説明

画像形成装置

【課題】用紙上に形成される定着後の画像に対し、排紙手段に起因する光沢ムラを防止する画像形成装置を提供すること。
【解決手段】用紙に転写されたトナー像を定着する定着手段と、定着された用紙を排紙し、圧接する駆動ローラ及び従動ローラを有する排紙ローラ対を備えた排紙手段と、を有し、かつ、定着された用紙の表裏をそのままの向きで排紙する通常排紙モードと、前記排紙手段により用紙の表裏を反転して排紙する反転排紙モードと、の2つのモードを有する画像形成装置であって、前記従動ローラの熱伝導率は前記駆動ローラの熱伝導率より高く、前記2つのモードのいずれのモードが選択される場合においても、用紙が前記排紙ローラ対に達する直前に定着されたトナー像を担持する用紙面を、前記従動ローラに当接させて排紙させることを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式による画像形成装置に関し、特に、定着処理された用紙を排紙する排紙手段を有する画像形成装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、トナー像は加熱・加圧により紙に定着される。
【0003】
近年、高画質化、カラー化等に伴って、トナーにワックスを含有させ、しかも、ワックス含有量が多くなる傾向にある。ワックスは、オフセット防止、定着ローラ対からの紙の分離性の向上、トナー像の光沢度調整等を目的としてトナーに含有される。
【0004】
しかるに、ワックスは定着処理直後においては、固化していないために、定着装置の下流における搬送部を構成する部品に紙上のトナー像が接触した場合、トナー像の表面状態が不均一になって、光沢度むら等が発生し、トナー像の品質を低下させる場合がある。即ち、搬送部を構成する部品として一般的な、通しの軸に複数個のリング状のゴムローラを対として配設したものを用いる場合、用紙に接触するゴムローラ部とそれ以外の部分との間に熱の放出量に差を生じるために光沢度むら等が発生するのである。ゴムローラを用紙幅より長い通しのローラとすればこの問題は防止できるが、用紙にしわが発生し易くなることや、コストアップになるという問題がある。
【0005】
特許文献1では、このような画像品質の低下を防止するために、定着後、排紙するまでの用紙を搬送する全てのリング状の搬送ローラにおける位相をずらすという技術が提示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−25565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、定着後から排紙するまでの間における用紙を搬送する全ての搬送ローラの位相を重ならないようにずらすということは困難である。また、搬送ローラが配設される場所により、用紙が搬送ローラに接触するタイミングが違ってくるため、冷却の度合にも差が生じることになり、特許文献1に記載の構成でワックスムラを抑制することは極めて難しい。
【0008】
本発明の目的は、上記のような問題を解決し、簡単な構成でありながら、用紙上に形成される定着後の画像に対し、排紙手段に起因する光沢ムラを防止する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的は下記の発明により達成される。
【0010】
1.用紙に転写されたトナー像を定着する定着手段と、
定着された用紙を排紙する、圧接する駆動ローラ及び従動ローラを有する排紙ローラ対を備えた排紙手段と、を有し、かつ、
定着された用紙の表裏をそのままの向きで排紙する通常排紙モードと、前記排紙手段により用紙の表裏を反転して排紙する反転排紙モードと、の2つのモードを有する画像形成装置であって、
前記従動ローラの熱伝導率は前記駆動ローラの熱伝導率より高く、
前記2つのモードのいずれのモードが選択される場合においても、用紙が前記排紙ローラ対に達する直前に定着されたトナー像を担持する用紙面を、前記従動ローラに当接させて排紙させることを特徴とする画像形成装置。
【0011】
2.前記排紙ローラ対により用紙が排紙される排紙径路には通常排紙径路と反転排紙径路との2つの切り替え可能な径路があり、前記通常排紙モードが選択されるときには用紙を前記通常排紙径路に導き、前記反転排紙モードが選択されるときには用紙を前記反転排紙径路に導くように、前記排紙径路を切り替え、
前記従動ローラは、前記駆動ローラの外周面上の異なる位置に移動可能に配設され、前記異なる位置への移動による前記駆動ローラとの圧接により、前記通常排紙径路に対応する位置に形成する第1のニップ部と、前記反転排紙径路に対応する位置に形成する第2のニップ部とのいずれかのニップ部を、前記駆動ローラ上に形成することを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0012】
3.前記排紙手段は、前記排紙ローラ対の上流側に、前記排紙ローラ対により形成されるニップ部に向けて用紙を搬送する、前記排紙ローラ対から離間する方向に移動可能な用紙ガイド手段を備え、
前記用紙ガイド手段は、前記排紙径路が切り替えられる際には、前記排紙ローラ対から離間する退避位置に移動することを特徴とする前記2に記載の画像形成装置。
【0013】
4.前記排紙ローラ対は、1個の駆動ローラと、前記1個の駆動ローラに対して接離可能に配設され、前記通常排紙径路及び前記反転排紙径路の2つの排紙径路上に配設される2個の従動ローラと、により構成される2組の排紙ローラ対からなり、
前記通常排紙モードが選択されるときには前記通常排紙径路上に位置する前記従動ローラが前記駆動ローラに圧接して第1のニップ部を形成するとともに前記反転排紙径路上に位置する前記従動ローラの前記駆動ローラへの圧接が解除され、
前記反転排紙モードが選択されるときには前記反転排紙径路上に位置する前記従動ローラが前記駆動ローラに圧接して第2のニップ部を形成するとともに前記通常排紙径路上に位置する前記従動ローラの前記駆動ローラへの圧接が解除されることを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0014】
5.前記排紙ローラ対は、前記通常排紙径路上及び前記反転排紙径路上に配設される、2個の駆動ローラと2個の従動ローラとの2組の排紙ローラ対からなり、第1のニップ部と第2のニップ部との2つのニップ部を形成し、
前記通常排紙モードが選択されるときには用紙を前記通常排紙径路上に配設される排紙ローラ対に形成される前記第1のニップ部に挟持させて排紙し、
前記反転排紙モードが選択されるときには用紙を前記反転排紙径路上に配設される排紙ローラ対に形成される前記第2のニップ部に挟持させて排紙することを特徴とする前記1に記載の画像形成装置。
【0015】
6.前記通常排紙径路又は前記反転排紙径路から前記排紙ローラ対のニップ部を経て排紙される用紙は、固定された排紙トレイ上に排紙されて積載され、
前記通常排紙径路上に形成される前記第1のニップ部の出口部の近傍と、前記反転排紙径路上に形成される前記第2のニップ部の出口部の近傍とのそれぞれに、前記排紙トレイ上に積載される用紙が上限の位置に達したことを検知する用紙上限位置検知センサが配設され、
前記用紙上限位置検知センサにより用紙が上限の位置に達したことを検知されたとき、警告を発することを特徴とする前記2から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0016】
7.前記通常排紙径路又は前記反転排紙径路から前記排紙ローラ対のニップ部を経て排紙される用紙は、上下方向に移動可能な排紙トレイ上に排紙されて積載され、
前記通常排紙径路上に形成される前記第1のニップ部の出口部の近傍には、前記通常排紙モードにおいて前記排紙トレイ上に積載される用紙が上限の位置に達したことを検知する第1の用紙上限位置検知センサが配設され、
前記反転排紙径路上に形成される前記第2のニップ部の出口部の近傍には、前記反転排紙モードにおいて前記排紙トレイ上に積載される用紙が上限の位置に達したことを検知する第2の用紙上限位置検知センサが配設され、
前記排紙ローラ対の下方には、用紙の積載量が限界に達したことを前記排紙トレイの降下位置により検知するトレイ満載検知センサが配設され、
前記通常排紙モードが選択され、前記排紙トレイに積載される用紙束の最上位の位置が前記第1の用紙上限位置検知センサにより検知されるとき、前記排紙トレイは所定の高さだけ降下して用紙の積載を継続し、
前記反転排紙モードが選択され、前記排紙トレイに積載される用紙束の最上位の位置が前記第2の用紙上限位置検知センサにより検知されるとき、前記排紙トレイは所定の高さだけ降下して用紙の積載を継続し、
前記排紙トレイが前記トレイ満載検知センサに検知されるとき、警告を発することを特徴とする前記2から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、直前に定着されたトナー像を担持する用紙面を、熱伝導率の高い従動ローラに当接させることにより、用紙の従動ローラに当接する部分と当接しない部分との熱放出量の差を少なくすることができ、画像の光沢ムラの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施形態についての構成及び動作を説明するための構成図である。
【図2】本発明に係る排紙手段200の第1の実施形態の構成及び動作について説明するための概略構成図である。
【図3】本発明に係る排紙手段200の第2の実施形態の構成及び動作について説明するための概略構成図である。
【図4】本発明に係る排紙手段200の第3の実施形態の構成及び動作について説明するための概略構成図である。
【図5】本発明に係る排紙手段200の第4の実施形態の構成及び動作について説明するための概略構成図である。
【図6】本発明に係る排紙手段200の第5の実施形態の構成及び動作について説明するための概略構成図である。
【図7】本発明に係る排紙手段200の第6の実施形態の構成及び動作について説明するための概略構成図である。
【図8】本発明に係る画像形成装置の各部の動作を制御する制御手段100の制御系に関するブロック図である。
【図9】本発明に係る排紙手段200の第5の実施形態の動作の手順について説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明に係る排紙手段200の第6の実施形態の動作の手順について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明に関する実施の形態を、図を参照して説明するが、本発明は本実施の形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明に係る画像形成装置の実施形態についての構成及び動作を説明するための構成図である。
【0021】
本画像形成装置は画像形成装置本体GHと画像読取装置YSとから構成される。
【0022】
画像形成装置本体GHは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10K、ベルト状の中間転写ベルト5、給紙搬送手段及びベルト搬送装置8等からなる。
【0023】
画像形成装置本体GHの上部には、自動原稿送り装置501と原稿画像走査露光装置502から成る画像読取装置YSが設置されている。自動原稿送り装置501の原稿台に載置された原稿dは搬送手段により搬送され、原稿画像走査露光装置502の光学系により原稿の片面又は両面の画像が走査露光され、ラインイメージセンサCCDに読み込まれる。
【0024】
ラインイメージセンサCCDにより光電変換されて形成された信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、露光手段3Y、3M、3C、3Kに送られる。
【0025】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成部10Yは、感光体ドラム1Yの周囲に帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y及びクリーニング手段7Yを配置している。マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成部10Mは、感光体ドラム1Mの周囲に帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M及びクリーニング手段7Mを配置している。シアン(C)色の画像を形成する画像形成部10Cは、感光体ドラム1Cの周囲に帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C及びクリーニング手段7Cを配置している。黒(K)色の画像を形成する画像形成部10Kは、感光体ドラム1Kの周囲に帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K及びクリーニング手段7Kを配置している。そして、帯電手段2Yと露光手段3Y、帯電手段2Mと露光手段3M、帯電手段2Cと露光装置3C、及び帯電手段2Kと露光装置3Kは、潜像形成手段を構成する。
【0026】
なお、現像手段4Y、4M、4C、4Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の小粒径のトナーとキャリアからなる2成分現像剤を内包する。トナーは発色剤となる顔料若しくは染料と、定着後に定着部材からのトナーの剥離を助けるワックスと、これらを保持するバインダー樹脂とからなる。
【0027】
中間転写ベルト5は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持されている。
【0028】
定着手段としての定着装置8は、加熱された定着ベルト81と加圧ローラ83との間に形成されたニップ部で用紙Pのトナー像を加熱・加圧して定着する。
【0029】
かくして、画像形成部10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、回動する中間転写ベルト5に転写手段6Y、6M、6C、6Kにより逐次転写されて(1次転写)、カラー画像合成されたトナー像が形成される。給紙カセット20内に収容された用紙Pは、給紙手段21により給紙され、給紙ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23等を経て、転写手段6Aに搬送され、用紙Pにカラー画像が転写される(2次転写)。カラー画像が転写された用紙Pは定着装置8において加熱・加圧され、用紙Pのカラートナー像が定着される。その後、排紙ローラ対24に挟持されて機外の排紙トレイ25に載置される。なお、用紙Pに両面プリントが行われる際には、用紙Pは排紙径路切り替え手段としての排紙径路切り替え部材26から下方へと搬送され、反転排紙径路28、両面画像形成径路29、給紙ローラ22D、レジストローラ23等を経て、転写手段6Aに再搬送される。また、用紙Pが反転排紙される際には、用紙Pは排紙径路切り替え部材26から下方へと搬送され、反転排紙径路28から用紙Pの先端と後端とが逆にされた状態で排紙径路切り替え部材26に戻され、排紙ローラ対24から機外の排紙トレイ25に排紙される。
【0030】
一方、転写手段6Aにより用紙Pにカラー画像を転写した後、用紙Pを曲率分離した中間転写ベルト5は、クリーニング手段7Aにより残留トナーが除去される。
【0031】
符号の100は、画像形成装置の各部の動作を制御する制御手段であり、画像形成装置の内部に配設される。
【0032】
なお、以上はカラー画像を形成する画像形成装置であったが、モノクロ画像を形成する画像形成装置であってもよいし、中間転写ベルトを用いても用いなくてもよい。
【0033】
図2は、本発明に係る排紙手段200の第1の実施形態の構成及び動作について説明するための概略構成図である。図2(a)は、通常排紙モードが選択されたときの用紙Pの排紙状態を示す図であり、図2(b)は、反転排紙モードが選択されたときの用紙Pの排紙状態を示す図である。通常排紙モードと反転排紙モードとは、排紙径路切り替え部材26により排紙径路が切り替えられる。
【0034】
ここでいう通常排紙モードとは、片面プリント、又は両面プリントの2面目のプリントが完了した定着後の用紙Pが排紙ローラ対24に達する直前に画像形成された面を上向きにして排紙トレイ25上に排紙されるモードのことである。通常排紙モードにおいて、排紙手段200に搬送される用紙Pは、図2(a)に示すように、略水平に保持される排紙径路切り替え部材26のガイド部26c上を通過して排紙ローラ対24を経て排紙トレイ25上に排紙される。排紙径路切り替え部材26には図示しない切り替え部材駆動ソレノイドが連結されており、制御手段100からの指令により排紙径路切り替え部材26が動作され、排紙径路が切り替えられる。
【0035】
また、反転排紙モードとは、片面プリント、又は両面プリントの2面目のプリントが完了した定着後の用紙Pが排紙ローラ対24に達する直前に画像形成された面を下向きにして排紙トレイ25上に排紙されるモードのことである。反転排紙モードにおいて、排紙手段200に搬送される用紙Pは、図2(b)に示すように、ガイド板27bに沿って傾斜した排紙径路切り替え部材26のガイド部26aに沿って下方に搬送され、反転排紙径路28(図1参照)へと搬送される。その後、反転排紙径路28から用紙Pの先端と後端とが逆にされて排紙径路切り替え部材26とガイド板27cの間に戻され、排紙ローラ対24から機外の排紙トレイ25に排紙される。
【0036】
図2において、本発明に係る排紙手段200は、排紙ローラ対24、排紙径路切り替え部材26、ガイド板27a、27b、27c等からなる。符号の87は、定着装置8の排出ローラである。排紙ローラ対24は、駆動ローラ24a、従動ローラ24b、連結板24c、及び図示しないばね部材等からなる。駆動ローラ24aは、ステンレス等からなる金属製の回転軸に摩擦係数の高いゴム部材等からなる複数のリング状部材を巻き付けて形成したものである。従動ローラ24bは、ステンレス等からなる金属製の回転軸に駆動ローラ24aのリング状部材よりも熱伝導率の高いアルミニウム等からなる複数のリング状部材を駆動ローラ24aのリング状部材に対応する位置に配設したものである。連結板24cは、2つの嵌合穴を有し、駆動ローラ24aの回転軸と従動ローラ24bの回転軸とを両回転軸の両端部で嵌合穴により連結し、従動ローラ24bの外周面が駆動ローラ24aの外周面上の異なる任意の位置に移動できるように保持している。連結板24cは、図示しないモータやソレノイドからなる駆動源に連結されたリンク機構と連結し、従動ローラ24bを駆動ローラ24a上の第1のニップ部N1と第2のニップ部N2とのいずれかの位置に移動される。従動ローラ24bの回転軸に嵌合する連結板24cの嵌合穴は、従動ローラ24bの回転軸に対して、駆動ローラ24aと接離する方向に遊びがあり、従動ローラ24bの移動と駆動ローラ24aへの圧接を容易にしている。図示しないばね部材は、駆動ローラ24aの回転軸と従動ローラ24bの回転軸との両端部に配設され、両ローラのリング状部材の外周面同士が圧接するように付勢している。従動ローラ24bの移動による第1のニップ部N1と第2のニップ部N2の位置は、それぞれ通常排紙径路と反転排紙径路とにおける用紙搬送上適した位置に配設される位置であり、図示しないロック機構により定位置に固定される。
【0037】
駆動ローラ24aの回転軸と従動ローラ24bの回転軸とは両端部近傍で図示しない画像形成装置の筐体に回転自在に軸支され、駆動ローラ24aの回転軸は、図示しない歯車等を介して、駆動モータに連結されている。また、従動ローラ24bの回転軸は、軸受部材を介して、画像形成装置の筐体に配設される、公知のクリック機構等からなる図示しない固定部材により、図2(a)に示す位置と、図2(b)に示す位置とで固定される。駆動ローラ24aと従動ローラ24bとは、図2(a)に示す位置では第1のニップ部N1を形成し、図2(b)に示す位置では第2のニップ部N2を形成する。
【0038】
排紙径路切り替え部材26は、画像形成装置の図示しない筐体に保持されるガイド部26a、26b、26c、及び回転軸部26dを有し、回転軸部26dを中心として回転自在に保持される。回転軸部26dには、図示しない公知のリンク機構による切り替え部材駆動機構部とそれを駆動する切り替え部材駆動ソレノイドとばね部材とが連結されている。排紙径路切り替え部材26は、画像形成装置が通常排紙モードに選択されるか、反転排紙モードに選択されるかにより、定着装置8の排出ローラ87から搬送される用紙Pの排紙径路を切り替える。ガイド板27aは、通常排紙モードにおける用紙Pの搬送をガイドし、ガイド板27bは、反転排紙モード又は両面画像形成モードにおける用紙Pの搬送をガイドし、ガイド板27cは、反転排紙モードにおける用紙Pの搬送をガイドする。
【0039】
図2(a)において、通常排紙モードが選択されると、排紙径路切り替え部材26は、図示しないばね部材により付勢されてガイド部26cを略水平に保ち、定着装置8の排出ローラ87から搬送される用紙Pを排紙ローラ対24の第1のニップ部N1へガイドする。排紙ローラ対24は、従動ローラ24bが駆動ローラ24aの上方の第1のニップ部N1を形成する位置に固定され、排紙径路切り替え部材26を経て略水平に搬送される用紙Pを排紙トレイ25へ排紙する。
【0040】
図2(b)において、反転排紙モード又は両面画像形成モードが選択されるとき、排紙径路切り替え部材26は、図示しない切り替え部材駆動ソレノイドにより駆動されてガイド部26cを図示の角度に傾ける。排紙径路切り替え部材26の傾きにより、定着装置8の排出ローラ87から搬送される用紙Pは、ガイド部26aとガイド板27bとの間を通り、反転排紙径路28へと搬送される。両面画像形成される用紙Pは、反転排紙径路28へと搬送された後、図示しない搬送ローラの逆回転と搬送径路切り替え部材の切り替え動作により、両面画像形成径路29へ搬送される。また、反転排紙される用紙Pは反転排紙径路28へ搬送された後、図示しない搬送ローラの逆回転により反転排紙径路28で逆送されてガイド部26bとガイド板27cとの間を通り、排紙ローラ対24へと搬送される。
【0041】
反転排紙モードが選択されるとき、排紙ローラ対24は、従動ローラ24bが駆動ローラ24a下方に移動されて第2のニップ部N2を形成し、反転排紙径路28から逆送される用紙Pを、ガイド板27c及び排紙ローラ対24を経て排紙トレイ25へ排紙する。
【0042】
第1の実施形態によれば、直前に定着されたトナー像を担持する用紙面を、熱伝導率の高い従動ローラに当接でき、用紙の従動ローラに当接する部分と当接しない部分との熱放出量の差を少なくして、画像の光沢ムラの発生を抑制することができる。また、駆動ローラ24aに対して従動ローラ24bを移動させるという排紙ローラ対24を用いた簡単な構成により、通常排紙モードと反転排紙モードとの2つのモードに適用できる排紙手段200を備えた画像形成装置を提供することができる。
【0043】
図3は、本発明に係る排紙手段200の第2の実施形態の構成及び動作について説明するための概略構成図である。図3(a)は、通常排紙モードが選択されたときのガイドユニット260が初期位置にある状態を示す図であり、図2(b)は、反転排紙モードが選択されたときのガイドユニット260が退避位置に移動した状態を示す図である。
【0044】
第2の実施形態は、第1の実施形態と類似しており、同一の機能を有する部材には同一の符番を付しているため説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。排紙手段200の第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態では固定されている、ガイド板27a、27b、27c、及び排紙径路切り替え部材26の回転軸部26dが、第2の実施形態では移動する点である。即ち第1の実施形態では、ガイド板27a、27b、27c、及び回転軸部26dが用紙ガイド手段としてのガイドユニット260に一体的に固定され、ガイドユニット260が排紙ローラ対24から離間する方向に移動可能に配設されている。それ以外の構成は第1の実施形態と同一である。
【0045】
ガイドユニット260は、用紙搬送方向xと直角な方向(以下、用紙幅方向ともいう)の両端に、図3の二点鎖線で示すような一対の側板(参照符号なし)を有し、一対の側板はガイド板27a、27b、27cにより結合されている。ガイドユニット260は、図示しないリンク機構等を利用したスライド手段により用紙搬送方向xに移動可能に配設され、ガイド手段移動用駆動源としてのモータ等により駆動されて移動する。また、一対の側板のそれぞれには、排紙径路切り替え部材26の回転軸部26dを回転自在に保持する穴が形成されており、回転軸部26dを保持し、かつ回転軸部26dに固設された排紙径路切り替え部材26を回転自在に保持している。回転軸部26dには、図示しない公知のリンク機構による切り替え部材駆動機構部とそれを駆動する切り替え部材駆動ソレノイドとばね部材とが連結されている。
【0046】
通常排紙モード又は反転排紙モードへの切り替えが行われる前後の時点においては、図3(a)に示すように、従動ローラ24bは第1のニップ部N1を形成する位置又は第2のニップ部N2を形成する位置にある。また、ガイドユニット260は用紙Pの搬送又は排紙が可能な初期位置にある。
【0047】
通常排紙モード又は反転排紙モードへの切り替えが行われる時点においては、図3(b)に示すように、ガイドユニット260は排紙ローラ対24から離間する退避位置にあり、従動ローラ24bは駆動ローラ24aの外周に沿って半径Rの範囲を移動する。退避位置は、ガイド板27a、27b、27c、及び排紙径路切り替え部材26の位置が、従動ローラ24bの移動範囲である半径Rの範囲の外側になる位置であり、移動による干渉が防止される。
【0048】
第2の実施形態によれば、通常排紙モード又は反転排紙モードへの切り替え時に、ガイド板27a、27b、27c、及び排紙径路切り替え部材26が移動するため、従動ローラ24bの位置の切り替えを行うことができる。また、従動ローラ24bの位置の切り替えが用紙搬送方向の上流側の範囲で行われ、排紙ローラ対24の用紙搬送方向の下流側の範囲にスペース余裕ができるため、排紙トレイ25や積載される用紙束P1に影響を及ぼすという懸念がなく、設計上の自由度が広くなる。
【0049】
図4は、本発明に係る排紙手段200の第3の実施形態の構成及び動作について説明するための概略構成図である。図4(a)は、通常排紙モードが選択されたときの用紙Pの排紙状態を示す図であり、図4(b)は、反転排紙モードが選択されたときの用紙Pの排紙状態を示す図である。
【0050】
排紙手段200の第3の実施形態は、第1の実施形態と類似しており、同一の機能を有する部材には同一の符番を付しているため説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。第3の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態では1個の駆動ローラ24aに1個の位置可変の従動ローラ24bが圧接するが、第3の実施形態では、1個の駆動ローラ24aに対して2個の従動ローラ24b、24dが圧接する構成である。駆動ローラ24aには正逆転可能な図示しない駆動モータが連結され、駆動ローラ24aは正逆両方向に回転可能である。また、2個の従動ローラ24b、24dはそれぞれ駆動ローラ24aに対して接離可能に配設されており、一方の従動ローラ24bが用紙Pを排紙しているときには、もう一方の従動ローラ24dは駆動ローラ24aから離間される。即ち、1個の駆動ローラ24aと2個の従動ローラ24b、24dとにより、2組の排紙ローラ対24が通常排紙径路と反転排紙径路との2つの排紙径路上に構成されることになる。従動ローラ24b、24dの駆動ローラ24aに対する接離動作は、公知のリンク機構及び駆動源としてのソレノイド等により行われる。
【0051】
通常排紙モードが選択されるときには、図4(a)に示すように、一方の従動ローラ24bは駆動ローラ24aに圧接して第1のニップ部N1を形成し、もう一方の従動ローラ24dは駆動ローラ24aから離間した位置にある。駆動ローラ24aの反時計方向への回転により用紙Pは排紙ローラ対24から排紙トレイ25へと排紙される。反転排紙モードが選択されるときには、図4(b)に示すように、もう一方の従動ローラ24dが駆動ローラ24aに圧接して第2のニップ部N2を形成し、一方の従動ローラ24bは駆動ローラ24aから離間した位置にある。駆動ローラ24aの時計方向への回転により用紙Pは排紙ローラ対24から排紙トレイ25へと排紙される。
【0052】
第3の実施形態によれば、2つの従動ローラ24b、24dが圧接又は圧接解除するだけで通常排紙モードと反転排紙モードとに対応できるという簡単な構成であるため、従動ローラ24bの大きな移動や、ガイドユニット260の移動は不要となる。従って、コストダウンが図れるとともに、スペースの確保が可能となり、装置の小型化を図ることができる。また、一方の従動ローラ24bが圧接する場合には、もう一方の従動ローラ24dが圧接を解除する(逆の場合も同様)ことにより、不要な摩擦を防止することができ、部材の寿命を延ばすことが可能となる。
【0053】
図5は、本発明に係る排紙手段200の第4の実施形態の構成及び動作について説明するための概略構成図である。
【0054】
排紙手段200の第4の実施形態は、第1の実施形態と類似しており、同一の機能を有する部材には同一の符番を付しているため説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。第4の実施形態では、排紙ローラ対24は、ニップ部N1を形成する第1の排紙ローラ対241及びニップ部N2を形成する第2の排紙ローラ対242の2つのローラ対からなる。第1の排紙ローラ対241は駆動ローラ241aと従動ローラ241bからなり、第2の排紙ローラ対242は駆動ローラ242aと従動ローラ242bからなる。通常排紙モードが選択されると、用紙Pは第1の排紙ローラ対241から排出され、反転排紙モードが選択されると、用紙Pは第2の排紙ローラ対242から排出される。
【0055】
第1の実施形態と異なる点は、第1の実施形態では1個の駆動ローラ24aに1個の従動ローラ24bが圧接するが、第4の実施形態では、駆動ローラ241a、242aのそれぞれに対して従動ローラ241b、242bのそれぞれが圧接する点である。駆動ローラ241aには駆動ローラ241aを反時計方向に駆動回転させる図示しない駆動モータが連結され、駆動ローラ242aには駆動ローラ242aを時計方向に駆動回転させる図示しない駆動モータが連結される。また、2個の従動ローラ241b、242bはそれぞれ駆動ローラ241a、241bに対して接離可能に配設されている。従動ローラ241bが駆動ローラ241aに圧接し、用紙Pを排紙するときには、従動ローラ242bは駆動ローラ242aから離間される。従動ローラ241b、242bの駆動ローラ241a、242aに対する接離動作は、公知のリンク機構及び駆動源としてのソレノイド等により行われる。
【0056】
通常排紙モードが選択されるとき、図5の上側に示す排紙ローラ対241の従動ローラ241bは駆動ローラ241aに圧接して第1のニップ部N1を形成し、下方に示す排紙ローラ対242の従動ローラ242bは駆動ローラ242aから離間した位置にある。駆動ローラ241aの反時計方向への回転により用紙Pは排紙ローラ対241から排紙トレイ25へと排紙される。反転排紙モードが選択されるときには、排紙ローラ対242の従動ローラ242bが駆動ローラ242aに圧接して第2のニップ部N2を形成し、従動ローラ241bは駆動ローラ241aから離間した位置にある。駆動ローラ242aの時計方向への回転により用紙Pは排紙ローラ対242から排紙トレイ25へと排紙される。
【0057】
第4の実施形態によれば、2つの排紙ローラ対241、242が圧接又は圧接解除するだけで通常排紙モードと反転排紙モードとに対応できるという簡単な構成であるため、従動ローラ24bの大きな移動や、ガイドユニット260の移動は不要となる。また、駆動ローラ241a、242aを駆動するモータは正逆両方向に駆動する必要はなく、コストダウンを図ることができる。更には、駆動ローラ241a、242a、及び従動ローラ241b、242bの使用頻度を少なくすることができるため、部品の長時間の使用が可能となる。
【0058】
図6は、本発明に係る排紙手段200の第5の実施形態の構成及び動作について説明するための概略構成図である。
【0059】
排紙手段200の第5の実施形態は、第3の実施形態(図4参照)と類似しており、同一の機能を有する部材には同一の符番を付しているため説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。また、図6は、図4に示す構成と類似しているため、図4(a)に示す、通常排紙モードが選択されたときの用紙Pの排紙状態を示す図のみを図示し、図4(b)に示すような、反転排紙モードが選択されたときの用紙Pの排紙状態を示す図は省略する。第5の実施形態が第3の実施形態と異なる点は、固定の排紙トレイ25と、第1の上限検知センサPS1と、第2の上限検知センサPS2とが追加されている点である。従って、第5の実施形態における排紙手段200には、排紙ローラ対24、排紙径路切り替え部材26、ガイド板27a、27b、27c、に加えて、第1、第2の上限検知センサPS1、PS2、及び排紙トレイ25が含まれる。
【0060】
図6において、第1の上限検知センサPS1は、一方の従動ローラ24bと駆動ローラ24aとにより形成される第1のニップ部N1の用紙搬送方向下流側の出口部の近傍に配設される。同様に、第2の上限検知センサPS2は、もう一方の従動ローラ24dと駆動ローラ24aとにより形成される第2のニップ部N2の用紙搬送方向下流側の出口部の近傍に配設される。固定の排紙トレイ25は、第2の上限検知センサPS2の用紙搬送方向下流側の下方寄りに配設される。
【0061】
通常排紙モードが選択されるときには、用紙Pは駆動ローラ24aと従動ローラ24bとの第1のニップ部N1より排紙され、排紙トレイ25上に積載される。このとき、排紙トレイ25が固定であるため、用紙束P1の最上位の位置が第1の上限検知センサPS1に検知される位置まで用紙Pが積載され、第1の上限検知センサPS1に検知された時点で用紙Pの給送が停止される。この用紙給送の停止は、図示しない制御手段100からの指令により、用紙給送駆動源としての図示しない給紙モータの動作が制御されることにより行われる。
【0062】
反転排紙モードが選択されるときには、排紙径路切り替え部材26は、図示しない切り替え部材駆動ソレノイドにより駆動されてガイド部26cを図4(b)に示すような角度に傾ける。排紙径路切り替え部材26の傾きにより、定着装置8の排出ローラ87から搬送される用紙Pは、ガイド部26aとガイド板27bとの間を通り、反転排紙径路28へと搬送される。反転排紙径路28に搬送された用紙Pは、反転排紙径路28で逆送されてガイド部26bとガイド板27cとの間を通り、排紙ローラ対24へと搬送される。そして、用紙Pは排紙ローラ対24の駆動ローラ24aと従動ローラ24dとにより形成される第2のニップ部N2より排紙されて排紙トレイ25上に積載される。用紙Pが排紙トレイ25上に積載され、用紙束P1の最上位の位置が第2の上限検知センサPS2に検知された時点で用紙Pの給送が停止される。
【0063】
通常排紙モード又は反転排紙モードにおいて、第1の上限検知センサPS1又は第2の上限検知センサPS2により用紙束P1の最上位の位置が検知された際には、警告表示手段からの表示や音声による警告が発せられる。その警告によりオペレータは用紙束P1を除去する。警告表示手段は、画像形成装置の図示しない操作部等に配設されている。
【0064】
なお、本第5の実施形態では、第3の実施形態の構成に、排紙トレイ25、第1の上限検知センサPS1、及び第2の上限検知センサPS2を追加する構成としたが、第1〜第4の実施形態のいずれかをベースとしてこれらの部材を追加する構成としても良い。
【0065】
第5の実施形態によれば、簡単な構成で、用紙Pの排紙から積載までの工程を自動的に行うことが可能となる。
【0066】
図7は、本発明に係る排紙手段200の第6の実施形態の構成及び動作について説明するための概略構成図である。
【0067】
排紙手段200の第6の実施形態は、第5の実施形態と類似しており、同一の機能を有する部材には同一の符番を付しているため説明は省略し、異なる構成及び動作についてのみ説明する。また、図7は、図4に示す構成と類似しているため、図4(a)に示す、通常排紙モードが選択されたときの用紙Pの排紙状態を示す図のみを図示し、図4(b)に示すような、反転排紙モードが選択されたときの用紙Pの排紙状態を示す図は省略する。第6の実施形態が第5の実施形態と異なる点は、排紙トレイ25が固定ではなく、上下方向に移動可能である点である。また、排紙トレイ25に積載可能な限界の積載量に達したときにおける排紙トレイ25の降下位置を検知するためのトレイ満載検知センサPS3が配設されている点である。排紙トレイ25の上下方向への移動は、公知のワイヤとプーリーと図示しない排紙トレイ昇降モータ等により行われる。
【0068】
また、本実施の形態において、排紙手段200には、排紙ローラ対24、排紙径路切り替え部材26、ガイド板27a、27b、27c、の他、第1、第2の上限検知センサPS1、PS2、トレイ満載検知センサPS3、及び排紙トレイ25が含まれる。
【0069】
図7において、通常排紙モードが選択されるときには、用紙Pは駆動ローラ24aと従動ローラ24bとの第1のニップ部N1より排紙されて排紙トレイ25上に積載され、用紙束P1の最上位の位置は第1の上限検知センサPS1に検知される。用紙束P1の最上位の位置が第1の上限検知センサPS1に検知される度に排紙トレイ25は所定量だけ下方に下がり、更に用紙Pが積載される。同様に、反転排紙モードが選択されるときには、用紙Pは駆動ローラ24aと従動ローラ24dとの第2のニップ部N2より排紙されて排紙トレイ25上に積載され、用紙束P1の最上位の位置は第2の上限検知センサPS2に検知される。用紙束P1の最上位の位置が第2の上限検知センサPS2に検知される度に排紙トレイ25は所定量だけ下方に下がり、更に用紙Pが積載される。いずれのモードにおいても最終的には、排紙トレイ25はトレイ満載検知センサPS3の位置まで下がり、トレイ満載検知センサPS3に検知されて停止すると同時に用紙Pの給送が停止される。排紙トレイ25がトレイ満載検知センサPS3に検知されると、警告表示手段から表示や音声による警告が発せられ、オペレータにより用紙束P1が除去される。
【0070】
第6の実施形態によれば、用紙Pが排紙されるときの用紙束P1の最上位の位置の高さを第1のニップ部N1又は第2のニップ部N2から一定の距離に保つことができ、排紙トレイ上での用紙の積載状態を安定させることができる。
【0071】
図8は、本発明に係る画像形成装置の各部の動作を制御する制御手段100の制御系に関するブロック図である。
【0072】
図8において、制御手段100は、第1の上限検知センサPS1、第2の上限検知センサPS2、トレイ満載検知センサPS3、及びモード選択手段からの情報に基づいて画像形成装置の各部の動作を制御する。モード選択手段は、画像形成装置における、通常排紙モード又は反転排紙モードのいずれかを選択する手段であり、実施の形態においては、画像形成装置の図示しない操作部のモード切換ボタンにより選択される。
【0073】
本発明に係る制御手段100が制御する画像形成装置の各部には、切り替え部材駆動ソレノイド、排紙トレイ昇降モータ、用紙給送駆動源、ガイド手段移動用駆動源、及び警告表示手段が含まれる。
【0074】
図9は、本発明に係る排紙手段200の第5の実施形態の動作の手順について説明するためのフローチャートである。以下、図6及び図9を用いて説明するが、両面プリントについては、第1の実施形態で説明済み(図2参照)のため、説明は省略し、片面プリントにおける通常排紙モード及び反転排紙モードについてのみ説明する。
【0075】
始めに、制御手段100は、モード選択手段により反転排紙モードが選択されたかどうかを判断する(ステップS11)。反転排紙モードが選択されていないときにはステップS12に進み、反転排紙モードが選択されているときにはステップS15に進む。ステップS12においては、通常排紙モードが選択されているため、図6に示すように、排紙径路切り替え部材26のガイド部26cは略水平に保たれている。一方の従動ローラ24bは駆動ローラ24aに圧接して第1のニップ部N1を形成し、もう一方の従動ローラ24dは駆動ローラ24aから離間した位置にある。駆動ローラ24aの反時計方向への回転により用紙Pは排紙ローラ対24から排紙トレイ25へと排紙される(ステップS12)。
【0076】
次いで、排紙トレイ25上の用紙束P1の最上位の位置が第1の上限検知センサPS1により検知されたかどうかが確認される(ステップS13)。第1の上限検知センサPS1により検知されていないときにはステップS14に進み、検知されているときにはステップS18に進む。ステップS14に進むと、プリント枚数として1ジョブ当たりの目的の枚数が出力されたかどうかが判断される(ステップS14)。目的の枚数が出力されていればプリント動作を終了し、目的の枚数が出力されていなければステップS12に戻り、ステップS12〜S13の工程を繰り返す。
【0077】
ステップS13の工程で、排紙トレイ25上の用紙束P1の最上位の位置が第1の上限検知センサPS1に検知されるときにはステップS18に進む。ステップS18において制御手段100は用紙給送駆動源(例えば給紙モータ)に指令を発して用紙Pの給送を停止させる(ステップS18)。その後、オペレータにより排紙トレイ25上の用紙束P1が除去され(ステップS19)、再びスタートに戻って用紙Pの給送が再開される。
【0078】
ステップS11において、反転排紙モードが選択されているときにはステップS15に進む。ステップS15においては反転排紙モードが選択されているため、排紙径路切り替え部材26は、図示しない切り替え部材駆動ソレノイドにより駆動されてガイド部26cを傾斜させる(図4(b)参照)。また、もう一方の従動ローラ24dは駆動ローラ24aに圧接して第2のニップ部N2を形成し、一方の従動ローラ24bは駆動ローラ24aから離間した位置にある。排紙径路切り替え部材26の傾斜により、定着装置8の排出ローラ87から搬送される用紙Pは、ガイド部26aとガイド板27bとの間を通り、反転排紙径路28へと搬送される。反転排紙径路28へと搬送された用紙Pは、反転排紙径路28で逆送されてガイド部26bとガイド板27cとの間を通り、排紙ローラ対24へ搬送される。このとき、排紙ローラ対24は時計方向に回転され、排紙ローラ対24の第2のニップ部N2に挟持される用紙Pは排紙トレイ25上に排紙される(ステップS15)。
【0079】
次いで、排紙トレイ25上の用紙束P1の最上位の位置が第2の上限検知センサPS2により検知されたかどうかが確認される(ステップS16)。第2の上限検知センサPS2により検知されていないときにはステップS17に進み、検知されているときにはステップS18に進む。
【0080】
ステップS17に進むと、プリント枚数として1ジョブ当たりの目的の枚数が出力されたかどうかが判断される(ステップS17)。目的の枚数が出力されていればプリント動作を終了し、目的の枚数が出力されていなければステップS15に戻り、ステップS15〜S16の工程を繰り返す。
【0081】
ステップS16の工程で、排紙トレイ25上の用紙束P1の最上位の位置が第2の上限検知センサPS2により検知されたときにはステップS18に進み、制御手段100は用紙給送駆動源に指令を発して用紙Pの給送を停止させる(ステップS18)。その後、オペレータにより排紙トレイ25上の用紙束P1が除去され(ステップS19)、再びスタートに戻って用紙Pの給送が再開される。
【0082】
図10は、本発明に係る排紙手段200の第6の実施形態の動作の手順について説明するためのフローチャートである。以下、図7及び図10を用いて説明するが、両面プリントについては、第1の実施形態で説明済み(図2参照)のため、説明は省略し、片面プリントにおける通常排紙モード及び反転排紙モードについてのみ説明する。
【0083】
始めに、制御手段100は、モード選択手段により反転排紙モードが選択されたかどうかを判断する(ステップS21)。反転排紙モードが選択されていないときにはステップS22に進み、反転排紙モードが選択されているときにはステップS26に進む。ステップS22においては、通常排紙モードが選択されているため、図7に示すように、排紙径路切り替え部材26のガイド部26cは略水平に保たれている。一方の従動ローラ24bが駆動ローラ24aに圧接して第1のニップ部N1を形成し、もう一方の従動ローラ24dは駆動ローラ24aから離間した位置にある。駆動ローラ24aの反時計方向への回転により用紙Pは排紙ローラ対24から排紙トレイ25へと排紙される。排紙トレイ25上に積載される用紙束P1の最上位の位置が第1の上限検知センサPS1により検知されるまでの間は、用紙Pの排紙ローラ対24による第1のニップ部N1からの排紙動作及び排紙トレイ25への積載動作が継続される(ステップS22)。用紙束P1の最上位の位置が第1の上限検知センサPS1により検知される度に、排紙トレイ25は所定の高さだけ降下し、用紙積載量に応じて排紙トレイ25の昇降動作が制御され、排紙動作及び積載動作が継続される(ステップS23)。
【0084】
次に、排紙トレイ25がトレイ満載検知センサPS3により検知されたかどうかが確認される(ステップS24)。検知されていないときにはステップS25に進み、検知されているときにはステップS30に進む。ステップS25に進むと、プリント枚数として1ジョブ当たりの目的の枚数が出力されたかどうかが判断される(ステップS25)。目的の枚数が出力されていればプリント動作を終了し、目的の枚数が出力されていなければステップS22に戻り、ステップS22〜S24の工程を繰り返す。
【0085】
ステップS24の工程で、排紙トレイ25がトレイ満載検知センサPS3に検知されるときにはステップS30に進み、制御手段100は用紙給送駆動源に指令を発して用紙Pの給送を停止させる(ステップS30)。その後、オペレータにより排紙トレイ25上の用紙束P1が除去され(ステップS31)、再びスタートに戻って用紙Pの給送が再開される。
【0086】
ステップS21において、反転排紙モードが選択されているときにはステップS26に進む。ステップS26においては反転排紙モードが選択されているため、排紙径路切り替え部材26は、図示しない切り替え部材駆動ソレノイドにより駆動されてガイド部26cを傾斜させる(図4(b)参照)。また、もう一方の従動ローラ24dは駆動ローラ24aに圧接して第2のニップ部N2を形成し、一方の従動ローラ24bは駆動ローラ24aから離間した位置にある。排紙径路切り替え部材26の傾斜により、定着装置8の排出ローラ87から搬送される用紙Pは、ガイド部26aとガイド板27bとの間を通り、反転排紙径路28へと搬送される。反転排紙径路28へと搬送された用紙Pは、図示しない搬送ローラの逆回転により反転排紙径路28で逆送されてガイド部26bとガイド板27cとの間を通り、排紙ローラ対24へ搬送される。このとき、排紙ローラ対24は時計方向に回転され、排紙ローラ対24の第2のニップ部N2に挟持される用紙Pは排紙トレイ25上に排紙される。排紙トレイ25上に積載される用紙束P1の最上位の位置が第2の上限検知センサPS2により検知されるまでの間は、用紙Pの排紙ローラ対24による第2のニップ部N2からの排紙動作及び排紙トレイ25への積載動作が継続される(ステップS26)。用紙束P1の最上位の位置が第2の上限検知センサPS2により検知される度に、排紙トレイ25は所定の高さだけ降下し、用紙積載量に応じて排紙トレイ25の昇降動作が制御され、排紙動作及び積載動作が継続される(ステップS27)。
【0087】
次に、排紙トレイ25がトレイ満載検知センサPS3により検知されたかどうかが確認される(ステップS28)。検知されていないときにはステップS29に進み、検知されているときにはステップS30に進む。ステップS29に進むと、プリント枚数として1ジョブ当たりの目的の枚数が出力されたかどうかが判断される(ステップS29)。目的の枚数が出力されていればプリント動作を終了し、目的の枚数が出力されていなければステップS26に戻り、ステップS26〜S28の工程を繰り返す。
【0088】
ステップS28の工程で、排紙トレイ25がトレイ満載検知センサPS3に検知されるときにはステップS30に進み、制御手段100は用紙給送駆動源に指令を発して用紙Pの給送を停止させる(ステップS30)。その後、オペレータにより排紙トレイ25上の用紙束P1が除去され(ステップS31)、再びスタートに戻って用紙Pの給送が再開される。
【符号の説明】
【0089】
24 排紙ローラ対
24a 駆動ローラ
24b 従動ローラ、第1の従動ローラ
24c 連結板
24d 第2の従動ローラ
25 排紙トレイ
26 排紙径路切り替え部材(排紙径路切り替え手段)
26a、26b、26c ガイド部
26d 回転軸部
27a、27b、27c ガイド板
28 反転排紙径路
29 両面画像形成径路
87 定着装置8の排出ローラ
100 制御手段
200 排紙手段
241 第1の排紙ローラ対
242 第2の排紙ローラ対
24a、241a、242a 駆動ローラ
24b、241b、242b 従動ローラ
260 ガイドユニット
GH 画像形成装置本体
N1 第1のニップ部
N2 第2のニップ部
P 用紙
P1 用紙束
PS1 第1の上限検知センサ
PS2 第2の上限検知センサ
PS3 トレイ満載検知センサ
x 用紙搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に転写されたトナー像を定着する定着手段と、
定着された用紙を排紙する、圧接する駆動ローラ及び従動ローラを有する排紙ローラ対を備えた排紙手段と、を有し、かつ、
定着された用紙の表裏をそのままの向きで排紙する通常排紙モードと、前記排紙手段により用紙の表裏を反転して排紙する反転排紙モードと、の2つのモードを有する画像形成装置であって、
前記従動ローラの熱伝導率は前記駆動ローラの熱伝導率より高く、
前記2つのモードのいずれのモードが選択される場合においても、用紙が前記排紙ローラ対に達する直前に定着されたトナー像を担持する用紙面を、前記従動ローラに当接させて排紙させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記排紙ローラ対により用紙が排紙される排紙径路には通常排紙径路と反転排紙径路との2つの切り替え可能な径路があり、前記通常排紙モードが選択されるときには用紙を前記通常排紙径路に導き、前記反転排紙モードが選択されるときには用紙を前記反転排紙径路に導くように、前記排紙径路を切り替え、
前記従動ローラは、前記駆動ローラの外周面上の異なる位置に移動可能に配設され、前記異なる位置への移動による前記駆動ローラとの圧接により、前記通常排紙径路に対応する位置に形成する第1のニップ部と、前記反転排紙径路に対応する位置に形成する第2のニップ部とのいずれかのニップ部を、前記駆動ローラ上に形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記排紙手段は、前記排紙ローラ対の上流側に、前記排紙ローラ対により形成されるニップ部に向けて用紙を搬送する、前記排紙ローラ対から離間する方向に移動可能な用紙ガイド手段を備え、
前記用紙ガイド手段は、前記排紙径路が切り替えられる際には、前記排紙ローラ対から離間する退避位置に移動することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記排紙ローラ対は、1個の駆動ローラと、前記1個の駆動ローラに対して接離可能に配設され、前記通常排紙径路及び前記反転排紙径路の2つの排紙径路上に配設される2個の従動ローラと、により構成される2組の排紙ローラ対からなり、
前記通常排紙モードが選択されるときには前記通常排紙径路上に位置する前記従動ローラが前記駆動ローラに圧接して第1のニップ部を形成するとともに前記反転排紙径路上に位置する前記従動ローラの前記駆動ローラへの圧接が解除され、
前記反転排紙モードが選択されるときには前記反転排紙径路上に位置する前記従動ローラが前記駆動ローラに圧接して第2のニップ部を形成するとともに前記通常排紙径路上に位置する前記従動ローラの前記駆動ローラへの圧接が解除されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記排紙ローラ対は、前記通常排紙径路上及び前記反転排紙径路上に配設される、2個の駆動ローラと2個の従動ローラとの2組の排紙ローラ対からなり、第1のニップ部と第2のニップ部との2つのニップ部を形成し、
前記通常排紙モードが選択されるときには用紙を前記通常排紙径路上に配設される排紙ローラ対に形成される前記第1のニップ部に挟持させて排紙し、
前記反転排紙モードが選択されるときには用紙を前記反転排紙径路上に配設される排紙ローラ対に形成される前記第2のニップ部に挟持させて排紙することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記通常排紙径路又は前記反転排紙径路から前記排紙ローラ対のニップ部を経て排紙される用紙は、固定された排紙トレイ上に排紙されて積載され、
前記通常排紙径路上に形成される前記第1のニップ部の出口部の近傍と、前記反転排紙径路上に形成される前記第2のニップ部の出口部の近傍とのそれぞれに、前記排紙トレイ上に積載される用紙が上限の位置に達したことを検知する用紙上限位置検知センサが配設され、
前記用紙上限位置検知センサにより用紙が上限の位置に達したことを検知されたとき、警告を発することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記通常排紙径路又は前記反転排紙径路から前記排紙ローラ対のニップ部を経て排紙される用紙は、上下方向に移動可能な排紙トレイ上に排紙されて積載され、
前記通常排紙径路上に形成される前記第1のニップ部の出口部の近傍には、前記通常排紙モードにおいて前記排紙トレイ上に積載される用紙が上限の位置に達したことを検知する第1の用紙上限位置検知センサが配設され、
前記反転排紙径路上に形成される前記第2のニップ部の出口部の近傍には、前記反転排紙モードにおいて前記排紙トレイ上に積載される用紙が上限の位置に達したことを検知する第2の用紙上限位置検知センサが配設され、
前記排紙ローラ対の下方には、用紙の積載量が限界に達したことを前記排紙トレイの降下位置により検知するトレイ満載検知センサが配設され、
前記通常排紙モードが選択され、前記排紙トレイに積載される用紙束の最上位の位置が前記第1の用紙上限位置検知センサにより検知されるとき、前記排紙トレイは所定の高さだけ降下して用紙の積載を継続し、
前記反転排紙モードが選択され、前記排紙トレイに積載される用紙束の最上位の位置が前記第2の用紙上限位置検知センサにより検知されるとき、前記排紙トレイは所定の高さだけ降下して用紙の積載を継続し、
前記排紙トレイが前記トレイ満載検知センサに検知されるとき、警告を発することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−3049(P2012−3049A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138109(P2010−138109)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】