを有して構成される。エピクロヒドリンゴム層602は、導電性を有する弾性材料層からなる。
ブラシロール67は、帯電ローラー60の上方に(感光体ドラム2の表面から離れた位置に)配置される。ブラシロール67は、帯電ローラー60の表面に接触して回転することにより、帯電ローラー60の表面に付着した付着物を除去する。
【0053】
振動電圧生成部61は、交流電圧と直流電圧とを重畳して振動電圧を生成すると共に、生成した振動電圧を帯電装置10の帯電ローラー60に印加する。
具体的には、振動電圧生成部61は、交流定電圧電源68と、直流定電圧電源69と、を備える。
【0054】
交流定電圧電源68は、昇圧トランス(図示せず)を用いてパルス状に変調された低圧直流電圧から、所定の正弦波の交流電圧を発生させる。直流定電圧電源69は、昇圧トランス(図示せず)を用いてパルス状に変調された低圧直流電圧から、所定の正弦波の交流電圧を発生させ、発生させた交流電圧を整流器(図示せず)により整流して、所定の直流電圧を発生させる。
【0055】
電流検知部63は、感光体ドラム2と帯電ローラー60との間の直流電流値Idcを検知する。電流検知部63は、検知した直流電流値Idcに関する情報を判定部64に出力する。
【0056】
電圧制御部62は、振動電圧生成部61において重畳される交流電圧のピーク間電圧値Vppを制御する。電圧制御部62は、交流定電圧電源68を制御して、振動電圧生成部61において重畳される交流電圧のピーク間電圧値Vppを制御する。
電圧制御部62は、交流電圧のピーク間電圧値Vppを、2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)及び第2ピーク間電圧値Vpp(B)、並びに、高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)に変更させる。2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)及び第2ピーク間電圧値Vpp(B)は、後述する変曲点Pにおけるピーク間電圧値Vppよりも低圧側と想定されるピーク間電圧値である。高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)は、変曲点Pにおけるピーク間電圧値Vppよりも高圧側と想定されるピーク間電圧値である。
【0057】
詳細には、電圧制御部62は、図3及び図4に示すように、ピーク間電圧値Vppと、感光体ドラム2と帯電ローラー60との間の直流電流値Idcとの関係を表す二次元座標上の想定特性曲線に対して、直線L1と直線L2との交点P1に対応するピーク間電圧値Vppを、適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択する。直線L1は、2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)に基づいて得られる座標A{Vpp(A),Idc(A)}、座標B{Vpp(B),Idc(B)}を通る直線である。2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)は、2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、第2ピーク間電圧値Vpp(B)を印加したときに電流検知部63により検知される。直線L2は、直流電流値Idc(C)に基づいて得られる座標C{Vpp(C),Idc(C)}を通り、ピーク間電圧値Vppを表す座標軸に平行な直線である。直流電流値Idc(C)は、高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を印加したときに電流検知部63により検知される。
【0058】
2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)に関する情報は、記憶部66に記憶されるテーブルデータ73より、取得される。詳細には、電圧制御部62は、2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク電圧値Vpp(C)に関する情報を、後述する環境測定部65から取得する環境条件情報に基づいて、記憶部66のテーブルデータ73より取得する。
【0059】
環境測定部65は、環境条件を測定する。環境測定部65は、例えば、環境条件として環境温度や環境湿度を測定する。
環境測定部65は、プリンター1に設置される温度センサー70及び湿度センサー71を有する。環境測定部65(温度センサー70、湿度センサー71)は、取得した環境条件情報(環境温度情報、環境湿度情報)を電圧制御部62に出力する。
【0060】
2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)は、帯電ローラー60の帯電特性の変動要因に関連付けられて、テーブルデータ73に予め設定される。テーブルデータ73は、記憶部66に記憶される。
帯電ローラー60の帯電特性における大きな変動要因は、環境温度及び環境湿度である。
【0061】
本実施形態においては、テーブルデータ73には、より大きな変動要因となる機内(環境)温度及び機内(環境)相対湿度に関連付けられて、2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)が設定されている。
【0062】
具体例として、図5に示すように、機内温度(℃)及び機内相対湿度(%)に関連付けられて、ピーク間電圧値Vpp(V)としての2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)が設定されたテーブルデータ73を、例示する。図5に示すテーブルデータ73は、機内相対湿度が35%未満の場合、機内相対湿度が35〜65%未満の場合、及び、機内相対湿度が65%以上である場合における機内温度とピーク間電圧値Vpp(V)との関係をテーブル化したものである。
【0063】
テーブルデータ73は、電圧制御部62が振動電圧生成部61から帯電ローラー60へ印加する2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を決定するときに、参照される。
【0064】
判定部64は、適正ピーク間電圧値Vpp(O)を印加したときに、電流検知部63により検知された直流電流値Idc(O1)と、その後の画像出力動作中に電流検知部63により検知された直流電流値Idc(O2)との差分(値)△Idcの絶対値が、所定の閾値Xを上回るか否かを判定する。適正ピーク間電圧値Vpp(O)は、プリンター1の画像出力動作の開始時に電圧制御部62により制御されるピーク間電圧値Vppである。
【0065】
本実施形態において、判定部64は、差分(値)△Idc{Idc(O1)−Idc(O2)}を求めると共に、差分△Idcの絶対値|△Idc|と、予め記憶部66に記憶(設定)されている所定の閾値Xとを比較し、差分△Idcの絶対値|△Idc|が閾値Xを上回るか否かを判定する。差分△Idcの絶対値|△Idc|が閾値Xを上回る場合には、判定部64は、帯電ローラー60の近傍の環境条件が変化したと判断して、その判定結果を電圧制御部62に出力する。
【0066】
そして、判定部64において、差分△Idcの絶対値|△Idc|が閾値Xを上回ると判定された場合には、電圧制御部62は、画像出力動作を中断して、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行する。また、差分△Idcの絶対値|△Idc|が閾値Xを上回らないと判定された場合には、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行しないで、画像出力動作を続行する。
【0067】
次に、帯電装置10へ印加する振動電圧の適正ピーク間電圧値Vpp(O)の選択制御を含むプリンター1の動作について、簡単に説明する。図6は、ピーク間電圧値Vppの制御を含むプリンター1の動作フローを示すフローチャートである。
まず、ステップST1において、プリンター1の電源がオンとされる。
【0068】
次に、ステップST2において、環境測定部65の温度センサー70が環境温度を測定すると共に、湿度センサー71が環境湿度を測定する。測定された環境温度及び環境湿度の情報は、電圧制御部62に入力される。
続けて、ステップST3において、電圧制御部62は、入力された環境温度の情報に基づいて、環境温度に関連づけられて記憶部66のテーブルデータ73に設定されている2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を選択する。
【0069】
続けて、ステップST4において、振動電圧生成部61は、交流電圧値と直流電圧とが重畳された振動電圧を生成すると共に、生成した振動電圧を帯電ローラー60に印加する。振動電圧生成部61は、電圧制御部62にピーク間電圧値Vppが制御されて、ピーク間電圧値Vppが2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)である場合の振動電圧を生成すると共に、生成した振動電圧を帯電ローラー60に印加する。
【0070】
続けて、ステップST5において、電流検知部63は、ピーク間電圧値Vppが2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)であるときの直流電流値Idc(A)、Idc(B)と、ピーク間電圧値Vppが高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)であるときの直流電流値Idc(C)とを検知する。
【0071】
続けて、ステップST6において、電圧制御部62は、電流検知部63により検知された2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)に基づいて得られる座標A{Vpp(A),Idc(A)}、座標B{Vpp(B),Idc(B)}を通る直線L1と、電流検知部63により検知される直流電流値Idc(C)に基づいて得られる座標C{Vpp(C),Idc(C)}を通り、ピーク間電圧値Vppを表す座標軸に平行な直線L2との交点P1に対応するピーク間電圧値Vppを、適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択する。
そして、ステップST7において、プリンター1は、画像出力準備動作に移行する。
【0072】
以上のように、プリンター1の画像出力準備動作において、帯電ローラー60に印加する振動電圧の適正ピーク間電圧値Vpp(O)の選択制御が行われる。しかし、それ以降におけるプリンター1の画像出力動作中に環境条件(温度、湿度)が変化すると、帯電ローラー60の特性が変化し、印加される適正ピーク間電圧Vpp(O)にずれが生じることがある。
【0073】
図7は、帯電ローラー60の近傍の環境(温度)における帯電ローラー60と感光体ドラム2との間の直流電流値Idcの変化の一例(印加するピーク間電圧値Vpp=1.1KVに設定したときの例)を表すグラフである。この図7に示すグラフから明らかなように、帯電ローラー60と感光体ドラム2との間の直流電流値Idcは、帯電ローラー60の近傍の環境(温度)依存性を有する。
【0074】
また、図8は、帯電ローラー60の近傍の環境条件(温度及び湿度)と適正ピーク間電圧値Vpp(O)との関係を表すグラフである。この図8に示すグラフから明らかなように、適正ピーク間電圧Vpp(O)は、帯電ローラー60の近傍の環境条件(温度及び湿度)によって変動する環境条件依存性を有する。
【0075】
本実施形態においては、プリンター1が上述した画像出力準備動作後に実際の画像出力動作に移行されたときに、図7に示す直流電流値Idcの帯電ローラー60の近傍の環境(温度)依存性、及び、図8に示す適正ピーク間電圧値Vpp(O)の帯電ローラー60の近傍の環境条件(温度及び湿度)依存性を利用して、常に適正ピーク間電圧値Vpp(O)の設定を可能とするように動作する。
次に、プリンター1による実際の画像出力動作動作について、簡単に説明する。図9は、プリンター1が実際の画像出力動作を実行するフローを示すフローチャートである。
【0076】
まず、ステップST11において、プリンター1による画像出力動作が開始される。
次に、ステップST12において、画像出力動作の開始時に電圧制御部62により選択された適正ピーク間電圧値Vpp(O)を帯電ローラー60に印加する。
【0077】
続いて、ステップST13において、電流検知部63は、適正ピーク間電圧値Vpp(O)を帯電ローラー60に印加したときの直流電流値Idc(O1)と、それ以降の画像出力動作中の直流電流値Idc(O2)と、を検知すると共に、それら直流電流値Idc(O1)、Idc(O2)を判定部64に出力する。
【0078】
続いて、ステップST14において、判定部64は、直流電流値Idc(O1)とIdc(O2)との差分(値)△Idc{Idc(O1)−Idc(O2)}を求めると共に、差分△Idcの絶対値|△Idc|と、予め記憶部66に記憶(設定)されている所定の閾値Xとを比較し、差分△Idcの絶対値|△Idc|が閾値Xを上回るか否かを判定する。
【0079】
判定の結果、差分△Idcの絶対値|△Idc|が閾値Xを上回ると判定された場合(ステップST14、YES)には、帯電ローラー60の近傍の環境が変化したと判断されて、処理はステップST15に進む。
また、差分△Idcの絶対値|△Idc|が閾値Xを上回らないと判定された場合(ステップST14、NO)には、帯電ローラー60の近傍の環境が変化していない、あるいは、変化はごく僅かであると判断されて、処理はステップST16に進む。
【0080】
ステップST15において、プリンター1による画像出力動作が中断して、電圧制御部62は、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行する。すなわち、電圧制御部62は、図6に示す動作フローにおけるステップST2からステップST6までの動作を再度実行して、帯電ローラー60の近傍の環境条件に対応する適正ピーク間電圧値Vpp(O)を選択(再設定)する。
【0081】
ステップST16において、プリンター1は、適正ピーク間電圧値Vpp(O)を帯電ローラー60に印加する状態で、画像出力動作を復帰(継続)する。
【0082】
なお、記憶部66に記憶されている所定の閾値Xを小さい値に設定すると、電圧制御部62によるピーク間電圧値Vppの制御の再実行の頻度が増え、その分、適正ピーク間電圧値Vpp(O)の設定精度を上げることが可能である。しかし、その反面、画像出力動作の中断回数も増えて、画像出力の能率が低下することになる。そのため、閾値Xは、プリンター1の仕様(出力速度、容量等)に対応させて最適な値に設定することが望ましい。
【0083】
本実施形態によれば、例えば、次の効果が奏される。
本実施形態のプリンター1は、画像出力動作の開始時に電圧制御部62により制御される適正ピーク間電圧値Vpp(O)を印加したときに、電流検知部63により検知される直流電流値Idc(O1)と、画像出力動作中に電流検知部63により検知される直流電流値Idc(O2)との差分△Idcの絶対値が所定の電流閾値Xを上回るか否かを判定する判定部64を備え、電圧制御部62は、判定部64において差分△Idcの絶対値が電流閾値Xを上回ると判定された場合に、画像出力動作を中断して、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行する。
【0084】
そのため、本実施形態によれば、画像出力動作の開始時点において環境条件が変動し、これに伴い、帯電ローラー60の特性が変化したとしても、その時点における帯電ローラー60と感光体ドラム2との間の直流電流値Idcを検知することにより、帯電ローラー60の近傍の環境及び帯電ローラー60の特性変化を適確に捉えて、より確実に適正なピーク間電圧値Vppの設定を行うことができる。
これにより、ピーク間電圧値Vppの不足による感光体ドラム2の表面電位の均一性の悪化や、ピーク間電圧値Vppの過剰による放電生成物の増加による画像流れや像担持体の表面摩擦力の上昇を抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態のプリンター1において、電圧制御部62は、ピーク間電圧値Vppと、帯電ローラー60と感光体ドラム2との間の直流電流値Idcとの関係を表す二次元座標上の想定特性曲線に対して、ピーク間電圧値Vppを昇圧したときに現れる変曲点Pの電圧値よりも低圧側と想定される2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)を印加したときに電流検知部63により検知される2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)に基づいて得られる座標A{Vpp(A),Idc(A)}、B{Vpp(B),Idc(B)}を通る直線L1と、変曲点Pの電圧値よりも高圧側と想定される高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を印加したときに電流検知部63により検知される直流電流値Idc(C)に基づいて得られる座標C{Vpp(V),Idc(C)}を通り、ピーク間電圧値Vppを表す座標軸に平行な直線L2との交点P1に対応するピーク間電圧値Vppを、適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択する。
【0086】
そのため、適正ピーク間電極値Vpp(O)を求めるにあたって、変曲点Pよりも高圧側のサンプリング点(高圧側ピーク間電圧値Vpp(C))は一点で足りる。従って、変曲点Pよりも高圧側の複数点をサンプリングして近似直線を求める場合に比べて、適正ピーク電圧値Vpp(O)を迅速に求めることができる。また、印加するピーク間電圧値Vppとして、想定特性曲線の変曲点Pよりもやや高い値を選択することが可能となる。従って、過剰な電圧印加による放電生成物の生成等に伴う感光体ドラム2及び帯電ローラー60の劣化を、抑制することができる。
【0087】
また、本実施形態のプリンター1においては、帯電ローラー60の帯電特性の変動要因に基づいて、低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)が予め設定されたテーブルデータ73を備え、電圧制御部62は、テーブルデータ73に従って低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を選択する。
そのため、想定特性曲線上の変曲点Pの位置が環境変化等の種々の要因により変動することがあっても、それに対応して予めテーブルデータ73に設定された低圧側ピーク電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク電圧値Vpp(C)に基づいてサンプリング電圧を選択することにより、適切に適正ピーク間電圧値Vpp(O)を求めることができる。
【0088】
次に、別の実施形態について説明する。
上述の実施形態においては、電圧制御部62は、画像出力動作を中断して、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行するか否かの判断条件として、画像出力動作の開始時に電流検知部63により検知される直流電流値Idc(O1)と、画像出力動作中に電流検知部63により検知される直流電流値Idc(O2)と、の差分△Idcの絶対値が所定の電流閾値Xを上回るか否かの判定結果のみを用いているが、これに制限されない。この判定結果に加えて、現在の画像出力動作以前に所定枚数以上連続して画像出力動作が行われたか否か、及び/又は、現在の画像出力動作以降に所定枚数以上連続して画像出力動作が行われるか否かの判定結果についても、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行するか否かの判断条件としてもよい。
【0089】
また、差分△Idcの絶対値が所定の電流閾値Xを上回るか否かの判定結果に加えて、現在の画像出力動作以前に所定時間以上連続して画像出力動作が行われたか否か、及び/又は、現在の画像出力動作以降に所定時間以上連続して画像出力動作が行われるか否かの判定結果についても、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行するか否かの判断条件としてもよい。
【0090】
上記のように、画像出力動作が所定枚数以上連続するか否かや、所定時間以上連続するか否かを、画像出力動作を中断して、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行するか否かの判断条件とする場合には、以下の効果が奏される。すなわち、少ない枚数の画像出力動作時や、短時間の画像出力動作時のように、環境条件の変動が非常に少ないときにおける画像出力動作の中断や、ピーク間電圧値Vppの制御の再実行といった無駄な時間ロスを抑制し、画像出力動作の効率化、能率化、省エネルギー化などを図ることが可能となる。
【0091】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定することなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前述の実施形態では、ピーク間電圧値Vppと、帯電ローラー60と感光体ドラム2との間の直流電流値Idcとの関係を表す二次元座標上の想定特性曲線に対して、2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)を印加したときに電流検知部63により検知される2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)に基づいて得られる座標A{Vpp(A),Idc(A)}、B{Vpp(B),Idc(B)}を通る直線L1と、高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を印加したときに電流検知部63により検知される直流電流値Idc(C)に基づいて得られる座標C{Vpp(V),Idc(C)}を通り、ピーク間電圧値Vppを表す座標軸に平行な直線L2との交点P1に対応するピーク間電圧値Vppを適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択しているが、これに制限されない。直線L1と直線L2との交点P1に対応するピーク間電圧値Vppに誤差を補正する係数を乗じたものを、適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択してもよい。
また、上述の実施形態における2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)は、任意に設定できる。
【0092】
また、本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、コピー機、プリンター、ファクシミリ、又はこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
1……プリンター(画像形成装置)、2……感光体ドラム(像担持体)、10……帯電装置、11……クリーニング部、60……帯電ローラー(帯電部材)、61……振動電圧生成部、62……電圧制御部、63……電流検知部、64……判定部、65……環境測定部、66……記憶部、68……交流定電圧電源、69……直流定電圧電源、73……テーブルデータ、601……芯金、602……エピクロヒドリンゴム層(弾性材料層)、P……変曲点、Vpp……交流電圧のピーク間電圧値、Vpp(A)、Vpp(B)……低圧側ピーク間電圧値、Vpp(C)……高圧側ピーク間電圧値、Idc,Idc(O1),Idc(O2)……直流電流値
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に対向して配置され、前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、
交流電圧と直流電圧とを重畳して振動電圧を生成すると共に、前記振動電圧を前記帯電部材に印加する振動電圧生成部と、
前記振動電圧生成部において重畳される前記交流電圧のピーク間電圧値Vppを制御する電圧制御部と、
前記像担持体と前記帯電部材との間の直流電流値Idcを検知する電流検知部と、
画像出力動作の開始時に前記電圧制御部により制御される適正ピーク間電圧値Vpp(O)を印加したときに、前記電流検知部により検知される直流電流値Idc(O1)と、画像出力動作中に前記電流検知部により検知される直流電流値Idc(O2)との差分△Idcの絶対値が所定の電流閾値を上回るか否かを判定する判定部と、を備え、
前記電圧制御部は、前記判定部において前記差分△Idcの絶対値が前記電流閾値を上回ると判定された場合に、画像出力動作を中断して、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行する
画像形成装置。
【請求項2】
前記電圧制御部は、前記ピーク間電圧値Vppと、前記帯電部材と前記像担持体との間の直流電流値Idcとの関係を表す二次元座標上の想定特性曲線に対して、前記ピーク間電圧値Vppを昇圧したときに現れる変曲点の電圧値よりも低圧側と想定される2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)を印加したときに前記電流検知部により検知される2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)に基づいて得られる座標A{Vpp(A),Idc(A)}、B{Vpp(B),Idc(B)}を通る直線L1と、前記変曲点の電圧値よりも高圧側と想定される高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を印加したときに前記電流検知部により検知される直流電流値Idc(C)に基づいて得られる座標C{Vpp(V),Idc(C)}を通り、前記ピーク間電圧値Vppを表す座標軸に平行な直線L2との交点に対応するピーク間電圧値Vppを前記適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記帯電部材の帯電特性の変動要因に基づいて、前記低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び前記高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)が予め設定されたテーブルデータを備え、
前記電圧制御部は、前記テーブルデータに従って前記低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び前記高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を選択する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電圧制御部は、以前に所定枚数以上連続する画像出力動作が行われた場合、及び/又は、以降に所定枚数以上連続する画像出力動作が行われる場合、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行し、その他の場合には、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行しない
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電圧制御部は、以前に所定時間以上連続する画像出力動作が行われた場合、及び/又は、以降に所定時間以上連続する画像出力動作が行われる場合、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行し、その他の場合には、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行しない
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電部材は、芯金の外周部に導電性を有する弾性材料層を被覆した帯電ローラーにより構成されている
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体は、アルミニウム製シリンダーの表面にアモルファスシリコン層を蒸着してなる感光体ドラムである
請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に対向して配置され、前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、
交流電圧と直流電圧とを重畳して振動電圧を生成すると共に、前記振動電圧を前記帯電部材に印加する振動電圧生成部と、
前記振動電圧生成部において重畳される前記交流電圧のピーク間電圧値Vppを制御する電圧制御部と、
前記像担持体と前記帯電部材との間の直流電流値Idcを検知する電流検知部と、
画像出力動作の開始時に前記電圧制御部により制御される適正ピーク間電圧値Vpp(O)を印加したときに、前記電流検知部により検知される直流電流値Idc(O1)と、画像出力動作中に前記電流検知部により検知される直流電流値Idc(O2)との差分△Idcの絶対値が所定の電流閾値を上回るか否かを判定する判定部と、を備え、
前記電圧制御部は、前記判定部において前記差分△Idcの絶対値が前記電流閾値を上回ると判定された場合に、画像出力動作を中断して、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行する
画像形成装置。
【請求項2】
前記電圧制御部は、前記ピーク間電圧値Vppと、前記帯電部材と前記像担持体との間の直流電流値Idcとの関係を表す二次元座標上の想定特性曲線に対して、前記ピーク間電圧値Vppを昇圧したときに現れる変曲点の電圧値よりも低圧側と想定される2つの低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)を印加したときに前記電流検知部により検知される2つの直流電流値Idc(A)、Idc(B)に基づいて得られる座標A{Vpp(A),Idc(A)}、B{Vpp(B),Idc(B)}を通る直線L1と、前記変曲点の電圧値よりも高圧側と想定される高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を印加したときに前記電流検知部により検知される直流電流値Idc(C)に基づいて得られる座標C{Vpp(V),Idc(C)}を通り、前記ピーク間電圧値Vppを表す座標軸に平行な直線L2との交点に対応するピーク間電圧値Vppを前記適正ピーク間電圧値Vpp(O)として選択する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記帯電部材の帯電特性の変動要因に基づいて、前記低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び前記高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)が予め設定されたテーブルデータを備え、
前記電圧制御部は、前記テーブルデータに従って前記低圧側ピーク間電圧値Vpp(A)、Vpp(B)及び前記高圧側ピーク間電圧値Vpp(C)を選択する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電圧制御部は、以前に所定枚数以上連続する画像出力動作が行われた場合、及び/又は、以降に所定枚数以上連続する画像出力動作が行われる場合、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行し、その他の場合には、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行しない
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電圧制御部は、以前に所定時間以上連続する画像出力動作が行われた場合、及び/又は、以降に所定時間以上連続する画像出力動作が行われる場合、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行し、その他の場合には、ピーク間電圧値Vppの制御を再度実行しない
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電部材は、芯金の外周部に導電性を有する弾性材料層を被覆した帯電ローラーにより構成されている
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体は、アルミニウム製シリンダーの表面にアモルファスシリコン層を蒸着してなる感光体ドラムである
請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−247506(P2012−247506A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117454(P2011−117454)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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